JP5126868B2 - 多孔質体からなるフィルタ素材およびそれを用いたたばこフィルタ - Google Patents

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本発明は、ニコチンやタールなどの喫味成分を保持しつつ、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に効率よく除去するのに有用なたばこフィルタ用素材、このたばこフィルタ用素材で構成されたたばこフィルタおよびこのたばこフィルタを備えたたばこに関する。
たばこ煙中の成分をろ過するための吸着体として種々の構成成分が提案されている。このような構成成分としては、酸性成分の吸着、ホルムアルデヒドの吸着などを目的としてアミン成分などの塩基性成分を添加するものが多く報告されている。
例えば、特開昭59−88078号公報(特許文献1)、特開昭59−1519882号公報(特許文献2)、および特開昭60−54669号公報(特許文献3)には、活性炭素にポリエチレンイミンや蒸気圧が低い脂肪族アミンを添着させたタバコ煙フィルタ用吸着剤を、特表2002−528105号公報(特許文献4)および特表2002−528106号公報(特許文献5)には、3−アミノプロピルシリルおよび関連原子団を共有結合したたばこフィルタを、特表2003−505618号公報(特許文献6)にはアンモニウム塩を含む充填材を、特開昭57−71388号公報(特許文献7)には、タバコの風味を向上させるためアミノ酸を添加することをそれぞれ開示している。
しかし、上記のような塩基性成分の多く、特に合成高分子アミンは、分解や低分子量成分の残存により特有のアミン臭を呈することが多い。また、塩基性成分自体又はその中に含まれる揮発性物質は、揮発して人体に対して毒性を示すことが多い。なお、塩基性成分は、添着する際の液性を酸性側にすることにより、その揮発を抑制できるが、何らかの理由、例えば、他の塩基性物質との接触や加水分解などにより、遊離する虞がある。また、アミノ酸などは、多くの場合に結晶化し、揮発性も低いが、このような結晶状態では、吸着に対する活性が低く、十分な効果を期待できない。
このように、通常の塩基性成分を用いた吸着体では、酸性物質やアルデヒドなどの除去にある程度有効であると考えられるものの、安全性やその効果に問題があり、たばこフィルタ用吸着剤として実用的でなかった。また、特表2002−528105号公報(特許文献8)及び特表2002−528106号公報(特許文献9)にはアミノエチルアミノプロピルシリカゲルが開示されている。すなわち、シリカゲルに3−アミノプロピルシリル基又はN−[2−アミノエチル]−3−アミノプロピルシリル基又はN−[3−アミノエチル]−3−アミノプロピルシリル基又はN−[N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチル]−3−アミノプロピルシリル基の如きアミノプロピルシリル基を不揮発性無機支持体に共有結合された少なくとも一つの反応性官能基から本質的になる反応体を含むフィルタである。そして不揮発性無機支持体反応体がフィルタ要素上の被覆又はフィルタ要素を形成する繊維材料のストランド上の被覆又はシリカゲルの如き粒子又は造形物品であるものが開示されている。そしてアルデヒドの如き気体成分を選択的に除去することができるフィルタであることが記載されている。そしてシリカゲルはシリカゲルビーズ又は粒子としては、10〜100nm、好ましくは40〜50nmの平均粒径を有してもよいことが記載されている。
更にはフィルタ繊維又は他の機械的支持体に使用されるとき、より大きなシリカゲル粒子を使用してもよいことが記載されており、かかる粒子は好ましくは14〜60メッシュサイズ、より好ましくは35〜60メッシュサイズを有することが記載されている。さらに、シリカゲル粒子は好ましくは約40〜約250Å、より好ましくは約150Åの平均孔径を有することが記載されている。そして実施例においては35×60メッシュ、150オングストローム孔径のシリカゲルにエタノール溶媒中で3−アミノプロピルトリエトキシシランを加熱して反応させたことが記載されている。このアミノエチルアミノプロピルシリカゲルの効果として、全ての煙が収集及び分析された後の全煙流から除去されるアルデヒドの量(%)が60〜70%程度除去されることが記載されている。
しかしながら、シリカゲルと3−アミノプロピルトリエトキシシランを加熱して反応させることは煩雑である。
そして、未反応の3−アミノプロピルトリエトキシシランが残留した場合には、たばこ吸引時に未反応の−アミノプロピルトリエトキシシランを吸入することも考えられる。3−アミノプロピルトリエトキシシランは吸入した場合喉の炎症,気管支炎,肺炎、肺浮腫を起こす恐れがあることが知られている。(3−アミノプロピルトリエトキシシラン 東芝シリコン MSDSより)
したがって、上記の各組成物のように、何らかの官能基を導入しなくてもホルムアルデヒド類の選択除去性能があるフィルタ素材が求められている。
なお、従来、ニコチンやタールがタバコ煙中の主な有害成分と考えられ、ニコチンやタールのデリバリーに関心がもたれ、多くの国でニコチンとタールの表示義務が課せられている。しかし、ニコチンそのものは、タバコの嗜好成分であり、喫煙の満足感に直接関与すると考えられる。また、タールについても、タバコ煙成分中のタール成分を相対的に高いレベルで除去することは、香喫味を損なうために好ましいことではない。すなわち、タールやニコチンを含めた揮発性の低い煙成分を無差別に除去すると、味が軽くなるとともに満足感が得られなくなる。
一方、アルデヒド類、特にホルムアルデヒドは、刺激的な臭いを有するだけでなく、最近アレルギーの原因物質のひとつとして注目されているように、健康上好ましくない物質であり、極力除去することが好ましい。
従って、タバコ煙成分中のタールやニコチンの量を相対的に高いレベルに保ったまま、煙成分中のアルデヒド成分(特にホルムアルデヒド)のみを選択的に除去することが求められている。
また、たばこの喫味では、たばこ煙中の水分が少なくなると、喫味が辛味を感じるようになる。たばこの煙の有害成分の除去としては活性炭が多くの多孔質体の中で特に好んで一般的に用いられている。この理由は、活性炭が水分の除去性が他の多孔質体と比較して低いためである。活性炭でも喫味には影響を与えることが知られている。
シリカゲルも代表的な多孔質体の一つではある。シリカゲルは気体中の水分吸着能力(吸湿能力)に優れる。このためシリカゲルは何らかの官能基や表面処理剤の担持体として用いられることはあるが、それ単体で使用されることはなかった。
したがって、ホルムアルデヒドの選択吸着性を維持しつつ、タールやニコチンの吸着量が少ない多孔質体であり、官能基や化合物を担持させておらず、水分(水蒸気)の吸着が少ない多孔質体をたばこ煙用フィルタの材料とした、たばこ煙用フィルタが求められていた。
特開昭59−88078号公報(特許請求の範囲) 特開昭59−1519882号公報(特許請求の範囲) 特開昭60−54669号公報(特許請求の範囲) 特表2002−528105号公報(特許請求の範囲) 特表2002−528106号公報(特許請求の範囲) 特表2003−505618号公報(特許請求の範囲) 特開昭57−71388号公報(特許請求の範囲) 特表2002−528105号公報(特許請求の範囲、段落番号[0048]実施例) 特表2002−528106号公報(特許請求の範囲)
解決する課題は、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に除去し、かつたばこ煙中の水分の吸着が少ないたばこフィルタ用素材を提供することにある。 本発明の他の目的は、たばこフィルタの構成成分として好適に利用でき、タールやニコチンなどの喫味(又は香喫味)成分を高濃度で維持しつつ、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を効率よく除去できるたばこフィルタ用素材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、人体に対して安全で、喫味を損なうことなく、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に除去でき除去でき、かつ通気抵抗の変化がすくなく、かつ喫味の変化の少ないたばこフィルタを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の平均細孔径を有する多孔質体からなるたばこフィルタ用素材でたばこフィルタなどを構成すると、前記の特定の平均細孔径に起因すると思われる物理的な吸着性能が発揮されるためか、タールやニコチンなどを高濃度で保持しつつ、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に吸着できることを見出し、本発明を完成した。更に、本発明の特定の平均細孔径でたばこフィルタ素材を構成すると多孔質体でありながら気体中の水蒸気の吸着性能が低くすることができることを見出した。そして、気体中の水蒸気の吸着性能が低いため、このような特定の平均細孔径を有する多孔質体をたばこフィルタ素材として用いると、たばこ煙中の水蒸気の吸着が少なくなり、たばこの喫味が辛くなることが無いことを見出した。
すなわち、本発明のたばこフィルタ用素材は、平均細孔径が5nmから350nmである多孔質体で構成されている。前記たばこフィルタ用素材は、特に、多孔質体が珪素元素を含む化合物であっても良い。前記珪素元素を含む多孔質体は、シラノール基を含む化合物であっても良い。特には、シラノール基を含む化合物はシルカゲルであっても良い。
前記多孔質体の粒度は、その90重量%以上が10メッシュパスでありかつ70メッシュオン(好ましくは10メッシュパス50メッシュオン、特に好ましくは10メッシュパス32メッシュオン)であってもよい。
すなわち、特に好ましくは全体の90重量%以上の粒子の粒度が0.5mmから1.5mmの範囲内にあるものであっても良い。
また、前記多孔質体の平均細孔径が5nm以上で50nm以下であってもよい。このような多孔質体であればよりアルデヒド類の吸収性能が優れる。そして、特には20nm以上で350nm以下であれば、気体中の水蒸気の吸着性能が低いため好ましい。そして、アルデヒド類の吸着性能が優れかつ気体中の水蒸気の吸着性が少ない、特に好ましい多孔質体の平均細孔は20nm以上で50nm以下である。
このような平均細孔径が適度に大きい多孔質体、特にシリカゲルは、アルデヒド類の選択除去性を向上できる。また、たばこ煙中の水分を吸収することが少ないのでたばこの喫味を維持できる。
本発明の多孔質体、特にはシルカゲルはまた、温度22℃および60%RHにおいて、前記シリカゲルの平衡水分率は0.10〜10.00%程度(例えば0.10〜9.50%)であってもよい。特に好ましくは、前記シリカゲルの平衡水分率は0.10〜5.00%程度(例えば0.15〜4.70%)であってもよい。
代表的な前記多孔質体からなるたばこフィルタ用素材には、シリカゲルである。そしてそのシリカゲルの平均細孔径が30nm以上であり350nm以下のシリカゲルである。そしてそのシリカゲル全体の90重量%以上の粒度が0.5mm以上であり1.5mm以下である。
本発明のシリカゲルにおいては、表面処理や何らかの置換基の導入がされていないものである。アルデヒド類の選択吸着性能を高めるために表面処理をしたり、何らかの置換基を導入する場合には、塩基性の官能基を導入したり、塩基性の官能基を含む表面処理剤で処理することが開示されている。(前記特許文献1から9)
これはアルデヒド類と導入された官能基との化学的相互作用を考慮した場合は塩基性基の方がより化学的吸着能を期待できるからである。塩基性を持たせるために代表的な官能基として窒素含有の官能基、例えばアミノ基がある。アルデヒド類を吸着させるための表面処理や多孔質体への官能基の導入は、以上の理由からアミノ基を主体とした表面処理剤やアミノ基から構成される官能基を多孔質体に導入する場合が多い。
しかしながら、本発明の多孔質体の場合、特にはシリカゲルの場合には、余分な化学修飾をしなくても十分アルデヒド類を吸着できる。したがって、本発明では特に何らかの化合物で表面処理するか或いは、何らかの官能基を多孔質体に導入するなどの必要はない。したがって、多孔質体の全窒素含有量が5重量%以下である多孔質体が好ましく用いることができる。
また、本発明では多孔質体は活性炭である必要はない。本発明では活性炭でなくとも十分な良好なアルデヒド類の除去性能を示す。そして、本発明であれば、タールやニコチンの除去性が低いのでたばこ喫煙時の満足感を得ることができる。したがって、多孔質体の全炭素含有量が1重量%以下であっても良い。
特に好ましくは、多孔質体の全窒素含有量が5重量%以下であり、かつ全炭素含有量が20重量%以下である多孔質体である。
本発明のたばこフィルタの場合、少なくとも3個の部分から構成されているたばこフィルタであって、中間部に本発明のたばこフィルタ素材が配置されているたばこフィルタであってもよい。 また本発明のたばこフィルタにおいては、両端部がセルロースエステル繊維を含むトウ構造のフィルタロッドから構成されているたばこフィルタであってもよい。本発明には、さらに、前記たばこフィルタ用素材でたばこフィルタを構成することにより、たばこ煙中のアルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)[詳細には、前記たばこフィルタを通過(又は流通)するたばこ煙中のアルデヒド類]を低減することができる。このような方法では、ニコチン、タールなどの喫味成分を高いレベルで保持でき、例えば、ニコチンおよびタールをそれぞれ保持率75%以上に保持しつつ、ホルムアルデヒド保持率を50%以下にすることができる。また、本発明には、前記たばこフィルタを備えたたばこも含まれる。
本発明のたばこフィルタ用素材は、特定の平均細孔径を有する多孔質体、好ましくは珪素元素を含む多孔質体、特に好ましくはシリカゲル(特に平均孔径20nm以上であり50nm以下のシリカゲル)とを組み合わせているのでアルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に除去するのに有用である。 特に、本発明のたばこフィルタ用素材は、タールやニコチンなどの喫味(又は香喫味)成分を高濃度で維持しつつ、たばこ煙中の水分をあまり除去しない、そしてアルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を効率よく除去できる。そのため、本発明のたばこフィルタでは、人体に対して安全で、喫味を損なうことなく、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択的に除去できる。
[たばこフィルタ用素材]
本発明のたばこフィルタ用素材は、特定の平均細孔径の多孔質体で構成されている。
(多孔質体)
本発明において用いられる多孔質体とは多孔性の固体材料である。多孔性とは「固体が内部または表面に多数の小さな空隙をもつ状態」と定義されている。(共立出版発行 化学大辞典 昭和50年12月1日発行 初版)前記の文献では多孔性として「空隙は外部に通じる孔状のものを意味するが、気泡状の空隙のものも多孔性という。」と定義されているが、本発明で用いる多孔性の定義としては外部に通じる孔状のものに限定する。尚、この定義は空隙の全てが外部に通じる孔状のものであることを必須とするものではなく、大部分が外部に通じる孔状のものであり、一部のものが気泡状として存在するものも本発明での多孔性の固体、すなわち多孔質体に含める。
多孔質体としては無機物であっても有機物であってもよい。本発明において必要なのは平均細孔径が5nmから350nmであることである。無機物の多孔質体として必要な特性は、後述するホルムアルデヒド類との相互作用において、アルデヒド類を吸着する能力を有し、かつ気体中の水分(水蒸気)の吸着が低いものであれば良い。本発明に使用する多孔質体では平均細孔径が5nmから350nmである場合に、このような均一で微小な多孔質であるため、前記のアルデヒド類の吸着が優れ、水分を余り吸着しない。このような水分の吸着が少ない特性は平均細孔径と高い相関がある。したがって平均細孔径が5nmから350nmである限りは、小さな一次粒子が凝集して大きな二次粒子を形成しているような多孔質体であっても本発明に用いることができる。
(珪素元素を含む化合物)
本発明において用いられる無機物の多孔質体としては、好ましくは珪素元素を含むものである。珪素元素を含む多孔質体としては、シリカも挙げることができる。一般的にはシリカは不定形の酸化ケイ素を示し、珪藻土や珪砂も多孔質であり、多孔質シリカに分類される場合もある。また別の無機質の多孔質体としては、例えばゼオライトなども本発明の要件を満たせば用いることができる。
一般的に、ゼオライトというものは、「天然ゼオライト」、「人工ゼオライト」、「合成ゼオライト」に分類することができる。本発明でいうゼオライト(以下(C)成分と略す。)には「天然ゼオライト」、「合成ゼオライト」、「人工ゼオライト」の全てを用いることができる。ゼオライトとは、主にアルミニウムとケイ素からなっている化合物である。
「天然ゼオライト」は、火山灰から生成したケイ酸アルミが主体の多孔質鉱石で、邦名を沸石とも称されている。またカルシウム・マグネシウム・鉄・ナトリウム・カリウムなど種々のイオンが含まれている。構造としては、オングストローム単位の連続した空洞を有し、その中には水分子が存在し、加熱によって脱水してもゼオライト自体の構造は破壊されず、脱水後に空いた空洞に再びガスや水分を強力に吸着する特性がある。比表面積はおよそ20〜350m2/grである。粒子形状は不定形である。本発明においてゼオライトを用いる場合にはこれらの中でも、比表面積が50から300m2/grのものが好ましく用いられる。
本発明において用いられるゼオライトとしては、前記の天然ゼオライトの他に合成ゼオライトが挙げられる。「合成ゼオライト」とは、この「天然ゼオライト」のもつ、吸着機能を向上させるため化学合成されたものであり、ケイ素(Si)とアルミニウム(Al)が酸素(O)を介して結合した構造をしている。代表的構造はA型ゼオライトである。上記の基本構造のため、ケイ素の周りは電気的に中性となり、アルミニウムの周りは-1価となり、この負電荷を補償するために、骨格中に陽イオン(例えばNa+)が必要とし、この陽イオンは、他の金属イオン(H+, K+, Ca2+・・・など)と容易に交換でき、イオン交換性能が発現する。「合成ゼオライト」は、能力が高く、例えば比表面積であれば400m2/gr以上のものが各種得られており、様々な用途が開発されている。また陽イオンの種類により様々な構造および性能のものが得られている。粒子形状は球状および円柱状、その他、構造固有の特定の形態を取る
「人工ゼオライト」とは従来は産業廃棄物として処理されていた「石炭灰」すなわちフライアッシュなどの物質をアルカリ処理することにより得ることができる。
天然、合成、人工に関係なく多孔質物であり、細孔径が3から10Åの細孔を多数持っている。このため比表面積は20から400m2/gr以上と非常に大きいものである。
本発明において用いられる珪素元素を含む多孔質体としては、シリカを挙げることができる。
一般的にはシリカは不定形の酸化ケイ素を示し、珪藻土や珪砂も多孔質であり、多孔質シリカに分類される場合もある。本発明に用いるシリカは、均一な多孔質なシリカである。シリカは天産品、合成品、あるは焼結品と種類が多く、結晶性のものも非晶性のものもあるが、本発明では本発明の平均細孔径を有する場合には用いることができる。これらのシリカ中では合成シリカも本発明のシラノール基を含む化合物として挙げることができる。合成シリカとは合成品で非晶質のシリカである。合成シリカの製法としては湿式法と呼ばれている珪砂にソーダー灰を混合し、高温で溶解させ、ガラス状の物質に変化させた上で水に溶解し、珪酸ソーダーとした上で、硫酸等の酸成分を滴下して析出させて得られるものが本発明においては好ましく用いられる。合成シリカの製造方式には上記の湿式法と高温での気相反応により合成シリカの析出を行う乾式法があり、本発明ではそのどちらも用いることができるが、得られる合成シリカの粒子の均一性から湿式法が好ましい。
このような湿式法による合成シリカは沈降(沈殿)法とゲル化法に類別できる。すなわち、湿式法には反応時のpHにより、アルカリ性領域での反応による沈殿法と、酸性領域での反応によるゲル法があるが、本発明においては沈降法シリカが好ましく用いることができる。このような沈降法合成シリカは、一般には比較的高温、アルカリ性のpH領域で反応を進める。その結果、シリカ一次粒子の成長が早く進行し、一次粒子がフロック状に凝集して沈降することから、沈降法シリカと称せられている。そして沈降法シリカは反応条件により一次粒子径や比表面積を制御することができ、非常に微小な粒子径と大きな比表面積を持っている多孔質体とすることができる。そして、この微小な一次粒子は凝集して連続的な網目構造を形成し、微小な孔(細孔)を有している場合もある。
このような沈降法合成シリカとしては、カープレックス(登録商標)などの商品としてシオノギ製薬株式会社やデグサ社から入手することができる。
(シラノール基を含む多孔質体)
本発明では、多孔質体として特に好適なものは、シラノール基を含有する化合物からなる多孔質体である。すなわち、シラノール基が本発明において顕著な効果を有している可能性も高い。
このようなシラノール基を有する多孔質体としては、最も代表的な物はシリカゲルである。しかしながら、シリカゲル以外にもシラノール基を含有する多孔質体であれば本発明に好ましく用いることができる。シリカゲル以外のシラノール基を有する化合物として考えられる物は、例えばエチルシリケートなどアルキルシリケートなどが挙げられる。
(シリカゲル)
前記の通り本発明において最も好ましい多孔質体はシリカゲルである。シリカゲルは一般的に珪酸ナトリウム水溶性と鉱酸(塩酸や硫酸など)を混合し、ゲル化させ水洗して形成する。珪酸ナトリウムは鉱酸との混合で珪酸モノマーとなり脱水縮合して環状化合物を形成する。
シリカゲルは前記の通りシラノール基を有しており、特に表面にシラノール基を有している。この表面のシラノール基が水分子と結合するため、通常シルカゲルは吸湿剤として使用されているようにその平行水分は高く概ね20重量%以上である。
本発明で限定した平均細孔径が5nmから350nmのシルカゲルの場合は平衡水分量は多くても10重量%程度、少ない場合には5重量%以下、特に少ない場合は1重量%以下とすることができる。吸湿剤として用いられるシリカゲルの場合には平均細孔径は2nmから3nm程度であるが、本発明の平均細孔径の限定を行うことにより平衡水分量を小さくすることができ、シリカゲルの持つ吸湿性を抑制することができる。
シリカゲルの平均粒径は、例えば、50〜2500μm、好ましくは100〜2000μm、さらに好ましくは200〜1800μm(例えば、300〜1500μm)程度であってもよく、通常250〜1400μm程度であってもよい。上記のような範囲であれば、適度な通気抵抗を損なうことなく、たばこフィルタなどに適用できる。 シリカゲルの粒度について言えば、シリカゲルの粒度が、90重量%以上が、10メッシュパス70メッシュオン、好ましくは10メッシュパス50メッシュオン、特に好ましくは10メッシュパス40メッシュオンのものを用いることができる。例えば、14メッシュパスでかつ32メッシュオンであるものを用いることが出来き、すわなち、粒度として0.50mm以上であり1.50mm以下であるシリカゲルを用いることができる。
シリカゲルの平均細孔径(平均孔径)は、5nm以上で350nm以下(例えば25nm以上で320nm以下、例えば30nm以上320nm以下)であってもよい。通常、ガスなどの吸着には、比較的小さい細孔径を有するシリカゲルが使用される場合が多い。これに対して、本発明では、大きい細孔径を有するシリカゲルを好適に用いることができる。前記の通り、そして、特にはシリカゲルの平均細孔径は30nm以上で350nm以下であれば、気体中の水蒸気の吸着性能が低いため好ましい。そして、アルデヒド類の吸着性能が特に優れる平均細孔の範囲は5nm以上で50nm以下である。従って、気体中の水蒸気の吸着性が少なく、かつアルデヒド類の吸着性能が高い、特に好ましい多孔質体の平均細孔の範囲としては20nm以上で50nm以下である。
シリカゲルの比表面積(平均比表面積)は、例えば、0.5m/g以上(例えば、1〜1200m/g程度)、好ましくは1.5m/g以上(例えば、2〜1000m/g程度)、さらに好ましくは5m/g以上(例えば、6〜800m/g程度)であってもよく、通常3〜550m/g(例えば、4〜300m/g、好ましくは5〜250m/g、さらに好ましくは6〜200m/g程度)であってもよい。
シリカゲルの平均細孔容積は、例えば、0.1〜2mL/g、好ましくは0.4〜1.8mL/g、さらに好ましくは0.5〜1.5mL/g、特に好ましくは0.7〜1.4mL/g程度であってもよい。
また、シリカゲルの温度22℃および60%RHにおける平衡水分率(又は平衡吸水率
、すなわち、温度22℃および60%RHの条件下で、平衡状態における水分含有率)は、例えば、0.01〜20%、好ましくは0.1〜15%程度であってもよい。特に、本発明では、温度22℃および60%RHにおける平衡水分率が、例えば、0.01〜3.50%(例えば、0.10〜2.80%)、好ましくは0.05〜2.0%(例えば、0.12〜1.90%)、さらに好ましくは0.10〜1.0%(例えば、0.15〜0.98%)のシリカゲルを好適に使用してもよい。
なお、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類は水に可溶である場合が多いため、ホルムアルデヒドの除去という観点からは、たばこフィルタなどは、水分を多く含んでいてもよい。しかし、多量の水分は、たばこに対する悪影響(例えば、喫味の低下など)を及ぼす虞がある。本発明では、特定の平均細孔径と平衡水分量のシリカゲルを使用するので、たばこフィルタそのものに水分を含有させる必要はないため、特に、上記のような比較的小さい水分吸収能を有するシリカゲルを用いると、たばこに悪影響を及ぼすことなく、たばこフィルタに適度な水分を含有させ、ホルムアルデヒドを効率よく選択除去できる。
なお、シリカゲルは、表面処理されていてもよい。また、シリカゲルの形状は、通常、粒子状(又は粉粒状)であり、このような粉粒状シリカゲルの形状(表面形状)は、滑らかな形状(球状など)であってもよく、凹凸状(例えば、破砕状など)であってもよい。 所望する平均細孔径と粒度のシリカゲルが入手できない場合は、平均細孔径が所望する大きな粒子のシリカゲルを破砕し篩で分級して所望の粒度のものを得ることができる。
尚、シリカゲルの分散性を改良するために、本発明の目的を損なわない範囲で微量の表面処理を行っても良い。但し、その場合の表面処理においては、多孔質体の全窒素含有量が1重量%以下であり、かつ全炭素含有量が20重量%以下であるようにすることが好ましい。
(たばこフィルタ用素材)
以下本発明のたばこフィルタ用素材について説明をする。
なお、前記たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)は、さらに他の成分、例えば、無機微粉末(カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなど)、熱安定化剤(アルカリ又はアルカリ土類金属の塩など)、着色剤、白色度改善剤、油剤、歩留まり向上剤、サイズ剤、生分解又は光分解促進剤(アナターゼ型酸化チタンなど)、天然高分子又はその誘導体(セルロース粉末など)などを含んでいてもよい。他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
(たばこフィルタ)
前記のように、本発明のたばこフィルタ用素材は、たばこフィルタを構成できる。すなわち、本発明のたばこフィルタは、通常、たばこフィルタを構成する素材(たばこフィルタ用素材)と、前記たばこフィルタ用素材とで構成できる。そして、このようなたばこフィルタは、たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ、単に、フィルタ用素材、素材などということがある)に前記たばこフィルタ用素材を含有させることにより製造できる。
代表的なたばこフィルタとしては、例えば、(i)たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)と、このたばこフィルタ用素材に充填された前記たばこフィルタ用素材とで構成されたたばこフィルタ、(ii)たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)に前記たばこフィルタ用素材が分散されたたばこフィルタなどが挙げられる。好ましい形態には、充填されたたばこフィルタ(i)が含まれる。
(トリプル構造のたばこフィルタ)
本発明のたばこフィルタ用素材が充填されたたばこフィルタ(i)では、例えば、複数に分割[2分割(デュアル(dual)、3分割(トリプル(triple)など]された構造を有するたばこフィルタ用素材の少なくとも一つの分割部分(例えば、2分割されたフィルタ用素材の一方の部分、3分割されたフィルタ用素材の中央部分など)を、前記たばこフィルタ用素材(又は前記たばこフィルタ用素材が充填されたフィルタ用素材)で構成(又は置換又は充填)することにより、たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)に前記たばこフィルタ用素材を充填してもよい。
以下に本発明の少なくとも3個の部分から構成されているたばこフィルタについて説明する。
本発明のトリプル構造のたばこフィルタは少なくとも3個の部分から構成されていることを特徴とする。すなわち、たばこフィルタが少なくとも両端部、中間部の3個の部材から構成されており、中間部(すなわち中央の部分)に本発明の担持体が配置されている構造を取る。
本発明のたばこフィルタでは両端部にフィルタロッドで形成した部分を配置し、中央部にはフィルタロッドではなく、本発明のたばこフィルタ用素材を配置する構造を取る。この構造のたばこフィルタとした場合には通気抵抗を低くすることができ好ましい。
なお、フィルタロットの素材は、例えば、天然又は合成繊維{例えば、セルロースエステル繊維(セルロースアセテート繊維など)、セルロース繊維[木材繊維(針葉樹、広葉樹などの木材パルプ繊維など)、種子毛繊維(例えば、リンターなどの綿花)、ジン皮繊維、葉繊維(例えば、マニラ麻、ニュージーランド麻など)など]、再生セルロース繊維(ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、硝酸人絹など)、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)など}などの繊維(又は繊維状物質)、などで構成できる。これらのたばこフィルタ用素材の構成成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
また、フィルタロットの構造はトウ構造とするのが好ましい、前記トウ構造は、繊維(特にセルロースエステル繊維)の単繊維(フィラメント)を束ねる(集束する)ことにより形成された繊維束の形態であり、このようなトウ構造のフィルタ素材において、トウ(繊維束)を構成するフィラメント数は、例えば、3000〜1000000本(例えば、3000〜100000本)、好ましくは5000〜100000本程度であってもよい。
たばこフィルタにおいて、シリカゲルなどの多孔質体の割合は、たばこフィルタ全体に対して、例えば、0.1〜90重量%、好ましくは0.5〜70重量%、さらに好ましくは1〜50重量%程度であってもよい。
前記たばこフィルタは、たばこフィルタ用素材又はたばこフィルタの構造に応じて慣用の方法により成形できる。例えば、前記充填されたたばこフィルタでは、予め前記たばこフィルタ用素材により成形されたフィルタープラグの空間に前記フィルタ素材を充填する方法などにより製造してもよい。
本発明のたばこフィルタは、前記たばこフィルタ用素材で構成されているため、ニコチンやタールなどの喫味成分を高いレベルで保持しつつ、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類を効率よく除去できる。更にはたばこ煙中の水分の除去による喫味が辛くなることを避けることができる。そのため、本発明には、前記たばこフィルタ用素材でたばこフィルタ(又はたばこ)を構成することにより、前記たばこフィルタ(又はたばこ)を通過するたばこ煙中のアルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を低減し[詳細には、前記たばこフィルタを通過するたばこ煙中のニコチンおよびタールを保持しつつ、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を低減する方法]ことができる。
なお、本発明で保持率(ホルムアルデヒド保持率、ニコチン保持率、タール保持率)とは、前記たばこフィルタを通過するたばこ煙中のホルムアルデヒド量(又はニコチン量又はタール量)を基準として測定できる。すなわち、前記「保持率」とは、前記たばこフィルタ用素材を含まないたばこフィルタ用素材で構成されたたばこフィルタを所定の条件(流量、時間、回数など)において通過するたばこ煙中のホルムアルデヒド量(又はニコチン量又はタール量)をXとし、同一の条件(流量、時間、回数など)において、前記たばこフィルタ用素材で構成されたたばこフィルタを通過するたばこ煙中のホルムアルデヒド量(又はニコチン量又はタール量)をYとするとき、下記式で表される。すなわちホルムアルデヒド量に関しては保持率が低いほど、たばこの煙(主流煙)中のホルムアルデヒドが除去されていることを示し、好ましい。一方、ニコチン量及びタール量に関しては保持率が高いほどニコチンやタールを主流煙から除去することがなく、喫味を損なわず好ましい。また水分量に関しては、保持率が高いほど、たばこ煙中の水分を除去することなく、辛味が感じられず好ましい。

保持率(%)=(Y/X)×100

また、本発明では、たばこフィルタの通気抵抗を増大させることなく、たばこフィルタ内に前記たばこフィルタ用素材を組み込むことができる。そのため、本発明のたばこフィルタは、たばこ煙用に適した通気性を有しており、たばこフィルタを取り付けたたばこの通気抵抗は、長さ25mm円周24.5±0.2mmのたばこフィルタを、軸方向の長さ60mmのたばこに取り付けて、流量17.5ml/秒で空気を通過させたときの圧力損失で測定したとき、150〜600mmWG(ウォーターゲージ)の範囲から選択でき、例えば、150〜500mmWG、好ましくは160〜300mmWG、さらに好ましくは160〜250mmWG程度であってもよい。
また、本発明のたばこは、前記たばこフィルタ(又はたばこフィルタ用素材)を備えている。たばこフィルタの配設部位は特に制限されないが、巻紙により、棒状に成形されたたばこにおいては、口元の部位、又は口元と紙巻きタバコとの間に配設する場合が多い。なお、たばこの断面外周は、前記フィルタの断面外周に対応している場合が多く、通常、15〜30mm、好ましくは17〜27mm程度であってもよい。
本発明のたばこフィルタ用素材は、フィルタ、特にたばこフィルタ(およびたばこ)を構成するのに有用である。このような本発明のたばこフィルタ(およびたばこ)では、喫煙時において、ニコチン、タールなどの喫味成分を保持しつつ、適度な通気抵抗も保持できるので、喫味(香喫味)、さらには喫煙の満足感を損なうことがなく、人体に有害なホルムアルデヒドなどのアルデヒド類を選択的に除去できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において各特性(通気抵抗、ニコチン量、タール量、ホルムアルデヒド量)は、市販のたばこ[ピース・ライト・ボックス(登録商標第2122839号)(日本たばこ産業株式会社製)]を用いて、下記の方法により測定した。
[通気抵抗]
上記のたばこ[ピース・ライト・ボックス(登録商標)(日本たばこ産業株式会社製)、フィルタ部分の長さ25mm、円周約25mm]を用いて作成したたばこ煙用フィルタサンプルを取り付けたたばこの通気抵抗を測定した。 通気抵抗は、たばこ煙用フィルタサンプル内に、流量17.5ml/秒で空気を通過させたときの圧力損失(mmWG)として、自動通気抵抗測定器(フィルトローナ社製、FTS300)を用いて測定した。

[ニコチン量、タール量]
たばこ煙用フィルタサンプルを取り付けたたばこを用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件での喫煙を、計10本のたばこ煙用フィルタサンプルについて行った。フィルタを通過した煙中のニコチン及びタールはガラス繊維製フィルタ(ケンブリッジフィルタ)で捕集し、ニコチン量はガスクロマトグラフ((株)日立製作所製G−3000)を用いて測定した。タール量は重量法により測定を行った。
対照品のケンブリッジフィルタに付着したニコチン量およびタール量をそれぞれTn、Ttとし、比較例及び実施例でケンブリッジフィルタに付着したニコチン量およびタール量をそれぞれCn、Ctとして次式によりニコチン及びタールの保持率を算出した。

ニコチン保持率(%)=100×(Cn/Tn)

タール保持率(%)=100×(Ct/Tt)。
[ホルムアルデヒド保持率]
たばこ煙用フィルタサンプルを取り付けたたばこを用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件で喫煙を行った。フィルタを通過した煙中のホルムアルデヒドは、DNPH(ジニトロフェニルヒドラジン)溶液で捕集し、DNPHで誘導体化した上で高速液体クロマトグラフを用いてUV(紫外線)の吸光度を用い測定した。
対照品で捕集されたホルムアルデヒド量Tfとし、下記の比較例及び実施例で捕集したホルムアルデヒド量をCfとして次式によりホルムアルデヒド保持率を算出した。

ホルムアルデヒド保持率(%)=100×(Cf/Tf)

[水分量]
たばこ煙用フィルタサンプルを取り付けたたばこを用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件での喫煙を、計10本のたばこ煙用フィルタサンプルについて行った。
フィルタを通過した煙中の水分はガラス繊維製フィルタ(ケンブリッジフィルタ)で捕集し、メタノールで抽出し、カールフィシャー水分計(CA-06)で定量した。
(比較例1)平均細孔径が小さいシリカゲル
比較例1では、一般の吸湿剤用用途やガス吸収剤用途として使われているシリカゲルを用い、以下のようにしてたばこ煙用フィルタサンプルを作成した。
使用したシリカゲルはキシダ化学製 白色小粒シリカゲルであった。使用したシリカゲルの物性を表1に記載する。
Figure 0005126868
市販の煙草[ピース・ライト・ボックス(登録商標第2122839号)(日本たばこ産業株式会社製)]のセルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタ本体(25mm)の末端から14mmの部分をカミソリで切断した。切断した長片すなわち、タバコ葉充填片のフィルタ部に長さ20mm、内径8mmのガラス管を残フィルター長に相当する長さ(11mm)だけ挿入し、これらをシーリングテープにて結束した。
このガラス管によって生じた9mmの空間に、空調室(22℃、60%RH)で水分が平衡になるまで調湿したシリカゲル粉末100mgを充填した。次に、先に切断した短片すなわち、14mmのフィルタ部(110mg)を用いてガラス管に栓をした。そして、このガラス管とフィルタの接続部分にもシーリングテープを巻いて密閉した。したがって、セルロースジアセテート捲縮繊維トウのフィルタの長さとしては、25mmとなる。また、フィルタ間の延長された部分にはシリカゲル粉末が充填されている状態とした。
得られたたばこ煙用フィルタサンプルをつけたたばこについて、上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量、水分量の測定を行った。そして、ニコチン、タール、ホルムアルデヒド及び水分の保持率を前記式により算出した。
ニコチン保持率は92%、タール保持率は92%、ホルムアルデヒド保持率は87%(すなわち、除去率13%)、通気抵抗は190mmWGであった。このたばこフィルタはホルムアルデヒド低減効果が少ないものであった。結果を表−2に記載する。
Figure 0005126868
(実施例1〜12)平均細孔径を限定したシリカゲル単体
実施例1から12では、本発明で特定する範囲の平均細孔径が大きい様々な平均細孔径を有するシリカゲルを単独で用いた、このシリカゲルの性状を表1に示す。シリカゲル(富士シリシア株式会社製、「MB4B相当破砕状品」、粒度14〜32メッシュ)を使用した。シリカゲルは、比較例1と同様にして、22℃、湿度60%の空調室に静置して、平衡になるまで調湿して用いた。そして、このようにして得られたシリカゲルの粒状物を比較例1と同様に、フィルタ間に空隙を作りシリカゲルを充填した。シリカゲルの充填量は煙草一本当たり100mgであった。
得られたたばこ煙用フィルタサンプルを付けたたばこについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量及び水分量の測定を行った。そして、ニコチン、タール、ホルムアルデヒド及び水分保持率を前記式により算出した。結果を表2に記載する。
また、たばこ煙用フィルタサンプルにおける各成分の物性とともに結果を表1から表2に記載する。これらの表において「FA」とは「ホルムアルデヒド」、「Tar」とは「タール」、「Nico.」とは「ニコチン」、「水分」とは水分量、「PD」とは「通気抵抗」をそれぞれ示す。%は全て重量%である。

Claims (4)

  1. 平均細孔径が25nmから320nmかつ、
    粒度が90重量%以上が10メッシュパス40メッシュオンかつ、
    比表面積(平均比表面積)が6〜200m/gかつ、
    温度22℃および60%RHにおける平衡水分率が0.10〜2.80%かつ、
    平均細孔容積が0.7〜1.4mL/gかつ、
    全窒素含有量が1重量%以下でありかつ全炭素含有量が20重量%以下、
    であるシリカゲルからなるたばこフィルタ素材。
  2. シリカゲルの形状が破砕状である請求項1に記載のたばこフィルタ素材。
  3. 請求項1からのフィルタ素材を用いたたばこ。
  4. 少なくとも3個の部分から構成されているたばこフィルタであって、中間部に請求項1か
    の何れかに記載のたばこフィルタ素材が配置されているたばこフィルタ
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