JP4924019B2 - 音響信号処理システム - Google Patents
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Description
さらに、上記のような音響信号処理装置とコンピュータとを接続して音響信号処理システムを構築し、これらの装置に相互にデータを送受信させて、連携して動作させることも行われている。
このような技術については、例えば特許文献1に記載がある。
このような技術については、例えば非特許文献1に記載がある。
「01X 追補マニュアル」、ヤマハ株式会社、2005年
この発明は、このような問題を解決し、音響信号処理装置とコンピュータとを接続して構成する音響信号処理システムの操作性を向上させることを目的とする。
まず、図1に、この発明の音響信号処理システムの実施形態であるミキサシステムを構成するPC及びデジタルミキサの機能構成を示す。なお、図1には、音響信号処理に関連する部分の機能のみを示している。
図1に示す通り、この実施形態においては、汎用コンピュータであるPC10と、音響信号処理装置であるデジタルミキサ30とを、データ送受信が可能なように接続してミキサシステムを構成している。
API13は、OS(Operating System)によって提供され、アプリケーションプログラムを動作させる際に利用できるプログラムインタフェースである。
また、DAWアプリ20は、複数トラック構成の音楽作品作成用のアプリケーションプログラムである。そして、録音、再生、自動演奏、信号処理に係る波形データや各種設定などは1つの曲であるソングを構成するデータであり、ソングファイルとしてPC10のHDDに保存し、HDDから読込みすることができる。
そして、GUI制御部21は、ディスプレイにGUIを表示させ、ユーザの操作を受け付けたり、DAWアプリ20における各種の設定内容や、動作状態、処理対象のデータの内容等を表示したりする機能を有する。
MIDI処理部22は、MIDI形式の演奏データに関する録音,再生,自動演奏等の処理を行う機能を有する。
オーディオ処理部23は、オーディオ形式の波形データに関する録音,再生,信号処理等の処理を行う機能を有する。
オーディオ処理部23の構成については、後により詳しく説明する。
このうち、ADC31は、外部から入力するアナログの音響信号をデジタル信号(波形データ)に変換してDSP33に供給するためのインタフェースである。ADC31は、12ch分設けている。
DSP33は、入力するデジタル波形データに対し、イコライジング、ミキシング、レベル調整等の信号処理を行って出力する第1の信号処理手段である。そして、イコライジングやレベル調整は、複数のchで個別に行うことができ、それらをch毎に、あるいは複数chの波形をミキシングして出力することもできる。
DSP33の行う信号処理の機能構成については、後により詳しく説明する。
制御マイコン35は、CPU,ROM,RAM等を備え、DSP33に対するパラメータの設定や動作指示、UI34における操作検出や表示の制御、MIDI_I/O36や音楽LAN_I/O37を介した通信の制御等、デジタルミキサ30の動作に関する制御を行う制御手段である。
音楽LAN_I/O37は、外部装置(ここではPC10)との間で波形データや、演奏データ、コマンド等のデータを送受信するためのインタフェースである。ハードウェアや通信の規格については、PC10側と対応するものを使用する。
(a)ADC31から入力した音響信号やPC10から受信した音響信号をデジタルミキサ30側で処理した後PC10に送信して記録させる。
(b)ADC31から入力した音響信号を概ねそのままPC10に送信し、PC10側で処理させた上で記録させる。さらにその記録した信号をデジタルミキサ30に戻させてDAC32から出力する。
まず、図2に、DAWアプリ20におけるオーディオ処理部23の機能構成を示す。この図において、破線で示した各I/OはDAWアプリ20には含まれず、また、各I/O以外の部分はソフトウェアにより実現される機能を示す。
図2に示すように、オーディオ処理部23は、入力パッチ201,入力ch202,ミキシングバス203,出力ch204,出力パッチ205,録再トラック210を備えている。
再生用調整ch213による処理後の信号は、ミキシングバス203のうち任意の1以上のバスに出力する。出力先は、ユーザが設定可能である。また、録再トラック210も、PC10のハードウェアの能力の制約内で、いくつでも設けることができる。
chバスは、1本ずつ単独のバスであり、入力も出力もバス毎に独立に行う。また、chバスについては、PC10のハードウェアの能力の制約内で、いくつでも設けることができる。
図3に示すように、DSP33は、入力ch310,録音(REC)バス321,ステレオ(ST)バス322,AUXバス323,AUX出力フェーダ324,ST出力オンスイッチ325,ST出力フェーダ326,ST入力フェーダ327,ST入力オンスイッチ328,AUX入力フェーダ329,ダウンミキサ330,出力パッチ331,出力フェーダ332を備えている。
このような入力ch310は、入力切換スイッチ311,特性調整部312,chフェーダ313,chオンスイッチ314,パン315,RECセンドオンスイッチ316,STセンドオンスイッチ317,AUXフェーダ318を備えている。
chフェーダ313,chオンスイッチ314,パン315はそれぞれ、入力ch310からRECバス321及びSTバス322に出力する波形データのレベル,オンオフ,音像定位位置を調整する機能を有する。波形データは、パン315によりLとRの2系統に分離される。
AUXフェーダ318は、入力ch310からAUXバス323に出力する波形データのレベルをLとRで独立に調整する機能を有する。
ST出力オンスイッチ325及びST出力フェーダ326はそれぞれ、STバス322からの出力オンオフ及び出力波形データのレベルを調整する機能を有する。
ST入力フェーダ327,ST入力オンスイッチ328は、音楽LAN_I/O37からSTバス322に入力する信号のレベルとオンオフを調整する機能を有する。
AUX入力フェーダ329は、音楽LAN_I/O37からAUXバス323に入力する信号のレベルを調整する機能を有する。
出力フェーダ332は、出力パッチにより選択された波形データのレベルを調整する機能を有する。
デジタルミキサ30は、各出力ポートへどこから波形データを供給するか(供給元)、および、各入力ポートからの波形データをどこへ供給するか(供給先)を、それぞれ固定して設計されており、ユーザはこの対応関係を変更することができない。従って、デジタルミキサ30と論理接続されているDAWアプリ20側では、この対応関係に基づいて、受信した波形データの供給元がデジタルミキサ30のどのch又はバスであるかを、ポート番号から認識することができる。
そして、DSP33においては、このうちポートP1,P2で受信した波形データを、DAWアプリ20側のSTバスの出力として扱って、デジタルミキサ30側のSTバス322及び出力パッチ331に入力する。また、ポートP1〜P6で受信した波形データを、DAWアプリ20側の5.1chバスの出力として扱って、出力パッチ331及びダウンミキサ330に入力する。また、ポートP3〜P14で受信した波形データを、DAWアプリ20側のchバスの出力として扱って、12chの各chバス310のデジタル側の入力として供給する。さらに、ポートP15,P16で受信した波形データを、DAWアプリ20側のAUXバスの出力として扱って、デジタルミキサ30側のAUXバス323に供給する。
デジタルミキサ30と論理接続されているDAWアプリ20側では、この対応関係に基づいて、送信する波形データの供給先がデジタルミキサ30のどのch又はバスであるのかを、ポート番号から認識することができる。
なお、図3及び図5からわかるように、デジタルミキサ30では、1つのポートで受信した波形データに対し、複数の異なる種類の波形データとしての取扱いを重複して行う場合がある。具体的には、ポートP1,P2のデータについては、DAWアプリ20側のSTバスの出力としての取扱いと5.1chバスのL,R出力としての取り扱いの両方を行う。また、ポートP3〜P6のデータについては、DAWアプリ20側の5.1chバスのC,LFE,Ls,Rs出力としての取扱いと1〜4番目のchバスの出力としての取扱いの両方を行う。そして、DAWアプリ20側でも、出力パッチ205において、これに合わせて異なる種類のバスの出力をミキシングして1つのポートから送信するような論理結線を行っている。
まず、図6に、DAWアプリ20におけるトラック制御用GUIの表示例を示す。
PC10は、DAWアプリ20に関する操作は、基本的にはGUI制御部21の機能によりディスプレイに表示させるGUIにより受け付ける。図6には、そのGUIの一例を示しており、ディスプレイの表示画面400にトラック設定ウィンドウ410と録再操作ウィンドウ430とを表示させた状態を示している。
このうち、トラック設定ウィンドウ410は、図2に示した録再トラック210に関する設定を行うための画面である。そして、作成する録再トラック210の各々について1行の設定及び表示欄を設け、対応する録再トラック210に関する設定の受け付け及び情報の表示を行うことができるようにしている。
録音待機ボタン411は、各トラックの録音待機/解除をトグルで切り換えるためのボタンである。モニタボタン412は、各トラックのモニタ出力オン/オフをトグルで切り換えるためのボタンである。
名称設定部414は、録再トラック210の名称を入力して設定するための領域である。
MIDIトラックについては、入力元は、MIDI対応の電子楽器やシーケンサ、出力先はそれに加えて音源装置が考えれるが、ここでは詳細な説明は省略する。
トラック内容表示部420は、各トラックにおけるデータの記憶状況及び録音や再生の進行状況を表示する部分である。横軸は時間を示す、バー421がデータの記録されている時間帯を示す。また、カーソル422が、録音又は再生を開始する位置又は実行中の位置を示す。また、スライダ423及びその上下のスクロールボタンにより、画面をスクロールさせ、トラック設定ウィンドウ410に表示させるトラックを変更することができる。
図7に示すように、デジタルミキサ30の操作パネル500には、入力ch310についてch毎のパラメータの設定を行うための操作子を集めたchストリップ部501と、それ以外の部分についての設定を行うための操作子を集めた一般設定部502とを設けている。chストリップ部501については、縦一列分の操作子が1つのchと対応する操作子であり、12の各chについて、同じ操作子を用意している。
図8(c)に示すのは、Cの部分の構成である。そして、この部分には、特性調整部312に備えるハイパスフィルタ(HPF)の有効/無効を設定するためのHPFボタン531、特性調整部312における位相反転処理のオンオフを切り換えるための位相反転ボタン532,入力切替スイッチ311によるアナログ/デジタルの選択を行うための入力切替ボタン533,特性調整部312に備えるコンプレッサの特性を設定するためのコンプレッサつまみ534を設けている。
接続確認ランプ551は、デジタルミキサ30とDAWアプリ20とが論理的に接続され、波形データやコマンドを始めとするデータの送受信が可能となっている状態か否かを表示するためのランプである。
メータ表示部552は、ディスプレイにより構成され、デジタルミキサ30の各部で処理中の波形データのレベルを表示する。
(1)接続確認ランプ551による論理接続有無の表示
(2)STMIXボタン543,HWMIXボタン544,5.1MIXボタン545によるデジタルミキサ30側とDAWアプリ20側の一括設定
(3)WETボタン516,RECWETボタン541,WETマスタボタン542によるWETモードとDRYモードの切り替え
図9は、機器の音楽LANに対する新規接続を検出した場合のPC10側の処理のフローチャートである。この処理は、実際には、PC10に導入された音楽LAN_I/OのドライバとDAWアプリ20とで一部ずつ分担し実行されるが、説明の簡略化のため、以下ではDAWアプリ20が実行するものとして説明する。
なお、これらの各バスの存在及び対応する出力ポートとの論理結線は、後述するDAWアプリ20とデジタルミキサ30の協同動作に必須であるので、論理接続の確立時に強制的に設定し、論理接続が解除されるまでユーザが変更できないようにしてもよい。
ステップS14でNOの場合には、新たに物理接続された機器はDAWアプリ20と論理接続できない機器であると判断し、論理接続を行わずにそのまま処理を終了する。
DAWアプリ20は、図10の左側のフローチャートに示す処理を、定期的に開始する。そして、機器IDレジスタCIDの値を参照し、これが接続確認処理に対応したデジタルミキサを示す特定のIDである場合(S21)、ステップS22以下に進んで、論理接続が維持されていることを確認する処理を行う。ステップS21で特定のIDでなければ、接続の確認を行っても意味がないため、そのまま処理を終了する。
ステップS22以下ではまず、自機に接続中の機器に対し、確認信号を送信する(S22)。この送信は、制御信号の出力ポートを使用して行われる。
なお、ステップS24では、正しいレスポンスが得られなかったとき、直ちに論理接続無しと判断していたが、複数回連続して正しいレスポンスが得られないことを確認して論理接続無しと判断してMCEを「0」にするようにしてもよい。また、ステップS34で設定するΔTを、複数回の実行間隔に相当する時間としても良い。
デジタルミキサ30は、図11の左側のフローチャートに示す処理を、定期的に開始する。そして、接続確認フラグDCEの値を参照し、これが「1」である場合(S41)、カウンタCTを1デクリメントする(S42)。ここでカウンタCTの値が0になった場合(S43)、一定期間DAWアプリ20からの確認信号がなかったことになるため、DAWアプリ20との間の論理接続が切断されたと判断し、ステップS44以下に進む。
ステップS43でCT=0でない場合は、論理接続の切断は検出されていないと判断し、そのまま処理を終了する。ステップS41でDCE=1でない場合は、論理接続が切断されている状態であり、以下の処理を行っても意味がないため、そのまま処理を終了する。
以上の図10及び図11に示した処理においては、デジタルミキサ30の制御マイコン35が検出手段及び表示制御手段として機能する。
図12は、STMIXボタンオンイベントに応じた処理のフローチャートである。
デジタルミキサ30は、STMIXボタン543の押下(第1の設定指示)により発生するSTMIXボタンオンイベントを検出すると、図12の左側のフローチャートに示す処理を開始する。
さらに、図8(d)に示した3つのワークモードボタンのうち、押下されたSTMIXボタン543のランプのみを点灯させて(S54)、処理を終了する。
DAWアプリ20との論理接続がされていない場合には、 STMIXボタン543は、単に、全入力ch310の入力切替スイッチ311について一括してアナログ入力を選択させるボタンとして動作する。
そして、接続確認フラグMCEが「1」であり(S61)、オーディオトラック(録再トラック210)があり(S62)、かつミキシングバス203中にSTバスがある場合(S63)、全オーディオトラックの出力先をSTバスに設定して(S64)処理を終了する。
ステップS62でオーディオトラックがないか、ステップS63でSTバスがない場合、そもそもステップS64で設定しようとするパラメータが存在しないため、そのまま処理を終了する。これらの場合、デジタルミキサ30にその旨を示す応答を返してエラー表示を行わせたり、DAWアプリ20がPC10のディスプレイにエラー表示を行ったりしてもよい。
そして、以上の処理により、ステップS64が実行されるケースでは、STMIXボタン543の押下に応じて、全入力ch310の入力切替スイッチ311をアナログ入力側に切り換えると共に、全録再トラック210の出力先をSTバスに設定することができる。すなわち、全入力ch310及び全録再トラック210に関する設定を、一括して行うことができる。
そして、この設定がなされた場合、DAWアプリ20のオーディオトラックで再生された波形データが、全てミキシングバス203中の5.1chバスに出力され、ここでミキシングされて、デジタルミキサ30に戻される。この場合、デジタルミキサ30はその信号を入力できる5.1chバスを備えていないので、ユーザは出力パッチ331でDAW_5.1を選ぶ以外ない。この選択により、ミキシング後の波形データをDAC32から出力させてモニタすることができる。
なお、5.1MIXボタン545の押下に応じて、出力パッチにDAW_5.1を自動選択させるようにしてもよい。
デジタルミキサ30は、HWMIXボタン544の押下(第2の設定指示)により発生するHWMIXボタンオンイベントを検出すると、図13の左側のフローチャートに示す処理を開始する。
そして、接続確認フラグDCEが「1」であれば(S71)、DAWアプリ20にもHWMIXボタン544の押下に応じた動作を行わせるため、HWMIXコマンドをDAWアプリ20に送信する(S72)。接続確認フラグDCEが「1」でなければ、コマンドの送信は行わない。
さらに、図8(d)に示した3つのワークモードボタンのうち、押下されたHWMIXボタン544のランプのみを点灯させて(S74)、処理を終了する。
DAWアプリ20との論理接続がされていない場合には、 HWMIXボタン544は、単に、全入力ch310の入力切替スイッチ311について一括してデジタル入力を選択させるボタンとして動作する。
そして、接続確認フラグMCEが「1」であり(S81)、かつオーディオトラック(録再トラック210)がある場合(S82)、ミキシングバス203中に存在するchバスの数をカウントし、その数をXとする(S83)。
このchバスは、音響信号を、音楽LANを介して外部機器の入力chに送信するために設けられるバスであり、外部機器が12の入力chを備えるデジタルミキサ30である場合は、Xの値は最大で12である。図5の対応関係に従い、出力パッチ205において音楽LAN_I/Oの出力ポートP3−P14に論理結線されたバスがそれぞれchバス1−12として検出されカウントされる。
また、ステップS81で接続確認フラグMCEが「1」でない場合や、ステップS82でオーディオトラックがない場合は、図12のステップS61やS62の場合と同様、そのまま処理を終了する。
そして、以上の処理により、ステップS84が実行されるケースでは、HWMIXボタン544の押下に応じて、全入力ch310の入力切替スイッチ311をデジタル入力側に切り換えると共に、各録再トラック210の出力先をデジタルミキサ30のそれぞれ異なる入力ch310に設定することができる。なお、録再トラック210の数がchバスの数より多い場合には、このような設定は不可能であるため、chバス数を超える分の録再トラック210については、何れかのchバス、例えば番号の一番大きなchバスに設定するようにしている。あるいは、その超える分の録再トラック210については、出力先をそれ以外のバス、例えばSTバスに設定したり、あるいは設定を変更しないようにしてもよい。
従って、HWMIXボタン543の押下に応じてなされる設定は、DAWアプリ20の録再トラックで再生させた波形データを、DAWアプリ20側ではなく、デジタルミキサ30側のハードウェアを使ってミキシングしたい場合に好適な設定である。マスタリングなど、曲製作の最終段階では、ミキサシステムをこのような用途に用いることがしばしばある。
ただし、ワークモードボタンの操作によってなされた設定はワークモードボタンの操作によってしか変更できないようにする選択肢を設けることも考えられる。
なお、DRYモードとは、デジタルミキサ30側において、(ADC31を介して)外部から入力された波形データを、途中、DAWアプリ20を介することなく、内部バス(STバス322又はAUXバス323)に入力して混合し、(DAC32を介して)外部へ出力するモードである。そして、このモードでは、DAWアプリ20側の録再トラック210のモニタ出力をオフにし、録再トラック210で処理した波形データは出力せず、従ってSTバス322にも入力しないようにする。
このWETモードは、DAWアプリ20とデジタルミキサ30とが論理接続されており、かつSTMIXボタン543の押下に応じた設定がなされている場合のみ、有効に機能するモードである。
また、他の入力ch310や録再トラック210に影響を与えずに、ある入力ch及びその入力chに入力した信号が供給される録再トラックについて、WET/DRYの切り替えができる。従って、DAWアプリ20を他の録再トラックで再生を行いながら、特定の録再トラックで録音を行うような用途(極めて一般的な用途である)に使用している場合にも、再生内容に影響を与えずに、録音を行うトラックの「ドライ」の波形と「ウェット」の波形を効き比べることができる。
図14は、デジタルミキサ30がi番目の入力ch310のWETボタンオンイベント検出時に実行する処理のフローチャートである。
デジタルミキサ30は、i番目の入力ch310と対応するchストリップのWETボタン516の押下により発生するWETボタンオンイベントを検出すると、図14のフローチャートに示す処理を開始する。
そして、接続確認フラグDCEが「1」であれば(S91)、DAWアプリ20にもWETボタン516の押下に応じた動作を行わせるため、ステップS92以下に進む。
まず、ステップS93以下の処理について説明すると、ここでは、i番目の入力chの波形データが入力する録再トラックにDRYモードの設定を行わせるためのDRY(i)コマンドを、DAWアプリ20に送信する(S93)。
なお、ステップS94でSTセンドオンパラメータの値が「オフ」であった場合には、ユーザにはその入力ch310の信号をSTバス322に出力する意思がないと考えられるため、DRYモードであっても、これに反してSTセンドオンスイッチ317をオンにすることなく、そのままステップS96に進む。
なお、ステップS91で接続確認フラグDCEが「1」でない場合は、WETモードは機能させられないので、ステップS94に進んでi番目の入力ch310をDRYモードに戻す。なお、図11のステップS46で説明したように、接続確認フラグDCEに「0」が設定されるときには、全入力ch310がDRYモードに設定されている。従って、この場合も、ステップS91でDCEが「1」でない場合に、ステップS94以下を実行することなくそのまま終了するようにしてもよい。
HOLDモードにするためには、特に設定の変更は必要ないが、パラメータWS(i)に「1」をセットすると共に(S101)、i番目の入力ch310におけるWETボタン516のランプを点滅させて(S102)、該当のchがHOLDモードになったことを示し、処理を終了する。
そして、デジタルミキサ30側のi番目の入力ch310において、STセンドオンパラメータの値が「オン」であれば(S103)、i番目の入力ch310におけるSTセンドオンスイッチ317をオフに切り替え、STオンボタン515のランプを点滅させて、「パラメータの値はオンだがスイッチはオフになった」旨を表示し(S104)、ステップS105に進む。ステップS104の処理では、STセンドオンパラメータの値は変更しないため、この場合、STセンドオンパラメータの値とSTセンドオンスイッチ317のオンオフとが一致しないことになる。
ステップS105以下では、パラメータWS(i)にWETモードを示す「2」をセットし(S105)、i番目の入力ch310におけるWETボタン516のランプを点灯して(S106)、該当のchがWETモードになったことを示し、処理を終了する。
DAWアプリ20は、デジタルミキサ30が図14のステップS98で送信してくるWET(i)コマンドを受信すると、図15のフローチャートに示す処理を開始する。
そして、接続確認フラグMCEが「1」であれば(S111)、デジタルミキサ30からi番目の入力ch310の波形データを受信するポートである入力ポートPiを入力元とするオーディオトラック(録再トラック210)を検索する(S112)。ここでは、複数のトラックが検索条件に合致する場合もある。
また、ステップS113で該当トラックがなかった場合、または該当トラックがあってもその中に録音待機状態のトラックがなかった場合には、受信したWET(i)コマンドに対する応答として「hold」を送信して(S116)、処理を終了する。
また、ステップS111で接続確認MCEが「1」でない場合は、図12のステップS61等の場合と同様、そのまま処理を終了する。
また、ここでの録音待機状態の判定は、先述したように、該当トラックが複数の場合に何れをWETにするかをユーザが選択できるようにするためなので、その必要が無ければ、録音待機状態の判定はせずに、該当トラックを全部WETに切り換える(モニタ出力をオンする)ようにしてもよい。
また、録音待機状態のトラック以外をWETにしないのであれば、ステップS113で該当トラックが録音待機状態でなかった場合、そのトラックのモニタ出力がオンになっていると不都合であるので、このようなトラックのモニタ出力を自動的にオフにするようにしてもよい。
DAWアプリ20は、デジタルミキサ30が図14のステップS93で送信してくるDRY(i)コマンドを受信すると、図16のフローチャートに示す処理を開始する。
そして、接続確認フラグMCEが「1」であれば(S121)、図15のステップS112の場合と同様、デジタルミキサ30からi番目の入力ch310の波形データを受信するポートである入力ポートPiを入力元とするオーディオトラック(録再トラック210)を検索する(S122)。そして、該当する録再トラック210があり、かつそのトラックが録音待機状態であれば(S123)、そのトラック(制御対象トラック)のモニタ出力をオフに設定して(S124)、処理を終了する。
ステップS121で接続確認MCEが「1」でない場合は、図12のステップS61等の場合と同様、そのまま処理を終了する。
DAWアプリ20は、j番目の録再トラック210の録音待機ボタン411の操作イベントを検出した場合、図17のフローチャートに示す処理を開始する。なお、この時に、j番目の録再トラック210が図15に示す処理を実行した時点で存在していたかどうかを把握する必要はない。
ステップS132で接続確認MCEが「1」でない場合は、デジタルミキサ30をリモート制御する必要がないため、そのまま処理を終了する。
デジタルミキサ30は、DAWアプリ20が図17のステップS134で送信してくるWSC(i)コマンドを受信すると、図18のフローチャートに示す処理を開始する。
このWET(i)開始処理においても、WET(i)コマンドの送信を行うため、DAWアプリ20には図15に示した処理を行わせることになる。なお、ステップS142の条件分岐は、WS(i)が「1」の場合にのみ、「N」に分岐するようにしてもよい。
また、ステップS142でWS(i)が「0」である場合には、DAWアプリ20側の録音待機状態の変更に応じてデジタルミキサ30側のモードが変わることはないので、そのまま処理を終了する。
また、録音待機状態の録再トラック210のモニタ出力がオンされた場合、そのトラックにデジタルミキサ30のDRYモードになっている入力ch310由来の波形データが入力していると、STバス322において波形データが重複してしまう。
あるいは、論理接続が確立している間(DCE=1の間)は、ドライ/ウェット切り替えの制御対象となるトラックについて、ユーザによるモニタ出力のオンオフ切り替えができないようにしてもよい。
なお、WETマスタボタン542の押下に応じて行った設定を、入力ch毎のWETボタン516の操作により変更することは可能である。
まず、RECバス321をWETモードにするためのWET(REC)開始処理について説明する。ステップS98では、WET(i)コマンドの代わりにWETON(REC)コマンドをDAWアプリ20に送信し、DAWアプリ20からのレスポンスを待つ(S99)。
この場合、接続確認フラグMCEが「1」であれば(S111)、RECバス321の波形データを受信するポートである入力ポートP13,P14を入力元とする録再トラック210を検索する(S112)。該当する再録トラック210があり、かつそのトラックが録音待機状態であれば(S113)、その制御対象トラックのモニタ出力をオンに設定する(S114)と共に、受信したWET(REC)コマンドに対する応答として「wet」を送信して(S115)、処理を終了する。また、ステップS113で該当トラックが無かった場合、または該当トラックが全て録音待機状態でなかった場合には、受信したWET(REC)コマンドに対する応答として「hold」を送信して(S116)、処理を終了する。
この場合、デジタルミキサ30は、DRY(i)の代わりにWETOFF(REC)コマンドをDAWアプリ20に送信し(S93)、RECバス321にSTバス322へのセンドはないので)ステップS94、S95はパスしてステップS96に進行し、パラメータWS(REC)に「0」をセットし(S96)、RECWETボタン541のランプを消灯させて(S97)、処理を終了する。
この場合、接続確認フラグMCEが「1」であれば(S121)、RECバス321の波形データを受信するポートである入力ポートP13,P14を入力元とする録再トラック210を検索する。該当トラック210があり、かつ録音待機状態であれば(S123)、その制御対象トラックのモニタ出力をオフに設定する(S124)。
例えば、上述した実施形態では、デジタルミキサ30の音楽LANへの波形データの送受信ポート数は、送信ポート16、受信ポート16であったが、これは一例であり、それぞれ任意の数であってよい。また、同じ数でなくてよい。そして、PC10には、デジタルミキサ30の備えるポート数に応じた数の送受信ポートが用意される。
この場合、そのボタン操作に応じて、STMIXオンイベントないしHWMIXオンイベントを発生させるコマンドをDAWアプリ20からデジタルミキサ30に送信し、DAWアプリ20及びデジタルミキサ30に、図12あるいは図13に示した処理を実行させるようにすることが考えられる。あるいは、そのボタン操作に応じて、ステップS53及びS54の処理、あるいはステップS73、S74の処理を実行させるコマンドをDAWアプリ20からデジタルミキサ30に送信しつつ、図12あるいは図13に示した処理を実行するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では音響信号処理装置としてデジタルミキサ30を備える例に取って説明したが、この発明が、レコーダ、エフェクタ、シンセサイザ、音源装置等の他の音響信号処理装置を備える音響信号処理システムにも適用可能であることはもちろんである。
また、以上述べてきた構成及び変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて適用することも可能である。この発明が、以上述べてきた構成を全て備えているものに限られることもない。
従って、この発明を適用することにより、操作性のよい音響信号処理システムを提供することができる。
Claims (3)
- 入力する音響信号を複数のチャンネルで処理し、音響信号を混合する第1のバスを介して外部へ出力する音響信号処理装置と、
通信路を介して該音響信号処理装置との間で複数の音響信号を送受信可能であり、音響信号の録音及び再生を行う複数のトラックの機能を実現するためのアプリケーションプログラムを実行するコンピュータと
を備えた音響信号処理システムであって、
前記音響信号処理装置に、
前記各チャンネル毎に、前記通信路を介して前記コンピュータから受信した音響信号を処理するか、当該音響信号処理装置の外部から入力された音響信号を処理するかをユーザの操作に応じて選択する第1の選択手段を設け、
前記アプリケーションプログラムに、
音響信号を混合する第2のバスと、
前記各トラック毎に、該トラックで再生した音響信号を、前記伝送路を介して該トラックと対応する前記音響信号処理装置のチャンネルに対して送信するか、前記第2のバスに対して出力するかをユーザの操作に応じて選択する第2の選択手段と、
前記第2のバスで混合した音響信号及び前記各トラックで再生した音響信号を前記伝送路を介して前記音響信号処理装置に送信する手段との機能を実現させ、
前記音響信号処理装置にさらに、前記伝送路を介して前記コンピュータから受信した前記第2のバスの音響信号を第1のバスへ供給する手段を設け、
前記音響信号処理装置に設ける手段又は前記アプリケーションプログラムが機能を実現する手段として、
ユーザからの第1の設定指示に応じて、前記音響信号処理装置の第1の選択手段に、全ての前記チャンネルについて、前記外部から入力された音響信号を処理する選択をさせるとともに、前記アプリケーションプログラムの第2の選択手段に、全ての前記トラックについて、前記再生した音響信号を前記第2のバスへ出力する選択をさせる第1の一括設定手段と、
ユーザからの第2の設定指示に応じて、前記音響信号処理装置の第1の選択手段に、全ての前記チャンネルについて、前記コンピュータから受信した音響信号を処理する選択をさせるとともに、前記アプリケーションプログラムの第2の選択手段に、全ての前記トラックについて、前記再生した音響信号を前記伝送路を介して前記音響信号処理装置の対応するチャンネルに対して送信する選択をさせる第2の一括設定手段とを設けたことを特徴とする音響信号処理システム。 - 請求項1記載の音響信号処理システムであって、
前記音響信号処理装置に、
前記複数のチャンネルに入力した音響信号を個別に前記伝送路を介して前記コンピュータに送信する手段を設け、
前記アプリケーションプログラムに、
ユーザの操作に応じて、前記各トラック毎に、該トラックに前記音響信号処理装置のいずれのトラックに由来する音響信号を入力するかを選択し、その選択した音響信号を録音する手段を設けたことを特徴とする音響信号処理システム。 - 前記音響信号処理装置に、前記第1の設定指示及び/又は前記第2の設定指示を受け付けるための操作子を設けたことを特徴とする請求項1記載の音響信号処理システム。
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