JP4937508B2 - ポリエチレンテレフタレート - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂に関する。更に詳しくは、成形時の環状オリゴマー増加量が少なく、かつ成形および重合装置の腐食が抑えられたポリエチレンテレフタレートに関する。
飲料充填用容器の素材等に広く用いられているポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化した後、重縮合触媒の存在下で液相重縮合し、次いで固相重縮合して得ることができる。そしてこのポリエチレンテレフタレートは、例えば射出成形機械などの成形機に供給して中空成形体用プリフォームを成形し、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延伸ブロー成形したり、さらに熱処理(ヒートセット)して中空成形容器に成形される。
ポリエチレンテレフタレートを液相重縮合ないし固相重縮合する際には、重縮合触媒としてゲルマニウム、アンチモン、チタニウム、アルミニウム等の金属が有用であることが知られている。しかしながら重縮合後のポリエステル樹脂に含まれる金属触媒は、溶融成形の過程で環状三量体オリゴマーやアセトアルデヒドの生成を促進させることがあり、また黄色味を生じるなど色調を損なうことがある。
ポリエチレンテレフタレートにリン化合物を含有させることでプリフォーム等の成形体に含まれる環状3量体等を減少させる方法が提案されている。(例えば、特開平10−251393、特開平10−316765、特開平11−5892、特開平11−189640) しかしながら、本発者明らの検討によると、リン化合物の種類によっては成形装置および重合装置の腐食を引起し、また装置由来の金属、とりわけ鉄原子が混入することによって樹脂の透明性や色調が損なわれることがわかった。
特開平10−251393号公報 特開平10−316765号公報 特開平11−5892号公報 特開平11−189640号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う課題を解決しようとするものであって、成形加工時の環状3量体オリゴマーやアセトアルデヒドの生成量が少なく、かつ成形および重合装置の腐食が抑えられ、腐食金属の混入による品質の低下を抑制したポリエチレンテレフタレートを提供することを目的としている。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、下記のポリエチレンテレフタレートが上記課題を解決することを見出して本発明を完成した。
固有粘度が0.60dl/g以上であり、環状3量体オリゴマー(CT)含有量が0.55重量%以下であるポリエチレンテレフタレートであって、成形温度280℃でプリフォームに成形したときに、式1および式2を満たすポリエチレンテレフタレート。
ΔCT≦0.10重量% (式1)
Fe≦1.0ppm (式2)
(ΔCTはポリエチレンテレフタレートに含まれる環状オリゴマーの成形後増加量を表し、Feは成形後のポリエチレンテレフタレートに含まれる鉄原子の重量を示す。)
本発明のポリエチレンテレフタレートは、固有粘度が0.60dl/g以上の樹脂に適
切な量のリン原子を添加することで好適に得ることが出来る。すなわち、固有粘度が0.60dl/g以上のポリエチレンテレフタレートに、式3を満たす範囲でリン化合物を添加してリン原子含有ポリエチレンテレフタレートを得るのが好ましい製法である。
15ppm≦P≦150ppm (式3)
(Pは成形後のポリエチレンテレフタレートに含まれるリン原子の重量を示す。)
さらに本発明にはP−OH結合を有さないリン化合物を用いることが好ましく、下記構造式(1)〜(3)から選ばれるリン化合物を用いることが特に好ましい。
Figure 0004937508
Figure 0004937508
Figure 0004937508
(構造式中、R1〜R9はそれぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、または構造式(4)で示される芳香族置換基を表し、Xは炭素数1〜4のアルキレン基または、-(CH2)nCO2- [nは1〜4の整数]を表す。)
Figure 0004937508
(R10〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
本発明のポリエステル樹脂は、成形加工時の環状3量体やアセトアルデヒドの生成量が少なく、かつ成形および重合装置の腐食や、金属の混入による品質の低下も少ないため、高品質の中空成形容器を高い生産効率で提供することが可能となる。
(使用原料)
本発明に係るポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸と、エチレングリコールを原料として用いる。テレフタル酸はモノアルコールとのエステルまたは酸無水物等、そのエステル形成性誘導体であっても良く、またエチレングリコールは1塩基酸とのエステルや脱水縮合物等、そのエステル形成性誘導体であっても良い。
本発明では、テレフタル酸とともに、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などを原料の一部として使用することができる。
また、エチレングリコールとともに、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール;ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類などの芳香族ジオールなどを原料として使用することができる。
さらに本発明では、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールや多塩基酸を原料として使用することができる。
またポリエチレンテレフタレートの色相を調節するために、色相調整剤を使用することができる。
(エステル化工程)
上記テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応により低次縮合物(エステル低重合体)を得る。この低次縮合物の数平均分子量が500〜5,000程度である。
エステル化工程は例えば特開2004−107382号に示す方法で行うことが出来る。エステル化反応は触媒の非存在下でも行うこともできるが、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物等の触媒の存在下に行ってもよい。
(液相重縮合工程)
エステル化工程で得られた低次縮合物を、減圧下で、かつポリエチレンテレフタレートの融点以上の温度(通常250〜290℃)に加熱することにより液相重縮合させる。この重縮合反応では、未反応のエチレングリコールを反応系外に留去させながら行われることが望ましい。液相重縮合工程は例えば特開2004−107382号に示す方法で行うことが出来る。
生産性の観点から、重縮合反応はゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物等の触媒の存在下に重縮合させることが好ましく、チタン化合物あるいはアルミニウム化合物を用いることが特に好ましい。チタン化合物あるいはアルミニウム化合物は単独で使用してもよく、両者を併用してもよい。また、チタン化合物あるいはアルミニウム化合物にアルカリ金属、アルカリ土類金属化合物を併用することもできる。
チタン化合物としては、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソポロポキシド等のチタンアルコキシド化合物、シュウ酸チタン、酢酸チタン、安息香酸チタン等のチタン有機酸塩、チタンアルコキシド化合物或いは四塩化チタンの加水分解反応物等を使用することができる。
本発明に好適に用いられるチタン触媒としては、チタンアルコキシド或いは四塩化チタンの加水分解生成物があげられ、特開2004−176033号、WO 2002/16467号パンフレット等にチタン化合物およびその調整方法が開示されている。
アルミニウム化合物としては、例えばアルミニウムメトキシド,アルミニウムエトキシド等のアルミニウムアルコキシド化合物、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウムナトリウムなどのアルミニウム塩などを使用することができる。
重縮合触媒として使用するチタン化合物、あるいはアルミニウム化合物量は、ポリエチレンテレフタレート樹脂中のチタン元素量あるいはアルミニウム元素量あるいはチタン元素とアルミニウム元素の合計量として、2〜30ppm、好ましくは2〜20ppmである。
上記重縮合触媒のほかに、触媒活性を調整する目的で、少量のリン化合物を触媒とともに添加することができる。ここで添加するリン化合物としては、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、リン酸メチルエステル、リン酸エチルエステル、リン酸プロピルエステル、リン酸ブチルエステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスホノ酢酸、ホスホノ酢酸エステル、亜リン酸、亜リン酸エステルなどのリン化合物を使用することができる。リン化合物の添加量は、ポリエチレンテレフタレートに残留するリン原子量として、1〜60ppmであり、好ましくは2〜40ppm、更に好ましくは3〜20ppmであることが好ましい。リン化合物量がこれよりも多いと、ポリエチレンテレフタレート樹脂の生産性を損なう。リン化合物量がこれよりも少ないと、ポリエチレンテレフタレートの熱安定性が低下し、樹脂が黄色味を帯びる等、品質低下を誘発する。
(予備結晶化工程)
液相重縮合工程により得られるポリエチレンテレフタレートは通常粒状、チップ状に成形され、所望によりさらに固相重縮合する。この際チップ同士の融着・固着を防ぐ為、あらかじめ固相重縮合を行う場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行ってもよい
このような予備結晶化工程は、粒状ポリエチレンテレフタレートを乾燥状態で通常、120〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度に1分から4時間加熱することによって行うことができる。またこのような予備結晶化は、粒状ポリエチレンテレフタレートを水蒸気雰囲気、水蒸気含有不活性ガス雰囲気下、または水蒸気含有空気雰囲気下で、120〜200℃の温度で1分間以上加熱することによって行うこともできる。
予備結晶化工程は特開平10−139873号にその詳細が記載されている。
(固相重縮合工程)
この液相重縮合工程で得られるポリエチレンテレフタレートは、固相重縮合工程により更に重合度を上昇させることができる。固相重縮合工程は例えば特開2004−107382号に示す方法で行うことが出来る。
固相重縮合工程は、温度が190〜230℃、好ましくは195〜225℃であり、圧力が0.2〜0.001MPa(1kg/cm2 G〜10Torr)、好ましくは常圧から0.01MPa(100Torr)の条件下で、窒素、アルゴン、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行われる。使用する不活性ガスとしては窒素ガスが望ましい。
このようにして得られた粒状ポリエチレンテレフタレートの固有粘度は通常0.60〜1.00dl/g、好ましくは0.70〜0.90dl/gであることが望ましい。固相重合後の樹脂に含まれるCT量は、0.55重量%以下、好ましくは0.45重量%以下であり、更に好ましくは0.35重量%以下であることが望ましい。
(リン化合物)
本発明のポリエチレンテレフタレートは、溶融成形時のCT増加を低減する目的で、液相重縮合工程で重合触媒とともに添加するリン化合物とは別に、特定のリン化合物を添加する。添加する時期は特に制限されないが、実質的に液相重縮合が終了して以降の任意の段階で添加するのが好ましく、特に固相重合により固有粘度を0.70dl/g以上とした後、溶融成形前にリン化合物を添加すると、重縮合の生産性を損なうことなくかつ溶融成形で生じるCTの発生を低減できるため好ましい。
リン化合物はP−OH結合を有さないものが好ましく、前記(1)〜(3)から選ばれるリン化合物を用いることが特に好ましい。P−OH結合を有するリン化合物を用いると、成形装置ないし重合装置の腐食、およびそれに伴う装置由来の金属混入を引き起こし、ポリエチレンテレフタレートの品質を損なうことがある。
(量比)
本発明のポリエチレンテレフタレートはリン化合物をポリエステル成形体中のリン量として、リン原子量として15〜150ppmの割合で含有することが好ましい。リン化合物が同範囲にあると、CTおよびアセトアルデヒドの生成を抑制することができる。リン化合物量がこれよりも少ないとCT生成抑制効果が不十分となる。リン化合物量がこれよりも多いと、溶融成形時の固有粘度の低下やボトル外観不良を生じることがあり、好ましくない。
(添加方法)
リン化合物を添加する方法は特に制限されず、ベース樹脂に直接リン化合物を混合してもかまわないが、高濃度でリン化合物を含有するマスターバッチ樹脂を製造し、これをベース樹脂と混練する方法を用いると、リン化合物を均一に分散できるので好ましい。
マスターバッチとベース樹脂を混合する時期は特に制限されず、液相重縮合後でも固相重縮合後でもよく、液相重縮合後に予備結晶化行程を経る場合はその後でも構わない。ベース樹脂を固相重縮合後にマスターバッチとドライブレンドし、成形に供する方法が生産性
の観点からは好ましい。
(水分量)
本発明のポリエチレンテレフタレートを製造するにあたって、固有粘度0.60dl/g以上の樹脂に添加するリン化合物の添加は、水分濃度500ppm以下の状態で実施することが望ましい。水分が500ppmを超えると、リン化合物の加水分解により酸性官能基を生じ、成形装置材質から腐食鉄分の混入量が増加し、成形装置の耐久性低下や、ポリエチレンテエフタレートの品質低下を伴うため好ましくない。
(酸量)
本発明のポリエチレンテレフタレートは、高濃度リン化合物含有ポリエステル(B)に含まれる酸成分量〔B〕と高濃度リン化合物を配合する前のポリエステル(A)に含まれる酸成分量〔A〕との酸成分量の差〔B〕−〔A〕が10当量/トン以下であることが好ましい。酸成分量の差〔B〕−〔A〕が10当量/トン以下であると成形および重合装置の腐食が抑えられ、金属種の混入による品質の低下も少ないので好ましい。(実施例)
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
(元素分析)
リンの定量:シート状に溶融成形したポリエチレンテレフタレートを用いて、蛍光X線分析により、ポリエチレンテレフタレートに含まれるリン元素を定量した。
金属元素の定量:乾式灰化法で試料を分解後、酸に溶解し、ICP発光分析でポリエチレンテレフタレートに含まれる金属元素を定量した。
(固有粘度 IV)
ポリエチレンテレフタレート0.5gをフェノール/テトラクロロエタン(1/1重量比)混合溶媒100mlに加熱溶解した後、冷却して25℃で測定された溶液粘度から固有粘度を算出した。
(酸成分の定量)
ポリエチレンテレフタレート0.5gをオルトクレゾール20mlに加熱溶解し、冷却後、クロロホルム3mlを加え、水酸化ナトリウム溶液で滴定してポリエチレンテレフタレートに含まれる酸成分を定量した。
(アセトアルデヒドの定量)
フリーザーミルを用いて冷凍粉砕したポリエチレンテレフタレート2.0gをバイアル瓶に投入して内部標準物質(アセトン)と水を入れて密栓し、120±2℃の乾燥機で1時間加熱した。冷却後、上澄み液をガスクロマトグラフィー(島津製作所(株)製GC−6A)にて測定し、ポリエチレンテレフタレートに含まれるアセトアルデヒド量として算出した。
(環状3量体オリゴマー(CT)の定量)
ポリエチレンテレフタレート0.1gをオルトクロロフェノールに溶解した後、テトラヒドロフランで再析出して濾過して線状ポリエステルを除いた後、濾液を液体クロマトグラフィー(島津製作所製LC7A)に供給してポリエチレンテレフタレートに含まれる環状3量体オリゴマーを定量した。
(射出成形プレートの透明性 Haze)
ポリエチレンテレフタレートを、除湿エア−乾燥機を用いて170℃で、4時間乾燥した
。乾燥後のポリエチレンテレフタレート中の水分量は50ppm以下であった。乾燥したポリエチレンテレフタレートを、射出成型機(株式会社名機製作所製M−70B)を用いて、シリンダー設定温度285℃、成形サイクル60秒で成形、厚さ5mmのプレートを得た。得られたプレートはヘイズメーター(日本電色(株)製NDH−20D)を用いてHaze値を測定した。
(プリフォームの成形)
ポリエチレンテレフタレートを、除湿エア−乾燥機を用いて170℃で、4時間乾燥した。乾燥後のポリエチレンテレフタレート中の水分量は50ppm以下であった。乾燥したポリエチレンテレフタレートを、射出成型機(日精樹脂工業株式会社ES600)を用いて、シリンダー設定温度280℃、成形サイクル60秒、成型機シリンダー内樹脂の滞留時間約240秒で重量32gのプリフォームを成形した。
(ΔCT)
上記記載の方法で成形したプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマー量(重量%)から成形原料樹脂に含まれる環状3量体(重量%)の量を引いた値をΔCTとした。リン化合物を高濃度リン化合物含有マスターペレットとしてベース樹脂にドライブレンドした樹脂組成物を成形原料とした場合には、マスターペレットに含まれる環状3量体とベース樹脂に含まれる環状3量体の重量平均値をもって、成形原料の環状3量体量(重量%)とした。
(ポリエチレンテレフタレート樹脂の製造)
33500重量部の反応液が滞留するエステル化反応器内に、撹拌下、窒素雰囲気で260℃、0.9kg/cm G(0.09MPaG)に維持された条件下に、6458重量部/時の高純度テレフタル酸と2615重量部/時のエチレングリコールとを混合して調製されたスラリーを連続的に供給し、エステル化反応を行った。このエステル化反応では、水とエチレングリコールとの混合液が留去された。
エステル化反応物(低次縮合物)は、平均滞留時間が3.5時間になるように制御して、連続的に系外に抜き出した。
上記で得られたエチレングリコールとテレフタル酸との低次縮合物の数平均分子量は、600〜1300(3〜5量体)であった。
系外へ抜き出したエステル化反応物(低次縮合物)に重縮合触媒とリン酸を加えて、重縮合反応器へ移送し、280℃,0.1kPa(1Torr)の条件下で生成するエチレングリコールを除去しながら、固有粘度0.55dl/gまで重縮合反応を実施した。溶融重合ポリエチレンテレフタレートは、連続的に系外へ抜き出し、チップ状に切断した。次いで、上記溶融重合ポリエチレンテレフタレートを使用して、固相重合を実施した。まず、窒素通気下170℃で2時間加熱し、チップ状ポリエステルを結晶化した後、窒素通気下、220℃で生成するエチレングリコールを除去しつつ固相重合反応を実施し、固有粘度0.78dl/gのポリエチレンテレフタレート(A)を得た。
(高濃度リン化合物含有ポリエステルの製造)
予め窒素雰囲気とした回転式ドラムに、水分含有量50ppm以下に乾燥したポリエチレンテレフタレート(A)を投入し、次いで水分含有量500ppm以下のリン化合物を所定量投入した後、窒素通気下、30分間ドラムを回転させ、ポリエチレンテレフタレートのペレット表面にリン化合物を付着させた。
リン化合物を付着させたポリエチレンテレフタレートは、吸湿しないよう、予め窒素雰囲気としたホッパーへ直ちに移送し、押出機(株式会社池貝製二軸押出機PCM−45)を使用して設定温度270℃で溶融混練した。リン化合物を溶融混合したポリエチレンテレフタレートは、チップ状に切断、冷却した後、窒素通気下170℃で2時間加熱結晶化し
、高濃度リン化合物含有ポリエチレンテレフタレート(B)を得た。
(ポリエステル重縮合触媒)
上記ポリエチレンテレフタレートを重合するに際して、重縮合触媒として、下記化合物を使用した。
(1)チタン触媒:下記に示す方法で作製した触媒を使用した。
脱イオン水500mlを氷浴にて冷却、後撹拌しながら四塩化チタン5gを滴下した。塩化水素の発生終了後、室温下で撹拌しながら25%アンモニア水でpHを9にした。次いで、室温下で攪拌しながら15%酢酸水溶液でpHを5に調整し、生成した沈殿物を採取した。沈殿物は水洗後、20重量%エチレングリコール含有水に30分間洗浄した。洗浄後の固形物を40℃、1.3kPa(10Torr)、20時間減圧乾燥後、10〜20μmの大きさに粉砕し、粒子状チタン化合物を得た。ICP分析法により測定した固体状チタン化合物中のチタン元素含有量は、35.4重量%であった。
次に、エチレングリコール100gに水酸化ナトリウムを1.74g溶解した溶液に、上記粉末状チタン化合物2.83gを添加し、120℃で30分間加熱溶解して、ポリエステル重合触媒溶液を作製した。ICP分析法により測定したこの溶液中のチタン元素含有量は、0.98重量%であった。
(2)アルミニウム触媒:アルミン酸ナトリウム(和光純薬株式会社製試薬1級)
および硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物(和光純薬株式会社製試薬特級)
(3)アンチモン触媒:酢酸アンチモン(Elf Atochem社製)
既述のチタン化合物、水酸化ナトリウムのエチレングリコール溶液を重縮合触媒に使用し、また重縮合触媒添加と同時にリン酸を添加して液相重縮合することで固有粘度0.55dl/gのポリエチレンテレフタレートを得た。引き続き固相重合を実施して固有粘度0.78dl/gのポリエチレンテレフタレート(A−1)を得た。このポリエチレンテレフタレートに含まれるチタン元素量は12ppm,ナトリウム元素量は12ppm、リン元素量は5ppmであった。また、環状3量体オリゴマー量は0.30重量%、アセトアルデヒド量は1.0ppm、鉄元素量は0.1ppm以下、酸成分量は9当量/トンであった。
ポリエチレンテレフタレート(A−1)10kgに水分含有量100ppmのベンジルホスホン酸ジエチルエステル44gを配合し、押出機で溶融混合後、結晶化して高濃度リン化合物含有ポリエチレンテレフタレート(B−1)を得た。高濃度リン化合物含有ポリエチレンテレフタレート(B−1)の固有粘度は0.74dl/g、リン元素含有量は600ppm、環状3量体含有量は、0.32重量%、アセトアルデヒド含有量は5ppm、酸成分量は11当量/トン、鉄元素含有量は0.2ppmであった。
チップ状ポリエチレンテレフタレート(A−1)90重量%にチップ状の高濃度リン化合物含有ポリエチレンテレフタレート(B−1)10重量%を混合し、プリフォームを成形した。得られたプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマーは、0.33重量%と少なく、アセトアルデヒド含有量も20ppmと少なかった。また鉄元素含有量は0.1ppm以下であった。
同様にポリエチレンテレフタレート(A−1)90重量%と高濃度リン化合物含有ポリエチレンテレフタレート(B−1)10重量%からなるポリエステル組成物から厚さ5mmのプレートを成形し、プレートのHaze値を測定した。得られたプレートのHaze値は9%であり、透明性は良好であった。
実施例1に記載したポリエチレンテレフタレート(A−1)10kgに、水分含有量100ppmのホスホノ酢酸トリエチル87gを添加して、実施例1と同様の方法で高濃度リン化合物含有ポリエチレンテレフタレート(B−2)を作製した。高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−2)の固有粘度は0.73dl/g、リン元素含有量は1200ppm、環状3量体含有量は、0.32重量%、アセトアルデヒド含有量は6ppm、酸成分量は10当量/トン、鉄元素含有量は0.2ppmであった。
チップ状ポリエチレンテレフタレート(A−1)90重量%にチップ状の高濃度リン化合物含有ポリエチレンテレフタレート(B−2)10重量%を混合し、プリフォームとプレートを各々成形した。得られたプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマーは、0.31重量%と少なく、アセトアルデヒド含有量も18ppmと少なかった。また鉄元素含有量は0.1ppm以下であった。プレートHaze値は9%であり、透明性は良好であった。
実施例1に記載したポリエステル(A−1)10kgに、水分含有量50ppmのホスホノ酢酸トリエチレングリコール105gを添加して、実施例1と同様の方法で高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−3)を作製した。高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−3)の固有粘度は0.73dl/g、リン元素含有量は1200ppm、環状3量体含有量は、0.32重量%、アセトアルデヒド含有量は6ppm、酸成分量は10当量/トン、鉄元素含有量は0.5ppmであった。
チップ状ポリエステル(A−1)90重量%にチップ状の高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−3)10重量%を混合し、プリフォームとプレートを各々成形した。得られたプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマーは、0.31重量%と少なく、アセトアルデヒド含有量も17ppmと少なかった。また鉄元素含有量は0.2ppmであった。プレートHaze値は10%であり、透明性は良好であった。
実施例1に記載したポリエステル(A−1)10kgに、水分含有量50ppmの(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル)ホスホン酸ジエチルエステル138gを添加して、実施例1と同様の方法で高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−4)を作製した。高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−4)の固有粘度は0.73dl/g、リン元素含有量は1200ppm、環状3量体含有量は、0.33重量%、アセトアルデヒド含有量は7ppm、酸成分量は10当量/トン、鉄元素含有量は0.1ppmであった。
チップ状ポリエステル(A−1)90重量%にチップ状の高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−4)10重量%を混合し、プリフォームとプレートを各々成形した。得られたプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマーは、0.33重量%と少なく、アセトアルデヒド含有量も20ppmと少なかった。また鉄元素含有量は0.1ppm以下であった。プレートHaze値は9%であり、透明性は良好であった。
実施例1に記載したポリエステル(A−1)10kgに、水分含有量50ppmのリン酸トリエチル70gを添加して、実施例1と同様の方法で高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−5)を作製した。高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−5)の固有粘度は0.73dl/g、リン元素含有量は1200ppm、環状3量体含有量は、0.32重
量%、アセトアルデヒド含有量は7ppm、酸成分量は10当量/トン、鉄元素含有量は0.2ppmであった。
チップ状ポリエステル(A−1)90重量%にチップ状の高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−5)10重量%を混合し、プリフォームとプレートを各々成形した。得られたプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマーは、0.33重量%と少なく、アセトアルデヒド含有量も19ppmと少なかった。また鉄元素含有量は0.1ppm以下であった。プレートHaze値は8%であり、透明性は良好であった。
既述のチタン触媒と硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物のエチレングリコール混合溶液を重縮合触媒に使用し、重縮合触媒添加と同時にリン酸を添加してポリエステルを重合し、固有粘度0.78dl/gの固相重合ポリエステル(A−2)を得た。このポリエステルに含まれるチタン元素量は6ppm,アルミニウム元素量は7ppm、ナトリウム元素量は7ppm、リン元素量は5ppmであった。また、ポリエステル中の環状3量体オリゴマー量は0.34重量%、アセトアルデヒド量は1.2ppm、鉄元素量は0.1ppm以下、酸成分量は8当量/トンであった。
このポリエステル(A−2)10kgに水分含有量50ppmのホスホノ酢酸トリエチル87gを配合し、押出機で溶融混合後、結晶化して高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−6)を得た。高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−6)の固有粘度は0.74dl/g、リン元素含有量は1200ppm、環状3量体含有量は、0.36重量%、アセトアルデヒド含有量は7ppm、酸成分量は11当量/トン、鉄元素含有量は0.1ppmであった。
チップ状ポリエステル(A−2)90重量%にチップ状の高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−6)10重量%を混合し、プリフォームとプレートを各々成形した。得られたプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマーは、0.36重量%と少なく、アセトアルデヒド含有量も20ppmと少なかった。また鉄元素含有量は0.1ppm以下であった。プレートHaze値は10%であり、透明性は良好であった。
既述のチタン触媒とアルミン酸ナトリウムのエチレングリコール混合溶液を重縮合触媒に使用し、重縮合触媒添加と同時にリン酸を添加してポリエステルを重合し、固有粘度0.78dl/gの固相重合ポリエステル(A−3)を得た。このポリエステルに含まれるチタン元素量は6ppm,アルミニウム元素量は7ppm、ナトリウム元素量は7ppm、リン元素量は5ppmであった。また、ポリエステル中の環状3量体オリゴマー量は0.30重量%、アセトアルデヒド量は1.0ppm、鉄元素量は0.1ppm以下不検出、酸成分量は9当量/トンであった。
このポリエステル(A−3)10kgに水分含有量50ppmのホスホノ酢酸トリエチル87gを配合し、押出機で溶融混合後、結晶化して高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−7)を得た。高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−7)の固有粘度は0.74dl/g、リン元素含有量は1200ppm、環状3量体含有量は、0.32重量%、アセトアルデヒド含有量は5ppm、酸成分量は11当量/トン、鉄元素含有量は0.1ppmであった。
チップ状ポリエステル(A−3)90重量%にチップ状の高濃度リン化合物含有ポリエスポリエステル(B−7)10重量%を混合し、プリフォームとプレートを各々成形した。得られたプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマーは、0.33重量%と少なく、
アセトアルデヒド含有量も18ppmと少なかった。また鉄元素含有量は0.1ppm以下であった。プレートHaze値は9%であり、透明性は良好であった。
ポリエステル原料のジカルボン酸成分として、イソフタル酸をテレフタル酸98モル%に対して2モル%となるよう使用し、重縮合触媒として酢酸アンチモンを使用し、重縮合触媒添加と同時にリン酸を添加してポリエステルを重合して溶融重縮合を実施して、固有粘度0.60dl/gのポリエステルを得た。この溶融重合ポリエステルを結晶化後、固相重合を実施し、固有粘度0.83dl/gの固相重合ポリエステル(A−4)を得た。このポリエステルに含まれるアンチモン元素量は200ppm、リン元素量は10ppmであった。また、ポリエステル中の環状3量体オリゴマー量は0.37重量%、アセトアルデヒド量は1.0ppm、鉄元素量は0.1ppm以下、酸成分量は9当量/トンであった。
このポリエステル(A−4)10kgに水分含有量50ppmのホスホノ酢酸トリエチル87gを配合し、押出機で溶融混合後、結晶化して高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−8)を得た。高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−8)の固有粘度は0.78dl/g、リン元素含有量は1200ppm、環状3量体含有量は、0.38重量%、アセトアルデヒド含有量は5ppm、酸成分量は11当量/トン、鉄元素含有量は0.1ppmであった。
チップ状ポリエステル(A−4)90重量%にチップ状の高濃度リン化合物含有ポリエスポリエステル(B−8)10重量%を混合し、プリフォームとプレートを各々成形した。得られたプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマーは、0.39重量%と少なく、アセトアルデヒド含有量も18ppmと少なかった。また鉄元素含有量は0.1ppmであった。プレートHaze値は3%であり、透明性は良好であった。
実施例1に記載したポリエステル(A−1)10kgに、水分含有量50ppmのホスホノ酢酸トリエチル87gを添加した後、押出機による溶融混合は実施せず、ホスホン酸トリエチルをチップ状ポリエステル(A−1)の表面に付着させたもの(B−9)を使用してプリフォーム、プレートを各々成形した。
チップ状ポリエステル(A−1)90重量%にチップ状の高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−9)10重量%を混合して成形したプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマーは、0.31重量%と少なく、アセトアルデヒド含有量も17ppmと少なかった。また鉄元素含有量は0.1ppm以下であった。プレートHaze値は5%であり、透明性は良好であった。
実施例1に記載したポリエステル(A−1)10kgに、水分含有量50ppmのホスホン酸トリエチル4.4gを添加した後、押出機による溶融混合は実施せず、ホスホン酸トリエチルをチップ状ポリエステル(A−1)の表面に付着させたもの(B−10)を使用してプリフォーム、プレートを各々成形した。
チップ状ポリエステル(A−1)は使用せず、高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−10)のみで成形したプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマーは、0.31重量%と少なく、アセトアルデヒド含有量も17ppmと少なかった。また鉄元素含有量は0.1ppm以下であった。プレートHaze値は5%であり、透明性は良好であった。
(比較例1)
高濃度リン化合物含有ポリエステルを配合せず、実施例1に記載したポリエステル(A−1)のみでプリフォーム成形した。得られたプリフォームの環状3量体オリゴマー量は、0.42重量%と多く、アセトアルデヒド量も40ppmと非常に多かった。
(比較例2)
実施例1に記載したポリエステル(A−1)10kgに、リン酸モノブチル30gを添加して、実施例1と同様の方法で高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−11)を作製した。高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−11)の固有粘度は0.73dl/g、リン元素含有量は600ppm、環状3量体含有量は、0.31重量%、アセトアルデヒド含有量は6ppmであった。酸成分量は53当量/トンと多く、鉄元素含有量は100ppmと非常に多かった。
チップ状ポリエステル(A−1)90重量%にチップ状の高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−11)10重量%を混合し、プリフォームとプレートを各々成形した。得られたプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマーは、0.32重量%と少なく、アセトアルデヒド含有量も17ppmと少なかったが、鉄元素含有量が12ppmと多く、装置材質からの鉄の溶出が認められた。プレートHaze値は15%と高くなり、透明性が悪かった。
(比較例3)
高濃度リン化合物含有ポリエステルの作製に使用するリン化合物としてリン酸を使用した以外は比較例2と同様の方法で高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−12)を作製した。得られたポリエステル(B−12)の固有粘度は0.72dl/g、リン元素含有量は600ppm、環状3量体含有量は、0.32重量%、アセトアルデヒド含有量は6ppmであった。酸成分量は75当量/トンと多く、鉄元素含有量は90ppmと非常に多かった。
チップ状ポリエステル(A−1)90重量%にチップ状の高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−12)10重量%を混合し、プリフォームとプレートを各々成形した。得られたプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマーは、0.31重量%と少なく、アセトアルデヒド含有量も17ppmと少なかったが、鉄元素含有量が11ppmと多く、装置材質からの鉄の溶出が認められた。プレートHaze値は17%と高くなり、透明性が悪かった。
(比較例4)
高濃度リン化合物含有ポリエステルの作製に使用するリン化合物として水分含有量が5000ppmのホスホン酸トリエチレングリコールを使用した以外は実施例3と同様の方法で高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−13)を作製した。得られたポリエステル(B−13)の固有粘度は0.70dl/g、リン元素含有量は1200ppm、環状3量体含有量は、0.32重量%、アセトアルデヒド含有量は6ppmであった。酸成分量は50当量/トンと多く、鉄元素含有量は80ppmと非常に多かった。
チップ状ポリエステル(A−1)90重量%にチップ状の高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−13)10重量%を混合し、プリフォームとプレートを各々成形した。得られたプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマーは、0.31重量%と少なく、アセトアルデヒド含有量も17ppmと少なかったが、鉄元素含有量が10ppmと多く、装置材質からの鉄の溶出が認められた。プレートHaze値は15%と高くなり、透明性が悪かった。
(比較例5)
高濃度リン化合物含有ポリエステルの作製に使用するリン化合物としてリン酸水素ナトリウムを使用した以外は比較例2と同様の方法で高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−14)を作製した。得られたポリエステル(B−14)の固有粘度は0.73dl/g、リン元素含有量は600ppm、環状3量体含有量は、0.40重量%、アセトアルデヒド含有量は15ppm、酸成分量は10当量/トン、鉄元素含有量は0.1ppm以下であった。
チップ状ポリエステル(A−1)90重量%にチップ状の高濃度リン化合物含有ポリエステル(B−14)20重量%を混合し、プリフォームを各々成形した。得られたプリフォームに含まれる環状3量体オリゴマーは、0.43重量%、アセトアルデヒド含有量も40ppmであり、触媒の失活効果が認められなかった。
Figure 0004937508
Figure 0004937508

Claims (5)

  1. 固有粘度が0.60dl/g以上のポリエチレンテレフタレートに、水分含有量が500ppm以下であり且つP−OH結合を有さないリン化合物を添加して得られる、環状3量体オリゴマー(CT)含有量が0.55重量%以下であるポリエチレンテレフタレートであって、成形温度280℃でプリフォームに成形したときに、式1、式2および式3を満たすリン原子含有ポリエチレンテレフタレート。
    ΔCT≦0.10重量% (式1)
    Fe≦1.0ppm (式2)
    15ppm≦P≦150ppm (式3)
    (ΔCTはポリエチレンテレフタレートに含まれる環状3量体オリゴマーの成形時の増加量[重量%]を表し、Feは成形後のポリエチレンテレフタレートに含まれる鉄原子の重量[ppm]を示す。Pは成形後のポリエチレンテレフタレートに含まれるリン原子の重量[ppm]を示す。)
  2. 重縮合触媒としてアンチモン化合物またはチタン化合物を用いて製造された、請求項に記載のリン原子含有ポリエチレンテレフタレート。
  3. 添加するリン化合物が下記構造式(1)〜(3)の化合物から選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載のリン原子含有ポリエチレンテレフタレート。
    Figure 0004937508
    Figure 0004937508
    Figure 0004937508
    (構造式中、R1〜R9はそれぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、または下記構造式(4)で示される芳香族置換基を表し、Xは炭素数1〜4のアルキレン基または、-(CH2nCO2- [nは1〜4の整数]を表す。)
    Figure 0004937508
    (R10〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
  4. テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体、およびエチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体を原料として、エステル化工程および重縮合工程により、固有粘度が0.60dl/g以上のポリエチレンテレフタレートを製造し、
    該ポリエチレンテレフタレートに、水分含有量が500ppm以下であり且つP−OH結合を有さないリン化合物を、リン原子含有量が式3を満たす範囲で添加した後に、
    射出成形もしくは中空成形を行う
    ことを特徴とするポリエチレンテレフタレート成形体の製造方法。
    15ppm≦P≦150ppm (式3)
    (Pは成形後のポリエチレンテレフタレートに含まれるリン原子の重量[ppm]を示す。)
  5. 重縮合工程が液相重縮合工程および固相重縮合工程を含み、重縮合触媒としてアンチモン化合物またはチタン化合物を用いる、請求項に記載のポリエチレンテレフタレート成形体の製造方法。
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