JP2010144574A - 車両用暖機システム - Google Patents

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Abstract

【課題】暖機対象の運転状態に応じた的確な暖機を切り換えて行い、始動後の車両の運転状態を早期に安定させる。
【解決手段】蓄熱材20を有する熱交換装置10を備えた車両用暖機システムであって、熱交換装置10は、エンジン30の冷却水Wを導入する第1室74と、自動変速機40の作動油Uを導入する第2室75と、蓄熱材20を収容した蓄熱室62とを具備し、第1室74及び第2室75を蓄熱室62に対して回転させる回転機構83を備え、冷却水Wの温度が所定温度以下である場合、回転機構83の制御により、エンジン30の始動時と始動後所定時間経過後とで、蓄熱室62が第1室74と第2室75に対して熱交換可能な領域の比率を入れ替えるようにした。始動直後のエンジン30を蓄熱材20で優先的に暖機できるので、エンジン30の運転状態を早期に安定させることが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、蓄熱および放熱が可能な蓄熱要素を有する熱交換装置を備え、内燃機関や変速機などの早期暖機あるいは車内の即効暖房を行うことができる車両用暖機システムに関する。
従来、例えば特許文献1に示すように、蓄熱により内燃機関(エンジン)や自動変速機の暖機を行う蓄熱装置(熱交換装置)を備えた車両用暖機システムがある。特許文献1に記載の蓄熱装置は、熱交換媒体であるエンジンの冷却水との熱交換を行う蓄熱材(蓄熱要素)を具備している。この蓄熱装置では、車両の運転時に冷却水の熱を蓄熱材に蓄熱しておき、次回の車両始動時に、この蓄熱を利用して内燃機関の早期暖機を行うことができる。
特開平6−185411号公報
ところで、上記のような車両用暖機システムが備える蓄熱装置では、蓄熱材の区画とエンジンや自動変速機などの暖機対象に流通させる熱交換媒体の区画とを隣接させて配置し、蓄熱材と熱交換媒体との間で熱交換を行えるように構成したものがある。このような蓄熱装置の例として、特許文献1の蓄熱装置では、蓄熱材の区画(蓄熱材容器)と冷却水の区画(冷却水通路)とを隣接させて配置している。この構成は、蓄熱材で冷却水を加熱してエンジンを優先的に暖機したい場合には有利である。
ところが、車両の運転を一時的に停止した後、短時間で再開する場合などは、エンジンが既に暖まっているため、蓄熱装置によるエンジンの暖機は不要である。その一方で、自動変速機の作動油は、温度低下に応じて粘度が高くなるため、始動直後に適温より低い温度になっていると、自動変速機で発生するフリクションの要因となる。したがって、このような場合、始動直後の車両の走行状態を早期に安定させるためには、蓄熱装置によるエンジンの暖機に優先して、自動変速機の暖機を行えるようにすることが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載の蓄熱装置では、蓄熱材の区画は冷却水の区画に対してのみ直接的に熱交換可能であるため、蓄熱材で自動変速機の暖機も行いたい場合、蓄熱材の熱を自動変速機の作動油に十分に与えることができないおそれがある。このように、従来の蓄熱装置では、エンジンや自動変速機など各種の暖機対象を備える車両において、各機関の運転状態に応じた的確な暖機を切り換えて行うことができなかった。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、暖機対象である機関又は装置の運転状態に応じた的確な暖機を行うことで、車両の運転状態を早期に安定させることができる車両用暖機システムを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明にかかる車両用暖機システムは、蓄熱および放熱が可能な蓄熱要素(20)を有する熱交換装置(10)と、少なくとも第1暖機対象(30)と第2暖機対象(40)とを含む複数の暖機対象である機関又は装置(30,40)と、第1暖機対象(30)と熱交換装置(10)との間で循環流通する第1熱交換媒体(W)と、第2暖機対象(40)と熱交換装置(10)との間で循環流通する第2熱交換媒体(U)と、を備え、熱交換装置(10)は、第1熱交換媒体(W)を導入する第1区画(74)と、第2熱交換媒体(U)を導入する第2区画(75)と、蓄熱要素(20)を収容した蓄熱区画(62)と、蓄熱区画(62)を第1区画(74)および第2区画(75)に対して相対的に移動させる移動機構(83)と、移動機構(83)を制御する制御手段(50)と、を具備し、移動機構(83)により、蓄熱区画(62)が第1区画(74)と第2区画(75)に対して熱交換可能な領域の比率を変更可能であり、車両の外気温、第1熱交換媒体(W)の温度、第2熱交換媒体(U)の温度の少なくともいずれかを計測する温度計測手段(38)を備え、第1暖機対象(30)の始動時に温度計測手段(38)で計測した温度(TW)が所定温度(TWst1)以下である場合、第1暖機対象(30)の始動時と始動後所定時間(Tast1)経過後とで、蓄熱区画(62)が第1区画(74)と第2区画(75)に対して熱交換可能な領域の比率を変更するようにしたことを特徴とする。また、ここでいう蓄熱区画(62)が第1区画(74)と第2区画(75)に対して熱交換可能な領域の比率を変更することには、蓄熱区画(62)が第1区画(74)と第2区画(75)に対して熱交換可能な領域の大小関係を変更することが含まれる。なお、ここでの括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
本発明にかかる車両用暖機システムによれば、熱交換装置は、第1暖機対象からの第1熱交換媒体を導入する第1区画および第2暖機対象からの第2熱交換媒体を導入する第2区画と、蓄熱要素を収容した蓄熱区画とを相対的に移動させる移動機構により、蓄熱区画が第1区画に対して熱交換可能な領域と、第2区画に対して熱交換可能な領域との比率を変更可能であり、外気温又は第1又は第2熱交換媒体の温度が所定温度以下である場合、第1暖機対象の始動時と始動後所定時間経過後とで、蓄熱区画が第1区画と第2区画に対して熱交換可能な領域の比率を変更するようにした。これにより、蓄熱要素の放熱で第1、第2暖機対象の暖機を行う際、外気温又は第1又は第2熱交換媒体の温度に基づく第1暖機対象の運転状態から、第1暖機対象の暖機が必要であると判断した場合、第1暖機対象の始動直後、第1暖機対象の暖機を優先的に行わせることができる。その上で、第1暖機対象の始動後所定時間が経過した後は、第1暖機対象の暖機がある程度進行したとみなして、蓄熱要素による暖機の優先順位を第1暖機対象から第2暖機対象に切り換えることが可能となる。
その一方で、外気温又は第1又は第2熱交換媒体の温度が所定温度より高い場合は、第1暖機対象の優先的な暖機は不要である。したがって、その場合は、第1暖機対象の始動時から第2暖機対象の暖機を優先的に行うようにしておき、始動後所定時間経過後もそのまま第2暖機対象の暖機を優先して行うようにできる。これらにより、第1暖機対象と第2暖機対象に対する暖機を各暖機対象の運転状況に応じて的確に切り換えて行えるようになり、各暖機対象に与える熱の配分を最適化することが可能となる。したがって、車両の始動時に、暖機対象の運転状態に基づいて判断した暖機の必要性に応じて的確な暖機動作を行えるようになる。
また、この車両用暖機システムでは、第1暖機対象(30)の始動時に温度計測手段(38)で計測した温度(TW)が上記の所定温度(TWst1)より高い場合は、第1暖機対象(30)の始動後所定時間(Tast1)経過後に、蓄熱区画(62)が第1区画(74)と第2区画(75)に対して熱交換可能な領域の比率を、第1区画(74)と第2区画(75)のいずれか一方を優先した比率とすることができる。この場合の具体例としては、第1暖機対象が内燃機関であり、第2暖機対象が自動変速機である場合、内燃機関の始動後所定時間が経過した後は、蓄熱要素で自動変速機の作動油を優先的に温めるようにすることが挙げられる。これにより、自動変速機のフリクションを早期に低減させることが可能となる。
ここで、上記の始動後所定時間(Tast1)は、温度計測手段(38)で計測した温度(TW)に基づいて定めるようにするとよい。具体的には、温度計測手段で計測した温度が低い場合は、蓄熱要素による第1暖機対象の暖機をより長く行う必要があるため、始動後所定時間を長くする一方、温度計測手段で計測した温度が高い場合は、蓄熱要素による第1暖機対象の暖機を短時間で済ませることが可能となるため、始動後所定時間を短くすることができる。これにより、蓄熱要素に蓄えられた熱の有効利用を図ることができ、第1暖機対象と第2暖機対象に与える熱の配分のさらなる最適化を図ることが可能となる。
また、上記の車両用暖機システムでは、第1暖機対象は、内燃機関(30)であり、第1熱交換媒体は、内燃機関(30)の冷却水(W)であり、内燃機関(30)の運転状態を検出する運転状態検出手段(39)を備え、内燃機関(30)の始動時に温度計測手段(38)で計測した冷却水(W)の温度が上記の所定温度より高い場合、内燃機関(30)の始動後、内燃機関(30)の回転数が最初のピーク回転数に達した時点から内燃機関(30)の暖機が完了したと判断される時点までの間、運転状態検出手段(39)で検出した運転状態を監視し、該運転状態を不安定と判断する場合、当該運転状態を安定と判断するまでは、蓄熱区画(62)が第1区画(74)に対して熱交換可能な領域の比率を第2区画(75)に対して熱交換可能な領域の比率よりも高くするとよい。
これによれば、内燃機関の運転状態が不安定と判断した場合、内燃機関を第2暖機対象より優先的に暖機することで、内燃機関の運転状態を早期に安定させることが可能となる。また、内燃機関の運転状態が安定した後は、蓄熱要素による暖機対象を第2暖機対象に切り換えることで、不必要な暖機動作を最小限に抑えることが可能となる。これにより、内燃機関と第2暖機対象に与える熱の配分の最適化を図ることが可能となる。したがって、暖機対象の運転状態に基づいて判断した暖機の必要性に応じて的確な暖機動作を行えるようになる。この場合、上記の運転状態検出手段は、内燃機関(30)の回転数を検出する回転数検出手段(39)とし、回転数検出手段(39)で検出された内燃機関(30)の回転数の変動が所定範囲を超える場合、内燃機関(30)の運転状態を不安定と判断するとことができる。
また、上記の車両用暖機システムでは、第1熱交換媒体(W)および第2熱交換媒体(U)が有する熱で蓄熱要素(20)の蓄熱を行う場合、第1区画(74)と第2区画(75)のうち、より温度の高い熱交換媒体(W)が導入される区画(74)に対して蓄熱区画(62)が熱交換可能な領域の比率を他方の区画(75)に対する比率より高くするとよい。これによれば、複数の熱交換媒体のうち、より温度の高い熱交換媒体が有する熱を蓄熱要素に対して効果的に与えることができるので、蓄熱要素への蓄熱を短時間で効率良く完了させることが可能となる。したがって、車両で発生する熱エネルギーの有効利用が促進される。
また、上記の車両用暖機システムでは、蓄熱区画(62)が第1区画(74)または第2区画(75)に対して熱交換可能な領域は、蓄熱区画(62)が第1区画(74)または第2区画(75)に接する領域とすることができる。またこの場合、移動機構(83)として、蓄熱区画(62)を第1区画(74)および第2区画(75)に対して相対的に回転させる回転機構(83)を用いるとよい。この回転機構によれば、簡単な構成で、第1区画と第2区画に対する蓄熱区画の接触面積の比率を任意に変化させることが可能となる。また、蓄熱区画を回転させるだけで、第1区画と第2区画に対する蓄熱区画の接触面積の比率をスムーズに変化させることができる。したがって、第1熱交換媒体と第2熱交換媒体に与える熱の配分を効率良く最適化できるようになる。
また、上記の車両用暖機システムでは、熱交換装置(10)が備える蓄熱要素(20)は、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材(20)からなるものが望ましい。これによれば、液状の蓄熱材が凝固点以下になっても固化せず、蓄熱を保持したまま過冷却状態をとり得る。したがって、外気温が低下しても蓄熱を保持でき、かつ、長期間放置しても蓄熱を安定的に保持できるので、蓄熱区画の外部に対する断熱構造を簡素化できる。また、過冷却解除手段による過冷却状態の解除により、所望のタイミングで蓄熱材を発熱させることができるので、暖機対象の早期暖機をより効果的に行えるようになる。また、熱交換装置(10)が備える蓄熱要素(20)は、化学変化による熱の吸収・放出が可能な化学蓄熱材(21)からなるものでもよい。
本発明にかかる車両用暖機システムによれば、暖機対象である機関又は装置の運転状態に応じた的確な暖機を切り換えて行えるようになるので、車両の運転状態を早期に安定させることができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態にかかる熱交換装置を備えた車両用暖機システムの構成例を示す概略図である。車両用暖機システム1は、蓄熱材20を有してなる熱交換装置10と、エンジン(内燃機関:第1暖機対象)30の冷却水(LLC:第1熱交換媒体)を熱交換装置10および車内暖房装置44のヒータコア45へ循環させる冷却水循環路31と、自動変速機(AT:第2暖機対象)40の作動油(ATF:第2熱交換媒体)を熱交換装置10へ循環させる作動油循環路41とを備えている。冷却水循環路31は、エンジン30に形成された水ジャケット(図示せず)から導出され、熱交換装置10に連通し、熱交換装置10の下流側でヒータコア45を通り、エンジン30の水ジャケットに再度導入されている。エンジン30に導入される直前位置には、冷却水ポンプ32が介装されている。冷却水ポンプ32は、エンジン30のクランク軸(図示せず)の回転に連動して駆動するようになっている。また、作動油循環路41には、作動油を流通させる作動油ポンプ(電動ポンプ)42と、作動油の温度を検出する油温センサ43が設置されている。熱交換装置10は、詳細な構成は後述するが、冷却水循環路31に連通する第1室(第1区画)74と、作動油循環路41に連通する第2室(第2区画)75と、蓄熱材20を収納した蓄熱室(蓄熱区画)62とを備えている。また、エンジン30には、該エンジン30の回転数を検出する回転計39が設置されており、車両用暖機システム1では、エンジン30の回転数および該回転数に基づく回転変動のデータを取得できるようになっている。なお、図1では、熱交換装置10の構成を簡略化して示している。
ヒータコア45は、詳細な図示は省略するが、車内に臨む空気導入ダクト内に設置されている。空気導入ダクト内には、ヒータコア45に風を送るための送風ファン46が組み込まれている。送風ファン46は、電子制御ユニット(以下、ECUという。)50によって作動を制御されるようになっている。ヒータコア45の送風下流側には、車内に連通する送風ダクトが設けられている。
また、車内のコントロールパネル(図示せず)には、車内暖房用の暖房スイッチ51、及びデフロスタ吹出口から温風を吹き出すためのデフロスタスイッチ55が設けられている。暖房スイッチ51およびデフロスタスイッチ55のオン/オフ信号は、ECU50に出力されるようになっている。したがって、送風ファン46は、暖房スイッチ51やデフロスタスイッチ55のオン信号に応じて作動し、空気導入ダクトを介して吸い込んだ車内の空気を、ヒータコア45を通して送風ダクトから再び車内に吹き込むようになっている。また、暖機システム1は、外気温を検出する外気温センサ54を備えている。外気温センサ54の検出信号は、ECU50に出力されるようになっている。また、イグニッションスイッチ(以下、IGスイッチという。)56の操作信号は、ECU50に送られるようになっている。
冷却水循環路31における熱交換装置10とヒータコア45の間には、冷却水循環路31の開閉を切り換える切替バルブ(開閉弁)33が設置されている。切替バルブ33は、ECU50からの信号で開閉が制御されるようになっている。また、エンジン30の冷却水をラジエター47へ循環させるラジエター用循環路35が設けられている。ラジエター用循環路35は、エンジン30の水ジャケットから出て、冷却水循環路31における冷却水ポンプ32の上流側に合流している。ラジエター用循環路35には、ラジエター47に連通する主流路35aとラジエター47をバイパスするバイパス流路35bが設けられている。ラジエター47の下流側におけるバイパス流路35bの合流部には、電子制御サーモスタット弁(三方弁)37が介装されている。電子制御サーモスタット弁37は、ECU50からの信号で開閉方向が制御されるようになっている。また、ラジエター用循環路35には、冷却水の水温を検出する水温センサ38が組み込まれている。水温センサ38の検出信号は、ECU50に出力されるようになっている。
ここでは、電子制御サーモスタット弁37がオフであるというときは、電子制御サーモスタット弁37により主流路35aが開かれてバイパス流路35bが閉じられた状態を指し、電子制御サーモスタット弁37がオンであるというときは、電子制御サーモスタット弁37により主流路35aが閉じられてバイパス流路35bが開かれた状態を示すものとする。ECU50は、水温センサ38で検出した冷却水温が所定温度(例えば100℃)未満の場合、電子制御サーモスタット弁37をオンにすることで、冷却水がラジエター47へ流れないように制御する。一方、冷却水温が所定温度(例えば110℃)以上になった場合、電子制御サーモスタット弁37をオフにすることで、冷却水をラジエター47へ導くように制御する。
ECU50には、無線により外部機器と交信が可能な受信装置52が接続されている。これにより、ECU50は、エンジンスタートキー53に設けたウォームアップスイッチ53aのオン/オフ信号を遠隔受信できるようになっている。したがって、乗員が車外でエンジンスタートキー53のウォームアップスイッチ53aを操作した場合、ECU50でその信号が受信され、ECU50は暖機システム1にウォームアップ指令を発することができる。
図2及び図3は、熱交換装置10の詳細構成を示す図で、図2は、熱交換装置10の側断面図、図3(a)乃至(d)はそれぞれ、図2のA−A部断面図、B−B部断面図、C−C部断面図、D矢視図である。熱交換装置10は、図2に示すように、略円筒状の外筒61と、外筒61の内部に同心状に設置された略円柱状の内筒71とを備えた二重管構造である。そして、この熱交換装置10には、固定された外筒61に対して内筒71の一部(後述する回転部73)を回転移動させる回転機構(移動機構)83を備えている。回転機構83は、回転部73を回転可能に支持する回転軸81と、回転軸81を介して回転部73を回転させるモータなどのアクチュエータ82とを備えて構成されている。なお、以下の説明で軸方向というときは、回転軸81の軸方向を示すものとする。
外筒61は、中空円筒状の外形を有しており、該外筒61の内周面61aの一部には、図3(c)に示すように、軸方向から見た断面形状が外筒61の径方向に所定厚さを有する半円弧面形状の蓄熱室62が形成されている。蓄熱室62は、外筒61の内周面61aのうち、回転軸81を含む平面で二分割した一方の側(図では上側半分)に配置されている。蓄熱室62の内部には、蓄熱材20が充填されている。また、蓄熱室62には、図2に示すように、蓄熱材20の過冷却状態を解除するための過冷却解除手段(以下、「発核装置」という)25が設置されている。蓄熱材20及び発核装置25の詳細については後述する。また、外筒61の内周面における他方の側(図では下側半分)には、断熱材64を収容した断熱室65が配置されている。断熱室65は、軸方向から見た断面形状が外筒61の径方向に所定厚さを有する半円弧面形状であり、回転軸81に対して蓄熱室62と対称(図では上下対称)の配置になっている。断熱室65に充填された断熱材64は、例えば、合成樹脂材などの断熱性に優れた材料で構成された湾曲板状の塊状体からなる。なお、断熱材64の材料は断熱性を確保できるものであればこれに限定されず、例えば、気体あるいは液状体や流動性を有する半固形状の材料などであってもよい。
図2に示すように、内筒71は、軸方向の両側が外筒61に対して固定された固定部72,72になっており、固定部72,72の内側は、該固定部72,72に対して回転可能に支持された回転部73になっている。回転部73の外周面73aは、外筒61の内周面61aと面接触しており、回転部73の回転により、回転部73の外周面73aと外筒61の内周面61aとが摺動するようになっている。内筒71の内部は、図3(c)に示すように、回転軸81を含む平面を境として二室に分割されている。一方の室は、冷却水循環路31からエンジン30の冷却水Wが導入される第1室(第1区画)74であり、他方の室は、作動油循環路41から自動変速機40の作動油Uが導入される第2室(第2区画)75である。なお、各図では、第1室74と第2室75を分かり易く示すため、第1室74の冷却水Wに横棒の記号を並べた模様を施し、第2室75の作動油UにV字型の記号を並べた模様を施している。
第1室74は、内筒71の固定部72,72と回転部73に渡って配置されており、固定部72,72と回転部73の間が軸方向に直交する平面からなる境界面78,78で分割されている。また、第2室75は、やはり内筒71の固定部72,72と回転部73に渡って配置されており、固定部72,72と回転部73の間が上記の境界面78,78で分割されている。第1室74における固定部72,72に属する部分にはそれぞれ、第1室74に冷却水Wを導入する冷却水入口76aと、第1室74から冷却水Wを導出する冷却水出口76bとが設けられている。冷却水入口76aと冷却水出口76bは、図1に示す冷却水循環路31の上流側と下流側にそれぞれ接続されている。また、第2室75における固定部72,72に属する部分にはそれぞれ、第2室75に作動油Uを導入する作動油入口77aと、第2室75から作動油Uを導出する作動油出口77bとが設けられている。作動油入口77aと作動油出口77bは、作動油循環路41の上流側と下流側にそれぞれ接続されている。なお、図2では、第1室74及び第2室75の固定部72,72に属する部分を分かり易く示すため、当該部分の内周縁に帯状のハッチングを施している。
図2及び図3(a)に示すように、内筒71の境界面78,78には、回転軸81を中心とする同心円状に形成された複数の突起と窪みとの組み合わせからなる係合部78a,78aが設けられており、該係合部78a,78aにより、回転部73が固定部72,72の間で回転自在に支持されている。第1室74の固定部72,72と回転部73は、境界面78,78に設けた冷却水通路78b,78bで繋がっており、第2室75の固定部72,72と回転部73は、境界面78,78に設けた作動油通路78c,78cで繋がっている。冷却水通路78b及び作動油通路78cは、詳細な図示は省略するが、回転部73の回転角度位置に関わらず開通するように、例えば、固定部72,72側に設けた同心円状に配置した複数の小孔と、回転部73側に設けた該小孔に対向する円形の環状孔とで構成するとよい。
さらに、第1室74は、図2及び図3(b)に示すように、固定部72,72および該固定部72,72に隣接する回転部73の両側部分が、回転軸81の外側全周を囲む環状に形成されており、かつ、図2及び図3(c)に示すように、回転部73の中間部分は、回転軸81の一方の側(図では上側半分)のみに半円弧形状に偏心して配置されている。また、第2室75は、図2及び図3(b)に示すように、固定部72,72及び回転部73の軸方向の両側部分が第1室74の外側全周を囲む環状に形成されており、かつ、図2及び図3(c)に示すように、回転部73の中間部分は、回転軸81の他方の側(第1室74と反対側、図では下側半分)のみに半円弧形状に偏心して配置されている。
内筒71の回転部73を回転させるアクチュエータ82は、ECU50の指令に応じて駆動されるようになっている。ECU50及びアクチュエータ82で回転部73の回転を制御することで、該回転部73の回転角度を任意に変更できる。これにより、外筒61の蓄熱室62及び断熱室65と、内筒71の第1室74及び第2室75とを相対的に回転させて、第1室74と第2室75に対する蓄熱室62と断熱室65の接触比率を可変させることができる。すなわち、ドラム状の回転部73の回転により、蓄熱材20と断熱材64の冷却水Wと作動油Uに対する接触比率を0〜100%の範囲で任意に変化させることが可能となる。したがって、蓄熱材20と直接に熱交換を行わせる熱交換媒体の種類を冷却水Wと作動油Uとで切り換えることが可能となると共に、蓄熱材20との熱交換の比率(蓄熱材20との接触面積の比率)を冷却水Wと作動油Uの間で任意に調節することが可能となる。
蓄熱材20は、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材であり、凝固点以下になっても液状のままで固化しない性質を有している。このような蓄熱材20として、例えば、酢酸ナトリウム水和物からなる潜熱蓄熱材が挙げられる。酢酸ナトリウム水和物は、発核装置25による過冷却状態の解除によって、平衡状態に戻って固化する際に発熱し、温度の低い他の媒体を加熱することができる。ここでは、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材の代表例として酢酸ナトリウム水和物を挙げたが、他にも、水和塩化合物(化学式としてMx・nH2O(n:整数)で表わされるもの)を挙げることができ、Na2SO4・10H2O,CaCl2・6H2Oを例示することができる。
図4は、蓄熱室62に設置した発核装置25の構成例を示す概略側面図である。同図に示す発核装置25は、蓄熱材20中に設置された円形平板状の金属バネ部材26と、金属バネ部材26に打撃を与えるソレノイド27とを備えている。ソレノイド27は、ECU50の指令に応じて動作する。金属バネ部材26は、同図(a)に示す状態において、ソレノイド27による打撃で中央部26aが押圧されると、同図(b)に示すように、該中央部26aが反転するようになっている。これにより、蓄熱材20中に核が生成(発核)され、蓄熱材20の過冷却状態が解除されて固化が始まる。なお、解除手段としては、蓄熱材20中に核を生成可能な機構であれば、図4に示す発核装置25以外の構造でもよく、上記以外にも、例えば、蓄熱材20中で金属摩擦あるいは電圧印加などを施す機構であってもよい。
また、蓄熱材20は、化学反応を利用して熱の吸収・放出を行うことができる化学蓄熱材からなるものであってもよい。このような化学蓄熱材として、例えば、ゼオライトからなる蓄熱材がある。図5は、ゼオライトからなる蓄熱材21を収容した熱交換装置10の構成例を示す概略図である。この場合、熱交換装置10は、ゼオライトからなる蓄熱材21に反応媒体である水22を供給して化学反応を生じさせる反応媒体供給部23を備えて構成される。この熱交換装置10では、エンジン30の運転時に、冷却水Wや作動油Uとの熱交換でゼオライト21を加熱して脱水させ、これにより、蓄熱材21に蓄熱する。一方、エンジン30の始動時には、反応媒体供給部23から蓄熱材21に水22を供給して吸着させることで、蓄熱材21に吸着熱を発生させて冷却水Wや作動油Uを加熱する。化学蓄熱材としては、ゼオライトの他にも、例えば、シリカゲル・活性炭・生石灰などがあり、化学反応を生じさせる反応媒体としては、水の他にも、エタノール・メタノール・エチレングリコール系不凍液・塩化カルシウム系不凍液などがある。また、化学蓄熱材の例としては、他にも水素吸蔵合金を用いた蓄熱材などが挙げられる。
図6は、上記構成の暖機システム1でエンジン30や自動変速機40の暖機を行う際の制御手順を示すメインフローである。以下、同図のフローに従って、暖機システム1の制御手順について説明する。まず、ステップST1−1では、後述する発核制御サブルーチンに従って蓄熱材20の発核制御が行われる。図7は、発核制御サブルーチンを示すフローチャートである。本実施形態の車両用暖機システム1では、既述のように、乗員が車外でエンジンスタートキー53のウォームアップスイッチ53aを操作した場合、ECU50でその信号が受信される。暖機システム1は、このウォームアップ指令の有無に応じて蓄熱材20の発核を制御するように構成されている。したがって、発核制御サブルーチンでは、ウォームアップ信号の入力の有無を判定する(ステップST2−1)。その結果、ウォームアップ信号の入力が無い場合(N)は、発核許可フラグ=0、すなわち発核を不許可とする(ステップST2−2)。一方、ウォームアップ信号の入力が有る場合(Y)は、冷却水温TWが所定の発核許可温度TW1より低いか否かを判定する(ステップST2−3)。発核許可温度TW1の具体例は60℃である。その結果、冷却水温TWが発核許可温度TW1以上であれば(N)、発核許可フラグ=0とする(ステップST2−2)。つまり、始動時に冷却水温TWが十分に高い場合は、熱交換装置10によるエンジン30や自動変速機40の暖機は不要と判断し、蓄熱材20の発核を許可しない。一方、冷却水温TWが発核許可温度TW1より低ければ(Y)、発核許可フラグ=1、すなわち蓄熱材20の発核を許可する(ステップST2−4)。
続いて、図6に示すメインフローに戻り、発核許可フラグ=1であるか否かを判定する(ステップST1−2)。その結果、発核許可フラグ=0(NO)、すなわち発核が不許可であれば、ステップST1−1の発核制御サブルーチンに戻り、発核許可があるまで待機する。一方、発核許可フラグ=1(YES)、すなわち発核が許可されていれば、続けて、始動後時間判定値検索済みフラグ=1か否かを判断する(ステップST1−3)。図8は、エンジン30の始動時の冷却水温度TWstに対する始動後経過時間の判定値Tast1及び判定値Tast2の分布を示すグラフである。ここでは、エンジン30の始動後の時間判定値として、判定値Tast1と判定値Tast2の二種類の判定値を検索する。これら判定値は、エンジン30の始動時の冷却水温度TWstに基づいて、図8のグラフから検索される。すなわち、ステップST1−3で時間判定値検索済みフラグ=0(NO)であれば、まず判定値Tast1を検索し(ステップST1−4)、続けて判定値Tast2を検索する(ステップST1−5)。その後、時間判定値検索済みフラグ=1とする(ステップST1−6)。一方、ステップST1−3で時間判定値検索済みフラグ=1(YES)である場合は、既に判定値Tast1および判定値Tast2の検索が済んでいるので、ステップST1−4〜ST1−6は省略する。
続いて、冷却水温度TWがエンジン暖機判定温度TWhotより高いか否かを判断する(ステップST1−7)。ここでのエンジン暖機判定温度TWhotは、一例として60℃である。その結果、冷却水温度TWがエンジン暖機判定温度TWhotよりも高い場合(YES)は、蓄熱材20によるエンジン30や自動変速機40の暖機は不要と判断し、蓄熱材20による冷却水Wや作動油Uの加熱は行わず、代わりに、冷却水Wあるいは作動油Uの熱を蓄熱材20に蓄える蓄熱モードを実行する。この蓄熱モードでは、冷却水Wと作動油Uに対する蓄熱材20の接触比率を可変制御する蓄熱材接触比率可変制御を行う(ステップST1−8)。蓄熱材接触比率可変制御では、具体的には、冷却水Wと作動油Uのうちより温度の高いものに対して蓄熱材20を優先的に接触させる制御を行う。
一方、先のステップST1−7で冷却水温度TWがエンジン暖機判定温度TWhot以下である場合(NO)は、蓄熱材20によるエンジン30や自動変速機40の暖機が必要と判断し、続けて、始動後タイマ(エンジン始動後の経過時間)tm_astが判定値Tast2を経過しているか否かを判断する(ステップST1−8)。その結果、始動後タイマtm_astが判定値Tast2を経過していれば(YES)、以降、蓄熱材20によるエンジン30や自動変速機40の暖機は不要であると判断し、蓄熱モードに移行して、蓄熱材接触比率可変制御を実行する(ステップST1−8)。
一方、始動後タイマtm_astが判定値Tast2を経過していなければ(NO)、続けて、始動時の冷却水温度TWstが低温始動判定温度TWst1より低いか否かを判断する(ステップST1−9)。低温始動判定温度TWst1は、一例として−5℃である。その結果、始動時の冷却水温度TWstが低温始動判定温度TWst1より低ければ(YES)、続けて、始動後タイマtm_astが判定値Tast1を経過しているか否かを判断する(ステップST1−10)。ここでの判定値Tast1は、一例として、始動時の冷却水温度TWstが−20℃以下の極低温始動では10秒、始動時の冷却水温度TWstが−20℃〜−5℃の低温始動では2秒に設定することができる。このように、判定値Tast1は始動時の冷却水温度TWstに基づいて定めることができる。
始動後タイマtm_astが判定値Tast1を経過する前(ステップST1−10でNO)は、蓄熱材20を冷却水W(第1室74)側へ接触させて(ステップST1−12)、蓄熱材20によるエンジン30の暖機を行う。一方、始動後タイマtm_astが判定値Tast1を経過したら(ステップST1−10でYES)、蓄熱材20を作動油U(第2室75)側へ接触させるように移動して(ステップST1−11)、蓄熱材20による自動変速機40の暖機を行う。
図9(a)は、上記の極低温始動あるいは低温始動におけるエンジン30の始動後経過時間Tast(sec)に対するエンジン30の回転数N、および蓄熱材20の接触対象の切り換えを示すグラフである。同図に示すように、IGスイッチ56がオンされた後、クランキング状態を経て、エンジン30の回転数Nが始動判定回転数Nsを超えたとき、エンジン始動と判断する。このとき、IGスイッチ56のオンと同時に発核させた蓄熱材20は、当初、冷却水W側へ接触させておき、蓄熱材20で冷却水Wを加熱して始動直後のエンジン30の暖機を行う。その後、始動後タイマtm_astが判定値Tast1を経過したとき、蓄熱材20を回転させて作動油U側に接触させる。これにより、以降、冷却水Wの加熱によるエンジン30の暖機に代えて、作動油Uの加熱による自動変速機40の暖機を行う。
つまり、冷却水Wの温度に基づくエンジン30の運転状態からエンジン30の暖機が必要であると判断した場合、エンジン30の始動直後には、蓄熱材20によるエンジン30の暖機を優先的に行わせることができる。その上で、エンジン30の始動後所定時間が経過した後は、エンジン30の暖機がある程度進行したとみなして、蓄熱材20による暖機の対象をエンジン30から自動変速機40に切り換えることができる。
なお、始動後タイマtm_astが判定値Tast1を経過する前のステップST1−12では、冷却水Wが所定温度以下の低温である場合には、蓄熱材20を冷却水W側に接触させることに代えて、蓄熱材接触比率可変制御を行うことも可能である。図10は、この場合における始動時の冷却水温度TWstに対する蓄熱材接触比率の分布の一例を示すグラフである。同図のグラフは、横軸が始動時の冷却水温度TWst(℃)であり、縦軸が冷却水W側と作動油U側との蓄熱材接触比率Rstr(%)である。このグラフに示すように、始動時の冷却水温度TWstが低温の場合は、蓄熱材20の全体を冷却水W側に接触させる一方、始動時の冷却水温度TWstが高温の場合は、蓄熱材20の全体を作動油U側に接触させる。そして、始動時の冷却水温度TWstが上記の低温と高温との間であるときは、冷却水温度TWstに応じて蓄熱材20の接触比率を段階的に変化させるようにする。具体的には、始動時の冷却水温度TWstが低温側から高温側へ移動するに従い、蓄熱材20の接触の比率が冷却水W側から作動油U側へ移動するように制御する。
図6のフローに戻り、先のステップST1−9で、始動時の冷却水温度TWstが低温始動判定温度TWst1以上である冷機始動の場合(NO)は、続けて、エンジン不安定判定フラグ=1か否かを判断する(ステップST1−13)。ここでは、回転計39で検出したエンジン30の回転数の変化に基づいて、エンジン30の回転が不安定であるか否かを判断する。その結果、エンジン不安定判定フラグ=0(NO)、すなわちエンジン30の回転が安定と判断した場合は、蓄熱材20を作動油U側へ接触させる(ステップST1−11)。これにより、蓄熱材20で作動油Uを加熱して自動変速機40の暖機を行う。一方、エンジン不安定判定フラグ=1(YES)、すなわちエンジン30の回転が不安定と判断した場合は、蓄熱材20を冷却水W側へ接触させる(ステップST1−14)。これにより、蓄熱材20で冷却水Wを加熱してエンジン30の暖機を行う。
つまり、始動時の冷却水温度TWstが低温始動判定温度TWst1以上の冷機始動では、エンジン30が暖まっている状態であるため、蓄熱材20によるエンジン30の優先的な暖機は不要である。したがって、その場合は、回転数から判断したエンジン30の運転が不安定な状態でない限り、エンジン30の始動時から蓄熱材20による暖機の対象を自動変速機40としておき、始動後所定時間経過後もそのまま自動変速機40の暖機を継続して行うようにする。
図9(b)は、上記の冷機始動におけるエンジン30の始動後経過時間Tast(sec)に対するエンジン30の回転数N、および蓄熱材20の接触対象の切り換えを示すグラフである。上記のように、冷機始動では、エンジン30の始動後にエンジン30の回転数Nの変化を監視することで、エンジン30の運転状態の判定を行う。ここでの運転状態の判定(回転数変化の監視)は、一例として、エンジン30の始動後に回転数Nが最初のピーク回転数(最高回転数)NPに達した時点T1で開始し、エンジン30の暖機が完了したと判断される時点T2まで継続して行うようにする。この運転状態の判定でエンジン30の回転が不安定と判断した場合は、蓄熱材20を冷却水W側へ接触させてエンジン30の暖機を行う一方、エンジン30の回転が安定と判断した場合は、蓄熱材20を作動油U側へ接触させて自動変速機40の暖機を行う。
この場合、エンジン30の暖機が完了した時点は次のように判断するとよい。すなわち、エンジン30の始動後、冷却水温度TWがエンジン暖機判定温度TWhot(60℃)に達した時点(蓄熱モードへ移行する時点)でエンジン30の暖機が完了したと判断することができる。あるいは、エンジン30の始動後、最初のピーク回転数NPを過ぎてから、エンジン30の回転数Nがアイドル回転数N0あるいはその近傍まで下降した時点でエンジン30の暖機が完了したと判断してもよいし、最初のピーク回転数NP後の経過時間で判断してもよい。
図11は、暖機システム1で上記フローに従って行う暖機の手順を整理した一覧表である。同図の一覧表を基に、暖機システム1による暖機の具体的な手順の一例を説明する。まず、始動時の冷却水温が−20℃以下の極低温始動、あるいは始動時の冷却水温が−20℃〜−5℃の低温始動においては、エンジン30の始動時、蓄熱材20を冷却水W側に接触させておき、蓄熱材20で冷却水Wを加熱してエンジン30の暖機を行う。これにより、エンジン30の燃焼室の暖機で燃料の霧化が促進され、エンジン30の始動性や燃費が向上する。また、排気エミッションの低減も図れる。この場合、エンジン30の始動後、所定時間(Tast1)が経過したら蓄熱材20を回転させて作動油Uへの接触に切り換える。ここでの所定時間は、既述のように一例として極低温始動では10秒、低温始動では2秒に設定できる。つまり、エンジン30の始動後所定時間が経過した後は、蓄熱材20を作動油U側に接触させることで、蓄熱材20で自動変速機40の暖機を行う。これにより、アイドル運転時における自動変速機40の引き摺りフリクションを低減できるので、エンジン30の安定性の向上や燃費の向上を図ることができる。
一方、始動時の冷却水温が−5℃〜35℃の冷機始動においては、通常、エンジン30は自己暖機による安定した運転が可能であるため、蓄熱材20による暖機は不要と判断する。したがって、エンジン30の始動時には、蓄熱材20を作動油U側に接触させておき、蓄熱材20で作動油Uを加熱して自動変速機40の暖機を行う。これにより、走行時のフリクション低減による燃費の向上を図ることができる。
また、冷機始動におけるエンジン30の始動後には、回転計39で計測されたエンジンの回転数に基づいて、エンジン30の回転状態が安定であるか否かを判断する。その結果、エンジン30の回転変動が所定の許容範囲内であり、運転状態が安定であると判断した場合は、そのまま蓄熱材20を作動油U側に接触させおき、蓄熱材20で作動油Uを加熱して自動変速機40の暖機を行う。一方、エンジン30の回転変動が所定の許容範囲を超えており、運転状態が不安定であると判断した場合は、蓄熱材20を回転させて冷却水W側に接触させ、蓄熱材20によるエンジン30の暖機を行う。これにより、エンジン30の燃焼室の暖機で燃料の霧化が促進され、エンジン30の回転を早期に安定させることが可能となる。なおこの場合は、エンジン30の回転変動が許容範囲内に収まってから所定時間が経過したとき、あるいは、冷却水温が所定温度以上になったとき、蓄熱材20の接触を作動油U側に切り換えることで、蓄熱材20によるエンジン30の暖機を停止して自動変速機40の暖機に切り換える。
また、エンジン30の始動後、蓄熱材20によるエンジン30の暖機、あるいは自動変速機40の暖機を行っているときは、蓄熱材20を冷却水Wと作動油Uの間に配置し、冷却水Wと作動油Uの両方と接触させるようにする。これにより、蓄熱材20と冷却水Wおよび作動油Uの両方との熱交換を促進させることができる。
冷却水温度に基づくエンジン30の暖機完了、あるいは作動油温度に基づく自動変速機40の暖機完了を判断したら、蓄熱モードに移行する。蓄熱モードでは、蓄熱材20の回転位置を制御して、冷却水Wと作動油Uのうち温度の高い方に優先的に接触させる。これにより、冷却水Wまたは作動油Uの熱で蓄熱材20への蓄熱を行う。蓄熱が完了したら、蓄熱材20はその位置で停止させておく。
以上説明したように、本実施形態の車両用暖機システム1によれば、熱交換装置10は、エンジン30の冷却水Wが流通する第1室74および自動変速機40の作動油Uが流通する第2室75と、蓄熱材20を収容した蓄熱室62とを相対的に移動させる移動機構(回転機構)83を備え、該移動機構83により、蓄熱室62の蓄熱材20が第1室74の冷却水Wと直接的に熱交換可能な領域と、第2室75の作動油Uと直接的に熱交換可能な領域との比率を変更可能としている。これにより、例えば、蓄熱材20の放熱でエンジン30や自動変速機40の暖機を行う際、エンジン30や自動変速機40の運転状況から判断した暖機の優先順位に応じて、冷却水Wと作動油Uに対して蓄熱材20が熱交換可能な領域の比率を可変させることで、冷却水Wと作動油Uに与える熱の配分の最適化を図ることができる。したがって、エンジン30と自動変速機40の暖機を車両の運転状況に応じて的確に行えるようになり、車両で発生する熱を効率良く利用することが可能となる。
また、蓄熱材20に熱を蓄える際にも、蓄熱材20が冷却水Wと作動油Uに対して熱交換可能な領域の比率を可変させることで、冷却水Wと作動油Uのうちより多くの熱を保持するものから蓄熱材20に対して効果的に熱を与えることが可能となる。特に、蓄熱材20を過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材とする場合、蓄熱材20の融解が完全に終わる前に熱の供給が絶たれると、蓄熱材20中に固層が残存する。その状態では、時間の経過により、蓄熱材20が放熱して固形状態に戻ってしまい、蓄熱を保持できない。したがって、蓄熱時には、蓄熱材20の全体が融解するように十分な加熱を行う必要がある。この点、本実施形態の熱交換装置10によれば、冷却水Wと作動油Uのうちより高温のものから選択的に熱を与えることができるので、短時間の加熱でも蓄熱材20の全体を効率良く融解させることが可能となる。
そして、この車両用暖機システム1では、回転機構83により第1室74及び第2室75を回転させることで、第1室74と第2室75に対する蓄熱室62の接触面積の比率を変化させるようになっている。したがって、簡単な構成で、蓄熱室62の蓄熱材20が第1室74の冷却水Wと第2室75の作動油Uに対して熱交換可能な領域の比率を任意に変化させることが可能となる。また、第1室74及び第2室75を回転させる機構としたことで、蓄熱材20が冷却水Wと作動油Uとの間で授受する熱の配分を効率良く最適化できるようになる。
また、この熱交換装置10では、断熱材64を有する断熱室65をさらに備え、回転機構83は、第1室74及び第2室75と蓄熱室62及び断熱室65とを相対的に回転移動させるように構成されており、第1室74と第2室75に対する蓄熱室62の接触面積の比率の変化に伴い、第1室74と第2室75に対する断熱室65の接触面積の比率が変化するようになっている。したがって、冷却水Wと作動油Uに対する熱配分の比率の変化に伴い、冷却水W及び作動油Uの断熱作用の比率も変化する。これにより、冷却水W及び作動油Uに与える熱の配分だけでなく、冷却水W及び作動油Uの保温作用の最適化も図ることが可能となる。
また、本実施形態では、蓄熱室62に充填した蓄熱材20として、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材を用いている。潜熱蓄熱材は、液状の蓄熱材が凝固点以下になっても固化せず、蓄熱を保持したまま過冷却状態をとり得る。したがって、外気温が低下しても蓄熱を保持でき、かつ、長期間放置しても蓄熱を安定的に保持できるので、熱交換装置10の断熱構造(外筒61の外部に対する断熱構造)を簡素化できる。また、発核装置25による過冷却状態の解除により、所望のタイミングで蓄熱材20を発熱させることができるので、エンジン30や自動変速機40の早期暖機をより効果的に行えるようになる。
また、本実施形態の車両用暖機システム1では、冷却水Wの温度が所定温度以下である場合、エンジン30の始動時と始動後所定時間経過後とで、蓄熱室62が第1室74と第2室75に対して直接的に熱交換可能な領域の比率を入れ替えるようにしている。その一方で、冷却水Wの温度が所定温度より高い場合は、エンジン30の始動時と始動後所定時間経過後とで、蓄熱室62が第1室74と第2室75に対して直接的に熱交換可能な領域の比率を変化させないようにしている。これらにより、エンジン30と自動変速機40に対する暖機をそれらの運転状況に応じて的確に切り換えて行えるようになり、エンジン30と自動変速機40に与える熱の配分を最適化することが可能となる。したがって、車両の始動時に、車両の運転状態に基づいて判断した暖機の必要性に応じて的確な暖機動作を行えるようになる。
また、本実施形態の車両用暖機システム1では、エンジン30の始動時の運転状態を判断し、該運転状態が不安定である場合、蓄熱材20によるエンジン30の暖機を優先的に行うことで、エンジン30の運転状態を早期に安定させることが可能となる。また、エンジン30の運転状態が安定した後は、蓄熱材20による暖機対象を自動変速機40に切り換えることで、不必要な暖機動作を最小限に抑えることが可能となる。これにより、エンジン30と自動変速機40に与える熱の配分の最適化を図ることが可能となる。
なお、本実施形態の車両用暖機システム1では、水温センサ38で検出した冷却水の水温に基づいて第1室74及び第2室75と蓄熱室62及び断熱室65の相対回転を制御する場合を説明したが、これ以外にも、外気温センサ54で検出した外気温に基づいて当該回転を制御することも可能である。
また、本実施形態の車両用暖機システム1では、図示は省略するが、冷却水あるいは作動油による蓄熱材20の加熱を補助するための電気ヒーターを設置してもよい。このような電気ヒーターを備えていれば、車両の走行時に蓄熱材20への蓄熱を行う際、電気ヒーターによる加温を併用して蓄熱を行えるようになる。また、車両の停止直後に蓄熱材20の蓄熱が完了するまでの間、電気ヒーターによる加温を継続して行うことも可能となる。したがって、車両の1回の運転時間が短い場合などにおいても、蓄熱材20の蓄熱をより確実に完了でき、次回車両の始動時に、蓄熱材20によるエンジン30や自動変速機40の早期暖機を効果的に行えるようになる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態にかかる車両用暖機システムについて説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項、及び図示する以外の事項については、第1実施形態と同じである。
図12は、第2実施形態の車両用暖機システムが備える熱交換装置10−2の構成例を示す側断面図である。第1実施形態の熱交換装置10では、内筒71の回転部73に形成された第1室74と第2室75の両方が一体に回転する構成であったのに対して、第2実施形態の熱交換装置10−2では、内筒71に形成された第2室75は回転せず、第1室74のみが回転するようになっている。すなわち、第1室74は、第2室75の内部で回転軸81周りに回転自在に支持されている。第1室74は、その軸方向の両側部分が回転軸81の外側全周を囲む環状に形成されており、かつ、軸方向の中間部分は、回転軸81の一方の側(図では上側半分)のみに半円弧形状に偏心して配置されている。第2室75は、第1室74の外側を囲む円筒状に形成されている。したがって、第2室75の内部に作動油Uと共に第1室74が回転自在に収容された状態になっている。また、第1室74は、回転軸81周りに配置された両端部を介して中間部分が回転するようになっているが、両端部に設けた冷却水入口76aと冷却水出口76bは、いずれも回転軸81の中心に一致しているので、第1室74が回転する際、それらの位置が移動しないようになっている。
熱交換装置10−2では、蓄熱室62又は断熱室65に第1室74が接触していない場合は、代わりに第2室75の作動油Uが接触するようになる。したがって、第1室74が蓄熱室62に接触する位置と断熱室65に接触する位置との間で回転することで、蓄熱材20及び断熱材64に対する冷却水Wと作動油Uの接触が切り替わるようになっている。これにより、蓄熱材20及び断熱材64に対する冷却水Wと作動油Uの接触または離間、あるいはそれらの接触比率を切り換える機構をより簡単な構成で実現可能となる。
〔第3実施形態〕
図13は、第3実施形態の車両用暖機システムが備える熱交換装置10−3の構成例を示す図で(a)は、側断面図、(b)は、(a)のE−E部断面図である。第3実施形態の熱交換装置10−3は、第1実施形態の熱交換装置10と比較して、外筒61又は内筒71に形成した蓄熱室62及び断熱室65と第1室74及び第2室75との配置が互いに逆になっている。すなわち、熱交換装置10−3では、蓄熱室62及び断熱室65が内筒71に形成されており、冷却水Wを導入する第1室74及び作動油Uを導入する第2室75が外筒61に形成されている。そして、本実施形態の熱交換装置10−3でも、外筒61は固定されており、内筒71は、外筒61に対して回転軸81周りで回転可能に支持されている。また、第1室74に冷却水Wを導入する冷却水入口76aと冷却水Wを導出する冷却水出口76b、および第2室75に作動油Uを導入する作動油入口77aと作動油Uを導出する作動油出口77bは、いずれも外筒61の軸方向の両端面に設けられている。そして、第1実施形態の熱交換装置10では、内筒71は軸方向の中間の回転部73のみが回転するように構成されていたが、本実施形態の熱交換装置10−3では、内筒71は、全体が回転可能な部分として一体に構成されている。
この熱交換装置10−3では、回転機構83により、内筒71の蓄熱室62及び断熱室65が回転することで、蓄熱室62及び断熱室65を第1室74及び第2室75に対して相対的に回転させることができる。これにより、第1室74と第2室75に対する蓄熱室62と断熱室65の接触比率を可変させることができる。したがって、蓄熱材20と直接的に熱交換を行う熱交換媒体を冷却水Wと作動油Uで切り換えることが可能となると共に、冷却水Wと作動油Uで、蓄熱材20と直接的に熱交換を行う比率を任意に変更することが可能となる。
また、本実施形態の熱交換装置10−3では、冷却水入口76aや作動油入口77aを介して外部と繋がっている第1室74及び第2室75を固定側の外筒61に配置して、回転する内筒71には、外部に対して媒体などの出入りが無い蓄熱室62及び断熱室65を配置している。したがって、第1実施形態の熱交換装置10と比較して、外筒61と内筒71の構造及びそれらの周辺構造を簡単にすることができる。これにより、熱交換装置10−3の構成の簡素化による部品点数の削減や軽量化を図ることができる。
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態にかかる車両用暖機システムについて説明する。図14は、第4実施形態の車両用暖機システムが備える熱交換装置10−4の構成例を示す図で、(a)は、側断面図、(b)は、(a)のF−F部断面図である。本実施形態の熱交換装置10−4は、第3実施形態の熱交換装置10−3と比較して、外筒61の構成が異なっている。具体的には、本実施形態の外筒61には、エンジン30の冷却水Wを導入する第1室74と自動変速機40の作動油Uを導入する第2室75とに加えて、エンジン30の潤滑油Mを導入する第3室79が設けられている。なお、図14及び以降の各図では、第3室79を分かり易く示すため、第3室79の潤滑油Mに横向きS字状の記号を並べた模様を施している。
すなわち、本実施形態の熱交換装置10−4が備える外筒61には、図14(b)に示すように、回転軸81回りに同心円状で等間隔(120度間隔)で配置した第1室74と第2室75と第3室79とが配置されている。またそれに伴い、本実施形態の車両用暖機システムでは、図示は省略するが、エンジン30に導入する潤滑油が貯留された潤滑油貯留部と熱交換装置10−4との間で潤滑油を循環流通させるための潤滑油循環路が設けられている。この潤滑油循環路は、熱交換装置10−4の第3室79に潤滑油Mを導入する潤滑油入口80aと、第3室79から潤滑油Mを導出する潤滑油出口80bとに繋がれている。また、内筒71の蓄熱室62及び断熱室65の構成は、基本的には第3実施形態の熱交換装置10−3と同じであるが、本実施形態では、蓄熱室62が円周方向における1/3の範囲(120度分)に配置されており、断熱室65が残り2/3の範囲(240度分)に配置されている。これにより、蓄熱室62における第1室74、第2室75、第3室79に接触する面の大きさ(回転方向の幅)が、対応する第1室74、第2室75、第3室79の面の大きさと一致するようになっている。なお、蓄熱室62と断熱室65の範囲は互いに入れ替えてもよい。さらにいえば、蓄熱室62と断熱室65の範囲の比率は、上記の1/3と2/3には限らず任意の割合に設定することが可能である。
本実施形態の熱交換装置10−4では、回転機構83により内筒71の蓄熱室62及び断熱室65が回転することで、蓄熱室62及び断熱室65と外筒61の第1室74乃至第3室79とを相対的に回転させることができ、蓄熱室62及び断熱室65に対する第1室74、第2室75、第3室79の三者間の接触比率を可変させることができる。したがって、蓄熱室62の蓄熱材20と直接的に熱交換を行う熱交換媒体を冷却水Wと作動油Uと潤滑油Mの三種類の中から切り換えることが可能となると共に、冷却水Wと作動油Uと潤滑油Mが蓄熱材20と直接的に熱交換を行う比率を変更することが可能となる。このように、蓄熱材20による加熱対象として、エンジン30の冷却水Wだけでなくエンジン30の潤滑油Mも含むので、エンジン30の早期暖機、及びエンジン30の熱を利用した蓄熱材20への蓄熱をより効果的に行えるようになる。
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態にかかる車両用暖機システムについて説明する。図15は、第5実施形態の車両用暖機システムが備える熱交換装置10−5の構成例を示す図で、(a)は、側断面図、(b)は、(a)のG−G部断面図である。第1乃至第4実施形態の熱交換装置10〜10−4では、外筒61が固定されており、内筒71が回転するようになっていたが、本実施形態の熱交換装置10−5では、これらとは逆に、内筒71が固定されており、外筒61が回転するようになっている。すなわち、熱交換装置10−5では、回転軸81は軸方向における外筒61の一側面の中心に固定されており、外筒61を回転可能に支持している。したがって、アクチュエータ82による回転軸81の回転で、固定側の内筒71の外側で外筒61が回転するように構成されている。
外筒61には、蓄熱材20を収容した蓄熱室62と断熱材64を収容した断熱室65とが設けられている。一方、内筒71には、冷却水Wを導入する第1室74と作動油Uを導入する第2室75とが設けられている。また、内筒71の軸方向の一側面における第1室74と第2室75に対応する位置にはそれぞれ、冷却水入口76a及び冷却水出口76bと、作動油入口77a及び作動油出口77bとが設けられている。なお、第1室74と第2室75は、内部の流路が軸方向で冷却水入口76a又は作動油入口77aを設けた一端から他端へ横方向に向かい、該他端で上下に向かって略U字状に反転し、再度、前記一端の冷却水出口76b又は作動油出口77bに向かっている。
本実施形態の熱交換装置10−5では、回転機構83により外筒61の蓄熱室62及び断熱室65が回転することで、蓄熱室62及び断熱室65を第1室74及び第2室75に対して相対的に回転させることができる。これにより、蓄熱室62と断熱室65に対する第1室74と第2室75の接触比率を可変させることができる。したがって、第1乃至第3実施形態と同様、蓄熱材20と直接的に熱交換を行う熱交換媒体を冷却水Wと作動油Uとで切り換えることが可能となると共に、冷却水Wと作動油Uのうち、蓄熱材20と直接的に熱交換を行うものの比率を任意に変更することが可能となる。
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態にかかる車両用暖機システムについて説明する。図16は、第6実施形態の車両用暖機システムが備える熱交換装置10−6の構成例を示す図で、(a)は、側断面図、(b)は、(a)のH−H部断面図である。本実施形態の熱交換装置10−6は、第5実施形態の熱交換装置10−5と比較して、内筒71の構成が異なっている。すなわち、内筒71には、エンジン30の冷却水Wを導入する第1室74と自動変速機40の作動油Uを導入する第2室75とに加えて、エンジン30の潤滑油Mを導入する第3室79が設けられている。
本実施形態の熱交換装置10−6が備える内筒71は、図16(b)に示すように、中心軸周りに同心円状で等間隔(120度間隔)に第1室74と第2室75と第3室79とが配置されている。これに伴い、本実施形態の車両用暖機システムにおいても、エンジン30に導入する潤滑油を貯留する潤滑油貯留部(図示せず)と熱交換装置10−6との間に潤滑油循環路(図示せず)が設けられている。なお、外筒61の蓄熱室62及び断熱室65の構成は、基本的には、第5実施形態の熱交換装置10−5と同じであるが、本実施形態では、蓄熱室62が円周方向における1/3の範囲(120度分)に配置されており、断熱室65が残り2/3の範囲(240度分)に配置されている。なお、蓄熱室62と断熱室65の範囲は互いに入れ替えてもよい。さらにいえば、蓄熱室62と断熱室65の範囲の比率は、上記の1/3と2/3には限らず任意の割合に設定することが可能である。
本実施形態の熱交換装置10−6では、回転機構83により外筒61の蓄熱室62及び断熱室65を回転させることで、蓄熱室62及び断熱室65と第1室74乃至第3室79とを相対的に回転させることができ、蓄熱室62と断熱室65に対する第1室74、第2室75、第3室79の接触比率を可変させることができる。したがって、蓄熱材20と直接的に熱交換を行う熱交換媒体を冷却水Wと作動油Uと潤滑油Mの三種類の中で切り換えることが可能となると共に、冷却水Wと作動油Uと潤滑油Mの三者が蓄熱材20と直接的に熱交換を行う比率を変更することが可能となる。したがって、複数の暖機対象への熱配分の最適化を図ることができ、車両で発生する熱エネルギーのさらなる有効利用が可能となる。また、蓄熱材20による加熱対象として、エンジン30の冷却水Wだけでなく潤滑油Mも含むので、エンジン30の暖機及びエンジン30の熱を利用した蓄熱材20への蓄熱をより効果的に行えるようになる。
〔第7実施形態〕
次に、本発明の第7実施形態にかかる車両用暖機システムについて説明する。図17及び図18は、第7実施形態の車両用暖機システムが備える熱交換装置10−7の構成例を示す図で、図17は、概略分解斜視図、図18(a)及び(b)は、熱交換装置10−7の動作を説明するための概略側断面図である。上記の第1乃至第6実施形態の熱交換装置10〜10−6が備える移動機構83は、同心状に配置された外筒61と内筒71とを相対的に回転させる回転機構83であったが、本実施形態の熱交換装置10−7が備える移動機構93は、外筒61に対して内筒71を軸方向に沿って直線状に移動させる直線移動機構である。なお、図17では、図示及び説明の都合上、外筒61の内部に配置された内筒71が見えるように、外筒61を軸方向に沿って二分割した状態を示しているが、実際は、外筒61は一体の円筒形状である。
すなわち、熱交換装置10−7では、外筒61の内側に配置された内筒71が軸方向に沿って直線状に進退移動することで、外筒61の内周面61aと内筒71の外周面71aとが摺動するようになっている。内筒71を直線移動させる移動機構93は、内筒71の中心軸部分を貫通する回転軸91と、回転軸91を回転させるモータなどのアクチュエータ92とで構成されている。回転軸91の外周面には、軸方向に沿う螺旋状のネジ山91aが形成されており、該ネジ山91aが内筒71の中心軸部分に形成されたネジ溝71b(図18参照)に対してネジ係合している。したがって、アクチュエータ92の駆動により回転軸91が回転すると、内筒71が軸方向に沿って進退移動する。
外筒61には、冷却水Wを導入する第1室74と作動油Uを導入する第2室75とが軸方向に並べて形成されている。第1室74と第2室75はいずれも外筒61の形状に沿う円環形状に形成されており、軸方向の長さが互いに等しくなっている。一方、内筒71の内部は、蓄熱材20を収容する蓄熱室62になっている。蓄熱室62の軸方向の長さは、第1室74又は第2室75の同方向と等しい長さ、すなわち外筒61の半分の長さに形成されている。
この熱交換装置10−7では、図18(a)に示すように、内筒71が外筒61の一端(図における左端)に位置しているとき、蓄熱室62の外周62aと第1室74の内周74aとが接した状態となり、蓄熱材20と冷却水Wとの直接的な熱交換が可能となる。一方、図17(a)に示す状態から、移動機構93により内筒71を移動させて、同図(b)に示すように、内筒71を外筒61の他端(図における右端)に位置させたとき、蓄熱室62の外周62aが第2室75の内周75aと接した状態となり、蓄熱材20と作動油Uとの直接的な熱交換が可能となる。また、内筒71を(a)に示す位置と(b)に示す位置との間の任意の位置で停止させれば、蓄熱材20と冷却水W及び作動油Uの両方との直接の熱交換が行える状態となり、蓄熱材20の位置を任意に変更することで、蓄熱材20から冷却水Wあるいは作動油Uに与える熱、または、冷却水Wあるいは作動油Uから蓄熱材20に与える熱の配分を任意に設定することが可能となる。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
例えば、上記各実施形態の熱交換装置10〜10−7においては、第1室74と第2室75の配置を互いに逆にすることが可能であり、蓄熱室62と断熱室65の配置を互いに逆にすることも可能である。また、第1室74と第2室75と第3室79の三室を備える熱交換装置においては、第1室74乃至第3室79の配置を互いに入れ替えることも可能である。さらに、蓄熱室62と断熱室65の割合や第1室74乃至第3室79の割合は、上記実施形態に示すものには限らず、適宜他の割合とすることが可能である。また、断熱室65は省略することも可能である。その場合、断熱性を有する部材で構成した外筒61又は内筒71の一部を断熱室65の代わりに配置することで、当該外筒61又は内筒71の一部で第1室74や第2室75の断熱作用を確保することも可能である。また、本発明の熱交換装置が備える移動機構の具体的な構成は、上記実施形態に示す回転機構83や直線移動機構93には限定されず、それ以外の動作をさせる機構であってもよい。
また、上記各実施形態の熱交換装置10〜10−7では、熱交換装置で暖機を行う暖機対象をエンジン30及び自動変速機40とし、暖機対象と熱交換装置10との間で循環流通させる熱交換媒体がエンジン30の冷却水Wや自動変速機40の作動油U、あるいはエンジン30の潤滑油Mである場合を説明したが、本発明の車両用暖機システムでは、上記以外の機関または装置、例えば、車内の暖房を行う暖房装置などをさらに暖機対象として追加してもよいし、熱交換媒体として、冷却水W、作動油U、潤滑油M以外の媒体を用いてもよい。
また、上記各実施形態では、蓄熱区画が第1区画または第2区画に対して直接的に熱交換可能な領域の一例として、蓄熱区画が第1区画または第2区画に接する場合を説明したが、本発明における熱交換可能な領域とは、区画同士の熱交換が高い効率で確実に行えるように構成したものであれば、区画同士が直接的に接触しているものには限定されず、例えば、他の伝熱性に優れた部材を介して間接的に接触させたり、他の熱伝達媒体を介して熱交換を行わせたりするなど、上記実施形態に示す以外の構成を採用することも可能である。
本発明の第1実施形態にかかる車両用暖機システムの構成例を示す概略図である。 第1実施形態にかかる車両用暖機システムが備える熱交換装置の側断面図である。 熱交換装置を示す図で、(a)乃至(d)はそれぞれ、図2のA−A部断面図、B−B部断面図、C−C部断面図、D矢視図である。 発核装置の構成例を示す図である。 化学蓄熱材を収容した熱交換装置の構成例を示す概略図である。 車両用暖機システムで暖機を行う際の制御手順を示すフローチャートである。 発核制御サブルーチンを示すフローチャートである。 エンジン始動時の冷却水温度に対する始動後経過時間の判定値の分布を示すグラフである。 エンジンの始動後経過時間に対する回転数の変化および蓄熱材の接触対象切換の関係を示すグラフで、(a)は、極低温・低温始動時、(b)は、冷機始動時を示す。 エンジン始動時の冷却水温度に対する蓄熱材接触比率の分布を示すグラフである。 車両用暖機システムで暖機を行う手順を整理した表である。 第2実施形態の車両用暖機システムが備える熱交換装置の構成例を示す側断面図である。 第3実施形態の車両用暖機システムが備える熱交換装置の構成例を示す図で(a)は、側断面図、(b)は、(a)のE−E部断面図である。 第4実施形態の車両用暖機システムが備える熱交換装置の構成例を示す図で、(a)は、側断面図、(b)は、(a)のF−F部断面図である。 第5実施形態の車両用暖機システムが備える熱交換装置の構成例を示す図で、(a)は、側断面図、(b)は、(a)のG−G部断面図である。 第6実施形態の車両用暖機システムが備える熱交換装置の構成例を示す図で、(a)は、側断面図、(b)は、(a)のH−H部断面図である。 第7実施形態の車両用暖機システムが備える熱交換装置の構成例を示す概略分解斜視図である。 第7実施形態の熱交換装置の動作を説明するための概略側断面図である。
符号の説明
1 車両用暖機システム
10〜10−7 熱交換装置(蓄熱装置)
20 蓄熱材(蓄熱要素)
25 発核装置
30 エンジン(暖機対象)
31 冷却水循環路
38 水温センサ(温度計測手段)
39 回転計(回転数検出手段)
40 自動変速機(暖機対象)
41 作動油循環路
56 IGスイッチ
61 外筒
62 蓄熱室(蓄熱区画)
64 断熱材(断熱要素)
65 断熱室(断熱区画)
71 内筒
72 固定部
73 回転部
74 第1室(第1区画)
75 第2室(第2区画)
79 第3室(第3区画)
83 回転機構(移動機構)
93 直線移動機構(移動機構)
W 冷却水(第1熱交換媒体)
U 作動油(第2熱交換媒体)
M 潤滑油(他の熱交換媒体)

Claims (11)

  1. 蓄熱および放熱が可能な蓄熱要素を有する熱交換装置と、
    少なくとも第1暖機対象と第2暖機対象とを含む複数の暖機対象である機関又は装置と、
    前記第1暖機対象と前記熱交換装置との間で循環流通する第1熱交換媒体と、前記第2暖機対象と前記熱交換装置との間で循環流通する第2熱交換媒体と、を備え、
    前記熱交換装置は、前記第1熱交換媒体を導入する第1区画と、前記第2熱交換媒体を導入する第2区画と、前記蓄熱要素を収容した蓄熱区画と、前記蓄熱区画を前記第1区画および前記第2区画に対して相対的に移動させる移動機構と、該移動機構を制御する制御手段と、を具備し、前記移動機構により、前記蓄熱区画が前記第1区画に対して熱交換可能な領域と前記第2区画に対して熱交換可能な領域との比率を変更可能であり、
    車両の外気温、前記第1熱交換媒体の温度、前記第2熱交換媒体の温度の少なくともいずれかを計測する温度計測手段を備え、
    前記第1暖機対象の始動時に前記温度計測手段で計測した温度が所定温度以下である場合、
    前記第1暖機対象の始動時と始動後所定時間経過後とで、前記蓄熱区画が前記第1区画と前記第2区画とに対して熱交換可能な領域の比率を変化させる
    ことを特徴とする車両用暖機システム。
  2. 前記第1暖機対象の始動時に前記温度計測手段で計測した温度が前記所定温度以下である場合、
    前記第1暖機対象の始動時と始動後所定時間経過後とで、前記蓄熱区画が前記第1区画と前記第2区画とに対して熱交換可能な領域の大小関係を変更する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用暖機システム。
  3. 前記第1暖機対象の始動時に前記温度計測手段で計測した温度が前記所定温度より高い場合、
    前記第1暖機対象の始動後所定時間経過後は、
    前記蓄熱区画が前記第1区画と前記第2区画とに対して熱交換可能な領域の比率を、前記第1区画と前記第2区画のいずれか一方を優先した比率とする
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用暖機システム。
  4. 前記始動後所定時間は、前記温度計測手段で計測した温度に基づいて定められる
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用暖機システム。
  5. 前記第1暖機対象は、内燃機関であり、前記第1熱交換媒体は、前記内燃機関の冷却水であり、
    前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段を備え、
    前記内燃機関の始動時に前記温度計測手段で計測した前記冷却水の温度が前記所定温度より高い場合、
    前記内燃機関の始動後、該内燃機関の回転数が最初のピーク回転数に達した時点から該内燃機関の暖機が完了したと判断される時点までの間、前記運転状態検出手段で検出した運転状態を監視し、
    該運転状態を不安定と判断する場合、当該運転状態を安定と判断するまでは、前記蓄熱区画が前記第1区画に対して熱交換可能な領域の比率を前記第2区画に対して熱交換可能な領域の比率よりも高くする
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用暖機システム。
  6. 前記運転状態検出手段は、前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段であり、
    前記回転数検出手段で検出された前記内燃機関の回転数の変動が所定範囲を超える場合、前記内燃機関の運転状態を不安定と判断する
    ことを特徴とする請求項5に記載の車両用暖機システム。
  7. 前記第1熱交換媒体および前記第2熱交換媒体が有する熱で前記蓄熱要素の蓄熱を行う場合、
    前記第1区画と前記第2区画のうち、より温度の高い熱交換媒体が導入される区画に対して前記蓄熱区画が熱交換可能な領域の比率を他方の区画に対する比率より高くする
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車両用暖機システム。
  8. 前記蓄熱区画が前記第1区画または前記第2区画に対して熱交換可能な領域は、前記蓄熱区画が前記第1区画または前記第2区画に接する領域である
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用暖機システム。
  9. 前記移動機構は、前記蓄熱区画を前記第1区画および前記第2区画に対して相対的に回転させる回転機構であり、該回転機構により、前記蓄熱区画が前記第1区画と前記第2区画とに接する面積の比率を変化させる
    ことを特徴とする請求項8に記載の車両用暖機システム。
  10. 前記蓄熱要素は、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材からなり、
    前記熱交換装置は、前記蓄熱要素の過冷却状態を解除する過冷却解除手段を備える
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の車両用暖機システム。
  11. 前記蓄熱要素は、化学変化による熱の吸収・放出が可能な化学蓄熱材からなり、
    前記熱交換装置は、前記蓄熱要素に化学変化を生じさせる手段を備える
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の車両用暖機システム。
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