JP4937104B2 - たばこフィルター用素材及びたばこフィルター - Google Patents

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Description

本発明は、ニコチンやタールなどの喫味成分を保持しつつ、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に効率よく除去するのに有用なたばこフィルター用素材とその製造方法、並びにたばこフィルター用素材で構成されたたばこフィルターおよびこのたばこフィルターを備えたたばこに関する。
たばこ煙中の成分をろ過するための吸着体として種々の構成成分が提案されている。このような構成成分としては、酸性成分の吸着、ホルムアルデヒドの吸着などを目的としてアミン成分などの塩基性成分を添加するものが多く報告されている。例えば、特開昭59−88078号公報(特許文献1)、特開昭59−151882号公報(特許文献2)、および特開昭60−54669号公報(特許文献3)には、活性炭素にポリエチレンイミンや蒸気圧が低い脂肪族アミンを添着させたタバコ煙フィルター用吸着剤が開示され、特表2002−528105号公報(特許文献4)および特表2002−528106号公報(特許文献5)には、3−アミノプロピルシリルおよび関連原子団を共有結合したたばこフィルターが開示され、特表2003−505618号公報(特許文献6)にはアンモニウム塩を含む充填材が開示され、特開昭57−71388号公報(特許文献7)には、タバコの風味を向上させるためアミノ酸を添加することがそれぞれ開示されている。
しかし、上記のような塩基性成分の多く、特に合成高分子アミンは、分解や低分子量成分の残存により特有のアミン臭を呈することが多い。また、塩基性成分自体又はその中に含まれる揮発性物質は、揮発して人体に対して毒性を示すことが多い。なお、塩基性成分は、添着する際の液性を酸性側にすることにより、その揮発を抑制できるが、何らかの理由、例えば、他の塩基性物質との接触や加水分解などにより、遊離する虞がある。また、アミノ酸などは、多くの場合に結晶化し、揮発性も低いが、このような結晶状態では、吸着に対する活性が低く、十分な効果を期待できない。このように、通常の塩基性成分を用いた吸着体では、酸性物質やアルデヒドなどの除去にある程度有効であると考えられるものの、安全性やその効果に問題があり、たばこフィルター用吸着剤として実用的でなかった。
一方、このような塩基性物質のうち、キチンやキトサンなどのキトサン誘導体は、結晶化や揮発を生じることがなく、また、人体に対しても安全であり、抗菌性を有することが知られている。例えば、特開平11−100713号公報(特許文献8)には、キトサンを含有し、滅菌率が26%以上であるキトサン含有セルロースアセテート繊維が開示されている。この文献には、セルロースアセテートの溶剤にキトサンを所定の大きさ以下(最大粒子径3μm以下)に粉砕、分散させた分散液を添加又は混合する方法、直接キトサンを添加又は混合し、所定の分散条件によりキトサンの大きさを調整する方法などにより、キトサンを紡糸原液中に分散含有させることが記載されている。
また、このようなキチンやキトサン誘導体を用いたたばこフィルターも提案されている。例えば、特開昭53−142600号公報(特許文献9)には、タバコフィルター素材に対してキチンもしくはキチン誘導体を3重量%以上の割合で含有するタバコフィルターが開示されている。この文献には、キチンはポリNアセチルDグルコサミンであり、このキチンを含有させる方法として、キチンから得られる粉末を直接タバコフィルター素材に配合してもよくあるいはキチンを極性溶媒に溶解した後イソプロピルエーテル等の凝固液中に押出して繊維化あるいはフィルム化して得た繊維あるいはフィルムを配合してもよいことが記載されている。例えば、この文献の実施例1では、セルロースアセテート繊維束を空気で充分に開繊し、トリアセチンを6重量%均一に噴霧した後、このフィラメント表面が粘着性を有している間にこの繊維束に対してキチン粉末を3〜70重量%の割合で配合したことが記載されている。なお、この文献には、キチンおよびキチン誘導体はその構造にアセチル基を所有するために、特にアセテートフィルターに配合した場合、アセテートのアセチル基との相乗効果によって独特の軽い香喫味をタバコに与えることが記載されており、具体的には、実施例において、タールの除去率が34〜41%、ニコチンの除去率が28〜29%であり従来品と同等もしくはそれ以上であったことが記載されている。
特開昭60−168373号公報(特許文献10)には、キチン又はその誘導体(キチンのアセチルアミノ基の一部又は全部を脱アセチル化したキトサン、そのOH基やCHOH基がエーテル化、エステル化、ヒドロキシエチル化あるいはO−メチル化された化合物など)からなる繊維を素材とするタバコ用フィルターが開示されている。この文献には、前記繊維を製造する方法として、キチン又はその誘導体を溶剤に溶かしてドープとなし、このドープを湿式紡糸して繊維化する方法が好ましく用いられることが記載されている。この文献のたばこフィルターは、トリアセチルセルロースやレーヨンを素材としたフィルターに比べて使用中にタールやニコチンを吸着しやすく、従来のものに比べて1.5〜2倍以上の吸着付着能力を有している。
特開昭62−111679号公報(特許文献11)には、喫煙時における煙中の変異原物質を除去するために、多糖類イオン交換体や粉末状多糖類(セルロース、アガロース、アミロース、キチン、キトザンなど)を含有するたばこ用フィルター材が開示されている。この文献には、多糖類イオン交換体や粉末状多糖類をたばこ本体のフィルタとして、またアセテートフィルタの空間に分散またははさみ込む形状で使用できることが記載されている。
特開平7−31452号公報(特許文献12)には、キチンまたはキトサンを5〜100重量%有するたばこ用フィルターが開示されている。この文献には、キチン・キトサンは、単独で用いてもよく、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、ジルコニア、レーヨン、セルロース、蛋白質、合成樹脂の粉末もしくは繊維と混合して用いてもよいことが記載されている。また、この文献には、キチン・キトサン溶液を、例えば、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、ジルコニア、活性炭あるいは、レーヨン、綿、木材パルプなどのセルロース、デンプン、ゼラチン、カゼインなどの蛋白質、または、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロンなどの合成樹脂等の粉末もしくは繊維から成る基体に含浸させた後に乾燥して用いてもよいことが記載されている。この文献に記載のフィルターでは、たばこ煙中のニコチン・タールやアルデヒド類などの有害成分を効果的に吸着捕集できる。なお、前記キチン・キトサン粉末を使用する具体的な方法として、実施例3では、粉末状のキチン・キトサン80mgを紙筒に充填し、更に紙筒の両側をそれぞれコットン製不織布各10mgで覆い、フィルタチップを形成し、これに市販のハイライトの煙草部分を接続してフィルタチップを形成し、ニコチン捕集率70%、タール捕集率75%、アクロレイン捕集率96%のフィルターを得たことが記載されている。
なお、従来、ニコチンやタールがタバコ煙中の主な有害成分と考えられ、ニコチンやタールのデリバリーに関心がもたれ、多くの国でニコチンとタールの表示義務が課せられている。しかし、ニコチンそのものは、タバコの嗜好成分であり、喫煙の満足感に直接関与すると考えられる。また、タールについても、タバコ煙成分中のタール成分を相対的に高いレベルで除去することは、香喫味を損なうために好ましいことではない。すなわち、タールやニコチンを含めた揮発性の低い煙成分を無差別に除去すると、味が軽くなるとともに満足感が得られなくなる。一方、アルデヒド類、特にホルムアルデヒドは、刺激的な臭いを有すだけでなく、最近アレルギーの原因物質のひとつとして注目されているように、健康上好ましくない物質であり、極力除去することが好ましい。
従って、タバコ煙成分中のタールやニコチンの量を相対的に高いレベルに保ったまま、煙成分中のアルデヒド成分(特にホルムアルデヒド)のみを選択的に除去することが求められている。
しかし、上記のようなキチンやキトサン誘導体を用いたばこフィルターは、比較的人体に対して安全である一方で、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類だけでなく、ニコチンやタールなどの物質も多く除去してしまうため、喫味(又は香喫味)を損なう。
詳細には、キチンやキトサン誘導体などの粒子や繊維をたばこフィルターにそのまま用いた場合には、ホルムアルデヒドに対する選択吸着性は得られず、活性炭などと同様にホルムアルデヒドのみならず、タールやニコチンも多く吸着してしまう。その結果、タールやニコチンが少なくなり、喫煙者にとって喫味が物足りなくなり、喫煙者が意図しないうちに煙を深く吸い込んだり、また喫煙中に煙を吸い込む頻度が多くなったりする。
さらに、キトサンなどはそれ自身が固く脆い物であり、キトサンの繊維からなるフィルターでは、フィルターから脱落したキトサン繊維が人体に吸い込まれ呼吸器(例えば、気管支の鞭毛)を傷つけたりする可能性もある。また、前記特許文献12に記載されているように、たばこ用の煙フィルタとして常用されているセルロースアセテートのフィルターにキトサンの粒子を添加した場合でも、粒子が脱落し上記と同様に呼吸器(例えば、気管支の鞭毛)を傷つけたりする可能性がある。
このため、ホルムアルデヒドの選択吸着性を維持しつつ、タールやニコチンの吸着量が少ないたばこ煙用フィルターが求められていた。
特許文献1:特開昭59−88078号公報(特許請求の範囲)
特許文献2:特開昭59−151882号公報(特許請求の範囲)
特許文献3:特開昭60−54669号公報(特許請求の範囲)
特許文献4:特表2002−528105号公報(特許請求の範囲)
特許文献5:特表2002−528106号公報(特許請求の範囲)
特許文献6:特表2003−505618号公報(特許請求の範囲)
特許文献7:特開昭57−71388号公報(特許請求の範囲)
特許文献8:特開平11−100713号公報(特許請求の範囲、段落番号[0012])
特許文献9:特開昭53−142600号公報(特許請求の範囲、第2頁左上欄1行〜右上欄2行、実施例)
特許文献10:特開昭60−168373号公報(特許請求の範囲、第1頁右欄16行〜第2頁右上欄15行)
特許文献11:特開昭62−111679号公報(特許請求の範囲、第2頁左上欄1〜17行)
特許文献12:特開平7−31452号公報(特許請求の範囲、段落番号[0004][0006]、実施例)
従って、本発明の目的は、タールやニコチンなどの喫味(又は香喫味)成分を高レベルで保持しつつ、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を効率よく除去(又は低減)できるたばこフィルター用素材を提供することにある。
本発明の他の目的は、無臭かつ経口摂取しても安全で、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に除去するのに有用なたばこフィルター用素材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に除去できるたばこフィルター用素材を簡便にかつ効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、喫味を損なうことなく、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択除去できるたばこフィルターおよびこのたばこフィルターを備えたたばこを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、担体(トウ構造(フィルターロッド構造)の担体など)を、粉粒状のアミノ基を有する多糖類(キトサンなど)および分散媒(例えば、水、アルコール類などのヒドロキシル基を有する溶媒、トリアセチンなどの担体に対する可塑剤など)で構成された分散液で付着処理したたばこフィルター用素材では、前記アミノ基を有する多糖類のアミノ基に起因すると思われる化学的な吸着性能が発揮されるためか、タールやニコチンなどの喫味成分に対してアルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に吸着できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のたばこフィルター用素材(たばこ煙用フィルター素材)は、担体にアミノ基を有する多糖類が付着したたばこフィルター用素材であって、担体が、粉粒状のアミノ基を有する多糖類(アミノ基を有する多糖類の粒子)および分散媒(詳細には、この多糖類に対する分散媒)で構成された分散液で付着処理されている。前記担体は、トウ構造(フィルターロッド構造)を有する担体(又はトウ構造の担体、例えば、トウ構造のフィルター)であってもよく(又は前記フィルター素材は、トウ構造を有していてもよく、詳細には、前記フィルター素材は、フィラメントで構成され、トウ構造を有していてもよく)、前記アミノ基を有する多糖類は、キトサンであってもよい。なお、トウ構造とは、モノフィラメント繊維が、所定の束(例えば、3000〜100000本程度の束)で主煙流の通気方向に引きそろえられることにより形成される構造(フィルター構造)である。前記分散液において、粉粒状のアミノ基を有する多糖類の平均粒径は、0.1〜100μm(例えば、0.5〜50μm)程度であってもよく、また、前記分散液において、分散媒は、極性溶媒(特に、ヒドロキシル基を有する溶媒)および担体に対する可塑剤(例えば、トリアセチンなど、単に可塑剤ということがある)から選択された少なくとも1種であってもよい。前記ヒドロキシル基を有する溶媒は、水およびアルコール類から選択された少なくとも1種のヒドロキシル基を有する溶媒であってもよく、前記可塑剤は、ポリオール類(例えば、グリセリン、ポリグリセリンなど)の低級脂肪酸(例えば、酢酸などのC1−4アルカンカルボン酸)エステルであってもよい。前記分散媒は、付着処理後においても、担体に残存又は付着可能な保湿成分を含んでいてもよく、例えば、前記分散媒は、保湿成分としてのポリオール類[例えば、C2−6アルカンジオール、ジ乃至テトラC2−4アルキレングリコール、およびC3−10アルカントリオール(グリセリンなど)から選択された少なくとも1種など]を含んでいてもよい。
代表的な前記分散液には、例えば、平均脱アセチル化度70%以上で、かつ平均粒径1〜20μmのキトサンと、C3−6アルカントリオール(特に、グリセリン)とで少なくとも構成されている分散液などが含まれる。このような分散液は、水、アルカノール類、前記可塑剤などを含んでいてもよい。
本発明のたばこフィルター用素材は、前記担体に少なくとも前記アミノ基を有する多糖類が付着又は含有している。このような本発明のたばこフィルター用素材において、アミノ基を有する多糖類の付着量は、担体100重量部に対して、例えば、1〜100重量部程度であってもよい。
また、本発明のたばこフィルター用素材では、前記担体に分散媒が残存していてもよく、このような残存している分散媒は、前記分散液における分散媒の一部又は全部であってもよい。前記担体(又はたばこフィルター用素材)に、分散媒を含有又は残存させると、アルデヒド類(特にホルムアルデヒド)の選択除去性をより一層向上できる。このような分散媒の含有量は、例えば、担体100重量部に対して、0.5〜100重量部程度であってもよい。また、アミノ基を有する多糖類の付着量が、担体100重量部に対して1〜80重量部程度であり、分散媒の残存量が、アミノ基を有する多糖類100重量部に対して5〜400重量部程度であってもよい。特に、分散媒として前記保湿成分を用いると、付着処理後においても効率よく担体に分散媒を残存又は含有又は付着させることができ、例えば、前記たばこフィルター用素材において、残存している分散媒が、少なくとも保湿成分としてのポリオール類で構成されており、前記ポリオール類の残存量が、アミノ基を有する多糖類100重量部に対して、3〜200重量部程度であってもよい。
本発明のたばこフィルター用素材は、前記のように、担体を、粉粒状のアミノ基を有する多糖類および分散媒(多糖類を分散させるための分散媒)で構成された分散液で付着処理することにより製造できる。
また、本発明には、前記たばこフィルター用素材で構成されたたばこフィルターが含まれる。このようなたばこフィルターは、アルデヒド類(特にホルムアルデヒド)を効率よく選択除去(又は低減)できるので、本発明には、さらに、前記たばこフィルター用素材でたばこフィルターを構成することにより、前記たばこフィルターを通過(又は流通)するたばこ煙(詳細には、前記たばこフィルターを通過(又は流通)するたばこ煙、主流煙)中のアルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を低減する方法も含まれる。このような方法では、ニコチン、タールなどの喫味成分を高いレベルで保持でき、例えば、ニコチンおよびタールをそれぞれ保持率75%以上に保持しつつ、ホルムアルデヒド保持率を65%以下にすることができる。
また、本発明には、前記たばこフィルターを備えたたばこも含まれる。
なお、本明細書において、「キトサン」とは、キチン[β−1,4−ポリ−N−アセチル−D−グルコサミン、(C13NO]を、濃アルカリ溶液と加熱するなどの方法で得られる脱アセチル化物で、β−1,4−ポリ−D−グルコサミンなる高分子構造を少なくとも有する化合物である。
本発明では、粉粒状のアミノ基を有する多糖類と分散媒とを組みあわせ、分散液の形態で担体(セルロールエステル繊維のトウ構造の担体など)を付着処理するので、タールやニコチンなどの喫味(又は香喫味)成分を高レベルで保持しつつ、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を効率よく除去できる。また、本発明のたばこフィルター用素材では、キトサンなどのアミノ基を有する多糖類を使用するので、無臭かつ経口摂取しても安全で、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に除去するのに有用である。そのため、本発明のたばこフィルターで構成されたたばこフィルターでは、喫味を損なうことなく、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択除去できる。
発明の詳細な説明
本発明のたばこフィルター用素材(以下、単にフィルター素材、素材などということがある)は、担体が、粉粒状のアミノ基を有する多糖類および分散媒(詳細には、この多糖類に対する分散媒)で構成された分散液で付着処理されたたばこフィルター用素材であり、前記担体に少なくともアミノ基を有する多糖類(および分散媒)が付着している。
すなわち、アミノ基を有する多糖類(キトサンなど)は、通常、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)の除去に大きく関与するアミノ基が水素結合を形成しているためか、塩基性又は求核性が弱く、そのままたばこフィルター用素材やたばこフィルターとして用いても、アルデヒド類(特にホルムアルデヒド)の吸着性能を十分に発揮できない。
そこで、本発明では、粉粒状のアミノ基を有する多糖類と、前記分散媒とを組みあわせることにより、前記多糖類のアルデヒド類の除去性能(選択除去性)を向上させる。このようなアルデヒド類の選択除去(又は低減)性が向上する理由は定かではないが、本発明のたばこフィルター用素材では、このような前記多糖類と分散媒とを含む分散液を用いて担体を付着処理することにより、例えば、(a)粉粒状の形態を保持したままアミノ基を有する多糖類を担体に効率よく付着できる、(b)分散媒(および付着処理後の担体に残存する分散媒)の作用により、前記多糖類のアミノ基の水素結合を抑制又は緩和して、アミノ基をアルデヒド類の選択除去に有効に作用させることができる、(c)担体に付着するアミノ基を有する多糖類の表面積を大きくできる、(d)担体に付着するアミノ基を有する多糖類の付着力を大きくできる、(e)これら(a)〜(d)が相補的又は相乗的に作用するなどの効果が得られ、前記アミノ基を有する多糖類のアルデヒド類に対する選択除去性が有効に発揮されるものと考えられる。
[担体]
担体は、アミノ基を有する多糖類および分散媒を含む分散液で処理できればよく、担体の形状(又は構造)に応じて、例えば、天然又は合成繊維{例えば、セルロースエステル繊維(セルロースアセテート繊維など)、セルロース繊維[木材繊維(針葉樹、広葉樹などの木材パルプ繊維など)、種子毛繊維(例えば、リンターなどの綿花)、ジン皮繊維、葉繊維(例えば、マニラ麻、ニュージーランド麻など)など]、再生セルロース繊維(ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、硝酸人絹など)、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)など}などの繊維(又は繊維状物質)、粉粒状物質(例えば、活性炭、珪藻土、シリカゲル、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、ゼオライトなどの無機粒子、木屑、その他の天然又は合成高分子からなる粒子など)、蛋白質(ゼラチン、カゼインなど)などで構成できる。これらの担体の構成成分は、単独で又は2種以上組みあわせて担体を構成してもよい。
これらのうち、好ましい担体の構成成分としては、繊維(繊維状物質)、例えば、セルロースエステル繊維などが例示できる。セルロースエステル繊維において、セルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、混合脂肪酸エステル(セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレートなど)などの有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、燐酸セルロースなどの無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル;およびポリカプロラクトングラフト化セルロースアセテートなどのセルロースエステル誘導体などが挙げられる。これらのセルロースエステルは、単独でまたは二種以上混合して使用してもよい。これらのうち、好ましいセルロースエステルには、有機酸エステル(例えば炭素数2〜4程度の有機酸とのエステル)、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどが含まれるが、特にセルロースアセテート(特にセルロースジアセテート)が好ましい。
セルロースエステルの重合度(粘度平均重合度)は、通常10〜1000(例えば50〜1000)、好ましくは50〜900(例えば100〜800)、さらに好ましくは200〜800程度であってもよい。
また、セルロースエステル(特にセルロースアセテート)の置換度(平均置換度)は、例えば、1〜3(例えば、1〜2.9)程度の範囲から選択でき、好ましくは1.5〜2.7、さらに好ましくは1.7〜2.6程度であってもよい。
担体を構成する繊維(例えば、セルロースエステル繊維)において、平均繊維長は、0.1mm〜5cm程度の範囲から選択でき、例えば、0.5〜30mm(例えば、1〜25mm)、好ましくは2〜20mm、さらに好ましくは3〜15mm(例えば、5〜10mm)程度であってもよい。また、繊維の平均繊維径は、例えば、0.01〜100μm、好ましくは0.5〜80μm、さらに好ましくは1〜50μm程度であってもよい。
なお、セルロースエステル繊維などの繊維(例えば、フィルタートウを構成するフィラメント又は繊維)は、捲縮繊維又は非捲縮繊維であってもよい。
また、粉粒状物質(又は粉粒状物質)において、平均粒径は、例えば、0.1〜2000μm、好ましくは10〜1500μm、さらに好ましくは100〜1000μm程度であってもよい。
担体の形状(又は構造)は、その構成成分(繊維、粒子など)に応じて適宜選択でき、繊維状、粉粒状(又は粉粒状)などの構成成分そのものの形状であってもよく、毛状、織布状、不織布状、トウ構造(又はトウ状又はフィルターロッド構造、例えば、捲縮繊維のトウ構造)、抄紙状(又は紙状又は抄紙構造)、シート状、造粒物などのいずれの形状であってもよい。なお、抄紙構造の担体は、前記繊維を切断した上でステープルとして、乾式および湿式の不織布の製造方法でシート状にしたり、上記ステープルと叩解パルプとを混同したスラリーとしたうえで、抄紙することにより得られる。
また、担体は、予め成形されたフィルター(例えば、セルロースアセテートなどのセルロースエステル捲縮繊維トウ構造のフィルターなど)であってもよい。このような予め成形されたフィルター(又はフィルター状)の担体を用いると、付着処理(および乾燥)後、そのままたばこフィルターとして使用することができる。
好ましい担体には、繊維で形成されたトウ状(又はトウ構造又はフィルターロッド構造))の担体[又は繊維で形成されたトウ構造のフィルター(フィルター担体)]が含まれる。すなわち、ニコチンやタールなどの浮遊微粒子は、たばこ煙、なかでも主流煙に多く存在している。このような浮遊微粒子は、フィブリル構造を有する繊維が担体に含まれている場合、フィブリルの部分で捕捉されやすい。そのため、フィブリル構造を有する担体では、ニコチンやタールの透過率が減少し、本発明の目的に適合しない虞がある。しかしながら、後述するトウ構造(トウ構造のフィルター)であれば、広義の高分子工学で定義されるモノフィラメント(実質的に無限長の連続長さを持ったマルチフィラメント)構造を有しており、フィブリルが少ないため、浮遊微粒子を捕捉せず、ニコチンやタールの透過性に優れる。
したがって、このような観点から、コットンリンターや脱脂綿(前記特開平7−31452号公報の実施例3など)のような天然繊維や叩解パルプなどのフィブリル構造を持つ天然繊維からなるシート構造の担体(又はロッド)よりは、モノフィラメントから形成されるトウ構造(トウ構造のフィルタ状)の繊維束で構成された担体(又はロッド)が好ましい。
(トウ構造の担体又はトウ構造のフィルター担体)
前記のように、本発明において、最も好ましい担体はトウ構造の担体(特に、トウ構造のフィルタ担体)である。トウ構造(トウ構造フィルター)は、無限長をもつフィラメントからなるもので、慣用のフィルター素材(繊維)を紡糸(乾式、溶融又は湿式紡糸)することで形成できる。トウ構造(すなわち、モノフィラメントの集束構造)の担体を構成する繊維としては、前記例示の繊維、例えば、セルロース繊維、再生セルロース繊維(ビスコースレーヨン繊維、銅アンモニアレーヨン繊維など)、セルロース誘導体繊維(セルロースエステル繊維など)、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)などの合成繊維などが挙げられる。これらの繊維は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい繊維には、セルロース繊維、セルロースエステル繊維などが含まれ、特に少なくともセルロースエステル繊維で構成された繊維が好ましい。セルロースエステル繊維としては、前記と同様の繊維、例えば、セルロースアセテート繊維、セルロースプロピオネート繊維、セルロースブチレート繊維などの有機酸エステル(例えば、炭素数2〜4程度の有機酸エステル)繊維;セルロースアセテートプロピオネート繊維、セルロースアセテートブチレート繊維などの混合脂肪酸エステル繊維;およびポリカプロラクトングラフト化セルロースエステル繊維などのセルロースエステル誘導体などが例示される。好ましいセルロースエステル繊維には、例えば、セルロースアセテート繊維、セルロースプロピオネート繊維、セルロースブチレート繊維、セルロースアセテートプロピオネート繊維、セルロースアセテートブチレート繊維などが含まれ、特にセルロースアセテート繊維が好ましい。これらのセルロースエステル繊維も、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
トウ構造(トウ構造の担体)において、セルロースエステルの重合度(平均重合度、粘度平均重合度)は、例えば、50〜900、好ましくは200〜800程度の範囲であってもよい。また、セルロースエステルの置換度(平均置換度)は、例えば、1.5〜3.0程度の範囲から選択できる。
フィラメント(又は繊維)の断面形状は、特に制限されず、例えば、円形、楕円形、異形(例えば、Y字状、X字状、I字状、R字状、H字状など)や中空状などのいずれであってもよいが、Y字状、X字状、I字状、R字状、H字状などの多角形の異形繊維断面が好ましい。平均繊維径及び平均繊維長は、繊維の種類に応じて選択でき、例えば、平均繊維径0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μm程度であってもよく、平均繊維長50μm〜5cm、好ましくは100μm〜3cm程度の範囲から選択する場合が多い。特に、フィルター状担体の場合には、フィルター又はフィルターの一部を構成する部分の長さに相当する長さ(3〜30mm程度、例えば、10mm、25mmなど)の平均繊維長を有することが好ましい。
繊維(セルロースエステル繊維など)の繊度は、例えば、1〜16デニール、好ましくは1〜10デニール程度の範囲から選択できる。セルロースエステル繊維などの繊維は、非捲縮繊維又は捲縮繊維のいずれであってもよいが、捲縮構造を有するモノフィラメント(捲縮繊維)がより好ましい。
このようなトウ構造の担体(フィルター状担体)は、例えば、3,000〜1,000,000本(例えば、3,000〜100,000本)、好ましくは5,000〜100,000本程度の繊維(特にセルロースエステル繊維)の単繊維(フィラメント)を束ねる(集束する)ことにより形成されたトウ(繊維束)の形態である。
トウ構造の担体(又はフィルター)の場合は、アミノ基を含有する多糖類(例えば、キトサン)で処理したフィラメントと未処理のフィラメントとを混合し集束して担体(又はフィルター)を形成することもできる。このような未処理のフィラメントの材質にセルロースエステル(好ましくはセルロースアセテート)を用いれば、喫味のうえでも有利であり、ホルムアルデヒド類の低減率とタール、ニコチンの残存率を調整することも可能である。
[分散液]
(アミノ基を有する多糖類)
アミノ基を有する多糖類としては、グルカン誘導体であって、置換基にアミノ基を保有するものであれば特に限定されないが、代表的なものとしてはキトサンが挙げられる。
キトサンは、前記のように、キチンのアセチル基が少なくとも脱アセチル化されていればよく、キトサンの平均脱アセチル化度は、例えば、20%以上(例えば、30〜100%程度)、好ましくは40%以上(例えば、50〜99%程度)、さらに好ましくは60%以上(例えば、65〜98%程度)であってもよい。
本発明で使用するキトサンは、通常、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)の選択除去率を高めるため、比較的高い脱アセチル化度を有している(すなわち、多くのアミノ基を有している)場合が多い。すなわち、高い脱アセチル化度を有するキトサンは、キチンなどに比べて多くのアミノ基を持っており、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)の選択除去効果に優れている。
そのため、キトサンの脱アセチル化度(平均脱アセチル化度)は、例えば、60%以上(例えば、65〜100%程度)、好ましくは70%以上(例えば、75〜99%程度)、さらに好ましくは80%以上(例えば、85〜98%程度)であってもよい。なお、キトサンにおいて「脱アセチル化度」とは、キトサンのアセチル基をA1モル、キトサンの脱アセチル基(すなわちアミノ基)をA2モルとするとき、下記式で表される。このような脱アセチル化度は、例えば、H−NMR、13C−NMRなどで分析することができる。
A2/(A1+A2)×100(%)
また、キトサンの塩基解離定数pKは、例えば、25℃において、5.5以上(例えば、6〜12程度)、好ましくは6以上(例えば、6.3〜10程度)、さらに好ましくは6.5以上(例えば、6.8〜9程度)であってもよく、より一層高いアルデヒド(特に、ホルムアルデヒド)除去率を得るためには、通常、7以上(例えば、7.3〜11程度)、好ましくは7.5以上(例えば、7.8〜10程度)、さらに好ましくは8以上(例えば、8.5〜9.5程度)であってもよい。
なお、前記キトサンは、誘導体化されたキトサン誘導体であってもよい。このようなキトサン誘導体としては、例えば、キトサン塩(例えば、ピロリドンカルボン酸塩、乳酸塩、アルギン酸塩などのカルボン酸塩)、ヒドロキシル化キトサン[ヒドロキシプロピルキトサンなどのヒドロキシアルキル基(ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基など)により保護(又は置換)されたキトサン、グリセリル化キトサンなど]、カチオン化キトサンなどが挙げられる。また、キトサン誘導体には、キトサンの骨格を構成するOH基やCHOH基が、保護基(又は置換基)、例えば、アルキル基(メチル基などのC1−4アルキル基など)、エステル基(又はアシル基、例えば、アセチル基など)などで保護又は置換されたキトサンなども含まれる。
アミノ基を有する多糖類(特に、キトサン)の重合度(平均重合度、粘度平均重合度)は、10〜5000(例えば、50〜4000)程度の範囲から選択でき、例えば、20〜3000、好ましくは300〜2000、さらに好ましくは50〜1000(例えば、100〜500)程度であってもよい。
アミノ基を有する多糖類は、前記分散液において、粉粒状(又は粉状)で分散している。アミノ基を有する多糖類は、粉粒状(粒子状、微粒子状、ペレット状など)であればよく、球状、楕円体状、柱状(角柱状など)、無定形状などであってもよい。
粉粒状のアミノ基を有する多糖類の平均粒径は、0.05〜500μm(例えば、0.08〜300μm)の範囲から選択でき、例えば、0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、さらに好ましくは1〜20μm程度であってもよい。また、前記分散液において、粉粒状のアミノ基を有する多糖類は、分散媒の種類などに応じて、一次粒子であってもよく、二次粒子であってもよい。分散液における前記多糖類の粒径を調整することにより、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)の選択除去性を高めることができる。
分散液において、前記アミノ基を有する多糖類の含有量(分散量)は、分散媒の種類にもよるが、分散媒(分散媒の総量)100重量部に対して、0.01〜200重量部程度の範囲から選択でき、例えば、0.05〜150重量部(例えば、0.1〜100重量部)、好ましくは0.2〜100重量部(例えば、0.5〜90重量部)、さらに好ましくは1〜80重量部(例えば、1〜70重量部)程度であってもよい。
(分散媒)
分散媒は、前記粉粒状のアミノ基を有する多糖類を分散可能な溶媒(又は前記多糖類に対する貧溶媒)であれば特に限定されず、このような分散媒は、アミノ基を有する多糖類の種類(重合度、脱アセチル化度など)に応じて選択でき、慣用の溶媒(極性溶媒、非極性溶媒)であってもよく、前記担体を溶解(又は可塑化)可能な分散媒(溶媒)であってもよい。また、分散媒には、後述するように、固体状の保湿成分なども含まれる。分散媒は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
溶媒としては、非極性又は無極性溶媒[例えば、炭化水素類(脂肪族又は脂環族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類など)、鎖状カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類)などの誘電率又は非誘電率が比較的小さい(例えば、誘電率15未満の)溶媒]であってもよいが、通常、少なくとも極性溶媒(又は極性液体)で構成されていてもよい。なお、極性溶媒は、通常、前記担体を溶解しない場合が多い。
極性溶媒としては、例えば、水、アルコール類、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのジアルキルケトン類など)、エーテル類[環状エーテル類(テトラヒドロフランなど)、ジアルキレングリコールアルキルエーテル類(ジエチレングリコールジメチルエーテルなど)、グリコールエーテルエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)など]などが挙げられる。
好ましい極性溶媒には、前記多糖類のアミノ基の水素結合を効率よく緩和できるなどの観点から水、アルコール類などのヒドロキシル基を有する溶媒が含まれる。アルコール類としては、例えば、モノオール類[アルカノール(メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノールなどのC1−10アルカノール、好ましくはC1−8アルカノール、さらに好ましくはC1−6アルカノール、特にC1−4アルカノールなど)、シクロアルカノール(シクロヘキサノールなどのC4−10シクロアルカノールなど)、アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メチルカルビトール、エチルカルビトールなど)、(ポリ)アルキレングリコールモノアシレート(エチレングリコールモノアセテートなど)など]、ポリオール類{ジオール類[例えば、アルカンジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコールなどのC2−10アルカンジオール、好ましくはC2−8アルカンジオール、さらに好ましくはC2−6アルカンジオール、特にC2−4アルカンジオールなど)、ポリアルキレングリコール(ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどのジ乃至テトラC2−4アルキレングリコールなど)など]、トリオール類[アルカントリオール(グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオールなどのC3−10アルカントリオール、好ましくはC3−6アルカントリオール、さらに好ましくはC3−4アルカントリオール)など]、4官能以上のポリオール[3官能以上のポリオール(前記アルカントリオールなど)の多量体(例えば、ジグリセリン、トリグリセリンなどのポリグリセリン)など]など}などが挙げられる。
極性溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
特に、極性溶媒は、保湿成分としての極性溶媒(保湿成分として作用する極性溶媒、以下、保湿性極性溶媒ということがある)で少なくとも構成されていてもよい。このような極性溶媒としては、前記例示の極性溶媒のうち、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、(ポリ)アルキレングリコールモノアシレート、ポリオール類[例えば、アルカンジオール、アルカントリオール(グリセリンなど)など]などが挙げられる。特に好ましい保湿性極性溶媒には、複数のヒドロキシル基を有しており、前記多糖類のアミノ基の水素結合を緩和する能力に優れている点で、ポリオール類が含まれる。
すなわち、前記ポリオール類などは、比較的高沸点であるため、付着処理(および乾燥)後においてもたばこフィルター用素材に残存又は付着し、保湿成分(又は保湿剤)として作用する。詳細には、このような保湿成分としての保湿性極性溶媒(ポリオール類など)は、付着処理後の担体から揮発せず、たばこフィルター用素材(又は担体)に残存するとともに、前記多糖類のアミノ基の水素結合を緩和する能力に優れており、アルデヒド類の選択除去性を向上するのに有用である。しかも、このような保湿成分は、たばこフィルター用素材又は担体に残存するので、アルデヒド類の選択除去性を長期に亘って安定して保持できる。また、保湿成分としての保湿性極性溶媒は、付着処理後において、水やモノオール類(アルカノールなど)などの揮発を抑制する機能も有しているようであり、このような極性溶媒を担体に残存させて、前記多糖類のアミノ基の水素結合を有効に緩和できる。
保湿成分としての保湿性極性溶媒は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。また、揮発性分散媒[特に、揮発性極性溶媒又は非保湿性の極性溶媒、例えば、水及びモノオール類(例えば、C1−4アルカノールなどのアルカノール類など)から選択された少なくとも1種の溶媒など]と、保湿性極性溶媒とを組みあわせてもよい。
保湿性極性溶媒(特に、ポリオール類)の沸点は、例えば、150℃以上(例えば、180〜500℃程度)、好ましく200℃以上(例えば、210〜400℃程度)、さらに好ましくは220℃以上(例えば、230〜350℃)、特に250℃以上(例えば、260〜320℃程度)であってもよい。
なお、揮発性分散媒(水、前記アルカノール類などの揮発性極性溶媒)の沸点は、例えば、150℃未満(例えば、35〜145℃)、好ましくは40〜130℃、さらに好ましくは50〜120℃程度であってもよい。
前記担体を可塑化可能な分散媒としては、前記担体に対する慣用の可塑剤が含まれる。このような担体を可塑化可能な分散媒は、担体を可塑化することにより、担体に対する付着力を効率よく高めることができる。前記可塑剤としては、例えば、リン酸エステル{脂肪族リン酸エステル(例えば、リン酸トリエチルなどのリン酸トリC1−12アルキルエステルなど)、芳香族リン酸エステル(リン酸オクチルジフェニルなどのリン酸C1−20アルキル−ジC6−15アリールエステル、リン酸トリクレジルなどのリン酸トリC6−15アリールエステルなど)、縮合リン酸エスエル[例えば、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)などのジヒドロキシアレーン−ビス(ジアリールホスフェート)など]など}、カルボン酸エステル{例えば、芳香族カルボン酸エステル[例えば、芳香族ジカルボン酸エステル(フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸ジC1−12アルキルエステル、フタル酸ジメトキシエチルなどのフタル酸C1−6アルコキシC1−12アルキルエステルなどのフタル酸エステルなど)などの芳香族ポリカルボン酸エステルなど]、脂肪族カルボン酸エステル[例えば、脂肪族ジカルボン酸エステル(例えば、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジブトキシエトキシエチルなどのアジピン酸エステル、これらのアジピン酸エステルに対応するアゼライン酸エステルやセバシン酸エステルなどのC6−12ジカルボン酸C1−12アルキルエステル)、クエン酸エステル(クエン酸アセチルトリブチルなど)、不飽和脂肪酸エステル(オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチルなどのC8−30アルケンカルボン酸−C1−12アルキルエステルなど)、ポリオール又は多価アルコール(前記例示のポリオール類、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどのトリ乃至ヘキサアルカノールなど)の脂肪酸エステルなど}、エステルオリゴマー(カプロラクトンオリゴマーなど)などが挙げられる。
前記ポリオールの脂肪酸エステルとしては、ポリオールの低級脂肪酸(例えば、酢酸などのC1−4アルカンカルボン酸)エステル[例えば、アルカントリオールモノ乃至トリアシレート(例えば、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチンなどのC3−6アルカントリオール−モノ乃至トリC1−4アシレート、好ましくはグリセリンモノ乃至トリC2−3アシレート)など]、ポリオールオリゴマーの低級脂肪酸エステル[例えば、アルカントリオールのダイマーのモノ乃至テトラアシレート(例えば、ジグリセリンテトラアセテートなどのジC3−6アルカントリオール−モノ乃至テトラC1−4アシレートなど)などのポリオールのダイマー又はトリマーの低級脂肪酸エステルなど]などが含まれる。
これらの可塑剤の中でも、セルロースエステル(特に、セルロースアセテート)で構成された担体と組み合わせる可塑剤としては、担体に対する膨潤能力に優れる点で、アセチン類(例えば、ジアセチン、トリアセチンなどのグリセリンジ乃至トリアセテート)などのポリオールの低級脂肪酸エステルが好ましく用いられる。特に、ポリオールの低級脂肪酸エステルの中でも、前記アミノ基を含む多糖類のアルデヒド類の吸着性能を向上させる機能においても優れるポリオールジ又はトリC1−4アシレート(特に、ジアセチンなどのC3−6アルカントリオール−ジ又はトリC1−4アシレート)を最も好適に用いることができる。そのため、セルロースエステルで構成された担体と組み合わせる可塑剤は、少なくともポリオールジ又はトリアシレート(特に、ジアセチン、トリアセチンなど)で構成された可塑剤(特にアセチン類)を好適に使用してもよい。
特に、可塑剤は、ポリオールジアシレート(特に、ジアセチンなどのC3−6アルカントリオール−ジC1−4アシレート)で少なくとも構成してもよく、例えば、ジアセチンとトリアセチンとで構成してもよい。
なお、用いるトリアセチンによっては、ジアセチン、モノアセチンを含む場合があり、通常、工業的なトリアセチンは、不純物としてジアセチンやモノアセチンを含んでいる。ポリオールジC1−4アシレート(特に、ジアセチン)を少なくとも含む可塑剤において、ポリオールジC1−4アシレート(特に、ジアセチン)の含有量は、可塑剤(特にアセチン類)全体の1重量%以上(例えば、2〜100重量%程度)、好ましくは3〜80重量%以上、さらに好ましくは5〜60重量%(例えば、8〜40重量%)程度であってもよい。なお、ジアセチンと他のアセチン類(特にトリアセチン)とを組み合わせることにより、アルデヒド類の吸着性能を高めつつ、分散液の粘性を適度に高めることができる。このようなポリオールの低級脂肪酸エステル(特に、ジアセチン、トリアセチン、これらの混合物など)は、セルロースエステルの可塑化能力に優れるだけでなく、前記多糖類のアミノ基の水素結合を緩和する能力を有しているため、アルデヒド類(特にホルムアルデヒド)の選択除去性を高めることができ、しかも安全性が高く好適に使用できる。
可塑剤は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
なお、前記担体を可塑化可能な分散媒は、通常、液体状(室温で液体状)であってもよい。また、前記担体を可塑化可能な分散媒は、通常、比較的高沸点[例えば、沸点150〜500℃、好ましくは200〜450℃、さらに好ましくは220〜400℃(例えば、250〜380℃)程度]である場合が多く、付着処理後において、揮発又は乾燥することなく、担体又はたばこフィルター用素材に残存する場合が多い。そのため、通常、前記担体を可塑化可能な分散媒は、不揮発性であってもよい。
好ましい担体を可塑化可能な分散媒には、担体の種類にもよるが、人体に対する経口安全性などの観点から、ポリオールの低級脂肪酸エステル(例えば、トリアセチンなどのグリセリントリC2−3アシレートなど)などが含まれる。担体を可塑化可能な分散媒は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
なお、本明細書において、前記分散媒には、液状の分散媒(前記極性溶媒、前記可塑剤など)に溶解できれば、固体(常温で固体)の分散媒も含まれる。すなわち、分散媒は、固体の分散媒と、この分散媒を溶解可能な分散媒とで構成してもよい。このような固体の分散媒は、付着処理(及び乾燥)後においても担体に残存することにより、前記保湿性極性溶媒などと同様に、保湿成分として作用可能である。
固体の分散媒としては、例えば、ヒドロキシル基又はエーテル結合(エーテル基)を有する合成高分子[ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドなど)など]、天然高分子(ゼラチン、デキストリン、デンプンなど)、セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどのアルキル−ヒドロキシアルキルセルロースなどのヒドロキシル基を有するセルロース誘導体、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロース、エチルセルロースなどのアルキルセルロースなどのセルロースエーテル類など)、炭水化物(又は糖類)[例えば、単糖類(例えば、キシロース、ブドウ糖など)、二糖類(セロビオース、トレハロースなど)、糖アルコール類(例えば、イノシトール、ボルネシトールなどのイノシトール類、キシリトールなど)など]などが挙げられる。固体の分散媒は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
代表的な分散媒には、(1)水及び/又はモノオール類(前記ポリオール類を含むアルカノール類など)で構成された分散媒(前記固体状の保湿成分などを含んでいてもよい)、(2)前記可塑剤(ポリオールの低級脂肪酸エステルなど)で構成された分散媒(前記固体状の保湿成分などを含んでいてもよい)などが含まれる。
好ましい分散媒としては、前記保湿性極性溶媒を含む分散媒、例えば、(1a)水及び/又はモノオール類と前記保湿性極性溶媒(例えば、グリセリンなどのポリオール類)とで構成された分散媒、(2a)前記可塑剤と前記保湿性極性溶媒とで構成された分散媒などが挙げられる。
なお、上記保湿性極性溶媒を含む分散媒において、保湿性極性溶媒(保湿成分としての極性溶媒)の割合は、前記分散液を構成する分散媒全体(又は分散液中の分散媒)に対して、0.01〜100重量%(例えば、0.05〜50重量%)の範囲から選択でき、例えば、0.1〜30重量%、好ましくは0.3〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜15重量%(例えば、1〜10重量%)程度であってもよい。
特に、上記態様(1a)の分散液において、前記保湿性極性溶媒の割合は、水及び/又はモノオール類100重量部に対して、例えば、0.05〜30重量部(例えば、0.1〜20重量部)、好ましくは0.3〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部(例えば、1〜8重量部)程度であってもよい。
なお、使用する分散媒の種類およびその組合せに応じて、得られるたばこフィルター用素材に種々の特性を付与できる場合がある。例えば、アルカノール類(C1−4アルカノールなど)などの極性溶媒を含む分散媒を使用すると、分散媒において前記多糖類の膨潤や凝集を効率よく抑制又は防止できるためか、担体に付着する前記多糖類の表面積を効率よく高めることができるようである。また、水やポリオール類などの極性溶媒を含む分散媒を使用すると、分散媒中の前記多糖類の凝集や膨潤が生じ、担体に付着する前記多糖類の表面積が小さくなる傾向がある一方で、前記多糖類のヒドロキシル基の水素結合の影響を低減でき、ホルムアルデヒドの選択除去性を向上できる傾向がある。
[たばこフィルター用素材]
本発明のたばこフィルター用素材では、担体にアミノ基を有する多糖類が付着している。担体に付着した前記多糖類の形状は、通常、前記分散液における前記多糖類の形状に対応し、粉粒状である場合が多い。また、付着した粉粒状の前記多糖類は、凝集していてもよい。
本発明のたばこフィルター用素材において、アミノ基を有する多糖類の付着量(又は含有量又は添着量)は、分散媒の種類などにもよるが、担体100重量部に対して、100重量部以下(例えば、1〜100重量部程度)の範囲から選択でき、例えば、1〜80重量部、好ましくは60重量部以下(例えば、2〜60重量部程度)、好ましくは40重量部以下(例えば、3〜40重量部程度)、特に30重量部以下(例えば、4〜30重量部程度)、通常20重量部以下(例えば、5〜20重量部程度)であってもよい。アミノ基を有する多糖類の含有量が多すぎると、タールやニコチンの吸着量が大きくなる虞がある。
また、たばこフィルター用素材において、担体に付着したアミノ基を有する多糖類の表面積(比表面積)は、分散媒の種類や前記多糖類の粒径などに応じて、前記アミノ基を有する多糖類1gあたり、例えば、50m以下(例えば、0.01〜40m)、好ましくは0.1〜30m、さらに好ましくは0.5〜20m程度であってもよい。
特に、分散媒として、前記アルカノール類や前記可塑剤などを使用した場合、担体に付着したアミノ基を有する多糖類の表面積(比表面積)は、比較的大きく、前記アミノ基を有する多糖類1gあたり、例えば、1〜50m、好ましくは3〜30m、さらに好ましくは5〜20m(例えば、6〜15m)程度であってもよい。
なお、前記のように、アミノ基を有する多糖類の表面積は、分散媒の種類に応じて変化し、分散媒の種類や前記多糖類の粒径などの条件が同じである場合には、通常、付着した前記多糖類の表面積が大きいほどアルデヒド類(特にホルムアルデヒド)の選択除去性が高い場合が多い。一方、水やポリオール類などを含む分散媒を使用すると、前記のように、アミノ基を有する多糖類の表面積(比表面積)が比較的小さくなる傾向があるが、このような分散媒(特にポリオール類を含む分散媒)は、前記アミノ基の水素結合の緩和能力に優れ、分散媒としての使用、さらには担体に残存することにより、前記比表面積が小さくても、アルデヒド類の選択除去性を高めることができる。
また、たばこフィルター用素材において、前記分散媒は、乾燥(揮発、自然乾燥を含む)などにより完全に除去されていてもよく、前記分散媒の一部又は全部が、担体に残存していてもよい。特に、ポリオールなどの保湿性極性溶媒、前記可塑剤、前記固体の分散媒などの分散媒は、通常、乾燥させても、たばこフィルター用素材又は担体にそのまま残存している場合が多い。なお、揮発性分散媒(水、アルカノール類など)は、乾燥条件などを適宜調整することにより、担体又はたばこフィルター用素材に残存させることができる。例えば、セルロースアセテートフィラメントで構成された繊維などの繊維表面積の比較的大きな繊維では、通常の製造工程を経過すると、吸着水などを保有しうる。しかしながら、このような水分量は、担体100mg当たりで多くても数ミリグラム(例えば、1〜3mg)程度であり、通常、特に真空乾燥などを行った場合には、絶乾状態(ほぼ0)となる。
たばこフィルター用素材において、分散媒の残存量(付着量、含有量)は、分散液の使用量や濃度にもよるが、担体100重量部に対して、0〜100重量部の範囲から選択でき、例えば、0.5〜100重量部(例えば、0.8〜90重量部)、好ましくは1〜80重量部(例えば、1.5〜80重量部)、さらに好ましくは2〜70重量部(例えば、3〜60重量部)、特に4〜50重量部(例えば、5〜30重量部)、通常5〜20重量部(例えば、5〜15重量部)程度であってもよい。
特に、前記保湿性極性溶媒を含む分散媒を使用した場合、残存している分散媒は、保湿性極性溶媒(特に、保湿成分としてのポリオール類)で構成されており、この保湿性極性溶媒(特に、ポリオール類)の残存量(付着量、含有量)は、担体100重量部に対して、0.1〜100重量部の範囲から選択でき、例えば、1〜100重量部、好ましくは2〜60重量部、さらに好ましくは3〜40重量部、特に5〜20重量部(例えば、5〜15重量部)程度であってもよい。なお、水、モノオール類(例えば、C1−4アルカノール類)および前記可塑剤から選択された少なくとも1種と、保湿性極性溶媒との残存割合(付着割合、含有割合)は、前者/後者(重量比)=99/1〜0/100、好ましくは95/5〜5/95、さらに好ましくは90/10〜10/90(例えば、85/15〜15/85)程度であってもよい。
また、分散媒の残存量(付着量、含有量)は、アミノ基を有する多糖類100重量部に対して、0〜500重量部、好ましくは5〜400重量部、さらに好ましくは10〜300重量部(例えば、20〜200重量部)程度であってもよい。さらに、保湿性極性溶媒を含む分散媒を使用した場合、残存している分散媒は、保湿性極性溶媒(特に、保湿成分としてのポリオール類)で構成されており、保湿性極性溶媒(特に、保湿成分としてのポリオール類)の残存量(付着量、含有量)は、アミノ基を有する多糖類100重量部に対して、例えば、1〜300重量部、好ましくは3〜200重量部、さらに好ましくは5〜180重量部(例えば、8〜150重量部)、特に10〜120重量部程度であってもよい。
特に、ヒドロキシル基を有する極性溶媒[水、アルコール類(モノオール類、前記ポリオール類など)など]を含む分散媒を用いた場合、分散媒の残存量(付着量、含有量)は、アミノ基を有する多糖類のグリコース(又は単糖類)単位1モルに対して、分散媒のヒドロキシル基換算で(又は分散媒全体のヒドロキシル基の総量で)、0.1モル以上(例えば、0.3〜500モル程度)、例えば、0.5モル以上(例えば、0.8〜300モル程度)、好ましくは1モル以上(例えば、1.2〜150モル程度)、さらに好ましくは1.5モル以上(例えば、1.6〜100モル程度)、特に1.8〜80モル(例えば、2〜50モル)程度であってもよい。
なお、本発明のたばこフィルター用素材では、この素材又はフィルタの長さに応じて、アミノ基を有する多糖類や分散媒などの使用量を調整してもよい。例えば、フィルターの長さが短い場合には、ニコチン、タールの透過度が高くなるので、アミノ基を有する多糖類の量を増やしてもよく、それに伴い、前記分散媒の量を増やしてもよい。
なお、たばこフィルター用素材は、さらに他の成分、例えば、無機微粉末(カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなど)、熱安定化剤(アルカリ又はアルカリ土類金属の塩など)、着色剤、白色度改善剤、油剤、歩留まり向上剤、サイズ剤、吸着剤(活性炭など)、生分解又は光分解促進剤(アナターゼ型酸化チタンなど)、天然高分子又はその誘導体(セルロース粉末など)などを含んでいてもよい。他の成分は、単独で又は2種以上組みあわせて使用できる。
本発明のたばこフィルター用素材の形状は、特に限定されず、担体の形状に応じて、例えば、繊維状、毛状、織布状、不織布状、トウ状、シート状、粒子状(又は粉粒状)などいずれの形状であってもよい。また、たばこフィルター用素材の形状は、フィルター状(フィルターロッド状)であってもよい。なお、これらの形状は、担体(すなわち、付着処理前の担体)が予め有していてもよく、付着処理した担体(例えば、繊維状の担体、粒子状の担体など)を、慣用の方法(例えば、抄造など)により成形又は賦形してもよい。特に、たばこフィルター用素材は、前記のように、トウ状(又はトウ構造、特に繊維のトウ状)であるのが好ましい。
[たばこフィルター用素材の製造方法]
本発明のたばこフィルター用素材は、担体を、前記分散液(粉粒状のアミノ基を有する多糖類およびこの多糖類に対する分散媒で構成された分散液)で付着処理することにより得ることができる。すなわち、本発明のたばこフィルター用素材は、通常、担体を前記分散液で付着処理し、少なくともアミノ基を有する多糖類[および必要に応じて分散媒(前記保湿性極性溶媒など)など]を担体に付着(又は含有)させることにより得ることができる。
付着処理方法(処理方法)としては、担体の形状(繊維状、フィルター状など)や種類などに応じて適宜選択でき、前記担体と前記分散液とを接触させることができれば特に限定されず、例えば、(i)担体を前記分散液に浸漬(又は含浸、ディッピング)する方法、(ii)担体に前記分散液を噴霧又は散布(又は撒布)する方法、(iii)担体に前記分散液を塗布する方法などが挙げられる。これらの処理方法は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
本発明のこのような処理方法は、たばこフィルタの既存の製造装置、特にセルロースアセテートフィラメントを用いたトウ構造のたばこフィルタの製造装置に導入してもよく、例えば、前記分散液をフィルタトウの紡糸工程で前記方法(噴霧、塗布、浸漬(ディッピング)など)により接触させて担体に前記多糖類(および分散媒)を付着させてもよい。さらには、フィルタトウバンドの集積梱包材(ベール)からトウバンドを巻きだし、フィルタロッドに成形する工程(巻き上げ工程)で噴霧、塗布、浸漬(ディッピング)などの方法により担体に前記多糖類(および分散媒)を付着させてもよい。また、製造されたトウの集束体(プラグ)に浸漬(ディッピング)などの方法により担体に前記多糖類(および分散媒)を付着させてもよい。
これらの方法のうち、担体に前記分散液を噴霧又は散布する方法(ii)が好ましい。このような方法では、特に、前記担体が繊維状物質(例えば、トウ構造の担体)である場合、担体(又は担体の浸漬部分)に対してアミノ基を有する多糖類(および分散媒)を簡便にかつ効率よく含有させることができる。
前記分散液による処理は、担体の一部又は全部に対して行えばよく、特に、トウ構造の担体であれば、トウ構造のフィルタのフィルタプラグ成形過程(巻き上げ工程)において、前記可塑剤(トリアセチンなど)などのフィルタトウ常用の可塑剤の添加装置の一部として前記分散液を配置又は設置し、フィルタトウに付着させることができる。この場合、トウの全てが前記分散液により処理されている必要はない。また、浸漬する方法(i)では、少なくとも担体(又は担体の浸漬部分)の表面全体(好ましくは担体に浸漬部分の表面および内部全体)に対して付着処理を行ってもよい。
浸漬する方法(i)において、浸漬時間(又は処理時間)は、アミノ基を有する多糖類の含有の態様や含有量などに応じて選択でき、例えば、0.001秒以上(例えば、0.001秒〜24時間)、好ましくは0.005秒〜1時間、さらに好ましくは0.01秒〜30分程度であってもよく、工業的には、例えば、0.001秒以上(例えば、0.003秒以上)であればよく、好ましくは0.003〜30秒、さらに好ましくは0.005〜15秒程度であってもよい。
なお、前記分散媒により付着処理された担体は、通常、乾燥させる。このような乾燥により、揮発性分散媒(水、アルカノール類など)などの揮発成分を完全に除去してもよく、一部又は全部を残存させてもよい。このような乾燥条件を適宜調整することにより、担体に残存させる分散媒(揮発性分散媒)の含有量を調整できる。
乾燥は、分散媒の種類(揮発性極性溶媒、保湿性極性溶媒など)や残存させる分散媒の量などに応じて選択でき、自然乾燥又は風乾であってもよいが、通常、減圧可能な乾燥機(減圧乾燥機など)、熱風乾燥機などの乾燥機を使用して行う場合が多い。
乾燥は、室温下(例えば、15〜25℃程度)で行ってもよく、加温下(例えば、40〜200℃、好ましくは45〜180℃、さらに好ましくは50〜150℃程度)で行ってもよい。また、乾燥は、常圧又は減圧下で行ってもよい。乾燥時間は、乾燥温度、乾燥圧力や分散媒の種類などにもよるが、例えば、1分以上(例えば、3分〜24時間)、好ましくは5分〜18時間(例えば、10分〜12時間)、さらに好ましくは20分〜10時間(例えば、30分〜8時間)程度であってもよい。
[たばこフィルターおよびたばこ]
本発明のたばこフィルター用素材は、たばこフィルターを構成するのに有用である。たばこフィルターは、前記たばこフィルター用素材の形態に応じて、本発明のたばこフィルター用素材を単独又は2種以上組みあわせて構成してもよく、本発明のたばこフィルター用素材と他のたばこフィルター用素材[例えば、被覆処理された粉粒状のたばこフィルター用素材と前記繊維状素材(被覆処理されていない繊維状素材など)など]とで構成してもよい。例えば、本発明のたばこフィルターは、複数に分割(2分割(デュアル(dual)、3分割(トリプル(triple)など)された構造を有するたばこフィルターの少なくとも一つの分割部分を構成し(例えば、2分割されたフィルターの一方の部分、3分割されたフィルターの両端部分など)、他の分割部分(例えば、2分割のフィルターの他方の部分、3分割されたフィルターの中間部分など)を他のたばこフィルター用素材[例えば、活性炭などの粒状物質が充填されたフィルター素材(活性炭などの粒状物質を含む部分(ダルメシアン(dalmatian)部分)と粒状物質を含まない他の部分(ナチュラル(natural))とを有するフィルター素材など)など]で構成してもよい。
前記たばこフィルターは、担体又はフィルターの構造に応じて慣用の方法により成形できる。例えば、トウ構造のフィルター(フィルターロッドを有するフィルター)は、前記たばこフィルター用素材を開繊し、トリアセチンなどの常用の可塑剤を添着し、所定の直径に集束し、巻紙で固定させるプラグ巻上げ機を用いてフィルタープラグとする方法により成形してもよい。また、非トウ構造のフィルターは、慣用の方法、例えば、(a)繊維状、粉末状などのフィルター素材を、そのままフィルターロッド成形用金型に充填してフィルタープラグとする方法、(b)予め成形されたフィルタープラグの空間に前記フィルター素材を充填する方法などにより製造してもよい。
本発明のたばこフィルターは、前記たばこフィルター用素材で構成されているため、ニコチンやタールなどの喫味成分を高いレベルで保持しつつ、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類を効率よく除去できる。そのため、本発明には、前記たばこフィルター用素材でたばこフィルター(又はたばこ)を構成することにより、前記たばこフィルター(又はたばこ)を通過するたばこ煙中のアルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を低減する方法[詳細には、前記たばこフィルターを通過するたばこ煙中のニコチンおよびタールを保持しつつ、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を低減する方法]も含まれる。
例えば、前記たばこフィルターのホルムアルデヒド保持率(重量換算)は、90%以下(例えば、0〜88%)の範囲から選択でき、例えば、85%以下(例えば、3〜80%)、好ましくは70%以下(例えば、5〜65%)、さらに好ましくは65%以下(例えば、10〜60%)、特に50%以下(例えば、15〜45%)程度であり、高いレベルでホルムアルデヒドを除去できる。
また、前記たばこフィルターのニコチン保持率(重量換算)およびタール保持率(重量換算)は、それぞれ、50%以上(例えば、55〜100%)の範囲から選択でき、例えば、60%以上(例えば、65〜100%)、好ましくは70%以上(例えば、75〜99%)、さらに好ましくは75%以上(例えば、80〜98%)、特に80%以上(例えば、85〜97%)程度である。
特に、前記たばこフィルターのニコチン保持率(重量換算)は、60%以上(例えば、65〜100%)の範囲から選択でき、例えば、70%以上(例えば、75〜99%)、好ましくは80%以上(例えば、82〜98%)、さらに好ましくは85%以上(例えば、88〜97%)程度である。また、前記たばこフィルターのタール保持率(重量換算)は、50%以上(例えば、55〜100%)の範囲から選択でき、例えば、55%以上(例えば、60〜100%)、好ましくは65%以上(例えば、70〜99.9%)、さらに好ましくは70%以上(例えば、75〜99.5%)、特に75%以上(例えば、80〜99%)程度である。
なお、前記保持率(ホルムアルデヒド保持率、ニコチン保持率、タール保持率)とは、被覆処理前のたばこフィルター用素材で構成されたたばこフィルターを通過するたばこ煙中のホルムアルデヒド量(又はニコチン量又はタール量)を基準として測定できる。すなわち、前記「保持率」とは、前記被覆処理されていないたばこフィルター用素材(又は前記被覆処理前のたばこフィルター用素材)で構成されたたばこフィルターを所定の条件(流量、時間、回数など)において通過するたばこ煙中のホルムアルデヒド量(又はニコチン量又はタール量)をXとし、このホルムアルデヒド量(又はニコチン量又はタール量)Xと同一の条件(流量、時間、回数など)において通過するたばこ煙中のホルムアルデヒド量(又はニコチン量又はタール量)をYとするとき、下記式で表される。
保持率(%)=(Y/X)×100。
また、本発明では、アミノ基を有する多糖類および分散媒を含む分散液で処理した担体を使用するので、たばこフィルターの通気抵抗を増大させることなく、たばこフィルター内に組み込むことができる。そのため、本発明のたばこフィルターは、たばこ煙用に適した通気性を有しており、たばこフィルターの通気抵抗は、長さ120mm、円周24.5±0.2mmのたばこフィルターを、流量17.5ml/秒で空気を通過させたときの圧力損失で測定したとき、150〜600mmWG(ウォーターゲージ)の範囲から選択でき、例えば、180〜500mmWG、好ましくは200〜450mmWG(例えば、220〜400mmWG)、さらに好ましくは250〜350mmWG程度であってもよい。
また、本発明のたばこは、前記たばこフィルター(又はたばこフィルター用素材)を備えている。たばこフィルターの配設部位は特に制限されないが、巻紙により、棒状に成形されたたばこにおいては、口元の部位、又は口元と紙巻きタバコとの間に配設する場合が多い。なお、たばこの断面外周は、前記フィルターの断面外周に対応している場合が多く、通常、15〜30mm、好ましくは17〜27mm程度であってもよい。
本発明のたばこフィルター用素材は、たばこフィルター(およびたばこ)を構成するのに有用である。このような本発明のたばこフィルター(およびたばこ)では、喫煙時において、ニコチン、タールなどの喫味成分を保持しつつ、適度な通気抵抗も保持できるので、喫味(香喫味)、さらには喫煙の満足感を損なうことがなく、人体に有害なホルムアルデヒドなどのアルデヒド類を選択的に除去できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において各特性(通気抵抗、ニコチン量、タール量、ホルムアルデヒド量)は、市販のたばこ[ピース・ライト・ボックス(登録商標第2122839号)(日本たばこ産業株式会社製)]を用いて、下記の方法により測定した。
[通気抵抗]
上記のたばこ[ピース・ライト・ボックス(登録商標第2122839号)(日本たばこ産業株式会社製)]の通気抵抗を直接、たばこ葉の部分を含むたばこ煙用フィルタサンプルを用いて測定した。このサンプルにおいて、フィルタ部分の長さは25mm、円周は約25mmであった。通気抵抗は、たばこ煙用フィルタサンプル内に、流量17.5ml/秒で空気を通過させたときの圧力損失(mmWG)を、自動通気抵抗測定器(フィルトローナ社製、FTS300)を用いて測定した。
[ニコチン量、タール量]
たばこ煙用フィルタサンプルを用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件で喫煙を行った。フィルタを通過した煙中のニコチン及びタールはガラス繊維製フィルタ(ケンブリッジフィルタ)で捕集し、ニコチン量はガスクロマトグラフ((株)日立製作所製G−3000)を用いて測定した。
タール量は重量法により測定を行った。
対照品のケンブリッジフィルタに付着したニコチンおよびタール量をそれぞれTn、Ttとし、比較例及び実施例でケンブリッジフィルタに付着したニコチン量およびタール量をそれぞれCn、Ctとして次式によりニコチン及びタールの除去率を算出した。
ニコチン除去率(%)=100×(1−Cn/Tn)
タール除去率(%)=100×(1−Ct/Tt)。
[ホルムアルデヒド除去率]
たばこ煙用フィルタサンプルを用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件で喫煙を行った。フィルタを通過した煙中のホルムアルデヒドは、DNPH(ジニトロフェニルヒドラジン)溶液で捕集し、DNPHで誘導体化した上でガスクロマトグラフ((株)日立製作所製G−3000)を用いてUV(紫外線)の吸光度を用い測定した。
対照品で捕集されたホルムアルデヒド量Tfとし、下記の比較例及び実施例で捕集したホルムアルデヒド量をCfとして次式によりホルムアルデヒド除去率を算出した。
ホルムアルデヒド除去率(%)=100×(1−Cf/Tf)。
(比較例1)
比較例1ではキトサン粒子を用いた。キトサン粒子は、大日精化工業株式会社製、「ダイキトサンM(Daichitosan M)」を粉砕機を用いて粉砕して調製した。このキトサン粒子を篩いにかけ、28メッシュを通過し、かつ60メッシュは通過しない粒子を集めた。
市販の煙草[ピース・ライト・ボックス(登録商標第2122839号)(日本たばこ産業株式会社製)]のセルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)の末端から14mmの部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片のフィルター部に長さ20mm、内径8mmのガラス管を残フィルター長に相当する長さ(11mm)だけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。
このガラス管によって生じた9mmの空間に上記キトサン粉末20mgを充填した。次に先に切断した短片すなわち、14mmのフィルタ部(110mg)を用いてガラス管に栓をした。そして、このガラス管とフィルタの接続部分にもシーリングテープを巻いて密閉した。したがって、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタの長さとしては、25mmとなる。またフィルタ間の延長された9mmの部分にはキトサンの粒子が充填されている状態とした。キトサン粒子の充填量は煙草一本当たり20mgであった。
このたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。そして、得られたニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率(削減率)を前記式により算出した。結果を表1に示す。
なお、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を評価するための対照品としては、キトサン粒子を充填しない以外は、上記方法と同様にして作製したものを用いた。
(比較例2)
比較例2では、通常、たばこ煙フィルタによく用いられる活性炭を用いた。活性炭として
は二村化学工業株式会社製 破砕炭CW350SZを用いた。この破砕炭を篩いにかけ、30メッシュを通過しかつ、50メッシュは通過しない粒子を集めた。比較例1と同様にして、フィルタ間に活性炭を充填した。活性炭の充填量は煙草一本当たり20mgであった。
このたばこサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。そして、得られたニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を前記式により算出した。結果を表1に示す。
なお、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を評価するための対照品としては、活性炭を充填しない以外は、上記方法と同様にして作製したものを用いた。
比較例3
比較例1と同様にして、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)の末端から14mmの部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片のフィルター部に長20mm内径8mmのガラス管を残フィルター長に相当する長さ(11mm)だけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。
切断した短片すなわち14mmのフィルタ部を、脱アセチル化度95%のキトサン2重量%を含むキトサン水分散液(大日精化工業(株)製、「ダイキトサンFPスラリー」を水で3倍希釈したもの)に10分間浸漬した。浸漬後のフィルター部を、真空乾燥機に入れ、温度22℃および気圧80mmHgの条件で8時間30分乾燥させた。乾燥後得られたフィルター部に付着しているキトサンは13mg、水0mgであり、担体に付着しているキトサンの比表面積は、キトサン1gあたり1m未満(測定下限0.92m以下)であった。
乾燥後の14mmのフィルタ部を用いて、前記ガラス管によって生じた9mmの空間に栓をした。そして、このガラス管とフィルタの接続部分にもシーリングテープを巻いて密閉した。したがって、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタの長さとしては、25mmとなる。
このたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。得られたサンプルのニコチン保持率は98%、タール保持率は100%、ホルムアルデヒド除去率は19%(すなわち、保持率81%)、通気抵抗は162mmWGであった。
なお、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を評価するための対照品としては、切断した14mmのフィルタ短片に何も処理をしないで使用する以外は、上記方法と同様にして作製したものを用いた。
(実施例
比較例1と同様にして、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)の末端から14mmの部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片のフィルター部に長20mm内径8mmのガラス管を残フィルター長に相当する長さ(11mm)だけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。
切断した短片すなわち14mmのフィルタ部を、脱アセチル化度95%のキトサン2重量%を含むキトサン水分散液(大日精化工業(株)製、「ダイキトサンFPスラリー」を水で3倍希釈したもの)に10分間浸漬した。浸漬後のフィルター部を、真空乾燥機に入れ、温度22℃および気圧80mmHgの条件で5時間乾燥させた。乾燥後得られたフィルター部に付着しているキトサンは13mg、水71mgであり、担体に付着しているキトサンの比表面積は、キトサン1gあたり1m未満(測定下限0.92m以下)であった。
乾燥後の14mmのフィルタ部を用いて、前記ガラス管によって生じた9mmの空間に栓をした。そして、このガラス管とフィルタの接続部分にもシーリングテープを巻いて密閉した。したがって、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタの長さとしては、25mmとなる。
このたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。得られたサンプルのニコチン保持率は83%、タール保持率は100%、ホルムアルデヒド除去率は45%(すなわち、保持率55%)、通気抵抗は179mmWGであった。
なお、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を評価するための対照品としては、切断した14mmのフィルタ短片に何も処理をしないで使用する以外は、上記方法と同様にして作製したものを用いた。
(実施例
比較例1と同様にして、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)の末端から14mmの部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片のフィルター部に長20mm内径8mmのガラス管を残フィルター長に相当する長さ(11mm)だけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。
切断した短片すなわち14mmのフィルタ部を、脱アセチル化度95%のキトサン2重量%を含むキトサン水分散液(大日精化工業(株)製、「ダイキトサンFPスラリー」を水で3倍希釈したもの)に10分間浸漬した。浸漬後のフィルター部を、真空乾燥機に入れ、温度22℃および気圧80mmHgの条件で6時間15分乾燥させた。乾燥後得られたフィルター部に付着しているキトサンは13mg、水19mgであり、担体に付着しているキトサンの比表面積は、キトサン1gあたり1m未満(測定下限0.92m以下)であった。
乾燥後の14mmのフィルタ部を用いて、前記ガラス管によって生じた9mmの空間に栓をした。そして、このガラス管とフィルタの接続部分にもシーリングテープを巻いて密閉した。したがって、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタの長さとしては、25mmとなる。
このたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。得られたサンプルのニコチン保持率は89%、タール保持率は97%、ホルムアルデヒド除去率は64%(すなわち、保持率36%)、通気抵抗は168mmWGであった。
なお、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を評価するための対照品としては、切断した14mmのフィルタ短片に何も処理をしないで使用する以外は、上記方法と同様にして作製したものを用いた。
(実施例
比較例1と同様にして、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)の末端から14mmの部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片のフィルター部に長20mm内径8mmのガラス管を残フィルター長に相当する長さ(11mm)だけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。
切断した短片すなわち14mmのフィルタ部を、脱アセチル化度95%のキトサン2重量%を含むキトサン水分散液(大日精化工業(株)製、「ダイキトサンFPスラリー」を水で3倍希釈したもの)に、さらにグリセリン1重量%を添加した分散液に10分間浸漬した。浸漬後のフィルター部を、真空乾燥機に入れ、温度22℃および気圧80mmHgの条件で8時間30分間乾燥させた。乾燥後得られたフィルター部に付着しているキトサンは13mg、グリセリン7mgであり、担体に付着しているキトサンの比表面積は、キトサン1gあたり1m未満(測定下限0.92m以下)であった。
乾燥後の14mmのフィルタ部を用いて、前記ガラス管によって生じた9mmの空間に栓をした。そして、このガラス管とフィルタの接続部分にもシーリングテープを巻いて密閉した。したがって、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタの長さとしては、25mmとなる。
このたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。得られたサンプルのニコチン保持率は99%、タール保持率は86%、ホルムアルデヒド除去率は51%(すなわち、保持率49%)、通気抵抗は158mmWGであった。
なお、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を評価するための対照品としては、切断した14mmのフィルタ短片に何も処理をしないで使用する以外は、上記方法と同様にして作製したものを用いた。
(実施例
比較例1と同様にして、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)の末端から14mmの部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片のフィルター部に長20mm内径8mmのガラス管を残フィルター長に相当する長さ(11mm)だけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。
切断した短片すなわち14mmのフィルタ部を、脱アセチル化度95%のキトサン2重量%を含むキトサン水分散液(大日精化工業(株)製、「ダイキトサンFPスラリー」を水で3倍希釈したもの)に、さらにグリセリン4重量%を添加した分散液に10分間浸漬した。浸漬後のフィルター部を、真空乾燥機に入れ、温度22℃および気圧80mmHgの条件で8時間30分間乾燥させた。乾燥後得られたフィルター部に付着しているキトサンは14mg、グリセリン27mgであり、担体に付着しているキトサンの比表面積は、キトサン1gあたり1m未満(測定下限0.92m以下)であった。
乾燥後の14mmのフィルタ部を用いて、前記ガラス管によって生じた9mmの空間に栓をした。そして、このガラス管とフィルタの接続部分にもシーリングテープを巻いて密閉した。したがって、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタの長さとしては、25mmとなる。
このたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。得られたサンプルのニコチン保持率は94%、タール保持率は93%、ホルムアルデヒド除去率は72%(すなわち、保持率28%)、通気抵抗は162mmWGであった。
なお、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を評価するための対照品としては、切断した14mmのフィルタ短片に何も処理をしないで使用する以外は、上記方法と同様にして作製したものを用いた。
(実施例
比較例1と同様にして、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)の末端から14mmの部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片のフィルター部に長20mm内径8mmのガラス管を残フィルター長に相当する長さ(11mm)だけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。
切断した短片すなわち14mmのフィルタ部を、脱アセチル化度90%のキトサン6重量%を含むキトサンのエタノール分散液(大日精化工業(株)製、)に10分間浸漬した。浸漬後のフィルター部を、真空乾燥機に入れ、温度22℃および気圧80mmHgの条件で5時間乾燥させた。乾燥後得られたフィルター部に付着しているキトサンは30mgであり、担体に付着しているキトサンの比表面積は、キトサン1gあたり9.8mであった。
乾燥後の14mmのフィルタ部を用いて、前記ガラス管によって生じた9mmの空間に栓をした。そして、このガラス管とフィルタの接続部分にもシーリングテープを巻いて密閉した。したがって、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタの長さとしては、25mmとなる。
このたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。得られたサンプルのニコチン保持率は96%、タール保持率は87%、ホルムアルデヒド除去率は66%(すなわち、保持率34%)、通気抵抗は186mmWGであった。
なお、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を評価するための対照品としては、切断した14mmのフィルタ短片に何も処理をしないで使用する以外は、上記方法と同様にして作製したものを用いた。
(実施例
比較例1と同様にして、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)の末端から14mmの部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片のフィルター部に長20mm内径8mmのガラス管を残フィルター長に相当する長さ(11mm)だけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。
切断した短片すなわち14mmのフィルタ部を、脱アセチル化度90%のキトサン6重量%を含むキトサンのエタノール分散液(大日精化工業(株)製)に、さらにグリセリン3重量%を添加した分散溶液に10分間浸漬した。浸漬後のフィルタ部を、真空乾燥機に入れ、温度22℃および気圧80mmHgの条件で5時間乾燥させた。乾燥後得られたフィルター部に付着しているキトサンは30mg、グリセリンは15mgであり、担体に付着しているキトサンの比表面積は、キトサン1gあたり7.5mであった。
乾燥後の14mmのフィルタ部を用いて、前記ガラス管によって生じた9mmの空間に栓をした。そして、このガラス管とフィルタの接続部分にもシーリングテープを巻いて密閉した。したがって、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタの長さとしては、25mmとなる。
このたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。得られたサンプルのニコチン保持率は88%、タール保持率は76%、ホルムアルデヒド除去率は77%(すなわち、保持率23%)、通気抵抗は182mmWGであった。
なお、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を評価するための対照品としては、切断した14mmのフィルタ短片に何も処理をしないで使用する以外は、上記方法と同様にして作製したものを用いた。
比較例4
フィラメントデニール2.2、トータルデニール40,000のセルロースジアセテート捲縮繊維トウ(ダイセル化学工業(株)製)に、可塑剤としての脱アセチル化度90%のキトサン40重量%を含むキトサンのトリアセチン分散液(大日精化工業(株)製)を添着して集束し、自動巻き上げ機により、長さ100mm、外径8mmのたばこフィルタロッドを作製し、これを長さ方向に4等分に切断し、長さ25mmのフィルタチップを得た。この長さ25mmのフィルタチップに付着しているキトサンは16mg、トリアセチンは23.8mgであり、担体に付着しているキトサンの比表面積は、キトサン1gあたり6.8mであった。
市販の煙草[ピース・ライト・ボックス(登録商標第2122839号)(日本たばこ産業株式会社製)]のセルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片部に長20mm内径8mmのガラス管を11mmだけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。キトサンのトリアセチン分散液を可塑剤として作製した前記フィルターチップを用いて、前記ガラス管によって生じた9mmの空間に栓をした。そして、このガラス管とフィルタの接続部分にもシーリングテープを巻いて密閉した。したがって、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタの長さとしては、25mmとなる。
このたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。得られたサンプルのニコチン保持率は93%、タール保持率は97%、ホルムアルデヒド除去率は38%(すなわち、保持率62%)、通気抵抗は164mmWGであった。
なお、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を評価するための対照品としては、可塑剤として、トリアセチンを使用する以外は、上記方法と同様にして作製したものを用いた。
(実施例
フィラメントデニール2.2、トータルデニール40,000のセルロースジアセテート捲縮繊維トウ(ダイセル化学工業(株)製)に、可塑剤としての脱アセチル化度90%のキトサン40重量%を含むキトサンのトリアセチン分散液(大日精化工業(株)製)100重量部に10重量部のグリセリンを添加したものを添着して集束し、自動巻き上げ機により、長さ100mm、外径8mmのたばこフィルタロッドを作製し、これを長さ方向に4等分に切断し、長さ25mmのフィルタチップを得た。この長さ25mmのフィルタチップに付着しているキトサンは15mg、トリアセチンは22.5mg、グリセリンは2mgであり、担体に付着しているキトサンの比表面積は、キトサン1gあたり3.4mであった。
市販の煙草[ピース・ライト・ボックス(登録商標第2122839号)(日本たばこ産業株式会社製)]のセルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片部に長20mm内径8mmのガラス管を11mmだけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。キトサンのトリアセチン分散液を可塑剤として作製した前記フィルターチップを用いて、前記ガラス管によって生じた9mmの空間に栓をした。そして、このガラス管とフィルタの接続部分にもシーリングテープを巻いて密閉した。したがって、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタの長さとしては、25mmとなる。
このたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。得られたサンプルのニコチン保持率は93%、タール保持率は97%、ホルムアルデヒド除去率は38%(すなわち、保持率62%)、通気抵抗は168mmWGであった。
なお、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を評価するための対照品としては、可塑剤として、トリアセチンを使用する以外は、上記方法と同様にして作製したものを用いた。
(実施例
フィラメントデニール2.2、トータルデニール40,000のセルロースジアセテート捲縮繊維トウ(ダイセル化学工業(株)製)に、可塑剤としての脱アセチル化度90%のキトサン40重量%を含むキトサンのトリアセチン分散液(大日精化工業(株)製)100重量部に10重量部のジアセチンを添加した混合液を添着して集束し、自動巻き上げ機により、長さ100mm、外径8mmのたばこフィルタロッドを作製し、これを長さ方向に4等分に切断し、長さ25mmのフィルタチップを得た。この長さ25mmのフィルタチップに付着しているキトサンは15.5mg、トリアセチンは23.3mg、ジアセチンは2.1mgであり、担体に付着しているキトサンの比表面積は、キトサン1gあたり3.2mであった。
市販の煙草[ピース・ライト・ボックス(登録商標第2122839号)(日本たばこ産業株式会社製)]のセルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片部に長20mm内径8mmのガラス管を11mmだけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。キトサンのトリアセチン分散液を可塑剤として作製した前記フィルターチップを用いて、前記ガラス管によって生じた9mmの空間に栓をした。そして、このガラス管とフィルタの接続部分にもシーリングテープを巻いて密閉した。したがって、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタの長さとしては、25mmとなる。
このたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。得られたサンプルのニコチン除去率は5%、タール除去率は2%、ホルムアルデヒド除去率は68%、通気抵抗は172mmWGであった。
なお、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を評価するための対照品としては、可塑剤としてのトリアセチンおよびジアセチンを使用する以外は、上記方法と同様にして作製したものを用いた。
結果を表1に示す。
Figure 0004937104

Claims (14)

  1. 担体にアミノ基を有する多糖類が付着したたばこフィルター用素材であって、担体が、粉粒状のアミノ基を有する多糖類および分散媒で構成された分散液で付着処理されており、
    前記分散媒が、
    (1)水、沸点50〜145℃のモノオール類および沸点150〜500℃のポリオール類から選択された少なくとも1種のヒドロキシル基を有する分散媒、
    (2)担体に対する可塑剤としてのポリオール類の低級脂肪酸エステルと、水、沸点50〜145℃のモノオール類および沸点150〜500℃のポリオール類から選択された少なくとも1種のヒドロキシル基を有する溶媒とを含む分散媒、又は
    (3)担体に対する可塑剤としての少なくともアルカントリオールジアシレートを含む分散媒であり、
    前記分散媒が、担体100重量部に対して0.5〜100重量部の割合で残存しているたばこフィルター用素材。
  2. 担体が、トウ構造を有する担体であり、アミノ基を有する多糖類がキトサンである請求項1記載のたばこフィルター用素材。
  3. 分散液において、粉粒状のアミノ基を有する多糖類の平均粒径が0.5〜50μmである請求項1又は2記載のたばこフィルター用素材。
  4. 分散媒が、保湿成分としてのポリオール類を含む請求項1〜のいずれかに記載のたばこフィルター用素材。
  5. ポリオール類が、C2−6アルカンジオール、ジ乃至テトラC2−4アルキレングリコール、およびC3−10アルカントリオールから選択された少なくとも1種で構成されている請求項記載のたばこフィルター用素材。
  6. 分散媒が、(1a)水及び/又はモノオール類と、ポリオール類とを含む分散媒、(2a)可塑剤とポリオール類とを含む分散媒、又は(3a)アルカントリオールジアシレートとアルカントリオールトリアシレートとを含む分散媒である請求項1〜5のいずれかに記載のたばこフィルター用素材。
  7. 分散液が、平均脱アセチル化度70%以上で、かつ平均粒径1〜20μmのキトサンと、C3−6アルカントリオールとで少なくとも構成されている請求項1〜6のいずれかに記載のたばこフィルター用素材。
  8. アミノ基を有する多糖類の付着量が、担体100重量部に対して1〜100重量部である請求項1〜7のいずれかに記載のたばこフィルター用素材。
  9. アミノ基を有する多糖類の付着量が、担体100重量部に対して1〜80重量部であり、分散媒の残存量が、アミノ基を有する多糖類100重量部に対して5〜400重量部である請求項1〜8のいずれかに記載のたばこフィルター用素材。
  10. 残存している分散媒が、少なくとも保湿成分としてのポリオール類で構成されており、前記ポリオール類の含有量が、アミノ基を有する多糖類100重量部に対して、3〜200重量部である請求項1〜のいずれかに記載のたばこフィルター用素材。
  11. 担体を、粉粒状のアミノ基を有する多糖類および請求項1記載の分散媒で構成された分散液で付着処理する請求項1記載のたばこフィルター用素材の製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載のたばこフィルター用素材で構成されたたばこフィルター。
  13. 請求項1〜10のいずれかに記載のたばこフィルター用素材でたばこフィルターを構成することにより、たばこ煙中のホルムアルデヒドを低減する方法であって、ニコチンおよびタールをそれぞれ保持率75%以上に保持しつつ、ホルムアルデヒド保持率を65%以下にする方法。
  14. 請求項12記載のたばこフィルターを備えたたばこ。
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