JP5321317B2 - 音響システム - Google Patents
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そこで、本発明はタイミングがずれることなくゲインの自動補償ができるネットワーク型の音響システムを提供することを目的としている。
図1に示す音響システム1は、コンソール(C)1−1と、ミキシングエンジン(E)1−2と、IOデバイス1−3(IO1)と、IOデバイス1−4(IO2)と、IOデバイス1−5(IO3)との各デバイスをリング状に接続したオーディオネットワーク2により構成され、該オーディオネットワーク2上には、フレームを巡回させるためのリング状の伝送経路が形成される。このオーディオネットワーク2に接続されている各デバイス間は物理的な接続ケーブルにより接続されている。オーディオネットワーク2では、接続されている複数のデバイスのうちの1つだけがマスタデバイスとなり、他のデバイスはスレーブとなる。マスタデバイスは、サンプリング周期毎に規則的にフレームをリング状の伝送経路に送信し、送信されたフレームは、伝送経路を巡回してマスタノードに戻ってくる。フレームには複数チャンネル分の記憶領域が含まれており、オーディオネットワーク2に接続されている複数のデバイスの各々に所定の帯域のチャンネルが割り当てられ、このチャンネルを用いて各デバイスは音響信号をオーディオネットワーク2に送信することができる。あるデバイスから送信された音響信号を受信する別のデバイスは、該あるデバイスに割り当てられたチャンネルから音響信号を受信する。また、フレームには、制御信号の記憶領域も含まれており、オーディオネットワーク2では、音響信号を伝送しつつ、任意のデバイスから任意のデバイスへ制御信号を送信することができる。後述する各種リモート制御は、全て、この制御信号の通信を用いて行われる。
図6に示すように、オーディオネットワーク2には、コンソール1−1のAIO15が備えるアナログないしディジタルの複数の入力ポートAi(C)、IO1のAIO33が備えるアナログないしディジタルの複数の入力ポートAi(#1)およびIO2のAIOが備えるアナログないしディジタルの複数の入力ポートAi(#2)のうちの、各パッチPca、Pa1、Pa2で接続された所望の複数入力ポートからの複数の(入力)音響信号が送出される。ミキシングエンジン1−2は、オーディオネットワーク2からこれらの音響信号のうちの所望の複数の(入力)音響信号を受け取り、入力パッチ41に入力する。また、入力パッチ41には、自身のAIO23が備えるアナログないしディジタルの入力ポートAi(lo)40からの複数の(入力)音響信号も入力される。入力パッチ41では、入力ch部42の各入力チャンネルに対して、その複数の入力のうちの所望の1入力が選択的にパッチ(結線)され、パッチされた入力からの(入力)音響信号が各入力チャンネルに供給される。入力ch部42における各入力チャンネルには、音響特性を調整するアッテネータ、イコライザ、コンプレッサが備えられており、音響特性が調整された各入力チャンネルの音響信号は、さらに、レベル調整部で各バス毎に送り出しレベルが調整されて混合バス43へ送出される。混合バス43は複数本設けられており、各バスにおいて、任意の入力チャンネルから選択的に入力された1ないし複数のディジタル信号がミキシングされて、複数通りに混合されたミキシング出力が出力ch部44に出力される。
なお、コンソール1−1では、ユーザがパネル表示器やパネル操作子を操作することにより、パッチPca、Pa1、Pa2および入力パッチ41を直接に、ないしリモートで制御して、入力デバイス1−1、1−3、1−4の所望の入力ポートAi(C)、Ai(#1)、Ai(#2)からミキシングエンジン1−2の所望の入力チャンネルへのパッチを設定できると共に、出力パッチ45、パッチPcb、Pb1、およびPb2を直接に、ないしリモートで制御して、ミキシングエンジン1−2の所望の出力チャンネルから出力デバイス1−1、1−3、1−5の所望の出力ポートAo(C)、Ao(#1)、Ao(#3)へのパッチを設定することができる。
図7に示すように、アナログ音響信号はIOデバイスのアナログ入力ポートiに入力され、ディジタルの(入力)音響信号に変換されて出力される。アナログ入力ポートは複数ポート設けられており、複数ポートからの複数の(入力)音響信号は、それぞれパッチPaにおいて、選択的にパッチされたNIO34の所望の送信ポートに、オーディオバス35の1つのチャンネルを用いて伝送される。アナログ入力ポートiは、外部から入力するアナログの(入力)音響信号を、指定されたアナログゲイン分だけアナログ増幅して出力するアンプ33aと、アンプ33aのアナログゲインを指定するゲイン調整部33cと、アンプ33aから出力されたアナログの音響信号をディジタルの音響信号に変換するAD変換器(ADC)33bと、ADC33bからのディジタルの音響信号を、指定されたディジタルゲイン分だけディジタル増幅して出力する補償部33dと、ADC33bからのディジタルの音響信号と補償部33dからのディジタルの音響信号の何れかを選択して出力するスイッチ部33eを備えている。ADC33bが出力する音響信号のビット幅は24ビットで、オーディオネットワークで伝送されているときの音響信号のビット幅は32ビットである。該32ビットの中には、4ビット分のヘッドマージンが確保されており、補償部33dのゲインは+24dBまでアップできる。この補償部33dにおけるゲインの変化幅は、例えば、−96dB〜+24dBとされ、変化範囲を超えるゲインが指定された場合、補償部33dのゲインは、その範囲内の該指定されたゲインに最も近いゲインとなる。スイッチ部33eは、当該アナログ入力ポートの自動補償がオンされた際に可動接点aが固定接点cに接続されるよう切り換えられ、自動補償がオフされた際に可動接点aが固定接点bに接続されるよう切り換えられる。
コンソール1−1のパネルにおいて、IO1ないしIO2の入力ポートxに相当するアナログ入力ポートiの自動補償のオンオフ操作があった際に、コンソール1−1はIO1ないしIO2に対し該オンオフ操作を示す制御信号を送信する。該制御信号を受信したIO1ないしIO2は、図10に示す自動補償のオンオフ操作処理が起動され、ステップS10にて当該アナログ入力ポートiの自動補償の状態を示すフラグACSが反転される。次いで、ステップS11にて反転されたフラグACSがオン状態かオフ状態のいずれを示すかが判断される。ここで、フラグACSがオン状態を示すと判断された場合は、ステップS13に分岐してアナログ入力ポートiの補償部33dにおけるディジタルゲインが0dBに設定される。さらに、ステップS14にてスイッチ部33eが固定接点cの補償部33d側に切り換えられる。この場合、スイッチ部33eからのディジタル信号のレベルは、補償部33dにおけるディジタルゲインが0dBに設定されていることから、自動補償がオンに切り換えられる前のレベルが維持されて出力される。また、ステップS11にてフラグACSがオフ状態を示すと判断された場合は、ステップS12に進みアナログ入力ポートiのスイッチ部33eが固定接点bのADC33b側に切り換えられる。ステップS12あるいはステップS14の処理が終了すると自動補償のオンオフ操作処理は終了する。なお、コンソール1−1のパネルにおいて、自身の入力ポートxに相当するアナログ入力ポートiの自動補償のオンオフ操作があった際には、図10に示す自動補償のオンオフ操作処理を、コンソール1−1自身が実行する。
図8に示すように、アナログ音響信号はミキシングエンジン1−2のアナログ入力ポートjに入力され、ディジタル信号に変換されて出力される。アナログ入力ポートは複数ポート設けられており、複数ポートからの複数の(入力)音響信号は、それぞれパッチPaにおいて、選択的にパッチされた入力ch部42の所望の入力チャンネルに、オーディオバス35の1つのチャンネルを用いて伝送される。アナログ入力ポートjは、図7のアナログ入力ポートiと同じ構成であり、その各ブロック40a〜40eは、対応するブロック33a〜33eと同じ動作を行う。また、図10ないし図11の処理に関して、入力ポートxは、アナログ入力ポートjに相当し、オペレータがコンソール1−1からアンプ40aのアナログゲインをリモートで変更しても、当該アナログ入力ポートjのACSフラグがオンであれば、その変更が補償部40dのディジタルゲインで打ち消されるようになり、アナログ入力ポートjからはアナログゲインの変更前と同じレベルのディジタルの(入力)音響信号が出力されるようになる。
また、図示されていないがコンソール1−1における音響信号の入力からNIO16までの伝送経路の詳細構成は上記IOデバイスと同様とされ、その動作も上述したIOデバイスと同様となる。
オーディオネットワーク2からNIO25を介して取得されたディジタルの複数の(入力)音響信号、ないし、AIO23に入力されたディジタルの複数の(入力)音響信号は、そのまま入力パッチに入力され、AIO23に入力されたアナログの複数の(入力)音響信号は、それぞれ、図8に示すアナログ入力ポートjにおいてディジタルの(入力)音響信号に変換されて入力パッチ41に入力される。入力パッチ41では、入力ch部42の各入力チャンネルkに対して、それらの複数の入力のうちの所望の1入力を、選択的にパッチ(接続)することができる。入力チャンネルkは、ディジタルの(入力)音響信号のレベルをアッテネータパラメータに基づき調整するアッテネータ(ATT)42aと、同音響信号の周波数特性をイコライザパラメータに基づき調整するイコライザ(EQ)42bと、同音響信号のレベルをコンプレッサパラメータに基づき動的に制御するコンプレッサ(Comp)42cと、同音響信号の混合バス43の各バスへの送り出しレベルを、当該バスに対応するセンドパラメータに基づき制御するレベル調整部42dとを備えており、これらにより同音響信号の特性が調整される。ここで、ATT42aのアッテネータパラメータは、アナログ入力ポートi、jのアナログゲインやデジタルゲインとは独立に、入力チャンネルkに入力される音響信号のレベルを、EQ42bやComp42cで信号処理するのに適したレベルに調整するためのパラメータである。混合バス43の各バスにおいては、複数の各入力チャンネルにおいて、当該バス向けにレベル制御された音響信号が入力され、入力された複数の音響信号が混合されて、混合出力が各バス毎に出力される。自動補償(ACSフラグ)がオフされたアナログ入力ポートiないしjにパッチされた入力チャンネルkでは、そのアナログ入力ポートiないしjのアナログゲインが変更されると、アッテネータ42aに入力する音響信号のレベルが変化するので、オペレータは、アッテネータパラメータを再調整しなければならない。他方、自動補償がオンされたアナログ入力ポートiないしjにパッチされた入力チャンネルkでは、そのアナログ入力ポートiないしjのアナログゲインが変更されても、補償部33dないし40dによる自動補償により、アッテネータ42aに入力する音響信号のレベルは変化せず、アッテネータパラメータを再調整しなくてよい。
図12の音響システム5は、オーディオネットワーク6で接続されたサブシステムSaとサブシステムSbの2サブシステムで構成される。サブシステムSaは、オーディオネットワーク6で接続されたコンソールCaと、ミキシングエンジンEaと、IOa1、IOa2、IOa3、IOa4の4台のIOデバイスで構成される。サブシステムSbは、オーディオネットワーク6で接続されたコンソールCbと、ミキシングエンジンEbと、IOデバイスIOb1で構成される。
オーディオネットワーク6では、接続されている9台のデバイスCa、Ea、IOa1、IOa2、IOa3、IOa4、Cb、Eb、IOb1の何れか1がマスタノードとなって、定期的に伝送フレームを送信して、該オーディオネットワークを巡回させるとともに、9台のデバイスの各々に伝送チャンネルを割り当てる。このネットワークでは、9台のデバイスの何れか1が伝送フレームに書き込んだ音響信号を、他の何れのデバイスでも受け取ることができるので、サブシステムSaとサブシステムSbは、(入力)音響信号を共有することができる。つまり、サブシステムSbのエンジンEbは、IOデバイスIOa1、IOa2、IOa3、IOa4がオーディオネットワーク6に送信した(入力)音響信号を受け取ることができ、また、サブシステムSaのエンジンEaは、IOデバイスIOb1がオーディオネットワーク6に送信した(入力)音響信号を受け取ることができる。
ここで、サブシステムSbのエンジンEbで、サブシステムSaのIOデバイスIOa2がアナログ入力ポートiで入力しオーディオネットワーク6に送信した(入力)音響信号を取り出し、1の入力チャンネルkにパッチしてミキシング処理を行っている場合を考える。このとき、アナログ入力ポートiはコンソールCaの制御下にあり、サブシステムSaのオペレータのパネル操作によって、そのアナログゲインが任意に変更される。従来技術(本実施例のアナログ入力ポートiの自動補償がオフに相当)では、サブシステムSbの入力チャンネルkの(入力)音響信号のレベルが変化するので、サブシステムSbのオペレータは、既に調整済みの入力チャンネルkのアッテネータパラメータを再調整しなければならず、操作が煩雑となる。本発明においては、サブシステムSbのオペレータが予めサブシステムSaのオペレータに(入力)音響信号を共有するアナログ入力ポートiの自動補償をオンしてもらうことにより、アナログ入力ポートiのアナログゲインが変更されても、入力チャンネルkに入力する(入力)音響信号のレベルが変化しなくなり、サブシステムSbのオペレータは、アッテネータパラメータの再調整をしなくてよくなる。
また、オーディオネットワーク2では、複数のデバイスがリング状に接続されるようになっていたが、リング状の伝送経路が形成されるのであれば、複数のデバイスの接続は他の態様、例えば、カスケード状等であってもよい。さらに、本発明の実施例では、コンソールC、Ca、ないしCbが制御装置として動作していたが、制御装置はコンソールに限らない。例えば、図2のコンソール、図3のミキシングエンジン、ないし図4のIOデバイスに、外部のパーソナルコンピュータ(PC)を接続するためのインターフェースを用意し、該インターフェースに接続されたPCのオペレーティングシステム上で音響システムを制御するためのプログラムを起動して、当該音響システムの制御装置としての動作を行わせるようにしてもよい。
Claims (1)
- 制御装置と、オーディオネットワークに接続された複数のデバイスとで構成される音響システムであって、
オペレータの操作に応じて前記複数の各デバイスを前記オーディオネットワーク越しにないし直接制御する制御装置であって、前記複数のデバイスの1つである入力デバイスの複数の入力ポートの各々における自動補償のオンあるいはオフを設定する設定手段と、前記複数の入力ポートの各々におけるアナログゲインを変更する変更手段とを備える制御装置と、
前記複数の入力ポートであって、それぞれ、入力されたアナログ信号を、前記変更手段で設定されたアナログゲインに基づきレベル制御するアンプ部と、該アンプ部から出力されるアナログ信号をディジタル信号に変換するAD変換部と、該AD変換部からのディジタル信号を設定されたディジタルゲインに基づきレベル制御する補償部と、前記AD変換部からのディジタル信号と前記補償部からのディジタル信号のいずれかを選択する選択部とを備えた前記複数の入力ポートと、前記選択部で選択されたディジタル信号を前記オーディオネットワークに送出する送出部とを備えている前記入力デバイスと、
前記複数のデバイスの1つであるミキシングデバイスであって、前記オーディオネットワークに送出されたディジタル信号を受け入れる受入部と、該受入部から入力されたディジタル信号の音響特性を調整する入力チャンネルと、該入力チャンネルからのディジタル信号を混合する混合バスとを備えるミキシングデバイスと、
を備え、
前記入力デバイスは、前記制御装置の設定手段によりある入力ポートの自動補償がオンされたとき、前記入力デバイスの当該入力ポートにおける前記補償部に所定のディジタルゲインを設定すると共に、当該入力ポートの前記選択部に前記補償部からのディジタル信号を選択させ、当該入力ポートの自動補償がオンされている間は、前記補償部に設定される所定のディジタルゲインが、前記変更手段による当該入力ポートのアナログゲインの変更を打ち消すように設定され、当該入力ポートの自動補償がオフされたとき、前記入力デバイスの当該入力ポートの前記選択部に前記AD変換部からのディジタル信号を選択させることを特徴とする音響システム。
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