JP4937157B2 - 含フッ素オリゴマー付加アルコキシシラン及びその製造方法 - Google Patents
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Description
項1.
下記の一般式(1)で示される含フッ素オリゴマー付加アルコキシシラン。
重量平均分子量が2,000〜50,000の項1の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシラン。
項3.
nとm+p+qの割合が、0.2≦n/(m+p+q)≦5.0であり、mとm+pの割合が、0≦m/(m+p)≦1.0であり、qとn+m+pの割合が、0≦q/(n+m+p)≦5.0である項1または2の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシラン。
項4.
上記一般式(1)のR1が炭素数2〜30の二価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりエーテル結合、エステル結合、アミド結合またはアリール基を有していてもよい。)である項1、2または3の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシラン。
項5.
上記一般式(1)のR2が炭素数2〜50の二価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりエーテル結合、エステル結合またはアリール基を有していてもよい。)である項1、2または3の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシラン。
項6.
上記一般式(1)のR3が炭素数1〜30の一価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりエーテル結合、エステル結合またはアリール基を有していてもよい。)である項1、2または3の含フッ素アルコキシシラン。
項7.
下記の一般式(4)の水酸基含有含フッ素オリゴマーに一般式(5)の末端にイソシアネート基を有するアルコキシシラン化合物を有機溶剤中でアルカリ性触媒を用いて反応することを特徴とする項1、2、3、4、5または6の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシランの製造方法。
項8.
前記水酸基含有含フッ素オリゴマーの水酸基に対し、末端にイソシアネート基を有するアルコキシシラン化合物を10〜100モル%用いて反応させることを特徴とする項7の製造方法。
−(CH2)n2OCOC6H4− (n2=2〜10)
−(CH2)n3C6H4− (n3=1〜10)
−(CH2CH2O)n4CH2CH2− (n4=1〜10)
−(CH2CH2O)n5COC6H4− (n5=1〜10)
一般式(1)中のR2は、炭素原子数が1〜100、好ましくは、炭素原子数が2〜50の二価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又はアリール基を有していてもよい。)である。
−(CH2CH2O)n7CH2CH2− (n7=1〜20)
−(CH2CH2CH2O)n8CH2CH2CH2− (n8=1〜10)
一般式(1)中のR3は、炭素原子数が1〜50、好ましくは、炭素原子数が1〜30の一価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりハロゲン原子、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又はアリール基を有していてもよい。)又はアリール基である。
−(CH2CH2O)n10CH3 (n10=1〜10)
反応に用いられる末端にイソシアネート基を有する一般式(5)のアルコキシシラン化合物としては、具体的に以下の化合物が挙げられる。
OCNCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3
反応に用いる好ましい有機溶媒としては、非プロトン性溶媒であり、特に限定されないが、例えば酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましく例示される。
CH2=CR5−COO−R1−O−Rf (4A)
(式中、R5、R1及びRfは、前記に定義されるとおりである)
で表される含フッ素モノマー、下記式(4B)
CH2=CR6−COO−R2−OH (4B)
(式中、R6及びR2は、前記に定義されるとおりである)
で表される水酸基含有モノマー、下記式(4C)
CH2=CR7−COO−R3 (4C)
(式中、R7及びR3は、前記に定義されるとおりである)
で表されるエステル系モノマーを、n:m:qの比率で混合し、重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイルなど)を適量加えて、溶媒の存在下に室温から100℃程度の温度で1〜24時間程度反応させることにより、有利に進行する。
合成例1
滴下ロートを備えた三つ口フラスコ(3L)内に、4−ヒドロキシブチルアクリレート259.5g(1.8mol)、トリエチルアミン218.6g(2.16mol)、アセトニトリル1000gを入れた。滴下ロートにヘキサフルオロプロペントリマー973.0g(2.16mol)を入れフラスコ内の溶液中へ約60分間かけて攪拌下で徐々に滴下した。滴下終了後、室温で攪拌をさらに3時間続行した。
滴下ロートを備えた三つ口フラスコ(3L)内に、2−ヒドロキエチルメタクリレート130.1g(1.0mol)、トリエチルアミン111.1g(1.1mol)、酢酸エチル600gを入れた。滴下ロートに次式(7)で表される含フッ素酸クロライド586.5g(1.0mol)、酢酸エチル100gを入れフラスコ内の溶液中へ約60分間かけて攪拌下で徐々に滴下した。滴下終了後、室温で攪拌をさらに3時間続行した。
冷却管を備えた三つ口フラスコ(2L)内に、合成例1で合成した含フッ素アクリレート(6)287.1g(0.5mol)、日油社製ブレンマーAE−400(HO(CH2CH2O)10C(=O)CH=CH2)、256.1g(0.5mol)、酢酸エチル543.2g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.8g(29.3mmol)、ラウリルメルカプタン41.5g(204.8mmol)を入れた。反応溶液中に窒素ガスを導入し、反応容器内を窒素置換した。窒素置換後、反応溶液を撹拌しながら反応溶液を80℃まで加熱し反応を開始した。その後80℃で撹拌を14時間続行した。反応の終了を1H−NMRの、それぞれのアクリレート特有のピークの消失で確認した。目的の水酸基含有含フッ素オリゴマーが定量的(収量1132.7g、50質量%酢酸エチル溶液)に得られた。
合成例4
冷却管を備えた三つ口フラスコ(200mL)内に、合成例1で合成した含フッ素アクリレート(6)28.71g(0.05mol)、4−ヒドロキシブチルアクリレート21.64g(0.15mol)、酢酸エチル51.02g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.96g(5.85mmol)、ラウリルメルカプタン8.91g(43.88mmol)を入れた。反応溶液中に窒素ガスを導入し、反応容器内を窒素置換した。窒素置換後、反応溶液を撹拌しながら反応溶液を80℃まで加熱し反応を開始した。その後80℃で撹拌を14時間続行した。反応の終了を1H−NMRの、それぞれのアクリレート特有のピークの消失で確認した。目的の水酸基含有含フッ素オリゴマーが定量的(収量111.24g、50質量%酢酸エチル溶液)に得られた。
合成例5
冷却管を備えた三つ口フラスコ(200mL)内に、合成例2で合成した含フッ素メタクリレート(8)34.17g(0.05mol)、4−ヒドロキシブチルアクリレート7.27g(0.05mol)、酢酸エチル41.45g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.48g(2.93mmol)、ラウリルメルカプタン4.14g(20.48mmol)を入れた。反応溶液中に窒素ガスを導入し、反応容器内を窒素置換した。窒素置換後、反応溶液を撹拌しながら80℃まで加熱し反応を開始した。その後80℃で撹拌を14時間続行した。反応の終了を1H−NMRの、それぞれのアクリレート、メタクリレート特有のピークの消失で確認した。目的の水酸基含有含フッ素オリゴマーが定量的(収量87.51g、50質量%酢酸エチル溶液)に得られた。
合成例6
冷却管を備えた三つ口フラスコ(200mL)内に、合成例1で合成した含フッ素アクリレート(6)17.22g(0.03mol)、日油社製ブレンマーAE−400、15.38g(0.03mol)、日油社製ブレンマーLA(CH3(CH2)11OC(=O)CH=CH2)、14.42g(0.06mol)、酢酸エチル47.12g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.58g(3.51mmol)、ラウリルメルカプタン3.56g(17.55mmol)を入れた。反応溶液中に窒素ガスを導入し、反応容器内を窒素置換した。窒素置換後、反応溶液を撹拌しながら反応溶液を80℃まで加熱し反応を開始した。その後80℃で撹拌を14時間続行した。反応の終了を1H−NMRの、それぞれのアクリレート特有のピークの消失で確認した。目的の水酸基含有含フッ素オリゴマーが定量的(収量98.28g、50質量%酢酸エチル溶液)に得られた。
合成例7
冷却管を備えた三つ口フラスコ(2L)内に、合成例1で合成した含フッ素アクリレート(6)258.88g(0.45mol)、日油社製ブレンマーAE−400、23.093g(0.45mol)、酢酸エチル490.81g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.32g(26.3mmol)、ラウリルメルカプタン11.75g(57.92mmol)を入れた。反応溶液中に窒素ガスを導入し、反応容器内を窒素置換した。窒素置換後、反応溶液を撹拌しながら反応溶液を80℃まで加熱し反応を開始した。その後80℃で撹拌を14時間続行した。反応の終了を1H−NMRの、それぞれのアクリレート特有のピークの消失で確認した。目的の水酸基含有含フッ素オリゴマーが定量的(収量996.69g、50質量%酢酸エチル溶液)に得られた。
窒素置換を行ったナスフラスコ(50ml)内に、酢酸エチルで50質量%に調製した、合成例3で合成した水酸基含有含フッ素オリゴマー[前記の化合物(4)R1が−(CH2)4−、R2が、−(CH2CH2O)9CH2CH2−、R5及びR6がH、qが0、m/nが1である化合物]20.00g、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート1.24g及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.01gを入れた。その後、室温で反応溶液の攪拌を24時間続行した。反応の終了をFT−IRを用いて確認した。目的の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシランが定量的(収量21.25g)で得られた。合成した含フッ素オリゴマー付加アルコキシシランのFT−IRデータを表4に示す。
比較例1
実施例1で用いた酢酸エチルで50質量%に調製した、合成例3で合成した水酸基含有含フッ素オリゴマー[前記の化合物(4)R1が−(CH2)4−、R2が、−(CH2CH2O)9CH2CH2−、R5及びR6がH、qが0、m/nが1である化合物]を2.000g、硝酸0.075g、を秤量し2−プロパノール97.925g加え溶液を調製した。アセトンで脱脂したガラス板に調製した溶液を塗布した。塗布したガラス板を90℃で1時間処理した。処理後ガラス板を3M社製ノベックHFE7100に浸漬した。浸漬後のガラス板での水の接触角を協和界面科学社製DropMasterを用いて測定した。その測定結果を表5に示す。
実施例2
窒素置換を行ったナスフラスコ(50ml)内に、酢酸エチルで50質量%に調製した、合成例4で合成した水酸基含有含フッ素オリゴマー[前記の化合物(4)、R1が−(CH2)4−、R2が−(CH2)4−、R5及びR6がH、qが0、m/nが3である化合物]10.00g、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート1.06g及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.002gを入れた。その後、80℃で反応溶液の攪拌を36時間続行した。反応の終了をFT−IRを用いて確認した。目的の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシランが定量的(収量11.06g)に得られた。合成した含フッ素オリゴマー付加アルコキシシランのFT−IRデータを表4に示す。
実施例3
窒素置換を行ったナスフラスコ(50ml)内に、酢酸エチルで50質量%に調製した、合成例5で合成した水酸基含有含フッ素オリゴマー[前記の化合物(4)、R1が−(CH2)2OCOC6H4−、R2が−(CH2)4−、R5がCH3、R6がH、qが0、m/nが1である化合物]10.00g、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート0.78g及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.005gを入れた。その後、80℃で反応溶液の攪拌を12時間続行した。反応の終了をFT−IRを用いて確認した。目的の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシランが定量的(収量10.79g)に得られた。合成した含フッ素オリゴマー付加アルコキシシランのFT−IRデータを表4に示す。
実施例4
窒素置換を行ったナスフラスコ(50ml)内に、酢酸エチルで50質量%に調製した、合成例6で合成した水酸基含有含フッ素オリゴマー[前記の化合物(4)、R1が−(CH2)4−、R2が−(CH2CH2O)9CH2CH2−、R3が−(CH2)11−CH3、R5、R6及びR7がH、(m+q)/nが3、q/mが2である化合物]20.00g、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート0.82g及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.003gを入れた。その後、80℃で反応溶液の攪拌を6時間続行した。反応の終了をFT−IRを用いて確認した。目的の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシランが定量的(収量20.82g)に得られた。合成した含フッ素オリゴマー付加アルコキシシランのFT−IRデータを表4に示す。
実施例5
窒素置換を行ったナスフラスコ(50ml)内に、酢酸エチルで25質量%に調製した、合成例7で合成した水酸基含有含フッ素オリゴマー[前記の化合物(4)R1が−(CH2)4−、R2が、−(CH2CH2O)9CH2CH2−、R5及びR6がH、qが0、m/nが1である化合物]20.00g、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート0.49g及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.01gを入れた。その後、室温で反応溶液の攪拌を24時間続行した。反応の終了をFT−IRを用いて確認した。目的の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシランが定量的(収量20.50g)に得られた。合成した含フッ素オリゴマー付加アルコキシシランのFT−IRデータを表4に示す。
合成した含フッ素オリゴマー付加アルコキシシランを実施例1と同様に処理し、ガラス板での水の接触角を測定した。その測定結果を表5示す。
比較例2
比較例2として、アセトンで脱脂したのみのガラス板の水の接触角を協和界面科学社製DropMasterを用いて測定した。その測定結果を表5に示す。
Claims (8)
- 下記の一般式(1)で示される含フッ素オリゴマー付加アルコキシシラン。
- 重量平均分子量が2,000〜50,000の請求項1の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシラン。
- nとm+p+qの割合が、0.2≦n/(m+p+q)≦5.0であり、mとm+pの割合が、0≦m/(m+p)≦1.0であり、qとn+m+pの割合が、0≦q/(n+m+p)≦5.0である請求項1または2の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシラン。
- 上記一般式(1)のR1が炭素数2〜30の二価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりエーテル結合、エステル結合、アミド結合またはアリール基を有していてもよい。)である請求項1、2または3の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシラン。
- 上記一般式(1)のR2が炭素数2〜50の二価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりエーテル結合、エステル結合またはアリール基を有していてもよい。)である請求項1、2または3の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシラン。
- 上記一般式(1)のR3が炭素数1〜30の一価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりエーテル結合、エステル結合またはアリール基を有していてもよい。)である請求項1、2または3の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシラン。
- 下記の一般式(4)の水酸基含有含フッ素オリゴマーに一般式(5)の末端にイソシアネート基を有するアルコキシシラン化合物を有機溶剤中でアルカリ性触媒を用いて反応することを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6の含フッ素オリゴマー付加アルコキシシランの製造方法。
- 前記水酸基含有含フッ素オリゴマーの水酸基に対し、末端にイソシアネート基を有するアルコキシシラン化合物を10〜100モル%用いて反応させることを特徴とする請求項7の製造方法。
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