JP5021597B2 - 蓄熱方法および蓄熱システム - Google Patents

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Description

本発明は、蓄熱方法および蓄熱システムに関する。
熱エネルギーを蓄える蓄熱技術は、従来から省エネルギー技術として有効である。また
、近年、CO2ヒートポンプや燃料電池コージェネレーションシステム(以下、「燃料電
池コージェネ」)を利用した給湯機器が注目されているが、これらの機器を小型化し、設置性の向上を図るために、高密度蓄熱技術の開発が待望されている。
従来からの蓄熱技術を大別すると、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱および化学蓄熱に分類される。これらの中で顕熱蓄熱および潜熱蓄熱によると、実用上熱交換損失等の損失が発生するものの、放熱過程において新たな熱エネルギーを投入する必要がないので、理論的には、蓄熱時に入力した熱量と同等の熱量を必要時に取り出すことができる。
顕熱蓄熱や潜熱蓄熱では、蓄熱性能が蓄熱材料の物性である比熱と相変化熱に依存し、潜熱蓄熱材としての蓄熱可能な熱量は、顕熱と相変化熱との和となる。しかし、蓄熱材料の相変化熱は一般的に低い温度域では高い温度域に比べて小さいため、低い温度域では相対的に蓄熱密度が低くなる。また、潜熱蓄熱では、利用する熱源の温度に応じて相変化温度の範囲が決まり、そのような相変化温度を有する潜熱材料が選択される。例えば、給湯機器における貯湯槽に用いられる潜熱蓄熱材料としては、80°から110℃付近の熱を蓄熱するために、例えば、非特許文献1に記載された水和物や無機物を用いることができる。また、特許文献1には、そのような温度域において潜熱蓄熱材料として使用可能な混合物系の相変化物質が提示されている。
一方、化学蓄熱は可逆的な化学反応による反応熱を利用する蓄熱技術である。化学蓄熱には、利用する化学反応により、吸着系、水素吸蔵合金系、有機反応系、無機反応系などがある。従来の化学蓄熱は、上記のいずれの化学反応を利用する場合でも、気液反応もしくは気固反応を利用しており、気体の形態のまま貯蔵すると貯蔵気体の容積が極めて大きいために蓄熱密度がかなり低くなる。このため、蓄熱時に生成する気体を凝縮もしくは金属水素化物のような固体化合物に変換して容積の縮小を図るが、これによって生じる熱(生成熱)を外気に逃がしている。このため、熱を利用する時、すなわち放熱過程では、液体もしくは固体化合物から気体を生じさせて蓄熱時とは逆の反応を起すために、外部から新たな熱エネルギーを投入する必要がある。従って、従来の化学蓄熱システムを用いると、蓄熱できる熱エネルギーは、原理的に、蓄熱過程で蓄熱された熱エネルギーから放熱過程で反応のために必要とされる熱エネルギー(熱損失)を差し引いた値になる。特許文献2では、固体の無機無水物と水蒸気とが反応して固体の水和物が生成される反応を利用した化学蓄熱方法が開示されており、さらに、気体の水蒸気の凝縮によって生じる生成熱(凝縮熱)を蓄熱の熱源であるヒートポンプに回収することが開示されている。しかし、この方法でも、放熱過程では新たに外部からの熱源を利用している。
このように、従来の顕熱蓄熱および潜熱蓄熱によると、熱源の温度によって使用する蓄熱材料が制限され、広い温度域に亘って高い蓄熱密度を確保できないという問題がある。また、従来の化学蓄熱によると、放熱過程において外部から熱エネルギーを投入する必要があるため、実質的な蓄熱量が減少してしまうという欠点がある。
これに対し、水和物の脱水反応を利用し、放熱時に外部から熱エネルギーを投入する必要のない化学蓄熱が特許文献3および特許文献4に記載されている。
特許文献3には、水和物(例えば塩化カルシウム6水和物)を無水和物(例えば塩化カルシウム)に変換させることによって蓄熱し、放熱時には、無水和物を水和物に変換して、これに伴う反応生成熱を回収する方法が記載されている。具体的には、蓄熱過程では、蓄熱材容器内の水和物を加熱し脱水させることにより、無水和物に変換し、放熱過程では、蓄熱材容器内に水蒸気を供給することにより、蓄熱材容器内の無水和物を水和物に変換している。
また、特許文献4には、蓄熱時に、例えば塩化カルシウム6水和塩を加熱して乾燥させて塩化カルシウム4水和塩とし、放熱時に、この塩化カルシウム4水和塩に水分を吸収させて発熱させる方法が記載されている。特許文献4には、蓄熱および放熱時において、蓄熱材の乾燥および水分の吸収に要する時間を短くするために、蓄熱材をセラミック布などの保持部材に保持することが提案されている。
なお、本明細書では、蓄熱過程および放熱過程を含む熱サイクルにおいて蓄熱できる熱エネルギー(熱量)を「蓄熱量」、蓄熱材料の単位体積(または単位重量)当たりの蓄熱量を「蓄熱密度」という。
特表2003−507524号公報 特公平7−6708号公報 特開2004−3832号公報 特開平3−244998号公報 電気学会雑誌,1981年,第101巻,15頁
しかしながら、本願発明者らが検討したところ、特許文献3に記載された蓄熱方法によると、放熱時に、固体である無水和物の入った蓄熱材容器に水蒸気や水滴を供給する必要があるが、このとき、蓄熱材容器内の無水和物の一部のみが水と反応し、蓄熱材容器の底部には無水和物の一部が未反応のまま残るという問題があることを見出した。そのため、無水和物に蓄えられた熱を十分に回収できず、取り出し熱量(放熱量)が小さくなる。また、蓄熱材容器内の無水和物全体を水と反応させようとすると、無水和物の層を薄くする必要があるため、蓄熱材容器が大型になり、蓄熱装置における実効蓄熱密度が低下してしまう。ここで、「実効蓄熱密度」とは、蓄熱装置または蓄熱システムの単位体積当たりの蓄熱量(理論値)をいうものとする。さらに、この方法では、放熱時に、蓄熱材容器内の無水和物(固体)に水蒸気や水滴を供給しているが、そのようにして得られる無水和物と水との混合物は高い割合で固体を含んでおり、混合物(蓄熱材)と蓄熱材容器との接触面積が小さい。そのため、上記混合物が放出する熱を効率よく蓄熱材容器に伝達させることができないので、熱取り出し速度が低下するという問題もある。
特許文献4に記載された蓄熱方法では、蓄熱状態の蓄熱材(例えば塩化カルシウム四水和塩)がセラミック布に保持されているので、蓄熱材全体を短時間で均一に水と反応させることができる。しかし、十分な蓄熱量を確保するために蓄熱材の量を増やそうとすると、セラミック布の面積を大きくする必要がある。これに伴い、蓄熱装置のサイズも増大するため、実効蓄熱密度が低くなるおそれがある。また、この方法では、放熱時に、セラミック布に保持された状態の蓄熱材から熱交換プレートを介して熱を取り出すために、蓄熱材と熱交換プレートの熱伝導効率が低くなり、熱取り出し速度が低下すると考えられる。
本発明は、この点を鑑みてなされたものであり、その目的は、水和物を利用した蓄熱方法において、蓄熱システムにおける実効蓄熱密度を低下させることなく、取り出し熱量を増加させるとともに、熱取り出し速度を高めることにある。
前述した従来の課題を解決するために、本発明の蓄熱システムは、水和物を含む蓄熱材から水を脱離することによって前記蓄熱材に蓄熱し、かつ、蓄熱状態の前記蓄熱材と前記脱離した水とを反応させることによって放熱する蓄熱システムであって、固相である無機塩のn水和物(n:水和数)であって、100℃以下の相変化温度を有する水和物を含む第1組成物からなる蓄熱材を収容する蓄熱材容器と、前記蓄熱材容器に収容された前記蓄熱材を相変化温度よりも高い温度まで加熱するための第1の加熱部と、前記蓄熱材容器から気体状態の水を取り出す水排出経路と、前記蓄熱材容器から前記水排出経路を介して取り出された前記気体状態の水を液体状態に凝縮させる凝縮部と、前記凝縮部によって凝縮された水を保持する水貯蔵部と、前記水貯蔵部に保持されていた水を液体状態で加熱する第2の加熱部と、前記第2の加熱部によって加熱された液体状態の水を前記蓄熱材容器内に供給するための水供給経路と、前記蓄熱材からの放熱の少なくとも一部を回収する熱回収部と、前記蓄熱材容器から前記水排出経路を介して取り出された水の量を検知する検出器と、蓄熱時に、前記蓄熱材が固相である前記無機塩のm水和物(m:水和数、m<n)と、前記無機塩の水溶液との共存状態である第2組成物であることを検知すると、前記水排出経路からの水の取り出しを制止する制御部と、を備え、熱利用時に、前記水供給経路から前記第2の加熱部によって加熱された液体状態の水を前記蓄熱材容器内に供給し、前記蓄熱材容器内に収容されている前記第2組成物と混合させる。
本発明によれば、水和物を利用した蓄熱方法において、放熱時に第2組成物と水とを均一に混合させることができるので、取り出し熱量を増加させることができる。また、第2組成物に水を混合して得られた混合物と蓄熱材容器との熱伝導効率を高めることができるので、熱取り出し速度を向上できる。
また、蓄熱システムの実効蓄熱密度を低下させることなく、熱取り出し量を増加させることができるので、従来よりも小型の蓄熱システムを提供することが可能になる。
はじめに、本発明による蓄熱方法の概要を説明する。
まず、固相である無機塩のn水和物(n:水和数)を含む第1組成物を蓄熱材容器内に収容する。n水和物の相変化温度は100℃以下である。この第1組成物をn水和物の相変化温度よりも高い温度まで加熱し、かつ、第1組成物に含まれている水を蓄熱材容器から取り出すことによって、n水和物よりも水和数の小さい無機塩のm水和物(m:水和数、m<n)と無機塩の水溶液との固液共存状態である第2組成物を得る。このとき、無機塩のn水和物を相変化温度以上まで加熱することにより、顕熱および潜熱に相当する熱量を蓄熱でき、水を蓄熱材容器から取り出すことにより、溶質濃度の差に基づく熱量を蓄熱できる。第2組成物が得られたことを検知すると、蓄熱材容器から水を取り出すことを制止する。例えば、蓄熱材容器から取り出された水の量を検出し、予め設定された量に達した時点で、水の取り出しを制止させてもよい。
続いて、この第2組成物を貯蔵しておき、熱利用時には、第2組成物に液体状態の水を混合させて、溶質濃度の差に基づいて蓄えられた熱量を放出させる。さらに、水を混合した後の組成物の温度をn水和物の相変化温度以下まで低下させることにより、第2組成物に蓄えられた顕熱および潜熱に相当する熱量も放出させることができる。このとき、例えば蓄熱材容器に接触するように熱回収用の水を流し、この水と蓄熱材容器との間で熱交換を行うことにより、放熱量の一部を回収できる。熱交換された後の水は、例えば給湯器な
どの熱利用ユニットで利用される。
熱利用時には、蓄熱時に蓄熱材容器から取り出した水と同量の水(反応水)を蓄熱材容器に供給することが好ましい。このとき、反応水の全量を蓄熱材容器に一気に供給してもよいし、複数回に分けて供給してもよい。反応水の全量が供給され、第1組成物(固液共存状態または液体単体状態)に戻った時点で、この第1組成物を相変化温度以下に戻して反応熱と潜顕熱とを放出させる。反応水の全量を一気に供給する場合には、水和反応が終了してから顕熱を利用することになるため、水和反応の反応速度に関らず、熱の取り出し速度を高めることができる。また、複数回に分けて供給する場合でも、一部の反応水を先に供給して固体(m水和物)に水を浸透させ、この状態で残りの反応水を供給するため、水和反応の反応速度が高められ、結果的に熱の取り出し速度も高めることが可能になる。
なお、本発明では、蓄熱時に、蓄熱材容器から水を取り出すことによって、無機塩と水との反応系から水の一部を除去している。本明細書では、このような反応系からの水の除去を、水和物の脱水と区別するために「水を分離する」と表現する場合もある。
このように、本発明では、潜熱プロセスに加えて、濃度差に基づく化学蓄熱プロセスを併用している。そのため、従来の潜熱または化学蓄熱のいずれか一方のみを利用する蓄熱方法と比べて、蓄熱量を大幅に増大させることができ、顕熱を含んだ潜熱蓄熱密度よりも大きな蓄熱密度を達成できる。さらに、濃度差に基づく化学蓄熱プロセスでは、従来の化学蓄熱方法と異なり、放熱時に外部から熱エネルギーを投入する必要がないので、従来の化学蓄熱方法における原理的な熱損失を低減できる。
また、上記方法によると、固液共存状態である第2組成物が得られたことを検知して、蓄熱材容器から水を取り出すことを制止するため、水の分離がさらに進行して蓄熱材容器内の組成物が固相となってしまうことを防止できる。固液共存状態の第2組成物では、m水和物(固体)が液体中に分散しているので、放熱時に蓄熱材容器内に供給される水と均一に反応できる。従って、未反応の固体の一部が蓄熱材容器の底に残ることによる取り出し熱量(放熱量)の低下を抑制できる。このような効果については、本願発明者らが行った実験結果に基づいて後で詳しく説明する。
さらに、上記方法では、放熱時に、固液共存状態の第2組成物に水(液体状態)を混合させるため、その混合物は液体を多く含有し、対流を利用して蓄熱材容器や熱交換器に対して効率よく熱を伝達させることができる。従って、熱取り出し速度を高めることができる。
本発明における第1組成物は、室温で無機塩のn水和物を含む固体であってもよいし、無機塩のn水和物および無機塩の水溶液を含む固液共存状態であってもよい。また、第1組成物および第2組成物は、必要に応じて、防錆剤、相分離防止剤、過冷却防止剤等などの添加物を含んでいてもよい。
無機塩としては、そのm水和物および水からn水和物を生成する水和反応の反応熱が正となる物質を用いる必要がある。また、濃度差に基づく蓄熱密度が大きい物質を用いることが好ましく、塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物、硝酸化物、硫酸化物、チオ硫酸化物、リン酸化物、ホウ酸化物および酢酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の無機塩を用いることができる。これらのなかでも、硫酸マグネシウム、塩化カルシウムおよび臭化カルシウムを用いると、蓄熱密度、環境適合性およびコストの点から有利である。
蓄熱材容器から水を取り出す方法としては、特に限定しないが、例えば気化法を用いて
、気体状態の水を蓄熱材容器の外部へ取り出してもよい。この場合、気化による蒸発潜熱を同じ蓄熱ユニット内で熱交換して回収することが好ましい。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明による第1の実施形態の蓄熱方法を説明する。
図1は、本実施形態における蓄熱および放熱過程の一例を説明するための図である。図1において、横軸は組成物濃度、縦軸は温度であり、無機塩と水との各組成における相の存在状態を表わす相図が例示されている。
この例では、第1組成物として、温度T1で固相のn水和物となる組成物A(無機塩の濃度:c1)を用いる。温度T1は、例えば室温とする。
蓄熱過程では、矢印10で示すように、まず、n水和物の温度を温度T1から相変化温度Tmを超える温度T2まで加熱すると、n水和物の脱水反応により固体であるm水和物が生成され、組成物Aは、m水和物と無機塩の水溶液とが共存する固液共存状態となる。この後、矢印11で示すように、蓄熱材の温度T2を保ったまま、蓄熱材容器から水を取り出し、所定量の水が取り出されたことを検知した時点で、水の取り出しを制止する。これにより、組成物Aよりも無機塩の濃度が高められた組成物B(濃度:c2、c2>c1)を得る。得られた組成物Bは、m水和物と無機塩の水溶液とを含む固液共存状態である。
放熱過程では、矢印12で示すように、温度T2の組成物Bを水と混合させて固液共存状態の組成物Aを得た後、組成物Aの温度をn水和物の相変化温度Tm以下の温度T1まで低下させて、n水和物に戻す。第2組成物と混合させる水の量は、蓄熱時に蓄熱材容器から取り出した水の量と略等しいことが好ましい。このように、熱利用時、顕熱と潜熱の形による放熱が行われるので、熱取り出し速度はm水和物と水との反応速度に依存しない。よって、従来の化学蓄熱方法と比べて、熱取り出し速度を高めることができる。
本実施形態における蓄熱可能な全熱量ΔHは、n水和物を温度T1からn水和物の相変化温度Tmまで昇温するための顕熱ΔHS1と、温度Tmにおけるn水和物の融解潜熱ΔHL1と、固液共存状態の組成物AをTmからT2まで昇温するための顕熱ΔHS2と、組成物Aから水を分離することにより無機塩の濃度を高めたことによる反応熱ΔHR1との和である。
ΔH(全蓄熱量)=ΔHS1+ΔHL1+ΔHS2+ΔHR1
上記の全蓄熱量ΔHは、蓄熱前の組成物Aおよび蓄熱状態の組成物Bの温度T1、T2および無機塩の濃度c1、c2によって変わる。
なお、図1では、矢印10および11に沿った蓄熱過程を例に説明したが、温度T1の組成物Aから温度T2の組成物Bを得る経路は特に限定されず、例えば組成物Aを加熱しつつ、水を分離することもできる。同様に、放熱過程も、矢印12に沿った経路に限定されない。
組成物Bにおける蓄熱後の温度T2および無機塩の濃度c2は、組成物Bが固液共存状態をとり得るように適宜選択されればよいが、好ましくは以下の範囲に設定される。
組成物Bの温度T2は、室温以上、例えば30℃以上で100℃以下であることが好ましい。ただし、相変化温度Tmより高くなるように選択される必要がある。温度T2は、より好ましくは100℃未満であり、これによって、濃度差に基づく化学蓄熱プロセスにおいて、可逆的な液体の水の分離反応熱を利用することが可能になる。また、組成物Aを
加熱するためにCO2ヒートポンプを利用する場合には、温度T2を90℃以下(例えば
80℃付近)とすると有利である。水和反応による反応熱を顕熱として蓄えることにより、蓄熱材容器内の蓄熱材を100℃近くまで加熱できるので、給湯速度に対応した熱利用が可能となるからである。
なお、本実施形態において、温度T2を100℃未満とすると、蓄熱時には100℃未満の温度で組成物Aから水を取り除く必要がある。その場合には、真空ポンプを用いて蓄熱材容器内を減圧して、蓄熱材容器内の組成物Aに含まれる水を100℃未満の温度で沸騰させることにより、蓄熱材容器から気体状態の水を取り出すことができる。
無機塩の濃度c2は、組成物Bにおける固体の容積分率が90vol%以下になるように制御されることが好ましい。固体の容積分率が90vol%以下であれば、組成物Bは流動性を有するため(固液共存スラリの流動限界)、放熱時に、組成物Bに含まれるm水和物と水とを効率よく混合できる。上記容積分率は、より好ましくは78vol%以下、さらに好ましくは74vol%以下であり、これにより、組成物Bに含まれるm水和物と水とをより均一に混合できるので、放熱量をさらに増加させることができる。一方、上記容積分率は0vol%より大きければよい。例えば無機塩として塩化カルシウムを用いる場合には、組成物Bの塩化カルシウムの濃度c2は、固体が析出する濃度であっても、溶質濃度の差による蓄熱が可能である。無機塩として硫酸マグネシウムを用いる場合には、上記容積分率は68vol%以上であることが好ましく、これにより、組成物Aと組成物Bとの濃度差(c2−c1)を十分に確保できるので、蓄熱量を増やすことができる。
無機塩のn水和物の相変化温度Tmは、例えば組成物Aを加熱するための外部電源としてヒートポンプを用いるときには、30℃以上ヒートポンプの加熱温度以下とする。外部電源としてヒートポンプを用い、常圧の水を熱媒体として組成物Aを加熱する場合には、相変化温度Tmは100℃未満とする。なお、上述した温度T2の好適な範囲を考慮すると、相変化温度Tmは90℃未満であることが好ましい。
また、組成物Bと水とを混合する際に、混合によって組成物の温度が100℃を超えてしまうと気化熱を損失するため、100℃に達する前に、蓄熱材容器に対する水の供給を制止して蓄熱量の損失を低減することもできる。この場合には、蓄熱材容器内の混合物の温度を、所定の温度(例えば70℃)以下まで低下させた後に、残りの水の全量または一部を供給してもよい。
図示する例では、第1組成物として、室温で固体(n水和物)の組成物Aを用いているが、代わりに、室温でn水和物と水溶液との共存状態である組成物Dを用いることもできる。このような組成物Dは、n水和物に水を混合することにより調整できる。
組成物Dを用いた場合の蓄熱および放熱過程も上記と同様である。具体的には、蓄熱過程では、矢印14に示すように、組成物Dの温度をT1(例えば室温)からn水和物の相変化温度Tmを超える温度T2まで加熱し、続いて、組成物Dから水を分離して、n水和物よりも水分子数の少ないm水和物と水溶液とを含む固液共存状態の組成物Bを得る。放熱過程では、矢印16に示すように、組成物Bに水を混合して組成物Dを得た後、組成物Dの温度を温度T1まで低下させる。
組成物Dを用いる場合の蓄熱可能な全熱量ΔHも、上記と同様であり、組成物Dを温度T1からn水和物の相変化温度Tmまで昇温するための顕熱ΔHS3と、温度Tmにおけるn水和物の融解潜熱ΔHL2と、固液共存状態の組成物DをTmからT2まで昇温するための顕熱ΔHS4と、組成物Dから水を分離することにより無機塩の濃度を高めたことによる反応熱ΔHR2との和である。
ΔH(全蓄熱量)=ΔHS3+ΔHL2+ΔHS4+ΔHR2
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明による第2の実施形態の蓄熱方法を説明する。本実施形態は、蓄熱過程において第1組成物が液相単体状態を経て第2組成物となる点で、前述の実施形態と異なっている。すなわち、前述の実施形態では、第1組成物を温度T2まで加熱すると固液共存状態となり、固液共存状態の第1組成物から水を分離することによって第2組成物を得るが、本実施形態では、第1組成物を温度T2まで加熱すると水溶液となり、この水溶液から水を分離することによって第2組成物を得る。
図2は、本実施形態における蓄熱および放熱過程の一例を説明するための図である。図2において、横軸は組成物濃度、縦軸は温度であり、無機塩と水との各組成における相の存在状態を表わす相図が例示されている。
この例では、第1組成物として、温度T1で固相のn水和物である組成物E(無機塩の濃度:c1)を用いる。温度T1は、例えば室温である。
蓄熱過程では、矢印20で示すように、まず、n水和物の温度を温度T1から相変化温度Tmを超える温度T2まで加熱する。これにより、組成物Eは液体単体状態となる。この後、組成物Eの温度をT2に保ったまま、蓄熱材容器から水を取り出し、所定量の水が取り出されたことを検知した時点で、水の取り出しを制止する。これにより、組成物Eよりも無機塩の濃度が高められた組成物F(濃度:c2、c2>c1)を得る。組成物Fは、n水和物よりも水和数の小さいm水和物と、無機塩の水溶液とを含む固液共存状態である。
放熱過程では、矢印22に示すように、温度T2の組成物Fを水と混合させて液体状態の組成物Eとした後、組成物Eの温度をn水和物の相変化温度Tm以下の温度T1まで低下させてn水和物に戻す。組成物Fと混合させる水の量は、蓄熱時に蓄熱材容器から取り出した水の量と略等しいことが好ましい。このように、本実施形態では、熱利用時、顕熱と潜熱の形による放熱が行われるので、熱取り出し速度はm水和物と水との反応速度に依存しない。よって、従来の化学蓄熱プロセスと比べて、熱取り出し速度を高めることができる。
本実施形態では、例えば、組成物Eとして、塩化カルシウムと水とを1:6のモル比で含む組成物を用いることができる。この場合、蓄熱過程では、塩化カルシウム6水和塩を温度T1(室温)から温度T2まで加熱し、かつ、この組成物から水を分離することにより、塩化カルシウム2水和塩と塩化カルシウム水溶液とを含む組成物Fを得ることができる。この蓄熱過程の反応式を以下に示す。なお、下記式におけるa、bの値は、蓄熱後の温度T2によって変わる。
CaCl2・6H2O(固体) ⇔ aCaCl2/(4.03〜4.43)H2O(水溶液) + bCaCl2・2H2O(固体) + 2H2
本実施形態でも、前述の実施形態と同様に、n水和物を温度T1からn水和物の相変化温度Tmまで昇温するための顕熱ΔHS5と、温度Tmにおけるn水和物の融解潜熱ΔHL3と、液相の組成物EをTmからT2まで昇温するための顕熱ΔHS6と、組成物Eから水を分離して無機塩の濃度を高めることによる反応熱ΔHR3とを蓄熱できる。
ΔH(全蓄熱量)=ΔHS5+ΔHL3+ΔHS6+ΔHR3
上記の全蓄熱量ΔHは、蓄熱前の組成物Eおよび蓄熱状態の組成物Fの温度T1、T2および無機塩の濃度c1、c2によって変わる。
なお、蓄熱過程は、矢印20に沿った経路に限定されず、温度T1の組成物Eから温度T2の組成物Fを得ることができればよい。例えば、蓄熱過程において、組成物Eを加熱しつつ、水を蓄熱材容器から取り出すことによって組成物Fを得ることもできる。同様に、放熱過程も、矢印22に沿った経路に限定されず、温度T2の組成物Fから組成物Eに戻すことができればよい。
組成物Fにおける無機塩の濃度c2および蓄熱後の温度T2は、第2組成物が固液共存状態をとり得るように適宜選択されればよく、これらの好ましい範囲は、前述の実施形態で説明した範囲と同じである。また、組成物Fにおける固体の容積分率の好ましい範囲も前述した範囲と同じである。
図示する例では、第1組成物として、室温で固体(n水和物)である組成物Eを用いているが、代わりに、室温で2種類の水和物が共存する組成物を用いてもよい。あるいは、室温でn水和物と水溶液との共存状態である組成物Hを用いることもできる。このような組成物Hは、n水和物に水を混合することにより調整できる。
組成物Hを用いる場合の蓄熱過程では、矢印24に示すように、組成物Hの温度をT1(例えば室温)から組成物Hの液相線温度Tm’を超える温度T2まで加熱して水溶液とし、続いて、組成物Hから水を分離して、n水和物よりも水分子数の少ないm水和物と水溶液とを含む固液共存状態の組成物Fを得ることができる。また、放熱過程では、矢印26に示すように、固液共存状態の組成物Fに水を混合し、かつ温度をT1まで低下させる。
組成物Hを用いる場合の蓄熱可能な熱量も、上記と同様であり、組成物Hを温度T1からn水和物の相変化温度Tmまで昇温するための顕熱ΔHS7と、温度Tmにおけるn水和物の融解潜熱ΔHL4と、液相の組成物EをTmからT2まで昇温するための顕熱ΔHS8と、組成物Hから水を分離して無機塩の濃度を高めることによる反応熱ΔHR4とを蓄熱できる。
ΔH(全蓄熱量)=ΔHS7+ΔHL4+ΔHS8+ΔHR4
上述してきたように、本発明による第1および第2の実施形態の蓄熱方法によると、特にヒートポンプに対応できる温度域において、潜熱蓄熱材よりも高い蓄熱密度が得られ、かつ、放熱過程において外部からエネルギーを投入する必要がないので実質的な蓄熱量を向上できる。蓄熱密度は、第1組成物に含まれる無機塩の種類や、蓄熱前の温度T1および蓄熱後の温度T2によっても異なるが、水の顕熱を利用した顕熱蓄熱における蓄熱密度の2倍以上になるように、第1および第2組成物の組成を調整することが好ましい。
さらに、このような高い蓄熱密度が得られるだけでなく、蓄熱状態の第2組成物を固液共存状態とすることにより取出し熱量も増加させることができるので、蓄熱システムを従来よりも小型化できるという利点もある。従来の蓄熱システムを、CO2ヒートポンプや
燃料電池コージェネレーションを利用した給湯機器に適用すると、貯湯槽の小型化が困難で設置性に劣るという問題があったが、本発明の蓄熱方法を利用すると、貯湯槽に代わり、貯湯槽よりも容積の小さい蓄熱槽を用いた蓄熱システムを実現できるので、設置性に優れた小型の給湯機器を提供できる。
<第2組成物と水との混合実験>
本発明では、放熱時に、固液共存状態の第2組成物に水を混合させることによって、固体状態の組成物に水を混合させる場合よりも、第2組成物に含まれる固体(m水和物)と水とを均一に混合できるという効果が得られる。本願発明者らは、本発明による上記効果を確認するための比較実験を行ったので、その方法および結果を説明する。
実験では、無機塩として塩化カルシウムを用いた。実施例として、塩化カルシウム2水和物と塩化カルシウム水溶液との固液共存状態の組成物を作製し、比較例として、塩化カルシウム2水和物からなる固体の組成物を作製し、それぞれの組成物と水との混合実験を行った。
実施例では、45.614gの塩化カルシウム無水物および29.569gの水から、塩化カルシウム2水和物の固体と塩化カルシウムの水溶液との固液共存組成物(75.183g)を作製した。次いで、14.717gの水を入れたビーカーを用意し、このビーカーに実施例の組成物を供給した。その結果、図3(a)に模式的に示すように、目視上、均質な溶液31が得られた。溶液31の導電率を測定したところ、71.5mS/cmであった。
次に、溶液31の導電率の測定結果から、溶液31における塩化カルシウムの質量濃度を求めた。溶液31の質量濃度は、図4に示す塩化カルシウムの質量濃度と導電率との関係を表わす測定結果に基づいて求めることができる。この結果、図4に示すように、本実験で得られた溶液31の導電率(71.5mS/cm)は、塩化カルシウムの質量濃度が48%の水溶液に相当し、溶液31における塩化カルシウムの質量濃度が48%であることがわかった。この値は、ビーカー内の塩化カルシウムの実質量濃度である51%に近い値であることから、実施例では、ビーカーに供給された塩化カルシウム2水和物の略全量が水と混合して、略均質な塩化カルシウム水溶液が得られたことが確認された。
一方、比較例の組成物として、59.382gの塩化カルシウム2水和物を用意し、この組成物を30.015gの水を入れたビーカーに供給した。その結果、図3(b)に模式的に示すように、溶液35が得られたが、ビーカーの底には固体の沈殿物33が存在していた。溶液35の導電率を測定したところ156.8mS/cmであった。また、固体の沈殿物35は、塩化カルシウム2水和物であった。沈殿物35を取り出して確認すると、ビーカーに供給する前の塩化カルシウム2水和物(固体)の粉末と比べて、粒子径が大きくなり、かつ、粒子表面が硬くなっていることがわかった。
上記実施例と同様に、図4に示す塩化カルシウムの質量濃度と導電率との関係に基づいて、比較例における溶液35の導電率の測定結果から溶液35の塩化カルシウムの質量濃度を求めた。この結果、導電率156.8mS/cmは、塩化カルシウムの質量濃度が34%の水溶液に相当し、溶液35における塩化カルシウムの質量濃度は34%であることがわかった。この値は、ビーカー内の塩化カルシウムの実質量濃度である51%よりも極めて低い。これは、塩化カルシウム2水和物の粉末の表面のみが水和し、粉末内部まで水が浸透しないために、水に溶けずに固体のまま残る量が多くなり、その結果、溶液35における塩化カルシウムの濃度が低くなったからと考えられる。
上記の混合実験より、固液共存状態の第2組成物と水とを混合させると、固体状態の水和物と水とを混合させる場合に比べて、第2組成物に含まれる水和物のうち、水と反応せずに沈殿物として残る量を大幅に低減できることを確認した。よって、本発明によると、第2組成物に含まれる水和物の一部が水と反応せずに残ってしまうことに起因する取り出し熱量の低下を抑制できることがわかった。
<蓄熱材の検討>
本願発明者らは、本発明の蓄熱方法に好適に用いられる蓄熱材(第1組成物)の検討を行ったので、その方法および結果を説明する。
まず、室温から100℃までの範囲に融点を有する種々の水和物について、その水和物
から水を分離することによる反応熱を測定した。測定では、水和物を相分離温度以上まで加熱し、その温度を保った状態で、溶質濃度が2倍になるまで水を分離した。この後、水の分離によって得られた組成物を水と混合させて、その反応熱を求めた。
測定結果を表1に示す。表1に示す種々の水和物のうち零または負の反応熱を有する水和物は、水分離によって蓄熱できないため、本発明における蓄熱材として用いることができない。一方、正の反応熱を有する水和物は、水分離によって蓄熱できるため、本発明における蓄熱材として使用可能である。これらの中で特に好ましい蓄熱材として、反応熱の大きさがある程度大きく、腐食作用が弱く、かつ危険性の少ない硫酸マグネシウム、チオ硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウムおよび硝酸亜鉛の水和物を選択した。
Figure 0005021597
続いて、上記の選択された水和物に含まれる無機塩のそれぞれについて、溶質濃度(無機塩の濃度)と蓄熱密度との関係を求めた。この項でいう蓄熱密度は、無機塩と水と組成物から、固相に変化する濃度になるまで水を分離する場合の単位体積当たりの蓄熱量とした。蓄熱量は、無機塩と水との組成物の顕熱、潜熱、および水分離による反応熱の和で表わされるが、顕熱と潜熱については文献値に基づいて、反応熱については上記測定値に基づいて各溶質濃度における蓄熱量を算出した。
図5〜図9は、上記の各無機塩の溶質濃度と単位体積当たりの蓄熱密度との関係を求めた結果を示すグラフである。なお、図5〜図9において、比較のために、その無機塩の水和物の顕熱及び潜熱のみを利用した場合の蓄熱密度(「比較密度」とする)を、グラフの横軸に平行な点線で示している。比較密度は、硫酸マグネシウムでは7水和物、チオ硫酸ナトリウムでは5水和物、塩化カルシウムでは6水和物、臭化カルシウムでは6水和物、硝酸亜鉛では6水和物の各水和物を15℃から90℃まで加熱して得られる値である。従って、点線で示す比較密度よりも大きい蓄熱密度が得られるように、各無機塩の溶質濃度を調整すると、顕熱および潜熱のみを用いた蓄熱方法よりも高い蓄熱密度が得られるので有利である。
具体的には、図5に示す硫酸マグネシウムと水との組成物を第1組成物として用いる場合、硫酸マグネシウムの濃度は36質量%以上53質量%以下であることが好ましい。同様に、図6に示すチオ硫酸ナトリウムと水との組成物では、チオ硫酸ナトリウムの好適な濃度は52質量%以上75質量%以下、図7に示す塩化カルシウムと水との組成物では、塩化カルシウムの好適な濃度は47質量%以上64質量%以下、図8に示す臭化カルシウムと水との組成物では、臭化カルシウムの好適な濃度は58質量%以上74質量%以下、図9に示す硝酸亜鉛と水との組成物では、硝酸亜鉛の好適な濃度は51質量%以上84質量%以下である。
また、各無機塩について、最大の蓄熱密度が得られる組成物の特性をまとめたので表2に示す。なお、表2に示す顕熱は、温度差を75℃として算出した値である。
Figure 0005021597
以下、本発明による蓄熱方法の実施例を具体的に説明する。
(蓄熱システムの構成)
まず、図面を参照しながら、下記の実施例で用いる蓄熱システムの構成を説明する。図10は、蓄熱システムの概略を説明するための構成図であり、図11は、蓄熱槽の構成を示す模式的な断面図である。
図10に示すように、蓄熱システム100は、断熱性に優れた蓄熱槽51と、蓄熱槽51に収容された蓄熱材を加熱するための加熱部52および外部熱源53と、蓄熱槽51と加熱部52との間で蓄熱材加熱用の熱媒体(例えば水)を循環させるための熱媒体経路6
4およびポンプ58と、蓄熱槽51から発生する水蒸気を取り出すための水排出経路60および真空ポンプ57と、水排出経路60に配置され、蓄熱槽51から発生する水蒸気を液体状態の水に凝縮するための第1および第2の凝縮器54、55と、蓄熱槽51の蓄熱材に水を供給するための水供給経路62と、水供給経路62に設置されたバルブ59と、熱回収用の水を蓄熱槽51の内部を通過させて給湯器などの熱利用ユニットに送るための熱回収用水経路65とを備えている。水排出経路60は水タンク56に接続されており、水タンク56には、図示しないが、水タンク56の水位を検出する検出器(水位センサ)が設けられている。また、図示しないが、蓄熱システム100は、水位センサの検出結果に基づいて、真空ポンプ57を停止させることにより、蓄熱槽51からの水の取り出しを制止する制御部を備えている。
蓄熱槽51は、図11に示すように、複数の蓄熱材容器66から構成されており、これらの蓄熱材容器66にそれぞれ蓄熱材51aが収容されている。各蓄熱材容器66における蓄熱材51aの上部空間は、仕切り板70によって、蓄熱材容器内を減圧にするための空間68と水を供給するための空間69とに分離されている。上述した真空ポンプ57は、水排出経路60を介して、空間的に各蓄熱材容器66の空間68に繋がっている。一方、水供給経路62は、空間69に接続されており、水供給経路62から空間69に送られた水は、仕切り板70に設けられた通水口72を通って蓄熱材51aに供給される。また、蓄熱槽51には、蓄熱材容器66の表面または蓄熱材に直接接する熱交換チューブ80が設けられている。熱交換チューブ80は、蓄熱材51aを加熱するための熱媒体(ここでは水)を流す熱媒体経路64および熱利用時に蓄熱材51aから熱を回収するための水を流す熱回収用水経路65とそれぞれ接続されている。熱媒体経路64を介して加熱部52から蓄熱槽51へ送られる水は、この熱交換チューブ80を上部から下部に向って通過しながら、蓄熱材51aと熱交換を行い、加熱部52に戻される。熱回収用水経路65から蓄熱槽51へ送られる熱回収用の水(例えば給湯用の水)は、熱交換チューブ80を下側から上側に向って通過しながら、蓄熱材51aと熱交換を行い、熱利用ユニット(例えば給湯ユニット)で利用される。
以下の実施例では、外部熱源53として、例えばCO2ヒートポンプを用い、加熱部5
2では、外部熱源53からの熱媒体としてCO2熱媒体(温度:110℃)を利用する。
外部熱源53からのCO2熱媒体は、加熱部52に移動し、ここで蓄熱材加熱用の熱媒体
(水)の流れと対向する方向に流れることにより、CO2熱媒体と水との間で熱交換を行
う。
蓄熱時には、加熱部52でCO2熱媒体によって加熱された蓄熱材加熱用の熱媒体(水
)は、例えば90℃の高温となって、加熱部52から熱媒体経路64を通って蓄熱槽51の熱交換チューブ80に流れ込み、ここで蓄熱槽51に収容された蓄熱材51aと熱交換を行って蓄熱材51aを加熱する。蓄熱材51aと熱交換を行った後の水は、熱媒体経路64によって再び加熱部12へ戻されてCO2熱媒体と熱交換される。
蓄熱材51aから気化によって発生した水蒸気は、水排出経路60によって第1の凝縮器54へ送られ、ここで、蓄熱槽51の熱交換チューブ80を通過した後の熱媒体(水)と対向流で熱交換されて凝縮される。この後、第2の凝縮器55へ送られ、CO2ヒート
ポンプのCO2熱媒体と対向流で熱交換を行うことにより、さらに凝縮されて液体状態の
水となる。得られた水は水タンク56に貯蔵される。
一方、熱利用時には、バルブ59を開けて、水供給経路62から蓄熱材51aに水を供給することにより、蓄熱材51aを発熱させるとともに、熱回収用水経路65から熱交換チューブ80に熱回収用の水を流して、蓄熱材51aから放出される熱の一部を回収する。
なお、水タンク56の容積を小さくするために、水タンク56に一旦蓄えられた水が一定量に達したら排出させる構成にしても良い。この場合には、水位センサの代わりに、蓄熱槽51の温度および第1、第2の凝縮器54、55の温度を検出する温度センサを設けて、例えば数分間隔でこれらの温度を検出し、その結果に基づいて、蓄熱材容器66からの水の取り出しを制止させることもできる。これらの温度は、例えば数分間隔具体的には、蓄熱槽51の温度および第1、第2の凝縮器54、55の温度から算出される相対湿度に基づいて水の蒸発速度を求め、この時間積分を行う。これによって、蓄熱材容器66から取り出された水の量を求めることができ、蓄熱材51aの溶質濃度を推定できる。溶質濃度の推定値が所定値以上になった時点で、真空ポンプ57の運転を停止させることにより、水の取り出しを制止する。
(実施例1)
以下、図面を参照しながら、本実施例の蓄熱方法を具体的に説明する。
本実施例では、硫酸マグネシウムと水とを1対7のモル比で含む水和物を用い、図10および図11を参照しながら説明した蓄熱システムを用いて蓄熱および放熱を行う。図12は硫酸マグネシウムと水との相図であり、本実施例における蓄熱過程を矢印90で例示している。
まず、第1組成物91として、硫酸マグネシウム7水和物を蓄熱槽51に収容する。硫酸マグネシウム7水和物の温度は室温(約15℃)とする。
次いで、矢印90で例示するように、室温の硫酸マグネシウム7水和物91から、約80℃の固液共存状態の第2組成物92を得ることによって蓄熱を行う。第2組成物92は、硫酸マグネシウム1水和塩と硫酸マグネシウム水溶液との固液共存状態である。
蓄熱過程を順に説明する。まず、ポンプ58を稼動させて、蓄熱槽51と加熱部52との間で、蓄熱材加熱用熱媒体として水を循環させる。続いて、CO2ヒートポンプ(外部
電源)53を稼動させて加熱部52で水を加熱し、得られた90℃の高温水を熱媒体経路64から蓄熱槽51の熱交換チューブ80に流す。熱交換チューブ80では、硫酸マグネシウム7水和物91と高温水との間で熱交換が行われ、これにより、硫酸マグネシウム7水和物91を室温(15℃)から昇温させる。この過程では、蓄熱材容器66に収容された蓄熱材51aの上部(表面部)が下部(底部)よりも高温になるため、蓄熱材51aの下部の温度を検知し、この温度が硫酸マグネシウム7水和物の相変化温度である48℃を超えると、真空ポンプ57を稼動させて、蓄熱材容器66の内部空間68の真空引きを行う。
蓄熱材容器66の第1組成物91は、48℃以上で固体の硫酸マグネシウム7水和物から固液共存状態となっており、蓄熱材容器66の内部空間68を真空引きすることにより、固液共存状態の第1組成物91に含まれる水成分が真空気化されて蒸発する。蓄熱材51aの表面部では、温度が90℃に近いため、0.6気圧程度で沸騰しながら気化する。
真空引きによって気化された水(水蒸気)は、水排出経路60を通って第1の凝縮器54、第2の凝縮器55にこの順で送られる。第1の凝縮器54では、水蒸気と、熱媒体経路64に沿って蓄熱槽51の熱交換チューブ80を通過した後の約40℃の水とが対向流で熱交換されて、水蒸気の一部が凝縮する。第2の凝縮器55では、残留した水蒸気が、第2の凝縮器55で外部熱源(CO2ヒートポンプ)53の約−10℃のCO2熱媒体との熱交換によって冷却されて水となる。これらの凝縮器54、55で凝縮された水は、水タンク56に一旦蓄えられる。このようにして、水蒸気を凝縮させるとともに、第1の凝縮
器54で発生する水蒸気の凝縮熱が、蓄熱槽51から加熱部52へ流れる熱媒体(水)によって回収され、第2の凝縮器55で発生する水蒸気の凝縮熱がCO2ヒートポンプ53
のCO2熱媒体によって回収される。
上述の一連の操作を、水タンク56の水位が所定値以上になったことを検知した時点で停止する。具体的には、真空ポンプ57の運転を停止した後、真空ポンプ系の配管(水排出経路60)を大気開放して蓄熱材容器66を大気圧にする。このようにして、固液共存状態の第2組成物92が得られる。蓄熱槽51は断熱容器であるため、第2組成物92は熱利用時まで保温される。
本実施例では、水の取り出しを停止した後の第2組成物92の組成を硫酸マグネシウム83重量部、水17重量部とする。これは、硫酸マグネシウム1水和物の固体と硫酸マグネシウム42重量部、水58重量部の水溶液との固液共存状態である。また、得られた第2組成物92における固体の容積分率は約78vol%である。
熱利用時には、図示しないが、第2組成物92に、水供給経路62から室温の反応水(蓄熱材1kg当たり水0.4kg)を供給して第1組成物91に戻す。このとき、第2組成物92に含まれる硫酸マグネシウムと水とが水和反応を生じて発熱する。同時に、給湯用の水を、熱回収用水経路65から蓄熱槽51の熱交換チューブ80を通過させて40℃以上に昇温する。昇温された水は、給湯ユニットなどの熱利用ユニットに送られる。
本実施例の蓄熱方法における蓄熱密度は、653kJ/Lであり、これは貯湯槽の上部を90℃、下部を15℃として水を蓄熱した場合の蓄熱密度(313kJ/L)の約2.1倍と高い。なお、水タンク56として断熱容器を用いて、蓄熱槽51から取り出して凝縮した水を高温で蓄えておくこともできる。この場合には、熱利用時に水タンク56の高温の水を反応水として第2組成物92に供給すれば、上記の蓄熱密度に加えて、顕熱分である126kJ/Lをさらに蓄熱させることが可能になる。また、この場合、水タンク56の水をCO2ヒートポンプでさらに高温にしてから第2組成物92に供給することも可
能である。
なお、第1組成物91における硫酸マグネシウムの質量濃度は特に限定されない。本実施例では、室温で固体(7水和物)となる組成物を用いたが、代わりに、硫酸マグネシウムと水とを1対6のモル比で含む組成物を用いてもよい。または、室温で固体(6水和物または7水和物)と硫酸マグネシウム水溶液とを含む固液共存状態となるような組成物を用いることもできる。
同様に、第2組成物92における硫酸マグネシウムの質量濃度も、図12に示す濃度(83%)に限定されず、第2組成物92が固液共存状態となるように適宜選択されればよい。例えば、第1組成物91を硫酸マグネシウムと水とを1対7のモル比で含む組成物とし、蓄熱後の第2組成物92の温度を80℃とすると、第2組成物92における硫酸マグネシウムの質量濃度は、図12に示す範囲93、すなわち第1組成物91の濃度より高く、かつ、固相に変化する濃度よりも低い範囲内であればよい。
蓄熱後の第2組成物92の温度も80℃に限定されず、例えば相変化温度よりも高く、かつ100℃以下の範囲で適宜選択され得る。好ましくは、6水和塩の相変化温度以上90℃以下である。6水和塩の相変化温度以上であれば、第2組成物92の溶質濃度を高くすることができ、その結果、第1および第2組成物91、92の溶質濃度差を大きくできるので、より大きな蓄熱量が得られる。一方、90℃以下であれば、前述したように、水和反応による反応熱を顕熱として蓄えることができる。
蓄熱後の第2組成物92の温度を6水和塩の相変化温度以上90℃以下とする場合、第2組成物92における硫酸マグネシウムの質量濃度は63%以上83%以下であることが好ましく、より好ましくは63%以上79%以下である。63%以上であれば、溶質濃度差による蓄熱量を増加させることができる。また、79%以下であれば、蓄熱後の第2組成物92に含まれる固体の容積分率を低くできるため、放熱過程において、第2組成物92を水とより均一に混合させることができる。
(実施例2)
本実施例では、塩化カルシウムと水とを1対6のモル比で含む水和物を用いる点で、前述の実施例と異なっている。
以下、図面を参照しながら、本実施例の蓄熱方法を具体的に説明する。本実施例でも、前述の実施例と同様に、図10および図11を参照しながら説明した蓄熱システムを用いて蓄熱および放熱を行う。図13は塩化カルシウムと水との相図であり、本実施例における蓄熱過程を矢印94で例示している。
まず、第1組成物95として、塩化カルシウム6水和塩を蓄熱槽51に収容する。塩化カルシウム6水和塩の温度は室温(約15℃)とする。
蓄熱過程では、矢印94で例示するように、室温の塩化カルシウム6水和塩から、約80℃の固液共存状態の第2組成物96が得られる。第2組成物96は、塩化カルシウム2水和塩と塩化カルシウム水溶液との固液共存状態である。
蓄熱過程を順に説明する。まず、上述の実施例と同様の方法で、塩化カルシウム6水和塩を加熱する。蓄熱材容器66の下部の温度が塩化カルシウム6水和塩の相変化温度である30℃を超えた時点で、上述した実施例と同様の方法で、蓄熱材容器66の内部空間68の真空引きを開始する。真空引きによって発生した水蒸気は、上述した実施例と同様に、第1および第2の凝縮器54および55によって凝縮され、水タンク56に一旦蓄えられる。
上述の一連の操作を、水タンク56の水位が所定値以上になったことを検知した時点で停止する。本実施例では、水の取り出しを停止した後の第2組成物96の組成を塩化カルシウム61重量部、水39重量部とする。これは、塩化カルシウム2水和物の固体と塩化カルシウム60重量部、水40重量部の水溶液との固液共存状態である。ただし、第2組成物92における固体の量は非常に少なく、その容積分率は0vol%に近い。
熱利用時には、第2組成物96に、水供給経路62から室温の反応水(蓄熱材1kg当たり水0.16kg)を供給して第1組成物95に戻す。このとき、第2組成物96に含まれる塩化カルシウムと水とが水和反応を生じて発熱する。同時に、熱回収用水経路65から蓄熱槽51の熱交換チューブ80へ給湯用の水を通過させて、給湯用の水と蓄熱材との熱交換を行い、給湯用の水の温度を40℃以上とする。この後、給湯用の水を給湯ユニットに送る。
本実施例の蓄熱方法における蓄熱密度は、617kJ/Lであり、これは貯湯槽の上部を90℃、下部を15℃として水を蓄熱した場合の蓄熱密度(313kJ/L)の約2倍と高い。なお、水タンク56として断熱容器を用いて、蓄熱槽51から取り出して凝縮した水を高温で蓄えておき、熱利用時に水タンク56の水を反応水として蓄熱材51aに供給すれば、上記の蓄熱密度に加えて、顕熱分である74kJ/Lをさらに蓄熱させることが可能になる。また、この場合、水タンク56の水をCO2ヒートポンプでさらに高温に
してから第2組成物96に供給することも可能である。
なお、第1組成物95における塩化カルシウムの質量濃度は特に限定されない。本実施例では、室温で塩化カルシウム6水和塩となる組成物を用いたが、代わりに、室温で塩化カルシウム4水和塩となる塩化カルシウムと水とを1対4のモル比で含む組成物を用いてもよい。または、室温で固体(6水和物)と塩化カルシウム水溶液とを含む固液共存状態となるような組成物を用いることもできる。
同様に、第2組成物96における塩化カルシウムの質量濃度も、図13に示す濃度(61%)に限定されず、第2組成物96が固液共存状態となるように適宜選択されればよい。例えば、蓄熱後の第2組成物96の温度を80℃とすると、第2組成物96における塩化カルシウムの質量濃度は、図13に示す範囲97、すなわち、蓄熱後の温度における液相線上の濃度より高く、かつ、固相に変化する濃度よりも低い範囲内であればよい。
蓄熱後の第2組成物96の温度も80℃に限定されず、例えば相変化温度よりも高く、かつ100℃以下の範囲で適宜選択され得る。好ましくは、4水和塩の相変化温度以上90℃以下である。4水和塩の相変化温度以上であれば、第2組成物96の溶質濃度を高くすることができ、その結果、第1および第2組成物95、96の溶質濃度差を大きくできるので、より大きな蓄熱量が得られる。一方、90℃以下であれば、前述したように、水和反応による反応熱を顕熱として蓄えることができる。
蓄熱後の第2組成物96の温度を4水和塩の相変化温度以上90℃以下とする場合、第2組成物96における塩化カルシウムの質量濃度は、液相線上の濃度以上74%以下であることが好ましい。74%以下であれば、蓄熱後の第2組成物96に含まれる固体の容積分率を低くできるため、放熱過程において、第2組成物96を水とより均一に混合させることができる。
(実施例3)
本実施例では、第1組成物として、硫酸マグネシウムと水とを1対8のモル比で含む組成物を用いる。この組成物は、室温で固体単体状態ではなく、硫酸マグネシウム7水和塩と硫酸マグネシウム水溶液との固液共存状態である点で前述の実施例と異なる。
以下、図面を参照しながら、本実施例の蓄熱方法を説明する。図14は硫酸マグネシウムと水との相図であり、本実施例における蓄熱過程を矢印104で例示している。
まず、硫酸マグネシウムと水とを1対8のモル比で含む固液共存状態の第1組成物(温度:例えば約15℃)105を、上述した実施例1と同様の方法で、硫酸マグネシウム7水和物の相変化温度(48℃)よりも高い温度まで加熱する。このとき、第1組成物105の融解潜熱は硫酸マグネシウム7水和物単体よりも小さくなるが、水を多く含むために顕熱は増加する。続いて、第1組成物105から水を分離することにより、実施例1と同様に、温度が80℃の第2組成物(硫酸マグネシウム:83重量部、水:17重量部)106を得る。また、実施例1と同様の方法で、気化による蒸発潜熱を、凝縮熱として、蓄熱材を加熱するための熱媒体(水)およびCO2ヒートポンプ(外部熱源)のCO2熱媒体に回収する。
熱の利用時である放熱時には、得られた第2組成物106に、分離された水の量に相当する量の水(蓄熱材1kg当たり水0.44kg)を混合して第1組成物105まで戻す。これにより、蓄熱時の反応熱分の熱量を放出させる。さらに、得られた第1組成物105の温度を硫酸マグネシウム7水和物の相変化温度以下に低下させることにより、融解潜熱分と顕熱分を放出させる。放出させた熱は、前述の実施例1と同様の方法で、給湯用の水に回収する。
実施例の蓄熱方法における蓄熱密度は、放熱時に第2組成物106に混合する水(反応水)として室温の水を用いる場合は586kJ/Lであり、水タンクに蓄えられた高温水を用いる場合は726kJ/Lである。
(実施例4)
本実施例では、第1組成物として、硝酸亜鉛と水とを1対6のモル比で含む組成物を用いる。この組成物は、室温で固体(硝酸亜鉛6水和塩)である。
以下、図面を参照しながら、本実施例の蓄熱方法を説明する。図15は硝酸亜鉛と水との相図であり、本実施例における蓄熱過程を矢印112で例示している。
まず、硝酸亜鉛6水和塩を、硝酸亜鉛6水和塩の相変化温度(36℃)よりも高い温度まで加熱し、水溶液状態の第1組成物113を得る。次いで、水溶液状態の第1組成物113を加熱しながら、第1組成物113から水を分離することにより、固液共存状態の第2組成物114を得る。放熱時には、得られた第2組成物114に、蓄熱時に分離された量の水を混合して、水溶液状態の第1組成物113まで戻すことにより、蓄熱時の反応熱分の熱量を放出させる。さらに、水溶液状態の第1組成物113を硝酸亜鉛6水和塩の相変化温度以下に戻すことにより、融解潜熱分と顕熱分とを放出させる。なお、本実施例では、硝酸亜鉛6水和塩の相変化温度が36℃であるから、これよりも低い温度の熱として利用する。
なお、上記の第1組成物113の代わりに、硝酸亜鉛と水とを1対4のモル比で含み、室温で硝酸亜鉛4水和塩(固体)となる組成物を用いてもよい。あるいは、硝酸亜鉛と水とを1対7のモル比で含む室温で固液共存状態の組成物116を用いてもよい。組成物116を用いる場合でも、蓄熱時には、組成物116を、組成物116の相変化温度である液相線温度33℃を超える温度まで加熱し、さらに、組成物116から水を分離して、固液共存状態の第2組成物114を得る。放熱時には、第2組成物114に、蓄熱時に分離された量の水を混合して水溶液状態の第1組成物116を得た後、第1組成物116の温度を33℃以下まで低下させる。なお、本実施例では、蓄熱材の相変化温度が33℃であるため、これよりも低い温度の熱として利用する。
本発明によると、従来の潜熱プロセスに、溶質濃度差による化学蓄熱プロセスを併用することにより、蓄熱密度の高い蓄熱方法を提供できる。放熱過程では、放熱反応促進のための新たな熱エネルギーを外部から投入する必要がなく、その上、取り出し熱量を従来よりも増加させ、かつ、熱の取り出し速度を高めることが可能になる。
本発明は、特に低温域(例えば110℃以下、特に40℃〜90℃)の熱源を用いた蓄熱に好適に適用される。例えば、CO2ヒートポンプや燃料電池コージェネなどの種々の
省エネルギー機器に適用すると、それらの機器における蓄熱槽を小型化できるので有利である。
本発明の第1の実施形態における蓄熱および放熱過程を例示するための概略図である。 本発明の第2の実施形態における蓄熱および放熱過程を例示するための概略図である。 (a)および(b)は、それぞれ、実施例および比較例の組成物と水との混合実験の結果を示す模式図である。 実施例および比較例の組成物と水との混合実験によって得られたそれぞれの水溶液の導電率の測定結果を示す図である。 硫酸マグネシウムにおける溶質濃度と蓄熱密度との関係を示すグラフである。 チオ硫酸ナトリウムにおける溶質濃度と蓄熱密度との関係を示すグラフである。 塩化カルシウムにおける溶質濃度と蓄熱密度との関係を示すグラフである。 臭化カルシウムにおける溶質濃度と蓄熱密度との関係を示すグラフである。 硝酸亜鉛における溶質濃度と蓄熱密度との関係を示すグラフである。 本発明による実施例で使用する蓄熱システムの概略を説明するための構成図である。 図10に示す蓄熱システムにおける蓄熱槽の構成を示す模式的な断面図である。 本発明による実施例1の蓄熱方法を説明するための図であり、硫酸マグネシウムと水との相図が示されている。 本発明による実施例2の蓄熱方法を説明するための図であり、塩化カルシウムと水との相図が示されている。 本発明による実施例3の蓄熱方法を説明するための図であり、硫酸マグネシウムと水との相図が示されている。 本発明による実施例4の蓄熱方法を説明するための図であり、硝酸亜鉛と水との相図が示されている。
符号の説明
T1 蓄熱前の第1組成物の温度(室温)
T2 蓄熱状態の第2組成物の温度
Tm n水和物の相変化温度
Tm’ 第1組成物の液相線温度
c1 第1組成物の溶質濃度
c2 第2組成物の溶質濃度
A、D、E、H 第1組成物
B、F 第2組成物
10、11、14、20、24 蓄熱過程
12、16、22、26 放熱過程
51 蓄熱槽
51a 蓄熱材
52 加熱部
53 外部熱源
54 第1の凝縮器
55 第2の凝縮器
56 水タンク
57 真空ポンプ
58 ポンプ
59 バルブ
60 水排出経路
62 水供給経路
64 熱媒体経路
65 熱回収用水経路
66 蓄熱材容器
68、69 蓄熱材容器内の空間
70 仕切り板
72 通水口
80 熱交換チューブ
100 蓄熱システム

Claims (2)

  1. 水和物を含む蓄熱材から水を脱離することによって前記蓄熱材に蓄熱し、かつ、蓄熱状態の前記蓄熱材と前記脱離した水とを反応させることによって放熱する蓄熱システムであって、
    固相である無機塩のn水和物(n:水和数)であって、100℃以下の相変化温度を有する水和物を含む第1組成物からなる蓄熱材を収容する蓄熱材容器と、
    前記蓄熱材容器に収容された前記蓄熱材を相変化温度よりも高い温度まで加熱するための第1の加熱部と、
    前記蓄熱材容器から気体状態の水を取り出す水排出経路と、
    前記蓄熱材容器から前記水排出経路を介して取り出された前記気体状態の水を液体状態に凝縮させる凝縮部と、
    前記凝縮部によって凝縮された水を保持する水貯蔵部と、
    前記水貯蔵部に保持されていた水を液体状態で加熱する第2の加熱部と、
    前記第2の加熱部によって加熱された液体状態の水を前記蓄熱材容器内に供給するための水供給経路と、
    前記蓄熱材からの放熱の少なくとも一部を回収する熱回収部と、
    前記蓄熱材容器から前記水排出経路を介して取り出された水の量を検知する検出器と、
    蓄熱時に、前記蓄熱材が固相である前記無機塩のm水和物(m:水和数、m<n)と、前記無機塩の水溶液との共存状態である第2組成物であることを検知すると、前記水排出経路からの水の取り出しを制止する制御部と、
    を備え
    熱利用時に、前記水供給経路から前記第2の加熱部によって加熱された液体状態の水を前記蓄熱材容器内に供給し、前記蓄熱材容器内に収容されている前記第2組成物と混合させる蓄熱システム。
  2. 前記第2の加熱部はCO2ヒートポンプを含む請求項1に記載の蓄熱システム。
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