JP2723112B2 - 薄膜形成法 - Google Patents

薄膜形成法

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JP2723112B2
JP2723112B2 JP63233130A JP23313088A JP2723112B2 JP 2723112 B2 JP2723112 B2 JP 2723112B2 JP 63233130 A JP63233130 A JP 63233130A JP 23313088 A JP23313088 A JP 23313088A JP 2723112 B2 JP2723112 B2 JP 2723112B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (ア)技術分野 この発明は、大気圧近傍の圧力下でプラズマCVD法に
より、アモルファスシリコン(a−Si:amorphous silic
on)などの薄膜を形成する方法に関する。
例えば、通常膜中に数at%〜数十at%(アトミックパ
ーセント)のHを含んだアモルファスシリコンa−Si膜
は、低コスト太陽電池の材料として有望視されている。
このほかにイメージセンサ、光センサ、薄膜トランジス
タ、複写機の感光材料などの用途もある。単結晶Siより
も安価で、大面積のものが得やすいという利点がある。
このような薄膜形成法として、熱CVD法、プラズマCVD
法等が知られている。
熱CVD法は、基板を加熱しなければならないので、耐
熱性のある材料にしか用いる事ができない。
一方、プラズマCVD法は熱CVD法よりも低温で薄膜を形
成することができる。
このため、耐熱性の乏しい低コストガラス基板、高分
子フィルムなどの上に薄膜を形成する事ができ、広く使
用されている。
プラズマCVD法では、励起エネルギーが、熱ではな
く、プラズマ中のエレクトロン、イオンの運動エネルギ
ー、中性のラデイカルの化学エネルギーの形で与えられ
る。このため、基板の温度を熱CVD法より低く出来るの
である。
一例として、アモルファスシリコンa−Siは、Spear
によりグロー放電による薄膜形成方法が発明され、膜中
に適量のHを取り込む事ができ、膜中欠陥密度を低減す
る事ができたので、太陽電池やセンサ等のデバイス用途
に耐えうるものが作られるようになった。
W.E.Spear,P.G.Lecomber:Solid Commun.,17,p1193(197
5) これは、平行平板型の電極に、100kHz〜13.56MHzの交
流電圧を印加し、0.1〜2Torrの低圧でSiH4/H2、SiH4−S
iF4/H2などの混合ガス中で、グロー放電を起こさせるも
のである。
もちろん、ドーパントを入れる事もある。これは、PH
3/H2、B2H6/H2などのガスを混ぜることによって行う。
(イ)従来技術 Spearの発明以来、a−Siの製造装置は、改良を重ね
ているが、基本的には、低圧でグロー放電を行うもので
あった。
0.1〜10Torr程度の低圧でなければ、グロー放電が起
こらない。これよりも高い圧力になると、放電が局所的
なアーク放電に移行してしまい、耐熱性の乏しい基板上
への成膜や、大面積への均一な成膜が行えなかった。そ
れで、このような圧力が選ばれる。
従って、容器は高価な真空チャンバを必要とし、また
真空排気装置が設置されていなければならなかった。
特に、a−Siなどを用いた太陽電池等の光電変換材料
の場合、大面積の薄膜が一挙に形成できる、という事が
コスト面から強く要求される。
ところが、プラズマCVD法は、グロー放電を維持して
プラズマを安定に保つ。グロー放電は、真空中(0.1〜1
0Torr程度)でしか安定に維持できない。
真空中でしか成膜出来ないのであるから、大面積のも
のを作ろうとすると、真空容器の全体を大きくしなけれ
ばならない。
真空排気装置も大出力のものが必要になる。
そうすると、設備が著しく高価なものになってしま
う。
(ウ)大気圧下プラズマCVD法 a−Si膜などの薄膜の実用化のためには、低コスト化
が重要な因子であるが、従来の減圧下でのプラズマCVD
法では、設備費が高いという大きな問題があった。
ところが、最近になって、大気圧下で、プラズマCVD
法を可能とするような発明がなされた。
例えば、 i 特開昭63−50478号(S.63.3.3公開)がある。
本発明者らは、 ii特開昭63−199647号(S.63.8.10出願) iii特願昭63−199648号(S.63.8.10出願) iv特願昭63−199649号(S.63.8.10出願) などの発明をしている。
第2図にivで示されたものを少し修正したものを示
す。
成膜室1の中には、互いに対向する電極2、3が設け
られる。一方が接地されており、これを接地電極3と呼
ぶ。他方を非接地電極2といって区別する。
電極3の上に試料基板4を置く。ここで電極2は、放
電空間へのガス供給口を兼ねており、電極2の試料基板
4との対向面は、多孔板となっている。
ここで、電極2を多孔板とし、ガス供給口とするの
は、プラズマ中央部でのガス置換を有効に行い、均一な
成膜を得るためである。ここで、試料基板4と電極2と
の距離gは10mm〜0.1mmとなるようにする。
非接地電極2には、高周波電源6を接続する。これ
は、例えば13.56MHzのRF発振器と増幅器とを用いること
ができる。
原料ガスをHeガスで大量に希釈した混合ガスは、ガス
導入口5から導入され、電極2を介して放電空間に供給
され、ガス排出口8より成膜室1の外に排出される。ま
た、放電空間の体積Sに対して、混合ガスの流量Qは、
Q/Sが、1sec-1〜102sec-1となるようにする。
(ケ)発明が解決しようとする問題点 大気圧下でのプラズマCVD法による薄膜形成は、低コ
スト化にとって極めて有望な方法であるが、デバイスへ
の応用を考えた場合、その膜特性が悪くては何にもなら
ない。例えば、a−Si膜の場合、太陽電池、イメージセ
ンサ、光センサ、薄膜トランジスタ、電子写真感光体な
どへの応力が進みつつあるが、膜特性としては、光電気
伝導度(Δσph)が高く、光感度(光電気伝導度と暗電
気伝導度(σ)との比:Δσph)が高い事が望
ましく、また、デバイス特性に大きな影響を及ばす膜中
欠陥密度(Ns)が低いことが好ましい。
従来の大気圧プラズマCVD法で作製した薄膜、例えば
a−Si膜は、Δσph、Δσphについては減圧プラ
ズマCVD法によるa−Si膜と同等の値が得られている。
しかし、Nsが1×1016spin/ccと、減圧プラズマCVD法に
より形成され、太陽電池などのデバイスに用いられてい
るa−Si膜の値(Ns<5×15spin/cc)に比べ高く、デ
バイスへの応用上問題であった。
この問題点を解決するため、発明者等は、従来の大気
圧プラズマCVD法によるa−Si膜のNsが高い原因につい
て種々検討を加えた。
その結果、成膜用基板とプラズマを介して対向する電
極から、大気圧近傍という高密度プラズマにより、電極
の構成元素がスパッタされ、多量にa−Si膜中に不純物
として取り込まれることを見い出し、本発明に至った。
(コ)目的 本発明の目的は、低コスト化に有望な大気圧下でのプ
ラズマCVD法による薄膜形成法において、デバイス用途
に使用できるような膜特性の良好な薄膜を形成する方法
を提供する事である。
(サ)発明の構成、問題点を解決する手段 本発明は、プラズマスパッタによる不純物混入を防止
するために、試料基板とプラズマを介して対向する電極
として、成膜しようとする薄膜の構成元素の内、少なく
ともひとつの元素からなる材料を用いる。
または、その電極の試料基板に対向する面に、成膜し
ようとする薄膜の構成元素のうち、少なくともひとつの
元素からなる材料をコーテイングまたは、貼り付ける。
この試料基板と対向する材料としては、成膜しようと
する薄膜と同じ材料、或は、成膜しようとする薄膜の主
構成材料を用いることが好ましい。
第1図は、本発明の一具体例として、試料基板4と対
向する電極2の対向面に、成膜しようとする薄膜9をコ
ーテイングした例を示す。
試料基板と対向する面に成膜材料をコーテイングした
という事以外は、第2図のものと同じである。
成膜室1の中には、互いに対向する電極2、3が設け
られる。一方が接地されており、これを接地電極3と呼
ぶ。他方を非接地電極2といって区別する。
電極3の上に試料基板4を置く。ここで電極2は、放
電空間へのガス供給口を兼ねており、多孔板となってい
る。
ここで、電極2を多孔板とし、ガス供給口とするの
は、プラズマ中央部でのガス置換を有効に行い、均一な
成膜を得るためである。
ここで、試料基板4と電極2との距離gは10mm〜0.1m
mとなるようにする。
非接地電極2には、高周波電源6を接続する。これ
は、例えば13.56MHzのRF発振器と増幅器とを用いること
ができる。
原料ガスをHeガスで大量に希釈した混合ガスは、ガス
導入口5から導入され、電極2を介して放電空間に供給
され、ガス排出口8より成膜室1の外に排出される。ま
た、放電空間の体積Sに対して、混合ガスの流量Qは、
Q/Sが、1sec-1〜102sec-1となるようにする。
(シ)作用 第1図に示したように、本発明では、試料基板と対向
する電極の対向面に、例えば、a−Siを成膜する場合な
らば、a−Si(水素を含んでも含まなくてもよい)或は
結晶Siを、a−Cを成膜する場合ならa−C或はグラフ
ァイトなどの膜をそれぞれ成膜しているので、プラズマ
スパッタが生じても、スパッタされる元素は、目的とす
る薄膜の構成元素であり、膜中への不純物混入を防止す
る事ができ、膜中欠陥密度を低減し、デバイス用途とし
て有望な薄膜を形成する事ができる。
さらに、Bをドープしたp型a−Si、或はPをドープ
したn型a−Si膜を形成する場合は、試料基板と対向す
る材料としてドーピング元素を含まないノンドープのSi
膜を使用しても良い。a−SiGe膜を形成する場合は、試
料基板と対向する材料として、a−SiGe膜、或は結晶Si
Ge材でも良いし、a−Si膜(水素を含んでも含まなくて
も良い)、結晶Si、a−Ge膜(水素を含んでも含まなく
ても良い)或は、結晶Ge材でも良い。何故なら試料基板
と対向する材料から形成される膜に混入する元素は形成
される膜の構成元素であるからである。
(ス)実施例 第1図(本発明)及び、第2図(比較例)を用い、第
1表に示す条件で、a−Si膜を形成し、膜特性の比較を
行った。なお、電極2としてはSUS304を用い、電極の表
面コーテイング材9はa−Si膜(膜厚5μm)とした。
第1表 成膜条件 原料ガス流量 SiH4 10sccm Heガス流量 5000sccm 基板温度 250℃ 圧力 大気圧 RFパワー 200W RF周波数 13.56MHz 電極面積 10cm×10cm 電極、基板間距離 3mm 基板 石英ガラス 成膜時間 30min 得られた膜の特性を第2表に示す。
第2表 膜特性 本発明 比較例 Eg(eV) 1.75 1.88 Δσph(S/cm) 5×10-5 9×10-6 σ(S/cm) 3×10-9 3×10-9 Ns(spin/cc) 5×1015 1×1016 不純物濃度(ケ/cc) Fe 検値限界(6×1016)以下 8×1017 Cr 検値限界(3×1016)以下 3×1017 バンドギャップ(Eg)は、可視光域の透過率を測定
し、測定値をタウクプロットする事により算出した値で
ある。
Δσphは、AM1.5 100mW/cm2の光源を使用して測定し
た値である。
Nsは電子スピン共鳴(ESR)により求めた膜中の不対
電子対(末結合手であり膜中欠陥のひとつ)の値であ
る。
不純物濃度は二次イオン質量分析(SIMS)により求め
た値である。
本発明では、電極2として用いたSUS304からのFe、Cr
のプラズマスパッタがなく、膜中不純物量が減少してお
り、Nsが減少し、Δσphも向上していることがわかる。
(セ)効果 本発明によれば、設備コストの低減が期待できる大気
圧プラズマCVD法を用いて、a−Si膜などの薄膜の膜中
不純物を低減でき、太陽電池、イメージセンサ、光セン
サ、薄膜トランジスタ、電子写真感光体などのデバイス
応用に有望な膜特性の良好な薄膜を形成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の薄膜形成法に用いられる装置の概略
断面図。 第2図は、本発明者になる特願昭63−199649号に示され
た薄膜形成法に用いられる装置から高抵抗体を除いたも
のの概略断面図。 1……成膜室 2……非接地電極 3……接地電極 4……試料基板 5……ガス導入口 6……高周波電源 7……ヒータ 8……ガス排出口 9……成膜目的とする薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富川 唯司 兵庫県伊丹市昆陽北1丁目1番1号 住 友電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 藤田 順彦 兵庫県伊丹市昆陽北1丁目1番1号 住 友電気工業株式会社伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 平2−73979(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに対向したふたつの電極の対向面の一
    方に試料基板を設置し、試料基板に対向する電極をSUS
    とし、上記試料基板とその試料基板と対向する電極との
    間の距離を10mm以下、0.1mm以上とし、膜形成用ガスとH
    eからなる混合ガスを、ガス流量Qを放電空間の体積S
    で割った値Q/Sが1〜102sec-1になるように、試料基板
    上の放電空間に供給し、大気圧近傍の圧力下で、対向電
    極に与えた高周波電圧により、試料基板とその試料基板
    に対向する電極との間にグロー放電を起こさせ、試料基
    板上に薄膜を形成する方法に於いて、薄膜を形成すべき
    試料基板に対向する電極の表面に、成膜しようとする薄
    膜の構成元素のうち、少なくともひとつの元素からなる
    材料が被覆されている事を特徴とする薄膜形成法。
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