JP2008154509A - 多孔質体からなるフィルタ素材およびそれを用いたたばこフィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】たばこフィルタを、平均細孔径5nm以上350nm以下の多孔質体、好ましくはシリカゲルで構成されているたばこフィルタ用素材で構成する。前記たばこフィルタ用素材は多孔質体の表面に何ら処理されていないのにも係わらず、ホルムアルデヒドを効率よく選択除去できる。そして、両端部をフィルタロッドで構成し中間部にこれらのたばこフィルタ用素材を配したたばこフィルタでは例えば、ニコチンおよびタールをそれぞれ保持率75%以上に保持しつつ、ホルムアルデヒド保持率を40%以下にすることができ、通気抵抗値を上げることがない。
【選択図】なし
Description
しかしながら、シリカゲルと3−アミノプロピルトリエトキシシランを加熱して反応させることは煩雑である。
したがって、上記の各組成物のように、何らかの官能基を導入しなくてもホルムアルデヒド類の選択除去性能があるフィルタ素材が求められている。
また、たばこの喫味では、たばこ煙中の水分が少なくなると、喫味が辛味を感じるようになる。たばこの煙の有害成分の除去としては活性炭が多くの多孔質体の中で特に好んで一般的に用いられている。この理由は、活性炭が水分の除去性が他の多孔質体と比較して低いためである。活性炭でも喫味には影響を与えることが知られている。
シリカゲルも代表的な多孔質体の一つではある。シリカゲルは気体中の水分吸着能力(吸湿能力)に優れる。このためシリカゲルは何らかの官能基や表面処理剤の担持体として用いられることはあるが、それ単体で使用されることはなかった。
したがって、ホルムアルデヒドの選択吸着性を維持しつつ、タールやニコチンの吸着量が少ない多孔質体であり、官能基や化合物を担持させておらず、水分(水蒸気)の吸着が少ない多孔質体をたばこ煙用フィルタの材料とした、たばこ煙用フィルタが求められていた。
すなわち、特に好ましくは全体の90重量%以上の粒子の粒度が0.5mmから1.5mmの範囲内にあるものであっても良い。
本発明の多孔質体、特にはシルカゲルはまた、温度22℃および60%RHにおいて、前記シリカゲルの平衡水分率は0.10〜10.00%程度(例えば0.10〜9.50%)であってもよい。特に好ましくは、前記シリカゲルの平衡水分率は0.10〜5.00%程度(例えば0.15〜4.70%)であってもよい。
本発明のシリカゲルにおいては、表面処理や何らかの置換基の導入がされていないものである。アルデヒド類の選択吸着性能を高めるために表面処理をしたり、何らかの置換基を導入する場合には、塩基性の官能基を導入したり、塩基性の官能基を含む表面処理剤で処理することが開示されている。(前記特許文献1から9)
これはアルデヒド類と導入された官能基との化学的相互作用を考慮した場合は塩基性基の方がより化学的吸着能を期待できるからである。塩基性を持たせるために代表的な官能基として窒素含有の官能基、例えばアミノ基がある。アルデヒド類を吸着させるための表面処理や多孔質体への官能基の導入は、以上の理由からアミノ基を主体とした表面処理剤やアミノ基から構成される官能基を多孔質体に導入する場合が多い。
また、本発明では多孔質体は活性炭である必要はない。本発明では活性炭でなくとも十分な良好なアルデヒド類の除去性能を示す。そして、本発明であれば、タールやニコチンの除去性が低いのでたばこ喫煙時の満足感を得ることができる。したがって、多孔質体の全炭素含有量が1重量%以下であっても良い。
特に好ましくは、多孔質体の全窒素含有量が5重量%以下であり、かつ全炭素含有量が20重量%以下である多孔質体である。
本発明のたばこフィルタ用素材は、特定の平均細孔径の多孔質体で構成されている。
本発明において用いられる多孔質体とは多孔性の固体材料である。多孔性とは「固体が内部または表面に多数の小さな空隙をもつ状態」と定義されている。(共立出版発行 化学大辞典 昭和50年12月1日発行 初版)前記の文献では多孔性として「空隙は外部に通じる孔状のものを意味するが、気泡状の空隙のものも多孔性という。」と定義されているが、本発明で用いる多孔性の定義としては外部に通じる孔状のものに限定する。尚、この定義は空隙の全てが外部に通じる孔状のものであることを必須とするものではなく、大部分が外部に通じる孔状のものであり、一部のものが気泡状として存在するものも本発明での多孔性の固体、すなわち多孔質体に含める。
本発明において用いられる無機物の多孔質体としては、好ましくは珪素元素を含むものである。珪素元素を含む多孔質体としては、シリカも挙げることができる。一般的にはシリカは不定形の酸化ケイ素を示し、珪藻土や珪砂も多孔質であり、多孔質シリカに分類される場合もある。また別の無機質の多孔質体としては、例えばゼオライトなども本発明の要件を満たせば用いることができる。
天然、合成、人工に関係なく多孔質物であり、細孔径が3から10Åの細孔を多数持っている。このため比表面積は20から400m2/gr以上と非常に大きいものである。
一般的にはシリカは不定形の酸化ケイ素を示し、珪藻土や珪砂も多孔質であり、多孔質シリカに分類される場合もある。本発明に用いるシリカは、均一な多孔質なシリカである。シリカは天産品、合成品、あるは焼結品と種類が多く、結晶性のものも非晶性のものもあるが、本発明では本発明の平均細孔径を有する場合には用いることができる。これらのシリカ中では合成シリカも本発明のシラノール基を含む化合物として挙げることができる。合成シリカとは合成品で非晶質のシリカである。合成シリカの製法としては湿式法と呼ばれている珪砂にソーダー灰を混合し、高温で溶解させ、ガラス状の物質に変化させた上で水に溶解し、珪酸ソーダーとした上で、硫酸等の酸成分を滴下して析出させて得られるものが本発明においては好ましく用いられる。合成シリカの製造方式には上記の湿式法と高温での気相反応により合成シリカの析出を行う乾式法があり、本発明ではそのどちらも用いることができるが、得られる合成シリカの粒子の均一性から湿式法が好ましい。
このような沈降法合成シリカとしては、カープレックス(登録商標)などの商品としてシオノギ製薬株式会社やデグサ社から入手することができる。
本発明では、多孔質体として特に好適なものは、シラノール基を含有する化合物からなる多孔質体である。すなわち、シラノール基が本発明において顕著な効果を有している可能性も高い。
このようなシラノール基を有する多孔質体としては、最も代表的な物はシリカゲルである。しかしながら、シリカゲル以外にもシラノール基を含有する多孔質体であれば本発明に好ましく用いることができる。シリカゲル以外のシラノール基を有する化合物として考えられる物は、例えばエチルシリケートなどアルキルシリケートなどが挙げられる。
前記の通り本発明において最も好ましい多孔質体はシリカゲルである。シリカゲルは一般的に珪酸ナトリウム水溶性と鉱酸(塩酸や硫酸など)を混合し、ゲル化させ水洗して形成する。珪酸ナトリウムは鉱酸との混合で珪酸モノマーとなり脱水縮合して環状化合物を形成する。
シリカゲルは前記の通りシラノール基を有しており、特に表面にシラノール基を有している。この表面のシラノール基が水分子と結合するため、通常シルカゲルは吸湿剤として使用されているようにその平行水分は高く概ね20重量%以上である。
本発明で限定した平均細孔径が5nmから350nmのシルカゲルの場合は平衡水分量は多くても10重量%程度、少ない場合には5重量%以下、特に少ない場合は1重量%以下とすることができる。吸湿剤として用いられるシリカゲルの場合には平均細孔径は2nmから3nm程度であるが、本発明の平均細孔径の限定を行うことにより平衡水分量を小さくすることができ、シリカゲルの持つ吸湿性を抑制することができる。
、すなわち、温度22℃および60%RHの条件下で、平衡状態における水分含有率)は、例えば、0.01〜20%、好ましくは0.1〜15%程度であってもよい。特に、本発明では、温度22℃および60%RHにおける平衡水分率が、例えば、0.01〜3.50%(例えば、0.10〜2.80%)、好ましくは0.05〜2.0%(例えば、0.12〜1.90%)、さらに好ましくは0.10〜1.0%(例えば、0.15〜0.98%)のシリカゲルを好適に使用してもよい。
尚、シリカゲルの分散性を改良するために、本発明の目的を損なわない範囲で微量の表面処理を行っても良い。但し、その場合の表面処理においては、多孔質体の全窒素含有量が1重量%以下であり、かつ全炭素含有量が20重量%以下であるようにすることが好ましい。
以下本発明のたばこフィルタ用素材について説明をする。
なお、前記たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)は、さらに他の成分、例えば、無機微粉末(カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなど)、熱安定化剤(アルカリ又はアルカリ土類金属の塩など)、着色剤、白色度改善剤、油剤、歩留まり向上剤、サイズ剤、生分解又は光分解促進剤(アナターゼ型酸化チタンなど)、天然高分子又はその誘導体(セルロース粉末など)などを含んでいてもよい。他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
前記のように、本発明のたばこフィルタ用素材は、たばこフィルタを構成できる。すなわち、本発明のたばこフィルタは、通常、たばこフィルタを構成する素材(たばこフィルタ用素材)と、前記たばこフィルタ用素材とで構成できる。そして、このようなたばこフィルタは、たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ、単に、フィルタ用素材、素材などということがある)に前記たばこフィルタ用素材を含有させることにより製造できる。
本発明のたばこフィルタ用素材が充填されたたばこフィルタ(i)では、例えば、複数に分割[2分割(デュアル(dual)、3分割(トリプル(triple)など]された構造を有するたばこフィルタ用素材の少なくとも一つの分割部分(例えば、2分割されたフィルタ用素材の一方の部分、3分割されたフィルタ用素材の中央部分など)を、前記たばこフィルタ用素材(又は前記たばこフィルタ用素材が充填されたフィルタ用素材)で構成(又は置換又は充填)することにより、たばこフィルタ用素材(又はたばこフィルタ)に前記たばこフィルタ用素材を充填してもよい。
保持率(%)=(Y/X)×100
また、本発明では、たばこフィルタの通気抵抗を増大させることなく、たばこフィルタ内に前記たばこフィルタ用素材を組み込むことができる。そのため、本発明のたばこフィルタは、たばこ煙用に適した通気性を有しており、たばこフィルタを取り付けたたばこの通気抵抗は、長さ25mm円周24.5±0.2mmのたばこフィルタを、軸方向の長さ60mmのたばこに取り付けて、流量17.5ml/秒で空気を通過させたときの圧力損失で測定したとき、150〜600mmWG(ウォーターゲージ)の範囲から選択でき、例えば、150〜500mmWG、好ましくは160〜300mmWG、さらに好ましくは160〜250mmWG程度であってもよい。
上記のたばこ[ピース・ライト・ボックス(登録商標)(日本たばこ産業株式会社製)、フィルタ部分の長さ25mm、円周約25mm]を用いて作成したたばこ煙用フィルタサンプルを取り付けたたばこの通気抵抗を測定した。 通気抵抗は、たばこ煙用フィルタサンプル内に、流量17.5ml/秒で空気を通過させたときの圧力損失(mmWG)として、自動通気抵抗測定器(フィルトローナ社製、FTS300)を用いて測定した。
[ニコチン量、タール量]
たばこ煙用フィルタサンプルを取り付けたたばこを用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件での喫煙を、計10本のたばこ煙用フィルタサンプルについて行った。フィルタを通過した煙中のニコチン及びタールはガラス繊維製フィルタ(ケンブリッジフィルタ)で捕集し、ニコチン量はガスクロマトグラフ((株)日立製作所製G−3000)を用いて測定した。タール量は重量法により測定を行った。
ニコチン保持率(%)=100×(Cn/Tn)
タール保持率(%)=100×(Ct/Tt)。
たばこ煙用フィルタサンプルを取り付けたたばこを用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件で喫煙を行った。フィルタを通過した煙中のホルムアルデヒドは、DNPH(ジニトロフェニルヒドラジン)溶液で捕集し、DNPHで誘導体化した上で高速液体クロマトグラフを用いてUV(紫外線)の吸光度を用い測定した。
ホルムアルデヒド保持率(%)=100×(Cf/Tf)
[水分量]
たばこ煙用フィルタサンプルを取り付けたたばこを用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件での喫煙を、計10本のたばこ煙用フィルタサンプルについて行った。
フィルタを通過した煙中の水分はガラス繊維製フィルタ(ケンブリッジフィルタ)で捕集し、メタノールで抽出し、カールフィシャー水分計(CA-06)で定量した。
比較例1では、一般の吸湿剤用用途やガス吸収剤用途として使われているシリカゲルを用い、以下のようにしてたばこ煙用フィルタサンプルを作成した。
使用したシリカゲルはキシダ化学製 白色小粒シリカゲルであった。使用したシリカゲルの物性を表1に記載する。
ニコチン保持率は92%、タール保持率は92%、ホルムアルデヒド保持率は87%(すなわち、除去率13%)、通気抵抗は190mmWGであった。このたばこフィルタはホルムアルデヒド低減効果が少ないものであった。結果を表−2に記載する。
実施例1から12では、本発明で特定する範囲の平均細孔径が大きい様々な平均細孔径を有するシリカゲルを単独で用いた、このシリカゲルの性状を表1に示す。シリカゲル(富士シリシア株式会社製、「MB4B相当破砕状品」、粒度14〜32メッシュ)を使用した。シリカゲルは、比較例1と同様にして、22℃、湿度60%の空調室に静置して、平衡になるまで調湿して用いた。そして、このようにして得られたシリカゲルの粒状物を比較例1と同様に、フィルタ間に空隙を作りシリカゲルを充填した。シリカゲルの充填量は煙草一本当たり100mgであった。
Claims (9)
- 平均細孔径が5nmから350nmである多孔質体からなるたばこフィルタ素材。
- 多孔質体が珪素元素を含む化合物である請求項1に記載のたばこフィルタ素材。
- 多孔質体がシリカゲルである請求項2に記載のたばこフィルタ素材。
- 平均細孔径が5nmから50nmである請求項1から請求項3何れかに記載のたばこフィルタ素材。
- 平均細孔径が15nmから50nmである請求項4に記載のたばこフィルタ素材。
- 全体の90重量%以上の粒子粒度が0.5mmから1.5mmの範囲内である請求項1から5何れかに記載のたばこフィルタ素材。
- 多孔質体の全窒素含有量が1重量%以下でありかつ全炭素含有量が20重量%以下である請求項1から6何れかに記載のフィルタ素材。
- 請求項1から7のフィルタ素材を用いたたばこ。
- 少なくとも3個の部分から構成されているたばこフィルタであって、中間部に請求項1から7の何れかに記載のたばこフィルタ素材が配置されているたばこフィルタ
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