JP2700177B2 - 薄膜形成方法と装置 - Google Patents

薄膜形成方法と装置

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JP2700177B2 JP19964788A JP19964788A JP2700177B2 JP 2700177 B2 JP2700177 B2 JP 2700177B2 JP 19964788 A JP19964788 A JP 19964788A JP 19964788 A JP19964788 A JP 19964788A JP 2700177 B2 JP2700177 B2 JP 2700177B2
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幸子 岡崎
益弘 小駒
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Description

【発明の詳細な説明】 (ア)技術分野 この発明は、大気圧近傍の圧力下でプラズマCVD法に
より、アモルファスシリコン(a−Si:amorphous silic
on)や窒化けい素(SiN)などのSiを含む薄膜を形成す
る方法に関する。
通常膜中に数at%〜数十at%(アトミックパーセン
ト)のHを含んだアモルファスシリコンa−Si膜は、低
コスト太陽電池の材料として有望視されている。このほ
かにイメージセンサ、光センサ、薄膜トランジスタ、複
写機の感光材料などの用途もある。単結晶Siよりも、安
価で、大面積のものが得やすいという利点がある。
又、SiNは半導体デバイスのパッシベーション膜とし
て重要である。
薄膜形成法として、熱CVD法がよく用いられる。これ
は基板を加熱しなければならないので、耐熱性のある材
料にしか用いることができない。
そこで、プラズマCVD法が開発され、使用されてい
る。これは、熱CVD法よりも低温で薄膜を形成すること
ができる。
励起エネルギーが、熱ではなく、プラズマ中のエレク
トロン、イオンの運動エネルギー、中性のラデイカルの
化学エネルギーの形で与えられる。このため、基板の温
度を、熱CVDより低く出来るのである。
このため、プラズマCVD法は、耐熱性の乏しい低コス
トガラス基板、高分子フィルムなどの上に薄膜を形成す
る事ができる。
アモルファスシリコンa−Siは、Spearによりグロー
放電による膜形成方法が発明されたので、安定したもの
が作られるようになった。
W.E.Spear,P.G.Lecomber:Solid Commun.,17,p1193(197
5) これは、平行平板型の電極に、100kHz〜13.56MHzの交
流電圧を印加し、0.1〜2Torrの低圧でSiH4/H2、SiH4−S
iF4/H2などの混合ガス中で、グロー放電を起こさせるも
のである。
もちろん、ドーパントを入れることもある。これはPH
3/H2、B2H6/H2などのガスを混ぜることによって行う。
(イ)従来技術 Spearの発明以来、a−Siの製造装置は、改良を重ね
ているが、基本的には、低圧でグロー放電を行うもので
あり、キャリヤガスとしては、H2が用いられてきた。
0.1〜10Torr程度の低圧でなければ、グロー放電が起
こらない。それで、このような圧力が選ばれる。従っ
て、容器は真空チャンバであって、真空排気装置が設置
されていなければならなかった。
半導体ウエハなどが基板であれば、寸法も小さくて、
真空容器もあまり大きくなくてよい。
しかし、a−Siの場合、太陽電池の光電変換材料とし
て使われることが多い。この場合、大面積の薄膜が一挙
に形成できる、という事が、コスト面から強く要求され
る。
ところが、プラズマCVD法はグロー放電を維持してプ
ラズマを安定に保つことが必要であるが、このグロー放
電は、真空中(0.1〜10Torr程度)でしか安定に維持で
きない。真空中でしか成膜できないのであるから、大面
積のものを作ろうとすると、真空容器の全体を大きくし
なければならない。
真空排気装置も大出力のものが必要になる。
そうすると、設備が著しく高価なものになってしま
う。
(ウ)大気圧下プラズマCVD法 a−Si膜は安価であることが特徴の一つなのであるか
ら、設備費が高くなれば何にも成らない。
ところが、最近になって、大気圧下で、プラズマCVD
法を可能とするような発明がなされた。
特開昭63−50478号(S63.3.3公開)である。
これは炭素Cの薄膜を作るものである。例えばCH4、C
F4を原料ガスとするが、これに90%以上のHeガスを加え
る。
Heガスが大量にあるので、大気圧下であってもグロー
放電を維持できる、というのである。大気圧下であるか
ら真空チャンバ、真空排気装置が不要である。薄膜形成
のコストを著しく削減できる。
大発明であると思う。
Heガスを使ったから、グロー放電が大気圧下でも起こ
り、安定に持続する、という事がこの方法の重要なポイ
ントである。
何故Heかという事について、発明者は次のように説明
している。
(a)Heは放電により励起されやすい。
(b)Heは多くの準安定状態を有し、励起状態の活性粒
子を多く作ることができる。
(c)Heの活性粒子が、炭化水素やハロゲン化水素を解
離する。
(d)He中ではイオンが拡散しやすい。このため放電が
拡がりやすい。
HeとCH4の配合比が、当然極めて重要になる。
明細書の記述によると、92:8になると、グロー放電の
拡がりが狭くなり、90:10になるとコロナ放電になり、8
9.5:10.5になると火花放電になるとある。
第2図に、特開昭63−50478号に示された装置を示
す。
縦長の反応容器11の中に上方から円筒12が垂下されて
いる。
円筒12の下方の電極14がある。RF発振器16から、円筒
12を貫く金属棒を介して電極14にRF電圧が与えられる。
容器の下方には、支持基板(導体)17、絶縁体18、試
料基板19が設けられる。また環状の外部電極20がある。
HeとCH4の混合ガス(HeとCH4とCF4の場合もある)
は、円筒12上端のガス入口21から送給される。このガス
は内筒の中を流下し、電極14の側方を通り過ぎて、資料
基板19に当たり、一部が反応し薄膜となり、残りは、側
方のガス出口22から排出される。
電極14と支持基板(資料極)17の間にグロー放電が生
ずる。
又この明細書によると、この発明は、 「窒化けい素膜、アモルファスシリコン、炭化けい素膜
などその他の薄膜の形成にも同様に適用する事ができ
る。」 とある。
(エ)発明が解決しようとする問題点 特開昭63−50478号の発明は、クレームによると、 「約200Torrから2気圧の範囲内の圧力下で、約90%以
上の希ガスと膜成分を含む気体との混合ガスをグロー放
電によりプラズマ状となし、基板上に薄膜として形成す
ることを特徴とする薄膜形成法」 ということである。
本発明者は、この開示によりa−Siを作ろうと試み
た。
a−Siを作るため、SiH4ガスとHeガスの混合気体を用
いた。圧力は大気圧である。
(i)Heガスが90%であれば良いということなのでSi
H4:He=10:90(体積比)とした。これで試みると、アー
ク放電が起こり、グロー放電が起こらなかった。
(ii)SiH4/Heの比率をさらに下げると、電極間に安定
なグロー放電を生じさせる事ができた。
(iii)ところが、SiH4ガスは極めて分解しやすい。こ
のためプラズマの領域の中に入らず、外周部でSiH4が分
解してしまう。プラズマ領域の外周部に、粒径が0.05〜
0.5μm程度の微粉末からなるダストが堆積されるのみ
であった。
試料基板の上にa−Siの薄膜を作る事ができなかっ
た。つまり、これらのことから、特開昭63−50478号の
発明は、CH4/Heに使えるとしても、SiH4/Heによるa−S
i膜の形成には、そのままでは使えないという事が分か
る。
(オ)目的 大気圧下でSiH4を用い、a−Si、SiNなどのSiを含ん
だ膜をプラズマCVD法によって形成する方法を提供する
ことが本発明の目的である。
(カ)本発明の方法 ガスがSiH4/Heである場合、Heが90%では、グロー放
電が起こらない。本発明者の実験によれば、SiH4の比率
が10%(0.1)よりさらに小さく、SiH4/Heの比率で言う
と10-4〜10-2でなければならない事が分かった。
単位時間内に電極間に送り込まれるガス流量をQと
し、放電空間の体積をSとすると、 となるようにしている。
さらに、放電が対向電極の間で均一に起こるために、
両方の電極の上に高抵抗体を置く。この抵抗体の抵抗率
rは1011Ωcm以上とする。
r≧1011Ωcm (2) このように本発明には、3つの特徴がある。
(1)ガス混合比 (2)対向電極間に供給されるガス流量Qは (3)電極板には高抵抗体を付ける。
第1図によって本発明の薄膜形成装置を説明する。
成膜室1の中には、互いに対向する電極2、3が設け
られる。一方が接地されている。これを接地電極3と呼
ぶ。
他方を非接地電極2といって区別することにする。
いずれの電極にも、少なくとも対向する電極面と同じ
大きさ以上の大きさの高抵抗体4、5が貼り付けられて
いる。
高抵抗体4、5を入れるのは、グロー放電が局所的に
起こるのではなく、電極板全体で広く起こるようにする
為である。
接地電極3の高抵抗体5の上に試料基板6を置く。
非接地電極2には高周波電源8を接続する。これは、
例えば13.56MHzのRF発振器と増幅器とを用いることがで
きる。
対向電極の中間の空間に、ガスが供給されるように、
電極2、3の側方にノズル7と、ガス排出口10とが設け
られる。
SiH4/Heガスは、ノズル7から成膜室1の内部に吹き
込まれる。
放電空間の体積Sに対し、SiH4/He混合ガスの流量Q
はQ/Sが1sec-1〜102sec-1となるようにする。
(キ)作用 ノズル7より、SiH4/Heの混合ガスを引き込む。電極
2に高周波電圧をかける。
圧力は大気圧又はその近傍の圧力である。
電極間にグロー放電が生ずる。Heの割合が90%以上と
大きいので、大気圧であってもグロー放電が発生し、安
定に維持される。
混合ガスはグロー放電によって励起されて、プラズマ
となる。
試料基板6はヒータ9によって、予め加熱されてい
る。基板6の上に、Siのアモルファス薄膜が形成されて
ゆく。
SiH4の他に、アンモニアNH3や窒素N2を加えた場合
は、SiNの薄膜を作る事ができる。
また、メタンCH4、エチレンC2H4、アセチレンC2H2
どの炭素を含んだガスを加えた場合は、SiCの薄膜を、
笑気ガスN2Oや酸素O2を加えた場合はSiOの薄膜を、ゲル
マンGeH4を加えた場合はSiGeの薄膜を作る事ができる。
さらに膜中に含まれるH量を変化させるために水素H2
加えても良い。また、ドーピングを行うにはSiH4、CH4
などの成膜用ガスに対し数%以下の体積比率でPH3やB2H
6を加えれば良い。
ここで、NH3、N2、CH4、H2、PH3、B2H6をSiH4に加え
る場合には、全ガス供給量の90%以上がHeであればアー
ク放電に移行する事なく、安定なグロー放電を維持する
ことができる。しかし、C2H4、C2H2、N2O、O2、GeH4
加えた場合、Heに対する比率が10-2を越えるとアーク放
電に移行するため、安定なグロー放電を維持する薄膜を
形成するためには、C2H4/He、C2H2/He、N2O/He、O2/H
e、GeH4/Heの比率は10-2以下が望ましい。
高抵抗体を電極間に介在させるのは、グロー放電の起
こる範囲を拡げ、放電の強さを均一にするためである。
この高抵抗体の大きさは、電極材と同じ大きさ以上であ
れば良い。投入するRFパワー、ガスの種類等に依存する
が、電極材より外側に5mm以上大きい事が好ましい。
未反応のガスや、反応生成物などは、Heとともにガス
排出口10から排除される。
ガスが対向電極間に供給され、Q/Sが1〜102/secであ
るので、SiH4ガスは電極の中央に到達できる。つまり、
試料基板が広くても均一にSiのアモルファス薄膜が生じ
る。
もしも、ガス流量Qが不足すると、SiH4ガスがグロー
放電領域の外縁で重合反応を起こし、微細なダストとな
る。それで、ガス流量Qは、放電空間の体積Sを少なく
とも1秒で置き換わるような量としなければならない。
反対にガス流量Qが多すぎると、ガスが無駄に消費さ
れるということだけでなく、成膜速度が低下する。
このようなわけで、Q/Sが1〜102/secとなるのであ
る。
次に、SiH4/Heの比率について述べる。
SiH4をHeによって希釈しているので、放電維持電圧が
低い。Heが100%であれば、大気圧下でグロー放電を維
持できる。SiH4の混合量が少ないので、大気圧下でもグ
ロー放電が可能となるのである。
Heの作用により、アーク放電に移行するのを防ぐ事が
できる。
同じ圧力であっても、He中ではガス分子の平均自由行
程が長い。このため、プラズマが拡がりやすい。
もしも、SiH4/Heの比率が10-2を越えると、グロー放
電が維持できない。アーク放電に移行する。反対に、Si
H4/Heの比率が10-4より小さくなると、成膜速度が低下
するので望ましくない。
高抵抗体4、5を電極2、3に取り付けるので、直流
電流は流れない。交流だけとなる。また、面積当りの電
流密度が限られるので、プラズマが一様に拡がりやすく
なる。
膜厚分布を均一にするためには、試料基板6と非接地
電極2の高抵抗体4との間隙gを狭くした方が良い。
gが狭いほど、グロー放電が電極面内で均一に起こ
る。
gの値は、10mm以下であるのが望ましい。
しかし、近付けすぎると、高抵抗体4と試料基板6の
距離の均一な設定が難しくなる。僅かな傾きや凹凸が問
題になるからである。
実用的には、gの値が0.1mm以上とするのが良い。
さらに、局所的なプラズマ加熱による高抵抗体4、5
の熱損傷を防止するために、高抵抗体4、5は、SiO2
どの熱膨脹係数の小さいものが望ましい。
非接地電極2の近傍に、SiH4ガスの分解によるダスト
が付着することがある。このようなダストが試料基板6
に付くと、ピンホール発生原因になる。デバイス特性、
薄膜特性のバラつきの原因となる。
これを防ぐためには、非接地電極2に、加熱手段又は
冷却手段(図示せず)を設けるのが良い。そうすれば、
非接地電極の近傍でSiH4の分解反応が起こらず、ダスト
の付着を防ぐことができる。
基板温度について述べる。
プラズマCVDの特長のひとつは低温で処理できるとい
うことである。しかし、それでも、加熱する必要はあ
る。
試料基板の温度が低すぎると、表面の粗いガサガサの
膜となる。電気的にも、物理的、化学的にも劣悪なもの
で使いものにならない。
温度が高すぎると、Siの中にHが取り込まれず欠陥密
度が増加する。アモルファスSiの特性が安定するのは適
当な量のHが含まれているからである。
こういう訳で、基板温度Tsは 150℃≦Ts≦400℃ が良い。試料基板は、ガラスのような絶縁体であっても
良いし、ステンレス板のような金属であっても良い。
圧力Pは大気圧Poまたはその近傍であっても良い。
真空に引かなくて良いというのが、本発明の最大の利
点である。
圧力Pを、大気圧Poよりわずかに高くすると外部から
成膜室1への不純物ガスの混入を防ぐことができる。
高周波電源の周波数は、100kHz〜13.56MHzであってよ
い。高抵抗体4、5の厚みや、電極間の間隙gにより周
波数、パワーの最適値を決めることができる。
ただし、放電の安定性という事からいえば、1KHz以下
では、グロー放電が不安定になる。それ故、1KHz以下に
してはならない。
また、高周波電源のパワーは、10-2W/cm2〜102W/cm2
とする。102W/cm2より大きくなると、高抵抗体4、5が
イオンによってスパッタされる。このため、不純物が薄
膜に混入する。
10-2W/cm2よりパワーが低いと、実質的な成膜速度が
得られない。電極は平行平板について説明したが、その
形状は平行平板に限定されるものではなく、円形平板、
メッシュなどいかなる形状であってもかまわない。ま
た、同心円上に配置した円筒電極でもよい。また、設置
電極3は必ずしも必要でない。
(ク)実施例I(SiH4/He比率とQ/S) 混合ガス比率と、ガス流量とを変え、第1図の装置に
よって、a−Si薄膜を作った。
さらに、SiH4はグロー放電の中まで入りにくいので、
特開昭63−50478号のように上から下への流れとせず、
平行流とし、しかもかなりの流量を与える。こうして、
電極間の中央近傍までSiH4ガスが流れ込むようにした。
基板温度TS 250℃ 圧 力P 大気圧 RFパワー 30W RF周波数 13.56MHz 電極面積 40mm×40mm 高抵抗体間距離 5mm 高抵抗体 石英ガラス 抵抗率 r>1017Ωcm 以上の条件は共通である。
SiH4/Heの比率は、10-5、10-4、10-3、10-2、10-1
5種類とした。
放電空間体積Sで供給ガス流量Qを割った値Q/Sは10
-1、100、101、102、103/secの5種類とした。
こうして、試料基板の中央部の成膜速度vを測定し
た。この結果を第1表に示す。単位はÅ/secである。
この表で、斜線を施した部分(SiH4/Heの比率が1
0-1)はRFパワー30Wでは放電が起こらなかったというこ
とである。RFパワーを増加させると放電を起こすことは
できたが、アーク放電であった。
Q/Sが10-1の時、v=0であるが、これは、原料ガスS
iH4がプラズマの中へ入ってゆかず、周辺でダストを作
っているからである。
この結果からSiH4/Heの比率は10-4〜10-2の範囲が良
好であるということが分かる。
Q/Sに関しては、100〜102/secが良好であるとういう
ことができる。
(ケ)実施例II(放電状態とSiH4/He比率) 第1表の値は、基板中央の成膜速度である。中央部だ
けで成膜が速くても、周辺まで均一に成膜されないとし
たら何にもならない。
均一に成膜されるためには、グロー放電が均一であ
る、ということが必要である。
そこで、SiH4/Heの比率を変えて、グロー放電状態を
調べた。
実施例Iと同じ条件である。
Q/Sに関しては、第1表から、101/secが最良であるこ
とがわかっている。
そこで、Q/S=101/secとして、SiH4/Heの比率を1
0-5、10-4、10-3、10-2、10-1とした。
グロー放電によるプラズマ状態を第3図に示す。
10-1であると、アーク放電であった。これは、He:SiH
4=91:9ということである。つまり、Heが90%では足り
ないのである。
混合ガス比率が10-2になると、グロー放電が起こるが
プラズマ領域は電極の中間で狭くなる。
10-3になると、グロー放電は力強くなり、電極の端部
とプラズマ領域の拡がりがほぼ同一になる。
10-4、10-5になると、プラズマ領域が、電極の中間で
外方に凸出して形状となる。
(コ)実施例III(抵抗率と放電状態) 本発明では、高抵抗体を電極の上に付けている接地側
電極の高抵抗体を除き、試料基板に、抵抗率の異なるも
のを用い、グロー放電の状態を調べた。
試料基板としたものは 石英ガラス r>1017Ωcm ソーダガラス r〜1011Ωcm 結晶シリコン r<104Ωcm 結晶シリコンの場合、放電が均一にならない。中央部
近傍に集中してしまっている。これは、結晶シリコンが
電流を通しやすいからである。直流抵抗が最も小さくな
るような経路に沿って、放電が集中するのである。
この結果から、電極の上に高抵抗体を入れることは、
放電を拡げるために有効である、ということが分かる。
(サ)実施例IV(放電状態と他の種類のガス/He比率) SiN、SiCなどの膜を作製する場合に加えるNH3、CH4
どのガスについても、Heに対する比率を変化させてグロ
ー放電の状態を調べた。実施例Iと同じ条件で、SiH4
スの代わりに他の種類のガスを用いた。また、Q/Sは、1
01/secとした。結果を第2表に示す。
この表で×印はアーク放電に移向してしまうことを示
している。C2H4、C2H2、N2O、O2、GeH4以外のガスを加
える場合は、Heを90%以上とすることで安定な放電を得
る事ができるが、C2H4、C2H2、GeH4を加える場合は、こ
れらのガスのHeに対する比率は10-2以下にすることが望
ましい事がわかる。
続いて実施例Iと同じ条件で、SiH4/He=10-3、Q/S〜
102sec-1として第3表に示すガス流量比で各種Siを含む
薄膜を作製した結果、機械的、電気的特性に優れたSi系
薄膜を得ることができた。
(シ)比較例 比較のため、第2図に示す装置を使って、a−Si薄膜
を作ることを試みた。
第2図のものに加えて、高抵抗体(石英ガラスr>10
17Ωcm)を電極に貼り付けてある。
ガスの流れは上から下へ向かう。
条件は実施例I〜IIIと同じで、 基板温度Ts 250 ℃ 圧 力 P 大気圧 RFパワー 30W RF周波数 13.56MHz 電極面積 40mm×40mm 試料基板 ガラス 透明導電膜 このような条件は共通にし、試料と高抵抗体との距離
g、SiH4/He比率、流量Qを様々に変えてa−Si薄膜を
作ろうした。
グロー放電が起こる場合と、起こらない場合があっ
た。たとえグロー放電が起こっても、プラズマの周囲に
a−Siのダストができただけである。
試料基板の上に薄膜形成が起こらなかった。
(ス)薄膜特性 実施例Iで作ったa−Si薄膜特性を調べた。
バンドギャップ Eg=1.89 eV 光電導度 Δσph=1×10-5S/cm 暗電導度 σ=5×10-10S/cm であった。バンドギャップは、可視光域の透過率を測定
し、測定値をタウクプロットすることにより算出した値
である。
光電導度は、AM1.5 100mW/cm2の光源を使用して測定
した値である。
Δσphとσの比が大きいほど、太陽電池の材料とし
ては有望である。
従来の低圧プラズマCVD法によるa−Si膜とほぼ同じ
光電導度Δσphが得られている。
実施例Iと同じ条件で、透明導電膜付きのガラス基板
にa−Si薄膜を付けた。透明導電膜(SnO2にも、同様に
a−Si薄膜が付いた。
前述のガラス基板上、透明導電膜付きガラス基板上に
a−Siを成膜させたものについてESCA分析を行った。
第5図、第6図にこれを示す。
99eVの近傍にピークが現れている。これはSiの2p電子
からの信号である。
これにより、ガラス基板上にも、透明導電膜の上に
も、a−Siの薄膜形成が可能であるということが分か
る。
(ス)効果 本発明によれば、大気圧近傍の圧力で、プラズマCVD
法により、a−Si、SiN薄膜などのSi系薄膜を形成する
事ができる。
大気圧近傍であるので、真空チャンバや、真空排気装
置を必要としない。
広い面積の成膜を必要とする太陽電池のa−Si膜の作
製に於いて、設備に要するコストを大幅に低減すること
ができる。
また、圧力が高いので、低圧プラズマCVDに比べて、
成膜速度を速くすることができる。
なお、放電空間の体積Sというのは、電極の面積A
と、高抵抗体4と試料基板6の距離gとをかけたもので
ある。つまり、 S=Ag である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の薄膜形成法に用いられる装置の概略断
面図。 第2図は特開昭63−50478号で開示された薄膜形成装置
の断面図。 第3図は本発明の方法に於いて、SiH4/Heの比率を変え
た時のグロー放電の状態を示す図。 第4図は本発明の方法に於いて試料基板側(接地側)の
抵抗率の違いによる放電の状態の違いを示す図。 第5図は本発明の方法によりa−Si膜をガラス基板の上
に形成したもののESCA分析結果を示す図。 第6図は本発明の方法によりa−Si膜をガラス基板上の
透明導電膜の上に形成したもののESCA分析結果を示す
頭。 1……成膜室 2……非接地電極 3……接地電極 4……高抵抗体 5……高抵抗体 6……試料基板 7……ノズル 8……高周波電源 9……ヒータ 10……ガス排出口
フロントページの続き (72)発明者 富川 唯司 兵庫県伊丹市昆陽北1丁目1番1号 住 友電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 藤田 順彦 兵庫県伊丹市昆陽北1丁目1番1号 住 友電気工業株式会社伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 昭63−50478(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに対向した電極2、3の対向面に抵抗
    率が1011Ωcm以上の高抵抗体4、5を貼り付け、いずれ
    かの高抵抗体の上に試料基板6を設置し、90%以上の体
    積のHeと膜形成用ガスとして少なくともSiH4を含みSiH4
    /Heの体積比率が10-4〜10-2である混合ガスを、ガス流
    量Qを放電空間の体積Sで割った値Q/Sが1〜102sec-1
    になるように対向電極間に供給し、電極2、3の間には
    高周波電圧を与え、大気圧近傍の圧力下で、高抵抗体
    4、5の間にグロー放電を起こさせ、試料基板6の上に
    Siを含む薄膜を形成する事を特徴とする薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】互いに対向する電極2、3と、電極2、3
    の対向面に貼り付けられた抵抗率が1011Ωcm以上の高抵
    抗体4、5と、電極2、3の間に高周波電圧を与える高
    周波電源8と、電極2、3、高抵抗体4、5を囲みほぼ
    大気圧近傍の圧力に保たれる成膜室1と、対向電極2、
    3の間にSiH4とHeを含む混合ガスを供給するため成膜室
    1壁面に設けられたノズル7とガス排出口10と、試料基
    板6を加熱するためのヒータ9とよりなり、90%以上の
    体積のHeと、膜形成用ガスとして少なくともSiH4を含み
    SiH4/Heの体積比率が10-2〜10-4であるガスを対向電極
    間に供給し、電極間にグロー放電を起こさせ、いずれか
    の電極の高抵抗体の上に設置されヒータ9によって加熱
    された試料基板6の上に、Siを含む薄膜を形成するよう
    にした事を特徴とする薄膜形成装置。
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