JP2002120343A - 高速包装用フィルムおよびその包装体 - Google Patents

高速包装用フィルムおよびその包装体

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JP2002120343A JP2000315745A JP2000315745A JP2002120343A JP 2002120343 A JP2002120343 A JP 2002120343A JP 2000315745 A JP2000315745 A JP 2000315745A JP 2000315745 A JP2000315745 A JP 2000315745A JP 2002120343 A JP2002120343 A JP 2002120343A
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heat
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Masahiko Kawashima
政彦 川島
Harunori Takeda
晴典 武田
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Asahi Kasei Corp
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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた滑り特性、強度特性、収縮特性、光学特
性、耐熱性を有し、特に高速包装機でのシール特性に優
れる弁当もしくは惣菜包装用フィルムを提供する。 【課題を解決するための手段】特定な樹脂を用い、特定
な範囲である引張破断強度、フィルム−金属間の動摩擦
係数、熱収縮率、ゲル分率、100℃における熱収縮応
力、ヘイズ、グロス、120℃で10%収縮させた後の
100℃における平衡熱収縮応力を有する弁当もしくは
惣菜包装用フィルムである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速包装用フィル
ム、特に弁当もしくは惣菜容器を熱収縮によって収縮包
装する弁当もしくは惣菜包装方法において、優れた滑り
特性、強度特性、収縮特性、光学特性、耐熱性を有し、
特に高速包装機でのシール特性に優れる弁当もしくは惣
菜包装用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、弁当もしくは惣菜の包装方法は外
観が美しく、また内容物を衛生的に保ち、視覚による品
質管理が容易なことから、透明フィルムを用いたストレ
ッチ包装やストレッチシュリンク包装が行われている。
ストレッチ包装とはフィルムをある程度、緊張状態で包
装し、フィルムのはじを被包装物の底部に折り込んで、
該折り込み部をフィルム同志の自己密着力または熱融着
により包装する包装方法であり、ストレッチシュリンク
包装とは、ストレッチ包装のように一次包装した後、同
様に加熱収縮処理を施して局部的なフィルムのタルミ、
シワ等を除去する包装方法であり、いずれもタイトで美
しい仕上がりが得られる。
【0003】近年、作業の簡素化やコスト削減のため大
量生産・大量販売化の流れがあり、弁当もしくは惣菜業
界にもこの流れが押し寄せている。例えば、コンビニエ
ンスストアや弁当店のチェーン化により、各店舗で弁当
もしくは惣菜を作り、包装および販売する形態から集中
生産センターにて弁当を大量生産し、各店舗にトラック
などで輸送して販売する形態に変わってきた。このよう
な集中生産センターにおいては短時間に大量の弁当もし
くは惣菜を包装しなければならず、様々な形態の機械包
装が提案されている。
【0004】上記記載の大量な弁当もしくは惣菜をフィ
ルムで覆う方式には、ストレッチ包装やストレッチシュ
リンク包装の他、このような集中生産センターにて大量
生産した弁当を短時間に大量に包装できるシュリンク包
装があり、ここでは代表的な例であるピローシュリンク
包装による包装方法について説明する。
【0005】まず、容器の横方向の長さに対して10〜
50%の余裕率を持たせて被包装物を筒状に覆い、次に
回転ローラー式のセンターシール装置にて被包装物の裏
面にシール線がくるように合掌ヒートシールし、続いて
容器の縦方向の長さに対して10〜50%の余裕率のと
ころで筒状体の両端を閉じるように容器の流れ方向の前
後部でヒートシールを行い、それと同時にカッター刃で
カットを行うエンドシール装置を用いて一つ一つの包装
体を得る。次にこれらを予め収縮温度に温度調節されて
いる熱風シュリンクトンネルでフィルムを熱収縮させる
ことでタイトに仕上がった包装体を得るのである。この
際ヒートシールの方法としてはバーシール法、熱ロー
ラー法等のヒートシール法、インパルスシール法、
溶断シール法等があり、これらのシール方法が適時組み
合わせて用いられている。前記の、は基本的に面シ
ールであり通常シール面直近でシールとほとんど同時に
カッターにて切断される、いわゆるシールアンドカット
方式が採用されている。またの溶断シール法は上記の
ように別にカッターを必要とせず、瞬間的に熱刃によ
り、溶融シールと同時に溶融切断を行う方法(溶断シー
ル方式)であり、簡便な方法として包装用各種フィルム
に広く用いられている。包装機の包装スピードは、包装
機械の自動化により高速化しており、高速自動連続包装
機になると1分間に40個程度、包装することが可能で
あり、更に高速化する傾向である。自動連続包装の高速
化でシュリンク包装するため、フィルムに要求される特
性は包装機械との滑り性がよいこと、フィルムを高
速で搬送したときにフィルム自体が破れないこと、短
時間に確実にヒートシールができることである。その
他、自動連続包装の高速化によってヒートシールを行っ
てからシュリンクトンネルの熱風等によりフィルムを熱
収縮させるまでの時間が短いため、短時間でもシールパ
ンクがおこらないこと等が必要である。これらに使用す
るフィルムとしては、近年の非塩素系素材ニーズに合致
し、また、透明性に優れたポリオレフィン系樹脂を用い
た多層フィルムが従来知られている。
【0006】例えば、特開平1−301251公報には
内外層および中間層に密度、メルトインデックスが特定
された線状低密度ポリエチレンからなり、全層に対する
中間層の厚に比率および内外層の厚みを特定したシール
性に優れる熱収縮フィルムが開示されている。また、特
開平6−106668公報には全層のゲル分率が1〜3
5wt%であり、延伸製膜性、熱収縮性に優れる他、高
い引き裂き強度を有する多層架橋延伸フィルムが開示さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術、特開平1−301251公報に開示されてい
る技術では、フィルムのヘイズは優れているが残念なこ
とにフィルムの耐熱性が劣っているので、熱風シュリン
クトンネルの温度やヒートシールの温度を高くできな
い。そのため、ヒートシール条件が狭い等、高速包装を
行うには包装条件に制約ができてしまう問題が残されて
いる。また、特開平6−106668公報に開示されて
いる技術では、架橋延伸フィルムであるため耐熱性が優
れているが残念なことにフィルムの滑り性が悪いため、
高速包装を行うとフィルムが破れてしまう問題が残され
ている。
【0008】したがって、本発明の課題は、上記記載の
問題を解決し、容器を熱収縮によって収縮包装する弁当
もしくは惣菜包装方法において、優れた滑り特性、強度
特性、収縮特性、光学特性、耐熱性を有し、特に高速包
装機でのシール特性に優れる弁当もしくは惣菜包装用フ
ィルムを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意検討した結果、本発明をなすに至
った。すなわち、本発明は下記の通りである。 1) 多層フィルムであり、以下の(a)〜(j)であ
ることを特徴とする高速包装装置用フィルム。 (a) フィルムの表面層に密度が0.905〜0.9
20g/cm3のエチレンα−オレフィン共重合体を含
むこと。 (b) フィルムの引張破断強度が縦方向および横方向
ともに49.03〜245.17N/mm2であるこ
と。 (c) フィルム−金属間の動摩擦係数が0.30以下
であること。 (d) 100℃における熱収縮率が縦方向および横方
向ともに35%以下であること。 (e) 120℃における熱収縮率が縦方向および横方
向ともに55%以上であること。 (f) フィルム全体のゲル分率が3〜30wt%であ
ること。 (g) 100℃における熱収縮応力が縦方向および横
方向ともに1.96N/mm2以下であること。 (h) ヘイズが1.5%以下であること。 (i) グロスが135%以上であること。 (j) 120℃で10%収縮させた後の100℃にお
ける平衡熱収縮応力が縦方向および横方向ともに0.1
5N/mm2以下であること。
【0010】2) フィルムの内部層に密度が0.91
0〜0.928g/cm3のエチレンα−オレフィン共
重合体を含むことを特徴とする1)記載の弁当もしくは
惣菜包装用フィルム。 3) フィルムの内部層にポリプロピレン系樹脂を含む
ことを特徴とする1)記載の弁当もしくは惣菜包装用フ
ィルム。 4) チューブラー法を用いて延伸し、延伸開始温度が
120〜150℃で延伸することを特徴とする請求項1
〜3いずれかに記載の弁当もしくは惣菜包装用フィル
ム。 5) チューブラー法を用いて延伸し、延伸開始温度が
80〜120℃で、ヒートセット処理により固定化され
たことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の弁
当もしくは惣菜包装用フィルム。 6) 1)〜5)のいずれかに記載の弁当もしくは惣菜
包装用フィルムを用いた包装体。
【0011】以下、本発明につき詳細に説明する。本発
明が従来技術と最も相違するところは、従来技術では、
フィルム−金属の動摩擦係数が高いという滑り特性とフ
ィルムの耐熱性が劣るという耐熱性のバランスが悪いに
対し、本発明は滑り特性と耐熱性のバランスだけでな
く、優れた収縮特性、強度特性、光学特性を有し、特に
高速包装機でのシール特性に優れていることである。上
記、従来技術と相違するところの本発明の構成要件に基
づく効果は、高速包装においても安定したシール特性や
シュリンク包装が可能で、しかも包装仕上がりが優れた
弁当もしくは惣菜包装をなすことである。
【0012】本発明の弁当もしくは惣菜包装について説
明する。本発明でいう弁当もしくは惣菜包装とは、トレ
ー等の比較的剛性の低い容器に食材を入れフィルムで包
装する包装形態であるが、食材によってはトレー等の容
器に入れずに食材のみをフィルムで包装しても良い。
【0013】本発明の多層フィルムについて説明する。
本発明の多層フィルムとはオレフィン系樹脂を用いた少
なくとも2層以上のフィルムを意味する。本発明の密度
が0.905〜0.920g/cm3のエチレンα−オ
レフィン共重合体について説明する。本発明の密度はJ
IS−K−7112に準じて測定される値(後述)であ
るが、本発明の密度が0.905〜0.920g/cm
3のエチレンα−オレフィン共重合体が好ましく、本発
明の密度が0.905〜0.920g/cm3のエチレ
ンα−オレフィン共重合体はフィルムに引張破断強度等
の優れた強度を付与する役割を担っている。
【0014】本発明に用いられるエチレンα−オレフィ
ン共重合体としては超低密度ポリエチレン、線状低密度
ポリエチレン等があり、これらはエチレンとプロピレ
ン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン
−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の炭素数が3〜1
8のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種類の単
量体との共重合であるが、引張破断強度等の強度の観点
からα−オレフィンとしてはペンテン−1、4−メチル
−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1が好まし
い。また、以上のエチレンα−オレフィン共重合体はチ
ーグラー触媒等の従来のマルチサイト触媒を用いて得ら
れた重合体、またはメタロセン系触媒等のシングルサイ
ト触媒で重合された分子的(コモノマー分布等)、分子
量分布的に従来の方法で重合されたものより、より均一
化されたもの(Mw/Mnで代表される値が1.5〜
3.5のもの、より好ましくは1.5〜3.0)であ
り、両者を混合したものでもよく、これらから少なくと
も1種類が用いられる。上記シングルサイト触媒で重合
されたエチレンα−オレフィン共重合体には制御された
長鎖分岐を有したものであったり、上記エチレンα−オ
レフィン共重合体に加え極性を有する単体やスチレン系
モノマー等のその他の単量体が共重合されたものであっ
て良い。また、本発明の表面層に用いられる場合、エチ
レンα−オレフィン共重合体はマルチサイト触媒で重合
されたものより、シングルサイト触媒によって重合され
たものの方が、低分子成分が少なく、そのためフィルム
表面のべとつきやブロッキングが防止できるので好まし
い。表面層に用いられるエチレンα−オレフィン共重合
体の密度が0.905g/cm3未満では、フィルムを
紙管に巻いて輸送・保存する際、夏場や輸送時のコンテ
ナ内など気温の高いところに長時間放置するとフィルム
同士がブロッキングし、紙管からフィルムを引き出しに
くくなる。また、本発明の表面層に用いられるエチレン
α−オレフィン共重合体の密度が0.920g/cm3
を越えるとフィルムの表面が荒れ、フィルムが白っぽく
なり、ヘイズが悪くなる。表面層に用いられるエチレン
α−オレフィン共重合体の密度は、より好ましくは0.
907〜0.918g/cm3、さらに好ましくは0.
910〜0.918g/cm3である。
【0015】本発明の密度が0.910〜0.928g
/cm3のエチレンα−オレフィン共重合体について説
明する。本発明の密度はJIS−K−7112に準じて
測定される値(後述)であるが、本発明の密度が0.9
10〜0.928g/cm3のエチレンα−オレフィン
共重合体が好ましく、本発明の密度が0.910〜0.
928g/cm3のエチレンα−オレフィン共重合体は
フィルムに優れた引張破断強度および剛性を付与する役
割を担っている。
【0016】本発明に用いられる密度が0.910〜
0.928g/cm3のエチレンα−オレフィン共重合
体としては線状低密度ポリエチレン等があり、密度が
0.910〜0.928g/cm3であれば、上記記述
のエチレンα−オレフィン共重合体が使用できる。本発
明に用いられるエチレンα−オレフィン共重合体の密度
が0.910g/cm3未満ではフィルムの剛性(いわ
ゆる腰)が乏しく、フィルム−金属間の滑りが悪くな
る。また、本発明に用いられるエチレンα−オレフィン
共重合体の密度が0.928g/cm3を越えるとフィ
ルムが白っぽくなり、ヘイズが悪くなる他、フィルムが
脆くなり、引張破断強度が低下する。内部層に用いられ
るエチレンα−オレフィン共重合体の密度は、より好ま
しくは0.913〜0.927g/cm3、さらに好ま
しくは0.915〜0.926g/cm3である。
【0017】本発明の引張破断強度について説明する。
本発明の引張破断強度は引張測定機を使用して(後述)
測定される値であるが、高速で包装機械上をフィルム搬
送する際、フィルム破れとなる。引張破断強度は49.
03〜245.17N/mm 2であることが好ましい。
引張破断強度が49.03N/mm2未満であると高速
時のフィルム搬送においてフィルムを繰り出す際に破れ
て、高速で包装できない。また、245.17N/mm
2を越えるとシュリンク包装した包装物の開封があけに
くく、商品性を低くする原因になる。より好ましくは5
8.84〜235.36N/mm2、さらに好ましくは
68.64〜225.56N/mm2である。
【0018】本発明のフィルム金属間の動摩擦係数につ
いて説明する。本発明のフィルム−金属間の動摩擦係数
は梨地の金属製ライダーを用いて(後述)測定される値
であるが、高速時のフィルム搬送の観点から、0.30
以下であることが好ましい。フィルム−金属間の動摩擦
係数が0.30を越えると高速で包装機械上をフィルム
搬送する際、フィルムと金属の間で摩擦抵抗が大きく、
フィルムが蛇行したり、包装機上をばたついたり、大き
な異音が生じたり等安定して高速包装ができない。ま
た、極端な場合にはフィルムが破れたりすることもあ
る。より好ましくは0.28以下、さらに好ましくは
0.26以下である。
【0019】本発明の100℃における熱収縮率につい
て説明する。本発明の100℃における熱収縮率は高速
包装時のシールを安定して行うためである。100℃に
おける熱収縮率は35%以下であることが好ましい。3
5%を越えるとシールバーにてシールする際、本来は加
熱されたシールバーがフィルムに接触してフィルム同士
を熱融着するのであるが、シールバーがフィルムに接近
した時点でフィルムが収縮し、シールする前に収縮した
フィルムが重なり合ってしまい、きちんとしたシールが
できなくなる。より好ましくは33%以下であり、さら
に好ましくは30%以下である。
【0020】本発明の120℃における熱収縮率につい
て説明する。本発明の120℃における熱収縮率は高速
包装時においてシュリンクトンネル内で安定した収縮を
行い、しかも包装仕上がりが優れた弁当もしくは惣菜包
装をなすためである。120℃における熱収縮率は55
%以上であることが好ましい。55%未満であるとシュ
リンクトンネル内で収縮をする際、収縮包装するだけの
十分な収縮が得られないため、満足のいくシュリンク包
装ができない。より好ましくは58%以上であり、さら
に好ましくは60%以上である。
【0021】本発明のゲル分率について説明する。本発
明のゲル分率は、本発明のフィルムの耐熱性向上の観点
から、3〜30wt%であることが好ましい。3wt%
未満であるとフィルムの耐熱性がないためシュリンクト
ンネルの温度範囲が狭く、そのため安定したシュリンク
包装が困難になる。また、30wt%を越える引張破断
強度が乏しくなる他、フィルムのシール温度が高くな
り、高速包装時のシールが安定して行えなくなる。より
好ましくは5〜27wt%である。
【0022】本発明でいうゲルとは、フィルムにα線、
β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線を照射
したり、パーオキサイドの利用によって得られるもので
あり、ゲル分率とは後述の算出式によって求められる架
橋度の割合である。電離性放射線の照射量は3〜12メ
ガラッドがより好ましい。電離性放射線の照射量は3メ
ガラッド未満であると架橋にバラツキがを生じ易くな
り、均一な架橋を得られなくなる。また、電離性放射線
の照射量が12メガラッドを越えると樹脂の劣化や分解
等が生じ、機械的強度を得られなくなる場合がある。
【0023】本発明の100℃における熱収縮応力につ
いて説明する。本発明の100℃における熱収縮応力は
高速包装時のシールを安定して行うためである。100
℃における熱収縮応力は1.96N/mm2以下である
ことが好ましい。1.96N/mm2を越えるとシール
をする際、シールバーがフィルムに接近した時点でフィ
ルムが収縮する。しかも熱収縮応力が高いためにシール
する前にかなりのフィルムが重なり合ってしまい、きち
んとしたシールができなくなる。より好ましくは1.7
7N/mm2以下であり、さらに好ましくは1.66N
/mm2以下である。
【0024】本発明の120℃で10%収縮させた後の
100℃における平衡熱収縮応力について説明する。本
発明の120℃で10%収縮させた後の100℃におけ
る平衡熱収縮応力は電子レンジ等によって弁当もしくは
惣菜を再加熱する際、再加熱により、フィルムの収縮応
力が発生し、容器をその応力によって変形し、商品性を
低下してしまい、場合によっては容器の破損をするとき
がある。120℃で10%収縮させた後の100℃にお
ける平衡熱収縮応力は0.15N/mm2以下であるこ
とが好ましい。0.15N/mm2を越えると上記記載
の商品性低下や容器の破損が生ずる。より好ましくは
0.13N/mm2以下であり、さらに好ましくは0.
12N/mm2以下である。
【0025】本発明のヘイズについて説明する。本発明
のヘイズは光学測定機械を使用して測定される値(後
述)であるが、弁当もしくは惣菜の商品性の観点から、
1.5%以下であることが好ましい。1.5%を越える
と弁当もしくは惣菜が白っぽく霞がかったようになり、
脂っぽい感じを与え商品性が劣ってしまう。より好まし
くは1.3%以下、さらにより好ましくは1.1%以下
である。本発明のグロスについて説明する。本発明のグ
ロスは光学測定機械を使用して測定される値(後述)で
あるが、弁当もしくは惣菜の商品性の観点から、135
%以上であることが好ましい。135%未満であると弁
当もしくは惣菜の商品性が劣ってしまう。より好ましく
は138%以上、さらにより好ましくは140%以上で
ある。
【0026】本発明の内部層に用いられるポリプロピレ
ン系樹脂について説明する。内部層に用いられるポリプ
ロピレン系樹脂はフィルムの剛性を付与する役割を担っ
ている。内部層に用いられるポリプロピレン系樹脂とし
てポリプロピレン樹脂はもちろん、プロピレンを主成分
とする共重合体や少量の他樹脂との混合物も意味する。
特に、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレン
共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プ
ロピレン−ブテン共重合体、あるいはこれら共重合体ど
の混合物でも良い。
【0027】本発明の表面層、内部層にはその本来の特
性を損なわない範囲で1種類以上の他の樹脂をより好ま
しくは40wt%以下、さらに好ましくは30wt%以
下、さらにより好ましくは25wt%以下で混合しても
良い。他の樹脂とは特に限定されないが、例えば、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体およびその部分ケン化物、エ
チレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、エ
チレン−環状ポリエチレンランダム共重合体、エチレン
−環状ポリエチレンブロック共重合体、アイオノマー、
高圧法低密度ポリエチレン、遷移金属触媒によって重合
された高分岐エチレンポリマー(分岐度:5〜110基
/1000炭素)、スチレン−共役ジエン共重合体およ
び該共重合体の少なくとも一部を水添したもの、または
これらの樹脂を酸変性等により改質したもの、結晶性
1,2−ポリブタジエンその他、水添ポリジシクロペン
タジエン、水添ポリテルペン等の石油樹脂、また、混合
対象となる層以外の層に使用されている樹脂が挙げられ
る。
【0028】本発明のフィルムの製法であるチューブラ
ー法について述べる。まず、各層を構成する樹脂をそれ
ぞれの押出機で溶融して、多層のサーキュラーダイで共
押出・急冷固化して多層延伸用原反を得る。得られた延
伸用原反を、熱風による伝熱加熱あるいはインフラヒー
ター等の輻射加熱により延伸用原反を加熱した後、延伸
を行う。延伸は延伸用原反を2組のニップロールの間で
速度比をつけて流れ方向に延伸しつつ、延伸用原反内に
エアーを注入して横方向にも延伸する。延伸方法として
は、上記のようなチューブラー法(ダブルバブル法を含
む)は同時二軸延伸で延伸は面積延伸倍率を変化するこ
とによって種々な厚さのフィルムを製膜できる。また、
必要に応じ、コロナ処理やプラズマ処理等の表面処理、
印刷処理、他種のフィルム等とのラミネーション等が行
われても良い。
【0029】本発明のフィルムの延伸開始温度について
述べる。フィルムの延伸は延伸用原反を熱風による伝熱
加熱あるいはインフラヒーター等の輻射加熱により延伸
用原反を加熱した後、エアーを供給して延伸を行うが、
フィルムの延伸開始点とは延伸用原反が膨張を開始する
くびれ部分を云い、フィルムの延伸開始温度とは延伸用
原反が膨張を開始するくびれ部分の表面温度を表す。こ
の時の延伸開始温度は120〜150℃で延伸すること
がより好ましい。延伸開始温度は120〜150℃の場
合、本発明のフィルムを得るのに最も適した延伸であ
る。さらに好ましくは123〜148℃、さらにより好
ましくは125〜147℃である。また、延伸開始温度
は120〜150℃で延伸することがより好ましいが、
特にフィルムの透明性が必要である場合は80〜120
℃で延伸し、フィルムを得ることもできる。その場合、
本発明に記載させているフィルムを得るにはヒートセッ
トにてフィルムの物性をさらに調整する必要がある。ヒ
ートセットとは延伸に得られたフィルムを熱加熱によっ
てフィルム物性を熱固定化させ、本来は寸法安定性向上
のために行われるが、フィルムの熱収縮率や熱収縮応力
を故意に調整する簡便な方法として行われる場合があ
る。ヒートセットには延伸されたフィルムを2組のニッ
プロールの間で速度比をつけ、熱風を噴射する等の加熱
をすることによって熱固定させる方法(2組のニップロ
ールの間で速度比を調整し、フィルムを弛緩させる場合
もある。)や温度を調整できる加熱ニップロールをロー
ル延伸のように数本通す方法や延伸されたフィルムに再
度エアーを注入し、チューブ状に膨らましたまま、加熱
された(熱風による伝熱加熱あるいはインフラヒーター
等の輻射加熱等)筒状の熱固定装置に通す方法等ある
が、いずれの方法でも良い。
【0030】本発明のフィルムの厚みは通常5〜80μ
mがより好ましく、さらに好ましくは6〜60μm、さ
らにより好ましくは7〜40μmの薄肉の領域である。
5μm未満ではフィルムの腰が低下し、シール強度も低
下する。また高速包装が困難になったり、包装時の作業
性に問題が生ずる。また80μmを越えるとフィルムの
腰が強くなりすぎ、フィット性が悪くなるほか、収縮の
応答性が悪くなったり、機械的強度等の性能が過剰とな
る。
【0031】本発明フィルムの開封性について説明す
る。一般にシュリンク包装体ではフィルムが容器に密着
して緊張状態であるため、開封時に手がかりがなく易開
封性に問題がある場合がある。そのため、包装体にはフ
ィルムにノッチを入れたり、カットテープを装着する等
しても良い。本発明のフィルムにその他の添加剤として
可塑剤、酸化防止剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、無機
フィラー、防曇剤、アンチブロッキング剤、滑剤、結晶
核剤、着色剤等を含んでも良く、樹脂への添加方法とし
ては直接対象樹脂層に練り込み添加するか、場合によっ
てマスターバッチをあらかじめ作製して希釈添加しても
よく、また、フィルムに塗布するなど、いづれの方法を
用いても良い。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例に基づき、
詳細に説明する。なお、本発明で用いる評価方法は下記
の通りである。 <エチレン系重合体の密度>JIS―K−7112に準
拠して測定した。 <エチレン系重合体のMFR>JIS―K−7210に
準拠して測定した。尚、エチレン系重合体の場合は19
0℃、21.18Nの条件下にて、ポリプロピレン系樹
脂の場合は230℃、21.18Nの条件下で測定をし
た値を使用した。 <フィルムの延伸開始温度>フィルムの延伸開始温度
は、延伸開始点における延伸用原反の表面温度を接触式
温度計を用いて測定した。
【0033】<引張破断強度>フィルムを縦方向(M
D)、横方向(TD)に各々長さ100mm、幅10m
mに切り出し、引っ張り試験機のチャック間50mmに
セットし、23℃、50%RHの条件下で200mm/
分の速度で引っ張り、フィルムが破断したときの応力を
引っ張る前のフィルムの断面積で割った値を採用した。 <フィルム−金属間の動摩擦係数>ASTM D−18
94に準拠して測定し、4.90Nのライダー(梨地金
属製)を用いて測定した動摩擦係数にて評価した。 <熱収縮率>ASTM D−2732に準拠して測定
し、100℃および120℃の温度で収縮させた。
【0034】<ゲル分率>沸騰p−キシレン中で試料を
12時間抽出し、不溶解部分の割合を次式により表示し
たもので、フィルムの架橋度の尺度として用いた。 ゲル分率(wt%)=(抽出後の試料重量/抽出前の試
料重量)×100 <熱収縮応力>ASTM D−2838に準拠して測定
し、100℃にて測定した値にて評価した。 <ヘイズ>ASTM D−1003に準拠して測定し
た。 <グロス>ASTM D−2457に準拠して測定し
た。
【0035】<120℃で10%収縮させた後の100
℃における平衡熱収縮応力>ASTM D−2838に
準拠して測定した。尚、120℃で10%収縮とはフィ
ルムを200mm角に切り出し、180mm角の木枠に
フィルム四方の角を合わせフィルムをたるませた状態で
固定した後、炉内温度が120℃であるシュリンクトン
ネル(ケーユーシステム株式会社MS−8441)を5
秒通過させてフィルムの縦方向及び横方向に10%収縮
させることをいう。100℃における平衡熱収縮応力と
は100℃における測定開始から60秒後の収縮応力の
値である。 <高速包装適性評価>フジキカイ株式会社自動包装機F
W3451JrAを使用して包装適性の評価を行った。
包装速度は50パック/分、被包装物は200mmx3
00mmx40mmの弁当容器(質量6.37N)を用
いた。問題なく包装できたものを○、何らかの問題があ
ったものを×(理由記載)として評価した。
【0036】
【実施例1〜10】表1〜2に示すような樹脂を用い
て、2台の押出機を使用し2種3層の環状ダイスより表
面層と内層からなる3層構成のチューブを溶融押出し、
そのチューブを水冷リングを用いて急冷し、表1〜2記
載の厚みの延伸用原反を得た。この時、2つの表面層と
内層の層比率は表面層が15%と15%で合計30%、
内層が70%であった。
【0037】得られた延伸用原反に500KVの加速電
圧で加速した電子線を表1〜2記載の照射量にて架橋処
理を行い、引き続きインフラヒーターによる輻射加熱
で、延伸用原反を表1〜2記載の延伸温度まで加熱し、
2組のニップロール間の速度比により流れ方向(MD)
および延伸用原反内にエアーを注入することにより機械
の流れ方向と直角方向(TD)に表1〜2記載の延伸倍
率に延伸し、エアーリングによりバブルの最大径の部分
に冷風を当てて冷却する。その後折りたたんで、表1〜
2記載の熱風温度とMD方向の弛緩率にてヒートセット
処理(2組のニップロール間に熱風をあてる方法)を行
い、それぞれ表1〜2記載の厚みのフィルムを得た。そ
れぞれのフィルムを評価して、その結果を表1〜2に示
す。表1〜2の結果より、得られたフィルムは優れた機
械的強度、緩衝性能および透明性有し、非常に良いもの
であった。
【0038】
【比較例1〜6】実施例と同等の方法にて表3〜4に示
した条件にてフィルムを得た。その後実施例と同等の方
法にて各種の評価を行った。その結果を表3〜4に示
す。比較例1は表面層の樹脂密度、内部層の樹脂密度、
ゲル分率、引張破断強度、フィルム−金属間の動摩擦係
数が本発明の範囲外、比較例2は表面層の樹脂密度、内
部層の樹脂密度、ヘイズ、グロスが本発明の範囲外、比
較例3はゲル分率、100℃の熱収縮率、100℃の熱
収縮応力が本発明の範囲外、比較例4はゲル分率、引張
破断強度が本発明の範囲外であり、比較例5は100℃
の熱収縮率、100℃の熱収縮応力、120℃−10%
収縮後の100℃での平衡熱収縮応力が本発明の範囲外
であり、比較例6は100℃の熱収縮率、100℃の熱
収縮応力、120℃−10%収縮後の100℃での平衡
熱収縮応力が本発明の範囲外であり、比較例7は100
℃の熱収縮率、120℃の熱収縮率、100℃の熱収縮
応力、120℃−10%収縮後の100℃での平衡熱収
縮応力が本発明の範囲外であった。
【0039】比較例1は引張破断強度は弱く、フィルム
を高速で包装機械にかけるフィルムが破れてしまった。
また、また、電子レンジにて1700ワットで60秒
間、再加熱したとき容器変形が認められ、商品性の劣る
包装であった。比較例2は光学特性が悪く、商品性の劣
る包装であった。比較例3は100℃での収縮率が大き
く、また、耐熱性が乏しいため、シールが不安定であっ
た。比較例4は比較例1と同様で引張破断強度は弱く、
フィルムを高速で包装機械にかけるフィルムが破れてし
まった。比較例5〜7は高速包装時でシールが安定せ
ず、高速包装ができなかった、また、電子レンジにて再
加熱したとき容器変形が認められ、商品性の劣る包装で
あった。また、比較例7は120℃の熱収縮率の収縮率
が乏しいため包装時の仕上がりもあまり良くなかった。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】本発明の課題は、容器を熱収縮によって
収縮包装する高速包装方法において、優れた滑り特性、
強度特性、収縮特性、光学特性、耐熱性を有し、特に弁
当もしくは惣菜などを包装する高速包装機でのシール特
性に優れる弁当もしくは惣菜包装用フィルムをなすこと
である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 65/40 B65D 65/40 D // B29K 23:00 B29K 23:00 105:02 105:02 B29L 9:00 B29L 9:00 Fターム(参考) 3E086 AA22 AB03 AD16 BA04 BA15 BB55 BB67 CA01 4F100 AK07C AK62A AK62B BA03 BA07 BA10A EH17 EJ37 GB23 JK02 JK16 JL02 JL04 YY00A YY00B 4F210 AA04E AA11 AE01 AG01 AG03 AR06 QA01 QK01 QK05 RA03 RC02 RG02 RG04 RG09 RG43

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多層フィルムであり、以下の(a)〜
    (j)であることを特徴とする高速包装用フィルム。 (a) フィルムの表面層に密度が0.905〜0.9
    20g/cm3のエチレンα−オレフィン共重合体を含
    むこと。 (b) フィルムの引張破断強度が縦方向および横方向
    ともに49.03〜245.17N/mm2であるこ
    と。 (c) フィルム−金属間の動摩擦係数が0.30以下
    であること。 (d) 100℃における熱収縮率が縦方向および横方
    向ともに35%以下であること。 (e) 120℃における熱収縮率が縦方向および横方
    向ともに55%以上であること。 (f) フィルム全体のゲル分率が3〜30wt%であ
    ること。 (g) 100℃における熱収縮応力が縦方向および横
    方向ともに1.96N/mm2以下であること。 (h) ヘイズが1.5%以下であること。 (i) グロスが135%以上であること。 (j) 120℃で10%収縮させた後の100℃にお
    ける平衡熱収縮応力が縦方向および横方向ともに0.1
    5N/mm2以下であること。
  2. 【請求項2】 フィルムの少なくとも1層の内部層に密
    度が0.910〜0.928g/cm3のエチレンα−
    オレフィン共重合体を含むことを特徴とする請求項1記
    載の高速包装用フィルム。
  3. 【請求項3】 フィルムの少なくとも1層の内部層にポ
    リプロピレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1記
    載の高速包装用フィルム。
  4. 【請求項4】 チューブラー法を用いて延伸し、延伸開
    始温度が120〜150℃で延伸することを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の弁当もしくは高速包装
    用フィルム。
  5. 【請求項5】 チューブラー法を用いて延伸し、延伸開
    始温度が80〜120℃で、ヒートセット処理により固
    定化されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の弁当もしくは高速包装用フィルム。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の弁当も
    しくは惣菜包装用フィルム。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の弁当も
    しくは惣菜包装用フィルムを用いた包装体。
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