JP6037159B2 - 化学蓄熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は化学蓄熱装置に関し、車両(特に、電気自動車)、建築構造物、屋外等において使用できる化学蓄熱装置に関する。
近年、車両、建築構造物、屋外等における暖房として化学蓄熱装置が知られている。例えば、エンジンを搭載せずモータで走行する電気自動車(EV)では、エンジン駆動式の車両と異なり、エンジン冷却水の放熱を暖房熱として利用すること事ができない。このような場合に使用可能な暖房装置として、例えば特許文献1、2には、化学蓄熱を利用するもの(化学蓄熱装置)が開示されている。化学蓄熱材は反応媒体と反応して、熱を発生するとともに反応生成物を生成する。この反応は可逆反応であるため、化学蓄熱材は再生可能である。具体的には、反応媒体が水であれば、反応生成物を加熱し脱水反応させることで化学蓄熱材を再生できる。以下、必要に応じて、反応生成物を加熱し化学蓄熱材を再生することを、化学蓄熱材を加熱再生する、と呼ぶ。また、化学蓄熱材を反応媒体と反応させ熱を発生させるとともに反応生成物を生成させることを、化学蓄熱材を発熱させる、と呼ぶ。
特許文献1に紹介されている技術では、反応媒体と化学蓄熱材とを反応させる蓄熱材収容部の外部に電気ヒータを配設することで、反応部に収容されている反応生成物を加熱している。この技術によると、化学蓄熱材を加熱再生することは可能であるが、その反面で蓄熱材収容部全体を加熱するために化学蓄熱材の加熱再生効率に劣る。つまり、特許文献1に紹介されている化学蓄熱装置では、ヒータを加熱することによって、ヒータと接合している反応部を間接的に加熱している。そして反応部内の反応生成物をさらに間接的に加熱している。このため、この化学蓄熱装置では、化学蓄熱材を加熱再生する際の伝熱ロスが大きく、化学蓄熱材を加熱再生する際の熱効率に劣る問題がある。
特許文献2に紹介されている技術では、化学蓄熱材を固めたセルを作製し、当該セルの内部に流路を設け、この流路に高温の流体を流通させることで、反応生成物を加熱している。この技術を転用し、蓄熱材収容部の内部に熱の伝達経路(例えば化学蓄熱材を流体によって加熱する場合には流体の流路、以下、特に説明のない場合には伝熱部と呼ぶ)を設けて化学蓄熱材を直接的に加熱再生すれば、化学蓄熱材を加熱再生する際の伝熱ロスを低減でき(つまり化学蓄熱材を効率良く加熱再生でき)、ひいては化学蓄熱材の加熱再生効率を向上させ得ると考えられる。
ところで、蓄熱材収容部の内部に熱を伝達させるために、伝熱部を蓄熱材収容部の内部に複数設けると、隣接する伝熱部同士の間に化学蓄熱材が入り込む。化学蓄熱材は反応媒体と反応する際(つまり発熱時)に膨張するため、このとき伝熱部間に入り込んだ化学蓄熱材は圧縮されて、伝熱部間で凝集および固化する可能性がある。凝集・固化した化学蓄熱材の中心部には熱が伝達し難かったり、反応媒体が接触し難かったりする。このため、固化した化学蓄熱材の中心部は発熱→加熱再生のサイクルに関与し難くなり、結果的に化学蓄熱材の反応率や反応速度が低下する可能性がある。つまり、化学蓄熱材の加熱再生効率を向上させるために複数の伝熱部を蓄熱材収容部の内部に設けたせいで、実際には、化学蓄熱材の発熱効率および化学蓄熱材の加熱再生効率が悪化する可能性がある。
また、固化した化学蓄熱材が伝熱部間に詰まっていると、長期間の使用後に収容部の化学蓄熱材を交換する場合に、交換作業が繁雑になる場合もある。
特開平11−182968号公報 特開2010−216772号公報
上述したように、特許文献1、2に例示される従来の化学蓄熱装置においては、化学蓄熱材を加熱再生させる機構が不十分であり、化学蓄熱材の加熱再生効率および化学蓄熱材の発熱効率を充分に高めることが困難であった。具体的には、化学蓄熱材の凝集・固化を抑制しつつ化学蓄熱材を効率良く加熱再生することはできなかった。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり化学蓄熱材の発熱および加熱再生の反応率および反応速度の低下を抑制する化学蓄熱装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の化学蓄熱装置は、
反応媒体との可逆的な化学反応によって熱と反応生成物とを発生させる化学蓄熱材を収容する蓄熱材収容部と、
前記蓄熱材収容部を回転駆動させる駆動部と、
少なくとも一つ前記蓄熱材収容部の内部に延びる伝熱部を有し、前記蓄熱材収容部の内外を熱的に連絡する熱交換部と、を持ち、
前記蓄熱材収容部の回転によって前記化学蓄熱材を攪拌し、前記伝熱部を流れる熱交換流体と前記化学蓄熱材との間で熱交換を行い、前記伝熱部を通過する熱交換流体の温度を変化させるものである。
蓄熱材収容部の内部に伝熱部を配置することで、蓄熱材収容部の内外での熱の伝達が効率良くなされる。例えば化学蓄熱材を加熱再生する場合には、蓄熱材収容部の外部に存在する温熱源(例えばエンジン等)と蓄熱材収容部との内部とを熱交換部により熱的に連絡する。そして、熱交換部に熱交換流体(例えば排ガス等)を流通させて、蓄熱材収容部の内部に収容されている化学蓄熱材(より具体的には化学蓄熱材と反応媒体との反応生成物)と熱交換流体とを熱交換できる。このとき反応生成物は相対的に加熱され、再生されて化学蓄熱材になる。また、例えば化学蓄熱材と反応媒体との反応によって熱が生じている場合には、蓄熱材収容部の外部に存在する冷熱源(例えば寒冷時におけるバッテリや始動時のエンジン、車室内等)と、蓄熱材収容部との内部とを熱交換部により熱的に連絡する。そして熱交換部に熱交換流体(例えばエンジン冷却水等)を流通させることで、蓄熱材収容部の内部に収容されている反応生成物(場合によっては、反応生成物に加えて、蓄熱材収容部に残存している化学蓄熱材および反応媒体)と熱交換流体とを熱交換できる。このとき蓄熱材収容部の内部で生じた熱により上述した冷熱源を加熱することができる。またこのとき反応生成物は相対的に冷却される。熱交換部の一部を構成する伝熱部は、蓄熱材収容部の内部に延びるため、化学蓄熱材(反応生成物)と熱交換流体とを効率良く熱交換可能である。
ところで、本発明の化学蓄熱装置においては、蓄熱材収容部の内部に伝熱部が存在することで、化学蓄熱材および/または反応生成物が伝熱部と蓄熱材収容部の内壁との隙間に入り込む。伝熱部が複数である場合には、化学蓄熱材および/または反応生成物が伝熱部間に入り込む。しかし、蓄熱材収容部が回転することで、蓄熱材収容部に収容されている化学蓄熱材は、攪拌されて解される。このため化学蓄熱材の凝集・固化を抑制できる。また、伝熱部間に入り込んだ化学蓄熱材を流動させて外部に移動させることもできる。よって、本発明の化学蓄熱装置によると、伝熱部により化学蓄熱材に熱を効率良く伝達させることができ、かつ、蓄熱材収容部の回転により化学蓄熱材の凝集・固化を抑制することができる。換言すると、本発明の化学蓄熱装置によると、化学蓄熱材の凝集・固化を抑制しつつ化学蓄熱材を効率良く加熱再生することが可能である。
本発明の化学蓄熱装置は、以下に示す構成要素を備えるのが好ましい。即ち、
・前記反応媒体は水であり、
前記蓄熱材収容部を真空状態で収容するチャンバと、
前記蓄熱材収容部に形成され、前記化学蓄熱材と前記反応媒体とを化学反応させ発熱させる際、および、前記反応生成物を加熱して前記反応生成物から前記反応媒体を脱離させるとともに前記化学蓄熱材を再生させる際に水蒸気が通過する孔部と、
前記チャンバ内と連通し、前記蓄熱材収容部内の前記反応生成物が加熱再生される際に、前記反応生成物から脱離した水蒸気が凝縮されて溜まる水収容部とを備える。
この場合、必要に応じて蓄熱材収容部に反応媒体(水)を出入させ得る化学蓄熱装置を、比較的簡単な構造にでき、化学蓄熱装置の製造コスト低減を図ることができる。
また、本発明の化学蓄熱装置は、以下に示す構成要素を備えるのが好ましい。即ち、
・前記伝熱部を昇温させる場合、前記水収容部から前記孔部を介して前記水蒸気を前記蓄熱材収容部に対して供給し、前記化学蓄熱材を前記反応媒体となる前記水蒸気と反応させて発熱させることにより、前記伝熱部を通過する前記熱交換流体を昇温させる。
この場合、化学蓄熱材と伝熱部との熱交換を効率良く行うことができる化学蓄熱装置を、比較的簡単な構造にでき、化学蓄熱装置の製造コスト低減を図ることができる。
また、本発明の化学蓄熱装置は、以下に示す構成要素を備えるのが好ましい。即ち、
・前記伝熱部は、互いに離間しつつ平行な状態で複数設けられ、前記蓄熱材収容部を貫通している。
この場合、伝熱部を複数設けることで、蓄熱材収容部に収容されている化学蓄熱材および/または反応生成物と伝熱部とを効率良く熱交換させ得る。また、伝熱部を互いに平行になるように設けることで、化学蓄熱材と伝熱部との熱交換をさらに効率良く行うことができる。つまり、複数の伝熱部が互いに平行に配置されていない場合には、伝熱部間の距離が一定でない。このため、蓄熱材収容部内に、伝熱部同士の隙間を化学蓄熱材が通過し易い部分と通過し難い部分とが生じる。換言すると、この場合には蓄熱材収容部内における化学蓄熱材の移動速度が均一でない。上記のように構成された本発明の化学蓄熱装置によると、複数の伝熱部を互いに平行になるように配置することで、蓄熱材収容部内における化学蓄熱材の移動速度を略均一にできる。このため、化学蓄熱材と伝熱部との熱交換をさらに効率良く行うことができる。なお、ここでいう「平行」とは「略平行」を含む概念である。例えば隣接する伝熱部同士がなす角は、180°±5°程度であれば良い。
また、本発明の化学蓄熱装置は、以下に示す構成要素を備えるのが好ましい。即ち、
・前記蓄熱材収容部は、外周に第1の伝達部を備え、
前記駆動部は、前記第1の伝達部を回転駆動する第2の伝達部を備え、
前記駆動部は前記第2の伝達部により前記第1の伝達部に動力を伝達することによって、前記蓄熱材収容部を回転させる。
この場合、蓄熱材収容部を信頼性高く回転させ得る化学蓄熱装置を、比較的簡単な構造にでき、化学蓄熱装置の製造コスト低減を図ることができる。
また、本発明の化学蓄熱装置は、以下に示す構成要素を備えるのが好ましい。即ち、
・隣接する前記伝熱部同士の距離は、前記化学蓄熱材の体積平均粒子径の5〜10倍である。
この場合、化学蓄熱材が移動し得る空間を伝熱部同士の間に広く確保することできる。このため、伝熱部同士の間における化学蓄熱材の凝集・固化をさらに抑制できる。
また、本発明の化学蓄熱装置は、以下に示す構成要素を備えるのが好ましい。即ち、
・前記蓄熱材収容部は、回転中心軸を水平方向に向けつつ水平方向に延びる円筒状であり、前記駆動部に駆動されて前記回転中心軸を中心として回転することで、前記化学蓄熱材が攪拌される。
この場合、蓄熱材収容部を回転させるだけで、蓄熱材収容部に収容されている化学蓄熱材が上下方向に略均一に攪拌し得る。このため、上述した化学蓄熱材の凝集・固化をさらに抑制できる。なお、ここでいう「水平方向」とは、「略水平方向」を含む概念であり、水平に対して±5°程度傾く場合を含む。
また、本発明の化学蓄熱装置は、以下に示す構成要素を備えるのが好ましい。即ち、
・前記蓄熱材収容部における前記化学蓄熱材の収容深さは、
前記蓄熱材収容部の深さを100%としたときに、40〜60%である。
この場合、化学蓄熱材が移動し得る空間を蓄熱材収容部の内部に確保することができる。このため、蓄熱材収容部の回転に伴って化学蓄熱材を効率良く攪拌することが可能である。
本発明の化学蓄熱装置では、蓄熱材収容部を回転させることで、蓄熱材収容部内に収容されている化学蓄熱材を攪拌する。このため、化学蓄熱材の凝集・固化を抑制でき、化学蓄熱材と反応媒体との接触頻度を向上させ、かつ、化学蓄熱材と反応媒体との反応生成物と熱交換部との接触頻度を向上させることができる。よって、本発明の化学蓄熱装置によると、化学蓄熱材の発熱および加熱再生の反応率および反応速度の低下を抑制することができる。
実施形態1に係り、化学蓄熱装置を蓄熱材収容部の軸方向に切断した様子を模式的に表す断面図である。 実施形態1に係り、化学蓄熱装置を蓄熱材収容部の径方向に切断した様子を模式的に表す断面図である。 化学蓄熱装置における伝熱部のその他の配列形態に係り、化学蓄熱装置を蓄熱材収容部の径方向に切断した様子を模式的に表す断面図である。 実施形態1に係り、化学蓄熱装置を自動車に配設した様子を模式的に表す説明図である。 実施形態1に係り、化学蓄熱装置を自動車に配設した様子を模式的に表す説明図である。 実施形態2に係り、化学蓄熱装置を蓄熱材収容部の径方向に切断した様子を模式的に表す断面図である。 実施形態3に係り、化学蓄熱装置を蓄熱材収容部の径方向に切断した様子を模式的に表す断面図である。 実施形態4に係り、化学蓄熱装置を蓄熱材収容部の径方向に切断した様子を模式的に表す断面図である。
本発明の化学蓄熱装置では、暖房等の発熱時には、蓄熱材収容部に収容されている化学蓄熱材が反応媒体と可逆的に反応する発熱反応が生じる。このとき、化学蓄熱材は反応媒体と反応して反応生成物となる。蓄熱材収容部で生じた熱は熱交換部に伝熱し、車室内や建物の室内等の空気や、車載用のバッテリ等の冷熱源と熱交換可能である。つまりこのとき化学蓄熱材と反応媒体との反応で生じた熱は暖房熱またはそれ以外の加熱用途に使用可能である。蓄熱材収容部で生じた熱は、熱交換部により車室内等に直接伝導させたり、あるいは、熱交換部とさらに熱交換した流体(例えば空調用の空気)をブロワ等の流体輸送器を用いて車室内等に流通させたりすることで、直接的または間接的に冷熱源と熱交換可能である。
本発明の化学蓄熱装置には、蓄熱材収容部に流入する(および/または蓄熱材収容部から流出する)反応媒体の流量を規制するための流量規制部を設けても良い。具体的には、反応媒体を収容する媒体収容部と蓄熱材収容部との間を反応媒体が流通可能な連通路で連絡し、連通路に流量規制部を配設するのが好ましい。流量規制部としては、弁部、可変オリフィス、ポンプ等が挙げられる。弁部としては、オンオフ式の開閉バルブ、流量可変バルブが例示される。媒体収容部の圧力が蓄熱材収容部よりも高圧であるときに流量規制部を開放すると、差圧に基づいて、反応媒体は連通路および流量規制部を介して媒体収容部から蓄熱材収容部に向かい、化学蓄熱材と反応して反応生成物を生成させつつ、反応熱を発生させる。
化学蓄熱材の加熱再生時(蓄熱時)には、蓄熱材収容部の外部に存在する温熱源と、蓄熱材収容部の内部とを熱交換部により熱伝達することで、蓄熱材収容部に収容されている反応生成物を加熱する。本発明の化学蓄熱装置において、温熱源は特に限定しないが、例えば自動車においては、排ガスを用いることができる。この場合には、排ガス流路の一部を熱交換部として用いれば良い。また、さらに排ガス流路の一部を伝熱部として用いることもできる。つまり、排ガス流路の一部を蓄熱材収容部の内部にまで延ばし、この流路を流通する排ガスによって蓄熱材収容部内部の反応生成物を加熱しても良い。このように、化学蓄熱材の加熱再生時には、伝熱部(より具体的には伝熱部を流れる熱交換流体)を経由して、何らかの温熱源に由来する熱を反応生成物に伝達する(反応生成物と熱交換する)ことで、反応生成物を加熱できる。そして反応生成物から反応媒体を分離させ、反応生成物を化学蓄熱材として再生させ、暖房に再度使用することができる。
このとき、反応生成物から反応媒体が分離するため、蓄熱材収容部の内部の圧力は次第に増加する。そして、蓄熱材収容部の内部の圧力が媒体収容部の内部の圧力よりも高圧になっている時に流量規制部を開放すると、差圧に基づいて、蓄熱材収容部の反応媒体は連通路および流量規制部を介して媒体収容部に向かい、媒体収容部に収容される。化学蓄熱材の加熱再生が終了した後には、伝熱部と温熱源との熱的な連絡を遮断するのが良い。
化学蓄熱材および反応媒体は、互いに可逆的に反応して反応熱を発生させる。化学蓄熱材が反応した後の反応生成物が加熱されると、化学蓄熱材と反応媒体とは可逆的に分離される。このような化学蓄熱材としてはアルカリ土類金属(二価の金属)の化合物が挙げられる。アルカリ土類金属としては、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、バリウム(Ba)が挙げられる。化合物としては水酸化物、酸化物、硫酸塩、硝酸塩、塩化物等が挙げられる。
下記の(I)〜(V)に例示する反応式に基づけば、化学蓄熱材Aとしては酸化カルシウム(CaO)、硫酸カルシウム(CaSO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)が挙げられる。反応媒体としては、価格、処理し易さ等を考慮すると、液相状、気相状または気液共存状態の水が挙げられる。以下、これらの水を含めて水と称する。反応生成物としては、水酸化カルシウム(Ca(OH))、硫酸カルシウム1/2水和物(CaSO・1/2HO)、硫酸カルシウム2水和物(CaSO・2HO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化バリウム(Ba(OH))が例示される。
(I)CaO+HO←→Ca(OH)
(II)CaSO+1/2HO←→CaSO・1/2H
(III)CaSO+2HO←→CaSO・2H
(IV)MgO+HO←→Mg(OH)
(V)BaO+HO←→Ba(OH)
上記した反応式として示すように、酸化カルシウム(CaO)、硫酸カルシウム(CaSO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)は、水(HO)と可逆的に反応して熱を発生させる。反応生成物である水酸化カルシウム(Ca(OH))、硫酸カルシウム1/2水和物(CaSO・1/2HO)、硫酸カルシウム2水和物(CaSO・2HO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化バリウム(Ba(OH))が、再生処理として加熱されると、反応生成物から水(HO)を分離させつつ、元の出発材料である酸化カルシウム(CaO)、硫酸カルシウム(CaSO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)が可逆的に再生される。
(実施形態1)
以下、具体例を挙げて本発明の化学蓄熱装置1を説明する。図1、2に示すように、本発明の化学蓄熱装置1における6方向を、便宜的に、上、下、左、右、前、後と呼ぶ。なお、後述する鉛直方向とは、鉛直線の方向(重力の方向、水平面と垂直をなす方向)であり、水平方向とは地球の重力と直角に交わる方向である。実施形態において、鉛直方向とは各図中の上下方向を指し、水平方向とは前後左右方向をとおる平面上にある直線の方向を指す。なお、後述する実施形態2以降における上、下、左、右、前、後もまた、図1、2に示す6方向と同じ方向である。
(化学蓄熱装置)
図1、2は実施形態1の化学蓄熱装置1の概念図である。具体的には、図1は実施形態1の化学蓄熱装置1を水平方向(後述する蓄熱材収容部の回転軸方向)に延びる平面で切断した様子を模式的に表す断面図である。図2は実施形態1の化学蓄熱装置1における蓄熱材収容部および駆動部を鉛直方向(後述する蓄熱材収容部の径方向)に延びる平面で切断した様子を模式的に表す断面図である。
化学蓄熱装置1は、チャンバ2、蓄熱材収容部3、熱交換部4、駆動部5、水収容部38(反応媒体収容部)連通路36および弁部37(流量規制部)を持つ。この化学蓄熱装置1は、例えば、車載用、家庭用、業務用として使用できるが、実施形態1の化学蓄熱装置1は車両に搭載されている。
チャンバ2は真空室(低圧室)であり、蓄熱材収容部3、熱交換部4の一部、駆動部5の一部、および連通路36の一部を収容している。
蓄熱材収容部3は、反応媒体(水)と可逆的に反応して熱を発生させる粒状または粉末状の化学蓄熱材A(酸化カルシウム、CaO)を収容する有底筒状の容器であり、略円筒状をなす。蓄熱材収容部3は有底円筒の周壁を構成する筒部30と、有底円筒の底を構成するリッド部と、筒部30の表面に露出する第1の伝達部32とを持つ。化学蓄熱材Aの粒子サイズは、反応性、反応媒体の通過性、コスト等を考慮して設定される。蓄熱材収容部の材料や大きさは特に問わないが、熱伝導性が良好な材料(例えばアルミニウム合金、銅合金、炭素鋼、合金鋼等の金属、熱伝導性が良いセラミックス)で形成されていることが好ましい。上記した(I)式に基づけば、酸化カルシウム(CaO)は反応媒体たる水(HO)と反応し、反応生成物として水酸化カルシウム(Ca(OH))を形成する。この場合、反応熱が発生し、蓄熱材収容部3が昇温する。
図1に示すように、筒部30の軸方向の両端部は、それぞれ、筒部30の径方向内側に向けて略リング状に突出する第1縁部33を形成している。第1縁部33の内径は、後述するリッド部31の外径よりも小さい。図1、2に示すように、筒部30には複数の孔部34が貫通形成されている。孔部34は、筒部30の周方向、および、筒部30の長手方向(後述する蓄熱材収容部3の回転軸方向)に沿って分散配置されている。孔部34の孔径は、化学蓄熱材Aの体積平均粒子径の7%(化学蓄熱材Aの平均粒径を100%として)程度である。なお、化学蓄熱材Aの体積平均粒子径とは、水(反応媒体)と反応していない状態の化学蓄熱材Aの体積平均粒子径を指す。また、体積平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法による体積平均粒子径を指す。第1の伝達部32は、5つのギヤ(32a、32b、32c、32d、32f)で構成されている。各ギヤは筒部30と同軸的に配置され、筒部30の外周に一体化されている。また、各ギヤは筒部30の軸方向に沿って配列している。各ギヤは略同形状であり、各ギヤの歯列は整列している。つまり各ギヤは同期して回転する。
リッド部31は、略円板状をなし、筒部30の両端部にそれぞれ取り付けられている。リッド部31には後述する伝熱部40の外径と対応する孔径の貫通孔31aが、伝熱部40に対応する個数形成されている。この貫通孔31aには後述する伝熱部40がそれぞれ一つずつ挿通されている。リッド部31の周縁部は、蓄熱材収容部3の軸方向の内側に向けて短筒状に突出する第2縁部35を形成している。つまりリッド部31は、全体として、有底の略単筒状をなす。第2縁部35の外周面35aは筒部30の内周面30aに対面している。第1縁部33はリッド部31よりも軸方向の先側に配置され、リッド部31の板面と係止している。第1縁部33と第2縁部35とによって、筒部30の一部とリッド部31の一部とはオーバーラップしている。なお、筒部30とリッド部31とは第1縁部33と第2縁部35とによって係止しているだけであり、互いに固定されていない。このため筒部30はリッド部31の周方向に沿って相対的に回転可能である。
熱交換部4は、筒状を成す少なくとも一つ(実施形態1では、直管状を呈する14本)の伝熱部40と、筒状を成し伝熱部40の両端部で伝熱部40の端部を覆う導入部41および導出部42と、伝熱部40の導入部41から導出部42へ流通させ、伝熱部40の周囲に配設される化学蓄熱材Aとで熱交換を行う熱交換流体とを備える。
伝熱部40は銅製であり、導入部41および導出部42はステンレススチール製である。本発明の化学蓄熱装置1においては伝熱部40および導入部41、導出部42の材料は特に限定しないが、伝熱部40は蓄熱材収容部3の内部に収容されている化学蓄熱材Aと熱交換する必要があるため、熱伝導性に優れる材料(例えばアルミニウム合金、銅合金、炭素鋼、合金鋼等の金属)を用いるのが好ましい。導入部41、導出部42の材料としては、伝熱部40と同材を用いても良いが、熱損失を考慮すると、伝熱部40よりも熱伝導性の低い材料(例えば、ステンレススチール等)を用いるのが好ましい。各伝熱部40は略平行に配置されている。
図1、2に示すように、隣接する伝熱部40同士の距離Wは格子状に均一距離が望ましく、化学蓄熱材の体積平均粒子径の5〜10倍程としている。この距離より近いと化学蓄熱材Aは伝熱部40間に詰まり易く、そこで固まり易くなる。また、距離が遠いと熱交換の効率が低下する。なお、化学蓄熱材Aの詰まり抑制を考慮すると、隣接する伝熱部40同士の距離Wは、化学蓄熱材の体積平均粒子径の3倍以上であるのが好ましく、5倍以上であるのがより好ましい。一方化学蓄熱材Aの加熱効率を考慮すると、隣接する伝熱部40同士の距離Wは、化学蓄熱材の体積平均粒子径の13倍以下であるのが好ましく、10倍以下であるのがより好ましい。これらを勘案すると、隣接する伝熱部40同士の距離Wは、化学蓄熱材の体積平均粒子径の3〜13倍程度であるのが好ましく、5〜10倍程度であるのがより好ましい。
伝熱部40はリッド部31の貫通孔31aに挿通されている。したがって、伝熱部40の大部分は蓄熱材収容部3とともにチャンバ2内に収容されているが、伝熱部40の軸方向の2端部はチャンバ2の内部に露出しさらにチャンバ2の外部にまで延びている。チャンバ2の前壁21および後壁22には、伝熱部40の外径と対応する孔径の貫通孔2aが、伝熱部40に対応する個数形成されている。この貫通孔21aには伝熱部40がそれぞれ一つずつ挿通されている。したがって蓄熱材収容部3は、伝熱部40を介してチャンバ2に固定されている。各伝熱部40の軸方向の端部は、導入部41および導出部42によって覆われている。
導入部41、導出部42は、発熱時(熱利用時、冷却時)には、エンジン90および車両用のヒータコア93に流通するクーラント流路95にバルブ92a〜92cを介して接続され、加熱再生時にはエンジン90から外界に至る排ガス流路91に接続される。なお、車両用のヒータコア93(図4、5に示す)は、車両のダッシュボード背面側に配置される熱交換器である。クーラント流路95は、エンジン90、ヒータコア93およびバッテリ94に接続されている。
具体的には、加熱再生時すなわち蓄熱時において、導入部41、導出部42は、バルブ92a〜92cを介してエンジン90から外界に至る排ガス流路91に接続される(図4)。したがって、導入部41、導出部42には排ガスが流通する。導入部41は排ガス流路の上流側に位置し、導出部41bは排ガス流路下流側に位置する。排ガス流路91を経て導入部41に流入した排ガスは、伝熱部40の端部を経て伝熱部40の内部に流入し、伝熱部40の内部を通ってチャンバ2および蓄熱材収容部3を通過し、導出部42を経て排ガス流路91に戻される。伝熱部40は、蓄熱材収容部3の内部に露出している。したがって蓄熱材収容部3に収容されている化学蓄熱材Aの一部は隣接する伝熱部40同士の間にも入り込む。バルブ92a〜92cとしては、流量規制部(弁部37)と同様のものを用いることができる。バルブ92aにより排ガス流路91と導入部41とを接続し、バルブ92cによりクーラント流路95と導入部41とを遮断するとともに、バルブ92bにより排ガス流路91と導出部42とを接続しかつクーラント流路95と導出部42とを遮断することで、導入部41に排ガスが流通し、化学蓄熱材Aが加熱される。なお、このとき、クーラント流路95内のクーラントは、エンジン90、ヒータコア93およびバッテリ94を流通し、熱交換部4には流入しない。
一方、発熱時において、導入部41、導出部42にはクーラントが流通する。このとき導入部41はクーラント流路95の上流側に位置し、導出部42はクーラント流路95の下流側に位置する。クーラント流路95を経て導入部41に流入したクーラントは、伝熱部40に流入し、チャンバ2および蓄熱材収容部3を通過し、導出部42を経てクーラント流路95bに戻される。このとき、伝熱部40に流通するクーラントと、蓄熱材収容部3の内容物(主として反応生成物、化学蓄熱材Aおよび反応媒体を含む場合もある)と、が熱交換する。つまりこのとき、クーラントが加熱されるとともに反応生成物が冷却される。なお、バルブ92cによりクーラント流路95と導入部41とを接続し、バルブ92aにより排ガス流路91と導入部41とを遮断するとともに、バルブ92bによりクーラント流路95と導出部42とを接続しかつ排ガス流路91と導出部42とを遮断することで、導入部41にクーラントが流通する。このとき熱交換部4に流入し加熱されたクーラントは、ヒータコア93に供給される。したがってこの場合には車室内を暖房できる。なお、バルブ92dにより、クーラント流路95をバッテリ94用のクーラント流路に接続することもできる。したがって、冷間始動時等に、加熱されたクーラントによりバッテリ94を加熱することができる。なお、このとき、排ガス流路91内の排ガスは、車両外部に流出し熱交換部4には流入しない。
図1に示すように、水収容部38には連通路36の一端部が接続されている。チャンバ2の上壁23には、連通路36の外径に対応する孔径の貫通孔2bが形成されている。連通路36の他端は貫通孔2bに挿通されて、チャンバ2の上壁23に固定されている。したがって水収容部38は、連通路36を介してチャンバ2に接続された状態で配置されている。チャンバ2の上壁23に固定されている連通路36は、蓄熱材収容部3の筒部30に対面している。連通路36には弁部37が取り付けられており、連通路36は弁部37により開閉可能である。水収容部38は、水(反応媒体)を予め収容しており、更に、再生時において蓄熱材収容部3に収容されている化学蓄熱材Aの反応生成物から分離された水(反応媒体)を収容する。したがって連通路36は、蓄熱材収容部3と水収容部38とを連通することにより、蓄熱材収容部3と水収容部38との間において水を移動させる。弁部37は連通路36を開閉する。
図1、2に示すように、駆動部5は、第2の伝達部51とモータ52と回転補助部53とで構成されている。図1に示すように、モータ52はチャンバ2の外部に配置されている。モータ52の駆動軸52aはチャンバ2の後壁22に形成されている貫通孔2cを経てチャンバ2の内部に導入されている。第2の伝達部51は、上述した第1の伝達部32のギヤ32a〜32fと噛合するギヤ状をなし、チャンバ2の内部に配置されている。回転補助部53は回転軸53aを中心として回転可能である。実施形態1の化学蓄熱装置1においては、蓄熱材収容部3は第2の伝達部51および回転補助部53の上に載置されている。第2の伝達部51はモータ52により駆動されて回転する。第2の伝達部51が回転すると、第2の伝達部51に噛合する第1の伝達部32(つまりギヤ32a〜32f)が回転し、第1の伝達部32に一体化されている蓄熱材収容部3の筒部30が回転する。したがって、蓄熱材収容部3に収容されている化学蓄熱材が攪拌される。なお、回転補助部53は、重力により、蓄熱材収容部3に圧接している。したがって回転補助部53は、蓄熱材収容部3の回転に従動して回転しつつ、蓄熱材収容部3を支持する。駆動部5による筒部30の回転駆動は、連続的であっても良いし断続的であっても良い。また、駆動部5による筒部30の回転駆動は、加熱再生時と放熱時との両方におこなうのが好ましい。反応媒体と反応して膨張した化学蓄熱材(つまり反応生成物)が伝熱部40間で凝集・固化するのを抑制するためである。実施形態においては、車両のエンジン90またはモータ52が起動している間、蓄熱材収容部3(より詳しくは蓄熱材収容部3の筒部30)は駆動部5に駆動されて回転する。
(化学蓄熱装置の動作)
<発熱時>
本実施形態によれば、水収容部38、蓄熱材収容部3および連通路36の内部は、基本的には減圧雰囲気とされている。よって、水収容部38に収容されている水(反応媒体)の一部または大部分は、蒸発して水蒸気となっている。低温時においても水収容部38には多量の水蒸気が収容されている。
発熱前においては、水収容部38に収容されている水の蒸発が進行しているため、水収容部38の内部圧力が蓄熱材収容部3の内部圧力よりも高い。この状態で、制御装置または手動により弁部37が開放されると、差圧に基づいて、水収容部38の水蒸気(水)は、連通路36および弁部37を介して蓄熱材収容部3に移動し、蓄熱材収容部3の化学蓄熱材Aと反応する。このとき反応熱が生じる。反応熱は上述したように伝熱部40およびクーラント流路95を介して蓄熱材収容部3の外部に取り出され、図5に示すように車両用のヒータコア93を経て暖房熱として車室内に供給される。或いは、冷間始動時には車両用のバッテリ94に供給され、バッテリ94を加熱する。なお、このとき、駆動部5は蓄熱材収容部3の筒部30を回転させているため、蓄熱材収容部3に収容されている化学蓄熱材および反応生成物が攪拌される。よって化学蓄熱材および反応生成物の凝集固化が抑制される。また、蓄熱材収容部3の内容物(化学蓄熱材や反応生成物、水等)が略均一に伝熱部40に接触する。このためこれら内容物と伝熱部40との熱交換効率が向上する。さらに、水と化学蓄熱材とが攪拌されることで略均一に混ざり合い、両者の接触頻度が向上する。したがって、化学蓄熱材全体に水がいき渡るため、化学蓄熱材と水との発熱反応は効率良く行われる。なお、このときバルブ92a〜92cにより、導入部41への排ガスの流通は略停止している。
反応時間が継続し水収容部38に収容されていた水蒸気(水)の大部分が連通路36を介して蓄熱材収容部3に移動すると、水収容部38の内部圧力が次第に低下し、水収容部38の内部圧力と蓄熱材収容部3の内部圧力との差圧が低下するとともに、蓄熱材収容部3の化学蓄熱材の大部分が反応生成物になる。すると、反応熱が低下して暖房能力が低下するため、反応生成物を再生させることが好ましい。
<加熱再生時>
反応生成物を再生させるときには、図4に示すように、バルブ92a〜92cにより、導入部41に排ガスを流入させる。図1に示すように、導入部41に流入した排ガスは、伝熱部40の内部に流通する。伝熱部40は蓄熱材収容部3の内部に延びているため、蓄熱材収容部3に収容されている化学蓄熱材(反応生成物)は伝熱部40を流通する排ガスと熱交換し、加熱される。すると、反応生成物から水(水蒸気)が分離されて、化学蓄熱材が再生する。熱交換部4は蓄熱材収容部3の内部に延びる複数の伝熱部40を持ち、この伝熱部40により蓄熱材収容部3内部の反応生成物を加熱する。したがって熱交換部4により蓄熱材収容部3全体を加熱する場合に比べて効率良く反応生成物を加熱できる。また、駆動部5によって蓄熱材収容部3を回転させて反応生成物を攪拌しつつ加熱することで、反応生成物全体がむら無く加熱され(または加熱むらが非常に少ない状態となり)、効率良く加熱再生される。
また、このとき反応生成物は水蒸気を放出するため、蓄熱材収容部3の内部圧力は次第に高くなり、水収容部38の内部圧力を超える。この状態で弁部37が開放されると、蓄熱材収容部3に溜まっている水蒸気(水)は、差圧に基づいて、連通路36および弁部37を介して水収容部38に移動し、水収容部38で冷却されて凝縮されて液相状の凝縮水となる。このように水収容部38は凝縮器として機能できる。加熱再生された化学蓄熱材を再度水と反応させれば、上記したように反応熱を生成させつつ反応生成物が生成する。したがって発熱→再生の工程を繰り返し行うことができる。
なお、弁部37の構造は特に限定されるものではない。弁部37はオンオフする開閉弁でも良い。この場合、制御装置は弁部37を連続的に開放させても良いし、断続的に開放させても良い。断続的に開放される場合、弁部37の開放時間(オン時間)を調整すれば、水収容部38から蓄熱材収容部3に向かう単位時間あたりの水蒸気の流量を調整できるため、化学蓄熱装置1の暖房能力を調整できる。あるいは、弁部37は、連通路36を流れる単位時間当たりの水蒸気の流量を可変にできる可変弁でも良い。この場合、流量を調整すれば、水収容部38から蓄熱材収容部3に向かう単位時間あたりの水蒸気の流量を調整できるため、化学蓄熱装置1の暖房能力を調整し得る。
このように、実施形態1の化学蓄熱装置1によれば、化学蓄熱材の凝集・固化を抑制しつつ、化学蓄熱材を効率良く加熱再生し得る。また、化学蓄熱材の凝集・固化が抑制され、伝熱部40間に固化した化学蓄熱材の固まりが詰まることもまた抑制される。このため例えば蓄熱材収容部3の化学蓄熱材を交換する場合にも、蓄熱材収容部3への化学蓄熱材の出し入れを容易に行い得る。
ところで、実施形態1の化学蓄熱装置1においては、蓄熱材収容部3は鉛直方向(上下方向)と直交する方向(前後方向、水平方向)に回転軸を向けている。蓄熱材収容部3が鉛直方向と交差する方向に回転軸を向ける場合、化学蓄熱材Aは蓄熱材収容部3の回転に伴って上方に移動し、その後、自重により下方に移動する。したがってこの場合には化学蓄熱材Aを効率良く攪拌できる利点がある。化学蓄熱材Aの攪拌効率をより向上させるためには、蓄熱材収容部3は回転軸を水平方向(つまり鉛直方向と直交する方向)に向けるのが好ましい。なお、蓄熱材収容部3の回転軸と水平線とのなす角(劣角)は、45°以内であれば同様の効果が得られ、20°以内であるのが好ましく、10°以内であるのがより好ましい。蓄熱材収容部3が鉛直方向と交差する方向に回転軸を向ける場合、伝熱部40は、蓄熱材収容部3の回転軸に沿って延びるのが好ましい。このようにすれば、上下に移動した化学蓄熱材Aが伝熱部40間に進入し易く、また、伝熱部40間に存在する化学蓄熱材Aが外部に移動し易い。なお、ここでいう「伝熱部40が蓄熱材収容部3の回転軸に沿って延びる」とは、伝熱部40の中心軸が蓄熱材収容部3の回転軸と平行な場合のみならず、二つの軸線が±10°以内の角度で交差する場合も含む。なお、実施形態1における蓄熱材収容部3は水平方向(つまり鉛直方向と直交する方向)に回転軸を向け、伝熱部40の中心軸は回転軸と平行である。
実施形態1の化学蓄熱装置1のように、蓄熱材収容部3が鉛直方向と交差する方向に回転軸を向け、かつ、伝熱部40が蓄熱材収容部3の回転軸に沿って延びる場合には、伝熱部40は蓄熱材収容部3の径方向断面(つまり蓄熱材収容部3の回転軸と直交する方向の断面)において鉛直方向(図2中上下方向)および/または水平方向(図2中左右方向)にわたって複数配置される。この径方向断面において、最も上側に位置する伝熱部40の最も上側の点をとおり当該断面における水平方向に延びる線Lよりも下側に位置する領域を第2領域Bと呼ぶ。また、この径方向断面における残りの領域であり、最も上側に位置する伝熱部40の最も上側の点をとおり当該断面における水平方向に延びる線Lよりも上側に位置する領域を第1領域Aと呼ぶ。蓄熱材収容部3の回転に伴って化学蓄熱材Aを効率良く攪拌するためには、第2領域Bの上側に位置する第1領域Aを設けるのが好ましい。また、この場合、蓄熱材収容部3の径方向断面において、蓄熱材収容部3全体の高さH(つまり蓄熱材収容部3の鉛直方向の高さ)を100%としたとき、化学蓄熱材の充填高さは、伝熱効率を考慮すると40%以上であるのが好ましい。また、攪拌性を考慮すると60%以下であるのが好ましい。換言すると、蓄熱材収容部3における化学蓄熱材Aの収容深さは、蓄熱材収容部3全体の高さHを100%としたときに40%以上60%以下であるのが好ましい。
なお、図2に示すように、本発明の化学蓄熱装置1において伝熱部40が蓄熱材収容部3の回転軸に沿って延び、かつ、鉛直方向と交差する方向に直線的に整列している場合には、最も上側に位置する複数の伝熱部40の最も上側の点を繋ぐ直線Lを形成できる。実施形態1において、この直線Lは水平方向に延びる。加熱再生時における伝熱部40と化学蓄熱材Aとの熱交換効率を考慮すると、直線Lの角度θには好ましい範囲が存在する。この好ましい範囲は以下の通りである。
図2中2点鎖線で示すように、蓄熱材収容部3が回転すると、化学蓄熱材Aは、蓄熱材収容部3の回転方向(図2においては反時計回り)の先側に移動する。つまり化学蓄熱材Aは、蓄熱材収容部3において、回転方向の先側に多く配置される。したがって化学蓄熱材Aを加熱再生するための伝熱部40もまた、蓄熱材収容部3において、回転方向の先側に多く配置されるのが好ましい。具体的には、図3に示すように、蓄熱材収容部3の径方向断面における直線Lが水平方向から蓄熱材収容部3の回転方向の先側に30°傾くように(図2、3中Lのように)、伝熱部40を配置するのが特に好ましい。なお、この水平線に対する直線Lの傾きθが30°±10°の範囲内であれば、同様の効果が得られる。
実施形態1の化学蓄熱装置1は、車両に単に載置するだけでも良いし、或いは実施形態のように、化学蓄熱材により発熱した熱を、クーラント流路95を通じてヒータコア93等を含む空調装置に伝熱させ、暖房に利用しても良い。またバッテリ94等の加熱に利用しても良い。例えばハイブリッド車において、冬季等、バッテリ94の温度が低い状態で始動する場合(すなわち冷間始動時)にはバッテリ94の充放電性能が充分に発揮されない場合がある。化学蓄熱装置1で生じた熱によってバッテリ94を温めることで、冷間始動時においてもバッテリ94の充放電性能の低下を抑制できる。なお、始動後には、時間の経過に伴いバッテリ94の温度も上昇する。この場合には、熱交換部4からバッテリ94に至る伝熱経路を遮断すれば良い。
実施形態1において、第1の伝達部32(ギヤ32a〜32f)は、筒部30に形成されているが第1の伝達部32の位置はこれに限定されず、例えばリッド部31に形成しても良い。また、実施形態1においてはギヤとギヤとの噛合によって蓄熱材収容部3を回転させたが、他の機構(例えばラックアンドピニオン機構やプーリー機構等)によって蓄熱材収容部3を回転させても良い。更には、摩擦係合によって駆動力を伝達しても良い。なお、実施形態1のようにギヤとギヤとの噛合によって駆動力を伝達する場合やラックアンドピニオン機構、プーリー機構等によって駆動力を伝達する場合には、駆動部5の駆動力を蓄熱材収容部3に信頼性高く伝達できる。これらの場合には、駆動部5の一部である前記第2の伝達部51が、蓄熱材収容部3の一部である第1の伝達部32を押圧することで駆動部5の駆動力を伝達するため、駆動力伝達時のエネルギ損失を低減できるからである。なお、実施形態1の化学蓄熱装置1においては、駆動部5の駆動力を蓄熱材収容部3に信頼性高く伝達できるため、駆動源(モータ52等)の出力を確認するだけで蓄熱材収容部3の回転を確認できる。したがって、蓄熱材収容部3の回転確認用のセンサ等を省略できる利点もある。
実施形態1の化学蓄熱装置1においては、連通路36の一端をチャンバ2に連絡し、筒部30の孔部34を経て水(つまり反応媒体)を蓄熱材収容部3の内部に供給した。このために、水の出入り口となる孔部34を蓄熱材収容部3の筒部30に設けた。しかし本発明の化学蓄熱装置1における蓄熱材収容部3の形状はこれに限定されず、例えば孔部34を持たなくても良い。この場合、水の流通経路となる連通路36が蓄熱材収容部3の内部に延びるようにし、水を連通路36から蓄熱材収容部3の内部に直接流入させるとともに、水を蓄熱材収容部3の内部から連通路36に直接流出させれば良い。なお、この場合には、水と化学蓄熱材Aとの接触頻度を考慮すると、連通路36が蓄熱材収容部3の内部において蓄熱材収容部3の回転軸に沿って延びるようにするのが良い。一方、化学蓄熱材Aの攪拌を効率良く行うためには、連通路36は蓄熱材収容部3の内部に配置しない方が良い。したがって、これらを勘案すると、実施形態1のように、チャンバ2内に供給した水を、筒部30に設けた孔部34を経て蓄熱材収容部3の内部に導入するのが好ましい。この場合、孔部34を蓄熱材収容部3の長手方向全体にわたって配置することで、水と化学蓄熱材Aとの接触頻度を高め、化学蓄熱材Aの発熱効率を向上させることが可能である。
なお、実施形態1の化学蓄熱装置1においては、蓄熱材収容部3(筒部30)に反応媒体すなわち水の出入り口となる孔部34を設け、この孔部34を、例えば、金属製の細かなメッシュ39で覆っている。水(水蒸気)はメッシュ39を通じて孔部34と蓄熱材収容部3の内部とを出入り可能であり、化学蓄熱材Aはメッシュ39により外部への漏れが遮断される。つまりメッシュ39の孔径は、水蒸気が通過でき、かつ、化学蓄熱材Aが通過できない孔径であるのが好ましい。具体的には、化学蓄熱材Aの体積平均粒子径の7%(化学蓄熱材Aの平均粒径を100%として)程度であるのが好ましい。このため化学蓄熱材Aは、蓄熱材収容部3の外部に漏れ出し難い。したがって実施形態1の化学蓄熱装置1は耐久性に優れる。なお、メッシュ39の孔径は化学蓄熱材Aの体積平均粒子径以下(100%未満)であるのが好ましく、0.1〜10%であるのがより好ましい。なお、本実施形態においては孔部34をメッシュ39で覆ったが、孔部34の孔径および化学蓄熱材Aの粒径によってはメッシュ39を設けなくても良い。
実施形態1においては、蓄熱材収容部3は断面略円形の有底筒状をなすが、蓄熱材収容部3の形状はこれに限定されない。例えば蓄熱材収容部3は断面略矩形であっても良い。なお、蓄熱材収容部3が断面円形以外の場合でも、蓄熱材収容部3の回転軸に直交する方向の断面を蓄熱材収容部3の径方向断面と呼ぶ。化学蓄熱材を効率良く攪拌するためには、蓄熱材収容部3は断面略円形であるのが好ましい。蓄熱材収容部3が断面矩形である場合には、蓄熱材収容部3の断面形状は6角形以上の多角形状であるのが好ましい。また、実施形態1においては、蓄熱材収容部3の一部(筒部30)を回転させ、他の一部(リッド部31)は回転させなかったが、場合によっては蓄熱材収容部3全体を回転させても良い。
実施形態1では、化学蓄熱材Aとして酸化カルシウム(CaO)を採用しているが、これに限らず、例えば硫酸カルシウム(CaSO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)を採用しても良い。
実施形態1では、流量規制部として弁部37を設けたが、これにかえて可変オリフィスやポンプを用いても良い。例えば、弁部37として流量可変バルブを用い、暖房時には、水収容部38の水蒸気(水)が、連通路36および弁部37を介して蓄熱材収容部3に移動するようにし、蓄熱材収容部3の化学蓄熱材Aと反応して反応熱を暖房熱として生成させる。このとき弁部37の流路断面積を調整することで、暖房出力を調整できる。更に、再生時には、弁部37の流路断面積を最大値とすることが好ましい。この場合、伝熱部40を流通する排ガスにより加熱され反応生成物から脱離した水蒸気を、蓄熱材収容部3から迅速に水収容部38に戻すことができる。このため反応生成物からの水蒸気脱離が促進され、再生時間の短縮に貢献できる。
また、水収容部38の内部圧力と、蓄熱材収容部3の内部圧力を検知することで、水蒸気の移動方向を把握し、暖房可能であるか否かを判断することも可能である。つまり、水収容部38、蓄熱材収容部3および連通路36の内部は、基本的には減圧雰囲気とされている。よって、水収容部38に収容されている水の一部または大部分は水蒸気である。暖房前においては、水収容部38および蓄熱材収容部3は基本的に同じ温度であると考えられる。この場合、通常の状態では、減圧雰囲気の水収容部38に収容されている水の蒸発が進行しているため、弁部37が閉鎖している状態では、水収容部38の内部圧力は蓄熱材収容部3の内部圧力よりも高い。この状態で弁部37が開放されると、差圧に基づいて、水収容部38の水蒸気(水)は連通路36および弁部37を介して蓄熱材収容部3に移動し、蓄熱材収容部3の化学蓄熱材Aと反応する。
水収容部38の内部圧力が蓄熱材収容部3の内部圧力よりも所定値以上高ければ、弁部37の開放により、水収容部38の水蒸気を蓄熱材収容部3に良好に移動させて化学蓄熱材Aと反応させ、反応熱を暖房熱として発生させることができる。逆に、内部圧力と内部圧力との差圧がなければ、弁部37が開放していたとしても、水収容部38の水蒸気を蓄熱材収容部3に移動させることができず、暖房熱は基本的には発生しない。したがって、水収容部38の内部圧力および蓄熱材収容部3の内部圧力を検知することで、水蒸気の移動方向を把握でき、化学蓄熱装置1が暖房可能な状態であるか否かを判断できる。
また、水収容部38の内部温度は、基本的には、水収容部38において生成される水蒸気量に影響を与え、水収容部38の水蒸気圧として換算することができる。蓄熱材収容部3の内部温度は、蓄熱材収容部3において生成される水蒸気量に影響を与え、基本的には、蓄熱材収容部3の水蒸気圧として換算することができる。つまり、水収容部38および蓄熱材収容部3の内部温度を検知することによっても、水収容部38の内部圧力と蓄熱材収容部3の内部圧力との高低および差圧を推定できる。
(実施形態2)
図6は実施形態2の化学蓄熱装置1の概念図であり、実施形態2の化学蓄熱装置1における蓄熱材収容部3および駆動部5を鉛直方向に延びる平面で切断した様子を模式的に表す断面図である。実施形態2の化学蓄熱装置1は、第1の伝達部32および第2の伝達部51以外は、実質的に、実施形態1の化学蓄熱装置1と同じものである。
図6に示すように、実施形態2の化学蓄熱装置1において、蓄熱材収容部3の筒部30は多数の貫通孔32を持つ網状をなす。第2の伝達部51は表面に多数の突起51aを持つブラシ状をなす。第2の伝達部51の突起51aは、蓄熱材収容部3の貫通孔32に入り込み、貫通孔32の内壁には突起51aが当接する。第2の伝達部51が回転すると、突起51aが貫通孔32の内壁を押圧するため、蓄熱材収容部3が回転する。つまり、蓄熱材収容部3に形成されている貫通孔32は、実施形態2の化学蓄熱装置1における第1の伝達部32として機能する。なお、突起51aは、貫通孔32に入り込んで貫通孔32の内壁と一時的に係止するが、所定角度回転すると貫通孔32の外部に出る。そして、次の貫通孔32に入り込む。この繰り返しにより第2の伝達部51の回転運動は蓄熱材収容部3に伝達される。実施形態2の化学蓄熱装置1によると、突起51aと貫通孔32とが一時的に係止し、突起51aが貫通孔32の周壁を押圧することで第2の伝達部51の回転運動を貫通孔32すなわち第1の伝達部32に伝達しているため、第2の伝達部51の回転運動を第1の伝達部32に信頼性高く伝達でき、蓄熱材収容部3を駆動部5によって信頼性高く回転駆動できる。
貫通孔32は、蓄熱材収容部3の内外を連通しているため、水(水蒸気)の流通経路としても機能する。つまりこの貫通孔32は、第1の伝達部32として機能するとともに、実施形態1の化学蓄熱装置1における孔部34と同様の機能をも持つ。
実施形態2の化学蓄熱装置1によると、蓄熱材収容部3の第1の伝達部32および駆動部5の第2の伝達部51を簡単な形状でありかつ信頼性高く動作するようにできるため、化学蓄熱装置1の製造コスト低減に寄与できる利点がある。
(実施形態3)
図7は実施形態3の化学蓄熱装置1の概念図であり、実施形態3の化学蓄熱装置1における蓄熱材収容部3および駆動部5を鉛直方向に延びる平面で切断した様子を模式的に表す断面図である。実施形態3の化学蓄熱装置1は、第1の伝達部32および第2の伝達部51以外は、実質的に、実施形態1の化学蓄熱装置1と同じものである。
第1の伝達部32は、実施形態1の第1の伝達部32と同様に、蓄熱材収容部3の一部を構成し、筒部30の外周側に一体化されている。第1の伝達部32は、略リング状をなす一対の基部32gと、一対の基部32gの間に固定されている多数のピン32hとを持つ。基部32gは図7の紙面手前側−奥側方向に離間しつつ配置されている。ピン32hは、図7の紙面手前側−奥側方向に軸方向を向け、基部32gの周方向すなわち蓄熱材収容部3の周方向に配列している。
第2の伝達部51は、実施形態1の第2の伝達部51と同様のギヤ状をなし、ピン32hと噛合する。つまり実施形態3の化学蓄熱装置1において、第2の伝達部51と第1の伝達部32とはピンギヤ機構によって回転運動を伝達する。実施形態3の化学蓄熱装置1によると、実施形態1の化学蓄熱装置1と同様に、第2の伝達部51の回転運動を第1の伝達部32に信頼性高く伝達でき、蓄熱材収容部3を信頼性高く回転駆動できる。
(実施形態4)
図8は実施形態4の化学蓄熱装置1の概念図であり、実施形態4の化学蓄熱装置1における蓄熱材収容部3および駆動部5を鉛直方向に延びる平面で切断した様子を模式的に表す断面図である。実施形態4の化学蓄熱装置1は、第1の伝達部32および第2の伝達部51以外は、実質的に、実施形態1の化学蓄熱装置1と同じものである。
第1の伝達部32は、ギヤ状をなし蓄熱材収容部3における筒部30の外周側に一体化されている第1のスプロケットギヤ32iと、第1のスプロケットギヤ32iに噛合するローラーチェーン32jとを持つ。第2の伝達部51はスプロケットギヤ状をなす。第2の伝達部51は、第1の伝達部32のローラーチェーン32jと噛合する。具体的には、ローラーチェーン32は、一対のチェーン部32kと、一対のチェーン部32kの間に固定されている多数のピン32lとを持つ。チェーン部32kは図8の紙面手前側−奥側方向に離間しつつ配置されている。ピン32lは、図8の紙面手前側−奥側方向に軸方向を向け、チェーン部32kの延びる方向に配列している。第2の伝達部51はローラーチェーン32jのピン32lと噛合する。第1のスプロケットギヤ32iもまたローラーチェーン32jのピン32lと噛合する。
第2の伝達部51および第1のスプロケットギヤ32iはそれぞれローラーチェーン32jと噛合する。したがって、第2の伝達部51の回転運動はローラーチェーン32jおよび第1のスプロケットギヤ32iを介して蓄熱材収容部3に伝達される。実施形態4の化学蓄熱装置1によると、実施形態1の化学蓄熱装置1と同様に、第2の伝達部51の回転運動を第1の伝達部32に信頼性高く伝達でき、蓄熱材収容部3を信頼性高く回転駆動できる。また、第1の伝達部32がローラーチェーン32jを含むため、第2の伝達部51および蓄熱材収容部3の配設位置の自由度が高まる。
(その他)
本発明の化学蓄熱装置1は、車両、建築構造物、屋外等における暖房や、化学蓄熱装置1以外の何らかの物品を加熱するために使用できる。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
1 化学蓄熱装置
2 チャンバ
3 蓄熱材収容部
4 熱交換部
5 駆動部
32 第1の伝達部
35 水収容部(反応媒体収容部)
36 連通路
37 弁部(流量規制部)
38 水収容部
40 伝熱部
41 導入部
42 導出部
51 第2の伝達部
52 モータ
53 回転補助部
90 エンジン
91 排ガス流路
92a〜92d バルブ
A 第1領域
B 第2領域
H 蓄熱材収容部全体の高さ
攪拌領域の高さ
L 最も上側に位置する伝熱部の最も上側の点をとおる線
W 隣接する伝熱部同士の距離
θ 水平線に対する直線Lの傾き

Claims (7)

  1. 反応媒体との可逆的な化学反応によって熱と反応生成物とを発生させる化学蓄熱材を収容する蓄熱材収容部と、
    前記蓄熱材収容部を回転駆動させる駆動部と、
    少なくとも一つ前記蓄熱材収容部の内部に延びる伝熱部を有し、前記蓄熱材収容部の内外を熱的に連絡する熱交換部と、を持ち、
    前記反応媒体は水であり、
    前記蓄熱材収容部を真空状態で収容するチャンバと、
    前記蓄熱材収容部に形成され、前記化学蓄熱材と前記反応媒体とを化学反応させ発熱させる際、および、前記反応生成物を加熱して前記反応生成物から前記反応媒体を脱離させるとともに前記化学蓄熱材を再生させる際に水蒸気が通過する孔部と、
    前記チャンバ内と連通し、前記蓄熱材収容部内の前記反応生成物が加熱再生される際に、前記反応生成物から脱離した水蒸気が凝縮されて溜まる水収容部とを備え、
    前記蓄熱材収容部の回転によって前記化学蓄熱材を攪拌し、前記伝熱部を流れる熱交換流体と前記化学蓄熱材との間で熱交換を行い、前記伝熱部を通過する熱交換流体の温度を変化させる化学蓄熱装置。
  2. 前記伝熱部を昇温させる場合、前記水収容部から前記孔部を介して前記水蒸気を前記蓄熱材収容部に対して供給し、前記化学蓄熱材を前記反応媒体となる前記水蒸気と反応させて発熱させることにより、前記伝熱部を通過する前記熱交換流体を昇温させる請求項に記載の化学蓄熱装置。
  3. 前記伝熱部は、互いに離間しつつ平行な状態で複数設けられ、前記蓄熱材収容部を貫通している請求項1又は請求項2に記載の化学蓄熱装置。
  4. 前記蓄熱材収容部は、外周に第1の伝達部を備え、
    前記駆動部は、前記第1の伝達部を回転駆動する第2の伝達部を備え、
    前記駆動部は前記第2の伝達部により前記第1の伝達部に動力を伝達することによって、前記蓄熱材収容部を回転させる請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の化学蓄熱装置。
  5. 隣接する前記伝熱部同士の距離は、前記化学蓄熱材の体積平均粒子径の5〜10倍である請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の化学蓄熱装置。
  6. 前記蓄熱材収容部は、回転軸を水平方向に向けつつ水平方向に延びる円筒状であり、前記駆動部に駆動されて前記回転軸を中心として回転することで、前記化学蓄熱材が攪拌される請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の化学蓄熱装置。
  7. 前記蓄熱材収容部における前記化学蓄熱材の収容深さは、
    前記蓄熱材収容部の深さを100%としたときに、40〜60%である請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の化学蓄熱装置。
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