JP4931233B2 - 撮像装置及びその処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、撮像装置及びその処理方法に関する。
固体撮像装置のダイナミックレンジ拡大のための駆動方法は、下記の特許文献1により以下の3点が開示されている。第1に、受光部から溢れた電荷をフローティングディフュージョン及び付加容量に蓄積し、ダイナミックレンジ拡大信号とする。第2に、受光部の蓄積期間内の、一部の期間のみ、溢れた電荷を蓄積し、ダイナミックレンジ拡大信号とする。第3に、受光部に蓄積された信号とダイナミックレンジ拡大信号とを画素内で加算して出力する。
特開2005−328493号公報
特許文献1には、フローティングディフュージョンは濃い不純物領域とp型ウェルからなるPN接合を含むこと、フォトダイオードは埋め込みフォトダイオードであることが開示されている。しかし、フローティングディフュージョンはフォトダイオードに対し、空乏層中の発生電流による暗出力が大きいという問題がある。
この問題は、蓄積期間が短い場合には問題がないが、蓄積期間が長い場合はダイナミックレンジ拡大信号を蓄積するフローティングディフュージョン部や付加容量の暗電流による信号が多くなる課題が発生する。これはFDやCS部が埋め込み型のPN接合容量でないためであり、これにより暗電流が増えてしまうため、長時間電荷を保持する保持部として適していない。FD(もしくは垂直信号線線)での信号振幅が暗電流成分により制限を受けダイナミックレンジ拡大信号のための信号振幅が確保できない。
この課題に対しては、前述の第2の開示点に示す方法で、ダイナミックレンジ拡大信号の蓄積期間を短くすることである程度の改善はなされる。しかし、今度はフォトダイオードの蓄積期間とダイナミックレンジ拡大信号の蓄積期間がずれてしまい、2つの信号の同時性が損なわれるという大きな課題が発生する。いずれも、動画では蓄積期間が短いことから問題にはならないが、デジタル一眼レフカメラ等の静止画撮影においては、大きな課題である。
本発明の目的は、光電変換部及び電荷蓄積部の電荷蓄積期間の同時性を確保しつつダイナミックレンジを拡大することができる撮像装置及びその処理方法を提供することである。
本発明の撮像装置は、光電変換により電荷を生成し、その生成した電荷を蓄積する光電変換部と、前記光電変換部から溢れた電荷を蓄積する電荷蓄積部と、前記光電変換部により生成される電荷について1回の電荷蓄積期間内に前記電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を複数回読み出す読み出し部と、前記読み出し部の各読み出しの後に前記電荷蓄積部に蓄積された電荷をリセットするリセットスイッチとを有することを特徴とする。
また、本発明の撮像装置の処理方法は、光電変換により電荷を生成し、その生成した電荷を蓄積する光電変換部と、前記光電変換部から溢れた電荷を蓄積する電荷蓄積部とを有する撮像装置の処理方法であって、前記光電変換部により生成される電荷について1回の電荷蓄積期間内に前記電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を複数回読み出す読み出しステップと、前記読み出しステップの各読み出しの後に前記電荷蓄積部に蓄積された電荷をリセットするリセットステップとを有することを特徴とする。
光電変換部及び電荷蓄積部の電荷蓄積期間の同時性を確保しつつダイナミックレンジを拡大することができる。
(第1の実施形態)
図1〜図4を用いて、本発明の第1の実施形態を説明する。
図2は本発明の第1の実施形態によるMOS型固体撮像装置の構成例を示すブロック図であり、図1は図2の受光領域101内の画素部の構成例を示す回路図である。この画素部は、受光領域101内において2次元に複数配列されている。
図1において、PDは、フォトダイオードである。フォトダイオードPDは、受光した光を電荷に変換して蓄積する。TXは、転送スイッチである。RESは、フローティングディフュージョン部FDをリセットするためのリセットスイッチである。SFは、フローティングディフュージョン部FDを入力端子とするソースフォロワの入力MOS電界効果トランジスタである。SELは、行選択用のスイッチである。FDは、ソースフォロワ入力端子であり、転送された電荷を保持し、電圧変換するフローティングディフュージョン部である。SWは、保持容量Ccsとフローティングディフュージョン部FDの接続を制御するためのスイッチである。Ccsは、フォトダイオードPDから溢れた電荷を蓄積する保持容量である。フォトダイオードPDの他に保持容量Ccsを設けることにより、電荷蓄積容量を増やすことができ、ダイナミックレンジを拡大することができる。この画素部の駆動方法は、後に図3を参照しながら説明する。
図2において、100は、センサチップである。101は、受光領域である。102a及び102bは、列信号処理回路である。103a及び103bは、水平走査回路である。104は、垂直走査回路である。105a及び105bは、読み出しアンプ部である。106a及び106bは、共通信号線部である。107a及び107bは、出力線部である。
受光領域101は、図1の画素部を複数有し、2次元の画像信号を生成する。垂直走査回路104は、受光領域101の画素部の行を順次選択し、選択した行の画素部の信号を列信号処理回路102a,102bに読み出す。水平走査回路103a,103bは、列信号処理回路102a,102bの信号の列を順次選択し、選択した信号を共通信号線部106a,106bを介して読み出しアンプ部105a,105bに出力させる。読み出しアンプ部105a,105bは、信号を増幅し、出力線部107a,107bを介して外部に出力する。
図3は、受光領域101のn行目から(n+2)行目の画素部における駆動タイミングを示すタイミングチャートである。以下、固体撮像装置の処理方法を説明する。各パルスは、垂直走査回路104により生成される信号であり、以下の通りである。ΦRESは、図1のリセットトランジスタRESのゲート駆動パルスである。ΦTXは、図1の転送トランジスタTXのゲート駆動パルスである。ΦSWは、図1のスイッチトランジスタSWのゲート駆動パルスである。ΦSELは図1のSELのゲート駆動パルスである。各パルスの末尾のn〜n+2は行を示すものである。また、垂直走査回路104は、スイッチSELのゲートにハイレベルを出力することによりスイッチSELをオンさせ、スイッチSELのゲートにローレベルを出力することによりスイッチSELをオフさせることができる。
転送スイッチTXは、信号ΦTXがハイレベルになると、フォトダイオードPDに蓄積された信号をソースフォロワトランジスタSFの入力端子であるフローティングディフュージョン部FDに転送する。リセットスイッチRESは、信号ΦRESがハイレベルになると、フローティングディフュージョン部FDをリセットする。保持容量Ccsは、フォトダイオードPDから溢れた電荷を保持するための容量である。スイッチSWは、フローティングディフュージョン部FDと保持容量Ccsの接続を制御するためのスイッチである。スイッチSELは、受光領域101の画素部の行選択のためのスイッチであり、ゲートがハイレベルになるとソースフォロアトランジスタSFの出力信号を列信号処理回路103a又は103bに読み出す。
図3に示すように、フォトダイオードPDのダイナミックレンジ拡大信号を4回に分けて読み出す。期間T1〜T15の動作を以下に説明する。
期間T1は、n行目のフォトダイオードPDのリセット動作を行う期間である。期間T1はパルスのハイレベル状態が維持される期間であり、具体的には信号ΦTX_n、ΦRES_n、ΦSW_nがハイレベル、図中の他の信号がローレベルを維持する期間である。n行目のトランジスタTX,RES,SWはオンになり、n行目のフォトダイオードPD及び保持容量Ccsはリセットされる。
期間T2は、n+1行目のフォトダイオードPDのリセット期間である。具体的には、信号ΦTX_n+1、ΦRES_n+1、ΦSW_n+1がハイレベル、図中の他の信号がローレベルを維持する期間である。n+1行目のトランジスタTX,RES,SWはオンになり、n+1行目のフォトダイオードPD及び保持容量Ccsはリセットされる。
期間T3は、n+2行目のフォトダイオードPDのリセット期間である。具体的には、信号ΦTX_n+2、ΦRES_n+2、ΦSW_n+2がハイレベル、図中の他の信号がローレベルを維持する期間である。n+2行目のトランジスタTX,RES,SWはオンになり、n+2行目のフォトダイオードPD及び保持容量Ccsはリセットされる。
期間T4は、n行目のダイナミックレンジ拡大信号の第1回目読み出し期間である。信号ΦSW_nがハイレベルからローレベルになる。n行目のトランジスタSWは、オンからオフになる。保持容量Ccsは、フォトダイオードPDから溢れた電荷を蓄積し、トランジスタSWがオンの間、その電荷をトランジスタSWを介してフローティングディフュージョン部FDに出力する。信号ΦSEL_nをローレベルからハイレベルにすることにより、ソースフォロアトランジスタSFは、フローティングディフュージョン部FDの電位に基づく信号をダイナミックレンジ拡大信号として読み出す。列信号処理回路102a又は102bは、ダイナミックレンジ拡大信号を読み出して保持する。
次に、信号ΦRES_nがハイレベルになり、n行目のトランジスタRESがオンする。これにより、n行目のフローティングディフュージョン部FDはリセットされる。
期間T5は、n行目のリセット信号の第1回目読み出し期間である。信号ΦRES_nはローレベルになり、n行目のトランジスタRESはオフする。信号ΦSEL_nをローレベルからハイレベルにすることにより、ソースフォロアトランジスタSFは、フローティングディフュージョン部FDの電位に基づく信号をリセット信号(ノイズ信号)として読み出す。列信号処理回路102a又は102bは、リセット信号を読み出して保持する。読み出しアンプ部105a又は105bは、上記ダイナミックレンジ拡大信号からリセット信号を減算することにより、ノイズを低減した画素信号を出力する。
期間T6は、n行目のダイナミックレンジ拡大信号の第1回目リセット期間である。信号ΦRES_n及びΦSW_nがハイレベルになり、n行目のトランジスタRES及びSWがオンする。これにより、n行目の保持容量Ccsは、リセットされる。
期間T7は、n+1行目のダイナミックレンジ拡大信号の第1回目読み出し期間である。信号ΦSW_n+1がハイレベルからローレベルになる。n+1行目のトランジスタSWは、オンからオフになる。保持容量Ccsは、フォトダイオードPDから溢れた電荷を蓄積し、トランジスタSWがオンの間、その電荷をトランジスタSWを介してフローティングディフュージョン部FDに出力する。信号ΦSEL_nをローレベルからハイレベルにすることにより、ソースフォロアトランジスタSFは、フローティングディフュージョン部FDの電位に基づく信号をダイナミックレンジ拡大信号として読み出す。列信号処理回路102a又は102bは、ダイナミックレンジ拡大信号を読み出して保持する。
次に、信号ΦRES_n+1がハイレベルになり、n+1行目のトランジスタRESがオンする。これにより、n+1行目のフローティングディフュージョン部FDはリセットされる。
期間T8は、n+1行目のリセット信号の第1回目読み出し期間である。信号ΦRES_n+1はローレベルになり、n+1行目のトランジスタRESはオフする。信号ΦSEL_nをローレベルからハイレベルにすることにより、ソースフォロアトランジスタSFは、フローティングディフュージョン部FDの電位に基づく信号をリセット信号(ノイズ信号)として読み出す。列信号処理回路102a又は102bは、リセット信号を読み出して保持する。読み出しアンプ部105a又は105bは、上記ダイナミックレンジ拡大信号からリセット信号を減算することにより、ノイズを低減した画素信号を出力する。
期間T9は、n+1行目のダイナミックレンジ拡大信号の第1回目リセット期間である。信号ΦRES_n+1及びΦSW_n+1がハイレベルになり、n+1行目のトランジスタRES及びSWがオンする。これにより、n+1行目の保持容量Ccsは、リセットされる。
n+2行目においても、n+2行目のダイナミックレンジ拡大信号の第1回目読み出し期間、n+2行目のリセット信号の第1回目読み出し期間、n+2行目のダイナミックレンジ拡大信号の第1回目リセット期間の処理が行われる。これらの処理は、上記のn行目の期間T4、T5、T6の処理と同様である。
次に、期間T4、T5及びT6と同様に、n行目のダイナミックレンジ拡大信号の第2回目読み出し期間、n行目のリセット信号の第2回目読み出し期間、n行目のダイナミックレンジ拡大信号の第2回目リセット期間の処理が行われる。さらに、その後、同様に、n行目のダイナミックレンジ拡大信号の第3回目読み出し期間、n行目のリセット信号の第3回目読み出し期間、n行目のダイナミックレンジ拡大信号の第3回目リセット期間の処理が行われる。
また、期間T7、T8及びT9と同様に、n+1行目のダイナミックレンジ拡大信号の第2回目読み出し期間、n+1行目のリセット信号の第2回目読み出し期間、n+1行目のダイナミックレンジ拡大信号の第2回目リセット期間の処理が行われる。さらに、その後、同様に、n+1行目のダイナミックレンジ拡大信号の第3回目読み出し期間、n+1行目のリセット信号の第3回目読み出し期間、n+1行目のダイナミックレンジ拡大信号の第3回目リセット期間の処理が行われる。
また、期間T4、T5及びT6と同様に、n+2行目のダイナミックレンジ拡大信号の第2回目読み出し期間、n+2行目のリセット信号の第2回目読み出し期間、n+2行目のダイナミックレンジ拡大信号の第2回目リセット期間の処理が行われる。さらに、その後、同様に、n+2行目のダイナミックレンジ拡大信号の第3回目読み出し期間、n+2行目のリセット信号の第3回目読み出し期間、n+2行目のダイナミックレンジ拡大信号の第3回目リセット期間の処理が行われる。
期間T10は、期間T4と同様に、n行目のダイナミックレンジ拡大信号の第4回目読み出し期間である。
期間T11は、期間T5と同様に、n行目のリセット信号の第4回目読み出し及びフローティングディフュージョン部FDのリセット期間である。信号ΦRES_nがハイレベルになり、n行目のトランジスタRESがオンする。これにより、フローティングディフュージョン部FDがリセットされる。次に、信号ΦRES_nがローレベルになり、n行目のトランジスタRESがオフする。信号ΦSEL_nをローレベルからハイレベルにすることにより、ソースフォロアトランジスタSFは、フローティングディフュージョン部FDの電位に基づく信号をリセット信号(ノイズ信号)として読み出す。列信号処理回路102a又は102bは、リセット信号を読み出して保持する。読み出しアンプ部105a又は105bは、上記ダイナミックレンジ拡大信号からリセット信号を減算することにより、ノイズを低減した画素信号を出力する。
期間T12は、n行目のフォトダイオード信号の第1回目読み出し期間である。信号ΦTX_nがハイレベルになり、n行目の転送トランジスタTXがオンする。フォトダイオードPDに蓄積されている電荷は、フローティングディフュージョン部FDに出力される。信号ΦSEL_nをローレベルからハイレベルにすることにより、ソースフォロアトランジスタSFは、フローティングディフュージョン部FDの電位に基づく信号をフォトダイオード信号として読み出す。列信号処理回路102a又は102bは、フォトダイオード信号を読み出して保持する。
期間T13は、期間T7と同様に、n+1行目のダイナミックレンジ拡大信号の第4回目読み出し期間である。
期間T14は、n+1行目のリセット信号の第4回目読み出し及びフローティングディフュージョンFDのリセット期間である。信号ΦRES_n+1がハイレベルになり、n+1行目のトランジスタRESがオンする。これにより、フローティングディフュージョン部FDがリセットされる。次に、信号ΦRES_n+1がローレベルになり、n+1行目のトランジスタRESがオフする。信号ΦSEL_nをローレベルからハイレベルにすることにより、ソースフォロアトランジスタSFは、フローティングディフュージョン部FDの電位に基づく信号をリセット信号(ノイズ信号)として読み出す。列信号処理回路102a又は102bは、リセット信号を読み出して保持する。読み出しアンプ部105a又は105bは、上記ダイナミックレンジ拡大信号からリセット信号を減算することにより、ノイズを低減した画素信号を出力する。
期間T15は、n+1行目のフォトダイオード信号の第1回目読み出し期間である。信号ΦTX_n+1がハイレベルになり、n+1行目の転送トランジスタTXがオンする。フォトダイオードPDに蓄積されている電荷は、フローティングディフュージョン部FDに出力される。信号ΦSEL_nをローレベルからハイレベルにすることにより、ソースフォロアトランジスタSFは、フローティングディフュージョン部FDの電位に基づく信号をフォトダイオード信号として読み出す。列信号処理回路102a又は102bは、フォトダイオード信号を読み出して保持する。
次に、n+2行目のダイナミックレンジ拡大信号の第4回目読み出し期間、n+2行目のリセット信号の第4回目読み出し及びフローティングディフュージョンFDのリセット期間、n+2行目のフォトダイオード信号の第1回目読み出し期間の処理が行われる。これらの処理は、期間T10、T11及びT12の処理と同様である。
本実施形態の固体撮像装置の駆動条件は、全画素を読み出すのに約30m秒の時間がかかるものを用いた。フォトダイオードPDの蓄積期間1秒に対し、ダイナミックレンジ拡大信号は各250m秒毎に4回に分けて読み出す。つまり、1フレーム読み出し時間よりも長い蓄積期間において、同一蓄積期間中の溢れた信号を複数回に分けて読み出し動作行い、各読出し動作後に溢れた信号のリセット動作を行なっている。
本実施形態における読み出し動作はSELスイッチを導通させることによりフォトダイオードに生じる電荷に基づく信号を、列信号処理回路に読み出す動作である。またリセット信号の減算処理は、列信号処理回路102a,102bにクランプ回路などを有し、この回路で減算処理を行うこともできる。
こうすることで、フローティングディフュージョン部FD上及び保持容量Ccs上で発生する暗電流によりダイナミックレンジ拡大信号が圧迫されることを抑制することができた。具体的には、フローティングディフュージョン部FD及び保持容量Ccsでの電圧振幅が最大0.5Vであったのに対し、暗電流による信号が約100mV発生していたが、4回に分けて読み出すことで、1回の読み出し当たり25mVにまで抑制できた。この4回に分けて読み出された信号は、固体撮像装置とは別の処理回路803(図8)で画素毎に加算することで、その分ダイナミックレンジも拡大される。もちろん、固体撮像装置内に処理回路を持ち固体撮像装置内で加算してもよい。
即ち、上記の特許文献1の方法では、ダイナミックレンジの拡大量はフォトダイオードPDの飽和電圧に対しフローティングディフュージョン部FD上での電圧にして+400mVであった。これに対し、本実施形態では、(500−25)×4=1900mVと5倍近い拡大量を得ることができた。
上記に述べた暗電流の値は平均的な画素の値である。フォトダイオードPDにホワイトスポット(白傷)があるのと同様に、フローティングディフュージョン部FDや保持容量Ccsに欠陥があり、画素によっては平均的な画素の10〜100倍の暗電流をもつ画素もある。そのような画素では、+400mVのダイナミックレンジ拡大信号は得られず、場合によっては殆ど保持できない場合もある。本実施形態は、平均的な画素のダイナミックレンジを拡大するのみならず、前述のようなダイナミックレンジ拡大信号が保持できない画素を少なくするもしくはなくす効果がある。
重要な点は、ダイナミックレンジ拡大信号を読み出した後にリセット動作を行なうため、暗電流もリセットすることである。また、フォトダイオードPDの蓄積期間と略同一の期間のダイナミックレンジ拡大信号を読み出し処理することで両者の同時性を確保することができる。
ここで「略同一の期間」と述べたのは、厳密には読み出し期間中の情報が得られないからである。すなわち、全体の蓄積期間が数百m秒〜数十秒であるのに対し、読み出し時間が10μ秒前後であり情報が欠如するのは10μ秒×読み出し回数であり1/10000程度であるからである。各ダイナミックレンジ拡大信号を単純に加算してもよいし、ゲインを掛けて加算してもよい、また重みをつけて加算してもよい、一部補正処理を加えた後に加算してもよい。いずれの方法でも、同一蓄積期間内の信号情報が含まれていることが重要である。同時性は、特に花火等の長秒静止画の画像を取り扱う場合に極めて重要な項目である。
なお、図3の代わりに、図10の駆動を行ってもよい。図10は、図3に対して、信号ΦSEL_n、ΦSEL_n+1、ΦSEL_n+2のパルスを選択時に変化させない点が異なる。
図4は、本実施形態の光電変換特性を示す図であり、センサチップ100からの出力信号を示す。特性Aaは、フォトダイオードPDの信号である。特性Ab,Ac,Ad,Aeは、それぞれダイナミックレンジ拡大信号の1回目から4回目までの読み出し信号である。この時、特性Aaの傾きと特性Abの傾きが異なるのは、ダイナミックレンジ拡大信号がフローティングディフュージョン部FDの容量と保持容量Ccsの和の容量で電圧変換されるためである。また、特性Afは、上記の特許文献1におけるフローティングディフュージョン部FD上及び保持容量Ccs上の暗電流によるフローティングディフュージョン部FD及び保持容量Ccs上の出力電圧である。特性Agは、本実施形態におけるフローティングディフュージョン部FD上及び保持容量Ccs上の暗電流によるフローティングディフュージョン部FD及び保持容量Ccs上の出力電圧である。
上記の特許文献1は、ダイナミックレンジ拡大量がVDである。本実施形態では、VDRを用いれば、ダイナミックレンジ拡大量は、次式になる。
「読み出し回数」×VDR×{「FDの容量」+「Ccsの容量」}/「FDの容量」
したがって、読み出し回数に応じて、ダイナミックレンジ拡大量を増やすことができる。
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態による固体撮像装置の駆動タイミングを示すタイミングチャートである。本実施形態は、第1の実施形態と同じ回路において、図5に示すタイミングにより駆動するものである。図5は、本実施形態のn行目から(n+2)行目の画素部における駆動タイミングチャートである。本実施形態(図5)が第1の実施形態(図3)と異なる点は、フォトダイオードPDの電荷蓄積期間中は信号ΦSWがハイレベル固定である点である。このような動作にすることで、第1の実施形態であった期間T6等の動作が不要となる。すなわち、期間T6等で信号ΦRESをハイレベルにする必要がない。なお、第1の実施形態と同様に、図10の信号ΦSEL_n、ΦSEL_n+1、ΦSEL_n+2を適用してもよい。
(第3の実施形態)
図6及び図7を用いて本発明の第3の実施形態を説明する。
図6は、図2の受光領域101内の画素部の構成例を示す回路図である。本実施形態(図6)が第1の実施形態(図1)と異なる点は、保持容量Ccs及びトランジスタSWがないことである。本実施形態の駆動タイミングは、図5の駆動タイミングチャートの内、信号ΦSWを除いたものと同じである。保持容量Ccsがない場合でも、本実施形態の効果は第1の実施形態と同様である。フォトダイオードPDの電荷蓄積期間では、転送スイッチTXがオフであり、フォトダイオードPDの蓄積部から電荷が溢れると、その溢れた電荷は転送スイッチTXを介してフローティングディフュージョン部FDに流入する。
図7は、固体撮像装置の光電変換特性を示す図である。光電変換特性において、特性Aa〜Agは、第1の実施形態(図4)と同様のものを指し示す。特性Aa及びAbの傾きが等しいのは、フォトダイオードPDの信号もダイナミックレンジ拡大信号も両方ともフローティングディフュージョン部FDの容量で電圧変換されるためである。このような形式にすれば、このあと処理回路により適宜加算を行う際処理が簡単となり、システム負荷が軽減し、処理時間も高速となる。
本実施形態の特徴は、1画素部内の素子数が少ない点であり、より小さい画素部にも対応が可能となる。ダイナミックレンジの拡大量は、少ないものの、読み出しの回数を増やすことで補うことができる。
また、本実施形態は、フォトダイオードPDに転送スイッチTXとは別の経路で溢れた電荷を排出するオーバーフロードレインを設けることで、更にダイナミックレンジの拡大量を増やすことができる。そして、そのような場合でも同様な効果を得ることができる。この場合の光電変換特性は、図4のようになり、特性Aa及びAbの傾きの違いは、以下のような関係がある。
フォトダイオードPDから溢れた電荷量=A、オーバーフロードレインで排出した電荷量=B、フローティングディフュージョン部FDに保持された電荷量=C、特性Aaの傾き=α、特性Abの傾き=βとすると、下式の関係が成り立つ。
A=B+C
α/β=A/C
オーバーフロードレインを設けることにより、更にダイナミックレンジを拡大することができる。
また本実施形態の変形例として、Ccs部を設け、このCcs部はPN接合容量のみからなりゲート酸化膜による容量をもたないような構成も考えられる。Ccs部は、半導体基板と高濃度不純物領域からなるPN接合容量を有する。
(第4の実施形態)
図8を用いて、本発明の第4の実施形態を説明する。図8は、本発明の第4の実施形態による固体撮像装置をカメラに用いた際のカメラシステムの構成例を示す図である。図中のセンサ802は、図2のセンサチップ100に対応し、第3の実施形態による固体撮像装置を用いた。もちろん他の実施形態の固体撮像装置を用いてもかまわない。センサ802から出力された信号即ち、ダイナミックレンジ拡大信号及びフォトダイオード信号は、処理回路803を経由してメモリ804に保持される。処理回路803は、メモリ804を用い、ダイナミックレンジ拡大信号とフォトダイオード信号を加算処理する。電荷蓄積終了後、最後のフォトダイオード信号がセンサ802から処理回路803に読み出される。処理回路803は、加算処理した信号を画像処理回路805に出力する。画像処理回路805は、現像処理を行う。タイミングジェネレータ801は、センサ802、処理回路803及びメモリ804の制御信号を生成する。
第3の実施形態で、図7のように、飽和前光電変換特性Aaの傾きと飽和後の光電変換特性Ab〜Aeの傾きが等しいような光電変換特性にすることで、処理回路803は、単純な加算処理をすればよいだけになり、処理回路803を簡単にすることができる。
(第5の実施形態)
図9は、本発明の第5の実施形態による固体撮像装置の駆動タイミングを示すタイミングチャートである。本実施形態は、メカシャッタと併用した場合の実施形態であり、第1の実施形態と同様な回路を用いる。時刻t1でメカシャッタを開き、時刻t3でメカシャッタを閉じる。期間T1〜T15の動作は、図5の動作と同様である。ただし、期間T1〜T3の動作を同時に行っている。
露光開始を時刻t1のメカシャッタ開で規定し、露光終了を時刻t3のメカシャッタ閉で規定している。メカシャッタで露光開始を規定しているため、第1の実施形態と同様に、順次期間T1〜T3のリセット動作を行っても、全行のリセット終了後にメカシャッタが開けば同様の画像を得ることができる。また、時刻t2にメカシャッタ閉とすれば、最後のダイナミックレンジ拡大信号には、フローティングディフュージョン部FDの暗電流情報のみが含まれている。そのため、前半3回の信号は加算し、最後の信号を減算することで、固定パターンノイズを低減することもできる。
メカシャッタを併用した場合の駆動タイミングは、図9に限定されるものではなく、図3、図5の駆動タイミングでも前述の考えを基にメカシャッタを連動させれば良好な画像を得ることができる。また、第1の実施形態と同様に、図10の信号ΦSEL_n、ΦSEL_n+1、ΦSEL_n+2を適用してもよい。
以上のように、第1〜第5の実施形態は、少なくともフォトダイオードPD及びフォトダイオードPDの信号を転送する転送スイッチTX、フォトダイオードPDから溢れた信号を保持する保持容量Ccsからなる画素部が2次元に配列された固体撮像装置である。同一蓄積期間中の溢れた信号を複数回に分けて読み出し、各読み出し後に溢れた信号のリセット動作を行う。
上記の特許文献1においては、フォトダイオードの電荷蓄積期間に対してダイナミックレンジ拡大信号を1回だけ読み出すことが開示されている。即ち、特許文献1は、フォトダイオードの読み出し1回に対し、ダイナミックレンジ拡大信号の読み出しも1回である。本実施形態は、フォトダイオードPDの電荷蓄積期間に対し、ダイナミックレンジ拡大信号を複数回読み出すものであり、フォトダイオードPD及び保持容量Ccsの電荷蓄積期間の同時性を確保しつつダイナミックレンジを拡大することができる。
第1〜第5の実施形態の固体撮像装置において、フォトダイオードPDは、光電変換により電荷を生成し、その生成した電荷を蓄積する光電変換部である。保持容量Ccs又はフローティングディフュージョン部FDは、前記光電変換部PDから溢れた電荷を蓄積する電荷蓄積部である。行選択用スイッチSELは光電変換部に生じた電荷に基づく信号を外部に読み出すための読み出し部である。この読み出し部には、行選択スイッチSELを駆動する垂直走査回路104が含まれていてもよい。列信号処理回路102a,102bは、前記光電変換部PDにより生成される電荷について1回の電荷蓄積期間内に前記電荷蓄積部Ccs又はFDに蓄積された電荷に基づく信号が読み出され、この信号を処理する。リセットスイッチRESは、前記読み出し部102a,102bの各読み出しの後に前記電荷蓄積部Ccs又はFDに蓄積された電荷をリセットする。
第1の実施形態(図1)では、前記電荷蓄積部は、保持容量Ccsである。転送スイッチTXは、前記光電変換部PDに蓄積された電荷をフローティングディフュージョン部FDに転送するためのスイッチである。スイッチSWは、前記電荷蓄積部Ccs及び前記フローティングディフュージョン部FD間を接続するための接続スイッチである。行選択用スイッチSELの制御により、ソースフォロアトランジスタSFを介して、前記フローティングディフュージョン部FDの電荷に基づく信号を読み出す。
第3の実施形態(図6)では、前記電荷蓄積部は、フローティングディフュージョン部FDである。スイッチTXは、前記光電変換部PDに蓄積された電荷を前記フローティングディフュージョン部FDに転送するための転送スイッチである。行選択用スイッチSELの制御により、前記フローティングディフュージョン部FDの電荷に基づく信号を読み出す。
前記読み出し部102a,102bには、前記1回の電荷蓄積期間内において、前記電荷蓄積部Ccs又はFDに蓄積された電荷を複数回読み出した後に、前記光電変換部PDに蓄積された電荷を読み出す。
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明の第1の実施形態による受光領域内の画素部の構成例を示す回路図である。 本発明の第1の実施形態による固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。 受光領域のn行目から(n+2)行目の画素部における駆動タイミングを示すタイミングチャートである。 第1の実施形態の光電変換特性を示す図である。 本発明の第2の実施形態による固体撮像装置の駆動タイミングを示すタイミングチャートである。 第2の実施形態による受光領域内の画素部の構成例を示す回路図である。 第2の実施形態の光電変換特性を示す図である。 本発明の第4の実施形態による固体撮像装置をカメラに用いた際のカメラシステムの構成例を示す図である。 本発明の第5の実施形態による固体撮像装置の駆動タイミングを示すタイミングチャートである。 固体撮像装置の駆動タイミングを示すタイミングチャートである。
符号の説明
PD フォトダイオード
TX 転送スイッチ
RES リセットスイッチ
SF ソースフォロワの入力MOSトランジスタ
SEL 行選択用スイッチ
FD フローティングディフュージョン部
SW スイッチ
Ccs 保持容量
100 センサチップ
101 受光領域
102a,102b 列信号処理回路
103a,103b 水平走査回路
104 垂直走査回路
105a,105b 読み出しアンプ部
106a,106b 共通信号線部
107a,107b 出力線部

Claims (7)

  1. 光電変換により電荷を生成し、その生成した電荷を蓄積する光電変換部と、
    前記光電変換部から溢れた電荷を蓄積する電荷蓄積部と、
    前記光電変換部により生成される電荷について1回の電荷蓄積期間内に前記電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を複数回読み出す読み出し部と、
    前記読み出し部の各読み出しの後に前記電荷蓄積部に蓄積された電荷をリセットするリセットスイッチと
    を有することを特徴とする撮像装置。
  2. さらに、前記光電変換部に蓄積された電荷をフローティングディフュージョン部に転送するための転送スイッチと、
    前記電荷蓄積部及び前記フローティングディフュージョン部間を接続するための接続スイッチとを有し、
    前記読み出し部は、前記フローティングディフュージョン部の電荷に基づく信号を読み出すことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
  3. 前記電荷蓄積部は、フローティングディフュージョン部であり、
    さらに、前記光電変換部に蓄積された電荷を前記フローティングディフュージョン部に転送するための転送スイッチを有し、
    前記読み出し部は、前記フローティングディフュージョン部の電荷に基づく信号を読み出すことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
  4. 前記読み出し部は、前記1回の電荷蓄積期間内において、前記電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を複数回読み出した後に、前記光電変換部に蓄積された電荷に基づく信号を読み出すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置。
  5. 前記電荷蓄積部は、PN接合容量を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像装置。
  6. 1フレーム読み出し時間よりも長い蓄積期間において、前記読み出し部は前記複数回読み出しを行い、前記リセットスイッチは前記リセットを行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像装置。
  7. 光電変換により電荷を生成し、その生成した電荷を蓄積する光電変換部と、
    前記光電変換部から溢れた電荷を蓄積する電荷蓄積部とを有する撮像装置の処理方法であって、
    前記光電変換部により生成される電荷について1回の電荷蓄積期間内に前記電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を複数回読み出す読み出しステップと、
    前記読み出しステップの各読み出しの後に前記電荷蓄積部に蓄積された電荷をリセットするリセットステップと
    を有することを特徴とする撮像装置の処理方法。
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