JP2008120337A - 塑性変形するアームを備えたポップアップフード装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フードを支えるアーム自体が塑性変形することで、歩行者衝突時のエネルギーを吸収することができるポップアップフード装置を提供することを目的とする。
【解決手段】アクチュエータ10と、エネルギー吸収アーム30と、フード持上げアーム40と、を有し、前記フード持上げアーム40は、前記エネルギー吸収アーム30に押し上げられて第1ヒンジ部41を支点として上方に立ち上がるポップアップフード装置1において、前記フード持上げアーム40が立ち上がった状態で該フード持上げアーム40に上方から荷重が負荷された場合に、前記エネルギー吸収アーム30には該エネルギー吸収アーム30の降伏点よりも大きい応力値が生じ、且つ前記フード持上げアーム40には該フード持上げアーム40の降伏点よりも小さい応力値が生じることを特徴とするポップアップフード装置1が提供される。
【選択図】 図1
【解決手段】アクチュエータ10と、エネルギー吸収アーム30と、フード持上げアーム40と、を有し、前記フード持上げアーム40は、前記エネルギー吸収アーム30に押し上げられて第1ヒンジ部41を支点として上方に立ち上がるポップアップフード装置1において、前記フード持上げアーム40が立ち上がった状態で該フード持上げアーム40に上方から荷重が負荷された場合に、前記エネルギー吸収アーム30には該エネルギー吸収アーム30の降伏点よりも大きい応力値が生じ、且つ前記フード持上げアーム40には該フード持上げアーム40の降伏点よりも小さい応力値が生じることを特徴とするポップアップフード装置1が提供される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、作動対象との接触時に、車体に配置されたアクチュエータを作動させてフードを持ち上げるポップアップフード装置の構造に関する。
近年、自動車事故の際の乗員の被害を最小限に抑える安全対策のみならず、相手方車両や歩行者の被害をも最小限に抑える安全対策が求められている。歩行者の被害を最小限に抑える対策として、特許文献1に示されたように、車両が歩行者に接触した場合等に、車両のフードを機械的に持ち上げ、歩行者衝突のエネルギーをフードの変形エネルギーとして吸収する技術(所謂ポップアップフード装置)が開発されている。
ポップアップフード装置は、車両に歩行者が接触した場合等に、フードの車両進行方向に向かって後部側を、アーム等を支柱として機械的に持ち上げ、前記フードと内部のエンジン等との間に空間を形成する。前記フードに歩行者が乗り上げた場合、前記フードが撓んで変形することで歩行者の衝突エネルギーを吸収し、歩行者の安全を確保するものである。
しかし、歩行者は必ずしもフード中央に乗り上げるわけではなく、フードの左右側に乗り上げた場合には、逆に支柱であるアーム等が強固であるとフードの撓みを阻害し、また、アーム等自身が歩行者を傷つける場合もある。従って、歩行者の安全を十分に確保するために、歩行者が車両と衝突してフードの左右側に乗り上げた場合であっても、歩行者の衝突エネルギーを吸収することができる更に進んだ安全対策が望まれている。
特開2003-220972号公報
本発明は、フードの撓みのみならずフードを支えるアーム自体が塑性変形することで、歩行者がフードの中央以外の部分に衝突した場合であっても衝突時のエネルギーを吸収することができるポップアップフード装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、アクチュエータと、前記アクチュエータに接続されたエネルギー吸収アームと、一端が第1ヒンジ部を介して所定の位置に回動可能に固定されて前記エネルギー吸収アームの上部に配設されたフード持上げアームと、を有し、前記エネルギー吸収アームは、前記アクチュエータの動力を受けて該エネルギー吸収アームの一端が前記フード持上げアームと連結し、且つ前記連結部において前記フード持上げアームを上方に押し上げ、前記フード持上げアームは、前記エネルギー吸収アームに押し上げられて前記第1ヒンジ部を支点として上方に立ち上がるポップアップフード装置において、前記フード持上げアームが立ち上がった状態で該フード持上げアームに上方から荷重が負荷された場合に、前記エネルギー吸収アームには該エネルギー吸収アームの降伏点よりも大きい応力値が生じ、且つ前記フード持上げアームには該フード持上げアームの降伏点よりも小さい応力値が生じることを特徴とするポップアップフード装置が提供される。
また、アクチュエータと、前記アクチュエータに接続されたエネルギー吸収アームと、前記エネルギー吸収アームとフードとの間に配設され、一端が第1ヒンジ部を介して車両本体に回動可能に固定され、他端が第2ヒンジ部を介して前記フードに回動可能に固定されたフード持上げアームと、を有し、前記エネルギー吸収アームは、前記アクチュエータの動力を受けて該エネルギー吸収アームの一端が前記フード持上げアームと連結し、且つ前記連結部において前記フード持上げアームを上方に押し上げ、前記フード持上げアームは、前記エネルギー吸収アームに押し上げられて前記第1ヒンジ部を支点として上方に立ち上がって前記フードを押し上げるポップアップフード装置において、前記フードが持ち上がられた状態で該フードに上方から荷重が負荷された場合に、前記エネルギー吸収アームには該エネルギー吸収アームの降伏点よりも大きい応力値が生じ、且つ前記フード持上げアームには該フード持上げアームの降伏点よりも小さい応力値が生じることを特徴とするポップアップフード装置が提供される。
本発明によれば、フードの撓みのみならずフードを支えるアーム自体が塑性変形することで、歩行者がフードの中央以外の部分に衝突した場合であっても衝突時のエネルギーを吸収することができるポップアップフード装置が提供される。
以下、本発明の実施形態に係るポップアップフード装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるわけではない。また、各実施形態において、同様の構成については同じ符号を付し、改めて説明しない場合がある。
上述したように、従来のポップアップフード装置においては、歩行者の衝突時又は予め衝突が予測された場合に、フードを持ち上げてフードとエンジンブロック等の間に空間を形成し、歩行者が衝突してフードに乗り上げた場合にフードの撓みによって衝突エネルギーを吸収することを目的としていた。この点について図を参照しながら説明する。図8は、自動車のフロント部分を表す模式図である。
フードの運転席側の両端をアーム等で持ち上げるポップアップフード装置においては、図8に示すように、フード101の中央部分aに歩行者が乗り上げた場合は、フード101は大きく撓み、歩行者の衝突エネルギーを十分吸収することが可能である。しかし、フード101の左右の側端部b(図示上、車両に向かって左側の側端部のみ示している。)に歩行者が乗り上げた場合には、フード101側端部自体が内側に折り曲げ加工等がされ中央部よりも強固であるため、フード101の撓みが小さく、フード101の撓みだけで衝突エネルギーを十分に吸収することができない場合が生じるのである。
そこで、本発明においては、歩行者がフードの側端部に乗り上げた場合であっても、衝突エネルギーを十分吸収することができるように、フードを支えるアームのうちの1本のアームが、歩行者が衝突して乗り上げた衝撃によって塑性変形することで衝突エネルギーを吸収することを特徴とする。即ち、歩行者の衝突エネルギーを前記1本のアームが塑性変形するエネルギーに変換することで、衝突エネルギーを吸収することを特徴とする。
本発明の一実施形態について図を参照しながら説明する。図1は、本発明のポップアップフード装置1が車両に搭載された状態を切り欠いた状態で示す全体構成図である。車両本体に本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1が左右一対で配設される。左右一対のポップアップフード装置1は、構造、作用、効果はいずれも同一であるので、以下の説明においては車両前方から見た場合に左側に搭載されるポップアップフード装置1について説明する。本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1は、ポップアップフード機構3と、前記ポップアップフード機構3に連結されたアクチュエータ10と、前記アクチュエータ10とワイヤーケーブル1(7)によって連結されたモーターユニット5及びプーリ6とを備える。
モーターユニット5及びプーリ6は、アクチュエータ10にワイヤーケーブル1(7)を介して連結されている。モーターユニット5のモーターの軸にプーリ6が固定され、プーリ6にワイヤーケーブル1(7)が固定される。
モーターユニット5には、図示しないがセンサー2及び制御部が接続される。歩行者が衝突した場合又は予め衝突が予測される場合、センサー2が感知して制御部に伝達し、制御部はモーターユニット5を駆動する。モーターユニット5が駆動するとモーターの回転がプーリ6を回転させ、ワイヤーケーブル1(7)をプーリ6に巻き上げる。以上の動作に伴って、前記ワイヤーケーブル1(7)が接続されたアクチュエータ10が動作する。なお、プーリ6を使用するのは、ワイヤーケーブル1(7)を瞬時に大量に巻き上げるためである。
本発明の一実施形態においては、センサー2としてバンパー内に設けたレーダー型の距離センサー2及びCCDカメラを用いた。距離センサー2が把握した対象物までの距離とCCDカメラが捕らえた画像データから、対象物が歩行者等の人間であるか又は壁等であるかを制御部が判断する。対象物が人間であると判断し、且つ衝突が予測される予め定められた距離以内の場合に、制御部はモーターユニット5を駆動する。なおセンサー2は、前記センサー2に限定される訳ではなく、例えば、車速を感知して衝突を予測するもの等であってもよい。
アクチュエータ10は、ポップアップフード機構3と連結されてポップアップフード機構3に駆動のための動力を提供する。即ちアクチュエータ10が稼動することで、その動力がポップアップフード機構3に伝達され、ポップアップフード機構3が稼動してフード101を持ち上げる。
アクチュエータ10は、概略アクチュエータ本体11と、アクチュエータ本体11の外周に配設されるコイルばね12と、アクチュエータ本体11内部に配設されるピストンロッド13、ピストンロッド13の先端部であるピストンヘッド14及びピストンロッド13を係止するロック装置(図示せず)から構成される。
コイルばね12は、一端がアクチュエータ本体11の一端に接続され、他端がピストンヘッド14に接続される。ピストンロッド13がアクチュエータ本体11内部に引き戻されると、ピストンロッド13先端のピストンヘッド14によってコイルばね12が圧縮され、ピルトンロッド13がロック装置(図示せず)によって固定されると、コイルばね12は圧縮状態を保持したまま固定される。そしてロック装置が解除されることで、コイルばね12は圧縮状態から反発し、ピストンヘッド14及び前記ピストンヘッド14に接続するピストンロッド13をアクチュエータ本体11内部から伸張させる。
本実施形態においては、プーリ6に接続されたワイヤーケーブル1(7)がロック装置(図示せず)に接続されている。従って、モーターユニット5が回転すると、プーリ6に接続されたワイヤーケーブル1(7)が巻き上げられ、ロック装置が解除されて、圧縮状態のコイルばね12が圧縮状態から開放されて反発し、ピストンヘッド14及び前記ピストンヘッド14に連結するピストンロッド13を伸張させる。
ピストンヘッド14は、ピストンロッド13に直交する方向の断面が、中央部が窪んだ凹型の形状をなし、前記窪みにポップアップフード機構3の動力伝達アーム20の一端が差し込まれ、固定ねじ16で固定される。これによってピストンヘッド14の動きが前記動力伝達アーム20を介してポップアップフード機構3に伝達される。
次にポップアップフード機構3について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るポップアップフード機構3の側面図であり、図3は、本発明の一実施形態に係るポップアップフード機構3の平面図である。本発明の一実施形態に係るポップアップフード機構3は、概略、エネルギー吸収アーム部、フード持上げアーム部、動力伝達アーム部、アーム固定ブラケット、フード固定ブラケット部及びロック機構部から構成される。
エネルギー吸収アーム部は、エネルギー吸収アーム30、エネルギー吸収アーム30の端部にエネルギー吸収アームバー固定ねじ35によって固定されたエネルギー吸収アームバー32、エネルギー吸収アーム30の端部中央の位置に、エネルギー吸収アーム30長手方向に直交する形で突出して設けられたピン33から構成され、エネルギー吸収アーム30の一部には、図3に点線で示す開口部34が設けられている。従って、図示はしないが、エネルギー吸収アーム30は第1の部分と第2の部分とを有し、第1の部分が第2の部分に対して脆弱であり、荷重が負荷された場合脆弱な第1の部分が塑性変形する。本実施例においては、開口部34が設けられた部分が第1の部分に相当し、他の部分が第2の部分に相当する。なお、前記開口部34はエネルギー吸収アーム30の形状や材質によっては設けられない場合もある。
エネルギー吸収アーム30は、一端が固定部材21を介して動力伝達アーム20と固定ねじ23で回動可能に固定され、エネルギー吸収アーム30と動力伝達アーム20は、常に所定の角度を保持しながら動作する。即ち、エネルギー吸収アーム30及び動力伝達アーム20はそれぞれの一端が固定ねじ23で固定されていることから、動力伝達アーム20が固定ねじ23を中心に回動すると、エネルギー吸収アーム30は、固定ねじ23を支点として、固定されていない他端であるエネルギー吸収アーム端部31が上方に持ち上がるように回動する。また、エネルギー吸収アーム端部31は、アクチュエータ10の動力を受けて以下で詳述するフード持上げアーム40に当接し、エネルギー吸収アーム端部31中央に設けられたピン33が、フード持上げアーム40に設けられたガイドスリット43に沿って摺動することで、フード持上げアーム40を上方に押し上げる。
エネルギー吸収アーム30は、詳細は後述するが、フード101が押し上げられた状態において歩行者が衝突して前記フード101に乗り上げた場合、フード101に上方から負荷された荷重を、フード持上げアーム40を介して受ける。本発明においては、この負荷された加重がフード持上げアーム40及びエネルギー吸収アーム30に掛かることになるが、フード持上げアーム40は、この荷重に対して生じる応力値がフード持上げアーム40の降伏点よりも小さくなるように設計され、一方エネルギー吸収アーム30は、この荷重に対して生じる応力値がエネルギー吸収アーム30の降伏点よりも大きく生じるように設計される。従って、エネルギー吸収アーム30は、全体又は一部が塑性変形して負荷された荷重を変形エネルギーとして吸収する。言い換えれば、エネルギー吸収アーム30は、かかる荷重負荷時に生じる応力値よりも小さい降伏点を有する。
エネルギー吸収アームバー32はL字形状で、長辺部がエネルギー吸収アーム30にエネルギー吸収アームバー固定ねじ35でねじ止めされ、短辺部がエネルギー吸収アーム30から突出して配設される。短辺部上部には凹型の窪みが設けられている。エネルギー吸収アームバー32は、フード持上げアーム40に回動可能に固定されたロック機構部のロックバー71の下側に前記窪みが当接して配設される。図3の平面図において、エネルギー吸収アームバー32とロックバー71が上部方向から見た場合に重なっているのが理解される。エネルギー吸収アーム30がフード持上げアーム40に当接してフード持上げアーム40を押し上げる際に、前記エネルギー吸収アームバー32は、ロックバー71を押し上げてフード固定ピン63に掛止されたロック部70を引き戻すことで、フード持上げアーム40とフード101とのロックを解除する。
エネルギー吸収アーム端部31の中央に設けられたピン33は、円筒形で先端が一回り大きく形成され、釘の頭様の形状をなしている。前記ピン33は、エネルギー吸収アーム30がフード持上げアーム40に当接した際に、フード持上げアーム40に設けられたガイドスリット43に嵌合し、ガイドスリット43に沿って前記ピン33が摺動することで、エネルギー吸収アーム30がフード持上げアーム40を正確に上方に押し上げることを補助する。本体が円筒形であるのは、ガイドスリット43との摩擦を最小限にするためであり、また、先端が一回り大きく形成されているのは、この部分がガイドスリット43とフード持上げアーム40との間に形成された空間に嵌め込まれ、ピン33がガイドスリット43から抜けてしまうことを防止するためである。従って、先端の直径は、ガイドスリット43の幅よりも大きく形成される。
フード持上げアーム部は、該略、フード持上げアーム40、第1ヒンジ部41、フード持上げアーム突起42、ガイドスリット43及び第2ヒンジ部44から構成される。
フード持上げアーム40は、一端が第1ヒンジ部41を介してアーム固定ブラケット50に回動可能に固定され、他端が第2ヒンジ部44を介してフード固定ブラケット60に回動可能に固定される。エネルギー吸収アーム30が当接して、エネルギー吸収アーム端部31の中央部に設けられたピン33がガイドスリット43に沿って摺動することに伴い、フード持上げアーム40は、第1ヒンジ部41を支点として上方に持ち上げられ、前記フード持上げアーム40が、前記フード固定ブラケット60が固定されたフード101を上方に持ち上げる。
フード持上げアーム40は、上述したようにフード101が押し上げられた状態で歩行者が衝突してフード101に上方から荷重が負荷されると、直接前記荷重を受け、その荷重をエネルギー吸収アーム30に伝える。ここで、エネルギー吸収アーム30は前述したように塑性変形するが、フード持上げアーム40はかかる荷重負荷時に生じる応力値以上の降伏点を有するように形成されているため、塑性変形することはない。
フード持上げアーム突起42は、フード持上げアーム40の第1ヒンジ部41側の端部に設けられる。フード持上げアーム40が第1ヒンジ部41を中心に回動する場合、フード持上げアーム突起42がアーム固定ブラケット50の上端部に当接し、フード持上げアーム40がそれ以上回動することを防止する役割を果たす。フード101が所定の高さ以上に開かないようにするためである。
ガイドスリット43は、フード持上げアーム40の概略中央部から第2ヒンジ部44方向に向かってL字型に設けられる。ガイドスリット43は、フード持上げアーム40本体と、該ガイドスリット43との間に空間が設けられた二重構造となっており、この空間に上述したエネルギー吸収アーム30のピン33の先端部が嵌め込まれる。ピン33の円筒形の本体部は、ガイドスリット43のL字型形状に沿って摺動し、この動作に伴って、フード持上げアーム40は上方に押し上げられるように立ち上がる。そしてフード持上げアーム40は、フード固定ブラケット60に固定されたフード101を所定の高さに押し上げる。従って、ガイドスリット43は、フード持上げアーム40、更にはフード101が所定の高さに立ち上がることを補助する役割を果たす。
動力伝達アーム部は、動力伝達アーム20、固定部材21、ガイドスリット22及び固定ねじ23から構成される。
動力伝達アーム20は、一端が固定部材21を介してエネルギー吸収アーム30と固定ねじ23によって回動可能に固定され、他端がアクチュエータ10のピストンヘッド14の凹型部分に嵌め込まれ、固定ねじ16によって回動可能に固定される。ここで、エネルギー吸収アーム30と動力伝達アーム20は、固定部材21を中心として常に所定の角度を維持しながら回動する。従って、動力伝達アーム20が図2に向かって右側に回動した場合、エネルギー吸収アーム30は常に同一の角度を維持することから、エネルギー吸収アーム端部31が上方に持ち上げられることになる。
固定部材21は、エネルギー吸収アーム30を車両本体の所定の位置に固定するための部材であり、本体下部にねじ止め用の穴が設けられている。この穴を介してねじによって車両本体の所定の位置に螺着される。リベットによる鋲着等であってもよい。また、車両本体にエネルギー吸収アーム30を所定の位置に固定するための穴等が設けられている場合には、固定部材21は省略することも可能である。この場合には、エネルギー吸収アーム30と動力伝達アーム20が直接回動可能に固定される。
ガイドスリット22は、ピストンヘッド14を固定ねじ16によって動力伝達アーム20に固定する際の固定用のスリットであり、スリットとしているのは、ピストンヘッド14の取り付けを容易にし、且つ、ピストンロッド13が水平に動作する際に、動力伝達アーム20とピストンヘッド14の固定点がスリットに沿って斜め上方に移動することで、ピストンロッド13の水平運動を確保するためである。
アーム固定ブラケット50は、上述したように第1ヒンジ部41でフード持上げアーム40と回動可能に固定され、フード持上げアーム41を車両の所定の位置に配設する役割を果たす。また、アーム固定ブラケット50の第1ヒンジ部41側の端部は、図2に向かって、所定の角度で右肩下がりとなるように形成され、この端部にフード持上げアーム突起42が当接することで、フード持上げアーム40が所定の角度以上に開くことを防止している。
なお、アーム固定ブラケット50は、車両本体にフード持上げアーム40を回動可能に固定できる強固な固定用部材を設けることで省略することも可能である。
フード固定ブラケット部は、該略、フード固定ブラケット60、ガイドスリット62及びフード固定ピン63から構成される。
フード固定ブラケット60は、フード101とフード持上げアーム40とを接続する役割を果たし、フード持上げアーム40がフード固定ブラケット60を押し上げることで、フード固定ブラケット60が固定されたフード101自体が上方に押し上げられる。フード固定ブラケット60は、幅方向の断面が概略逆凹型の形状で、広い水平面部分においてフード101と螺合又は鋲合され、垂直面の一方に設けられたガイドスリット62においてフード持上げアーム40と回動自在に第2ヒンジ部44で固定される。
ガイドスリット62は、フード固定ブラケット60の垂直面の一方に設けられる。本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1は、歩行者が車両に衝突した場合又は歩行者の衝突が予め予測された場合に、フード101の運転席側の左右をアームで持ち上げることで、歩行者が衝突した場合の衝突エネルギーをフード101の撓み及びアームの塑性変形によって吸収して歩行者の安全を確保するものである。従って、フード101がアームで持ち上げられる場合、フード101の車両進行方向に向かって前方側は、一般にフードロック及びフードラッチと呼ばれる部材によって固定された状態である。この状態でフード101の車両進行方向に向かって後部側左右をアームで持ち上げた場合、アームに負荷されるフード101の自重とアームの押し上げる力の均衡点で止まってしまう。従って、かかる均衡が生じてもフード101を押し上げるために、フード持上げアーム40をガイドスリット62に沿って上方にスライドさせ均衡が生じないようにしている。
フード固定ピン63は、フード固定ブラケット60のガイドスリット62が設けられた垂直面とは異なる垂直面に設けられ、後述するロック機構のロック部70が前記フード固定ピン63に掛合することで、フード持上げアーム40とフード101を固定し、例えばガソリンスタンド等でのメンテナンス時に、フード101を車両進行方向に向かって前方側から後部側を支点として開閉する場合に、支障が生じないようにしている。
ロック機構部は、ロック部70、ロックバー71、ばね72及びロック機構固定ピン73から構成される。
ロック部70とロックバー71は、ねじで固定されて一体化され、ばね72を介してロック機構固定ピン73でフード持上げアーム40に回動可能に固定される。
ロック部70は、ロック機構固定ピン73を中心に回動するが、ロック機構固定ピン73側の面にU字型の切れ込みを有し、この切れ込みが、フード固定ブラケット60に設けられたフード固定ピン63に掛合して、フード持上げアーム40とフード101とを固定する。
ロックバー71は、ロック部70とねじで固定され、一体で稼動する。ロックバー71の下側には、エネルギー吸収アーム30の先端にねじで固定されたエネルギー吸収アームバー32が当接するように配設される。このため、エネルギー吸収アーム30がアクチュエータ10の動作に伴って、固定ねじ23を中心としてエネルギー吸収アーム先端31を上方に押し上げるように動作することに伴って、エネルギー吸収アームバー32がロックバー71を上方に押し上げる。ロックバー71とねじで固定されたロック部70は、ロック機構固定ピン73を中心に下向きに回転し、フード固定ピン63との掛合が解かれ、フード101とフード持上げアーム40とのロックが解除される。本発明の一実施形態におけるポップアップフード装置1は、歩行者と衝突した場合又は予め衝突が予測される場合にアクチュエータ10が動作するが、アクチュエータ10の動作に伴いエネルギー吸収アーム30がエネルギー吸収アーム先端31を上方に押し上げ、結果としてフード101とフード持上げアーム40とのロックを解除することとなる。
ばね72は、一端はロック機構が配設されるフード持上げアーム40に固定され、他端はロック部70の下側に掛着される。この結果ロック部70とねじで固定されるロックバー71を上方に押し上げる力が弱まった場合、ロック部70は、ばね72の反発力によって時計と反対回りに回転し、フード固定ピン63に掛合する。ばね72は、ロック部70がフード固定ピン63に掛合するための力を与える。
(ポップアップフード装置の動作)
以上説明したような構成からなる本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1の動作について、以下に図面を参照しながら説明する。図4は、本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1のポップアップ開始状態を示す側面図である。また、図5は、本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1のポップアップ途中の状態を示す側面図であり、図6は、本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1のポップアップ完了状態を示す側面図である。また、説明においては、歩行者との衝突を予め予測した場合の動作について説明するが、歩行者が実際に車両に衝突した場合もポップアップフード装置1は同様の動作をする。
以上説明したような構成からなる本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1の動作について、以下に図面を参照しながら説明する。図4は、本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1のポップアップ開始状態を示す側面図である。また、図5は、本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1のポップアップ途中の状態を示す側面図であり、図6は、本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1のポップアップ完了状態を示す側面図である。また、説明においては、歩行者との衝突を予め予測した場合の動作について説明するが、歩行者が実際に車両に衝突した場合もポップアップフード装置1は同様の動作をする。
図4において、センサー2(図示せず)が感知した対象物との距離及びCCDカメラが捕らえた対象物の形状等から、制御部(図示せず)は、歩行者との衝突を予測し、ポップアップフード装置1を作動させる命令を発する。
前記命令を受け取ったモーターユニット(図示せず)は、モーターが回転し、モーター軸に固定されたプーリ(図示せず)が、ワイヤーケーブル1(図示せず)を巻き上げる。
ワイヤーケーブル1が接続されたアクチュエータ(図示せず)のロック装置(図示せず)は、ワイヤーケーブル1の巻き上げに伴ってロックが解除され、圧縮されていたアクチュエータのコイルばね(図示せず)が反発してアクチュエータのピストンヘッド(図示せず)及びピストンロッド(図示せず)を伸張させる。
アクチュエータ(図示せず)のピストンヘッド(図示せず)は、動力伝達アーム20のガイドスリット22を挟み込んで固定ねじ(図示せず)で固定されているため、ピストンヘッドの伸張を受けて、動力伝達アーム20が固定ねじ23を中心として、反時計回りに回転する。このとき、動力伝達アーム20は固定ねじ23で一端が固定されているため、ピストンヘッドは、ガイドスリット22に沿って動力伝達アーム20を図面向かって右側に押しながら、ガイドスリット22の中を上方に移動する。
動力伝達アーム20が固定ねじ23を中心に反時計回りに回転すると、動力伝達アーム20と所定の角度を持って固定部材21を介して回動可能に固定されたエネルギー吸収アーム30は、固定ねじ23を中心に反時計周りに回転し、エネルギー吸収アーム端部31が上方に持ち上げられるように動く。このとき、エネルギー吸収アーム端部31中央に配設されたピン33が、フード持上げアーム40に設けられたL字型のガイドスリット43に嵌合する。アクチュエータ(図示せず)の動きに伴って、前記エネルギー吸収アーム端部31は、前記ピン33と前記ガイドスリット43が嵌合しているため、更に前記ガイドスリット43に沿って上方に移動するように摺動し、エネルギー吸収アーム30のピン33は、フード持上げアーム40のガイドスリット43内部に完全に嵌合する。これによって、それまで分離されて独立して動作可能であったエネルギー吸収アーム30とフード持上げアーム40とが完全に連結され、以後一体的に動作することとなる。
一方、エネルギー吸収アーム端部31が上方に持ち上げられるように動くと、前記エネルギー吸収アーム端部31にねじ止めされたエネルギー吸収アームバー32も、同時に上方に持ち上げられるように動く。前記エネルギー吸収アームバー32はロックバー71の下側に当接していることから、エネルギー吸収アームバー32が上方に持ち上げられるように動くと、ロックバー71も上方に持ち上げられるように動く。この動きは、ロックバー71が接続されたロック部70を下方に引き下げる動きとなるため、結果としてロック部70が引き下げられ、フード固定ピン63とロック部70とのロックが解除されて、フード固定ブラケット60とフード持上げアーム40との連結が解除される。
以上説明したように、アクチュエータ10が稼働し始めると、それまでロック部70によって連結されていたフード固定ブラケット60とフード持上げアーム40との連結が解除される。同時に、それまで分離していたエネルギー吸収アーム30とフード持上げアーム40が連結される。従って、エネルギー吸収アーム30及びフード持上げアーム40によって、フード101が上方に持ち上げられ始める。
次に、図5を参照しながら、本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1におけるフード持ち上げ途中の状態を説明する。図5において、フード固定ピン63とロック部70とのロックは完全に解除され、エネルギー吸収アーム30のエネルギー吸収アーム端部31が上方に持ち上げられ、フード持上げアーム40が第1ヒンジ部41を支点として上方に押し上げられるのが理解される。
エネルギー吸収アーム30のエネルギー吸収アーム端部31が、ガイドスリット43に沿って上方に持ち上げられると、前記エネルギー吸収アーム端部31中央に配設されたピン33が、L字型の前記ガイドスリット43の角に当接する。前記ピン33は、円筒形であるため角に当接しても更に前記ガイドスリット43に沿って摺動し、L字型の前記ガイドスリット43の奥まで移動する。フード持上げアーム40は、これによって大きく上方に押し上げられる。
フード持上げアーム40が大きく上方に押し上げられると、前記フード持上げアーム40と第2ヒンジ部44によって回動可能に固定されていたフード固定ブラケット60も大きく押し上げられる。前記フード固定ブラケット60が固定されたフード(図示せず)は、フードの車両進行方向に向かって前方側において、フードに取り付けられたフードロック(図示せず)と車両本体に取り付けられたフードラッチ(図示せず)によって固定されている。従って、前記フード固定ブラケット60が大きく押し上げられると、フード(図示せず)は車両進行方向に向かって後部側が持ち上げられることになる。
フード(図示せず)が持ち上げられると、フードの車両前方側が固定されているためフード持上げアーム40に対してフードの自重が掛かってくる。フード持上げアーム40がフードを押し上げる力とフードの自重とが均衡する点においてフードの押上が止まってしまうことを防止するため、本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1においては、フード固定ブラケット60にガイドスリット62を設けている。フード固定ブラケット60とフード持上げアーム40は、ガイドスリット62を介して回動可能に第2ヒンジ部44で固定されているため、フード持上げアーム40に掛かるフードの自重が、フード持上げアーム40に掛かる力とフードがガイドスリット62に沿ってスライドする力に分散されることになり、フード持上げアーム40がフードを押し上げる動作の支障とならない。
続いて、図6を参照しながらフード持ち上げが完了した状態について説明する。図6において、アクチュエータ(図示せず)のピストンロッド(図示せず)が伸びきり、動力伝達アーム20を、固定ねじ23を中心として図面に向かって右側に回動させる。動力伝達アーム20と所定の角度を維持しながら、固定ねじ23を中心に反時計回りに回動するエネルギー吸収アーム30は、最大限に立ち上がり、フード持上げアーム40のガイドスリット43に嵌合したピン33は、L字型の前記ガイドスリット43の奥に達する。第1ヒンジ部41を中心に時計回りに回動するフード持上げアーム40は、該フード持上げアーム40の第1ヒンジ部41側の端部に設けられたフード持上げアーム突起42がアーム固定ブラケット50に突き当たり、それ以上回転することができなくなる。アクチュエータのピストンロッドが伸びきり、フード持上げアーム40もそれ以上回転できないため、この状態で均衡し、フード持ち上げ動作が完了する。上述した動作により、本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1によって、フードが持ち上げられる。
上述したように、本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1は、アクチュエータ(図示せず)の動作を受けたエネルギー吸収アーム30及びフード持上げアーム40が連結して一体として動作しフード101の運転席側の左右を押し上げる。本発明の効果は、かかる動作で左右が押し上げられたフード101に歩行者が衝突して乗り上げた場合に発揮される。この点について以下に説明する。
フード101に負荷された歩行者衝突の荷重は、フード持上げアーム40及び前記フード持上げアーム40を介してエネルギー吸収アーム30に圧力として加わる。この場合、第1ヒンジ部41で回動可能に固定されて斜め上方に押し上げられたフード持上げアーム40には、次の圧力が掛かる。即ち、(1)該フード持上げアーム40をアーム幅方向に下方に曲げる圧力。(2)該フード持上げアーム40をアーム長方向に圧縮する圧力。(3)該フード持上げアーム40を車両内側に捻る圧力である。一方、一端を固定ねじ23で回動可能に固定され、他端が第2アーク40と嵌合して前記フード持上げアーム40を押し上げるように上方に持ち上げられたエネルギー吸収アーム30には、前記フード持上げアーム40を介して以下の圧力が加わる。即ち、(1)該エネルギー吸収アーム30をアーム幅方向に下方に曲げる圧力。(2)該エネルギー吸収アーム30を車両内側に捻る圧力である。エネルギー吸収アーム30には、該エネルギー吸収アーム30をアーム長方向に圧縮する圧力はほとんど加わらない。
そこで、本発明に一実施形態に係るポップアップフード装置1においては、エネルギー吸収アーム30をアーム幅方向の曲げ及びアーム長方向の圧縮に弱く、且つ捻りに対しても弱い構造とし、一方、フード持上げアーム40については、アーム幅方向の曲げに強く、且つ捻りにも強い構造としていることを特徴とする。具体的には、図5に及び図6に示されるように、エネルギー吸収アーム30は、アーム幅が狭い四角の棒状の構造で、且つ一部に開口部34を設けて当該部分について脆弱としている。即ち、エネルギー吸収アーム30は、第1の部分と第2の部分とを有し、第1の部分は第2の部分に対して脆弱となるように形成される。本実施例では、開口部34を設けた部分が第1の部分に相当し、他の部分が第2の部分に相当する。一方、フード持上げアーム40は、アーム幅を広くし、且つ図面に向かって上部側を補強している。
一例として、エネルギー吸収アーム30及びフード持上げアーム40を、上述した構造によって、SPFH590(自動車用加工性熱間圧延高張力鋼板)(降伏点420N/mm2、引張強さ590N/mm2)の板厚2.6mmで形成した場合、テストにおいてフード101に法線に対して25度傾いた方向(フード101に歩行者等が乗り上げた場合の力の掛かる方向。)から、一般的な歩行者が衝突した場合のフード101に負荷される荷重である2000Nの圧力を掛けたとき、エネルギー吸収アーム30には、約600N/mm2の応力値が生じ、一方フード持上げアーム40には、約300N/mm2の応力値が生じた。即ち、エネルギー吸収アーム30には降伏点以上の力が加わり塑性変形し、フード持上げアーム40には、降伏点未満の力が加わるため塑性変形しない。
以上の結果から、本発明に一実施形態に係るポップアップフード装置1は、歩行者が衝突した場合又は歩行者の衝突が予測された場合に、ポップアップフード装置1が作動してフード101の車両進行方向に向かって後部側の左右を押し上げ、歩行者がフード101に乗り上げてフード101に上方から圧力が負荷された場合、フードの撓みと共に、エネルギー吸収アーム30が塑性変形して衝突エネルギーを吸収することができる。従って、図8において、歩行者がフード101の中央部(a)以外の、例えばフード101左右側端部(b)に乗り上げた場合であっても、エネルギー吸収アーム30が塑性変形するため衝突エネルギーを吸収することができる。
また、歩行者が衝突してフード101に乗り上げた場合、フード101の修理及び塑性変形したエネルギー吸収アーム30の取替えが必要になるが、本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1においては、エネルギー吸収アーム30を取り替えるだけで再度ポップアップフード装置1を使用することができる。ポップアップ装置1全体を取り替える必要がないため、メンテナンスフィーが安価で済み、経済的である。
更に、本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1は、エネルギー吸収アーム30だけが塑性変形するように設計すれば当初の歩行者の安全性確保の目的が達成できる。このことは、他の部品について複雑に多くの塑性変形する要素を考慮した設計とする必要がないため、装置の確実性、信頼性の向上に繋がる。
(変形実施例)
本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1は、上述した構成に限定されることはなく、変形して実施することが可能である。特に、塑性変形するエネルギー吸収アーム30については、形状、材質等様々な変形が可能である。以下その一例について説明する。
本発明の一実施形態に係るポップアップフード装置1は、上述した構成に限定されることはなく、変形して実施することが可能である。特に、塑性変形するエネルギー吸収アーム30については、形状、材質等様々な変形が可能である。以下その一例について説明する。
上述した最良の実施形態においては、エネルギー吸収アーム30を、アーム幅が狭い四角の棒状の構造とし、且つ一部に開口部34を設けて当該部分について脆弱としていた。エネルギー吸収アーム30の形状はこれに限定されることはなく、変形が可能である。図7は、エネルギー吸収アーム30の変形実施例である。図7(A)に示す例は、基本的な形状で、アーム幅の狭い四角の棒状のものを示している。上述した実施例で示したとおり、前記エネルギー吸収アーム30の一部に開口部を設け、脆弱な部分を形成してもよい。また、この変形として図7(E)に示すように、全体を丸い棒状としてもよい。
図7(B)に示す例は、基本形(A)の中空タイプである。中空とすることで、特に曲げ圧力に弱いアームとすることができる。また、この変形として図7(F)に示すように、全体を丸い棒状としたうえで中空とすることも可能である。
図7(C)及び図7(D)に示す例は、曲げ圧力及び捻り圧力双方に対して弱いアームの例である。全体をコの字型又はL字型とすることで、開口部が開いた方向は特に圧力に弱い構造とすることができる。従って、必要に応じて開口部の位置を変えることでより目的にあったアームとすることができる。以上エネルギー吸収アーム30の変形例を紹介したが、これに限られることはなく、目的に合わせて組み合わることも可能である。また、全体を中実の四角の棒状又は丸い棒状とした場合であっても、一部の径を小さくする(即ち、その部分においては細くなる。)ことで、径が大きい他の部分に比して脆弱な構造とすることも可能である。即ち、エネルギー吸収アーム30をより塑性変形しやすくするためには、エネルギー吸収アーム30を第1の部分と第2の部分を有する構造とし、前記第1の部分の断面積が、前記第2の部分の断面積よりも小さくなるようにすればよい。
以上説明した変形実施例のエネルギー吸収アーム30を用いても、歩行者がフード101の中央部以外の、例えばフード101左右側端部に乗り上げた場合であっても、エネルギー吸収アーム30が塑性変形するため衝突エネルギーを吸収することができる効果は同様である。
また、実際に歩行者が車両に衝突した場合、エネルギー吸収アーム30を取り替えるだけで再度ポップアップフード装置1を使用することができる。メンテナンスフィーが安価で済み、経済的である点も同様である。
更に、他の部品について複雑に多くの塑性変形する要素を考慮した設計とする必要がないため、装置の確実性、信頼性の向上に繋がる点も、最良の実施形態と同様である。
1、ポップアップフード装置
3、ポップアップフード機構
5、モーターユニット
6、プーリ
7、ワイヤーケーブル1
10、アクチュエータ
20、動力伝達アーム
30、エネルギー吸収アーム
33、ピン
40、フード持上げアーム
50、アーム固定ブラケット
60、フード固定ブラケット
63、フード固定ピン
70、ロック部
71、ロックバー
100、車両本体
101、フード
3、ポップアップフード機構
5、モーターユニット
6、プーリ
7、ワイヤーケーブル1
10、アクチュエータ
20、動力伝達アーム
30、エネルギー吸収アーム
33、ピン
40、フード持上げアーム
50、アーム固定ブラケット
60、フード固定ブラケット
63、フード固定ピン
70、ロック部
71、ロックバー
100、車両本体
101、フード
Claims (7)
- アクチュエータと、
前記アクチュエータに接続されたエネルギー吸収アームと、
一端が第1ヒンジ部を介して所定の位置に回動可能に固定されて前記エネルギー吸収アームの上部に配設されたフード持上げアームと、を有し、
前記エネルギー吸収アームは、前記アクチュエータの動力を受けて該エネルギー吸収アームの一端が前記フード持上げアームと連結し、且つ前記連結部において前記フード持上げアームを上方に押し上げ、
前記フード持上げアームは、前記エネルギー吸収アームに押し上げられて前記第1ヒンジ部を支点として上方に立ち上がるポップアップフード装置において、
前記フード持上げアームが立ち上がった状態で該フード持上げアームに上方から荷重が負荷された場合に、前記エネルギー吸収アームには該エネルギー吸収アームの降伏点よりも大きい応力値が生じ、且つ前記フード持上げアームには該フード持上げアームの降伏点よりも小さい応力値が生じることを特徴とするポップアップフード装置。 - アクチュエータと、
前記アクチュエータに接続されたエネルギー吸収アームと、
前記エネルギー吸収アームとフードとの間に配設され、一端が第1ヒンジ部を介して車両本体に回動可能に固定され、他端が第2ヒンジ部を介して前記フードに回動可能に固定されたフード持上げアームと、を有し、
前記エネルギー吸収アームは、前記アクチュエータの動力を受けて該エネルギー吸収アームの一端が前記フード持上げアームと連結し、且つ前記連結部において前記フード持上げアームを上方に押し上げ、
前記フード持上げアームは、前記エネルギー吸収アームに押し上げられて前記第1ヒンジ部を支点として上方に立ち上がって前記フードを押し上げるポップアップフード装置において、
前記フードが持ち上がられた状態で該フードに上方から荷重が負荷された場合に、前記エネルギー吸収アームには該エネルギー吸収アームの降伏点よりも大きい応力値が生じ、且つ前記フード持上げアームには該フード持上げアームの降伏点よりも小さい応力値が生じることを特徴とするポップアップフード装置。 - 前記エネルギー吸収アームに生じる応力値は、前記フード持上げアームに上方から負荷された荷重が前記フード持上げアームを介して該エネルギー吸収アームに負荷される場合に生じる曲げ応力又は圧縮応力或いは捻り応力の少なくとも一つの応力値であり、
前記フード持上げアームに生じる応力値は、前記フード持上げアームに上方から荷重が負荷された場合に生じる曲げ応力又は圧縮応力或いは捻り応力の少なくとも一つの応力値であることを特徴とする請求項1に記載のポップアップフード装置。 - 前記エネルギー吸収アームに生じる応力値は、前記フードに上方から負荷された荷重が前記フード持上げアームを介して該エネルギー吸収アームに負荷される場合に生じる曲げ応力又は圧縮応力或いは捻り応力の少なくとも一つの応力値であり、
前記フード持上げアームに生じる応力値は、前記フードに上方から負荷された荷重が前期フードを介して前記フード持上げアームに負荷された場合に生じる曲げ応力又は圧縮応力或いは捻り応力の少なくとも一つの応力値であることを特徴とする請求項2に記載のポップアップフード装置。 - 前記上方から負荷された荷重は、歩行者が車両に衝突して前記フードに乗り上げた場合に生じる荷重以上の荷重であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のポップアップフード装置。
- 前記エネルギー吸収アームは、第1の部分と第2の部分とを有し、前記第1の部分は、アーム幅方向の断面形状がロの字型、凹型、L字型、逆T字型及びI字型であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポップアップフード装置。
- 請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載のポップアップフード装置を備えたことを特徴とする自動車。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006309233A JP2008120337A (ja) | 2006-11-15 | 2006-11-15 | 塑性変形するアームを備えたポップアップフード装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006309233A JP2008120337A (ja) | 2006-11-15 | 2006-11-15 | 塑性変形するアームを備えたポップアップフード装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008120337A true JP2008120337A (ja) | 2008-05-29 |
Family
ID=39505552
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006309233A Pending JP2008120337A (ja) | 2006-11-15 | 2006-11-15 | 塑性変形するアームを備えたポップアップフード装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008120337A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101416467B1 (ko) | 2008-12-04 | 2014-08-07 | 현대자동차 주식회사 | 차량의 후드 리프터 |
KR101547764B1 (ko) * | 2014-04-29 | 2015-08-27 | 평화정공 주식회사 | 차량의 후드힌지 |
CN106800008A (zh) * | 2015-11-26 | 2017-06-06 | 比亚迪股份有限公司 | 引擎罩的抬升装置和车辆 |
-
2006
- 2006-11-15 JP JP2006309233A patent/JP2008120337A/ja active Pending
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