JP2009264156A - 車両用暖機システム - Google Patents

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達之 大橋
Tomohide Kudo
知英 工藤
Fumio Yatabe
文夫 谷田部
Shinya Fukushima
慎哉 福島
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Abstract

【課題】車両用暖機システムの構造の簡素化、小型化を図りながらも、暖機対象機関の早期暖機や車内の即効暖房を効果的に行えるようにする。
【解決手段】エンジン30の冷却水を蓄熱装置10に循環させる冷却水循環路31と、潤滑油を蓄熱装置10に循環させる潤滑油循環路36と、自動変速機40の作動油を蓄熱装置10に循環させる作動油循環路41とを備え、蓄熱装置10は、冷却水循環路31に連通する第一室15と、潤滑油循環路36に連通する第二室16と、作動油循環路41に連通する第三室17と、蓄熱材20を配設した第四室18とを有し、第一室15の冷却水と第二室16の潤滑油と第三室17の作動油と第四室18の蓄熱材20の間で熱交換を行える車両用暖機システム1である。この車両用暖機システム1によれば、各種の熱源媒体が保持する熱を効率良く配分して有効利用することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関や変速機などの早期暖機あるいは車内の即効暖房を行うことができる蓄熱装置を備えた車両用暖機システムに関する。
従来、例えば特許文献1、2に示すように、蓄熱により内燃機関(以下、「エンジン」という)や自動変速機の暖機を行う蓄熱装置を備えた車両用暖機システムがある。特許文献1に記載の蓄熱装置(蓄熱タンク)は、エンジンの冷却水を蓄熱媒体として用い、該蓄熱媒体を断熱性の高い容器に収容したものである。また、特許文献2に記載の蓄熱装置は、自動変速機の作動油が流通する流路を、セラミックや酸化マグネシウムなどの高熱容量材からなる蓄熱材層で被覆した構造である。このような蓄熱装置を備えた暖機システムを利用すれば、車両の始動時におけるエンジンや自動変速機の早期暖機、あるいは車内の即効暖房を効果的に行うことが可能となる。
特開平10−71837号公報 特開2002−39335号公報
ところで、特許文献1に記載の暖機システムでは、上記の蓄熱装置の他に、自動変速機の作動油とエンジンの冷却水との間で熱交換を行ういわゆる駆動系暖機用の熱交換器を備えており、これら蓄熱装置と熱交換器とが別個の装置として設けられている。したがって、暖機システム全体の装置点数が多くなり、構造が複雑化、大型化し、コスト高につながるという問題があった。それにより、車両のコンパクト化や軽量化の妨げにもなっていた。
また、特許文献1に記載の蓄熱装置は、エンジンの冷却水を蓄熱媒体として用いている。しかしながら、冷却水は温度が低下すると蓄熱を保持できず、外部に放出してしまう。そのため、蓄熱装置外に熱が逃げることを防止するために、蓄熱媒体を収容する容器に高い断熱性を持たせることが必要となる。ところが、それにより、蓄熱装置の構造が複雑化して装置が大掛かりになってしまい、コスト高や重量増につながるおそれがあった。
さらに、特許文献1に示す熱交換器で行われているような冷却水と作動油との間の熱の授受にとどまらず、これらの媒体に加えて、エンジンの潤滑油あるいは蓄熱媒体などを含む各種の媒体が有する熱を互いに効率良く配分できるようにすれば、暖機システムによる暖機対象機関の暖機や車内の即効暖房をより効果的に行えるようになる。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、構造の簡素化、小型化、軽量化を図りながらも、暖機対象機関の早期暖機や車内の即効暖房を効果的に行える車両用暖機システムを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明にかかる車両用暖機システムは、蓄熱装置(10,10−2)と、内燃機関(30)の冷却水を蓄熱装置(10)へ循環させる冷却水循環路(31)と、内燃機関(30)の潤滑油を蓄熱装置(10)へ循環させる潤滑油循環路(36)と、変速機(40)の作動油を蓄熱装置(10)へ循環させる作動油循環路(41)と、を備え、蓄熱装置(10)は、冷却水循環路(31)に連通する第一室(15)と、潤滑油循環路(36)に連通する第二室(16)と、作動油循環路(41)に連通する第三室(17)とを有し、第一室(15)の冷却水と第二室(16)の潤滑油との間、第二室(16)の潤滑油と第三室(17)の作動油との間、第三室(17)の作動油と第一室(15)の冷却水との間でそれぞれ熱交換を行えるようにしたことを特徴とする。なお、ここでの括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
本発明にかかる車両用暖機システムが備える蓄熱装置は、冷却水循環路に連通する第一室と、潤滑油循環路に連通する第二室と、作動油循環路に連通する第三室とを有しており、冷却水と潤滑油と作動油の三種類の媒体間での熱交換を1個の蓄熱装置で行うようになっている。これにより、暖機システムの装置点数を削減でき、暖機システムの構成の簡素化、小型化が図れる。また、暖機システムの簡素化により、車両のコンパクト化、軽量化を実現できる。また、この蓄熱装置では、第一室の冷却水と第二室の潤滑油と第三室の作動油との間で熱交換を行えるので、冷却水、潤滑油、作動油の三種類の媒体が保持する熱を互いに効率良く配分することができる。したがって、暖機システムによる暖機対象機関の暖機や車内の即効暖房を効果的に行うことができる。
また、上記構成の車両用暖機システムでは、蓄熱装置(10,10−2)は、少なくとも第一室(15)を他の二室(16,17)それぞれに対して隣接して配置し、第一室(15)の冷却水は、第二室(16)の潤滑油と第三室(17)の作動油それぞれとの間で直接に熱交換が行えるようにすると良い。これによれば、冷却水の熱を潤滑油や作動油へ効率良く配分することができる。したがって、内燃機関の発熱を有効に利用して潤滑系統や変速機の早期暖機、及び車内の即効暖房を行うことができるようになる。
また、本発明の車両用暖機システムは、蓄熱要素(20)を有する蓄熱装置(10)と、内燃機関(30)の冷却水を蓄熱装置(10)へ循環させる冷却水循環路(31)と、内燃機関(30)の潤滑油を蓄熱装置(10)へ循環させる潤滑油循環路(36)と、変速機(40)の作動油を蓄熱装置(10)へ循環させる作動油循環路(41)と、を備え、蓄熱装置(10)は、冷却水循環路(31)に連通する第一室(15)と、潤滑油循環路(36)に連通する第二室(16)と、作動油循環路(41)に連通する第三室(17)と、蓄熱要素(20)を配設した第四室(18)とを有し、第一室(15)の冷却水と第二室(16)の潤滑油との間、第二室(16)の潤滑油と第三室(17)の作動油との間、第三室(17)の作動油と第四室(18)の蓄熱要素(20)との間、第四室(18)の蓄熱要素(20)と第一室(15)の冷却水との間、第一室(15)の冷却水と第三室(17)の作動油との間、第二室(16)の潤滑油と第四室(18)の蓄熱要素(20)との間でそれぞれ熱交換を行えるようにしたことを特徴とする。
この車両用暖機システムによれば、冷却水、潤滑油、作動油の三種類の媒体間での熱交換を1個の蓄熱装置で行うことができる上、従来は別個に設けていた蓄熱要素を有する蓄熱装置と熱交換器の両方を1個の蓄熱装置にまとめることができる。これにより、暖機システムの装置点数を削減でき、暖機システムの簡素化、小型化が図れる。また、車両のコンパクト化、軽量化を実現できる。また、1個の蓄熱装置で、冷却水と作動油と潤滑油の三種類の媒体の熱交換、及びこれら三種類の媒体と蓄熱要素との熱交換の両方を行うことができるので、各媒体が有する熱を効率良く配分でき、かつ、各媒体が有する熱を蓄熱要素に効率良く蓄えることができる。したがって、暖機対象機関の暖機や車内の即効暖房を効果的に行えるようになる。
また、上記の車両用暖機システムでは、蓄熱装置(10)は、少なくとも第一室(15)及び第四室(18)を他の三室(16,17,18,又は15,16,17)それぞれに対して隣接して配置し、第一室(15)の冷却水は、第二室(16)の潤滑油と第三室(17)の作動油と第四室(18)の蓄熱要素(20)それぞれとの間で直接に熱交換が行え、第四室(18)の蓄熱要素(20)は、と第一室(15)の冷却水と第二室(16)の潤滑油と第三室(17)の作動油それぞれとの間で直接に熱交換が行えるようにしても良い。これによれば、冷却水の熱を潤滑油や作動油や蓄熱要素へ効率良く配分できる。また、冷却水や潤滑油や作動油が有する熱の蓄熱要素への蓄熱、及び蓄熱要素に蓄えた熱の各媒体への供給を効率良く行うことができるので、車両で発生する熱を有効に利用できるようになる。
また、上記の蓄熱装置(10)が備える蓄熱要素(20)は、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材(20)からなるものが望ましい。これによれば、液状の蓄熱材が凝固点以下になっても固化せず、蓄熱を保持したまま過冷却状態をとり得る。したがって、外気温が低下しても蓄熱を保持でき、かつ、長期間放置しても蓄熱を安定的に保持できるので、蓄熱材容器の断熱構造を簡素化できる。また、解除手段による過冷却状態の解除により、所望のタイミングで蓄熱材を発熱させることができるので、対象機関の早期暖機や車内の即効暖房をより効果的に行えるようになる。また、蓄熱装置(10)が備える蓄熱要素(20)は、化学変化による熱の吸収・放出が可能な化学蓄熱材(21)からなるものでもよい。
本発明にかかる車両用暖機システムによれば、構造の簡素化、小型化、軽量化を図りながらも、暖機対象機関の早期暖機や車内の即効暖房を効果的に行えるようになる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態にかかる蓄熱装置を備えた車両用暖機システムの構成例を示す概略図である。車両用暖機システム1は、蓄熱材20を有してなる蓄熱装置10と、エンジン30の冷却水(LLC)を蓄熱装置10および車内暖房装置44のヒータコア45へ循環させる冷却水循環路31と、エンジン30の潤滑油を蓄熱装置10へ循環させる潤滑油循環路36と、自動変速機(AT)40の作動油(ATF)を蓄熱装置10へ循環させる作動油循環路41とを備えている。冷却水循環路31は、エンジン30に形成された水ジャケット(図示せず)から導出され、蓄熱装置10に連通し、蓄熱装置10の下流側でヒータコア45を通り、エンジン30の水ジャケットに再度導入されている。エンジン30に導入される直前位置には、冷却水ポンプ32が介装されている。冷却水ポンプ32は、エンジン30のクランク軸(図示せず)の回転に連動して駆動するようになっている。また、潤滑油循環路36には、潤滑油を流通させる潤滑油ポンプ(電動ポンプ)39と、潤滑油の温度を検出する潤滑油温センサ34とが設置されている。作動油循環路41には、作動油を流通させる作動油ポンプ(電動ポンプ)42と、作動油の温度を検出する作動油温センサ43とが設置されている。蓄熱装置10は、詳細な構成は後述するが、冷却水循環路31に連通する第一室15と、潤滑油循環路に連通する第二室16と、作動油循環路41に連通する第三室17と、蓄熱材20を配設した第四室18とを備えている。
ヒータコア45は、詳細な図示は省略するが、車内に臨む空気導入ダクト内に設置されている。空気導入ダクト内には、ヒータコア45に風を送るための送風ファン46が組み込まれている。送風ファン46は、電子制御ユニット(以下、ECUという。)50によって作動を制御されるようになっている。ヒータコア45の送風下流側には、車内に連通する送風ダクトが設けられている。
また、車内のコントロールパネル(図示せず)には、車内暖房用の暖房スイッチ51、及びデフロスタ吹出口から温風を吹き出すためのデフロスタスイッチ55が設けられている。暖房スイッチ51およびデフロスタスイッチ55のオン/オフ信号は、ECU50に出力されるようになっている。したがって、送風ファン46は、暖房スイッチ51やデフロスタスイッチ55のオン信号に応じて作動し、空気導入ダクトを介して吸い込んだ車内の空気を、ヒータコア45を通して送風ダクトから再び車内に吹き込むようになっている。また、暖機システム1は、外気温を検出する外気温センサ54を備えている。外気温センサ54の検出信号は、ECU50に出力されるようになっている。また、イグニッションスイッチ(以下、IGスイッチという。)56の操作信号は、ECU50に送られるようになっている。
冷却水循環路31における蓄熱装置10とヒータコア45の間には、冷却水循環路31の開閉を切り替える切替バルブ(開閉弁)33が設置されている。切替バルブ33は、ECU50からの信号で開閉が制御されるようになっている。以下では、切替バルブ33がオフであるというときは、切替バルブ33が開かれて、蓄熱装置10及びヒータコア45の冷却水が流通する状態を示し、切替バルブ33がオンであるというときは、切替バルブ33が閉じられて、蓄熱装置10及びヒータコア45の冷却水が流通しない状態を示す。
また、エンジン30の冷却水をラジエター47へ循環させるラジエター用循環路35が設けられている。ラジエター用循環路35は、エンジン30の水ジャケットから出て、冷却水循環路31における冷却水ポンプ32の上流側に合流している。ラジエター用循環路35には、ラジエター47に連通する主流路35aとラジエター47をバイパスするバイパス流路35bが設けられている。ラジエター47の下流側におけるバイパス流路35bの合流部には、電子制御サーモスタット弁(三方弁)37が介装されている。電子制御サーモスタット弁37は、ECU50からの信号で開閉方向が制御されるようになっている。また、ラジエター用循環路35には、冷却水の水温を検出する水温センサ38が組み込まれている。水温センサ38の検出信号は、ECU50に出力されるようになっている。
図2は、電子制御サーモスタット弁37の構成例を示す図である。以下では、電子制御サーモスタット弁37がオフであるというときは、同図(a)に示す状態、すなわち、主流路35aを開いてバイパス流路35bを閉じた状態を指し、電子制御サーモスタット弁37がオンであるというときは、同図(b)に示す状態、すなわち、主流路35aを閉じてバイパス流路35bを開いた状態を指すものとする。
ECU50は、水温センサ38で検出した冷却水温が所定温度(例えば100℃)未満の場合、電子制御サーモスタット弁37をオンにすることで、冷却水がラジエター47へ流れないように制御する。一方、冷却水温が所定温度(例えば110℃)以上になった場合、電子制御サーモスタット弁37をオフにすることで、冷却水をラジエター47へ導くように制御する。
ECU50には、無線により外部機器と交信が可能な受信装置52が接続されている。これにより、ECU50は、エンジンスタートキー53に設けたウォームアップスイッチ53aのオン/オフ信号を遠隔受信できるようになっている。したがって、乗員が車外でエンジンスタートキー53のウォームアップスイッチ53aを操作した場合、ECU50でその信号が受信され、ECU50は暖機システム1にウォームアップ指令を発することができる。
図3は、蓄熱装置10の詳細構成を示す図で、(a)は、分解斜視図、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。蓄熱装置10は、長手状の筒状体からなる筐体11と、筐体11の内部に設置された該筐体11よりも若干小径の筒状体からなる中間部材12と、中間部材12の内部に設置された仕切部材13とを備えた三重構造になっている。仕切部材13は、内部に収納空間を有する長尺形状に形成されており、対向する一対の側面には複数のフィン13aが形成されている。フィン13aは、筐体11の長手方向に沿って延びる板状で、多数が横方向(短手方向)に所定間隔で配列されている。フィン13aの間には、同図(b)に示すように、仕切部材13の外側に通じる隙間13bが設けられている。フィン13aを設けた側面とは異なる一対の側面にはそれぞれ、仕切部材13の長手方向に沿って延びる突起13c,13dが形成されている。
上記の各部材で構成される蓄熱装置10では、筐体11と中間部材12の間は、エンジン30の冷却水が導入される第一室15になっている。中間部材12と仕切部材13との隙間のうち、突起13c,13dにより区画される一方の隙間は、エンジン30の潤滑油が導入される第二室16になっており、他方の隙間は、自動変速機40の作動油が導入される第三室17になっている。仕切部材13の内部は、蓄熱材20が密封状態で充填される第四室18になっている。
筐体11の上下端の開口には、蓋部材14a,14bが取り付けられている。下側の蓋部材14aには、第二室16に潤滑油を導入する潤滑油入口16aと、第三室17から作動油を導出する作動油出口17bとが設けられており、上側の蓋部材14bには、第二室16から潤滑油を導出する潤滑油出口16bと、第三室17に作動油を導入する作動油入口17aとが設けられている。また、筐体11の上端近傍と下端近傍の側面には、それぞれ第一室15に冷却水を導入する冷却水入口15aと、冷却水を導出する冷却水出口15bとが設けられている。
この蓄熱装置10では、図3(b)に示すように、第一室15は、第二室16と第三室17と第四室18のそれぞれに対して隣接して配置されている。したがって、第一室15の冷却水は、第二室16の潤滑油と第三室17の作動油と第四室18の蓄熱材20それぞれとの間で直接に熱交換が行える。また、第四室18は、第一室15と第二室16と第三室17それぞれに対して隣接して配置されている。したがって、第四室18の蓄熱材20は、第一室の冷却水と第二室16の潤滑油と第三室17の作動油それぞれとの間で直接に熱交換が行える。なお、隣接していない第二室16の潤滑油と第三室17の作動油との間でも、第一室15の冷却水あるいは第四室18の蓄熱材20を介して間接的に熱交換が行える。
筐体11は、冷却水に対する防錆性などの耐久性があり、且つ断熱性の良好な材料、例えば、銅、アルミニウム、ステンレスなどの金属材料で構成されている。この筐体11は、図示は省略するが、断熱性を高めるため、内部に真空の断熱層を形成してもよい。また、中間部材12および仕切部材13は、冷却水、作動油、蓄熱材20に対する耐久性があり、且つ比較的熱伝導性の高い材料、例えば、ステンレスなどの金属材料で構成するとよい。
蓄熱材20は、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材であり、凝固点以下になっても液状のままで固化しない性質を有している。このような蓄熱材20として、例えば、酢酸ナトリウム水和物からなる蓄熱材が挙げられる。酢酸ナトリウム水和物は、後述する解除手段による過冷却状態の解除によって、平衡状態に戻って固化する際に発熱し、温度の低い他の媒体を加熱することができる。
そして、第四室18の蓄熱材20中には、蓄熱材20の過冷却状態を解除する解除手段(以下、発核装置という。)25が設置されている。図4は、発核装置25を示す概略側面図である。発核装置25は、蓄熱材20中に設置された円形平板状の金属バネ部材26と、金属バネ部材26に打撃を与えるソレノイド27とを備えている。ソレノイド27は、ECU50の指令に応じて動作する。金属バネ部材26は、同図(a)に示す状態において、ソレノイド27による打撃で中央部26aが押圧されると、同図(b)に示すように、該中央部26aが反転するようになっている。これにより、蓄熱材20中に核が生成(発核)され、蓄熱材20の過冷却状態が解除されて固化が始まる。なお、解除手段としては、蓄熱材20中に核を生成可能な手段であれば、何れの手段でもよく、上記以外にも、例えば、蓄熱材20中で金属摩擦あるいは電圧印加などを施す手段であってもよい。
ここでは、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材の代表例として酢酸ナトリウム水和物を挙げたが、他にも、水和塩化合物(化学式としてMx・nH2O(n:整数)で表わされるもの)を挙げることができ、Na2SO4・10H2O,CaCl2・6H2Oを例示することができる。
また、蓄熱材は、化学反応を利用して熱の吸収・放出を行うことができる化学蓄熱材からなるものであってもよい。このような化学蓄熱材として、例えば、ゼオライトからなる蓄熱材がある。図5は、ゼオライトからなる蓄熱材21を備えた蓄熱装置10の構成例を示す図である。この場合、蓄熱装置10は、ゼオライトからなる蓄熱材21に反応媒体である水22を供給して化学反応を生じさせる反応媒体供給部23を備えて構成される。この蓄熱装置10では、エンジン30の運転時に、冷却水や作動油との熱交換でゼオライト21を加熱して脱水させ、これにより、蓄熱材21に蓄熱する。一方、エンジン30の始動時には、反応媒体供給部23から蓄熱材21に水22を供給して吸着させることで、蓄熱材21に吸着熱を発生させて冷却水や作動油を加熱する。化学蓄熱材としては、ゼオライトの他にも、例えば、シリカゲル・活性炭・生石灰などがあり、化学反応を生じさせる反応媒体としては、水の他にも、エタノール・メタノール・エチレングリコール系不凍液・塩化カルシウム系不凍液などがある。また、化学蓄熱材の例としては、他にも水素吸蔵合金を用いた蓄熱材などが挙げられる。
図6は、上記構成の暖機システム1における運転モードのタイムチャートを示すグラフである。同図に示すように、暖機システム1の運転モードは、モード0からモード3までの4段階に切り替わる。モード0は、エンジン30が停止している間のモードである。モード1は、IGスイッチ56がオンされてエンジン30が始動してから、冷却水温度が所定温度に達するまでのモードであり、この間、エンジン30の潤滑油と自動変速機40の作動油とが蓄熱材20によって加熱される。なお、冷却水はエンジン30の自己暖機によって加温される。モード2は、冷却水温度が前記の所定温度に達した後、作動油の油温が所定温度に達したことで自動変速機40の暖機が完了したと判断されるまでのモードであり、この間、エンジン30の潤滑油と自動変速機40の作動油とがエンジン30の冷却水によって加熱される。また、エンジン30の冷却水は、電子制御サーモスタット弁37の開閉制御によって、所定の温度範囲を維持するように制御(DUTY制御)される。モード3は、自動変速機40の暖機が完了したと判断された後のモードであり、この間、エンジン30の潤滑油と自動変速機40の作動油とがエンジン30の冷却水によって冷却される。また、エンジン30の冷却水は、モード2と同様、電子制御サーモスタット弁37の開閉制御によって、所定の温度範囲を維持するように制御される。
図7は、暖機システム1の制御手順を示すメインフローである。この制御手順では、まず、後述するモード切替のサブルーチンを実行する(ステップST1)。その結果に基づき、モード0であるか否かを判定する(ステップST2)。モード0であれば(Y)、モード0のサブルーチンを実行し(ステップST3)、モード0でなければ(N)、モード1か否かを判定する(ステップST4)。その結果、モード1であれば(Y)、モード1のサブルーチンを実行し(ステップST5)、モード1でなければ(N)、モード2か否かを判定する(ステップST6)。その結果、モード2であれば(Y)、モード2のサブルーチンを実行し(ステップST7)、モード2でなければ(N)、モード3のサブルーチンを実行する(ステップST8)。
図8は、モード切替手順を説明するためのフローチャートである。モード切替では、まず、IGスイッチ56がオンであるか否かを判定する(ステップST10)。その結果、IGスイッチ56がオンでなければ(N)、モード0をセットする(ステップST11)。IGスイッチ56がオンであれば(Y)、モード2以上か否かを判定し(ステップST12)、モード2以上でなければ(N)、冷却水温TWが♯TW1Lより低いか否かを判定し(ステップST13)、冷却水温TWが♯TW1Lより低ければ(Y)、モード1をセットする(ステップST14)。♯TW1Lの具体例は、100℃である。また、先のステップST12でモード2以上である場合(Y)は、続けてモード2か否かを判定し(ステップST15)、モード2である場合(Y)、あるいは先のステップST13で冷却水温TWが♯TW1L以上である場合(N)は、作動油温TATFが♯TATF1Lより低いか否かを判定する(ステップST16)。♯TATF1Lの具体例は、100℃である。その結果、作動油温TATFが♯TATF1Lより低ければ(Y)、モード2をセットし(ステップST17)、作動油温TATFが♯TATF1L以上であれば(N)、モード3をセットする(ステップST18)。また、先のステップST15でモード2でない場合(N)は、モード3をセットする(ステップST18)。
図9は、モード0の手順を説明するためのフローチャートである。モード0では、まず、ウォームアップ信号の入力の有無を判定する(ステップST0−1)。この結果、ウォームアップ信号の入力が無い場合(N)は、発核装置25をオフする(ステップST0−2)。一方、ウォームアップ信号の入力が有る場合(Y)は、冷却水温TWが♯TW3より低いか否かを判定する(ステップST0−3)。♯TW3の具体例は、60℃である。その結果、冷却水温TWが♯TW3以上であれば(N)、発核装置25をオフする(ステップST0−2)。つまり、始動時に冷却水温が十分に高い場合は、蓄熱装置10によるエンジン30や自動変速機40の暖機は不要であると判断して、蓄熱材20を発核させず、蓄熱装置10の自己暖機は行わない。一方、冷却水温TWが♯TW3より低ければ(Y)、発核装置25がオンであるか否かを判定する(ステップST0−4)。その結果、発核装置25がオフであれば(N)、発核装置25をオンする(ステップST0−5)。発核装置25がオンであれば(Y)、発核装置25がオンしてから所定時間以内か否かを判定する(ステップST0−6)。その結果、所定時間以内でなければ(N)、すなわち発核装置25がオンしてから所定時間以上が経過していれば、発核装置25をオフする(ステップST0−2)。また、このモード0では、切替バルブ33はオフにしておき(ステップST0−7)、電子制御サーモスタット弁37はオフにしておく(ステップST0−8)。その後、モード0の手順を終了してメインフローに戻る。
図10は、モード1の手順を説明するためのフローチャートである。モード1では、まず、冷却水温TWが♯TW3より低いか否かを判定する(ステップST1−1)。その結果、冷却水温TWが♯TW3以上であれば(N)、発核装置25をオフする(ステップST1−2)。つまり、始動時に冷却水温が十分に高い場合は、蓄熱装置10によるエンジン30や自動変速機40の暖機は不要であると判断し、蓄熱材20を発核させず、蓄熱材20による冷却水や作動油の加熱を行わない。一方、冷却水温TWが♯TW3より低ければ(Y)、発核装置25がオンであるか否かを判定する(ステップST1−3)。その結果、発核装置25がオンで無ければ(N)、発核装置25をオンする(ステップST1−4)。発核装置25がオンであれば(Y)、発核装置25がオンしてから所定時間以内か否かを判定する(ステップST1−5)。その結果、所定時間以内でなければ(N)、すなわち発核装置25がオンしてから所定時間以上が経過していれば、発核装置25をオフする(ステップST1−2)。続けて、外気温が所定温度以上であり、かつデフロスタスイッチ55がオフであるか否かを判定する(ステップST1−6)。その結果、外気温が所定温度以下、またはデフロスタスイッチ55がオンである場合(N)は、切替バルブ33をオフすることで(ステップST1−7)、蓄熱装置10から出た冷却水をヒータコア45に流通させる。つまりこの場合は、蓄熱装置10による自動変速機40の暖機を行いながら、蓄熱装置10による車内暖房も行う。一方、外気温が所定温度以上であり、かつデフロスタスイッチ55がオフである場合(Y)は、切替バルブ33をオンすることで(ステップST1−8)、蓄熱装置10から出た冷却水をヒータコア45には流通させない。つまりこの場合は、蓄熱装置10による自動変速機40の暖機を優先的に行い、車内暖房は行わない。また、モード1では、電子制御サーモスタット弁37をオンしておき(ステップST1−9)、ラジエター47には冷却水を流通させず、冷却水が早期に温まるようにする。その後、モード1の手順を終了してメインフローに戻る。
図11は、モード2の手順を説明するためのフローチャートである。モード2では、発核装置25をオフする(ステップST2−1)。さらに、切替バルブ33をオフすることで(ステップST2−2)、蓄熱装置10からの冷却水をヒータコア45に流通させる。そして、電子制御サーモスタット弁37がオンであるか否かを判定する(ステップST2−3)。その結果、オンであれば(Y)、冷却水温TWが♯TW1Hより低いか否かを判定する(ステップST2−4)。♯TW1Hの具体例は、105℃である。その結果、冷却水温TWが♯TW1H以上である場合(N)は、電子制御サーモスタット弁37をオフすることで(ステップST2−6)、ラジエターに冷却水を流通させる。一方、冷却水温TWが♯TW1Hより低い場合(Y)は、電子制御サーモスタット弁37をオンのままとし(ステップST2−7)、ラジエター47に冷却水を流通させない。また、先のステップST2−3で電子制御サーモスタット弁37がオフである場合(N)は、冷却水温TWが♯TW1Lより高いか否かを判定する(ステップST2−5)。その結果、冷却水温TWが♯TW1Lより高ければ(Y)、電子制御サーモスタット弁37をオフのままとし(ステップST2−6)、冷却水温TWが♯TW1L以下であれば(N)、電子制御サーモスタット弁37をオンする(ステップST2−7)。その後、スタートに戻り上記の手順を反復する。つまり、モード2では、冷却水温TWが♯TW1H以上に上昇した場合は、ラジエター47による冷却を行い、冷却水温TWが♯TW1L以下に低下した場合は、ラジエター47による冷却を停止する。これにより、図6に示すように、冷却水温TWが常に♯TW1Lと♯TW1Hの間の範囲内に収まるように制御する。
図12は、モード3の手順を説明するためのフローチャートである。モード3では、まず、発核装置25はオフである(ステップST3−1)。また、切替バルブ33はオフであり(ステップST3−2)、蓄熱装置10から出た冷却水がヒータコア45に流通している。そして、作動油温TATFが♯TATF1Hよりも低いか否かを判定する(ステップST3−3)。♯TATF1Hの具体例は、110℃である。その結果、作動油温TATFが♯TATF1Hよりも低ければ(Y)、電子制御サーモスタット弁37がオンであるか否かを判定する(ステップST3−4)。オンであれば(Y)、冷却水温TWが♯TW1Hより低いか否かを判定する(ステップST3−5)。冷却水温TWが♯TW1H以上であれば(N)、電子制御サーモスタット弁37をオフし(ステップST3−7)、冷却水温TWが♯TW1Lより低ければ(Y)、電子制御サーモスタット弁37をオンする(ステップST3−8)。一方、先のステップST3−4で電子制御サーモスタット弁37がオンでない場合(N)は、冷却水温TWが♯TW1Lより高いか否かを判定する(ステップST3−6)。その結果、冷却水温TWが♯TW1Lより高ければ(Y)、電子制御サーモスタット弁37をオフし(ステップST3−7)、冷却水温TWが♯TW1L以下であれば(N)、電子制御サーモスタット弁37をオンする(ステップST3−8)。つまり、自動変速機40の作動油温が狙い範囲(TATF<♯TATF1H:110℃)にある場合は、冷却水温をそれ以上低くする必要がないため、該冷却水温を燃費優先のいわゆる燃費狙い値(♯TW1L:100℃<TW<♯TW1H:105℃)になるように制御する。
一方、先のステップST3−3において、作動油温TATFが♯TATF1H以上である場合(N)は、電子制御サーモスタット弁37が既にオンしているか否かを判定し(ステップST3−9)、オンしていれば(Y)、冷却水温TWが♯TW2Hより低いか否かを判定する(ステップST3−10)。♯TW2Hの具体例は、85℃である。冷却水温TWが♯TW2H以上である場合(N)は、電子制御サーモスタット弁37をオフし(ステップST3−12)、冷却水温TWが♯TW2Hより低い場合(Y)は、電子制御サーモスタット弁37をオンする(ステップST3−8)。一方、先のステップST3−9で電子制御サーモスタット弁37がオンでない場合(N)は、冷却水温TWが♯TW2Lより高いか否かを判定する(ステップST3−11)。♯TW2Lの具体例は、80℃である。その結果、冷却水温TWが♯TW2Lより高ければ(Y)、電子制御サーモスタット弁37をオフし(ステップST3−12)、冷却水温TWが♯TW2L以下であれば(N)、電子制御サーモスタット弁37をオンする(ステップST3−8)。つまり、自動変速機40の作動油温が狙い範囲(TATF<♯TATF1H:110℃)と比べて高すぎる場合は、エンジン30の冷却水温を低く抑える必要があるため、該冷却水温を作動油の冷却を優先する温度(♯TW2L:80℃<TW<♯TW2H:85℃)となるように制御する。
以上説明したように、本実施形態の車両用暖機システム1が備える蓄熱装置10は、冷却水循環路31に連通する第一室15と、潤滑油循環路36に連通する第二室16と、作動油循環路41に連通する第三室17と、蓄熱材20を配設した第四室18とを有し、第一室15の冷却水と第二室16の潤滑油との間、第二室16の潤滑油と第三室17の作動油との間、第三室17の作動油と第四室18の蓄熱材20との間、第四室18の蓄熱材20と第一室15の冷却水との間、第一室15の冷却水と第三室17の作動油との間、第二室16の潤滑油と第四室18の蓄熱要素20との間でそれぞれ熱交換を行えるようにした。この構成により、冷却水、潤滑油、作動油の三種類の媒体間で熱交換を行う機能を1個の蓄熱装置10にまとめることができる上、従来は別個に設けていた蓄熱装置と熱交換器の両方を1個の蓄熱装置10にまとめることができる。したがって、暖機システム1の装置点数を削減でき、構成の簡素化、小型化が図れる。また、車両のコンパクト化、軽量化を実現できる。それに加えて、蓄熱装置10で、冷却水と作動油と潤滑油の三種類の媒体間の熱交換、及びこれら三種類の媒体と蓄熱材20との熱交換の両方を行うことができる。したがって、冷却水、潤滑油、作動油が保有する熱を互いに効率良く配分でき、かつ、各媒体が有する熱を蓄熱材20に効果的に蓄えることができる。したがって、エンジン30や自動変速機40などの暖機対象機関の暖機や車内の即効暖房を効果的に行えるようになる。
また、本実施形態の蓄熱装置10では、冷却水が流通する第一室15及び蓄熱材20を配設した第四室18が他の三室それぞれに対して隣接して配置されている。これにより、第一室15の冷却水は、第二室16の潤滑油と第三室17の作動油と第四室18の蓄熱材20それぞれとの間で直接に熱交換が行え、第四室18の蓄熱材20は、第二室16の潤滑油と第三室17の作動油と第一室15の冷却水それぞれとの間で直接に熱交換が行える。したがって、冷却水の熱を潤滑油や作動油や蓄熱材20へ効率良く配分できる。また、各媒体が有する熱の蓄熱材20への蓄熱、及び蓄熱材20に蓄えた熱の各媒体への供給を効率良く行うことができ、車両で発生する熱を有効に利用できるようになる。
さらに、蓄熱装置10が備える蓄熱材20は、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材なので、外気温が低下しても蓄熱を保持でき、かつ、長期間放置しても蓄熱を安定的に保持できる。したがって、蓄熱材20の容器(筐体11、中間部材12、仕切部材13)の断熱構造を簡素化でき、蓄熱装置10の構成の簡素化、小型化、軽量化を図ることができる。また、発核装置25による過冷却状態の解除(発核)により、所望のタイミングで蓄熱材20を発熱させることができるので、エンジン30や自動変速機40の早期暖機、あるいは車内の即効暖房をより効率的に行えるようになる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態にかかる車両用暖機システムについて説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項、及び図示する以外の事項については、第1実施形態と同じである。
図13は、第2実施形態の車両用暖機システム1−2の構成例を示す概略図である。この暖機システム1−2では、第1実施形態の暖機システム1が備える蓄熱装置10に代えて、他の構成の蓄熱装置10−2を備えている。蓄熱装置10−2では、図13に示すように、第1実施形態の蓄熱装置10が有する蓄熱材20及び該蓄熱材20を配設するための第四室18を省略している。また、それに伴い、発核装置25も省略している。したがって、蓄熱装置10−2は、冷却水循環路31に連通する第一室15と、潤滑油循環路36に連通する第二室16と、作動油循環路41に連通する第三室17とを備え、第一室15の冷却水と第二室16の潤滑油との間、第二室16の潤滑油と第三室17の作動油との間、第三室17の作動油と第一室15の冷却水との間でそれぞれ熱交換を行うように構成されている。
図14は、蓄熱装置10―2の詳細構成を示す図で、(a)は、分解斜視図、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。蓄熱装置10−2は、第1実施形態の蓄熱装置10が備えていた中間部材12を省略し、筐体11の内部に仕切部材13を設置した二重構造となっている。仕切部材13によって筐体11の内部が三室に仕切られている。すなわち、仕切部材13の内部は、エンジン30の冷却水が導入される第一室15になっており、筐体11と仕切部材13の隙間のうち、突起13c,13dによって区画される一方の隙間は、エンジン30の潤滑油が導入される第二室16になっており、他方の隙間は、自動変速機40の作動油が導入される第三室17になっている。
筐体11の上下端の開口には、蓋部材14b,14aが取り付けられている。上側の蓋部材14bには、第一室15に冷却水を導入する冷却水入口15aが設けられており、下側の蓋部材14aには、第一室15から冷却水を導出する冷却水出口15bが設けられている。また、筐体11の一の側面における上下端近傍にはそれぞれ、第二室16から潤滑油を導出する潤滑油出口16bと、第二室16に潤滑油を導入する潤滑油入口16aとが設けられており、筐体11の他の側面における上下端近傍にはそれぞれ、第三室17から作動油を導出する作動油出口17bと、第三室17に作動油を導入する作動油入口17aとが設けられている。
この蓄熱装置10―2では、図14(b)に示すように、第一室15が、第二室16と第三室17それぞれに対して隣接して配置されている。これにより、第一室15の冷却水は、第二室16の潤滑油と第三室17の作動油それぞれに対して直接熱交換を行うことができる。これにより、冷却水が保有する熱を潤滑油と作動油に直接伝達できるようになるので、冷却水の熱を潤滑油や作動油へ効率良く配分することができる。したがって、エンジン30で発生する熱を有効に利用して潤滑系統や自動変速機40の早期暖機を行うことができるようになる。
また、本実施形態の蓄熱装置10−2では、筐体11及び蓋部材14a,14bを断熱性の高い材料で構成すれば、エンジン30を停止した後、ある程度の時間は、蓄熱装置10−2内に滞留する冷却水、潤滑油、作動油が有する熱を蓄熱装置10−2内に蓄えておくことが可能となる。また、冷却水が導入される第一室15は、潤滑油が導入される第二室16と作動油が導入される第三室17とで囲まれているため、そのことによっても、第一室15の冷却水が有する熱が外部へ逃げ難くなるので、冷却水の熱を蓄熱装置10−2内に蓄えておくことができるようになる。したがって、エンジン30を一度停止した後、若干の時間が経過した後で再度始動する場合などは、蓄熱装置10−2内に蓄えられているこれらの熱を利用して、エンジン30や自動変速機40の暖機、あるいは車内の暖房を行うことができるようになる。
このように、本実施形態の蓄熱装置10−2は、冷却水循環路31に連通する第一室15と、潤滑油循環路36に連通する第二室16と、作動油循環路41に連通する第三室17とを有しており、冷却水と潤滑油と作動油の間で熱交換を行う機能を1個の蓄熱装置10−2に設けている。したがって、暖機システム1−2の装置点数を削減でき、構成の簡素化、小型化が図れる。また、暖機システム1−2の構成の簡素化により、車両のコンパクト化、軽量化を実現できる。さらに、蓄熱装置10−2では、第一室15の冷却水と第二室16の潤滑油と第三室17の作動油との間で熱交換を行えるので、冷却水、潤滑油、作動油が保持する熱を互いに効率良く配分することができる。したがって、暖機対象機関の暖機や車内の即効暖房を効果的に行うことができるようになる。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
本発明の第1実施形態にかかる車両用暖機システムの構成例を示す概略図である。 電子制御サーモスタット弁の構成例を示す図である。 蓄熱装置の構成例を示す図で、(a)は、分解斜視図、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。 発核装置の構成例を示す図である。 化学蓄熱材を備えた蓄熱装置の構成例を示す図である。 暖機システムの運転モードのタイムチャートを示すグラフである。 暖機システムの制御手順を示すメインフローである。 運転モード切替手順を説明するためのフローチャートである。 モード0の手順を説明するためのフローチャートである。 モード1の手順を説明するためのフローチャートである。 モード2の手順を説明するためのフローチャートである。 モード3の手順を説明するためのフローチャートである。 本発明の第2実施形態にかかる車両用暖機システムの構成例を示す概略図である。 第2実施形態の蓄熱装置の構成例を示す図で、(a)は、分解斜視図、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。
符号の説明
1,1−2 車両用暖機システム
10,10−2 蓄熱装置
11 筐体
12 中間部材
13 仕切部材
15 第一室
16 第二室
17 第三室
18 第四室
20 蓄熱材(蓄熱要素)
21 蓄熱材(化学蓄熱材)
25 発核装置(解除手段)
30 エンジン(内燃機関)
31 冷却水循環路
32 冷却水ポンプ
33 切替バルブ
35 ラジエター用循環路
36 潤滑油循環路
37 電子制御サーモスタット弁
38 水温センサ
40 自動変速機
41 作動油循環路
42 作動油ポンプ
44 車内暖房装置
45 ヒータコア
46 送風ファン
47 ラジエター
50 電子制御ユニット(ECU)
51 暖房用スイッチ
55 デフロスタスイッチ
56 イグニッションスイッチ(IGスイッチ)

Claims (6)

  1. 蓄熱装置と、
    内燃機関の冷却水を前記蓄熱装置へ循環させる冷却水循環路と、内燃機関の潤滑油を前記蓄熱装置へ循環させる潤滑油循環路と、変速機の作動油を前記蓄熱装置へ循環させる作動油循環路と、を備え、
    前記蓄熱装置は、
    前記冷却水循環路に連通する第一室と、前記潤滑油循環路に連通する第二室と、前記作動油循環路に連通する第三室とを有し、
    前記第一室の冷却水と前記第二室の潤滑油との間、前記第二室の潤滑油と前記第三室の作動油との間、前記第三室の作動油と前記第一室の冷却水との間でそれぞれ熱交換を行えるようにしたことを特徴とする車両用暖機システム。
  2. 前記蓄熱装置は、少なくとも前記第一室が他の二室それぞれに対して隣接して配置されており、
    前記第一室の冷却水は、前記第二室の潤滑油と前記第三室の作動油それぞれとの間で直接に熱交換が行えることを特徴とする請求項1に記載の車両用暖機システム。
  3. 蓄熱要素を有する蓄熱装置と、
    内燃機関の冷却水を前記蓄熱装置へ循環させる冷却水循環路と、内燃機関の潤滑油を前記蓄熱装置へ循環させる潤滑油循環路と、変速機の作動油を前記蓄熱装置へ循環させる作動油循環路と、を備え、
    前記蓄熱装置は、
    前記冷却水循環路に連通する第一室と、前記潤滑油循環路に連通する第二室と、前記作動油循環路に連通する第三室と、前記蓄熱要素を配設した第四室とを有し、
    前記第一室の冷却水と前記第二室の潤滑油との間、前記第二室の潤滑油と前記第三室の作動油との間、前記第三室の作動油と前記第四室の蓄熱要素との間、前記第四室の蓄熱要素と前記第一室の冷却水との間、前記第一室の冷却水と前記第三室の作動油との間、前記第二室の潤滑油と前記第四室の蓄熱要素との間でそれぞれ熱交換を行えるようにしたことを特徴とする車両用暖機システム。
  4. 前記蓄熱装置は、少なくとも前記第一室及び前記第四室が他の三室それぞれに対して隣接して配置されており、
    前記第一室の冷却水は、前記第二室の潤滑油と前記第三室の作動油と前記第四室の蓄熱要素それぞれとの間で直接に熱交換が行え、前記第四室の蓄熱要素は、前記第一室の冷却水と前記第二室の潤滑油と前記第三室の作動油それぞれとの間で直接に熱交換が行えることを特徴とする請求項3に記載の車両用暖機システム。
  5. 前記蓄熱要素は、過冷却状態で蓄熱が可能な潜熱蓄熱材からなり、
    前記蓄熱装置は、前記蓄熱要素の過冷却状態を解除する手段を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の車両用暖機システム。
  6. 前記蓄熱要素は、化学変化による熱の吸収・放出が可能な化学蓄熱材からなり、
    前記蓄熱装置は、前記蓄熱要素に化学変化を生じさせる手段を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の車両用暖機システム。
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