JP2004003832A - 化学蓄熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】脱水すると蓄熱し、水を供給すると発熱する蓄熱材の化学反応を利用した化学蓄熱装置において、蓄熱材の脱水を短時間で効率よく行うとともに、長期間の蓄熱を可能とする。
【解決手段】蓄熱材9を蓄熱材容器10内に収納し、蓄熱材容器10の内外を連通する排出管18に減圧ポンプ19および開閉弁20を備え、蓄熱材9を加熱し脱水させるときに、開閉弁20を開弁するとともに減圧ポンプ19を作動させて蓄熱材容器10内の水蒸気を排出管18から外部へ排出して蓄熱材容器10内を減圧する。また、減圧ポンプ19を停止し、開閉弁20を閉弁しておけば、長期間の蓄熱が可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】蓄熱材9を蓄熱材容器10内に収納し、蓄熱材容器10の内外を連通する排出管18に減圧ポンプ19および開閉弁20を備え、蓄熱材9を加熱し脱水させるときに、開閉弁20を開弁するとともに減圧ポンプ19を作動させて蓄熱材容器10内の水蒸気を排出管18から外部へ排出して蓄熱材容器10内を減圧する。また、減圧ポンプ19を停止し、開閉弁20を閉弁しておけば、長期間の蓄熱が可能である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱材の化学反応を利用した化学蓄熱装置に関するもので、暖房始動時の即効暖房を行う車両用空調装置、燃料電池凍結防止装置に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来の空調装置、特に車両用の空調装置では、エンジン冷却水を熱源として車室内吹出空気を加熱し、車室内の暖房を行っている。
【0003】
従って、冬期に車両エンジンを始動してからエンジン冷却水が暖まるまで、暖房を効果的に行うことができず、乗員は寒い思いをすることになる。そのため、特に寒冷な地域ではエンジン始動直後における暖房不足を解消することへの要求が強い。
【0004】
そこで、例えば特開昭61−263824号公報には、車両エンジンの排気ガス熱によりゼオライトを加熱して脱水させ、これにより、ゼオライトに蓄熱する。そして、エンジン始動時にはゼオライトに水を供給してゼオライトを発熱させて、室内吹出空気を加熱する車両用蓄熱ヒータが記載されている。また、ゼオライトの加熱時に、ゼオライトから解離した水分を大気またはエンジン吸気系に排出する旨記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者らの検討によると、ゼオライトの加熱時にゼオライトから解離した水分を単に大気へ排出するだけの構成であると、ゼオライト周辺に解離した水分による水蒸気がこもって、ゼオライトの脱水を短時間で効率よく行うことができないことがわかった。
【0006】
また、ゼオライトから解離した水分をエンジン吸気系に排出する構成であると、エンジン吸気負圧によりゼオライト周辺の水蒸気を強制的に吸引できるが、エンジン吸気負圧はスロットルバルブ開度により大きく変動するので、水蒸気の吸引作用が安定しないという問題がある。
【0007】
また、上記公報の従来技術では、エンジンが停止している間に、ゼオライトへの水分の侵入を積極的に防止する機構を備えていないため、ゼオライトが空気中の水分と反応して発熱する。そのため、折角、蓄熱した熱を放出してしまい、長期間の放置後に、ゼオライトから安定した熱量を得られないという問題がある。
【0008】
本発明は上記点に鑑み、脱水すると蓄熱し、水を供給すると発熱する蓄熱材の化学反応を利用した化学蓄熱装置において、蓄熱材の脱水を短時間で効率よく行うことを目的とする。
【0009】
また、本発明は、長期間の放置に対しても蓄熱状態を良好に維持し、長期間の放置後に蓄熱量を安定して取り出すことができる化学蓄熱装置を提供することを他の目的とする。
【0010】
また、本発明は、化学蓄熱装置により暖房始動時の即効暖房性能を発揮できる車両用空調装置を提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明は、化学蓄熱装置により燃料電池の凍結を防止できる燃料電池凍結防止装置を提供することを他の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、脱水すると蓄熱し、水を供給すると発熱する蓄熱材(9)を蓄熱材容器(10)内に収納し、蓄熱材容器(10)の内外を連通する排出経路(18)にポンプ手段(19)を備え、 蓄熱材(9)を加熱し脱水させるときに、ポンプ手段(19)を作動させて蓄熱材容器(10)内の水蒸気を排出経路(18)から外部へ排出して蓄熱材容器(10)内を減圧することを特徴とする。
【0013】
これにより、蓄熱材(9)の脱水時にポンプ手段(19)の作動により蓄熱材容器(10)内の水蒸気のこもりを解消して、容器(10)内の水蒸気分圧を強制的に低い状態に維持できる。そのため、蓄熱材の脱水を短時間で効率よく行うことができる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、請求項1において、排出経路(18)に開閉手段(20)を備え、蓄熱材(9)の脱水時に、ポンプ手段(19)を作動させるとともに、開閉手段(20)を開口状態とし、蓄熱材(9)の脱水が完了すると、ポンプ手段(19)の作動を停止するとともに、開閉手段(20)を閉塞状態とすることを特徴とする。
【0015】
これにより、蓄熱材(9)の脱水完了後に、蓄熱材容器(10)内を密封状態に維持できるので、排出経路(18)から空気中の水分が蓄熱材容器(10)内に侵入することを阻止できる。従って、蓄熱材(9)を長期間放置しても、蓄熱材(9)の蓄熱状態を良好に維持し、長期間の放置後に蓄熱量を安定して取り出すことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、脱水すると蓄熱し、水を供給すると発熱する蓄熱材(9)を蓄熱材容器(10)内に収納し、蓄熱材容器(10)の内外を連通する排出経路(18)に開閉手段(20)を備え、蓄熱材(9)を加熱し脱水させるときに、開閉手段(20)を開口状態として蓄熱材容器(10)内の水蒸気を排出経路(18)から外部へ排出し、蓄熱材(9)の脱水が完了すると、開閉手段(20)を閉塞状態とすることを特徴とする。
【0017】
これにより、蓄熱材(9)の脱水時には蓄熱材容器(10)内の水蒸気を排出経路(18)から外部へ排出しながら蓄熱材(9)の脱水を行うことができる。しかも、蓄熱材(9)の脱水完了後は開閉手段(20)により排出経路(18)を閉塞して排出経路(18)から空気中の水分が蓄熱材容器(10)内に侵入することを阻止できる。従って、蓄熱材(9)を長期間放置しても、蓄熱材(9)の蓄熱状態を良好に維持し、長期間の放置後に蓄熱量を安定して取り出すことができる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つにおいて、蓄熱材(9)に水を供給するための水供給手段(13)を、直径0.2mm以上の水滴を供給するように構成したことを特徴とする。
【0019】
ところで、本発明者の実験検討によると、直径0.2mm未満の微細な水滴、例えば、超音波加湿器による微細な水蒸気であると、蓄熱材(9)に水分を供給しても、蓄熱材(9)の水和物への変換の反応速度が極めて遅い。その結果、蓄熱材(9)が即時に発熱(昇温)せず、実用に供することができないことが分かった。これに反し、請求項4では、水供給手段(13)から直径0.2mm以上の水滴を蓄熱材(9)に供給するので、蓄熱材(9)の無水物から水和物への変換が即時に立ち上がり、即時に発熱を開始する。
【0020】
請求項5に記載の発明のように、請求項1ないし4のいずれか1つにおいて、蓄熱材(9)は水和物で構成できる。
【0021】
請求項6に記載の発明のように、請求項5において、水和物は、具体的には、CaCl2・6H2O、CaBr2・2H2O、LiBr・H2O、およびゼオライトを含むグループから選ばれた少なくとも一つを用いるとよい。
【0022】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の化学蓄熱装置を用いた車両用空調装置であって、車両エンジン(1)から供給される熱媒体により蓄熱材(9)を加熱して蓄熱材(9)に蓄熱し、蓄熱材(9)に蓄熱した熱を用いて車室内吹出空気を加熱することを特徴とする。
【0023】
これにより、車両エンジン始動直後に化学蓄熱装置を用いて車室内暖房を即効的に行うことができる。
【0024】
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の化学蓄熱装置を用いて、燃料電池(34)の作動時には燃料電池(34)から供給される熱媒体により蓄熱材(9)を加熱して蓄熱材(9)に蓄熱し、
燃料電池(34)の停止時に水分の凍結の可能性がある時には、蓄熱材(9)に蓄熱した熱を用いて燃料電池(34)を加熱する燃料電池凍結防止装置を特徴としている。
【0025】
ところで、燃料電池(34)内の電極近傍に存在している水分が凍結すると、反応ガスの拡散を阻害したり、電解質膜の電気伝導率が低下したりして、燃料ガスを供給しても電気化学反応が進行せず、燃料電池(34)を起動できないという問題が生じる。しかし、請求項8では燃料電池(34)停止時に水分の凍結の可能性がある時は蓄熱材(9)に蓄熱した熱を用いて燃料電池(34)を加熱するので燃料電池(34)内の水分が凍結することを防止できる。
【0026】
請求項9に記載の発明では、請求項8において、化学蓄熱装置と燃料電池(34)を共通のケース(33)内に配置し、蓄熱材(9)に蓄熱した熱を用いてケース(33)内を加熱することを特徴としている。
【0027】
これにより、燃料電池(34)停止時に水分の凍結の可能性がある時は蓄熱材(9)に蓄熱した熱を用いてケース(33)内を加熱するのでケース(33)内の燃料電池(34)や化学蓄熱装置の蓄熱材(9)に供給する水分が凍結することを防止できる。
【0028】
請求項10記載の発明では、請求項9において、ケース(33)内の温度を検出する温度検出手段(52)を備え、温度検出手段(52)が所定温度以下を検出すると、蓄熱材(9)に水を供給することを特徴としている。
【0029】
これにより、ケース(33)内の温度を検出する温度検出手段(52)が所定温度以下を検出すると蓄熱材(9)に水を供給してケース(33)内を加熱することができる。
【0030】
請求項11記載の発明では、請求項8ないし10のいずれか1つにおいて、燃料電池(34)の発電により発生した水を蓄熱材(9)に供給することを特徴としている。
【0031】
これにより、蓄熱材(9)供給用の水を外部から準備しなくても燃料電池(34)の発電により発生した水を蓄熱材(9)に供給し発熱させればよい。
【0032】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
第1実施形態は本発明による化学蓄熱装置を車両用空調装置に適用したものであって、図1は第1実施形態による車両用空調装置の概要を示す模式的配置図である。
【0034】
図1において、車両エンジン1には、車両エンジン1により回転駆動される水ポンプ2が備えられ、この水ポンプ2によりエンジン冷却水が車両用空調装置の暖房用ヒータコア3、後述の化学蓄熱装置8、図示しないラジエータ(冷却水放熱器)等に循環するようになっている。エンジン冷却水は暖房用ヒータコア3および化学蓄熱装置8にて放熱する暖房用熱媒体としての役割を果たす。
【0035】
ヒータコア3は、周知のように車両用空調装置の通風路を構成するケース4内に配置される。このケース4、およびケース4内に空気を送風する送風機5等を包含する空調室内ユニットは車室内の計器盤(インストルメントパネル)の内側等に配置される。そして、送風機5の送風空気がケース4内に送り込まれ、ヒータコア3により加熱された温風が車室内の乗員足元部等に吹き出すようになっている。送風機5は電動モータにより回転駆動される電動式のもである。
【0036】
また、ヒータコア3の冷却水出入口には流路切替弁6、7を接続し、この流路切替弁6、7の流路切替作用によって次の第1流れ状態と第2流れ状態とを切り替え可能にしてある。ここで、第1流れ状態とは、車両エンジン1により加熱されたエンジン冷却水がヒータコア3および後述の化学蓄熱装置8の両方に循環する状態である。また、第2流れ状態とは、車両エンジン1とヒータコア3との間の流路を遮断して化学蓄熱装置8により加熱されたエンジン冷却水のみがヒータコア3に循環する状態である。なお、流路切替弁6、7は電磁弁等の電気的に制御される弁手段により構成される。
【0037】
一方、化学蓄熱装置8は蓄熱材9を封入した蓄熱材容器10を備えている。ここで、蓄熱材9は水和物、例えば、CaCl2・6H2Oからなる。蓄熱材容器10の内部には、蓄熱材9とエンジン冷却水との間で熱交換を行う熱交換器11が配置されている。この熱交換器11の冷却水出入口は蓄熱材容器10の外部に取り出されて、上記の流路切替弁6、7に接続される。
【0038】
熱交換器11と一方の流路切替弁6との間の冷却水流路には電動ポンプ12が設置され、熱交換器11で加熱した冷却水をこの電動ポンプ12によりヒータコア3に循環できるようにしている。
【0039】
また、蓄熱材容器10の内部には、蓄熱材9に水を供給して蓄熱材9を発熱させる水供給手段として水噴出ノズル13が配置されている。この水噴出ノズル13は、蓄熱材9に対して水滴状の水を均一にふりかけるためのものである。ここで、水噴出ノズル13の水噴出穴径は、水滴の大きさが直径0.2mm以上となるように設計してある。水噴出ノズル13には、蓄熱材容器10の外部の上方に配置された水タンク14内の水15が重力により水供給管16を介して供給される。この水供給管16には電磁弁等により構成される水開閉弁17が備えてある。
【0040】
また、蓄熱材容器10には、その内部の水蒸気を排出する排出経路を構成する排出管18が接続してあり、この排出管18には蓄熱材容器10内を減圧するポンプ手段として減圧ポンプ19が備えてある。また、排出管18を開閉する開閉手段として排出開閉弁20が排出管18に備えてある。排出開閉弁20は電磁弁等により構成される。
【0041】
図2は第1実施形態における電気制御部であり、空調用制御装置21はマイクロコンピュータとその周辺回路とにより構成されるものであって、空調環境条件を検出するセンサ群22の検出信号、空調操作パネル23の操作部材24の操作信号が入力される。
【0042】
なお、センサ群22の中には、車両エンジン1部の冷却水温度を検出する水温センサ22aが備えられている。また、操作部材24の中には即効暖房スイッチ24aが備えられている。空調用制御装置21は予め設定されたプログラムに従って所定の演算処理を行って、図1に示した電気機器(5〜7、12、17、19、20等)の作動を制御する。
【0043】
次に、上記構成において第1実施形態の作動を説明する。冬期において車両エンジン1を停止して長時間放置すると、車両エンジン1の冷却水温度は外気温度まで低下するので、次回のエンジン始動直後には、エンジン冷却水を熱源として車室内暖房を行うことができない。
【0044】
そこで、エンジン始動直後には、空調操作パネル23の操作部材24の中の即効暖房スイッチ24aを投入すると、空調用制御装置21は、化学蓄熱装置8の水開閉弁17に通電して開弁し、水タンク14内の水15を重力にて水供給管16を通して水噴出ノズル13に送り込み、この水噴出ノズル13から水滴状の水を蓄熱材9に均一にふりかける。
【0045】
ここで、蓄熱材9は、後述するように前回のエンジン作動時に加熱されて脱水されて無水物の蓄熱状態になっているので、給水されると蓄熱材9が無水物の状態から水和物へと変換する。この水和物への変換に伴って蓄熱材9は反応生成熱を発生し、発熱する。なお、CaCl2・6H2Oの発熱時の温度は図3に示すように105℃であるから、蓄熱材9の発熱により熱交換器11内の低温のエンジン冷却水を速やかに加熱できる。
【0046】
ここで、水噴出ノズル13からふりかける水滴の大きさを直径0.2mm以上にするのは次の理由のためである。本発明者の実験検討によると、直径0.2mm未満の微細な水滴、例えば、超音波加湿器による微細な水蒸気であると、蓄熱材9に水分を供給しても、水和物への変換の反応速度が極めて遅い。その結果、蓄熱材9が即時に発熱(昇温)せず、実用に供することができないことが分かった。これに反し、水噴出ノズル13から直径0.2mm以上の水滴を蓄熱材9に供給すると、蓄熱材9の水和物への変換が即時に立ち上がり、即時に発熱を開始する。
【0047】
以上により、蓄熱材9への水供給開始後に、熱交換器11において蓄熱材9ととエンジン冷却水とを熱交換してエンジン冷却水を即時に加熱できる。
【0048】
空調用制御装置21は、蓄熱材9への水供給開始と同時に、流路切替弁6、7を前述の第2流れ状態に設定する。すなわち、車両エンジン1とヒータコア3との間の流路を遮断して化学蓄熱装置8とヒータコア3との間のみでンジン冷却水を循環する状態とする。更に、空調用制御装置21は、これと同時に、電動ポンプ12に通電して作動状態とする。
【0049】
従って、蓄熱材9により加熱された高温のエンジン冷却水を電動ポンプ12によりヒータコア3に循環し、このヒータコア3にて送風機5の送風空気を加熱し、その加熱後の温風を車室内の乗員足元部等に吹き出して、車室内を即効暖房できる。
【0050】
なお、ヒータコア3へのエンジン冷却水の循環を電動ポンプ12により行うから、エンジン停止時(エンジン始動前)に車室内暖房を行うことも可能である。また、流路切替弁6、7により車両エンジン1とヒータコア3との間の流路を遮断するから、蓄熱材9の蓄熱量を熱源として車室内暖房を行う際に、蓄熱材9の蓄熱量が低温状態の車両エンジン1側に奪われることがない。
【0051】
ところで、蓄熱材9の発熱時に蓄熱材9に供給する水の最大量は、蓄熱材9の無水物が100%水和物に変換するまでの化学等量分である。このように水供給の最大量を規定することにより、蓄熱材9の水和物への変換が100%完了し、蓄熱量が100%放出される。
【0052】
従って、蓄熱材9への水供給量が上記最大量に達すると、水開閉弁17を閉弁して蓄熱材9への水供給を停止する。具体的には、蓄熱材9への水供給量は水開閉弁17の開弁後の経過時間で規定できるので、水開閉弁17の開弁後、上記最大量に対応する所定時間が経過すると、水開閉弁17を閉弁すればよい。
【0053】
もちろん、最大量未満の量にて水開閉弁17を閉弁して水の供給を中断すれば、その時点で蓄熱材9の水和物への変換が中断されるので、排出管18の開閉弁20を閉弁状態に維持して排出管18からの水分流入を阻止するようにしておけば、水開閉弁17を再度開弁して蓄熱材9への水供給を再開すれば、まだ残存している無水物分の蓄熱量でもって蓄熱材9を発熱させて蓄熱量を取り出すことができる。
【0054】
次に、車両エンジン1の始動後、時間が経過して車両エンジン1の暖機が促進されるに従って、車両エンジン1部の冷却水温度が上昇していく。そして、水温センサ22aにより検出される車両エンジン1部の冷却水温度が暖房可能な第1所定温度、例えば、40℃程度の温度に上昇すると、空調用制御装置21は、流路切替弁6、7を前述の第1流れ状態に設定する。すなわち、車両エンジン1からヒータコア3と化学蓄熱装置8の両方にエンジン冷却水が循環する状態とする。この第1流れ状態では車両エンジン1の水ポンプ2の作動によってエンジン冷却水がヒータコア3と化学蓄熱装置8の両方に循環する。
【0055】
従って、ヒータコア3には車両エンジン1で加熱された冷却水が循環して車室内の暖房を行うことができる。この場合は、電動ポンプ12の作動が不要であるので、空調用制御装置21は電動ポンプ12への通電を遮断して電動ポンプ12を停止状態とする。
【0056】
一方、上記第1流れ状態ではエンジン冷却水が化学蓄熱装置8の熱交換器11に流れて、蓄熱材9がエンジン冷却水により加熱されるようになる。ここで、蓄熱材9は所定温度以上に加熱されると、脱水を開始して水和物が無水和物に変換する反応を行って、蓄熱を行う。
【0057】
なお、蓄熱材9の脱水(蓄熱)のしやすさは各蓄熱材毎に異なる。CaCl2・6H2Oの場合は、融点が30℃という比較的低温であるから、30℃以上に加熱されると融解し始め、脱水が促進される。そのため、CaCl2・6H2Oは蓄熱のための加熱源の選択範囲が広がり、有利である。また、第1実施形態のように、車両用であれば、エンジン冷却水が比較的低温であるときから蓄熱材9への蓄熱を開始できるという利点がある。
【0058】
そして、水和物から無水和物への変換速度、換言すると、脱水速度は、蓄熱材9自身の加熱温度における水蒸気分圧と蓄熱材容器10内の水蒸気分圧との差に依存する。蓄熱材9自身の水蒸気分圧は加熱温度が高いほど高くなり、また、蓄熱材容器10内の水蒸気分圧は容器10内の圧力が低いほど低下し、これにより、この両水蒸気分圧の差が拡大して脱水速度が上昇し、脱水時間が短くなる。
【0059】
図4は蓄熱材9がCaCl2・6H2Oである場合の脱水率と加熱時間との関係を示す実験結果のグラフであり、蓄熱材容器10内を真空度=20Torrまで減圧した場合の脱水率を示す。ここで、図4縦軸の脱水率は、一般に市場で容易に入手可能な状態での相対重量を100%としたときのものであり、以下の図5〜図7の脱水率も同じ考え方のものである。
【0060】
ゼオライト以外の塩水和物からなる蓄熱材9の場合は、水和物への変換が完全に完了した状態で市場で容易に入手できる。図4縦軸の脱水率は、この水和物状態の重量を100%とし、そして、脱水開始温度以上での加熱後における蓄熱材9の重量と脱水開始時点での水和物状態の蓄熱材9の重量との比率(重量%)で表している。
【0061】
CaCl2・6H2Oの場合は、図4のa部に示す脱水率=50%付近の値において、水和物から無水和物への変換、すなわち、脱水が完了する。蓄熱材9のの加熱温度が高いほど、脱水完了時間を短縮できることを示しており、蓄熱材9の加熱温度=90℃の場合には、蓄熱材9の加熱後、40分程度で脱水が完了する。
【0062】
そこで、第1実施形態においては、車両エンジン1部の冷却水温度が蓄熱材9の脱水開始温度よりも十分高い第2所定温度、例えば、90℃まで上昇すると、空調用制御装置21が排出管18の減圧ポンプ19に通電して減圧ポンプ19を作動させると同時に、排出管18の開閉弁20に通電して開閉弁20を開弁する。
【0063】
これにより、蓄熱材9の脱水により発生する水蒸気を蓄熱材容器10内から排出管18を通して外部へ排出して蓄熱材容器10内を減圧するので、蓄熱材容器10内雰囲気を所定の真空度に維持できる。この結果、蓄熱材容器10内の水蒸気分圧を低い値に維持して、蓄熱材9の脱水(蓄熱)を短時間で効率良く完了できる。
【0064】
図4の実験結果からCaCl2・6H2Oの脱水完了時間を蓄熱材加熱温度に基づいて予め設定できるので、減圧ポンプ19の作動開始後の経過時間が予め設定した脱水完了時間に達すると、蓄熱材9の脱水(蓄熱)が完了したと推定し、減圧ポンプ19の作動を停止し、同時に、排出開閉弁20を閉弁する。
【0065】
この排出開閉弁20の閉弁時には図示しない弾性シール材により排出管18を確実に閉塞できるように排出開閉弁20を構成しているから、蓄熱材容器10を密封状態に維持できる。これにより、外部から排出管18を通して蓄熱材容器10内へ水分が侵入することを阻止できる。なお、水開閉弁17も排出開閉弁20と同様に閉弁時には図示しない弾性シール材により水供給管16を確実に閉塞して、水供給管16から蓄熱材容器10内への水分侵入を阻止する。
【0066】
以上により、蓄熱材9の蓄熱完了後、長時間放置されても、蓄熱材9の無水物→水和物への変換に伴う発熱を防止して、蓄熱材9の無水物状態(蓄熱状態)を良好に維持できる。なお、蓄熱材9が蓄熱状態で長時間放置されると、蓄熱材9の温度自体は外気温まで低下するが、蓄熱材9の蓄熱状態は良好に維持できる。
【0067】
ところで、第1実施形態では、加熱により脱水して水和物から無水物に変換して蓄熱し、逆に、給水により無水物から水和物に変換する化学蓄熱材9として、CaCl2・6H2Oを用いる場合について説明したが、図3に示すように、化学蓄熱材9として、CaBr2・2H2O、LiBr・H2O、あるいは、ゼオライトを使用してもよい。ここで、図3でいうゼオライトの標準品とは、一般に市販されている合成ゼオライト A−4 粒状 8〜12メッシュのものをいう。
【0068】
図5はCaBr2・2H2Oを用いた場合の加熱時間と脱水率の関係を示し、図6はLiBr・H2Oを用いた場合の加熱時間と脱水率の関係を示す。更に、図7はゼオライトを用いた場合の加熱時間と脱水率の関係を示す。図5〜図7の脱水率はいずれも図4と同様に、蓄熱材容器10内を真空度=20Torrまで減圧した場合の測定値を示す。図5〜7のa部は、図4と同様に、蓄熱材が完全に無水物に変換した時の脱水率である。
【0069】
図5、図6の脱水率の測定方法は図4と同じであるが、図7の脱水率の測定方法は異なる。すなわち、上記したゼオライトについては、市場で容易に入手できる標準品が、含水物でない状態、すなわち、無水物の状態にあるので、この無水物の状態の重量を基準(100%)とし、この無水物の状態に水分を添加して水和物とした状態における重量を加熱当初の重量(図7では130%付近)とし、この水和物状態から蓄熱材の加熱を開始する。従って、ゼオライトの脱水が完了すると、図7のa部に示すように脱水率は100%となる。
【0070】
ところで、図4と図5〜図7との対比から分かるように、蓄熱材としてCaBr2・2H2O、LiBr・H2Oおよびゼオライトを用いると、蓄熱材の脱水の早期完了のためには蓄熱材の加熱温度をCaCl2・6H2Oよりも高くする必要がある。
【0071】
従って、車両用の蓄熱材としてCaBr2・2H2O、LiBr・H2Oおよびゼオライトを用いる場合は蓄熱時の加熱源として、エンジン冷却水よりも大幅に高温であるエンジン排気ガスを用いた方がよい。
【0072】
(第2実施形態)
第2実施形態は本発明による化学蓄熱装置を燃料電池凍結防止装置に適用したものであって、図8は第2実施形態の概要を示す断面図である。本実施形態では燃料電池システムを燃料電池を電源として走行する電気自動車(燃料電池車両)に適用している。
【0073】
図8において、外ケース31は断熱性を有する樹脂にて成形されている。外ケース31の内側には、ケース内外の断熱性を確実にするための断熱材32が配置されている。断熱材32には発泡スチロールやグラスウールなどが使用される。さらに、断熱材32の内側には内ケース33が配置されている。内ケース33については後述する。
【0074】
内ケース33内には燃料電池(FCスタック)34と後述する化学蓄熱装置8が配置されている。燃料電池34は、水素と酸素との化学反応を利用して電力を発生し走行用電動モータやバッテリ等の電気機器(図示せず)に電力を供給するものである。
【0075】
燃料電池34は、空気供給経路35と水素供給経路36を備え、電気化学反応に使用する空気(酸素)と水素を内部に取り込む。より詳しく述べると、電気化学反応に使用する水素は、水素供給装置(図示せず)から水素供給経路36を通って燃料電池34内に供給される。電気化学反応に使用する空気(酸素)は、空気供給経路35において内ケース33内に配置されている電動式エアポンプ37で大気中より吸引され、空気供給経路35を通って燃料電池34内に供給される。そして、燃料電池34内において、供給された水素と酸素の電気化学反応が起こり電気エネルギが発生する。
【0076】
また、燃料電池34は空気排出経路38と水素排出経路39を備え、水素排出経路39からは未反応水素を含むガスを排出し、空気排出経路38からは未反応空気(酸素)を含むガスと電気化学反応で発生した水を排出する。
【0077】
空気排出経路38には凝縮用熱交換器40が配置され、さらに、凝縮用熱交換器40の下方部位には凝縮水タンク41が配置されている。凝縮用熱交換器40は内ケース33外へ通じている外気導入排出経路40a(一部のみ図示)を備え、低温外気を凝縮用熱交換器40に導入し、排出ガスを露点温度以下に冷却して排出ガス中の水分を凝縮させている。凝縮した水分は自重により凝縮水タンク41に落下して溜められる。
【0078】
ところで、燃料電池34の作動時には電気エネルギと共に熱が発生する。効率よく発電させるには、車両用エンジンと同様に冷却水にて冷却して燃料電池34を適切な温度(本実施形態では約80℃)に維持する必要がある。
【0079】
本実施形態では、燃料電池34とケース外にある放熱用ラジエータ44とで冷却水を循環する冷却水循環経路42を設けている。そして、内ケース33内の冷却水循環経路42のうち燃料電池34への冷却水入口側部位に配置されている電動式水ポンプ45により冷却水を循環している。放熱用ラジエータ44は、高温になった冷却水を冷やすためのもので周知の車両用エンジン冷却水を冷却するラジエータと同様の構造を持っている。
【0080】
一方、化学蓄熱装置8は第1実施形態と同様に蓄熱材9を封入した蓄熱材容器10を備えている。ここで、蓄熱材9は水和物、例えば、CaCl2・6H2Oからなる。
【0081】
蓄熱材容器10は、内ケース33に内接しており、蓄熱材容器10の内部には蓄熱材9と冷却水との間で熱交換を行う熱交換器11が配置されている。蓄熱材容器10は、蓄熱材9で発熱した熱を内ケース33に伝導するためアルミなどの熱伝導率が高く、水分などに対する腐食性の強い材質でできている。そして、蓄熱材容器10には蓄熱材9の発熱状態を検出するための蓄熱材温度センサ51が備えられている。
【0082】
内ケース33は、一部が蓄熱材9に接しており発熱した蓄熱材9からの熱をケース内部全体に行き渡らせるために、アルミなどの熱伝導率の高い材質でできている。そして、内ケース33の内部空間には、内ケース33内の温度を検出するケース内温度センサ52が備えられている。
【0083】
熱交換器11は、図8では図示の簡略化のために単純な管路で図示しているが実際は効率よく熱交換を行うために蓄熱材9と冷却水通路を交互に配置し熱交換可能な面積を増やすように構成されている。
【0084】
また、熱交換器11は冷却水入口側経路46と冷却水出口側経路48を備え、熱交換器11の冷却水入口側経路46は蓄熱材容器10の外部に取り出されて、内ケース33内の冷却水循環経路42において燃料電池34からの冷却水排出側部位に接続される。これにより、冷却水循環経路42から熱交換器11へ冷却水が分岐する経路が形成される。この冷却水入口側経路46の接続位置には熱交換器11への冷却水の流量を調整する冷却水流量調節弁47が配置される。
【0085】
冷却水流量調節弁47は、サーボモータ等のアクチュエータによって弁開度を調節制御することで冷却水循環経路42と冷却水入口側経路46を流れる冷却水の比率を変化させるものである。
【0086】
そして、熱交換器11の冷却水出口側経路48は蓄熱材容器10の外部に取り出されて、内ケース33内の冷却水循環経路42において電動式水ポンプ45より上流側部位に接続される。これにより、熱交換器11から冷却水循環経路42へ冷却水が合流する経路が形成される。
【0087】
また、蓄熱材容器10の内部には、第1実施形態と同一構成の水噴出ノズル13が配置されている。水噴出ノズル13には、前述した凝縮水タンク41の水が水供給管16を介して供給される。この水供給管16には水噴出ノズル13に水を供給するための電動式水供給ポンプ49と電磁弁等により構成される水開閉弁17が備えてある。
【0088】
また、蓄熱材容器10には、第1実施形態と同一構成の排出管18が接続してあり、この排出管18は内ケース33内で空気供給経路35において電動式エアポンプ37より上流側部位に接続する。また、排出管18には排出管18を開閉する開閉手段として排出開閉弁20が備えてある。排出開閉弁20は電磁弁等により構成される。
【0089】
また、空気供給経路35において空気供給経路35と排出管18の接続位置と電動式エアポンプ37の中間部位にはエアフィルタ50が配置されており、排出管18からの空気中と燃料電池34への供給空気中の異物を除去し燃料電池34への異物の混入を防止している。
【0090】
図9は本実施形態における電気制御部であり、燃料電池用制御装置25はマイクロコンピュータとその周辺回路とにより構成されるものであって、燃料電池環境条件を検出するセンサ群26の検出信号が入力される。
【0091】
なお、センサ群26の中には、蓄熱材9の発熱状態を検出するための蓄熱材温度センサ51と、内ケース33内の温度を検出するケース内温度センサ52と、冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ56とが備えられている。燃料電池用制御装置25は予め設定されたプログラムに従って所定の演算処理を行って、図8に示した電気機器(17、20、37、45、47、49等)の作動を制御する。
【0092】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。ここでは、冬季などの燃料電池34が凍結する可能性がある場合を想定している。
【0093】
まず、燃料電池作動(発電)開始時には、燃料電池用制御装置25は予め設定されたプログラムに従って電動式エアポンプ37を作動する。その他の電気機器である水開閉弁17と排出開閉弁20は閉弁し、電動式水ポンプ45と電動式水供給ポンプ49は作動を停止している。燃料電池34は、作動開始後、電気化学反応の熱により温度が上昇していく。
【0094】
次に、燃料電池34が発電に最適な所定温度に上昇したと冷却水温度センサ56により推定した時には、燃料電池用制御装置25は作動(発電)開始時に停止していた電動式水ポンプ45を作動し、冷却水流量調節弁47の弁開度を調節する。これにより、冷却水を燃料電池34と放熱用ラジエータ44との間で循環させる。そして、電動式水ポンプ45の回転数と冷却水流量調節弁47の弁開度により、冷却水の放熱用ラジエータ44での放熱量を調節して燃料電池34の温度を制御する。
【0095】
次に、冷却水温度センサ56が蓄熱材9に蓄熱可能な冷却水温度を検出した時には、燃料電池用制御装置25は冷却水流量調節弁47の弁開度を調節し、冷却水を熱交換器11へ分岐する。これにより、放熱用ラジエータ44で放熱する前の高温な冷却水により熱交換器11で蓄熱材9を加熱することができる。
【0096】
この時、排出開閉弁20が開弁しているので空気供給経路35の燃料電池34に供給される空気(酸素)の流れにより排出経路18に通じている蓄熱材容器10内を減圧する。これにより、蓄熱材9の脱水で発生する水蒸気を蓄熱材容器10内から排出管18を通して空気供給経路35へ排出するので、蓄熱材9の脱水(蓄熱)を短時間で効率良く完了できる。
【0097】
第1実施形態と同様に、図4の実験結果からCaCl2・6H2Oの脱水完了時間を蓄熱材加熱温度に基づいて予め設定できるので、排出開閉弁20の開弁後の経過時間が予め設定した脱水完了時間に達すると、蓄熱材9の脱水(蓄熱)が完了したと推定し、排出開閉弁20を閉弁する。
【0098】
また、脱水で発生する水蒸気を含む湿った空気が排出管18を通り空気供給経路35から燃料電池34へ供給されるので燃料電池34内の電解質膜が湿った状態になる。そのため、電解質膜の乾燥により内部抵抗が大きくなり燃料電池34内における電力損失が増大することを防ぐことができる。
【0099】
次に、燃料電池停止後ケース内温度センサ52が水分凍結温度(0℃)より高い温度を検出している場合は、燃料電池用制御装置25は水開閉弁17と排出開閉弁20を閉弁する。その他の電気機器である電動式エアポンプ37、電動式水ポンプ45および電動式水供給ポンプ49は作動を停止している。
【0100】
より詳しく述べると、排出開閉弁20の閉弁時には排出管18を閉塞しているので、蓄熱材容器10を密封状態に維持できる。これにより、外部から排出管18を通して蓄熱材容器10内へ水分が侵入することを阻止できる。また、水開閉弁17も閉弁時には水供給管16を閉塞しているので、水供給管16から蓄熱材容器10内への水分侵入を阻止する。
【0101】
以上により、蓄熱材9の蓄熱完了後、長時間放置されても、蓄熱材9の無水物→水和物への変換に伴う発熱を防止して、蓄熱材9の無水物状態(蓄熱状態)を良好に維持できる。
【0102】
次に、燃料電池停止後ケース内温度センサ52が水分凍結温度(0℃)以下を検出した場合は、燃料電池用制御装置25は水開閉弁17を開弁し、電動式水供給ポンプ49を作動する。その他の電気機器である排出開閉弁20は閉弁し、電動式エアポンプ37および電動式水ポンプ45は作動を停止している。
【0103】
より詳しく述べると、水開閉弁17を開弁すると同時に電動式水供給ポンプ49を作動させ、凝縮水タンク41に蓄えられている水を水噴出ノズル13から蓄熱材9に給水する。給水により蓄熱材9が発熱すると内ケース33が熱を伝導し内ケース33内を加熱する。この時燃料電池用制御装置25は、蓄熱材温度センサ51による蓄熱材9の温度とケース内温度センサ52によるケース内温度により、電動式水供給ポンプ49の作動を制御して蓄熱材9への給水量、つまり蓄熱材9の発熱量を制御する。そして、内ケース33内が水分凍結温度を上回るように水を少量ずつ供給することにより、蓄熱材9に蓄えた熱を長期間使用し燃料電池34の凍結を防止することができる。
【0104】
ところで、第1実施形態と同様に蓄熱材9の発熱時に蓄熱材9に供給する水の最大量は蓄熱材9の無水物が100%水和物に変換するまでの化学等量分である。従って、蓄熱材9への水供給量が上記最大量に達すると、水開閉弁17を閉弁して蓄熱材9への水供給を停止する。具体的には、蓄熱材9への水供給量は水開閉弁17の開弁後の経過時間で規定できるので、水開閉弁17の開弁後、上記最大量に対応する所定時間が経過すると、水開閉弁17を閉弁すればよい。
【0105】
(第3実施形態)
第2実施形態では排出管18を空気供給経路35に接続したが、第3実施形態では図10に示すように、空気排出経路38から分岐し空気供給経路35へ接続する空気分岐経路53に接続している。
【0106】
詳しく説明すると、空気排出経路38から分岐し空気供給経路35へ接続する空気分岐経路53を設け、空気排出経路38と空気分岐経路53の分岐地点に空気流量調整弁54を配置している。空気流量調整弁54は、サーボモータ等のアクチュエータによって弁開度を調節制御することで空気排出経路38と空気分岐経路53を流れる排出ガスの比率を変化させるもので、図9で述べた燃料電池用制御装置25により作動を制御されている。さらに、空気分岐経路53において凝縮用熱交換器40を配置し、凝縮用熱交換器40より空気供給経路35側部位にベンチュリ管などの絞り手段55を配置し、その通路面積が絞られている部分に排出管18を接続している。
【0107】
この構成によっても、第2実施形態と同様の効果を発揮する燃料電池凍結防止装置を構成することができる。
【0108】
(他の実施形態)
なお、上記の第1実施形態では、車両用空調装置の即効暖房機能のために本発明を適用する例について説明し、第2、第3実施形態では燃料電池の凍結防止のために本発明を適用する例について説明したが、これに限らず、車両用の即効暖房シート、エンジンオイル加温器等に本発明を適用してもよい。更に、家庭用等の即効暖房装置等に本発明を適用してもよい。
【0109】
なお、上記の第2実施形態では、燃料電池停止後ケース内温度センサ52が水分凍結温度を検出した場合に蓄熱材9の熱を内ケース33により熱伝導し、内ケース33内を加熱する例を説明したが、内ケース33を廃止し蓄熱材9により加熱した冷却水で燃料電池34の凍結を防止してもよい。
【0110】
詳しく説明すると、燃料電池停止後ケース内温度センサ52が水分凍結温度を検出すると、燃料電池用制御装置25は電動式水ポンプ45と電動式水供給ポンプ49を作動し、水開閉弁17を開弁し、冷却水流量調節弁47の弁開度を調節する。その他の電気機器である排出開閉弁20は閉弁し、電動式エアポンプ37は作動を停止している。
【0111】
冷却水流量調節弁47の弁開度により、冷却水入口側経路46にのみ冷却水を流し、冷却水を燃料電池34と熱交換器11で循環させることができる。そして、水開閉弁17を開弁すると共に電動式水供給ポンプ49を作動して蓄熱材9へ給水して発熱させ、発熱により熱交換器11で冷却水を加熱し、その冷却水で燃料電池34の凍結を防止してもよい。
【0112】
なお、上記の第2実施形態では、ケース内温度センサ52が水分凍結温度(0℃)を検出した場合に蓄熱材9に給水する例を説明した。しかし、内ケース33内の温度分布によりケース内温度センサ52が水分凍結温度を検出していなくても内ケース33内の一部が水分凍結温度以下となる可能性を考慮して、水分凍結温度(0℃)より数℃高めを検出すると蓄熱材9に給水する設定にしてもよい。
【0113】
なお、上記の第2実施形態では、凝縮用熱交換器40での空気排出経路38中の排出ガスの冷却に低温外気を用いた例を説明したが、排出ガスからは吸熱して冷却、除湿し、内ケース33内空気または外気に放熱するペルチェ素子を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による化学蓄熱装置を用いた車両用空調装置の模式的配置図である。
【図2】図1の車両用空調装置の電気制御ブロック図である。
【図3】本発明で用いる化学蓄熱材の特性を示す図表である。
【図4】化学蓄熱材(CaCl2・6H2O)の加熱時間と脱水率の関係を示すグラフである。
【図5】別の化学蓄熱材(CaBr2・2H2O)の加熱時間と脱水率の関係を示すグラフである。
【図6】別の化学蓄熱材(LiBr・H2O)の加熱時間と脱水率の関係を示すグラフである。
【図7】別の化学蓄熱材(ゼオライト)の加熱時間と脱水率の関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第2実施形態による化学蓄熱装置を用いた燃料電池凍結防止装置の断面図である。
【図9】図8の燃料電池凍結防止装置の電気制御ブロック図である。
【図10】本発明の第3実施形態による化学蓄熱装置を用いた燃料電池凍結防止装置の断面図である。
【符号の説明】
1…車両エンジン、3…暖房用ヒータコア、6、7…流路切替弁、
9…蓄熱材、10…蓄熱材容器、11…熱交換器、13…水噴霧ノズル、
14…水タンク、17…水開閉弁、18…排出管、19…減圧ポンプ、
20…排出開閉弁、34…燃料電池、33…内ケース、35…空気供給経路、
52…ケース内温度センサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱材の化学反応を利用した化学蓄熱装置に関するもので、暖房始動時の即効暖房を行う車両用空調装置、燃料電池凍結防止装置に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来の空調装置、特に車両用の空調装置では、エンジン冷却水を熱源として車室内吹出空気を加熱し、車室内の暖房を行っている。
【0003】
従って、冬期に車両エンジンを始動してからエンジン冷却水が暖まるまで、暖房を効果的に行うことができず、乗員は寒い思いをすることになる。そのため、特に寒冷な地域ではエンジン始動直後における暖房不足を解消することへの要求が強い。
【0004】
そこで、例えば特開昭61−263824号公報には、車両エンジンの排気ガス熱によりゼオライトを加熱して脱水させ、これにより、ゼオライトに蓄熱する。そして、エンジン始動時にはゼオライトに水を供給してゼオライトを発熱させて、室内吹出空気を加熱する車両用蓄熱ヒータが記載されている。また、ゼオライトの加熱時に、ゼオライトから解離した水分を大気またはエンジン吸気系に排出する旨記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者らの検討によると、ゼオライトの加熱時にゼオライトから解離した水分を単に大気へ排出するだけの構成であると、ゼオライト周辺に解離した水分による水蒸気がこもって、ゼオライトの脱水を短時間で効率よく行うことができないことがわかった。
【0006】
また、ゼオライトから解離した水分をエンジン吸気系に排出する構成であると、エンジン吸気負圧によりゼオライト周辺の水蒸気を強制的に吸引できるが、エンジン吸気負圧はスロットルバルブ開度により大きく変動するので、水蒸気の吸引作用が安定しないという問題がある。
【0007】
また、上記公報の従来技術では、エンジンが停止している間に、ゼオライトへの水分の侵入を積極的に防止する機構を備えていないため、ゼオライトが空気中の水分と反応して発熱する。そのため、折角、蓄熱した熱を放出してしまい、長期間の放置後に、ゼオライトから安定した熱量を得られないという問題がある。
【0008】
本発明は上記点に鑑み、脱水すると蓄熱し、水を供給すると発熱する蓄熱材の化学反応を利用した化学蓄熱装置において、蓄熱材の脱水を短時間で効率よく行うことを目的とする。
【0009】
また、本発明は、長期間の放置に対しても蓄熱状態を良好に維持し、長期間の放置後に蓄熱量を安定して取り出すことができる化学蓄熱装置を提供することを他の目的とする。
【0010】
また、本発明は、化学蓄熱装置により暖房始動時の即効暖房性能を発揮できる車両用空調装置を提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明は、化学蓄熱装置により燃料電池の凍結を防止できる燃料電池凍結防止装置を提供することを他の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、脱水すると蓄熱し、水を供給すると発熱する蓄熱材(9)を蓄熱材容器(10)内に収納し、蓄熱材容器(10)の内外を連通する排出経路(18)にポンプ手段(19)を備え、 蓄熱材(9)を加熱し脱水させるときに、ポンプ手段(19)を作動させて蓄熱材容器(10)内の水蒸気を排出経路(18)から外部へ排出して蓄熱材容器(10)内を減圧することを特徴とする。
【0013】
これにより、蓄熱材(9)の脱水時にポンプ手段(19)の作動により蓄熱材容器(10)内の水蒸気のこもりを解消して、容器(10)内の水蒸気分圧を強制的に低い状態に維持できる。そのため、蓄熱材の脱水を短時間で効率よく行うことができる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、請求項1において、排出経路(18)に開閉手段(20)を備え、蓄熱材(9)の脱水時に、ポンプ手段(19)を作動させるとともに、開閉手段(20)を開口状態とし、蓄熱材(9)の脱水が完了すると、ポンプ手段(19)の作動を停止するとともに、開閉手段(20)を閉塞状態とすることを特徴とする。
【0015】
これにより、蓄熱材(9)の脱水完了後に、蓄熱材容器(10)内を密封状態に維持できるので、排出経路(18)から空気中の水分が蓄熱材容器(10)内に侵入することを阻止できる。従って、蓄熱材(9)を長期間放置しても、蓄熱材(9)の蓄熱状態を良好に維持し、長期間の放置後に蓄熱量を安定して取り出すことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、脱水すると蓄熱し、水を供給すると発熱する蓄熱材(9)を蓄熱材容器(10)内に収納し、蓄熱材容器(10)の内外を連通する排出経路(18)に開閉手段(20)を備え、蓄熱材(9)を加熱し脱水させるときに、開閉手段(20)を開口状態として蓄熱材容器(10)内の水蒸気を排出経路(18)から外部へ排出し、蓄熱材(9)の脱水が完了すると、開閉手段(20)を閉塞状態とすることを特徴とする。
【0017】
これにより、蓄熱材(9)の脱水時には蓄熱材容器(10)内の水蒸気を排出経路(18)から外部へ排出しながら蓄熱材(9)の脱水を行うことができる。しかも、蓄熱材(9)の脱水完了後は開閉手段(20)により排出経路(18)を閉塞して排出経路(18)から空気中の水分が蓄熱材容器(10)内に侵入することを阻止できる。従って、蓄熱材(9)を長期間放置しても、蓄熱材(9)の蓄熱状態を良好に維持し、長期間の放置後に蓄熱量を安定して取り出すことができる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つにおいて、蓄熱材(9)に水を供給するための水供給手段(13)を、直径0.2mm以上の水滴を供給するように構成したことを特徴とする。
【0019】
ところで、本発明者の実験検討によると、直径0.2mm未満の微細な水滴、例えば、超音波加湿器による微細な水蒸気であると、蓄熱材(9)に水分を供給しても、蓄熱材(9)の水和物への変換の反応速度が極めて遅い。その結果、蓄熱材(9)が即時に発熱(昇温)せず、実用に供することができないことが分かった。これに反し、請求項4では、水供給手段(13)から直径0.2mm以上の水滴を蓄熱材(9)に供給するので、蓄熱材(9)の無水物から水和物への変換が即時に立ち上がり、即時に発熱を開始する。
【0020】
請求項5に記載の発明のように、請求項1ないし4のいずれか1つにおいて、蓄熱材(9)は水和物で構成できる。
【0021】
請求項6に記載の発明のように、請求項5において、水和物は、具体的には、CaCl2・6H2O、CaBr2・2H2O、LiBr・H2O、およびゼオライトを含むグループから選ばれた少なくとも一つを用いるとよい。
【0022】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の化学蓄熱装置を用いた車両用空調装置であって、車両エンジン(1)から供給される熱媒体により蓄熱材(9)を加熱して蓄熱材(9)に蓄熱し、蓄熱材(9)に蓄熱した熱を用いて車室内吹出空気を加熱することを特徴とする。
【0023】
これにより、車両エンジン始動直後に化学蓄熱装置を用いて車室内暖房を即効的に行うことができる。
【0024】
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の化学蓄熱装置を用いて、燃料電池(34)の作動時には燃料電池(34)から供給される熱媒体により蓄熱材(9)を加熱して蓄熱材(9)に蓄熱し、
燃料電池(34)の停止時に水分の凍結の可能性がある時には、蓄熱材(9)に蓄熱した熱を用いて燃料電池(34)を加熱する燃料電池凍結防止装置を特徴としている。
【0025】
ところで、燃料電池(34)内の電極近傍に存在している水分が凍結すると、反応ガスの拡散を阻害したり、電解質膜の電気伝導率が低下したりして、燃料ガスを供給しても電気化学反応が進行せず、燃料電池(34)を起動できないという問題が生じる。しかし、請求項8では燃料電池(34)停止時に水分の凍結の可能性がある時は蓄熱材(9)に蓄熱した熱を用いて燃料電池(34)を加熱するので燃料電池(34)内の水分が凍結することを防止できる。
【0026】
請求項9に記載の発明では、請求項8において、化学蓄熱装置と燃料電池(34)を共通のケース(33)内に配置し、蓄熱材(9)に蓄熱した熱を用いてケース(33)内を加熱することを特徴としている。
【0027】
これにより、燃料電池(34)停止時に水分の凍結の可能性がある時は蓄熱材(9)に蓄熱した熱を用いてケース(33)内を加熱するのでケース(33)内の燃料電池(34)や化学蓄熱装置の蓄熱材(9)に供給する水分が凍結することを防止できる。
【0028】
請求項10記載の発明では、請求項9において、ケース(33)内の温度を検出する温度検出手段(52)を備え、温度検出手段(52)が所定温度以下を検出すると、蓄熱材(9)に水を供給することを特徴としている。
【0029】
これにより、ケース(33)内の温度を検出する温度検出手段(52)が所定温度以下を検出すると蓄熱材(9)に水を供給してケース(33)内を加熱することができる。
【0030】
請求項11記載の発明では、請求項8ないし10のいずれか1つにおいて、燃料電池(34)の発電により発生した水を蓄熱材(9)に供給することを特徴としている。
【0031】
これにより、蓄熱材(9)供給用の水を外部から準備しなくても燃料電池(34)の発電により発生した水を蓄熱材(9)に供給し発熱させればよい。
【0032】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
第1実施形態は本発明による化学蓄熱装置を車両用空調装置に適用したものであって、図1は第1実施形態による車両用空調装置の概要を示す模式的配置図である。
【0034】
図1において、車両エンジン1には、車両エンジン1により回転駆動される水ポンプ2が備えられ、この水ポンプ2によりエンジン冷却水が車両用空調装置の暖房用ヒータコア3、後述の化学蓄熱装置8、図示しないラジエータ(冷却水放熱器)等に循環するようになっている。エンジン冷却水は暖房用ヒータコア3および化学蓄熱装置8にて放熱する暖房用熱媒体としての役割を果たす。
【0035】
ヒータコア3は、周知のように車両用空調装置の通風路を構成するケース4内に配置される。このケース4、およびケース4内に空気を送風する送風機5等を包含する空調室内ユニットは車室内の計器盤(インストルメントパネル)の内側等に配置される。そして、送風機5の送風空気がケース4内に送り込まれ、ヒータコア3により加熱された温風が車室内の乗員足元部等に吹き出すようになっている。送風機5は電動モータにより回転駆動される電動式のもである。
【0036】
また、ヒータコア3の冷却水出入口には流路切替弁6、7を接続し、この流路切替弁6、7の流路切替作用によって次の第1流れ状態と第2流れ状態とを切り替え可能にしてある。ここで、第1流れ状態とは、車両エンジン1により加熱されたエンジン冷却水がヒータコア3および後述の化学蓄熱装置8の両方に循環する状態である。また、第2流れ状態とは、車両エンジン1とヒータコア3との間の流路を遮断して化学蓄熱装置8により加熱されたエンジン冷却水のみがヒータコア3に循環する状態である。なお、流路切替弁6、7は電磁弁等の電気的に制御される弁手段により構成される。
【0037】
一方、化学蓄熱装置8は蓄熱材9を封入した蓄熱材容器10を備えている。ここで、蓄熱材9は水和物、例えば、CaCl2・6H2Oからなる。蓄熱材容器10の内部には、蓄熱材9とエンジン冷却水との間で熱交換を行う熱交換器11が配置されている。この熱交換器11の冷却水出入口は蓄熱材容器10の外部に取り出されて、上記の流路切替弁6、7に接続される。
【0038】
熱交換器11と一方の流路切替弁6との間の冷却水流路には電動ポンプ12が設置され、熱交換器11で加熱した冷却水をこの電動ポンプ12によりヒータコア3に循環できるようにしている。
【0039】
また、蓄熱材容器10の内部には、蓄熱材9に水を供給して蓄熱材9を発熱させる水供給手段として水噴出ノズル13が配置されている。この水噴出ノズル13は、蓄熱材9に対して水滴状の水を均一にふりかけるためのものである。ここで、水噴出ノズル13の水噴出穴径は、水滴の大きさが直径0.2mm以上となるように設計してある。水噴出ノズル13には、蓄熱材容器10の外部の上方に配置された水タンク14内の水15が重力により水供給管16を介して供給される。この水供給管16には電磁弁等により構成される水開閉弁17が備えてある。
【0040】
また、蓄熱材容器10には、その内部の水蒸気を排出する排出経路を構成する排出管18が接続してあり、この排出管18には蓄熱材容器10内を減圧するポンプ手段として減圧ポンプ19が備えてある。また、排出管18を開閉する開閉手段として排出開閉弁20が排出管18に備えてある。排出開閉弁20は電磁弁等により構成される。
【0041】
図2は第1実施形態における電気制御部であり、空調用制御装置21はマイクロコンピュータとその周辺回路とにより構成されるものであって、空調環境条件を検出するセンサ群22の検出信号、空調操作パネル23の操作部材24の操作信号が入力される。
【0042】
なお、センサ群22の中には、車両エンジン1部の冷却水温度を検出する水温センサ22aが備えられている。また、操作部材24の中には即効暖房スイッチ24aが備えられている。空調用制御装置21は予め設定されたプログラムに従って所定の演算処理を行って、図1に示した電気機器(5〜7、12、17、19、20等)の作動を制御する。
【0043】
次に、上記構成において第1実施形態の作動を説明する。冬期において車両エンジン1を停止して長時間放置すると、車両エンジン1の冷却水温度は外気温度まで低下するので、次回のエンジン始動直後には、エンジン冷却水を熱源として車室内暖房を行うことができない。
【0044】
そこで、エンジン始動直後には、空調操作パネル23の操作部材24の中の即効暖房スイッチ24aを投入すると、空調用制御装置21は、化学蓄熱装置8の水開閉弁17に通電して開弁し、水タンク14内の水15を重力にて水供給管16を通して水噴出ノズル13に送り込み、この水噴出ノズル13から水滴状の水を蓄熱材9に均一にふりかける。
【0045】
ここで、蓄熱材9は、後述するように前回のエンジン作動時に加熱されて脱水されて無水物の蓄熱状態になっているので、給水されると蓄熱材9が無水物の状態から水和物へと変換する。この水和物への変換に伴って蓄熱材9は反応生成熱を発生し、発熱する。なお、CaCl2・6H2Oの発熱時の温度は図3に示すように105℃であるから、蓄熱材9の発熱により熱交換器11内の低温のエンジン冷却水を速やかに加熱できる。
【0046】
ここで、水噴出ノズル13からふりかける水滴の大きさを直径0.2mm以上にするのは次の理由のためである。本発明者の実験検討によると、直径0.2mm未満の微細な水滴、例えば、超音波加湿器による微細な水蒸気であると、蓄熱材9に水分を供給しても、水和物への変換の反応速度が極めて遅い。その結果、蓄熱材9が即時に発熱(昇温)せず、実用に供することができないことが分かった。これに反し、水噴出ノズル13から直径0.2mm以上の水滴を蓄熱材9に供給すると、蓄熱材9の水和物への変換が即時に立ち上がり、即時に発熱を開始する。
【0047】
以上により、蓄熱材9への水供給開始後に、熱交換器11において蓄熱材9ととエンジン冷却水とを熱交換してエンジン冷却水を即時に加熱できる。
【0048】
空調用制御装置21は、蓄熱材9への水供給開始と同時に、流路切替弁6、7を前述の第2流れ状態に設定する。すなわち、車両エンジン1とヒータコア3との間の流路を遮断して化学蓄熱装置8とヒータコア3との間のみでンジン冷却水を循環する状態とする。更に、空調用制御装置21は、これと同時に、電動ポンプ12に通電して作動状態とする。
【0049】
従って、蓄熱材9により加熱された高温のエンジン冷却水を電動ポンプ12によりヒータコア3に循環し、このヒータコア3にて送風機5の送風空気を加熱し、その加熱後の温風を車室内の乗員足元部等に吹き出して、車室内を即効暖房できる。
【0050】
なお、ヒータコア3へのエンジン冷却水の循環を電動ポンプ12により行うから、エンジン停止時(エンジン始動前)に車室内暖房を行うことも可能である。また、流路切替弁6、7により車両エンジン1とヒータコア3との間の流路を遮断するから、蓄熱材9の蓄熱量を熱源として車室内暖房を行う際に、蓄熱材9の蓄熱量が低温状態の車両エンジン1側に奪われることがない。
【0051】
ところで、蓄熱材9の発熱時に蓄熱材9に供給する水の最大量は、蓄熱材9の無水物が100%水和物に変換するまでの化学等量分である。このように水供給の最大量を規定することにより、蓄熱材9の水和物への変換が100%完了し、蓄熱量が100%放出される。
【0052】
従って、蓄熱材9への水供給量が上記最大量に達すると、水開閉弁17を閉弁して蓄熱材9への水供給を停止する。具体的には、蓄熱材9への水供給量は水開閉弁17の開弁後の経過時間で規定できるので、水開閉弁17の開弁後、上記最大量に対応する所定時間が経過すると、水開閉弁17を閉弁すればよい。
【0053】
もちろん、最大量未満の量にて水開閉弁17を閉弁して水の供給を中断すれば、その時点で蓄熱材9の水和物への変換が中断されるので、排出管18の開閉弁20を閉弁状態に維持して排出管18からの水分流入を阻止するようにしておけば、水開閉弁17を再度開弁して蓄熱材9への水供給を再開すれば、まだ残存している無水物分の蓄熱量でもって蓄熱材9を発熱させて蓄熱量を取り出すことができる。
【0054】
次に、車両エンジン1の始動後、時間が経過して車両エンジン1の暖機が促進されるに従って、車両エンジン1部の冷却水温度が上昇していく。そして、水温センサ22aにより検出される車両エンジン1部の冷却水温度が暖房可能な第1所定温度、例えば、40℃程度の温度に上昇すると、空調用制御装置21は、流路切替弁6、7を前述の第1流れ状態に設定する。すなわち、車両エンジン1からヒータコア3と化学蓄熱装置8の両方にエンジン冷却水が循環する状態とする。この第1流れ状態では車両エンジン1の水ポンプ2の作動によってエンジン冷却水がヒータコア3と化学蓄熱装置8の両方に循環する。
【0055】
従って、ヒータコア3には車両エンジン1で加熱された冷却水が循環して車室内の暖房を行うことができる。この場合は、電動ポンプ12の作動が不要であるので、空調用制御装置21は電動ポンプ12への通電を遮断して電動ポンプ12を停止状態とする。
【0056】
一方、上記第1流れ状態ではエンジン冷却水が化学蓄熱装置8の熱交換器11に流れて、蓄熱材9がエンジン冷却水により加熱されるようになる。ここで、蓄熱材9は所定温度以上に加熱されると、脱水を開始して水和物が無水和物に変換する反応を行って、蓄熱を行う。
【0057】
なお、蓄熱材9の脱水(蓄熱)のしやすさは各蓄熱材毎に異なる。CaCl2・6H2Oの場合は、融点が30℃という比較的低温であるから、30℃以上に加熱されると融解し始め、脱水が促進される。そのため、CaCl2・6H2Oは蓄熱のための加熱源の選択範囲が広がり、有利である。また、第1実施形態のように、車両用であれば、エンジン冷却水が比較的低温であるときから蓄熱材9への蓄熱を開始できるという利点がある。
【0058】
そして、水和物から無水和物への変換速度、換言すると、脱水速度は、蓄熱材9自身の加熱温度における水蒸気分圧と蓄熱材容器10内の水蒸気分圧との差に依存する。蓄熱材9自身の水蒸気分圧は加熱温度が高いほど高くなり、また、蓄熱材容器10内の水蒸気分圧は容器10内の圧力が低いほど低下し、これにより、この両水蒸気分圧の差が拡大して脱水速度が上昇し、脱水時間が短くなる。
【0059】
図4は蓄熱材9がCaCl2・6H2Oである場合の脱水率と加熱時間との関係を示す実験結果のグラフであり、蓄熱材容器10内を真空度=20Torrまで減圧した場合の脱水率を示す。ここで、図4縦軸の脱水率は、一般に市場で容易に入手可能な状態での相対重量を100%としたときのものであり、以下の図5〜図7の脱水率も同じ考え方のものである。
【0060】
ゼオライト以外の塩水和物からなる蓄熱材9の場合は、水和物への変換が完全に完了した状態で市場で容易に入手できる。図4縦軸の脱水率は、この水和物状態の重量を100%とし、そして、脱水開始温度以上での加熱後における蓄熱材9の重量と脱水開始時点での水和物状態の蓄熱材9の重量との比率(重量%)で表している。
【0061】
CaCl2・6H2Oの場合は、図4のa部に示す脱水率=50%付近の値において、水和物から無水和物への変換、すなわち、脱水が完了する。蓄熱材9のの加熱温度が高いほど、脱水完了時間を短縮できることを示しており、蓄熱材9の加熱温度=90℃の場合には、蓄熱材9の加熱後、40分程度で脱水が完了する。
【0062】
そこで、第1実施形態においては、車両エンジン1部の冷却水温度が蓄熱材9の脱水開始温度よりも十分高い第2所定温度、例えば、90℃まで上昇すると、空調用制御装置21が排出管18の減圧ポンプ19に通電して減圧ポンプ19を作動させると同時に、排出管18の開閉弁20に通電して開閉弁20を開弁する。
【0063】
これにより、蓄熱材9の脱水により発生する水蒸気を蓄熱材容器10内から排出管18を通して外部へ排出して蓄熱材容器10内を減圧するので、蓄熱材容器10内雰囲気を所定の真空度に維持できる。この結果、蓄熱材容器10内の水蒸気分圧を低い値に維持して、蓄熱材9の脱水(蓄熱)を短時間で効率良く完了できる。
【0064】
図4の実験結果からCaCl2・6H2Oの脱水完了時間を蓄熱材加熱温度に基づいて予め設定できるので、減圧ポンプ19の作動開始後の経過時間が予め設定した脱水完了時間に達すると、蓄熱材9の脱水(蓄熱)が完了したと推定し、減圧ポンプ19の作動を停止し、同時に、排出開閉弁20を閉弁する。
【0065】
この排出開閉弁20の閉弁時には図示しない弾性シール材により排出管18を確実に閉塞できるように排出開閉弁20を構成しているから、蓄熱材容器10を密封状態に維持できる。これにより、外部から排出管18を通して蓄熱材容器10内へ水分が侵入することを阻止できる。なお、水開閉弁17も排出開閉弁20と同様に閉弁時には図示しない弾性シール材により水供給管16を確実に閉塞して、水供給管16から蓄熱材容器10内への水分侵入を阻止する。
【0066】
以上により、蓄熱材9の蓄熱完了後、長時間放置されても、蓄熱材9の無水物→水和物への変換に伴う発熱を防止して、蓄熱材9の無水物状態(蓄熱状態)を良好に維持できる。なお、蓄熱材9が蓄熱状態で長時間放置されると、蓄熱材9の温度自体は外気温まで低下するが、蓄熱材9の蓄熱状態は良好に維持できる。
【0067】
ところで、第1実施形態では、加熱により脱水して水和物から無水物に変換して蓄熱し、逆に、給水により無水物から水和物に変換する化学蓄熱材9として、CaCl2・6H2Oを用いる場合について説明したが、図3に示すように、化学蓄熱材9として、CaBr2・2H2O、LiBr・H2O、あるいは、ゼオライトを使用してもよい。ここで、図3でいうゼオライトの標準品とは、一般に市販されている合成ゼオライト A−4 粒状 8〜12メッシュのものをいう。
【0068】
図5はCaBr2・2H2Oを用いた場合の加熱時間と脱水率の関係を示し、図6はLiBr・H2Oを用いた場合の加熱時間と脱水率の関係を示す。更に、図7はゼオライトを用いた場合の加熱時間と脱水率の関係を示す。図5〜図7の脱水率はいずれも図4と同様に、蓄熱材容器10内を真空度=20Torrまで減圧した場合の測定値を示す。図5〜7のa部は、図4と同様に、蓄熱材が完全に無水物に変換した時の脱水率である。
【0069】
図5、図6の脱水率の測定方法は図4と同じであるが、図7の脱水率の測定方法は異なる。すなわち、上記したゼオライトについては、市場で容易に入手できる標準品が、含水物でない状態、すなわち、無水物の状態にあるので、この無水物の状態の重量を基準(100%)とし、この無水物の状態に水分を添加して水和物とした状態における重量を加熱当初の重量(図7では130%付近)とし、この水和物状態から蓄熱材の加熱を開始する。従って、ゼオライトの脱水が完了すると、図7のa部に示すように脱水率は100%となる。
【0070】
ところで、図4と図5〜図7との対比から分かるように、蓄熱材としてCaBr2・2H2O、LiBr・H2Oおよびゼオライトを用いると、蓄熱材の脱水の早期完了のためには蓄熱材の加熱温度をCaCl2・6H2Oよりも高くする必要がある。
【0071】
従って、車両用の蓄熱材としてCaBr2・2H2O、LiBr・H2Oおよびゼオライトを用いる場合は蓄熱時の加熱源として、エンジン冷却水よりも大幅に高温であるエンジン排気ガスを用いた方がよい。
【0072】
(第2実施形態)
第2実施形態は本発明による化学蓄熱装置を燃料電池凍結防止装置に適用したものであって、図8は第2実施形態の概要を示す断面図である。本実施形態では燃料電池システムを燃料電池を電源として走行する電気自動車(燃料電池車両)に適用している。
【0073】
図8において、外ケース31は断熱性を有する樹脂にて成形されている。外ケース31の内側には、ケース内外の断熱性を確実にするための断熱材32が配置されている。断熱材32には発泡スチロールやグラスウールなどが使用される。さらに、断熱材32の内側には内ケース33が配置されている。内ケース33については後述する。
【0074】
内ケース33内には燃料電池(FCスタック)34と後述する化学蓄熱装置8が配置されている。燃料電池34は、水素と酸素との化学反応を利用して電力を発生し走行用電動モータやバッテリ等の電気機器(図示せず)に電力を供給するものである。
【0075】
燃料電池34は、空気供給経路35と水素供給経路36を備え、電気化学反応に使用する空気(酸素)と水素を内部に取り込む。より詳しく述べると、電気化学反応に使用する水素は、水素供給装置(図示せず)から水素供給経路36を通って燃料電池34内に供給される。電気化学反応に使用する空気(酸素)は、空気供給経路35において内ケース33内に配置されている電動式エアポンプ37で大気中より吸引され、空気供給経路35を通って燃料電池34内に供給される。そして、燃料電池34内において、供給された水素と酸素の電気化学反応が起こり電気エネルギが発生する。
【0076】
また、燃料電池34は空気排出経路38と水素排出経路39を備え、水素排出経路39からは未反応水素を含むガスを排出し、空気排出経路38からは未反応空気(酸素)を含むガスと電気化学反応で発生した水を排出する。
【0077】
空気排出経路38には凝縮用熱交換器40が配置され、さらに、凝縮用熱交換器40の下方部位には凝縮水タンク41が配置されている。凝縮用熱交換器40は内ケース33外へ通じている外気導入排出経路40a(一部のみ図示)を備え、低温外気を凝縮用熱交換器40に導入し、排出ガスを露点温度以下に冷却して排出ガス中の水分を凝縮させている。凝縮した水分は自重により凝縮水タンク41に落下して溜められる。
【0078】
ところで、燃料電池34の作動時には電気エネルギと共に熱が発生する。効率よく発電させるには、車両用エンジンと同様に冷却水にて冷却して燃料電池34を適切な温度(本実施形態では約80℃)に維持する必要がある。
【0079】
本実施形態では、燃料電池34とケース外にある放熱用ラジエータ44とで冷却水を循環する冷却水循環経路42を設けている。そして、内ケース33内の冷却水循環経路42のうち燃料電池34への冷却水入口側部位に配置されている電動式水ポンプ45により冷却水を循環している。放熱用ラジエータ44は、高温になった冷却水を冷やすためのもので周知の車両用エンジン冷却水を冷却するラジエータと同様の構造を持っている。
【0080】
一方、化学蓄熱装置8は第1実施形態と同様に蓄熱材9を封入した蓄熱材容器10を備えている。ここで、蓄熱材9は水和物、例えば、CaCl2・6H2Oからなる。
【0081】
蓄熱材容器10は、内ケース33に内接しており、蓄熱材容器10の内部には蓄熱材9と冷却水との間で熱交換を行う熱交換器11が配置されている。蓄熱材容器10は、蓄熱材9で発熱した熱を内ケース33に伝導するためアルミなどの熱伝導率が高く、水分などに対する腐食性の強い材質でできている。そして、蓄熱材容器10には蓄熱材9の発熱状態を検出するための蓄熱材温度センサ51が備えられている。
【0082】
内ケース33は、一部が蓄熱材9に接しており発熱した蓄熱材9からの熱をケース内部全体に行き渡らせるために、アルミなどの熱伝導率の高い材質でできている。そして、内ケース33の内部空間には、内ケース33内の温度を検出するケース内温度センサ52が備えられている。
【0083】
熱交換器11は、図8では図示の簡略化のために単純な管路で図示しているが実際は効率よく熱交換を行うために蓄熱材9と冷却水通路を交互に配置し熱交換可能な面積を増やすように構成されている。
【0084】
また、熱交換器11は冷却水入口側経路46と冷却水出口側経路48を備え、熱交換器11の冷却水入口側経路46は蓄熱材容器10の外部に取り出されて、内ケース33内の冷却水循環経路42において燃料電池34からの冷却水排出側部位に接続される。これにより、冷却水循環経路42から熱交換器11へ冷却水が分岐する経路が形成される。この冷却水入口側経路46の接続位置には熱交換器11への冷却水の流量を調整する冷却水流量調節弁47が配置される。
【0085】
冷却水流量調節弁47は、サーボモータ等のアクチュエータによって弁開度を調節制御することで冷却水循環経路42と冷却水入口側経路46を流れる冷却水の比率を変化させるものである。
【0086】
そして、熱交換器11の冷却水出口側経路48は蓄熱材容器10の外部に取り出されて、内ケース33内の冷却水循環経路42において電動式水ポンプ45より上流側部位に接続される。これにより、熱交換器11から冷却水循環経路42へ冷却水が合流する経路が形成される。
【0087】
また、蓄熱材容器10の内部には、第1実施形態と同一構成の水噴出ノズル13が配置されている。水噴出ノズル13には、前述した凝縮水タンク41の水が水供給管16を介して供給される。この水供給管16には水噴出ノズル13に水を供給するための電動式水供給ポンプ49と電磁弁等により構成される水開閉弁17が備えてある。
【0088】
また、蓄熱材容器10には、第1実施形態と同一構成の排出管18が接続してあり、この排出管18は内ケース33内で空気供給経路35において電動式エアポンプ37より上流側部位に接続する。また、排出管18には排出管18を開閉する開閉手段として排出開閉弁20が備えてある。排出開閉弁20は電磁弁等により構成される。
【0089】
また、空気供給経路35において空気供給経路35と排出管18の接続位置と電動式エアポンプ37の中間部位にはエアフィルタ50が配置されており、排出管18からの空気中と燃料電池34への供給空気中の異物を除去し燃料電池34への異物の混入を防止している。
【0090】
図9は本実施形態における電気制御部であり、燃料電池用制御装置25はマイクロコンピュータとその周辺回路とにより構成されるものであって、燃料電池環境条件を検出するセンサ群26の検出信号が入力される。
【0091】
なお、センサ群26の中には、蓄熱材9の発熱状態を検出するための蓄熱材温度センサ51と、内ケース33内の温度を検出するケース内温度センサ52と、冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ56とが備えられている。燃料電池用制御装置25は予め設定されたプログラムに従って所定の演算処理を行って、図8に示した電気機器(17、20、37、45、47、49等)の作動を制御する。
【0092】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。ここでは、冬季などの燃料電池34が凍結する可能性がある場合を想定している。
【0093】
まず、燃料電池作動(発電)開始時には、燃料電池用制御装置25は予め設定されたプログラムに従って電動式エアポンプ37を作動する。その他の電気機器である水開閉弁17と排出開閉弁20は閉弁し、電動式水ポンプ45と電動式水供給ポンプ49は作動を停止している。燃料電池34は、作動開始後、電気化学反応の熱により温度が上昇していく。
【0094】
次に、燃料電池34が発電に最適な所定温度に上昇したと冷却水温度センサ56により推定した時には、燃料電池用制御装置25は作動(発電)開始時に停止していた電動式水ポンプ45を作動し、冷却水流量調節弁47の弁開度を調節する。これにより、冷却水を燃料電池34と放熱用ラジエータ44との間で循環させる。そして、電動式水ポンプ45の回転数と冷却水流量調節弁47の弁開度により、冷却水の放熱用ラジエータ44での放熱量を調節して燃料電池34の温度を制御する。
【0095】
次に、冷却水温度センサ56が蓄熱材9に蓄熱可能な冷却水温度を検出した時には、燃料電池用制御装置25は冷却水流量調節弁47の弁開度を調節し、冷却水を熱交換器11へ分岐する。これにより、放熱用ラジエータ44で放熱する前の高温な冷却水により熱交換器11で蓄熱材9を加熱することができる。
【0096】
この時、排出開閉弁20が開弁しているので空気供給経路35の燃料電池34に供給される空気(酸素)の流れにより排出経路18に通じている蓄熱材容器10内を減圧する。これにより、蓄熱材9の脱水で発生する水蒸気を蓄熱材容器10内から排出管18を通して空気供給経路35へ排出するので、蓄熱材9の脱水(蓄熱)を短時間で効率良く完了できる。
【0097】
第1実施形態と同様に、図4の実験結果からCaCl2・6H2Oの脱水完了時間を蓄熱材加熱温度に基づいて予め設定できるので、排出開閉弁20の開弁後の経過時間が予め設定した脱水完了時間に達すると、蓄熱材9の脱水(蓄熱)が完了したと推定し、排出開閉弁20を閉弁する。
【0098】
また、脱水で発生する水蒸気を含む湿った空気が排出管18を通り空気供給経路35から燃料電池34へ供給されるので燃料電池34内の電解質膜が湿った状態になる。そのため、電解質膜の乾燥により内部抵抗が大きくなり燃料電池34内における電力損失が増大することを防ぐことができる。
【0099】
次に、燃料電池停止後ケース内温度センサ52が水分凍結温度(0℃)より高い温度を検出している場合は、燃料電池用制御装置25は水開閉弁17と排出開閉弁20を閉弁する。その他の電気機器である電動式エアポンプ37、電動式水ポンプ45および電動式水供給ポンプ49は作動を停止している。
【0100】
より詳しく述べると、排出開閉弁20の閉弁時には排出管18を閉塞しているので、蓄熱材容器10を密封状態に維持できる。これにより、外部から排出管18を通して蓄熱材容器10内へ水分が侵入することを阻止できる。また、水開閉弁17も閉弁時には水供給管16を閉塞しているので、水供給管16から蓄熱材容器10内への水分侵入を阻止する。
【0101】
以上により、蓄熱材9の蓄熱完了後、長時間放置されても、蓄熱材9の無水物→水和物への変換に伴う発熱を防止して、蓄熱材9の無水物状態(蓄熱状態)を良好に維持できる。
【0102】
次に、燃料電池停止後ケース内温度センサ52が水分凍結温度(0℃)以下を検出した場合は、燃料電池用制御装置25は水開閉弁17を開弁し、電動式水供給ポンプ49を作動する。その他の電気機器である排出開閉弁20は閉弁し、電動式エアポンプ37および電動式水ポンプ45は作動を停止している。
【0103】
より詳しく述べると、水開閉弁17を開弁すると同時に電動式水供給ポンプ49を作動させ、凝縮水タンク41に蓄えられている水を水噴出ノズル13から蓄熱材9に給水する。給水により蓄熱材9が発熱すると内ケース33が熱を伝導し内ケース33内を加熱する。この時燃料電池用制御装置25は、蓄熱材温度センサ51による蓄熱材9の温度とケース内温度センサ52によるケース内温度により、電動式水供給ポンプ49の作動を制御して蓄熱材9への給水量、つまり蓄熱材9の発熱量を制御する。そして、内ケース33内が水分凍結温度を上回るように水を少量ずつ供給することにより、蓄熱材9に蓄えた熱を長期間使用し燃料電池34の凍結を防止することができる。
【0104】
ところで、第1実施形態と同様に蓄熱材9の発熱時に蓄熱材9に供給する水の最大量は蓄熱材9の無水物が100%水和物に変換するまでの化学等量分である。従って、蓄熱材9への水供給量が上記最大量に達すると、水開閉弁17を閉弁して蓄熱材9への水供給を停止する。具体的には、蓄熱材9への水供給量は水開閉弁17の開弁後の経過時間で規定できるので、水開閉弁17の開弁後、上記最大量に対応する所定時間が経過すると、水開閉弁17を閉弁すればよい。
【0105】
(第3実施形態)
第2実施形態では排出管18を空気供給経路35に接続したが、第3実施形態では図10に示すように、空気排出経路38から分岐し空気供給経路35へ接続する空気分岐経路53に接続している。
【0106】
詳しく説明すると、空気排出経路38から分岐し空気供給経路35へ接続する空気分岐経路53を設け、空気排出経路38と空気分岐経路53の分岐地点に空気流量調整弁54を配置している。空気流量調整弁54は、サーボモータ等のアクチュエータによって弁開度を調節制御することで空気排出経路38と空気分岐経路53を流れる排出ガスの比率を変化させるもので、図9で述べた燃料電池用制御装置25により作動を制御されている。さらに、空気分岐経路53において凝縮用熱交換器40を配置し、凝縮用熱交換器40より空気供給経路35側部位にベンチュリ管などの絞り手段55を配置し、その通路面積が絞られている部分に排出管18を接続している。
【0107】
この構成によっても、第2実施形態と同様の効果を発揮する燃料電池凍結防止装置を構成することができる。
【0108】
(他の実施形態)
なお、上記の第1実施形態では、車両用空調装置の即効暖房機能のために本発明を適用する例について説明し、第2、第3実施形態では燃料電池の凍結防止のために本発明を適用する例について説明したが、これに限らず、車両用の即効暖房シート、エンジンオイル加温器等に本発明を適用してもよい。更に、家庭用等の即効暖房装置等に本発明を適用してもよい。
【0109】
なお、上記の第2実施形態では、燃料電池停止後ケース内温度センサ52が水分凍結温度を検出した場合に蓄熱材9の熱を内ケース33により熱伝導し、内ケース33内を加熱する例を説明したが、内ケース33を廃止し蓄熱材9により加熱した冷却水で燃料電池34の凍結を防止してもよい。
【0110】
詳しく説明すると、燃料電池停止後ケース内温度センサ52が水分凍結温度を検出すると、燃料電池用制御装置25は電動式水ポンプ45と電動式水供給ポンプ49を作動し、水開閉弁17を開弁し、冷却水流量調節弁47の弁開度を調節する。その他の電気機器である排出開閉弁20は閉弁し、電動式エアポンプ37は作動を停止している。
【0111】
冷却水流量調節弁47の弁開度により、冷却水入口側経路46にのみ冷却水を流し、冷却水を燃料電池34と熱交換器11で循環させることができる。そして、水開閉弁17を開弁すると共に電動式水供給ポンプ49を作動して蓄熱材9へ給水して発熱させ、発熱により熱交換器11で冷却水を加熱し、その冷却水で燃料電池34の凍結を防止してもよい。
【0112】
なお、上記の第2実施形態では、ケース内温度センサ52が水分凍結温度(0℃)を検出した場合に蓄熱材9に給水する例を説明した。しかし、内ケース33内の温度分布によりケース内温度センサ52が水分凍結温度を検出していなくても内ケース33内の一部が水分凍結温度以下となる可能性を考慮して、水分凍結温度(0℃)より数℃高めを検出すると蓄熱材9に給水する設定にしてもよい。
【0113】
なお、上記の第2実施形態では、凝縮用熱交換器40での空気排出経路38中の排出ガスの冷却に低温外気を用いた例を説明したが、排出ガスからは吸熱して冷却、除湿し、内ケース33内空気または外気に放熱するペルチェ素子を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による化学蓄熱装置を用いた車両用空調装置の模式的配置図である。
【図2】図1の車両用空調装置の電気制御ブロック図である。
【図3】本発明で用いる化学蓄熱材の特性を示す図表である。
【図4】化学蓄熱材(CaCl2・6H2O)の加熱時間と脱水率の関係を示すグラフである。
【図5】別の化学蓄熱材(CaBr2・2H2O)の加熱時間と脱水率の関係を示すグラフである。
【図6】別の化学蓄熱材(LiBr・H2O)の加熱時間と脱水率の関係を示すグラフである。
【図7】別の化学蓄熱材(ゼオライト)の加熱時間と脱水率の関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第2実施形態による化学蓄熱装置を用いた燃料電池凍結防止装置の断面図である。
【図9】図8の燃料電池凍結防止装置の電気制御ブロック図である。
【図10】本発明の第3実施形態による化学蓄熱装置を用いた燃料電池凍結防止装置の断面図である。
【符号の説明】
1…車両エンジン、3…暖房用ヒータコア、6、7…流路切替弁、
9…蓄熱材、10…蓄熱材容器、11…熱交換器、13…水噴霧ノズル、
14…水タンク、17…水開閉弁、18…排出管、19…減圧ポンプ、
20…排出開閉弁、34…燃料電池、33…内ケース、35…空気供給経路、
52…ケース内温度センサ。
Claims (11)
- 脱水すると蓄熱し、水を供給すると発熱する蓄熱材(9)を蓄熱材容器(10)内に収納し、
前記蓄熱材容器(10)の内外を連通する排出経路(18)にポンプ手段(19)を備え、
前記蓄熱材(9)を加熱し脱水させるときに、前記ポンプ手段(19)を作動させて前記蓄熱材容器(10)内の水蒸気を前記排出経路(18)から外部へ排出して前記蓄熱材容器(10)内を減圧することを特徴とする化学蓄熱装置。 - 前記排出経路(18)に開閉手段(20)を備え、
前記蓄熱材(9)の脱水時に、前記ポンプ手段(19)を作動させるとともに、前記開閉手段(20)を開口状態とし、
前記蓄熱材(9)の脱水が完了すると、前記ポンプ手段(19)の作動を停止するとともに、前記開閉手段(20)を閉塞状態とすることを特徴とする請求項1に記載の化学蓄熱装置。 - 脱水すると蓄熱し、水を供給すると発熱する蓄熱材(9)を蓄熱材容器(10)内に収納し、
前記蓄熱材容器(10)の内外を連通する排出経路(18)に開閉手段(20)を備え、
前記蓄熱材(9)を加熱し脱水させるときに、前記開閉手段(20)を開口状態として前記蓄熱材容器(10)内の水蒸気を前記排出経路(18)から外部へ排出し、
前記蓄熱材(9)の脱水が完了すると、前記開閉手段(20)を閉塞状態とすることを特徴とする化学蓄熱装置。 - 前記蓄熱材(9)に水を供給するための水供給手段(13)を、直径0.2mm以上の水滴を供給するように構成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の化学蓄熱装置。
- 前記蓄熱材(9)は水和物であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の化学蓄熱装置。
- 前記水和物は、CaCl2・6H2O、CaBr2・2H2O、LiBr・H2O、およびゼオライトを含むグループから選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする請求項5に記載の化学蓄熱装置。
- 請求項1ないし6のいずれか1つに記載の化学蓄熱装置を用いた車両用空調装置であって、
車両エンジン(1)から供給される熱媒体により前記蓄熱材(9)を加熱して前記蓄熱材(9)に蓄熱し、
前記蓄熱材(9)に蓄熱した熱を用いて車室内吹出空気を加熱することを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1ないし6のいずれか1つに記載の化学蓄熱装置を用いた燃料電池凍結防止装置であって、
燃料電池(34)の作動時には、前記燃料電池(34)から供給される熱媒体により前記蓄熱材(9)を加熱して前記蓄熱材(9)に蓄熱し、
前記燃料電池(34)の停止時に水分の凍結の可能性がある時には、前記蓄熱材(9)に蓄熱した熱を用いて前記燃料電池(34)を加熱することを特徴とする燃料電池凍結防止装置。 - 前記化学蓄熱装置と前記燃料電池(34)を共通のケース(33)内に配置し、
前記蓄熱材(9)に蓄熱した熱を用いて前記ケース(33)内を加熱することを特徴とする請求項8に記載の燃料電池凍結防止装置。 - 前記ケース(33)内の温度を検出する温度検出手段(52)を備え、
前記温度検出手段(52)が所定温度以下を検出すると、前記蓄熱材(9)に水を供給することを特徴とする請求項9に記載の燃料電池凍結防止装置。 - 前記燃料電池(34)の発電により発生した水を前記蓄熱材(9)に供給することを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1つに記載の燃料電池凍結防止装置。
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