JP4934639B2 - ボンネット衝撃吸収装置 - Google Patents
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Description
請求項1のボンネット衝撃吸収装置(40)では、車両(10)の衝突時に、押上ロッド(52)が待機位置より上方の作用位置に移動して保持され、ボンネット(13)の後端部が上限位置に押し上げられた状態になる。この状態で、ボンネット(13)の上面に衝突体(90)が打ち付けられると、ボンネット(13)の後端部が降下して、押上ロッド(52)の先端部(52H)がボンネット(13)におけるロッド摺接部(34R,32W)を摺接移動し、押上ロッド(52)の基端部が折り曲げられる。このように本発明では、ボンネット(13)の後端部を降下させる過程で押上ロッド(52)を徐々に折り曲げるので、従来より押上ロッド(52)の変形量が大きくなり、衝突体(90)の衝突速度を徐々に減速することができる。このとき、衝撃のエネルギーは、押上ロッド(52)の曲げ変形によって吸収(消費)されるのみならず、押上ロッド(52)の先端部(52H)とロッド摺接部(34R,32W)との間の摩擦を受けながらの移動(即ち、摺接移動)によっても吸収される。
請求項2の構成では、押上ロッド(52)は待機位置から後側斜め上方に向かって上昇して作用位置に到達するので、ロッド摺接部(34R,32W)における摺接面に対して押上ロッド(52)の軸方向が確実に傾斜した状態になる。これにより、ボンネット(13)の後端部を降下させた際に、押上ロッド(52)をロッド摺接部(34R,32W)に対して確実に後方に摺接移動させることができる。
請求項3の構成では、ボンネット(13)を開放する際には、ボンネット(13)の前端部を車両本体(10H)から切り離し、ヒンジアーム(32)と共にボンネット(13)を車両本体(10H)に対して回動させながら、ボンネット(13)の先端部(52H)を上方に移動すればよい。そして、車両(10)が衝突した際に、押上ロッド(52)がボンネット(13)の後端部を上方に押圧すると、ヒンジアーム(32)のヒンジ変形部(33)が屈曲して、ボンネット(13)の上端部が上限位置に移動することが許容される。また、衝突体(90)がボンネット(13)の上面に打ち付けられた際には、ヒンジアーム(32)のヒンジ変形部(33)が屈曲を元に戻す方向に変形するので、その変形によって衝撃のエネルギーが吸収され、衝撃を軽減することができる。
請求項4の構成によれば、ヒンジアーム(32)のヒンジ変形部(33)における補強リブ(35A,35B)がスリット(37)によって分断されているので、ヒンジ変形部(33)の平板部(34)における屈曲位置が安定する。
請求項5の構成によれば、ヒンジアーム(32)のヒンジ変形部(33)に備えた後側平坦部(34R)とアーム中間湾曲部(32W)をロッド摺接部(34R,32W)として利用したので、部品点数の削減が図られる。また、押上ロッド(52)が待機位置から作用位置に移動するまでの間に、押上ロッド(52)の先端部(52H)が前側平坦部(34F)から後側平坦部(34R)へと摺接移動するので、仮にボンネット(13)の後端部が押し上げられる途中で衝突体(90)がボンネット(13)の上面に打ち付けられても、ボンネット(13)の後端部が上昇する動作から降下する動作にスムーズに移行し、衝撃を軽減することができる。
請求項6の構成によれば、押上ロッド(52)が待機位置から作用位置に移動するまでの間に押上ロッド(52)の先端部(52H)が上昇摺接部(34F)からロッド摺接部(34R,32W)へと摺接移動するので、仮にボンネット(13)の後端部が押し上げられる途中で衝突体(90)がボンネット(13)の上面に打ち付けられても、ボンネット(13)の後端部が上昇する動作から降下する動作にスムーズに移行し、衝撃を軽減することができる。
請求項7の構成によれば、ボンネット(13)の後端部が下限到達するまでの間に押上ロッド(52)の先端部(52H)が負荷解放部(13X)に逃げ込み、押上ロッド(52)が折れることが防がれる。これにより、折れた押上ロッド(52)によって車両本体(10H)が損傷することが防がれる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図15に基づいて説明する。図1に示した車両10は、前側にエンジン11を収容したエンジンルーム12を備え、そのエンジンルーム12の上面がボンネット13によって閉塞されている。
本実施形態は図16及び図17に示されており、前記第1実施形態とは主としてヒンジアーム32Vの構成が異なる。以下、第1実施形態と異なる構成に関してのみ説明し、第1実施形態と同一構造の部位には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
平板部60Hとその平板部60Hの後端を下方に湾曲させてなるアーム中間湾曲部60Wと、平板部60Hとアーム中間湾曲部60Wの一側部から垂下された連結リブ60Gとを備えてなる。その平板部60Hからアーム中間湾曲部60Wに亘った部分は、前記第1実施形態のヒンジアーム32における平板部34からアーム中間湾曲部32Wに亘った部分と同一形状になっている。
本実施形態は、図18に示されており、前記第2実施形態とロッド摺接部材65のみが異なる。そのロッド摺接部材65は、下面が開放した角溝構造のロッド摺接部66を有している。また、そのロッド摺接部66の一側壁の下端部を上方側に折り返した後、さらにロッド摺接部66から離れる側の側方に折り曲げてボルト固定部67が形成されている。そして、ロッド摺接部66の天井面には、第1実施形態と同様に、摩擦係数が異なる複数の領域が押上ロッド52の摺接移動方向に沿って設けられている。また、ボルト固定部67の上板壁67Jがボンネット13の下面にボルトB3にて固定されている。さらに、上板壁67Jから垂下された縦壁67Tに前記したヒンジアーム32Vの連結突片32Tが連結されている。さらに、押上ロッド52のヘッド部52Hは、ロッド摺接部66の内面を摺接移動する。この構成によれば、押上ロッド52のヘッド部52Hと固定用のボルトB3との干渉を確実に避けることができる。
本実施形態のロッド摺接部材65Vは、図19に示されており、前記第3実施形態とロッド摺接部66Vの構造のみが異なる。このロッド摺接部66Vは、押上ロッド52のヘッド部52Hを受容する部分が断面V字状になっている。そして、押上ロッド52のヘッド部52Hがロッド摺接部66VのV字内面に2点支持されて、摺接移動する。そのV字内面にも摩擦係数が異なる複数の領域が押上ロッド52の摺接移動方向に沿って設けられている。この構成によれば、押上ロッド52のヘッド部52Hが摺接移動する方向が安定する。
本実施形態のロッド摺接部材65Wは、図20に示されており、前記第3実施形態とロッド摺接部68の構成のみが異なる。本実施形態のロッド摺接部68は、ボルト固定部67からボンネット13の横方向の中央に向かって延び、その断面形状は、例えば角溝状になっている。また、ロッド摺接部68は、ボルト固定部67から離れるに従って斜め上方に延び、途中で屈曲して略水平横方向に延びている。そして、ロッド摺接部68の内面にも摩擦係数が異なる複数の領域が押上ロッド52の摺接移動方向に沿って設けられている。このような構成にしても前記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
本実施形態のロッド摺接部材65Xは、図21に示されており、前記第3実施形態とボルト固定部67とロッド摺接部66とを別部品にし、そのロッド摺接部66をボンネット13の下面に溶接した構造になっている。このような構成にしても前記第3実施形態と同様の作用効果を奏する。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
10H 車両本体
13 ボンネット
13X 負荷解放部
20 ロック機構
21 ストライカ
22 ロック装置
30 ヒンジ機構
31 支持スタンド
31J 回転支持軸
31K 支軸孔
31S 待受壁
32,32V ヒンジアーム
32W,60W アーム中間湾曲部(ロッド摺接部)
33 ヒンジ変形部
34,60H 平板部
34F 前側平坦部(上昇摺接部)
34R 後側平坦部(徐変摺接領域,ロッド摺接部)
35A,35B,35C 補強リブ
37 スリット
40 ボンネット衝撃吸収装置
50 アクチュエータ
52 押上ロッド
52H ヘッド部(先端部)
60,65,65V,65W,65X ロッド摺接部材
66,66V,68 ロッド摺接部
90 歩行者(衝突体)
V1 第1のベクトル
V2 第2のベクトル
θ 摺接角
Claims (7)
- 車両(10)の衝突時にボンネット(13)の後端部を押し上げて、そのボンネット(13)の上面に衝突体(90)が打ち付けられたときに、前記ボンネット(13)の後端部の降下を許容し、前記衝突体(90)への衝撃を軽減するボンネット衝撃吸収装置(40)において、
前記車両(10)のうち前記ボンネット(13)を除く車両本体(10H)に組み付けられたアクチュエータ(50)と、
前記アクチュエータ(50)に直動可能に設けられ、通常時には、前記ボンネット(13)の下方の待機位置で待機し、前記車両(10)の衝突時には、前記待機位置より上方の作用位置に移動して保持され、前記ボンネット(13)の後端部を上限位置まで押し上げた状態にする押上ロッド(52)と、
前記ボンネット(13)に設けられて前記押上ロッド(52)の先端部(52H)が当接し、前記ボンネット(13)の後端部が前記上限位置から下方に移動する間に前記押上ロッド(52)の先端部(52H)を摺接移動させて前記押上ロッド(52)の基端部を折り曲げるロッド摺接部(34R,32W)と、
前記ロッド摺接部(34R,32W)に設けられて、前記押上ロッド(52)の先端部(52H)の摺接移動方向を向いた第1のベクトル(V1)と、前記押上ロッド(52)の基端部から先端部(52H)に向かった第2のベクトル(V2)との間の角度である摺接角(θ)が、前記摺接移動が進むに従って減少すると共に、前記押上ロッド(52)の先端部(52H)との間の摩擦係数が、前記摺接移動が進むに従って大きくなる徐変摺接領域(34R)と、が備えられたことを特徴とするボンネット衝撃吸収装置(40)。 - 前記押上ロッド(52)は前記待機位置から後側斜め上方に向かって上昇して前記作用位置に到達することを特徴とする請求項1に記載のボンネット衝撃吸収装置(40)。
- 一端部が前記ボンネット(13)の下面に固定されると共に、他端部が前記車両本体(10H)に対して回動可能に連結され、前記ボンネット(13)の前端部が前記車両本体(10H)から切り離されたときに、前記ボンネット(13)と一体に回転して前記ボンネット(13)の前端部を上方に移動可能とするヒンジアーム(32)と、
前記ヒンジアーム(32)のうち前記ボンネット(13)側の一端部に設けられ、前記ボンネット(13)の後端部が前記上限位置に移動した際に屈曲した状態に変形し、前記ボンネット(13)の後端部が前記上限位置から下方に移動する間に前記屈曲を戻す側に変形して衝撃を軽減するヒンジ変形部(33)とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のボンネット衝撃吸収装置(40)。 - 前記ヒンジ変形部(33)には、前記ボンネット(13)の下面に重ねて固定されると共に、前記ボンネット(13)の後端部が前記上限位置に移動した際に屈曲した状態に変形する平板部(34)と、前記平板部(34)から起立し、前記平板部(34)の屈曲部分と対応した位置にスリット(37)を有した補強リブ(35A,35B)とが備えられたことを特徴とする請求項3に記載のボンネット衝撃吸収装置(40)。
- 前記平板部(34)に設けられて、前記ボンネット(13)の下面に重ねて固定された前側平坦部(34F)と、
前記平板部(34)に設けられて、通常は、前記前側平坦部(34F)に対して面一状に連続し、前記ボンネット(13)の後端部が上限位置に移動する動作に伴って前記前側平坦部(34F)から下方に屈曲する後側平坦部(34R)と、
前記後側平坦部(34R)のうち前記前側平坦部(34F)と反対側の端部から下方に湾曲したアーム中間湾曲部(32W)とを備え、
前記押上ロッド(52)が前記待機位置から前記作用位置に移動する間に前記押上ロッド(52)の先端部(52H)が前記前側平坦部(34F)から前記後側平坦部(34R)へと摺接移動し、
前記ボンネット(13)の後端部が前記上限位置から降下したときに、前記後側平坦部(34R)及び前記アーム中間湾曲部(32W)を前記ロッド摺接部(34R,32W)として前記押上ロッド(52)の先端部(52H)が摺接移動することを特徴とする請求項3又は4に記載のボンネット衝撃吸収装置(40)。 - 前記ロッド摺接部(34R,32W)に連続し、前記押上ロッド(52)が前記待機位置から前記作用位置に移動する間に前記押上ロッド(52)の先端部(52H)が摺接する上昇摺接部(34F)を設け、
前記押上ロッド(52)の先端部(52H)に対する前記上昇摺接部(34F)の摩擦係数を前記ロッド摺接部(34R,32W)の摩擦係数より小さくしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のボンネット衝撃吸収装置(40)。 - 前記ロッド摺接部(34R,32W)を通過した押上ロッド(52)を、前記ボンネット(13)の降下に伴う負荷から解放するための負荷解放部(13X)を設けたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のボンネット衝撃吸収装置(40)。
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