JP5317394B2 - たばこフィルター用素材及びたばこフィルター - Google Patents
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Description
したがって、ホルムアルデヒドの選択吸着性を維持しつつ、タールやニコチンの吸着量が少ないたばこ煙用フィルターが求められていた。
そして、このようなアミノ酸やその塩を用いたたばこフィルターも提案されている。
担持体(フィルター素材)としては、アセテートトウ、紙、パルプ不織布など、通常のフィルター体を用いることができることが記載され、たばこ主流煙中のアルデヒド類が、フィルターに担持されている保湿剤に保持されている水に溶解する。さらに、水に溶解したアルデヒド類は、フィルターに担持されている塩基性アミノ酸または塩基性アミノ酸塩と反応してフィルター内に捕捉されるという作用が記載されている。
このような技術でも確かにアルデヒド類を除去することができる。しかしながら一方で水を含有させることはたばこに対して好ましくない。
このためフィラメントの集合体が本来保有している水分以上の水分を添加しなくても、そして保湿剤を含有させていなくともアルデヒド類を吸着あるいは捕集できるたばこフィルタ素材およびそれを用いたたばこフィルタが求められていたが実現できていなかった。
本発明の別の目的は、喫味を損なうことなく、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)を選択除去できるたばこフィルターおよびこのたばこフィルターを備えたたばこを提供することにある。
アミノ酸および又はその塩は塩基性アミノ酸及びその塩に限定されるものではなく、中性アミノ酸か酸性アミノ酸であってもよい。中性アミノ酸としてはグリシンであってもよく、酸性アミノ酸の塩としてはグルタミン酸ナトリウムであってもよい。
すなわち本発明のたばこフィルタ用素材を単独で又は2種以上組みあわせて構成してもよく、本発明のたばこフィルタ用素材と他のたばこフィルター用素材[例えば、被覆処理されたたばこフィルター用素材と繊維状素材(被覆処理されていない繊維状素材など)など]とで構成してもよい。例えば、本発明のたばこフィルター用素材は、複数に分割(2分割、3分割など)された構造を有するたばこフィルターの少なくとも一つの分割部分を構成し(例えば、2分割されたフィルターの一方の部分、3分割されたフィルターの両端部分など)、他の分割部分(例えば、2分割のフィルターの他方の部分、3分割されたフィルターの中間部分など)を他のたばこフィルター用素材(例えば、活性炭などの粒状物質が充填されたフィルター素材など)で構成してもよい。
また、本明細書において、「アミノ酸または及びその塩溶液」とは、少なくともアミノ酸または及びその塩が溶媒(および必要に応じてヒドロキシ酸)を含む系中に溶解した溶液であればよく、アミノ酸または及びその塩ではない非溶解性成分を含んでいてもよい。
本発明のたばこフィルター用素材(以下、単にフィルター素材、素材などということがある)は、フィラメントの集合体である担体が、アミノ酸または及びその塩で被覆処理(以下、単に、処理ということがある)されており、少なくともアミノ酸または及びその塩(および必要に応じて後述の酸性成分)を含有している。このようなたばこフィルター用素材(詳細には、担体に被膜(又は皮膜)が形成されたたばこフィルター用素材)は、後述するように、通常、フィラメントの集合体である担体を、アミノ酸または及びその塩を含む溶液(アミノ酸または及びその塩溶液)で処理することにより得ることができる。
フィラメントの集合体である担体は、アミノ酸または及びその塩(又はアミノ酸または及びその塩溶液)で処理できればよく、担体の形状(又は構造)に応じて、例えば、天然又は合成繊維{例えば、セルロースエステル繊維(セルロースアセテート繊維など)、セルロース繊維[木材繊維(針葉樹、広葉樹などの木材パルプ繊維など)、種子毛繊維(例えば、リンターなどの綿花)、ジン皮繊維、葉繊維(例えば、マニラ麻、ニュージーランド麻など)など]、再生セルロース繊維(ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、硝酸人絹など)、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)など}などの繊維(又は繊維状物質)、粒子状物質(例えば、活性炭、珪藻土、シリカゲル、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、ゼオライトなどの無機粒子、木屑、その他の天然又は合成高分子からなる粒子など)、蛋白質(ゼラチン、カゼインなど)などで構成できる。これらの担体の構成成分は、単独で又は2種以上組みあわせて担体を構成してもよい。
また、セルロースエステル(特にセルロースアセテート)の平均置換度は、例えば、1〜3(例えば、1〜2.9)程度の範囲から選択でき、好ましくは1.5〜2.7、さらに好ましくは1.7〜2.6程度であってもよい。
担体を構成する繊維(例えば、セルロースエステル繊維)において、繊維長は、0.1mm〜5cm程度の範囲から選択でき、例えば、0.5〜30mm(例えば、1〜25mm)、好ましくは2〜20mm、さらに好ましくは3〜15mm(例えば、5〜10mm)程度であってもよい。また、繊維の繊維径は、例えば、0.01〜100μm、好ましくは0.5〜80μm、さらに好ましくは1〜50μm程度であってもよい。
なお、繊維(例えば、セルロースエステル繊維)は、捲縮繊維又は非捲縮繊維であってもよく、特に捲縮繊維であるのが好ましい。
また、担体は、予め成形されたフィルター(例えば、セルロースアセテートなどのセルロースエステル捲縮繊維トウ構造のフィルターなど)であってもよい。このような予め成形されたフィルター(又はフィルター状)の担体を用いると、被覆処理(および乾燥)後、そのままたばこフィルターとして使用することができる。
前記のように、本発明において、最も好ましい担体はトウ構造の担体(特に、トウ構造のフィルタ担体)である。トウ構造(トウ構造フィルター)とは、無限長をもつフィラメントからなるもので、フィルタの通気方向とフィラメントの軸方向がほぼ同一の形状をしているものである。すなわち、モノフィラメントをフィルターの通気方法に引き揃えた物である。この様な形態のフィルタであると、フィルタの通気抵抗に比較してフィルタ硬度を高く保つことができ、優れたたばこ煙用フィルタを形成できる。慣用のフィルター素材(繊維)を紡糸(乾式、溶融又は湿式紡糸)することで形成できる。トウ構造(すなわち、モノフィラメントの集束構造)の担体を構成する繊維としては、前記例示の繊維、例えば、セルロース繊維、再生セルロース繊維(ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨンなど)、セルロース誘導体繊維(セルロースエステル繊維など)、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)などの合成繊維などが挙げられる。これらの繊維は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明のおけるアミノ酸とは分子内にアミノ基(−NH2)とカルボキシル基(−COOH)とを持つ化合物の総称である。但しプロリン、ヒロドキシプロリンのようなイミノ酸もふくめたものである。アミノ酸は一般的にはアミノカルボン酸とも言われている。一般的に、アミノ酸は分子内に含まれるカルボキシル基とアミノ基の数の割合により、モノアミノモノカルボン酸(中性アミノ酸、シスチンのようなジアミノジカルボン酸も含める)、モノアミノジカルボン酸(酸性カルボン酸)、ジアミノモノカルボン酸(塩基性アミノ酸)に分類できる。モノアミノモノカルボン酸としてはグリシン、アラニン、バリン、ノルバリン、ロイシン、ノルロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トロシン、ジヨードチロシン、スルナミン、トレオニン、セリン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファン、チロキシン、メチオニン、シスチン、システイン、αアミノ酪酸が例示できる。モノアミノジカルボン酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸が例示できる。ジアミノモノカルボン酸としては、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、ヒスチジンが例示できる。
これらの中でも、酸性アミノ酸としてはモノアミノジカルボン酸が最も好ましく、特にグルタミン酸およびその塩、特にはグルタミン酸ナトリウムが好ましい。中性アミノ酸としてはモノアミノモノカルボン酸のアミノ酸が好ましく、グリシンが好ましい。構造が単純なアミノ酸を用いると、単位重量当たりの官能基の数が多く本発明に好ましく用いられる。その意味ではグリシンが最も好ましく、これらの構造が単純なアミノ酸の中でも工業的に多量に生産されている点からグルタミン酸ナトリウムが好ましい。
本発明の特徴は、前記アミノ酸または及びその塩と溶媒特に好ましくは極性溶媒とを組み合わせて担体を処理する点にある。
すなわちアミノ酸およびまたはその塩が溶媒に均一に溶解している溶液の状態で担体に塗布することにより担体の表面にアミノ酸及びその塩の均一な塗膜を形成することができる。溶媒としては上記の通り、アミノ酸及びその塩を均一に溶解できるものであればよい。そして、多くの場合極性溶媒はアミノ酸およびその塩の良溶媒である。無論アミノ酸及びまたはその塩を溶解することができれば極性である必要はない。
特に、水と他の極性溶媒(特に水溶性の極性溶媒)とを組みあわせる場合、他の極性溶媒の沸点は、比較的低い沸点、例えば、200℃以下(例えば、120〜190℃程度)、好ましくは150℃以下(例えば、100〜150℃程度)、さらに好ましくは80℃以下(例えば、0〜70℃程度)であってもよい。このような比較的低い沸点の極性溶媒としては、例えば、前記例示の中でもエチルアルコール、メチルアルコールなどが挙げられる。
他の極性溶媒は、単独で又は2種以上組みあわせてもよく、2種類以上の他の極性溶媒を組み合わせて用いる場合には、少なくとも一種の極性溶媒の沸点が上記範囲以下、特に好ましくは100℃以下であってもよい。このような比較的沸点が低く[さらに蒸気圧が低い(すなわち揮発し易い)]極性溶媒は乾燥工程の負荷を下げ、極性溶媒として水を用いていた場合に水の乾燥を容易のするので好ましい。
水と他の溶媒とを組みあわせる場合、水と他の溶媒または極性溶媒との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜1/99、好ましくは95/5〜5/95、さらに好ましくは90/10〜10/90(例えば、85/15〜15/85)程度であってもよい。
本発明のたばこフィルター用素材において、極性溶媒(特に少なくとも水)の含有量(又は残存量)は、極性溶媒の種類に応じて選択でき、例えば、担体100重量部に対して、10mg以下、更に好ましくは5mg程度であってもよい。
前記たばこフィルター用素材は、さらに酸性成分で被覆処理されていてもよい。すなわち、前記アミノ酸または及びその塩溶液は、酸性成分を含んでいてもよい。このような酸性成分を使用すると、前記極性溶媒に対して非溶解性の(又は溶解性に乏しい)アミノ酸およびその塩であっても、効率よく極性溶媒に溶解できる。すなわち、前記アミノ基を有する多糖類が誘導体化され、極性溶媒(水など)に対する溶解性を有している場合には、酸性成分は必ずしも必要ではない。しかし、前記アミノ酸または及びその塩が、例えば水などの極性溶媒に対して非溶解性(又は難溶性)のアミノ酸である場合には、アミノ酸およびその塩と酸性成分とを組み合わせて担体を処理することが好ましい。
これらのヒドロキシ酸のうち、経口安全性、アルデヒド類(特に、ホルムアルデヒド)の選択除去性などの観点から、モノ又はジヒドロキシモノカルボン酸が好ましく、特に、モノヒドロキシC2-6アルカンモノカルボン酸(特に乳酸)が好ましい。
なお、不斉炭素原子を有するヒドロキシ酸(例えば、乳酸など)は、ラセミ体であってもよく、光学活性体であってもよい。
なお、たばこフィルター用素材は、さらに他の成分、例えば、可塑剤(トリアセチンなど)、無機微粉末(カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなど)、熱安定化剤(アルカリ又はアルカリ土類金属の塩など)、着色剤、白色度改善剤、油剤、歩留まり向上剤、サイズ剤、吸着剤(活性炭など)、生分解又は光分解促進剤(アナターゼ型酸化チタンなど)、天然高分子又はその誘導体(セルロース粉末など)などを含んでいてもよい。他の成分は、単独で又は2種以上組みあわせて使用できる。特に好ましくはチタンを含有することである。
本発明のたばこフィルター用素材は、担体を、少なくともアミノ酸または及びその塩および極性溶媒で被覆処理することにより得ることができ、通常、アミノ酸または及びその塩および極性溶媒(および必要に応じて酸性成分)を含む溶液(極性溶媒溶液、アミノ基を有する多糖類溶液)で処理(被覆処理)することにより製造できる。すなわち、本発明のたばこフィルター用素材は、通常、担体をアミノ酸または及びその塩溶液で処理し、少なくともアミノ酸または及びその塩(および必要に応じて酸性成分)を担体に含有させることにより得ることができる。
アミノ酸または及びその塩溶液において、アミノ酸または及びその塩、極性溶媒、酸性成分(ヒドロキシ酸など)などの成分は、前記たばこフィルター用素材の項で例示した成分を利用できる。アミノ酸または及びその塩は溶解性が乏しい場合があり、その場合は酸性成分(ヒドロキシ酸など)との組合せにおいて、アミノ酸または及びその塩溶液において、可溶化してもより。
なお、アミノ酸または及びその塩溶液の溶媒成分は、少なくとも前記極性溶媒で構成されていればよく、ホルムアルデヒドの選択除去性に支障がない限り、非極性溶媒(炭化水素類など)を含んでいてもよい。
担体の処理方法(被覆処理方法)としては、担体の形状(繊維状、フィルター状など)や種類などに応じて適宜選択でき、担体とアミノ酸または及びその塩溶液とを接触させることができれば特に限定されず、例えば、(i)担体をアミノ酸または及びその塩溶液に浸漬(又は含浸、ディッピング)する方法、(ii)担体にアミノ酸または及びその塩溶液を噴霧又は散布(又は撒布)する方法、(iii)担体にアミノ酸または及びその塩溶液を塗布する方法などが挙げられる。これらの処理方法は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
本発明のフィラメントに均一に塗膜を形成している形態であれば、この欠点を避けることができる。
さらに、前記処理方法では、フィラメントの表面に均一又は均質な薄膜を形成できる。そのため、アミノ酸または及びその塩の比表面積を大きくすることができ、たばこフィルター用素材におけるアミノ酸または及びその塩の含有量が小さくても、粒状での添加に比較して、少量の添加量でホルムアルデヒドの除去性能を発揮することができ、またアミノ酸およびその塩の持つ物理的吸着の効果を抑制して喫味成分などの吸着されたくない成分の吸着を抑制でき、ホルムアルデヒドの選択除去性能を効率よく向上させることができる。
浸漬する方法(i)において、浸漬時間(又は処理時間)は、アミノ酸または及びその塩の含有の態様や含有量などに応じて選択でき、例えば、数秒以上(例えば、1秒〜24時間)、好ましくは30秒〜1時間、さらに好ましくは1〜30分程度であってもよく、工業的には、例えば、数秒(例えば、1〜3秒)以上であればよく、好ましくは1〜30秒、さらに好ましくは3〜15秒程度であってもよい。
乾燥は、必要な極性溶媒の残存量を得ることができるのであれば、どのような方法でもよく、自然乾燥又は風乾であってもよいが、通常、減圧可能な乾燥機(減圧乾燥機など)、熱風乾燥機などの乾燥機を使用して行うものでもよい。またトウフィラメントの製造工程でのオイリング工程などに共用してあるは隣接して設置して、フィラメントの製造工程での乾燥工程を利用して乾燥させる方法でも良い。またトウフィラメントをフィルタトウに巻き上げる工程で、乾燥を行っても良い。このような場合には熱風乾燥が好ましく用いられる。
本発明のたばこフィルター用素材は、たばこフィルターを構成するのに有用である。たばこフィルターは、前記たばこフィルター用素材の形態に応じて、本発明のたばこフィルタ用素材を単独で又は2種以上組みあわせて構成してもよく、本発明のたばこフィルタ用素材と他のたばこフィルター用素材[例えば、被覆処理されたたばこフィルター用素材と前記繊維状素材(被覆処理されていない繊維状素材など)など]とで構成してもよい。例えば、不織布構造のフィルターの場合は、本発明のたばこフィルター用素材と他のたばこフィルター用素材と組み合わせてフィルター材料となる不織布を構成してもよく、トウ構造のフィルタの場合であれば本発明のたばこフィルター用素材と他のたばこフィルター用素材と組みあわせて(すなわち処理されたトウと未処理のトウを混合したトウフィラメントを作成し)フィルタ巻き上げ機を用いてフィルタに成形することでもよい。
前記たばこフィルターは、担体又はフィルターの構造に応じて慣用の方法により成形できる。例えば、トウ構造のフィルタは、前記たばこフィルター用素材にトリアセチンなどの常用の可塑剤を添着し、所定の直径に集束し、巻紙で固定させるプラグ巻上げ機を用いてフィルタープラグとする方法により成形できる。また、非トウ構造のフィルターは、慣用の方法、例えば、(a)繊維状などのフィルター素材を、そのままフィルターロッド成形用金型に充填してフィルタープラグとする方法、(b)予め成形されたフィルタープラグの空間に前記フィルター素材を充填する方法などにより製造してもよい。
また、前記たばこフィルターのニコチン保持率(重量換算)およびタール保持率(重量換算)は、それぞれ、60%以上(例えば、65〜100%)、好ましくは70%以上(例えば、75〜99%)、さらに好ましくは80%以上(例えば、85〜98%)程度である。
特に、前記たばこフィルターのニコチン保持率(重量換算)は、60%以上(例えば、65〜100%)の範囲から選択でき、例えば、70%以上(例えば、75〜99%)、好ましくは80%以上(例えば、82〜98%)、さらに好ましくは85%以上(例えば、88〜95%)程度である。また、前記たばこフィルターのタール保持率(重量換算)は、65%以上(例えば、70〜100%)の範囲から選択でき、例えば、75%以上(例えば、78〜99.9%)、好ましくは85%以上(例えば、88〜99.5%)、さらに好ましくは90%以上(例えば、92〜99%)程度である。
ニコチン保持率(%)=(Cn/Tn)×100
タール保持率(%)=(Ct/Tt)×100
またホルムアルデヒドは除去率で示すことができ、前式と同様に処理前のたばこフィルター用素材で構成されたたばこフィルターを通過するたばこ煙中のホルムアルデヒド量を基準として測定できる。すなわち、前記「保持率」とは、前記処理されていないたばこフィルター用素材(又は前記処理前のたばこフィルター用素材)で構成されたたばこフィルターを所定の条件(流量、時間、回数など)において通過するたばこ煙中のホルムアルデヒド量をCfとし、このホルムアルデヒド量Cfと同一の条件(流量、時間、回数など)において、前記処理されているたばこフィルター用素材で構成されたたばこフィルターを通過するたばこ煙中のホルムアルデヒド量をTfとするとき、下記式で表される。
除去率((%)=(1−Cf/Tf)×100
また、本発明では、通常、アミノ酸または及びその塩を含む溶液で処理した担体を使用するので、たばこフィルターの通気抵抗を増大させることなく、たばこフィルター内に組み込むことができる。そのため、本発明のたばこフィルターは、たばこ煙用に適した通気性を有しており、たばこフィルターの通気抵抗は、長さ120mm、円周24.5±0.2mmのたばこフィルターを、流量17.5ml/秒で空気を通過させたときの圧力損失で測定したとき、150〜600mmWG(ウォーターゲージ)の範囲から選択でき、例えば、180〜500mmWG、好ましくは200〜450mmWG(例えば、220〜400mmWG)、さらに好ましくは250〜380mmWG程度であってもよい。
上記のたばこ[ピース・ライト・ボックス(登録商標第2122839号)(日本たばこ産業株式会社製)]の通気抵抗を直接、たばこ葉の部分を含むたばこ煙用フィルタサンプルを用いて測定した。このサンプルにおいて、フィルタ部分の長さは25mm、円周は約25mmであった。通気抵抗は、たばこ煙用フィルタサンプル内に、流量17.5ml/秒で空気を通過させたときの圧力損失(mmWG)を、自動通気抵抗測定器(フィルトローナ社製、FTS300)を用いて測定した。
ニコチン、タール保持率およびホルムアルデヒド除去率の測定に使用したたばこサンプル全体の通気抵抗から、上記たばこからフィルター部分を14mm切断除去した残りの部分の通気抵抗(110mmWG)を引いた差に係数8.6(120mm/14mm)を乗じて、各フィルターサンプルのフィルターロッド長120mm当りの通気抵抗とした。すなわち観測された通気抵抗値から以下の式でフィルターの通気抵抗を求めた。
フィルターの通気抵抗(mmWG)=(測定された通気抵抗値−110)×8.6
たばこ煙用フィルタサンプルを用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件で喫煙を行った。フィルタを通過した煙中のニコチン及びタールはガラス繊維製フィルタ(ケンブリッジフィルタ)で捕集し、ニコチン量はガスクロマトグラフ((株)日立製作所製G−3000)を用いて測定した。
タール量は重量法により測定を行った。
対照品のケンブリッジフィルタに付着したニコチン量およびタール量をTn、Ttとし、比較例及び実施例でケンブリッジフィルタに付着したニコチン量およびタール量をCn、Ctとして次式によりニコチン及びタールの保持率を算出した。
ニコチン保持率(%)=100×Cn/Tn
タール保持率(%)=100×Ct/Tt
たばこ煙用フィルタサンプルを用い、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワルド社製RM20/CS)により、流量17.5ml/秒で喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件で喫煙を行った。フィルタを通過した煙中のホルムアルデヒドは、DNPH(ジニトロフェニルヒドラジン)溶液で捕集し、DNPHで誘導体化した上でガスクロマトグラフ((株)日立製作所製G−3000)を用いてUV(紫外線)の吸光度を用い測定した。
対照品で捕集されたホルムアルデヒド量Tfとし、下記の比較例及び実施例で捕集したホルムアルデヒド量をCfとして次式によりホルムアルデヒド除去率を算出した。
ホルムアルデヒド除去率(%)=100×(1−Cf/Tf)
アミノ酸類の水溶液に浸漬する前のサンプル重量(Wb)を測定する。そして、アミノ酸水溶液に浸漬後アミノ酸類の水溶液を含んだサンプルの重量(Wa)を測定する。これらの差により、フィルターチップサンプルが吸収したアミノ酸類の水溶液の重量が求められる。得られたアミノ酸水溶液の重量とアミノ酸水溶液の濃度(C)(%)の積をアミノ酸および又はその塩の添着量(A)とする。具体的には下式で示される。
アミノ酸および又はその塩の添着量(A)=(Wb−Wa)×C/100
比較例においては、粉体の添加量をアミノ酸の添着量とした。
アミノ酸類を添加したサンプル(アミノ酸の水溶液を浸漬したサンプルあるはアミノ酸の粉末とグリセリンを添加したサンプル)を18℃で真空乾燥する。真空乾燥中に秤量し、恒量(重量変化が重量測定の誤差範囲内)となるまで真空乾燥を行う。(例えば8時間30分間)
乾燥終了後のサンプルの重量(Da)を測定する。次に、得られたサンプルを22℃・60RH%の条件の恒温恒湿室に保管して、経時的に重量の秤量を行う。恒量となった時点のサンプル重量(Db)を測定する。水分量(W)は下式で求められる。
水分量(W)=(Db−Da)
上記の式により恒量となった時点のサンプル重量(Db)が求まるので、即ち平行水分に達した状態でのサンプル重量が求まることになる。したがって「担持体1gあたりのアミノ酸および又はその塩の添着量(M)」は下式で求められる。尚、
担持体1gあたりのアミノ酸および又はその塩の添着量(M)=A/Db
同様に「担持体1gあたりの水分量(N)」は下式で求められる。
担持体1gあたりの水分量(N)=W/Db
アミノ酸またはその塩溶液の調整
表1に記載のアミノ酸およびアミノ酸塩を、溶媒(極性溶媒)として水を用いて溶解し、表1に記載の各濃度のアミノ酸またはアミノ酸塩水溶液を作成した。尚、使用したアミノ酸は全て和光純薬株式会社が製造した特級試薬を用いた。
乾燥後の重量を秤量し乾燥終了後ののサンプル重量、すなわちDaを求めた。そして、これらのサンプルを22℃×60%RHの空調室に保管し、48時間調湿し、チップに含有する水分量が平衝状態とし、その重量を秤量しDbを求めた。
上記の計算式に基づき得られた、担持体1g当たりのアミノ酸添着量(M)と水分量(N)を表2に記載する。
このたばこ煙用フィルタサンプルについて上記の通気抵抗、ニコチン、タール量、ホルムアルデヒド量の測定を行った。得られたサンプルのニコチン保持率、タール保持率、ホルムアルデヒド除去率、通気抵抗を表2に記載する。
なお、ニコチン、タール及びホルムアルデヒド除去率を評価するための対照品としては、切断した14mmのフィルタ短片に何も処理をしないで使用する以外は、上記方法と同様にして作製したものを用いた。
比較例1と2ではアミノ酸と保湿剤と水の組み合わせ、あるいはアミノ酸と水を添加した系を試験した。これは臭気のみを官能試験した。また上記と同じ方法を用いてアミノ酸、保湿剤の添着量、水分量を求めた。
フィラメントデニール2.2、トータルデニール40,000のセルロースジアセテート倦縮繊維トウ(ダイセル化学工業株式会社製)を用意してこれをフィルター用自動巻き上げ機で巻き上げた。可塑剤としてトリアセチンを用いた。フィルター用自動巻き上げ機のチャコール(活性炭)添加装置を用いて、L−アルギニン粉末をセルロースアセテート繊維1g当たり18.2mgとなるようにチャコール散布機で均一に散布した。通常の方法でフィルタープラグに巻き上げ、巻き上げサイズ、長さ100mm、外径8mmのたばこフィルタロッドを得た。これを長さ方向に4等分し、長さ25mmのフィルターチップを得た。この25mmのセルロースアセテートからなるフィルタープラグに保湿剤としてグリセリンを18mg含有させた。このチップを予め22℃・60%RHの空調室に保管し、48時間調湿した。チップ当たりのL−アルギニンの含有量は3.5mgとなる。これらのチップの一部は水分量を測定するために用いた。水分量は13mgであった。次に同じ方法で調整した別のサンプルを秤量瓶に密閉し、2週間22℃・60%RHの空調室に保管し、保管試験を行った。2週間後秤量瓶を開封し中の臭気を官能試験で確認した結果を表3に記す。
比較例1と同様の試験を行った。但し、サンプルはL−アルギニンと水を含有させたものとし、グリセリンは添加しなかった。L−アルギニンの含有量は3.5mgとした。保管試験前に水を添加した、添加する水は13mgとした。この比較例においては、真空乾燥前後での重量変化量を水分量とした。結果を表3に記す。
比較例1および2と同様の試験を行った。但し、アミノ酸の添加は実施例8と同様の方法に従い、サンプルは実施例8と同様に乾燥、調湿後秤量瓶に密封し保管試験を行うと共に水分量を測定した。結果を表3に記す。
Claims (6)
- セルロースアセテートからなるフィラメントの集合体からなる担体が、担持体1gに対して0.05mg以上でかつ100mg以下の量のアミノ酸または及びその塩で被覆処理されており、該被覆処理された担持体の水分量が被覆処理後の担持体1gに対して20mg以上でかつ40mg以下であるたばこフィルター用素材。
- アミノ酸または及びその塩の量が0.5mg以上でかつ15mg以下であり、アミノ酸または及びその塩が酸性または中性アミノ酸または及びその塩である請求項1に記載のたばこフィルター用素材。
- 酸性または中性アミノ酸または及びその塩がグリシンまたはグルタミン酸またはその塩である請求項2に記載のたばこフィルター用素材。
- アミノ酸または及びその塩の量が0.5mg以上でかつ10mg以下である請求項1から3何れかに記載のたばこフィルター用素材。
- 少なくともその構成体の一部に請求項1から4何れかに記載のたばこフィルター用素材を用いたたばこフィルタ。
- 請求項5に記載のたばこフィルターを備えたたばこ。
Priority Applications (1)
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