JP5417075B2 - 化学蓄熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、化学蓄熱装置に関し、さらに詳しくは、脱水・水和反応により吸熱・発熱を生ずる化学蓄熱材を用いて、熱の注入及び抽出を繰り返し行うことが可能な化学蓄熱装置に関する。
化学蓄熱とは、化学反応を利用した熱の貯蔵をいう。例えば、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)に熱を加えると脱水反応を起こし、酸化カルシウム(CaO)と水(H2O)が生成する。一方、生成したCaOにH2Oを加えると、Ca(OH)2が生成し、その際に反応熱を放出する。そのため、吸熱反応の際に分離したCaOとH2Oとを別々に保管すれば、水和反応させるまでの間、CaOの形で熱を貯蔵することが可能となる。
化学蓄熱材は、
(1)体積当たりの蓄熱量が大きい、
(2)蓄熱材を保温する必要がない、
(3)蓄熱材の貯蔵中に生じる蓄熱損失が少ないため、長期間の蓄熱が可能である、
等の利点がある。そのため、化学蓄熱材を用いた蓄熱方法は、工場やエンジンなどから排出される排熱や太陽熱を有効利用する方法として期待されている。
化学蓄熱材、又はこれを用いた化学蓄熱装置については、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、結晶質の石灰石を850〜1100℃で2〜7時間加熱し、次いで500℃〜600℃で1時間以上加熱することにより得られる化学蓄熱材が開示されている。
同文献には、
(1)結晶質の石灰石を所定の温度で加熱すると、表面から内部に向かう多数の気孔を有する生石灰が得られる点、及び、
(2)石灰石の内部に多数の気孔を形成すると、水蒸気との反応速度が速くなり、しかも水和に伴う体積膨張も吸収することができる点、
が記載されている。
また、特許文献2、3には、内部の空間に対して10〜60容量%の割合で粉体化学蓄熱材が収容された蓄熱カプセル、及びこれを用いた蓄熱装置が開示されている。
同文献には、粉体化学蓄熱材の充填割合を蓄熱カプセルの内部空間の60容量%以下にすると、粉体化学蓄熱材の自重による固化、並びに、発熱効率及び再生効率の低下を抑制することができる点が記載されている。
化学蓄熱材を用いて熱の注入・抽出を行うためには、化学蓄熱材と熱交換媒体との間で熱の授受を行う必要がある。しかしながら、化学蓄熱材そのものは、一般に熱伝導率が低い。また、化学蓄熱材は、熱の注入・抽出時に膨張・収縮を繰り返すため、使用中に化学蓄熱材が粉体化したり、あるいは、化学蓄熱材の表面が熱交換器の表面から剥離する場合がある。その結果、化学蓄熱材の反応率が低下するという問題がある。
この問題を解決するために、特許文献2、3に開示されているように、粉体の化学蓄熱材を多孔質の蓄熱カプセルに封入することも考えられる。
しかしながら、この方法は、
(1)カプセル封入による熱伝導抵抗の増加、
(2)粒子間距離に依存した接触経路の複雑化、
などの熱律速が発生する。そのため、この方法では、化学蓄熱システムとして十分な能力を発揮できないという問題がある。
特開平1−225686号公報 特公平6−80395号公報 特公平6−80394号公報
本発明が解決しようとする課題は、繰り返し使用した場合であっても、化学蓄熱材の反応率が低下することのない化学蓄熱装置を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る化学蓄熱装置は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記化学蓄熱装置は、
脱水・水和反応により吸熱・発熱を生ずる化学蓄熱材を含む蓄熱体と、
前記化学蓄熱材との間で熱の授受を行うための伝熱材料からなる伝熱体と
を備えている。
(2)前記伝熱体(粘土鉱物を除く)は、前記化学蓄熱材と接する面に水酸基又は酸化物膜を備え、
前記化学蓄熱材と前記伝熱体との間に−O(酸素原子)−結合を形成し、
前記−O−結合を介して、前記化学蓄熱材と前記伝熱体とが接触している
本発明に係る化学蓄熱装置において、前記蓄熱体は前記化学蓄熱材を含む成形体又は多孔質の焼結体であり、前記伝熱体は前記成形体又は前記焼結体の周囲と接する伝熱壁であっても良い。
また、本発明に係る化学蓄熱装置において、前記蓄熱体は、前記化学蓄熱材の粉末と、前記化学蓄熱材の粉末の間に介在する前記伝熱体とを含む複合体であっても良い。
化学蓄熱材を含む蓄熱体と伝熱体とを備えた化学蓄熱装置において、伝熱体の表面の内、少なくとも化学蓄熱材と接する面に水酸基又は酸化物膜を形成すると、繰り返し使用に伴う化学蓄熱材の反応率の低下を抑制することができる。これは、伝熱体の表面に水酸基又は酸化物膜を形成することによって、伝熱体の表面と化学蓄熱材の表面との間に−O−結合が形成され、熱伝導抵抗の増加が抑制されるためと考えられる。
化学蓄熱装置の概略構成図である。 伝熱壁を備えた蓄熱体貯蔵容器の断面模式図である。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 化学蓄熱装置]
[1.1 化学蓄熱装置の構成]
図1に、化学蓄熱材を用いた化学蓄熱装置の一例を示す。化学蓄熱装置10は、一般に蓄熱体貯蔵容器20と、熱注入装置32と、熱抽出装置34と、水貯蔵容器40と、水蒸気供給・排出装置50とを備えている。
蓄熱体貯蔵容器20は、化学蓄熱材を含む蓄熱体22を貯蔵するための容器である。蓄熱体貯蔵容器20は、水蒸気供給・排出装置50を介して、水貯蔵容器40に接続されている。また、蓄熱体貯蔵容器20は、密閉可能になっている。
熱注入装置32は、蓄熱体貯蔵容器20に収容された蓄熱体22に熱を注入するためのものである。熱抽出装置34は、蓄熱体貯蔵容器20に収容された蓄熱体22から放出される熱を抽出し、負荷(図示せず)に供給するためのものである。熱注入装置32及び熱抽出装置34は、いずれも蓄熱体貯蔵容器20に取り付けられる。
熱注入装置32及び熱抽出装置34は、特に限定されるものではなく、蓄熱体22への熱の注入及び蓄熱体22からの熱の抽出が可能なものであればよい。通常、蓄熱体貯蔵容器20に熱交換器を設け、熱交換媒体(空気、水蒸気など)を介して熱の注入及び抽出を行う。
水貯蔵容器40は、蓄熱体22から放出され、又は蓄熱体22に供給するための水42を貯蔵するための容器である。水貯蔵容器40は、水蒸気供給・排出装置50を介して、蓄熱体貯蔵容器20に接続されている。また、水貯蔵容器40は、密閉可能になっている。
水貯蔵容器40及び蓄熱体貯蔵容器20の内部圧力が常圧近傍となる条件下で化学蓄熱装置10を使用する場合、水貯蔵容器40は、水42を加熱し、水蒸気の発生を補助する加熱装置を備えているのが好ましい。
一方、水貯蔵容器40及び蓄熱体貯蔵容器20の内部圧力が大気圧より低い条件下で化学蓄熱装置10を使用する場合、水の沸点が低下し、常温でも所定量の水蒸気が発生する。そのため、このような場合には水42を加熱するための加熱装置は必ずしも必要ではない。
水蒸気供給・排出装置50は、蓄熱体貯蔵容器20と水貯蔵容器40との間で水蒸気の授受を行うための装置である。
図1に示す例において、水蒸気供給・排出装置50は、蓄熱体貯蔵容器20と水貯蔵容器40を連結する配管52と、配管52を開閉するための開閉バルブ54とを備えている。蓄熱体貯蔵容器20及び水貯蔵容器40は、いずれも密閉可能になっている。そのため、所定のタイミングで開閉バルブ54を開閉するだけで、蓄熱体22からの水蒸気の放出及び停止、並びに、水貯蔵容器20から蓄熱体22への水蒸気の供給及び停止を行うことができる。
本発明において、化学蓄熱材は、後述するように脱水・水和反応により吸熱・発熱を生ずるものからなる。蓄熱体貯蔵容器20と水貯蔵容器40を水蒸気供給・排出装置50で連結し、熱注入装置32を介して蓄熱体22に熱を注入すると、脱水反応が起こる。脱水反応により生じた水蒸気は、水蒸気供給・排出装置50を介して水貯蔵容器40に運ばれ、そこで凝縮して水42となる。
また、脱水反応後の蓄熱体22に水蒸気供給・排出装置50を介して水蒸気を供給すると、水和反応が起こり、蓄熱体22が発熱する。蓄熱体22から放出された熱は、熱抽出装置34により抽出され、負荷(図示せず)に供給される。
熱注入装置32を介して注入される熱としては、例えば、
(1)工場や自動車のエンジンなどから排出される排熱、
(2)太陽熱、
などがある。
また、熱抽出装置34を介して抽出される熱の供給先(負荷)としては、例えば、
(1)自動車のエンジン、燃料電池、バッテリーなどを加熱し、寒冷地におけるこれらの始動を補助するための補助装置、
(2)給湯装置、暖房装置、
などがある。
本発明に係る化学蓄熱装置は、上述した構成に加えて、さらに以下の構成を備えていることを特徴とする。
(1)化学蓄熱装置は、
脱水・水和反応により吸熱・発熱を生ずる化学蓄熱材を含む蓄熱体と、
化学蓄熱材との間で熱の授受を行うための伝熱材料からなる伝熱体と
を備えている。
(2)伝熱体は、化学蓄熱材と接する面に水酸基又は酸化物膜を備えている。
[1.2 蓄熱体]
本発明において、化学蓄熱材とは、脱水・水和反応により吸熱・発熱を生ずるものをいう。化学蓄熱材としては、具体的には、
(1)CaO(Ca(OH)2)、BaO(Ba(OH)2)、MgO(Mg(OH)2)などのアルカリ土類の酸化物又は水酸化物、
(2)NiO(Ni(OH)2)、CoO(Co(OH)2)、Co23(Co(OH)3)、CuO(Cu(OH)2)などの遷移金属の酸化物又は水酸化物、
(3)Al23(Al(OH)3)などの典型金属の酸化物又は水酸化物、
などがある。これらは、いずれか1種を用いても良く、あるいは2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらの中でも、カルシウム化合物は、蓄熱・放熱の繰り返しを安定して行うことができるので、化学蓄熱材として好適である。また、マグネシウム化合物は、より低温域での蓄熱・放熱が可能であるので、化学蓄熱材として好適である。
次の(1)式に、化学蓄熱材の一種であるCaOの脱水・水和反応を示す。
CaO+H2O ⇔ Ca(OH)2 ・・・(1)
CaOの水和反応は発熱反応であり、Ca(OH)2の脱水反応は吸熱反応である。しかも、水和反応及び脱水反応は可逆的であるので、熱の注入及び抽出を繰り返し行うことができる。
蓄熱体は、上述した化学蓄熱材のみからなるものでも良く、あるいは、化学蓄熱材と第3成分との複合体であっても良い。
第3成分としては、具体的には、
(1)セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイトなどの粘土鉱物、
(2)ハイドロタルサイト、ハイドロカルマイトなどの層状複水酸化物、
(3)表面に水酸基又は酸化物膜を有する伝熱体、
(4)粘土、炭素、Cu等からなり、その内部に化学蓄熱材を保持することが可能な空隙を持つ籠状物質(例えば、(1)〜(3)に記載した物質など)
(5)(1)〜(4)の組み合わせ、
などがある。
また、蓄熱体は、
(a)化学蓄熱材を含む粉末、
(b)化学蓄熱材を含む粉末をプレス成形することにより得られる成形体、あるいは
(c)成形体を加熱し、粒子を部分的に焼結させた多孔質の焼結体、
のいずれであっても良い。
化学蓄熱材の脱水及び水和が繰り返されると、化学蓄熱材が膨張及び収縮を繰り返す。その結果、化学蓄熱材が微粉化し、微粉化した化学蓄熱材が凝集する場合がある。化学蓄熱材と水蒸気との反応は固気反応であるため、凝集は化学蓄熱材と水蒸気との接触を妨げ、化学蓄熱材の反応率を低下させる原因となる。
これに対し、化学蓄熱材と粘土鉱物とを複合化させると、脱水及び水和を繰り返し行っても化学蓄熱材の反応率の低下を抑制することができる。これは、化学蓄熱材の一次粒子の間に粘土鉱物を分散させることによって化学蓄熱材が補強され、化学蓄熱材の微粉化が抑制されるためと考えられる。
同様に、粘土鉱物に加えて又はこれに代えて、化学蓄熱材と層状複水酸化物とを複合化させると、脱水及び水和を繰り返し行っても化学蓄熱材の反応率の低下を抑制することができる。これは、その両面に水酸基を有する層状複水酸化物と化学蓄熱材とを複合化させると、化学蓄熱材と層状複水酸化物とが水酸基を介して結合し、化学蓄熱材の微粉化が抑制されるためと考えられる。
また、蓄熱体は、粘土鉱物及び/又は層状複酸化物に加えて、又はこれらに代えて、化学蓄熱材からなる粉末と、この粉末の間に介在する伝熱体とを含む複合体であっても良い。伝熱体の表面に形成された水酸基又は酸化物膜を介して、化学蓄熱材の粉末と伝熱体とを接触させると、熱伝導抵抗の増加を抑制することができる。この点については、後述する。
さらに、籠構造物質の空隙内に化学蓄熱材を充填すると、化学蓄熱材が微粉化しても、化学蓄熱材の流出を抑制することができる。また、化学蓄熱材が粒成長し、反応性が低下することを抑制できる。
[1.3 伝熱体]
伝熱体は、蓄熱体に含まれる化学蓄熱材との間で熱の授受を行うための伝熱材料からなる。伝熱体を構成する伝熱材料は、化学蓄熱材よりも熱伝導率が高いものである必要がある。
このような伝熱材料としては、例えば、
(1)Fe又はその合金、Al又はその合金、Cu又はその合金などの金属材料、
(2)カーボンナノチューブ、炭素繊維などの炭素材料、
(3)SiC等の炭化物、アルミナ等の金属酸化物などのセラミックス材料、
などがある。
また、伝熱体は、その表面の内、少なくとも蓄熱体に含まれる化学蓄熱材と接する面に水酸基又は酸化物膜を備えている必要がある。ここで、本発明において「水酸基」というときは、−OH基だけでなく、−OOH基(オキシ水酸基)も含まれる。
また、本発明において、「酸化物膜」とは、水蒸気と接することによって、容易に水酸基を形成可能なものをいう。このような酸化物としては、例えば、シリカ、酸化ニッケル、酸化コバルトなどがある。酸化物膜は、これらのいずれか1種を含むものでも良く、あるいは、2種以上を含むものでも良い。また、酸化物膜は、水酸基を容易に形成可能な酸化物のみからなるものでも良く、あるいは、水酸基を容易に形成可能な酸化物以外の成分が含まれていても良い。
伝熱体の表面に水酸基又は酸化物膜を形成する方法としては、例えば、
(1)伝熱体が金属材料からなる場合において、金属材料の表面をリン酸処理する方法、
(2)伝熱体が金属材料からなる場合において、金属材料の表面をホーロー処理し、又はホーロー処理した後さらにホーロー皮膜の表面を水蒸気処理する方法、
(3)伝熱体が炭素材料からなる場合において、炭素材料の表面をホーロー処理し、又はホーロー処理した後さらにホーロー皮膜の表面を水蒸気処理する方法、
(4)伝熱体がセラミックス材料からなる場合において、セラミックス材料の表面をホーロー処理し、又はホーロー処理した後さらにホーロー皮膜の表面を水蒸気処理する方法、
などがある。
[1.4 化学蓄熱材と伝熱体の接触]
伝熱体は、蓄熱体と熱注入装置又は熱抽出装置との間の熱伝導抵抗を低減するためのものである。伝熱体の表面に形成された水酸基又は酸化物膜を介して、化学蓄熱材と伝熱体とを接触させると、熱伝導抵抗の増加を抑制することができる。これは、伝熱体の表面に水酸基又は酸化物膜を形成することによって、伝熱体の表面と化学蓄熱材の表面との間に−O−結合が形成されるためと考えられる。蓄熱体に含まれる化学蓄熱材と伝熱体とを水酸基又は酸化物膜を介して接触させ、熱伝導抵抗を低減するための構造には、種々の構造がある。
[1.4.1 第1の具体例]
熱伝導抵抗を低減するための第1の具体例は、蓄熱体が化学蓄熱材を含む成形体又は多孔質の焼結体であり、伝熱体が成形体又は焼結体の周囲と接する伝熱壁からなる構造である。図2に、このような構造を備えた蓄熱体貯蔵容器20の断面模式図を示す。
図2に示すように、蓄熱体22aが成形体又は焼結体である場合、蓄熱体貯蔵容器20の内部を伝熱壁20aで仕切り、水酸基又は酸化物膜が形成された伝熱壁20aの表面と接触するように蓄熱体22aを挿入するのが好ましい。この場合、伝熱壁20aで仕切られたセルのすべてに蓄熱体22aを挿入するのではなく、1つおきに挿入するのが好ましい。蓄熱体22aが挿入されていないセル20bは、蓄熱体22aから熱を注入又は抽出するための熱媒体の通路となる。また、蓄熱体22aが挿入されたセル20cの空隙部分は、蓄熱体22aから放出され又は蓄熱体22aに吸収される水蒸気の通路となる。
この状態で、蓄熱体22aの脱水及び水和を繰り返すと、蓄熱体22aと伝熱壁20aの界面に−O−結合が形成される。その結果、蓄熱体22aと伝熱壁20aとの間の熱伝導抵抗を低減することができる。
この場合、伝熱壁としては、具体的には、
(1)表面にリン酸処理が施された金属材料、又は、
(2)表面にホーロー処理、又は、ホーロー処理及び水蒸気処理が施された金属材料、
などが好ましい。
蓄熱体貯蔵容器20及び伝熱壁20aは、通常、加工の容易性から金属材料が用いられる。例えば、伝熱壁20aとして鉄系材料を用いた場合、伝熱壁20aをリン酸処理することにより、表面にFeOH、又はFeOOHを形成することができる。
また、伝熱壁20aとして金属材料を用いた場合、ホーロー処理によって、伝熱壁20aの表面にシリカを主成分とする酸化物膜(ホーロー被膜)を形成することができる。ホーロー処理した伝熱壁20aは、そのまま使用しても良く、あるいは、これをさらに水蒸気処理しても良い。ホーロー被膜を水蒸気に接触させると、ホーロー被膜の表面にOH基を形成することができる。
[1.4.2 第2の具体例]
熱伝導抵抗を低減するための第2の具体例は、蓄熱体が、化学蓄熱材の粉末と、化学蓄熱材の粉末の間に介在する伝熱体との複合体からなる構造である。
この場合、蓄熱体としては、具体的には、
(1)化学蓄熱材の粉末及び伝熱材料の粉末の混合物、
(2)化学蓄熱材の粉末及び伝熱材料の粉末の混合物を成形することにより得られる成形体、
(3)化学蓄熱材の粉末及び伝熱材料の粉末を含む成形体を加熱し、粒子を部分的に焼結させることにより得られる多孔質の焼結体、
などがある。
さらに、蓄熱体が化学蓄熱材及び伝熱材料を含む粉末の成形体又は焼結体である場合、さらに蓄熱体容器の内部を伝熱壁で仕切り、伝熱壁の表面に水酸基又は酸化物膜を形成しても良い。
この場合、伝熱材料の粉末としては、例えば、
(1)表面にリン酸処理が施された金属材料からなる粉末、
(2)表面にホーロー処理、又は、ホーロー処理及び水蒸気処理が施された金属材料からなる粉末、
(3)表面にホーロー処理、又は、ホーロー処理及び水蒸気処理が施された炭素材料からなる粉末、
(4)表面にホーロー処理、又は、ホーロー処理及び水蒸気処理が施されたセラミックス材料からなる粉末、
などがある。
伝熱材料の粉末は、通常、表面に水酸基又は酸化物膜を形成した後、化学蓄熱材の粉末と複合化させる。また、水酸基又は酸化物膜の形成方法、伝熱材料の種類等が許すときは、複合化させた後に水酸基又は酸化物膜を形成しても良い。
[1.5 化学蓄熱装置の作用]
化学蓄熱材を含む蓄熱体と伝熱体とを備えた化学蓄熱装置において、伝熱体の表面の内、化学蓄熱材と接する面に水酸基又は酸化物膜を形成すると、繰り返し使用に伴う化学蓄熱材の反応率の低下を抑制することができる。これは、伝熱体の表面に水酸基又は酸化物膜を形成することによって、伝熱体の表面と化学蓄熱材の表面との間に−O−結合が形成され、熱伝導抵抗の増加が抑制されるためと考えられる。伝熱体の表面と化学蓄熱材の表面との間に−O−結合が形成されると、両者の間の結合力が増加する。そのため、両者の熱的・機械的接触が増加し、効率及び耐久性が向上する。
(実施例1)
[1. 化学蓄熱装置の作製]
蓄熱体貯蔵容器内に設けられたステンレス製伝熱壁を硫酸で処理した。次いで、伝熱壁の表面に、Ni酸化物、Co酸化物及びSiO2の混合物を含む上薬を塗布した。これを800℃で10分間熱処理した。
ホーロー処理が施された伝熱壁と、Ca(OH)2の成形体からなる蓄熱体とを重ね合わせ、これらを蓄熱体貯蔵容器に取り付けた。
[2. 試験方法]
蓄熱体貯蔵容器内において、蓄熱体の脱水・水和サイクルを繰り返した。脱水反応は450℃で行い、水和反応は200℃で行った。Ca(OH)2の脱水率及び水和率は、熱重量法により測定した。得られた脱水率及び水和率の内、低い方を「反応率」とした。
[3. 結果]
1サイクル目のCa(OH)2の反応率は、88%であった。また、10サイクル目のCa(OH)2の反応率は、86%であった。以上の結果から、伝熱壁の表面をホーロー処理すると、サイクルを重ねても特性低下があまり見られず、サイクル特性に優れていることが確認できた。
(実施例2)
[1. 化学蓄熱装置の作製]
ホーロー処理に代えて、伝熱壁のリン酸処理を行った以外は、実施例1と同様にして、化学蓄熱装置を作製した。
[2. 試験方法]
実施例1と同一条件下で、サイクル特性を評価した。
[3. 結果]
1サイクル目のCa(OH)2の反応率は、87%であった。また、10サイクル目のCa(OH)2の反応率は、85%であった。以上の結果から、伝熱壁の表面をリン酸処理すると、サイクルを重ねても特性低下があまり見られず、サイクル特性に優れていることが確認できた。
(比較例1)
[1. 化学蓄熱装置の作製]
ホーロー処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、化学蓄熱装置を作製した。
[2. 試験方法]
実施例1と同一条件下で、サイクル特性を評価した。
[3. 結果]
1サイクル目のCa(OH)2の反応率は、88%であった。一方、10サイクル目のCa(OH)2の反応率は、54%まで低下した。これは、蓄熱体が膨張・収縮を繰り返すことにより、蓄熱体と伝熱壁の間に隙間が形成され、熱的・機械的接触が低下したためと考えられる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る化学蓄熱装置は、
(1)自動車のエンジン、燃料電池、バッテリーなどを加熱し、寒冷地におけるこれらの始動を補助するための補助装置、
(2)給湯装置、暖房装置、
などに利用することができる。
10 化学蓄熱装置
20 蓄熱体貯蔵容器
20a 伝熱壁
22a 蓄熱体

Claims (7)

  1. 以下の構成を備えた化学蓄熱装置。
    (1)前記化学蓄熱装置は、
    脱水・水和反応により吸熱・発熱を生ずる化学蓄熱材を含む蓄熱体と、
    前記化学蓄熱材との間で熱の授受を行うための伝熱材料からなる伝熱体と
    を備えている。
    (2)前記伝熱体(粘土鉱物を除く)は、前記化学蓄熱材と接する面に水酸基又は酸化物膜を備え、
    前記化学蓄熱材と前記伝熱体との間に−O(酸素原子)−結合を形成し、
    前記−O−結合を介して、前記化学蓄熱材と前記伝熱体とが接触している
  2. 前記蓄熱体は、前記化学蓄熱材を含む成形体又は多孔質の焼結体であり、
    前記伝熱体は、前記成形体又は前記焼結体の周囲と接する伝熱壁である
    請求項1に記載の化学蓄熱装置。
  3. 前記伝熱壁は、表面にリン酸処理が施された金属材料からなる請求項2に記載の化学蓄熱装置。
  4. 前記伝熱壁は、表面にホーロー処理、又は前記ホーロー処理及び水蒸気処理が施された金属材料からなる請求項2に記載の化学蓄熱装置。
  5. 前記蓄熱体は、前記化学蓄熱材の粉末と、前記化学蓄熱材の粉末の間に介在する前記伝熱体とを含む複合体である請求項1から4までのいずれかに記載の化学蓄熱装置。
  6. 前記伝熱体は、表面にリン酸処理が施された金属材料からなる粉末である請求項5に記載の化学蓄熱装置。
  7. 前記伝熱体は、表面にホーロー処理、又は、前記ホーロー処理及び水蒸気処理が施された金属材料、炭素材料、又はセラミックス材料からなる粉末である請求項5に記載の化学蓄熱装置。
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