JP5351573B2 - たばこフィルタ素材およびそれを用いたたばこフィルタ。 - Google Patents

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Description

本発明は、ニコチンやタールなどの喫味成分を保持しつつ、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に効率よく除去するのに有用なたばこフィルタ用素材、このたばこフィルタ用素材で構成されたたばこフィルタおよびこのたばこフィルタを備えたたばこに関する。
たばこ煙中の成分をろ過するための吸着体として種々の構成成分が提案されている。このような構成成分としては、酸性成分の吸着、ホルムアルデヒドの吸着などを目的としてアミン成分などの塩基性成分を添加するものが多く報告されている。
例えば、特開昭59−88078号公報(特許文献1)、特開昭59−1519882号公報(特許文献2)、および特開昭60−54669号公報(特許文献3)には、活性炭素にポリエチレンイミンや蒸気圧が低い脂肪族アミンを添着させたタバコ煙フィルタ用吸着剤を、特表2002−528105号公報(特許文献4)および特表2002−528106号公報(特許文献5)には、3−アミノプロピルシリルおよび関連原子団を共有結合したたばこフィルタを、特表2003−505618号公報(特許文献6)にはアンモニウム塩を含む充填材を、特開昭57−71388号公報(特許文献7)には、タバコの風味を向上させるためアミノ酸を添加することをそれぞれ開示している。
しかし、上記のような塩基性成分の多く、特に合成高分子アミンは、分解や低分子量成分の残存により特有のアミン臭を呈することが多い。また、塩基性成分自体又はその中に含まれる揮発性物質は、揮発して人体に対して毒性を示すことが多い。なお、塩基性成分は、添着する際の液性を酸性側にすることにより、その揮発を抑制できるが、何らかの理由、例えば、他の塩基性物質との接触や加水分解などにより、遊離する虞がある。また、アミノ酸などは、多くの場合に結晶化し、揮発性も低いが、このような結晶状態では、吸着に対する活性が低く、十分な効果を期待できない。このように、通常の塩基性成分を用いた吸着体では、酸性物質やアルデヒドなどの除去にある程度有効であると考えられるものの、安全性やその効果に問題があり、たばこフィルタ用吸着剤として実用的でなかった。
一方、このような塩基性物質のうち、キチンやキトサンなどのキトサン誘導体は、結晶化や揮発を生じることがなく、また、人体に対しても安全であり、抗菌性を有することが知られている。例えば、特開平11−100713号公報(特許文献8)には、キトサンを含有し、滅菌率が26%以上であるキトサン含有セルロースアセテート繊維が開示されている。この文献には、セルロースアセテートの溶剤にキトサンを所定の大きさ以下(最大粒子径3μm以下)に粉砕、分散させた分散液を添加又は混合する方法、直接キトサンを添加又は混合し、所定の分散条件によりキトサンの大きさを調製する方法などにより、キトサンを紡糸原液中に分散含有させることが記載されている。
また、このようなキチンやキトサン誘導体を用いたたばこフィルタも提案されている。
例えば、特開昭53−142600号公報(特許文献9)には、タバコフィルタ素材に対してキチンもしくはキチン誘導体を3wt%以上の割合で含有するタバコフィルタが開示されている。この文献には、キチンはポリ−N−アセチル−D−グルコサミンであり、このキチンを含有させる方法として、キチンから得られる粉末を直接タバコフィルタ素材に配合してもよくあるいはキチンを無水酢酸、ジクロル酢酸、メタンスルホン酸あるいはリチウム、カルシウム、マグネシウムの塩化物あるいは臭化物を含有するジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の極性溶媒に溶解した後イソプロピルエーテル等の凝固液中に押出して繊維化あるいはフィルム化して得た繊維あるいはフィルムを配合してもよいことが記載されている。また、この文献には、キチンおよびキチン誘導体はその構造にアセチル基を所有するために、特にアセテートフィルタに配合した場合、アセテートのアセチル基との相乗効果によって独特の軽い香喫味をタバコに与えることが記載されており、具体的には、実施例において、タールの除去率が34〜41%、ニコチンの除去率が28から29%であり従来品と同等もしくはそれ以上であったことが記載されている。
特開昭60−168373号公報(特許文献10)には、キチン又はその誘導体(キチンのアセチルアミノ基の一部又は全部を脱アセチル化したキトサン、そのOH基やCH2OH基がエーテル化、エステル化、ヒドロキシエチル化あるいはO−メチル化された化合物など)からなる繊維を素材とするタバコ用フィルターが開示されている。この文献には、前記繊維を製造する方法として、キチン又はその誘導体を溶剤に溶かしてドープとなし、このドープを湿式紡糸して繊維化する方法が好ましく用いられることが記載されている。この文献のたばこフィルタは、トリアセチルセルロースやレーヨンを素材としたフィルタに比べて使用中にタールやニコチンを吸着しやすく、従来のものに比べて1.5〜2倍以上の吸着付着能力を有している。
特開昭62−111679号公報(特許文献11)には、喫煙時における煙中の変異原物質を除去するために、多糖類イオン交換体や粉末状多糖類(セルロース、アガロース、アミロース、キチン、キトザンなど)を含有するたばこ用フィルター材が開示されている。この文献には、多糖類イオン交換体や粉末状多糖類をたばこ本体のフィルタとして、またアセテートフィルタの空間に分散またははさみ混む形状で使用できることが記載されている。
国際公開公報 WO2004/026054号公報(特許文献12)には、炭酸塩およびリン酸塩からなる群より選択される無機塩性物質と、保湿剤とを含有することを特徴とするたばこ用フィルタが開示されている。この技術の解決しようとする課題は、たばこの喫味を悪くするなどの影響が少なく、しかもたばこ主流煙のアルデヒド類を効果的に低減させることができるたばこ用フィルタを提供することである。この技術では無機塩基性物質と保湿剤とを併用すると、たばこ主流煙のアルデヒド類をより効果的に低減することができることが記載されており、保湿剤としては、グリセリン、プロピオン酸ナトリウム、硫酸ナトリウムからなる群から選択されるものが用いられる。無機塩基性物質と保湿剤との担持体としてはフィルタ素材が用いることができることが記載されており、具体的な担持体としてはアセテートトウ、紙、パルプ不織布など、通常のフィルタろ材を用いることができることが記載されている。そして、無機塩基性物質の含有量としては3.5mg以上と開示されており、この量より少ないとアルデヒド類の低減効果が充分に得られ難いことが記載されている。実施例においては、炭酸ナトリウムを用いており、含有量としては3.5、7.0、10.5mgの場合のホルムアルデヒド溜出量が開示されている。
なお、従来、ニコチンやタールがタバコ煙中の主な有害成分と考えられ、ニコチンやタールのデリバリーに関心がもたれ、多くの国でニコチンとタールの表示義務が課せられている。
しかし、ニコチンそのものは、タバコの嗜好成分であり、喫煙の満足感に直接関与すると考えられる。また、タールについても、タバコ煙成分中のタール成分を相対的に高いレベルで除去することは、香喫味を損なうために好ましいことではない。すなわち、タールやニコチンを含めた揮発性の低い煙成分を無差別に除去すると、味が軽くなるとともに満足感が得られなくなる。
一方、アルデヒド類、特にホルムアルデヒドは、刺激的な臭いを有するだけでなく、最近アレルギーの原因物質のひとつとして注目されているように、健康上好ましくない物質であり、極力除去することが好ましい。
従って、タバコ煙成分中のタールやニコチンの量を相対的に高いレベルに保ったまま、煙成分中のアルデヒド成分(特にホルムアルデヒド)のみを選択的に除去することが求められている。 しかし、上記のようなキチンやキトサン誘導体を用いたばこフィルタは、比較的人体に対して安全である一方で、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類だけでなく、ニコチンやタールなどの物質も多く除去してしまうため、喫味(又は香喫味)を損なう。
したがって、ホルムアルデヒドの選択吸着性を維持しつつ、タールやニコチンの吸着量が少ないたばこ煙用フィルタが求められていた。
特開昭59−88078号公報(特許請求の範囲) 特開昭59−1519882号公報(特許請求の範囲) 特開昭60−54669号公報(特許請求の範囲) 特表2002−528105号公報(特許請求の範囲) 特表2002−528106号公報(特許請求の範囲) 特表2003−505618号公報(特許請求の範囲) 特開昭57−71388号公報(特許請求の範囲) 特開平11−100713号公報(特許請求の範囲、段落番号[00 12]) 特開昭53−142600号公報(特許請求の範囲、第2頁左上欄1 行〜右上欄2行、実施例) 特開昭60−168373号公報(特許請求の範囲、第1頁右欄1 6行〜第2頁右上欄15行) 特開昭62−111679号公報(特許請求の範囲、第2頁左上欄 1〜17行) 国際公開公報 WO2004/026054号公報(特許請求の範囲、段落番号[0005]、[0011]、[0012]、[0014]、[0030]、[0031]、[0032])
従って、本発明の目的は、より少ない添加量でありながら、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に除去するのに有用なたばこフィルタ用素材を提供することにある。
本発明の他の目的は、たばこフィルタの構成成分として好適に利用でき、タールやニコチンなどの喫味(又は香喫味)成分を高濃度で維持しつつ、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を効率よく除去できるたばこフィルタ用素材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、人体に対して安全で、喫味を損なうことなく、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に除去でき除去でき、かつ通気抵抗の変化がすくないたばこフィルタを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、無機塩基性物質と特定のシリカゲル(特に、平均孔径20nm以上程度のシリカゲル)とを組み合わせたたばこフィルタ用素材でたばこフィルタなどを構成すると、細孔径の大きいシリカゲルでは、水がより自由水に近い状態で存在できるため、担持物質に作用し、有害物質の低減に有効な状態を実現することができ、有害物質の低減に有効に働くことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のたばこフィルタ用素材は、無機塩基性物質と平均細孔径が20nm以上であるシリカゲルとで構成されている。前記たばこフィルタ用素材は、特に、温度22℃および60%RHにおいて、平衡水分率が0.01〜5.00%であるシリカゲルに無機塩基性物質が担持された複合物であってもよい。 前記たばこフィルタ用素材は無機塩基性物質が炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機金属塩、特には無機アルカリ土類金属塩、無機アルカリ金属塩であってもよい。特には、炭酸金属塩であってもよい。または、水酸化カルシウムなどの塩基であってもよい。
前記シリカゲルは、シリカゲルの粒度は、その90重量%以上が10メッシュパスでありかつ70メッシュオン(好ましくは10メッシュパス50メッシュオン、特に好ましくは10メッシュパス32メッシュオン、より好ましくは14メッシュパス25メッシュオン)であってもよい。また、前記シリカゲルの平均細孔径が20nm以上で320nm以下(例えば25nm以上で320nm以下、例えば30nm以上320nm以下)であってもよい。
このような平均細孔径が適度に大きいシリカゲルは、無機塩基性物質の組み合わせにより、一層アルデヒド類の選択除去性を向上できる。また、温度22℃および60%RHにおいて、前記シリカゲルの平衡水分率は0.10〜5.00%程度(例えば0.10〜1.00%)であってもよい。前記たばこフィルタ用素材において、無機塩基性物質の割合は、シリカゲル100重量部に対して、例えば、0.03〜3.0重量部程度、例えば0.3〜2.0重量部程度であってもよい。
代表的な本発明のたばこフィルタ用素材では、(i)無機塩基性物質がアルカリ金属炭酸塩であり、(ii)シリカゲルが、平均細孔径25nm以上、温度22℃および60%RHにおける平衡水分率0.10〜1.00%のシリカゲルであり、(iii)無機塩基性物質の割合がシリカゲル100重量部に対して、0.5〜1.5重量部であってもよい。
本発明のたばこフィルタ用素材は、アルデヒド類の選択除去性に優れており、特に、たばこフィルタ用途に用いるためのたばこフィルタ用素材であってもよい。
本発明には、前記たばこフィルタ用素材で構成されたたばこフィルタも含む。このようなたばこフィルタは、アルデヒド類(特にホルムアルデヒド)を効率よく選択除去できるので、好適である。
本発明のたばこフィルタの場合、少なくとも3個の部分から構成されているたばこフィルタであって、中間部に請求項1記載のたばこフィルタ素材が配置されているたばこフィルタであってもよい。
また本発明のたばこフィルタにおいては、両端部がセルロースエステル繊維を含むトウ構造のフィルタロッドから構成されているたばこフィルタであってもよい。
本発明のたばこフィルタ用素材は、無機塩基性物質とシリカゲル(特に平均孔径30nm以上のシリカゲル)とを組み合わせているのでアルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に除去するのに有用である。
特に、本発明のたばこフィルタ用素材は、無機塩基性物質のたばこフィルタへの添加量が少ない場合でも優れたアルデヒド類の低減効果を有する。そして、タールやニコチンなどの喫味(又は香喫味)成分を高濃度で維持しつつ、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を効率よく除去できる。そのため、本発明のたばこフィルタでは、人体に対して安全で、喫味を損なうことなく、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に除去できる。
[たばこフィルタ用素材]
本発明のたばこフィルタ用素材(複合たばこフィルタ用素材、複合物などということがある)は、無機塩基性物質およびシリカゲルで構成されている。
(無機塩基性物質)
無機塩基性物質としては、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属の塩が含まれる。またアルカリ土類金属、アルカリ金属の水酸化物も含まれる。好適な無機塩基性物質はアルカリ土類金属またはアルカリ金属の炭酸塩、及びリン酸塩である。前記炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが例示できる。また前記リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素ナトリウムなどが例できる。
(シリカゲル)
本発明では、前記無機塩基性物質とシリカゲルとを組み合わせることにより、アルデヒド類の選択吸収性を向上させる。シリカゲルの平均粒径は、用途に応じて適宜選択でき、例えば、50〜2500μm、好ましくは200〜2000μm、さらに好ましくは400〜1500μm(例えば、500〜1200μm)程度であってもよく、通常500〜1200μm程度であってもよい。上記のような範囲であれば、適度な通気抵抗を損なうことなく、たばこフィルタなどに適用できる。
シリカゲルの粒度について言えば、シリカゲルの粒度が、90重量%以上が、10メッシュパス70メッシュオン、好ましくは10メッシュパス50メッシュオン、特に好ましくは12メッシュパス36メッシュオン、より好ましくは14メッシュパス32メッシュオンのものを用いることができる。例えば、14メッシュパスでかつ32メッシュオンであるものを用いることが出来る。すわなち、粒度として0.50mm以上であり1.20mm以下であるシリカゲルを用いることができる。
シリカゲルの平均細孔径(平均孔径)は、20nm以上で320nm以下(例えば25nm以上で320nm以下、例えば30nm以上320nm以下)であってもよい。
通常、吸湿剤として用いられるシリカゲルの平均細孔径は10nm以下の小さいものである。これは、平均細孔径が小さいほど、シリカゲル単位重量当りの吸着量が多いいため、少量のシリカゲルで多量の目的物質を吸着することができ好適であるためである。
同様な目的でガスなどの吸着にも、比較的小さい細孔径を有するシリカゲルが使用される。これに対して、本発明では、大きい細孔径を有するシリカゲルと前記無機塩基性物質との組み合わせて、アルデヒド類の選択除去性をより一層高めることができる。
シリカゲルの比表面積(平均比表面積)は、例えば、0.5m/g以上(例えば、1〜500m/g程度)、好ましくは1.5m/g以上(例えば、2〜300m/g程度)、さらに好ましくは5m/g以上(例えば、6〜200m/g程度)であってもよく、通常3〜150m/g(例えば、4〜140m/g、好ましくは5〜130m/g、さらに好ましくは6〜120m/g、特に7〜115m/g程度)であってもよい。
シリカゲルの平均細孔容積は、例えば、0.1〜2mL/g、好ましくは0.5〜1.2mL/g、さらに好ましくは0.8〜1.2mL/g程度であってもよい。
また、シリカゲルの温度22℃および60%RHにおける平衡水分率(又は平衡吸水率、すなわち、温度22℃および60%RHの条件下で、平衡状態における水分含有率)は、例えば、0.01〜50%、好ましくは0.1〜30%程度であってもよい。特に、本発明では、温度22℃および60%RHにおける平衡水分率が、例えば、0.01〜3.50%(例えば、0.10〜2.80%)、好ましくは0.05〜2.0%(例えば、0.12〜1.90%)、さらに好ましくは0.10〜1.0%(例えば、0.15〜0.98%)のシリカゲルを好適に使用してもよい。
なお、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類は水に可溶である場合が多いため、ホルムアルデヒドの除去という観点からは、たばこフィルタなどは、水分を多く含んでいるのが好ましい。しかし、多量の水分は、たばこに対する悪影響(例えば、喫味の低下など)を及ぼす虞がある。本発明では、特定の平均細孔径と平衡水分量のシリカゲルを使用するので、たばこフィルタそのものに水分を含有させる必要はないため、特に、上記のような比較的小さい水分吸収能を有するシリカゲルを用いると、たばこに悪影響を及ぼすことなく、たばこフィルタに適度な水分を含有させ、ホルムアルデヒドを効率よく選択除去できる。
なお、シリカゲルは、表面処理されていてもよい。また、シリカゲルの形状は、通常、粒子状(又は粉粒状)であり、このような粉粒状シリカゲルの形状(表面形状)は、滑らかな形状(球状など)であってもよく、凹凸状(例えば、破砕状など)であってもよい。 所望する平均細孔径と粒度のシリカゲルが入手できない場合は、平均細孔径が所望する大きな粒子のシリカゲルを破砕した上で篩で分級して所望の粒度のものを得ることができる。
無機塩基性物質の割合は、仕上がり組成比として、シリカゲル90重量部から99重量部であり、無機塩基性物質は、0.03〜3.0重量部程度、好ましくは0.20〜2.00重量部、特に好ましくは0.22〜1.30重量部である。シリカゲルを用いることにより、この仕上げ組成比の中には水分が含まれており、水分量としては1.10重量部から6.00重量部、好ましくは1.40〜5.50重量部、特に好ましくは2.50〜4.50重量部である。
なお、本発明のたばこフィルタ用素材では、ごく少量、例えば、シリカゲル100重量部に対して1.3重量部以下の無機塩基性物質を含有させても顕著なアルデヒド類の低減効果を有する。
前記たばこフィルタ用素材は、好ましい形態では、前記たばこフィルタ用素材において、無機塩基性物質がシリカゲルに担持されシリカゲル表面に付着していてもよい。
(たばこフィルタ用素材)
以下本発明のたばこフィルタ用素材について説明をする。
なお、前記たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)は、さらに他の成分、例えば、無機微粉末(カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなど)、熱安定化剤(アルカリ又はアルカリ土類金属の塩など)、着色剤、白色度改善剤、油剤、歩留まり向上剤、サイズ剤、生分解又は光分解促進剤(アナターゼ型酸化チタンなど)、天然高分子又はその誘導体(セルロース粉末など)などを含んでいてもよい。他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
本発明のたばこフィルタ用素材は、各成分の含有形態に応じて調製でき、例えば、無機塩基性物質とシリカゲルと(必要に応じて、保湿剤などの他の成分と)を接触(又は混合)させることにより製造できる。
特に、無機塩基性物質とシリカゲルと(必要に応じて保湿剤などの他の成分と)の複合物[又は無機塩基性物質(および保湿剤)を含むシリカゲル、特に無機塩基性物質(および保湿剤)がシリカゲルに担持した複合物]は、例えば、無機塩基性物質(および保湿剤などの他の成分)を含む溶液又は分散液をシリカゲルに添加する方法(添加法)、無機塩基性物質(および保湿剤などの他の成分)を含む溶液又は分散液にシリカゲルを浸漬する方法などにより調製できる。前記添加法において、添加方法としては、特に制限されず、溶液又は分散液をシリカゲルに噴霧、散布するなどの方法で添加してもよい。
溶液又は分散液の調製に用いる溶媒としては、特に制限されず、前記無機塩基性物質を溶解するものであれば何れも使用することができ、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルカノール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、カルビトール類など)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。通常、溶媒は、水で構成する場合が多い。
なお、溶液又は分散液において、固形分[無機塩基性物質(および保湿剤などの他の成分)]の割合は、例えば、0.05〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%程度であってもよい。なお、付着処理後又は担持処理後のシリカゲルには、溶媒を除去するため、乾燥処理を施してもよい。乾燥処理は、真空乾燥、熱風乾燥などを利用できる。真空乾燥方法と熱風乾燥方法が好適に用いることができる。
本発明のたばこフィルタ用素材は、アルデヒド類を選択的に除去できるので、たばこフィルタ用素材(特に、脱ホルムアルデヒド用たばこフィルタ用素材)として有用である。このため、本発明のたばこフィルタ用素材は、例えば、フィルタ用途、特にたばこフィルタに好適に適用できる。以下、たばこフィルタ用途について詳述する。
(たばこフィルタ)
前記のように、本発明のたばこフィルタ用素材は、たばこフィルタを構成できる。すなわち、本発明のたばこフィルタは、通常、たばこフィルタを構成する素材(たばこフィルタ用素材)と、前記たばこフィルタ用素材とで構成できる。そして、このようなたばこフィルタは、たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ、単に、フィルタ用素材、素材などということがある)に前記たばこフィルタ用素材を含有させることにより製造できる。

前記たばこフィルタ用素材を含有させる方法としては、たばこフィルタ用素材に、本発明のフィルタ用素材の構成成分を含有させる方法であってもよい。また、フィルタ用素材の一部分を前記本発明のフィルタ用素材の構成成分に置き換えることでもよい。
代表的なたばこフィルタとしては、例えば、(i)たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)と、このたばこフィルタ用素材に充填された前記たばこフィルタ用素材(特に複合物)とで構成されたたばこフィルタ、(ii)たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)に前記たばこフィルタ用素材(特に複合物)が分散されたたばこフィルタなどが挙げられる。好ましい形態には、充填されたたばこフィルタ(i)が含まれる。
(トリプル構造のたばこフィルタ)
本発明のたばこフィルタ用素材が充填されたたばこフィルタ(i)では、例えば、複数に分割[2分割(デュアル(dual)、3分割(トリプル(triple)など]された構造を有するたばこフィルタ用素材の少なくとも一つの分割部分(例えば、2分割されたフィルタ用素材の一方の部分、3分割されたフィルタ用素材の中央部分など)を、前記たばこフィルタ用素材(又は前記たばこフィルタ用素材が充填されたフィルタ用素材)で構成(又は置換又は充填)することにより、たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)に前記たばこフィルタ用素材を充填してもよい。
以下に本発明の少なくとも3個の部分から構成されているたばこフィルタについて説明する。
本発明のトリプル構造のたばこフィルタは少なくとも3個の部分から構成されていることを特徴とする。すなわち、たばこフィルタが少なくとも両端部、中間部の3個の部材から構成されており、中間部(すなわち中央の部分)に本発明の担持体が配置されている構造を取る。
本発明のたばこフィルタでは両端部にフィルタロッドで形成した部分を配置し、中央部にはフィルタロッドではなく、本発明のたばこフィルタ用素材を配置する構造を取る。この構造のたばこフィルタとした場合には通気抵抗を低くすることができ好ましい。
なお、フィルタロットの素材は、公知のものをもちいることができる。例えば、セルロースエステル繊維、セルロース繊維[木材繊維(針葉樹、広葉樹などの木材パルプ繊維など)、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)など}などの繊維(又は繊維状物質)、などで構成できる。これらのたばこフィルタ用素材の構成成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
また、フィルタロットの構造はトウ構造とするのが好ましい、前記トウ構造は、繊維(特にセルロースエステル繊維)の単繊維(フィラメント)を束ねる(集束する)ことにより形成された繊維束の形態であり、このようなトウ構造のフィルタ素材において、トウ(繊維束)を構成するフィラメント数は、例えば、3000〜1000000本(例えば、3000〜100000本)、好ましくは5000〜100000本程度であってもよい。
前記たばこフィルタは、たばこフィルタ用素材又はたばこフィルタの構造に応じて慣用の方法により成形できる。例えば、前記充填されたたばこフィルタでは、予め前記たばこフィルタ用素材により成形されたフィルタープラグの空間に前記フィルタ素材を充填する方法などにより製造してもよい。
また、前記たばこフィルタのニコチン保持率(重量換算)およびタール保持率(重量換算)は、それぞれ、50%以上(例えば、55〜100%)の範囲から選択でき、例えば、60%以上(例えば、65〜100%)、好ましくは70%以上(例えば、75〜99%)、さらに好ましくは75%以上(例えば、80〜98%)、特に80%以上(例えば、85〜97%)程度である。
特に、前記たばこフィルタのニコチン保持率(重量換算)は、60%以上(例えば、65〜100%)の範囲から選択でき、例えば、70%以上(例えば、75〜99%)、好ましくは80%以上(例えば、82〜98%)、さらに好ましくは85%以上(例えば、88〜97%)程度である。また、前記たばこフィルタのタール保持率(重量換算)は、50%以上(例えば、55〜100%)の範囲から選択でき、例えば、55%以上(例えば、60〜100%)、好ましくは65%以上(例えば、70〜99.9%)、さらに好ましくは70%以上(例えば、75〜99.5%)、特に75%以上(例えば、80〜99%)程度である。
なお、前記保持率(ホルムアルデヒド保持率、ニコチン保持率、タール保持率)とは、前記たばこフィルタを通過するたばこ煙中のホルムアルデヒド量(又はニコチン量又はタール量)を基準として測定できる。すなわち、前記「保持率」とは、前記たばこフィルタ用素材を含まないたばこフィルタ用素材で構成されたたばこフィルタを所定の条件(流量、時間、回数など)において通過するたばこ煙中のホルムアルデヒド量(又はニコチン量又はタール量)をXとし、同一の条件(流量、時間、回数など)において、前記たばこフィルタ用素材で構成されたたばこフィルタを通過するたばこ煙中のホルムアルデヒド量(又はニコチン量又はタール量)をYとするとき、下記式で表される。
保持率(%)=(Y/X)×100
また、本発明では、たばこフィルタの通気抵抗を増大させることなく、たばこフィルタ内に前記たばこフィルタ用素材を組み込むことができる。そのため、本発明のたばこフィルタは、たばこ煙用に適した通気性を有しており、たばこフィルタの通気抵抗は、長さ120mm、円周24.5±0.2mmのたばこフィルタを、流量17.5ml/秒で空気を通過させたときの圧力損失で測定したとき、150〜600mmWG(ウォーターゲージ)の範囲から選択でき、例えば、160〜300mmWG、好ましくは170〜250mmWG、さらに好ましくは170〜190mmWG程度であってもよい。
また、本発明のたばこは、前記たばこフィルタ(又はたばこフィルタ用素材)を備えている。
[実施例]
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において各特性(通気抵抗、ニコチン量、タール量、ホルムアルデヒド量)は、市販のたばこ[ピース・ライト・ボックス(登録商標第2122839号)(日本たばこ産業株式会社製)]を用いて、下記の方法により測定した。
[通気抵抗]
上記のたばこ[ピース・ライト・ボックス(登録商標)(日本たばこ産業株式会社製)]の通気抵抗を直接、たばこ葉の部分を含むたばこ煙用フィルタサンプルを用いて測定した。このサンプルにおいて、フィルタ部分の長さは25mm、円周は約25mmであった。通気抵抗は、たばこ煙用フィルタサンプル内に、流量17.5ml/秒で空気を通過させたときの圧力損失(mmWG)として、自動通気抵抗測定器(フィルトローナ社製、FTS300)を用いて測定した。
[ニコチン量、タール量]
たばこ煙用フィルタサンプルを用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件での喫煙を、計10本のたばこフィルタサンプルについて行った。フィルタを通過した煙中のニコチン及びタールはガラス繊維製フィルタ(ケンブリッジフィルタ)で捕集し、ニコチン量はガスクロマトグラフ((株)日立製作所製G−3000)を用いて測定した。タール量は重量法により測定を行った。
対照品のケンブリッジフィルタに付着したニコチン量およびタール量をそれぞれTn、Ttとし、比較例及び実施例でケンブリッジフィルタに付着したニコチン量およびタール量をそれぞれCn、Ctとして次式によりニコチン及びタールの除去率を算出した。
ニコチン除去率(%)=100×(1−Cn/Tn)
タール除去率(%)=100×(1−Ct/Tt)。
[ホルムアルデヒド除去率]
たばこ煙用フィルタサンプルを用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件で喫煙を行った。フィルタを通過した煙中のホルムアルデヒドは、DNPH(ジニトロフェニルヒドラジン)溶液で捕集し、DNPHで誘導体化した上でガスクロマトグラフ((株)日立製作所製G−3000)を用いてUV(紫外線)の吸光度を用い測定した。
対照品で捕集されたホルムアルデヒド量Tfとし、下記の比較例及び実施例で捕集したホルムアルデヒド量をCfとして次式によりホルムアルデヒド除去率を算出した。
ホルムアルデヒド除去率(%)=100×(1−Cf/Tf)。
(比較例1〜9)シリカゲル単独
比較例1〜9では、シリカゲル(富士シリシア株式会社製、商品名、MB4B、MB300、MB500、MB800、MB1000、MB3000、の各種破砕品、CARiACT Q−10、CARiACT Q−15、CARiACT Q−30の球状品、性状は表1参照)を単独で使用した。各シリカゲルは、22℃、湿度60%の空調室に静置して、平衡になるまで調湿して用いた。
Figure 0005351573
市販の煙草[ピース・ライト・ボックス(登録商標第2122839号)(日本たばこ産業株式会社製)]のセルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)の末端から14mmの部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片のフィルタ部に長さ20mm、内径8mmのガラス管を残フィルター長に相当する長さ(11mm)だけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。
このガラス管によって生じた空間に、上記シリカゲル100mgを充填した。次に、先に切断した短片すなわち、14mmのフィルタ部(110mg)を用いてガラス管に栓をした。そして、このガラス管とフィルタの接続部分にもシーリングテープを巻いて密閉した。したがって、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタの長さとしては、25mmとなる。また、フィルタ間の延長された部分にはシリカゲルの粒子が充填されている状態とした。シリカゲルの充填量は煙草一本当たり100mgであった。
得られたたばこサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。そして、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率(削減率)を前記式により算出した。結果を表2に示した。
Figure 0005351573
なお、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を評価するための対照品としては、シリカゲルを充填しない以外は、上記方法と同様にして作製したもの(以下の実施例および比較例において同じ)を用いた。
(実施例1〜6)
実施例1〜6では、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムとシリカゲルの複合体を得た。複合体は以下の方法で作成した。
表3に記載した量の炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムと水をガラス容器に取り、溶解して、水溶液を作製する。この水溶液に表3に記載した量のシリカゲル(富士シリシア株式会社製、「MB300相当破砕状品」、粒度16〜32メッシュ)を添加し、ガラス容器に蓋をして、水溶液がシリカゲルに吸収され、見かけ上均一な状態になるまで、容器ごと振り混ぜて、見かけ上均一な粒子状の含水混合組成物を得た。得られた含水混合組成物を真空乾燥機を用いて、温度60℃で、重量変化がなくなるまで乾燥し絶乾重量を得た、次いで、22℃、湿度60%の空調室に、重量変化がなくなるまで静置し調湿重量を得たこの調湿したサンプルをもって6種類の評価用の複合体サンプルとした。
Figure 0005351573
この6種類の複合体サンプル100mgを、比較例1と同様にして、たばこに充填した。得られたたばこサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。また、表3の添加量と絶乾重量から仕上がり組成を求めた。そして、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を前記式により算出した。得られた結果を表4に示した。
Figure 0005351573
(実施例7〜12)
真空乾燥の代わりに、熱風乾燥機を用いて105℃で2時間乾燥した以外は、実施例1〜6と同様にして、6種類の評価用の複合体サンプルを得た。炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムとシリカゲルの量については表3に記載した。
この6種類の複合体サンプル100mgを、比較例1と同様にして、たばこに充填した。得られたたばこサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。そして、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を前記式により算出した。得られた結果を表4に示した。
(実施例13)
炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムの代わりに、水酸化カルシウムを用いた以外は、実施例7〜12と同様にして、評価用の複合体サンプルを得た。水酸化カルシウムとシリカゲルの量については表3に記載した。
この複合体サンプル100mgを、比較例1と同様にして、たばこに充填した。得られたたばこサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。そして、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を前記式により算出した。得られた結果を表4に示した。
(実施例14〜20)
実施例14〜21では、炭酸ナトリウムと各種シリカゲルの複合体を得た。複合体は以下の方法で作成した。
表5に記載した量の炭酸ナトリウムと水をガラス容器に取り、溶解して、水溶液を作製する。この水溶液に表5に記載した量のシリカゲル(富士シリシア株式会社製各種シリカゲル)を添加し、ガラス容器に蓋をして、水溶液がシリカゲルに吸収され、見かけ上均一な状態になるまで、容器ごと振り混ぜて、見かけ上均一な粒子状の含水混合組成物を得た。得られた含水混合組成物を真空乾燥機を用いて、温度60℃で、重量変化がなくなるまで乾燥し、次いで、22℃、湿度60%の空調室に、重量変化がなくなるまで静置し、8種類の評価用の複合体サンプルを得た。
Figure 0005351573
この8種類の複合体サンプル100mgを、比較例1と同様にして、たばこに充填した。得られたたばこサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。そして、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を前記式により算出した。得られた結果を表6に示した。
Figure 0005351573
(比較例10)
比較例2で用いたものと同じシリカゲルに実施例14から20と同じ処理を施して炭酸ナトリウムとシリカゲルの複合体を得た。炭酸ナトリウムとシリカゲルの量については表5に記載した。ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を前記式により算出した。得られた結果を表6に示した。
たばこ煙用フィルタサンプルにおける各成分の組成(又は複合体の組成)とともに結果を表1および表2に示す。なお、表1および表2において、「FA」とは「ホルムアルデヒド」、「Tar」とは「タール」、「Nico.」とは「ニコチン」、「PD」とは「通気抵抗」をそれぞれ示す。
表4から明確な通り、本発明のシリカゲルの無機塩基性物質を担持させることによりホルムアルデヒドの吸着性能は顕著に改良される。尚、ホルムアルデヒドはたばこ煙中に含まれる粒子状物質の中にも25から30%程度は含まれるものであり、本発明のフィルタ素材を用いることによりたばこ煙中の気相部に存在するホルムアルデヒドはほとんど除去されることになる。また表6から明らかな通り、本発明の特定の平均細孔径、比表面積、細孔容積を有しないシリカゲルの場合は無機塩基性物質の担持の効果が顕著ではなく、かつそれに対してタール分の除去率が高いという特徴がある。
本発明のたばこフィルタ用素材は、フィルタ、特にたばこフィルタ(およびたばこ)を構成するのに有用である。このような本発明のたばこフィルタ(およびたばこ)では、喫煙時において、ニコチン、タールなどの喫味成分を保持しつつ、適度な通気抵抗も保持できるので、喫味(香喫味)、さらには喫煙の満足感を損なうことがなく、人体に有害なホルムアルデヒドなどのアルデヒド類を選択的に除去できる。

Claims (1)

  1. 平均細孔径が30nm以上でかつ320nm以下でありかつ
    粒度が10メッシュパスでありかつ70メッシュオンでありかつ
    温度22℃および60%RHにおいて、平衡水分率が0.01〜5%であり、かつ
    平均細孔容積が0.8〜1.2mL/gであるシリカゲルに
    濃度0.05〜50重量%の炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたは、炭酸水素カリウムからなる無機塩基性物質溶液を浸漬する工程
    付着処理後又は担持処理後のシリカゲルを真空乾燥方法または熱風乾燥方法する工程
    からなる仕上がり組成比として、シリカゲル90重量部から99重量部、無機塩基性物質0.22〜1.30重量部、水分量1.10重量部から6.00重量部であるたばこフィルタ用素材の製造方法。
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