JP4937662B2 - ラベル付き容器 - Google Patents

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Description

本発明は、プラスチック製容器に装着して利用されるシュリンクラべル、及び該ラべルを容器に装着したラベル付き容器に関し、特に、容器装着後に再加熱される容器のラベルとして利用可能なシュリンクラべル、及びラベル付き容器に関する。
飲料用や加工食品等の容器は、封減、断熱、デザイン付与等の目的で、容器外面にシュリンクラべルが装着されている。このようなシュリンクラべルは、容器の形状及び用途に応じて種々な態様で容器に装着することができ、例えば、帯状に成形したラべルを容器外周部に巻き付ける、筒状に成形したラべルを容器側胴部に被嵌する、オーバーラップシュリンクラべルにより容器全体を覆うなどの方法で各種形状のラべルを容器の一部又は全体に被嵌し、熱収縮により容器と一体となって装着される。従来、このようなシュリンクラベルを構成するベースフィルムには、低温収縮性や耐熱性の面からポリエステル系樹脂を素材とする熱収縮性フィルムが用いられる場合が多く、特に、お弁当やスープなどの油分を多く含む用途には、耐油性のあるポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂が好ましく用いられている。
一方、ラべル付き容器は、内容物を加熱する目的で、例えばホット飲料提供のためにホットべンダーやホットウォーマーを用いたり、お弁当などの温めに電子レンジ等を用いて熱処理が施される場合がある。このような熱処理により、容器に装着されたシュリンクラべルが熱収縮を開始し、その収縮応力により容器を変形させるという問題があった。このため、従来、ラべルを加熱により容器に装着した後に再度加熱(二次加熱)する場合には、ラべルを除いた後に容器のみ二次加熱に付したり、ある程度剛性を有する容器を用いるなどの対応がなされていた。
プラスチック製容器に装着するラベルの収縮応力に着目した技術としては、特開2001−341773号公報、特開2003−280526号公報、特開2003−280527号公報、特開2003−276762号公報等があるが、二次加熱について考慮されたものはない。
特開2001−341773号公報 特開2003−280526号公報 特開2003−280527号公報 特開2003−276762号公報
本発明の目的は、加熱収縮させることにより容器と一体となって装着でき、容器に装着した後に種々の目的で再加熱される用途のラべルとして利用可能なシュリンクラべル及びラべル付き容器を提供することにある。
本発明の他の目的は、シュリンクラべルを容器に装着した状態で加熱処理可能なシュリンクラベル及びラべル付き容器を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、二次収縮応力が一定値以下のシュリンクラべルによれば、該シュリンクラべルを熱収縮により容器に装着した後に熱処理を施した場合にも、収縮による応力が低いため容器の変形が生じにくいことを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ポリ乳酸系重合体を主成分とし、100℃の熱水中に10秒間浸漬させた時の熱収縮率が30〜80%であり、かつチャック間距離100mmに保持した状態で85℃の温水に10秒浸漬して一次収縮応力と一次残存応力とを測定した後に常温になるまで放置されたフィルム片を、引張試験機のチャックにチャック間距離100mmに保持した状態で、85℃の温水に10秒浸漬したときに生じる収縮応力のうち最大値を示す二次収縮応力が2MPa以下である熱収縮性フィルムからなるシュリンクラべルが装着されたラベル付き容器であって、内容物を収納する容器本体と、これに嵌合する蓋体とからなるプラスチック製嵌合容器の外周面に、前記シュリンクラベルを帯状に形成した帯状ラベルが、容器本体の周方向に、蓋体と容器本体との嵌合部を被覆するように巻き付けられているラベル付き容器を提供する。前記ラベル付き容器は、蓋体と容器本体との嵌合部が、プラスチック製嵌合容器の外周面において最も外側に位置しているものであってもよい。また、前記ラベル付き容器は、蒸気が抜ける通気孔が設けられている椀型容器であってもよい。
なお、本明細書には、上記の発明のほか、プラスチック製容器に装着する熱収縮性フィルムからなるシュリンクラべルであって、該熱収縮性フィルムの二次収縮応力が2MPa以下であるシュリンクラべルについても記載する。
また、本明細書には、内容物を収納する容器本体と、これに嵌合する蓋体からなるプラスチック製嵌合容器の外周面に、前記のシュリンクラべルを帯状に形成した帯状ラべルを巻き付けたラべル付き容器についても記載する。
さらに、本明細書には、前記のシュリンクラべルを筒状に形成した筒状ラべルを、カップ状プラスチック製容器の側胴部に装着したラべル付き容器についても記載する。
なお、本願明細書中、シュリンクラべルを容器へ装着するための熱処理を「一次加熱」、一次加熱後に容器に装着されたシュリンクラベルが再度加熱される熱処理を「二次加熱」と称する場合がある。
本発明によれば、熱収縮によりシュリンクラべルをプラスチック製容器に装着した後に熱処理が施された際に、シュリンクラべルに生じる収縮応力によって容器の変形や破損が生じにくい。このため、内容物を温める際などにシュリンクラべルを剥離する必要がなく、ラべル付き容器の状態で内容物を加熱することができ便利である。また、薄肉化した容器や剛性の低い容器に装着した場合にも二次加熱による容器の変形を回避できるため、二次加熱が施される多様な容器に装着可能なラべルとして広く利用できる。さらに、植物由来のポリ乳酸系重合体からなるシュリンクラべルは、環境への負荷を極めて小さくすることができる。
本発明のシュリンクラべルは、プラスチック製容器に装着して用いられ、べースフィルムが熱収縮性フィルムで構成されているラベルであって、該熱収縮性フィルムの二次収縮応力が2MPa以下であることを特徴としている。
ここで、本発明における「二次収縮応力」とは、「一次収縮応力」に対して用いられる。前記一次収縮応力とは、熱収縮により容器へ装着するために熱処理(一次加熱)が施された熱収縮性フィルムに生じる収縮応力を意味している。これに対し、二次収縮応力とは、一次加熱後、種々の目的で再加熱(二次加熱)された熱収縮性フィルムに生じる収縮応力を意味している。
前記一次収縮応力は、例えば、熱収縮性フィルムより、主延伸方向に200mm、主延伸方向と直交する方向に15mmの略矩形のフィルム片を採取し、該フィルム片を引張試験機(島津製作所製「オートグラフAGS−50G」、ロードセル500Nなど)のチャックにチャック間距離100mmの状態(熱収縮性フィルムの主延伸方向が引張試験機の引張方向)でセットし、チャック間距離を100mmに保持した状態で、85℃の温水に10秒浸漬(チャック間100mmのうち80mmまで浸漬)したときに生じる収縮応力のうち最大値のことを示している。前記一次収縮応力は、容器を変形させることなく容器へ装着可能な範囲であれば特に限定されず、例えば1〜10MPa、好ましくは1〜5MPa程度である。また、本発明においては、上述の一次収縮応力を測定した後、常温の室内でチャック間距離を100mmに保持した状態で3分間放置したときの収縮応力を「一次残存応力」と称する場合がある。前記一次残留応力は、容器へラベルを装着した状態を保つことができれば特に限定されないが、例えば0.1〜2MPa程度である。
本発明における二次収縮応力とは、上述の一次収縮応力と一次残留応力とを測定した後に常温になるまで放置されたフィルム片を、引張試験機のチャックにチャック間距離100mmの状態(熱収縮性フィルムの主延伸方向が引張試験機の引張方向)でセットし、チャック間距離を100mmに保持した状態で、85℃の温水に10秒浸漬(チャック間100mmのうち60mmまで浸漬)したときに生じる収縮応力のうち最大値のことを示している。本発明における二次収縮応力は、2MPa以下であり、好ましくは1.8MPa以下、より好ましくは1.5MPa以下(特に0〜1.0MPa程度)である。また、上記方法により二次収縮応力の測定を行ったフィルム片を、さらに常温の室内でチャック間距離を100mmに保持した状態で、3分間放置したときの収縮応力を「二次残存応力」と称する場合がある。前記二次残留応力は、特に限定されないが、二次収縮応力と同程度であればよく、例えば2MPa以下、好ましくは1.5MPa以下程度である。
前記収縮応力及び残留応力は、熱収縮性フィルムの組成、厚み、製造条件(延伸倍率等)等を適宜選択することにより調整することができる。
上記特性を有するシュリンクラべルによれば、容器装着後の熱処理時には熱収縮により容器を過剰に締め付けることがないため、容器の変形や破損を防ぐことができる。熱収縮性フィルムの二次収縮応力が2MPaを超える場合には、二次加熱時のシュリンクラべルに生じる収縮応力により容器が強く締め付けられ、容器が変形したり破損することによって内容物が溢れ出たり、容器装着後にラべルを容易に剥離できるようにラべルに設けられたミシン目が強い収縮により割けてしまうなどの問題があった。このような問題は特に剛性の低い容器に顕著であった。これに対し、本発明のシュリンクラベルは、上記特性を有するため、剛性の低い容器に装着した場合にも、二次加熱による容器の変形を回避することができるという利点がある。
前記熱収縮性フィルムの構成としては、シュリンクラべルに上記特性を付与可能なフィルムであれば特に限定されないが、ポリ乳酸系重合体を主成分とするフィルムが好ましく用いられる。ポリ乳酸系重合体とは、乳酸(D−乳酸、L−乳酸、DL−乳酸、又はこれらの混合物)を単量体成分とする重合体を意味し、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸又はラクトン類との共重合体も含まれる。他のヒドロキシカルボン酸として、例えば、グリコール酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸などが挙げられる。ラクトン類としては、例えば、γ−ブチロラクトン、6−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが例示される。
ポリ乳酸系重合体を構成する全単量体に占める乳酸の割合は、−般に50モル%以上、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上であり、特に95モル%以上(例えば100モル%)のものが好ましい。ポリ乳酸系重合体は単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。例えば、L−乳酸とD−乳酸との比率が異なるポリ乳酸系重合体を2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリ乳酸系重合体を得る方法としては、特に限定されず、縮重合法、開環重合法等の公知の方法を採用できる。例えば、縮重合法では、乳酸、又は乳酸と他の単量体成分とを直接脱水縮合することにより任意の組成を有するポリ乳酸系重合体を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、適当な触媒の存在下で重合させることにより任意の組成のポリ乳酸系重合体を得ることができる。
ポリ乳酸系重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、通常5万〜100万、好ましくは8万〜40万程度である。分子量が小さすぎると機械物性や耐熱性が劣り、分子量が大きすぎると成形加工性が低下する。
ポリ乳酸系重合体を主樹脂成分として含む熱収縮性フィルムは、収縮応力が上記範囲内となる限りにおいてポリ乳酸系重合体以外の樹脂成分を含んでいてもよい。ポリ乳酸系重合体以外の樹脂として、例えば、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステルアミド、脂肪族ポリエステルエーテル、脂肪族ポリエステルカーボネートなどの生分解性樹脂などが挙げられる。ポリ乳酸系重合体以外の樹脂は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの中でも脂肪族ポリエステルが特に好ましい。ポリ乳酸系重合体に脂肪族ポリエステルを添加することによりフィルムの柔軟性を向上させることができ、二次収縮応力が高くなりすぎるのを抑制できる。
前記脂肪族ポリエステルは、脂肪族又は脂環式ジオール成分と脂肪族又は脂環式ジカルボン酸成分との縮重合、脂肪族又は脂環式ヒドロキシカルボン酸の縮重合、ラクトン類の開環重合、又はこれらの組み合わせにより製造される。各単量体成分は複数種組み合わせて用いることもできる。脂肪族又は脂環式ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオールなどの脂肪族ジオール;ジエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール;1,2ーシクロへキサンジメタノール、1,3−シクロへキサンジメタノール、1,4−シクロへキサンジメタノールなどの脂環式ジオールなどが例示される。脂肪族又は脂環式ジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スべリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸、1,3−シクロへキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。脂肪族又は脂環式ヒドロキシカルボン酸及びラクトン類としては、前記例示のものを使用できる。
上記の脂肪族ポリエステルにおいては、脂肪族又は脂環式ジカルボン酸成分の一部(例えば0.1〜50モル%程度)を芳香族ジカルボン酸成分で置き換えてもよい。このようにして得られるポリエステル(芳香族脂肪族ポリエステル)をポリ乳酸系重合体に添加して得られるフィルムは、耐衝撃性に特に優れ、熱収縮させた後にも破断しにくいという特徴を有する。前記芳香環ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上混合して使用できる。
前記脂肪族ポリエステルの代表的な例として、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリカプロラクトン(PCL)などが挙げられる。
熱収縮性フィルムは、上記に例示の化合物を素材とする単層フィルム又は複数の層からなる積層フィルムの何れであってもよい。
本発明のシュリンクラべルは、ポリ乳酸系重合体を主成分とする熱収縮性フィルム(特に、少なくとも表裏層がポリ乳酸系重合体からなるフィルム)で構成されている場合には、ラべルに耐油性を付与することができ、油脂等の付着による白化を防止したり、艶を保持することができ好ましい。このようなシュリンクラベルは、例えば、スープ、肉、パスタ、揚げ物などの油分を含む食品等を詰めた弁当容器に装着するラべルとして好適である。
熱収縮性フィルムを構成する樹脂全体に占めるポリ乳酸系重合体の割合は、通常50重量%以上(50〜100重量%、特に5.0〜95重量%)、好ましくは60重量%以上(60〜100重量%、特に60〜90重量%)、さらに好ましくは65重量%以上(65〜100重量%、特に65〜85重量%)である。ポリ乳酸系重合体の割合が少ないと、透明性が低下したり、収縮応力が上昇しすぎる傾向にある。脂肪族ポリエステルの割合は、二次収縮応力を抑える観点から、例えば5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%であり、特に15〜35重量%程度が好ましい。脂肪族ポリエステルの割合が多すぎると、フィルムが軟らかくなりすぎて収縮仕上がりが低下しやすくなる。
熱収縮性フィルムには、必要に応じて、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。熱収縮性フィルムは複数の層で構成することもできる。熱収縮性フィルムの厚みは、通常20〜80μm、好ましくは30〜60μm程度である。フィルムの厚みが20μm未満の場合は、しわ等になりやすく取扱性に欠ける場合があり、フィルムの厚みが80μmを超えると、コストが高くなる傾向にあり実用的でない。
延伸は、テンター方式、チューブ方式の何れの方式で行うこともできる。延伸処理は、通常80〜180℃(好ましくは80〜150℃)程度の温度で、幅方向(横方向;TD方向)に3〜8倍、好ましくは4〜6倍程度延伸することにより行われる。なお、必要に応じて、長さ方向(縦方向;MD方向)にも、低い延伸倍率(例えば1.5倍程度以下)で延伸処理を施すことができる。本発明における熱収縮性フィルムには、このように、一方向のみに延伸された一軸配向フィルム、及び主に一方向に延伸され、且つ該方向と直交する方向に若千延伸された二軸配向フィルムが含まれる。こうして得られる熱収縮性フィルムは、幅方向(主に延伸処理を施した方向)に配向性を有し、該方向に熱収縮性を示す。また、長さ方向に主延伸することにより、長さ方向に配向した一軸配向フィルムや、該方向と直交する方向に若千延伸された二次延伸フィルムであってもよく、このようにして得られたフィルムは長さ方向に収縮性を示す。
熱収縮性フィルムの熱収縮率は、容器に装着可能な程度であれば特に限定されず、例えば30%以上(30〜80%程度)、好ましくは35%以上(35〜70%程度)である。本発明における熱収縮率は、熱収縮性フィルムより、該フィルムの主延伸方向に100mm、主延伸方向と直交する方向に100mmの略矩形のフィルム片を採取し、100℃の熱水中に10秒間(無荷重下)浸漬させて寸法変形を読み取り、以下の計算式により算出したものである。
熱収縮率(%)=(L−L)/L×100
:熱処理前のフィルム片の主延伸方向の寸法
:熱処理後のフィルム片の主延伸方向の寸法
本発明のシュリンクラべルは、前記熱収縮性フィルムの片面又は両面に、グラビア印刷等の慣用の方法により所望の画像、文字を印刷した印刷層が設けられていてもよい。シュリンクラべルは、印刷層以外に他の層を有していてもよく、例えば熱収縮性フィルムの外面層の表面に、損傷防止等のため、アクリル系樹脂などからなるオーバーコート層を有していてもよい。
なお、本発明のシュリンクラベルは、該ラベルを構成する熱収縮フィルムと同様の収縮特性(収縮応力、残留応力、熱収縮率等)を具備しており、該ラベルの収縮特性は、熱収縮性フィルムの組成、厚み、製造条件(延伸倍率等)等、ラベルを構成する他の層の組成や厚み等により適宜調整することができる。
本発明のシュリンクラべルは、目的に応じて、所望の形状に加工され、プラスチック製容器に装着して利用される。具体的には、例えば、シュリンクラべルを、熱収縮性フィルムのうち主延伸方向(通常、長さ方向)が長手方向となるように切断することにより帯状に形成した帯状のシュリンクラべルに加工され、該帯状シュリンクラベルを、長手方向の一端を容器に(感熱)接着剤などで固定し、容器に巻回して他端を一端に重ね合わせて接着した後、加熱収縮させることにより容器に装着して利用できる。また、他の例として、熱収縮性フィルムのうち主延伸方向(通常、幅方向)が周方向となるように筒状に丸めて両端辺を重ねて、溶剤や接着剤、熱融着等で接着(センターシール)して長尺筒状のシュリンクラべル連続体とし、各ラべルに切断することにより筒状のシュリンクラべルに加工され、筒状シュリンクラベルを容器に外嵌挿した後、加熱収縮させることにより容器に装着して利用することができる。
前記プラスチック製容器を構成するプラスチックの種類としては、シュリンクラべル装着可能な程度の耐熱性を有していれば特に限定されず、ポリエステル系樹脂[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)など]、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレンなど)、ポリオレフイン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリ塩化ビニルポリカーボネート、アリレート樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。本発明においては、二次加熱による容器への締め付けが弱く変形や損傷を与えにくいため、ポリスチレンやポリプロピレンなどの比重の軽い素材からなる剛性の低い容器や、加熱により軟化しやすい素材からなる容器を用いることも可能である。また、薄肉化された容器などの剛性の低い容器も利用でき、容器の軽量化、省資源化の観点から有利である。
本発明におけるプラスチック製容器は、上記の熱可塑性樹脂を素材として、インジェクション成形、ブロー成形、プレス加工、シート成形等により、箱形、横断面が略四角形等の多角形や円形のボトル状等の形状に成形加工された容器として製造される。これらの容器は内容物を収納する容器本体と蓋体からなる嵌合容器であってもよい。本発明においては、特に、内容量が大きい容器や、脆質な素材(熱により脆質になる素材等)からなる容器、薄肉化により形状変化を受けやすい容器などの外力による変形や破損を受けやすい容器を利用することも可能であり、特に厚さ0.3〜0.8mmのポリスチレンやポリプロピレンのシートをシート成形した容器に有用である。本発明のシュリンクラベルは、特に二次加熱時に蒸気が抜けるように工夫を施して加熱される容器に用いるとよい。一般に、容器を密閉した状態で二次加熱した場合には、容器内に密封された空気が存在するためラベルの二次収縮応力による変形を受けにくいが、加熱により容器内に発生する蒸気が抜けるよう工夫が施された容器は、蒸気が抜けてしまうため保形性が低く、二次加熱による容器の変形が生じやすいという問題があった。これに対し、本発明のシュリンクラベルは、上記構成を有するため、蒸気の抜け口を有する容器に装着した場合にも、二次加熱における容器の変形を回避することができる。
本発明のシュリンクラべルは、加熱収縮によりプラスチック製容器に装着された後、種々の目的で再加熱される。より詳細には、熱収縮によりシュリンクラべルをプラスチック製容器に装着した後、例えば内容物を加熱する目的で、慣用の加熱手段を用いてラべル付き容器に熱処理を施す態様などが挙げられる。内容物を加熱する場合としては、例えば、飲料の加温・保温、食品の加熱殺菌や調理、弁当の温めなどが挙げられる。前記ラべル付き容器に熱処理を施す場合に用いる加熱手段としては、例えば、ホットべンダー、ホットウォーマー、電子レンジ、温浴等が挙げられる他、該容器に温水を入れる態様(カップ麺を調理する場合等)も含まれる。本発明のシュリンクラベルによれば、上記態様において、ラベルに対する二次加熱によってラべルが熱収縮を起こした場合にもその収縮応力が低いため、ラベルの締め付けによる容器の変形や破損などを回避することができる。
図1は、本発明のラべル付き容器の一例を示す斜視図である。図1のラべル付き容器は、内容物を収納する容器本体3と、これに嵌合する蓋体2とからなるプラスチック製嵌合容器の外周面に、上記本発明のシュリンクラべル1を帯状に形成した帯状ラべルが、容器本体3と蓋体2とにわたり巻き付けられている。前記ラべル付き容器の具体例としては、ご飯やおかずが詰められた容器外周に商品の説明等が印刷されたシュリンクラベルが装着された弁当容器などが挙げられる。このようなラベル付き弁当容器は、ラべルを装着した状態で電子レンジに投入しても容器変形が生じにくいため、二次加熱用途として有用である。
図2(イ)は、本発明のラべル付き容器の他の例を示す斜視図であり、(ロ)はその部分断面図である。図2(イ)のラべル付き容器は、内容物を収納する容器本体3と、これに嵌合する蓋体2とからなるプラスチック製嵌合容器の外周面に、上記本発明のシュリンクラべル1を帯状に形成した帯状ラべルが、容器本体3の周方向に、蓋体2の一部、蓋体2と容器本体3との嵌合部、容器本体3の側面、及び底面の一部とを被覆する範囲で巻き付けられている。前記ラべル付き容器の具体例としては、シチューやスープなどの汁物が詰められた容器外周に商品の説明等が印刷されたシュリンクラベルが装着された椀型容器などが挙げられる。このような椀型容器は、加熱により容器内に発生する蒸気が抜けるよう通気孔7を設けるなどの工夫が施されているため、二次加熱時の保形性が低いものが多い。本発明のシュリンクラベルによれば、このような容器に装着した場合にも二次加熱時の変形を回避可能である。
図3(イ)は、本発明のラべル付き容器のさらに他の例を示す斜視図であり、(ロ)は、(イ)のラベル付き容器を加熱する時の態様の一例を示す斜視図である。図3(イ)のラベル付き容器は、上記本発明のシュリンクラベル1を筒状に形成した筒状ラべルが、カップ状プラスチック製容器4の側胴部に装着されており、該カップ状容器4の開放部は、薄層シートからなる蓋状カバー5で封じられている。このようなラべル付き容器は、例えば飲料を投入したカップ状容器の側胴部に、デザインが印刷された筒状のシュリンクラべルが装着された飲料用容器に用いられる。図3(イ)のラベル付き飲料容器は、通常、図3(ロ)に示されるように、カップ状容器4より蓋状カバー5を少し開けて蒸気の抜け口6を作った後にレンジで加熱される。このように、本発明のラベル付き容器は、加熱により容器内に発生する蒸気の抜け口が設けられ、容器の剛性が低下した状態で熱処理が施された場合にも容器の変形が生じにくいため、二次加熱用途として有用である。
本発明によれば、加熱収縮によりシュリンクラべルを装着したラベル付き容器に対し、内容物を加熱する目的でラベル付き容器に加熱処理を施すことによりシュリンクラベルが再加熱された場合に、二次収縮したラべルにより容器が変形したり破損して内容物があふれるなどのおそれがないため、安心して二次加熱を行うことができ便利である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例2、3は参考例として記載するものである。
実施例1
ポリ乳酸系重合体(PLA)を主成分とした熱収縮性フィルム(三菱樹脂社製、商品名「SL308」、厚み50μm)の片面に印刷インキをグラビア印刷により塗布して印刷層を形成し、シュリンクラべルを作製した。
実施例2
実施例1で得たシュリンクラべルを、熱収縮性フィルムの主延伸方向を長手方向となるように400mm幅にスリットして帯状ラべルを形成し、ラベル単位で幅方向にミシン目を設けた。得られた帯状ラべルを、内容物を収納する略直方体形状の容器本体と、これに嵌合する蓋体からなるポリスチレン製嵌合容器(リスパック社製、商品名「HD−40」)に周回させ、ラべル両端部を溶断シールにより熱溶着した。続いて、ラべルを被嵌した容器を200℃の熱風トンネル内に5秒導入してラベルを収縮させることにより、図1に示されるラべル付き容器を製造した。収縮後のラベルは容器に密着しており、収縮仕上がりに優れたラべル付き容器が得られた。
このラべル付き容器を電子レンジに投入し、600Wで2分間加熱したところ、ラべルはわずかに収縮したが容器への締め付けは弱く、容器に変形が生じたり、ラべルに設けたミシン目は割けたりすることはなかった。
実施例3
実施例1で得たシュリンクラべルを所定の幅にスリットした後、MD方向にミシン目を設け、ロール状に巻き取って複数個のロール状物とし、次いで各ロール状物を巻き戻し、熱収縮性フィルムの幅方向(TD方向)が周方向となるように、印刷層を内側にして筒状に丸めて両端部を有機溶媒(ジオキソラン)で接着(センターシール)し、長尺筒状のシュリンクラべル連続体を得た。このシュリンクラべル連続体を自動ラベル装着装置に供給し、各ラベルに切断した後、200mlのカップ状ポリプロピレン製容器(吉野工業所製)に外嵌し、熱風トンネル(温度260℃)を通過させて熱収縮させることにより、図3に示されるラべル付き容器を製造した。収縮後のラべルは容器に密着しており、収縮仕上がりに優れたラべル付き容器が得られた。
このラべル付き容器を電子レンジに投入し、600Wで2分間加熱したところ、ラべルはわずかに収縮したが容器への締め付けは弱く、容器に変形が生じたり、ラべルに設けたミシン目は割けたりすることはなかった。
比較例1
ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分とした熱収縮性フィルム(東洋紡績社製、商品名「S7042」、厚み50μm)の片面に印刷インキをグラビア印刷により塗布して印刷層を形成し、シュリンクラべルを作製した。
比較例2
実施例3において、シュリンクラベルとして比較例1のシュリンクラベルを用いた点以外は、実施例3と同様の方法を用いてカップ状ポリプロピレン製容器にシュリンクラベルが装着されたラベル付き容器を得た。
このラべル付き容器を電子レンジに投入し、600Wで2分間加熱したところ、ラべルが収縮して容器が強く締め付けられ、容器が大きく変形し、ラべルに設けたミシン目が一部避けてしまった。
(評価試験)
一次収縮応力
実施例1及び比較例1に用いた熱収縮性フィルムより、主延伸方向に200mm、主延伸方向と直交する方向に15mmの略矩形のフィルム片を採取し、熱収縮性フィルムの主延伸方向が引張方向となるようにフィルム片を引張試験機(島津製作所製、「オートグラフAGS−50G」、ロードセル500N)のチャックにチャック間距離100mmの状態でセットし、チャック間距離を100mmに保持した状態で、85℃の温水に10秒、チャック間100mmのうち80mmまで浸漬したときに生じる収縮応力を測定し、その最大値を一次収縮応力として表1に示した。
二次収縮応力
実施例1及び比較例1に用いた熱収縮性フィルムについて、上記方法に従って一次収縮応力を測定した後、常温になるまで放置されたフィルム片を、引張試験機のチャックにチャック間距離100mmを保持した状態で、85℃の温水に10秒、チャック間100mmのうち60mmまで浸漬したときに生じる収縮応力を測定し、その最大値を二次収縮応力として表1に示した。
熱収縮率
実施例1及び比較例1に用いた熱収縮性フィルムについて、該熱収縮性フィルムの主延伸方向に100mm、主延伸方向と直交する方向に100mmの略矩形のフィルム片を採取し、該フィルム片を100℃の熱水中に10秒間(無荷重下)浸漬させたときに寸法変形を読み取り、以下の計算式により算出したものである。
熱収縮率(%)=(L−L)/L×100
:熱処理前のフィルム片の主延伸方向の寸法
:熱処理後のフィルム片の主延伸方向の寸法
耐油性
実施例1及び比較例1に用いた熱収縮性フィルムになたねを付着したときの状態を目視観察し、ラべル表面の白化は見られず、艶が保持されていた場合を「○」、白化が生じたり艶が失われていた場合を「×」として評価した。
Figure 0004937662
本発明のラべル付き容器の一例を示す斜視図である。 (イ)は、本発明のラべル付き容器の他の例を示す斜視図であり、(ロ)は、(イ)のラベル付き容器の部分断面図である。 (イ)は、本発明のラベル付き容器のさらに他の例を示す斜視図であり、(ロ)は、(イ)のラベル付き容器を加熱する時の態様の一例を示す斜視図である。
符号の説明
1 シュリンクラべル
2 蓋体
3 容器本体
4 カップ状容器
5 蓋状カバー
6 蒸気の抜け口
7 通気孔

Claims (3)

  1. ポリ乳酸系重合体を主成分とし、100℃の熱水中に10秒間浸漬させた時の熱収縮率が30〜80%であり、かつチャック間距離100mmに保持した状態で85℃の温水に10秒浸漬して一次収縮応力と一次残存応力とを測定した後に常温になるまで放置されたフィルム片を、引張試験機のチャックにチャック間距離100mmに保持した状態で、85℃の温水に10秒浸漬したときに生じる収縮応力のうち最大値を示す二次収縮応力が2MPa以下である熱収縮性フィルムからなるシュリンクラべルが装着されたラベル付き容器であって、内容物を収納する容器本体と、これに嵌合する蓋体とからなるプラスチック製嵌合容器の外周面に、前記シュリンクラベルを帯状に形成した帯状ラベルが、容器本体の周方向に、蓋体と容器本体との嵌合部を被覆するように巻き付けられているラベル付き容器。
  2. 蓋体と容器本体との嵌合部が、プラスチック製嵌合容器の外周面において最も外側に位置している請求項1記載のラベル付き容器。
  3. 蒸気が抜ける通気孔が設けられている椀型容器である請求項1又は2記載のラベル付き容器。
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