以下、図面を用いてこの発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態であるオーディオネットワークシステムにおける、ミキサエンジンなどの機器のノード100及び該機器に接続されるコンソール130の詳細な構成を示す。ミキサエンジンなどの機器のノード100は、中央処理装置(CPU)101、フラッシュメモリ102、ランダムアクセスメモリ(RAM)103、コミュニケーション入出力インターフェース(COM I/O)104、カード入出力インターフェース(I/O)ユニット105、信号処理装置(DSP)106、部分ネットワーク用インターフェース(Net I/O)107、及びバスライン109を備える。接続ネットワーク用インターフェース(Net I/O)108については後述する。
CPU101は、このノード100の機器における処理全体を制御する処理装置である。フラッシュメモリ102は、CPU101が実行するプログラムや各種のデータなどを記憶する不揮発性の書き替え可能な記憶装置である。RAM103は、CPU101が実行するプログラムをロードし、あるいは各種のワーク領域に使用する揮発性のメモリである。COM I/O104は、コンソール130やその他の機器(PCなど)と通信するための通信ケーブルを接続するインターフェースである。
カードI/Oユニット105は、複数のカードのスロット(挿入口)を持つユニットである。挿入するカードとしては、例えば、ディジタル音響信号のミキシングなどの信号処理を行うDSPカード、アナログ音響信号をA/D(アナログディジタル)変換して入力するアナログ入力カード、ディジタル音響信号をD/A(ディジタルアナログ)変換しアナログ音響信号として出力するアナログ出力カード、ディジタル音響信号の入出力を行うディジタル入出力カードなどがある。カードI/Oユニット105に、どのような種類のカードを挿入するか(種類を混在してもよい)によって、このノード100の機器の機能が決定される。例えば、すべてのスロットにDSPカードを挿入すると、そのノードは主として音響信号のミキシングなどの信号処理を行うミキサのノードとなる。また、アナログあるいはディジタルの入出力カードを挿入すると、ノード100は、アナログあるいはディジタルの信号の入出力を行うノードとなる。図1では、スロット111〜114に、DSPカードA、DSPカードB、Ain(アナログ入力)カードC、及びAout(アナログ出力)カードDを挿入し、これによりこのノード100の機器のみでアナログ音響信号の入出力とミキシング処理を実現する例を示した。スロットは、ここでは111から114の4つのみ図示したが、その数は任意に設計することができる。115は、各スロットに挿入されたカード間で音響信号のやり取りを行う信号バスである。116は、制御信号のやり取りを行う制御バスである。
DSP106は、主として、カードI/Oユニット105に挿入された各カードとNet I/O107との間の音響信号のやり取りを制御する機能を果たす。特に、部分ネットワーク(詳細は後述する)を介して他のノードの機器と信号の送受信を行う場合は、当該部分ネットワークで規定されている所定のプロトコルに従う必要があるが、そのプロトコルに従って信号を加工したり信号入出力のタイミングの調整を行う処理などは、DSP106とNet I/O107とが共働して行うものである。Net I/O107は、この機器を部分ネットワークに接続するインターフェースである。
詳しくは図2で後述するが、本実施形態のネットワークシステムは、複数の部分ネットワークを相互に接続する接続ネットワークを備えている。108は、このノード100が部分ネットワークと接続ネットワークを接続するノード(以下、接続ノードと呼ぶ)である場合に備えている接続ネットワーク用インターフェース(接続Net I/O)である。このノード100が、部分ネットワークのみに接続され、接続ネットワークに接続されない場合、接続Net I/O108は不要である。このNet I/O107とNet I/O108は、同じ通信方式のインターフェースであるが、異なる通信方式であっても良い。また、DSP106とNet I/O107(及び108)を、スロット111〜114に挿入される通信カードとして実現してもよい。
コンソール130は、CPU131、フラッシュメモリ132、RAM133、表示器134、操作子135、電動フェーダ136、COM I/O137、DSP138、オーディオI/O139、及びバスライン140を備える。CPU131は、このコンソール130の全体の動作を制御する処理装置である。フラッシュメモリ132は、CPU131が実行するプログラムや各種のデータなどを記憶する記憶装置である。RAM133は、CPU131が実行するプログラムのロード領域や各種のワーク領域に使用する揮発性メモリである。表示器134は、このコンソール130の外部パネル上に設けられた各種の情報を表示するためのディスプレイである。電動フェーダ136は、このコンソール130の外部パネル上に設けられた各種パラメータの値設定用の操作子である。操作子135は、このコンソール130の外部パネル上に設けられた各種の操作子である。COM I/O137は、このコンソール130をミキサエンジンなどのノード100と通信するための通信ケーブルに接続するインターフェースである。DSP138は、COM I/O137経由で入出力される信号を取り込み各種の処理を行うDSPである。オーディオI/O139は、音響信号のモニタ用などの入出力インターフェースである。
図2は、本実施形態のオーディオネットワークシステムの全体の構成例を示す。ホールA201の音響設備として、ノード211〜214及びコンソール215,216が設置されている。ノード211〜214は、図1のノード100で説明したのと同様の構成を持つ機器であり、それぞれ所定のカードが挿入されて、所定の音響処理機能を果たすようになっている。これらのノード211〜214は、部分ネットワークA217により相互に接続されており、全体としてホールA201におけるミキサシステムを構築している。このホールA201において全体として構築されているミキサシステムの機能構成については、図4で詳しく説明する。以下、ノード211〜214については、部分ネットワークAのノードであることが分かるように、A1〜A4と呼ぶものとする。各部分ネットワークでは、接続された複数のノードのうちの何れか1つのノードが、その部分ネットワークのマスタノードとして、当該部分ネットワークにおける音響信号の伝送(伝送サイクルのタイミング制御、伝送リソースの割当、など)を制御する。また、マスタノードは、当該部分ネットワークに接続されている各機器の構成情報(部分ネットワークにどのようなノードが接続されているか、各ノードの機器に挿入されているカードはどのようなものか、コンソールはどのノードに接続されているかなど)を保持・管理する。ノード211の「A1(M)」は、当該ノードA1が、現在部分ネットワークAにおけるマスタノードとなっていることを示している。なお、ノード100のスロットに挿すカードとしては、アナログ入力カードなどの機能が決まっているものと、DSPカードのように多機能のもの(DSPカードは、ミキサに使うこともできるし、エフェクタに使うこともできるし、インサーションに使うこともできる)があるが、DIPスイッチなどで指定したり、カード挿入時のインストレーション操作で指定したりすることにより、各カードの機能は1つに決定されるものとする。
215はノードA3に接続されたコンソール(Con)、216はノードA4に接続されたコンソールを示す。1つの部分ネットワークに接続されている各ノードの機器により構築されるミキサシステム内に、複数のコンソールが接続されている場合は、その中の1つをマスタとし他をスレーブとする。図2の部分ネットワークAのミキサシステムAでは、コンソール215がマスタコンソールであり、そのことを示すためにCon(M)と記載している。図2では、4つの部分ネットワークA〜Dに対応して、4つのミキサシステムA〜Dが構築されている。後述するように、各ミキサシステムは、対応する部分ネットワークに接続された機器だけでなく、接続ネットワークで接続された他の部分ネットワークの機器についてもその構成要素とすることができる。各ミキサシステムを構成する複数の機器は、マスタコンソールからの制御信号により制御される。すなわち、マスタコンソールは、その部分ネットワークで構築されているミキサシステム全体を制御する。スレーブコンソールは、その操作パネルに対して行われた設定操作をマスタコンソールに伝達する(マスタコンソール操作パネルの拡張)とともに、マスタコンソールから出力される各種指示信号を受けて内部でマスタコンソールが行っているのと同じ動作を実行しており、マスタコンソールの動作に何らかの異常が生じたときには、マスタコンソールに昇格して動作を引き継ぐことができる(マスタコンソールのバックアップ)。
同様にして、スタジオB202の音響設備として、ノード221〜223(B1〜B3)及びコンソール224が設置されている。これらのノード機器B1〜B3は、部分ネットワークB225に接続されており、全体としてスタジオB202におけるミキサシステムを構築している。ノードB3は、音響信号をディジタルレコーディングできるレコーダであるものとする。コンソール224は、部分ネットワークB上に構築されたミキサシステム内で1台のみのコンソールであるので、マスタコンソールである。同様に、ホールC203の音響設備として、ノード231〜235(C1〜C5)及びコンソール236が設置され、部分ネットワークC上のミキサシステムが構築されている。また、予備室D204の音響設備として、ノード241(D1)及びコンソール242が設置され、部分ネットワークD上のミキサシステムが構築されている。
接続ネットワーク200は、各部分ネットワークA,B,C,Dを相互に接続するための上位のネットワークである。接続ネットワーク200には、部分ネットワークAのマスタノードA1(M)、部分ネットワークBのマスタノードB1(M)、部分ネットワークCのマスタノードC1(M)、及び部分ネットワークDのマスタノードD1(M)が接続されている。これらのノードA1(M),B1(M),C1(M),D1(M)は、接続ネットワーク200に接続されているという観点からみると接続ノードである。各接続ノードを必ずしも各部分ネットワークのマスタノードとしなくてもよいが、マスタノードは各部分ネットワークでの通信タイミングを決定するノードであるので、各接続ノードをその部分ネットワークのマスタノードとすることにより、各部分ネットワークでの音響信号の伝送をより安定させることができる。これらの接続ノードの中の1つ、例えばノードB1(M)は、接続ネットワーク200のマスタノード(接続マスタと呼ぶ)として、当該接続ネットワークにおける音響信号の伝送(伝送サイクルのタイミング制御、伝送リソースの割当、など)を制御する。接続マスタは、接続ネットワーク200を介した各音響信号の伝送で使用する伝送リソースの割り当てなど、接続ネットワークにおける通信の制御を行うノードである。
各部分ネットワーク及び接続ネットワークはそれぞれ独立したネットワークであるので、当然、それぞれのプロトコルは同じでも異なっていてもよい。ただし、所定のch数の音響信号を、ほぼリアルタイムに時分割伝送でき、さらに、同時に制御信号を時分割伝送できるプロトコルを用いるものとする。従来より知られている音響信号を伝送することができる各種の方式、例えば、mLAN(商標)、CobraNet(商標)、EtherSound(商標)、HyperMAC(商標)などを用いてもよい。
図3は、本実施形態のシステムにおける部分ネットワーク及び接続ネットワークにおける伝送フォーマットの例を示す。301は、矢印302で示す時間tの経過方向に沿って伝送される各伝送フレーム311,312,313,…を示す。1フレームの長さは固定長であり、例えば数十〜数百マイクロ秒程度である。この長さは、システムで使用しているサンプリングクロックのサンプリング周期×n(nは1以上の整数)とするのがよい。その場合、各ネットワークのマスタノードは、同時に、当該ネットワークにおける音響信号のサンプリングクロックを決定するワードクロックマスタとして動作する。1フレームの前半部分321は、所定のch数の音響信号を(楽音波形サンプル)伝送するために割り当てられている時間区間である。ここでは、この前半部分321を時間区間330−1〜330−128に分け、128ch分の音響信号の伝送ができるフォーマットの例を示した。各時間区間330−1〜330−128が、それぞれ1つの伝送chに相当する。1つの伝送ch、例えば時間区間330−1には1つ以上の所定数の波形サンプルを設定することができる。1つの伝送chにより1ch分の音響信号の伝送を行う。なお、割り当てることができる伝送chの数や、1フレーム内の当該伝送chの区間に含めることができる波形サンプルの数は、ネットワークの要求仕様に合わせて任意に決めればよい。ただし、伝送ch数を多くし、1フレームで伝送できるサンプル数を多くする場合は、それに応じてネットワークの帯域が要求されるので、それだけ高性能のハードウエアが必要になる。1フレームの後半の時間区間322は、制御データの伝送を行うために確保されている区間である。
図3に示したような伝送フォーマットを基本形とし、例えば図2に示したように、部分ネットワークAでは128ch、部分ネットワークBでは128ch、部分ネットワークCでは256ch、部分ネットワークDでは64chの伝送chをそれぞれ使用可能とする。また接続ネットワーク200は、512chの伝送chを使用可能とする。すなわち、これらのネットワークの中では接続ネットワーク200の帯域が一番広く、部分ネットワークA、Bがそれに続き、部分ネットワークDの帯域が最も狭い。
各ネットワークにおける伝送chは、当該ネットワークのマスタノードの制御のもとで割り当てられる。例えば、部分ネットワークA内で第1のノードから他の第2のノードに音響信号を伝送したいとき、その通信を行いたい第1のノードまたは第2のノードからマスタノードA(M)に対して伝送chの割り当てをリクエストし、マスタノードA(M)はそのリクエストに対して図3の330−1〜330−128のうちの何れかの伝送chを割り当て、割り当てた伝送chをリクエスト元のノードに通知する。リクエスト元のノードが第1のノードならその第1のノードから第2のノードへ、リクエスト元のノードが第2のノードならその第2のノードから第1のノードへ、該使用する伝送chを通知する。その後、送信側の第1のノードは音響信号を当該伝送chに乗せて部分ネットワークAに出力する。受信側の第2のノードは、ネットワークAの当該伝送chからその音響信号を受信する。接続ネットワーク200を介して接続ノード同士で通信を行う場合も、伝送chの割り当てとその伝送chを使用しての音響信号の伝送の手順は同様である。
なお、図3では時分割で音響信号と制御信号を伝送するフォーマットの例を示したが、音響信号用のネットワーク線と制御信号用のネットワーク線とを相互に独立して設け、独立に音響信号と制御信号を伝送するようにしてもよい。
図4は、図2の部分ネットワークAのノードA1〜A4の機器により全体として構築されるミキサシステムの機能構成を示すブロック図である。401〜403は、それぞれ音響信号の入力部を示す。入力パッチ406は、入力部401〜403による各入力信号を、入力ch(24ch)407や入力ch(48ch)408の各入力chへ入力するための任意結線を行なう。入力ch407,408の各入力chでは、イコライザやダイナミクスなどの各種の信号処理を施すことができる。入力ch407,408の各chの信号は、MIXバス(MIX1〜36の36本)410の任意のミキシング用バスへ選択的に出力できる。MIXバス410の各ミキシング用バスは、それぞれ入力ch407,408から入力する信号をミキシングする。MIXバス410の各ミキシング用バスでミキシングされた信号は、そのミキシング用バスに対応する出力ch、すなわち出力ch411,412の中の1つに、出力される。出力ch411,412の出力は、それぞれ出力パッチ413へ出力される。出力パッチ413は、出力ch411,412から、出力系統への任意の結線を行なう。414〜416は、それぞれ音響信号の出力部を示す。インサーション409は、入力ch408の何れかのchの信号を取り出して、DSPを用いて各種のエフェクト処理を施し、処理済みの信号を再び入力ch408の何れかのchに戻す機能を果たす。
図4の各ブロックの中に括弧を付けて記載してあるA1,A2,A3,A4は、そのブロックの機能が、図2の部分ネットワークAのどのノードで実現されているかを示す。例えば、入力部401には括弧書きでA1と記載されているので、この入力部401が図2の部分ネットワークAのノードA1により実現されている機能であることが分かる。同様に、ノードA1により実現されている機能は、入力ch407、及び出力ch411、出力部414である。ノードA2により実現されている機能は、入力部402、及びインサーション(10基)409である。ノードA3により実現されている機能は、入力部403、入力ch408、及び出力部415である。ノードA4により実現されている機能は、出力ch412、及び出力部416である。入力部401〜403の機能を果たすノードには、その何れかのスロットに音響信号入力用のカードが挿入されていることになる。出力部414〜416の機能を果たすノードには、その何れかのスロットに音響信号出力用のカードが挿入されていることになる。入力ch407,408及び出力ch411,412の機能を果たすノードには、その何れかのスロットにDSPカードが挿入されていることになる。なお、その他の機能、すなわち、入力パッチ、出力パッチ、バス、接続パッチなどについては、音響信号が通る各ラインごとに、ノードやネットワークなどに割り当てられて実現されるものであるので、ここではどの機器で実現されるかを図示していない。
さらに、本実施形態のオーディオネットワークシステムでは、ある部分ネットワーク上に構築されている音響システムで、他の部分ネットワークのノードの機能を、利用することができる。例えば、図4の入力部404はホールCに設置してあるノードC5により実現される機能であるが、この機能404を部分ネットワークAの音響システムで利用している。部分ネットワークAの任意のノードと部分ネットワークCのノードC5との音響信号のやり取りは部分ネットワークA、接続ネットワーク200、及び部分ネットワークCを介して行う。接続パッチ405は、この接続ネットワーク200を介した結線を表している。同様にして、所定の出力chの出力信号を、出力パッチ413及び接続パッチ417を介して、部分ネットワークBのノードB3により実現されているレコーダ部418に、結線している。同様にして、入力部及び出力部以外の任意の機能ブロックとして、他の部分ネットワークのノードの機能を利用することができる。
図4の入力パッチ406について詳しく説明する。入力パッチ406は入力部401〜404の何れかの入力ポートと入力ch407,408の何れかの入力chとの結線を行う機能ブロックであるが、この機能は1つのノードのみで実現されるとは限らない。場合分けすると、(1−1)同じ部分ネットワーク内の1つのノード内で結線する場合、(1−2)同じ部分ネットワーク内の異なるノード間で結線する場合、(1−3)異なる部分ネットワークのノード間で結線する場合、の3つがある。各場合について説明する。
(1−1)同じ部分ネットワーク内の1つのノード内で結線する場合とは、例えば、マスタコンソール215において、入力部401の1つの入力ポートから入力した1つの入力信号を入力ch407の中の1つの入力chに結線する操作が行われたとき、すなわち同じノードA1内で信号の受け渡しを行う場合である。図1の構成で、スロット113に挿入されたAinカードCが入力401に対応し、スロット111に挿入されたDSPカードAが入力ch407に対応するものとすると、マスタコンソール215の指示に応じて、ノードA1のCPU101が、信号バス115のB伝送ch(伝送フレーム、伝送帯域、タイムスロットなど)を割り当て、AinカードCが入力部401のその信号をその割り当てたB伝送chを用いて信号バス115へ送出するよう、AinカードCを設定するとともに、DSPカードAがその送出された信号を信号バス115から取り込み、内部で実行中の入力ch407の当該chのプロセスへ供給するよう、DSPカードAを設定することで、当該入力パッチ406の結線が実現される。
(1−2)同じ部分ネットワーク内の異なるノード間で結線する場合とは、例えば、マスタコンソール215において、入力部401の1つの入力ポートから入力した1つの入力信号を入力ch408の中の1つの入力chに結線する操作が行われたとき、すなわちノードA1からノードA3に部分ネットワークAの伝送chを使用して信号の受け渡しを行う場合である。この場合、結線が指示されたときに、部分ネットワークAのマスタコンソール215は、マスタノードであるノードA1に部分ネットワークAのNA伝送ch(伝送フレーム、伝送帯域、タイムスロットなど)を割り当てさせ、送信側のノードA1に入力部401のその信号をその割り当てたNA伝送chを用いて部分ネットワークAへ送信するよう指示するとともに、受信側のノードA3にその送信された信号を受信し入力ch408の当該chのプロセスへ供給するよう指示する。指示を受けたノードA1では、CPU101が、信号バス115のB伝送chを割り当て、そのB伝送chを使って入力部401のその信号がDSP106に伝送されるよう、AinカードC及びDSP106を設定するとともに、その信号がNA伝送chを用いて部分ネットワークAへ送信されるよう、DSP106及びNetI/O107を設定する。また、指示を受けたノードA3では、(スロットBに入力ch408を実行するDSPカードBが装着されているとして説明すると、)CPU101が、部分ネットワークAからその送出された信号を受信するよう、DSP106及びNetI/O107を設定するとともに、信号バス115のB伝送chを割り当て、そのB伝送chを使って受信した信号がDSP106からDSPカードBに伝送されるよう、DSP106及びDSPカードBを設定する。以上により、ノードA1のAinカードC(入力部401)の当該入力ポートからノードA3のDSPカードBの入力ch408の当該chの処理への結線が実現される。
(1−3)異なる部分ネットワークのノード間で結線する場合とは、例えば、マスタコンソール215において、入力部404の1つの入力ポートから入力した1つの入力信号を入力ch408の中の1つの入力chに結線する操作が行われたとき、すなわちノードC5からノードA3に信号の受け渡しを行う場合である。この場合、結線が指示されたときに、部分ネットワークAのマスタコンソール215は、マスタノードA1に部分ネットワークAのNA伝送chを、マスタノードC1に部分ネットワークCのNC伝送chを、接続マスタB1に接続ネットワークのNI伝送chをそれぞれ割り当てさせるとともに、送信側のノードC5に対し入力部404のその信号をその割り当てたNC伝送chを使って部分ネットワークCに送信するよう指示し、信号を中継するノードC1(M)に対しその信号を受信して、その割り当てたNI伝送chを使って接続ネットワークに送信するよう指示し、信号を中継するノードA1(M)に対しその信号を受信して、その割り当てたNA伝送chを使って部分ネットワークAに送信するよう指示し、受信側のノードA3に対しその信号を受信し入力ch408の当該chのプロセスへ供給するよう指示する。指示を受けたノードC5では、CPU101が、B伝送chを割り当てるとともに、入力部404からDSP106へのその信号の伝送、及びNC伝送chでの部分ネットワークCへの送信をAinカード、DSP106、及びNetI/O107に設定し、指示を受けたノードC1(M)では、CPU101が、部分ネットワークCからのその信号の受信、及びNI伝送chでの接続ネットワークへの送信をNetI/O107、DSP106、及びNetI/O108に設定し、指示を受けたノードA1(M)では、CPU101が、接続ネットワークからのその信号の受信、及びNA伝送chでの部分ネットワークAへの送信をNetI/O108、DSP106、及びNetI/O107に設定し、指示を受けたノードA3では、CPU101が、B伝送chを割り当てるとともに、部分ネットワークAからのその信号の受信、及びDSP106から入力ch408への伝送をNetI/O107、DSP106、及びDSPカードに設定する。以上により、ノードC5→(部分ネットワークC)→接続ノードC1(M)→(接続ネットワーク)→接続ノードA1(M)→(部分ネットワークA)→ノードA3という経路で、ノードC5の入力部404の当該ポートからノードA3で実行されている入力ch408の当該chの処理への結線が実現される。
なお上記(1−3)の場合において、入力部404がノードC5でなく接続ノードC1(M)により実現されているときは、部分ネットワークC内の伝送は不要となる。同様に、入力ch408がノードA3でなく接続ノードA1(M)により実現されているときは、部分ネットワークA内の伝送は不要となる。
以上で説明した入力パッチ406における結線の設定は、ユーザがコンソールにて所定の画面を見ながら任意に行うことができる。ユーザが指示した結線の設定に応じて、当該コンソールから、上述した(1−1)〜(1−3)の各場合において必要なノードのCPU101に対して、そのノードのDSP106へマイクロプログラムのロードを指示する。そのマイクロプログラムとは、上述した(1−1)〜(1−3)の各場合において、各ノードが上述の動作を実現するようにDSP106を動作させるマイクロプログラムである。
図4のMIXバス410について詳しく説明する。MIXバス410の各ミキシング用バスにおけるミキシングの処理は、そのバスに対応する出力chの処理を行うのと同じノードの同じDSPカードで行われる。これは、入力chからMIXバスへのルーティングを変更するときの設定変更処理を最小限にするためである。例えば、MIXバス410(36本)のうち、第1MIXバスのミキシングの結果は出力ch411の第1出力chに出力され、第2MIXバスのミキシングの結果は出力ch411の第2出力chに出力され、…という具合である。従って、どのノードで実現されている入力chの信号が、どのMIXバスへ入力しそのMIXバスがどのノードで実現されているかに応じて、上記入力パッチ406で説明したのと同様な場合分けができる。すなわち、(2−1)同じ部分ネットワーク内の1つのノードで上記入力chとMIXバスと出力chが実現されている場合、(2−2)同じ部分ネットワーク内の第1のノードで上記入力chが実現され第2のノードでMIXバスと出力chが実現されている場合、(2−3)第1の部分ネットワークのノードで上記入力chが実現され、それとは異なる第2の部分ネットワークのノードでMIXバスと出力chが実現されている場合、の3つがある。各場合について説明する。なお、ネットワークないし伝送バスの伝送リソースの消費を減らすために、各バスのミキシングの処理の一部を、そのバスへ信号を出力している入力chと同じノードの同じDSPカードで行うようにしてもよい。
(2−1)同じ部分ネットワーク内の1つのノードで上記入力chとMIXバスと出力chが実現されている場合とは、例えば、マスタコンソール215において、入力ch407のうち第1入力chの信号をMIX1(第1MIXバス)へ出力する操作(第1入力chのMIX1センドをオンする操作)が行われたとき、すなわち、同じノードA1内で入力chからMIXバスへのルーティングが行われる場合である。図1の構成で、スロット111に挿入されたDSPカードAが入力ch407に対応し、スロット112に挿入されたDSPカードBがMIX1及び出力ch411に対応するものとすると、CPU101が、信号バス115のB伝送chを割り当て、DSPカードAが第1入力chの処理結果の信号をその割り当てたB伝送chを用いて信号バス115へ送出するよう、DSPカードAを設定するとともに、DSPカードBがその送出された信号を信号バス115から取り込み、内部で実行中のMIX1(及び第1出力ch)の処理のプロセスへ供給するよう、DSPカードBを設定することで、当該第1入力chから第1MIXバスへのルーティングが実現される。なお、DSPカードAで、MIX1及び第1出力chの処理が(第1入力chの処理とともに)行われる場合には、DSPカードA内での当該第1入力chからMIX1へのルーティングの設定のみを行えばよく、信号バス115を介したカード間の信号伝送の設定は不要である。以上により、第1入力chの出力信号がMIX1の処理へ入力される。MIX1では、該入力信号がその他の入力信号とミキシングされ、第1出力chの処理へと出力される。
(2−2)同じ部分ネットワーク内の第1のノードで上記入力chが実現され第2のノードでMIXバスと出力chが実現されている場合とは、例えば、マスタコンソール215において、ノードA1で実現されている入力ch407のうち第1入力chの信号を、ノードA4で実現されているMIX13(第13MIXバス)へ出力する操作(第1入力chのMIX13センドをオンする操作)が行われたとき、すなわち、ノードA1の入力chからノードA4のMIXバスへのルーティングが行われる場合である。この場合、そのようなルーティングの設定が指示されたときに、マスタコンソール215は、マスタノードであるノードA1にNA伝送chを割り当てさせ、送信側のノードA1に第1入力chの信号をその割り当てたNA伝送chを用いて部分ネットワークAに送信するよう指示するとともに、受信側のノードA4にその送信された信号を受信して当該MIX13の処理へ供給するよう指示する。指示を受けたノードA1では、CPU101が、信号バス115のB伝送chを割り当て、そのB伝送chを使って入力ch407のその信号がDSP106に伝送されるよう、AinカードC及びDSP106を設定するとともに、その信号がそのNA伝送chを用いて部分ネットワークAへ送信されるよう、DSP106及びNetI/O107を設定する。また、指示を受けたノードA4では、(スロットBにMIX13及び第13出力chを実行するDSPカードBが装着されているとして説明すると、)CPU101が、部分ネットワークAからその送出された信号を受信するよう、DSP106及びNetI/O107を設定するとともに、信号バス115のB伝送chを割り当て、そのB伝送chを使って受信した信号がDSP106からDSPカードBに伝送されるよう、DSP106及びDSPカードBを設定する。以上により、ノードA1の第1入力chの出力信号がMIX13の処理へ入力される。MIX13では、該入力信号がその他の入力信号とミキシングされ、第13出力chへと出力される。
(2−3)第1の部分ネットワークのノードで上記入力chが実現され、それとは異なる第2の部分ネットワークのノードでMIXバスと出力chが実現されている場合とは、例えば、マスタコンソール215において、部分ネットワークAのノードA3で実現されている入力ch408のうち第25入力chの信号を、部分ネットワークBのノードB2で実現されているMIXb04(第b04MIXバス)へ出力する操作(第25入力chのMIXb04センドをオンする操作)が行われたとき、すなわち、ノードA3の入力chからノードB2のMIXバスへのルーティングが行われる場合である。(なお、これは図4に図示されている構成ではない。)そのような場合も基本的に上記(2−2)と同様である。ただし、(2−2)とは信号の伝送が接続ネットワークを経由する点が異なる。接続ネットワークを介しての信号の伝送については、入力パッチ406の(1−3)の例で説明したのと同様である。
以上で説明したミキサシステムAにおける入力パッチ及びルーティングの設定操作は、ユーザがマスタコンソール215にて所定の画面を見ながら任意に行うことができるが、スレーブコンソール216でも同様の設定操作を行うことができる。ただし、スレーブコンソール216で設定操作が行われた場合は、スレーブコンソール216がミキサシステムAの制御を行うことはなく、スレーブコンソール216で行われた設定操作が部分ネットワークAを介してマスタコンソール215に伝達され、マスタコンソール215がその操作に応じた制御を実行する。すなわち、設定操作が何れのコンソールで行われたかに関わらず、ミキサシステムAの制御はマスタコンソールAが行うようになっているのである。
以上では、入力パッチ406とMIXバス410について説明したが、出力パッチ413における信号の受け渡しも上記入力パッチ406と同様であるし、また、入力ch408とインサーション409との間の信号の受け渡しも上記入力パッチ406と同様である。
上述したように本実施形態のオーディオネットワークシステムでは、接続ノードを介して各部分ノードで構築されているミキサシステム(音響システム)同士でオーディオ信号と制御信号をやり取りし、これにより各種の機能拡張を行うことができる。例えば、図2のような構成で、ホールAで演劇を行っているとき、レコーダに録音されている所定の音を再生したい場合がある。従来は、レコーダをホールAに持っていって部分ネットワークAあるいはそれに接続されているノードの機器の何れかにそのレコーダを接続する必要があった。本実施形態のシステムでは、スタジオB202の部分ネットワークBにノードB3としてレコーダが接続されているので、部分ネットワークAのシステムの例えばコンソール215から制御して、ノードB3のレコーダ223から、部分ネットワークB、部分ネットワークBのマスタノードB1、接続ネットワーク200、部分ネットワークAのマスタノードA1、及び部分ネットワークAというような経路で、レコーダ223の再生音を取り込むことができる。取り込んだ再生音の音響信号は、マスタノードA1から任意の出力装置などに出力することができる。これにより、レコーダを新たに接続することなく機能拡張してホールAのシステムを使用することができる。
同様に、接続ネットワークを利用することにより、各種の場面で機能拡張が行える。例えば、ホールAのミキサシステムだけではリソースが足りないとき、スタジオBやホールCのミキサシステムの機能を流用して、ホールAのミキサシステムがあたかも高性能のミキサであるかのように処理することができる。あるいは、ホールAで音楽会を行ったとき、そのレコーディングをスタジオBのレコーダ223で行うこともできる。
図5は、図4の部分ネットワークAの音響システムで使用しているコンソール215の操作パネルの外観例を示す。501は10個の画面選択スイッチ、502はドットマトリクス表示部、503は割当chストリップ部、511〜514は上下左右のカーソル移動ボタン、515はDECボタン、516はINCボタン、517はエンターキー、518はホイール、519はタッチパッド、520は左ボタン、521は右ボタンである。割当chストリップ部503は、24本の割当chストリップ503−1〜503−24を備える。1本の割当chストリップ(例えば、503−1)は、CUEスイッチ531、電動フェーダ532、ONスイッチ533、及びSELスイッチ534を備える。他の割当chストリップ503−2〜503−24も同様の構成である。
画面選択スイッチ501のうち何れかをオンすると、そのスイッチに対応する各種パラメータを編集するための編集画面が表示される。(ただし、後述するレイヤスイッチ551〜552、561〜564によってchストリップ503−1〜503−24に割り当てるch群を選択すると、該割り当てられたchについての画面が表示されるが、画面選択スイッチ501は、それ以外の画面切り替え用である。)編集画面には、対応するオンオフパラメータの状態を変更するためのスイッチ、チェックボックス等のオンオフ操作子や、対応するパラメータの値を変更するためのノブ、フェーダ、リストボックス等の値入力操作子などが表示されている。カーソル移動ボタン511〜514を用いて、画面中に表示されるカーソルを所望のオンオフ操作子ないし値入力操作子に移動させ、DECボタン515、INCボタン516、及びホイール518を操作して、その操作子に対応するパラメータの状態ないし値を変更することができる。殆どのパラメータは、変更されたパラメータが直ちに有効になるが、パッチの設定などのパラメータ変更に係る処理が重い一部のパラメータについては、パラメータの変更後にエンターキー517の操作が操作されたときに有効化され、エンターキーが操作されなければその変更はキャンセルされる。また、画面上にはマウスポインタが表示され、タッチパッド519により該マウスポインタを移動することができる。マウスポインタを画面上の任意の値入力操作子に合わせて左ボタンをオンすると、その値入力操作子が選択状態になり、カーソルを合わせるのと同様の効果を果たし、そのままドラッグすると、対応するパラメータの値を増減することができる。また、マウスポインタを画面上の任意のオンオフ操作子に合わせて左ボタンをオンオフすると、対応するパラメータのオンオフ状態を反転することができる。
レイヤスイッチ551〜552、561〜564のうち何れかをオンすると、割当chストリップ503−1〜503−24には、そのスイッチに対応する24chが割り当てられる。具体的に言えば、例えば、後述するスイッチ571〜576で部分ネットワークAが制御対象として選択されている場合、レイヤスイッチ561は図4の第1〜第24入力ch(A1)のレイヤを割り当てるスイッチであり、レイヤスイッチ562、563はそれぞれ第25〜第48入力ch(A3)、第49〜第72入力chのレイヤを割り当てるスイッチである。また、レイヤスイッチ551、552は、それぞれ第1〜第12出力ch(A1)、第25〜第48出力ch(A4)を割り当てるスイッチである。このように、各レイヤのch群は、1つのノードで実現されているchに限定される。ノードA1では出力ch処理が12ch分しか行われていないので、本システムにおいては第13〜第24出力chが未実装状態となる。レイヤスイッチ561をオンすると、第1〜第24入力chは、それぞれ割当chストリップ503−1〜503−24に割り当てられ、その割り当てられたchについてのパラメータ(信号レベルほか)の制御を行う。
541はログイン/ログアウトボタン、542は現在ログインしているユーザ名の表示領域である。当該コンソールから誰もログインしていない状態でログイン/ログアウトボタン541をオンすると、表示部502にログイン画面(図6(c))が表示され、ユーザ名及びパスワードを入力することによりログインすることができる。ログインしたユーザのユーザ名が表示領域542に表示される。何れかのユーザがログインしている状態で、ログイン/ログアウトボタン541をオンすると、ログアウトの確認画面が表示され、その確認画面でユーザがログアウトの許可の意思表示をすると、ログアウトすることができる。
次に、シーンに関連する操作子等543〜547について説明する。シーン(シーンデータ)とは、ミキサの設定状態を規定するパラメータデータ(例えば、入力ラインと入力chとの結線状態、出力chと出力ラインとの結線状態、各chにおけるパラメータ設定状態など)の組合せである。本システムでは、各部分ネットワークの音響システムに属する各ノードごとに、そのノードの動作を制御するパラメータを記憶するカレントメモリが備えられており、また、その部分ネットワークを制御するマスタコンソールには、それらの全ノードのカレントメモリのパラメータを記憶する不揮発性のカレントメモリが備えられている。各部分ネットワークでは、そのマスタコンソールのカレントメモリに、その部分ネットワークに属するノードを登録して管理するようになっている。ユーザ操作に応じてコンソールのカレントメモリ上の何れかのパラメータ値を設定変更したときには、コンソールは、そのパラメータ値の変更を当該音響システムのそのパラメータで制御される全てのノードに通知する。当該ノードは、その通知に応じて、当該ノードのカレントメモリ上の当該パラメータの値を変更し動作する。また、本システムでは、各部分ネットワークの音響システムに属する各ノードごとに、そのノードのカレントメモリのパラメータを複数シーン分記憶できるシーンメモリが備えられており、また、その部分ネットワークを制御するマスタコンソールには、それらの全ノードのシーンメモリのデータを記憶する不揮発性のシーンメモリが備えられている。当該部分ネットワーク上で構築されている音響システムの設定状態を示す各種パラメータデータは、シーン番号を付けて各カレントメモリから対応するシーンメモリに保存(ストア)し、逆にシーン番号を特定して各シーンメモリから対応するカレントメモリへシーンを呼び出す(リコール)ことができる。具体的には、表示部543のシーン番号の表示を見ながら、アップボタン546及びダウンボタン547を用いてシーン番号を選択し、リコールボタン545を押下することによりその番号のシーンをリコールする。また、シーン番号を選択してストアボタン544を押下することにより、現在のパラメータ設定状態を、そのシーン番号のシーンとしてストアする。同様の操作は、画面選択スイッチ501のうちのシーン編集画面スイッチの操作により表示器502に表示されるストア/リコール画面(後述する)のアップボタン、ダウンボタン、リコールボタン、ストアボタンでも行うことができる。
シーン番号表示部543は、現在当該コンソールからシーン制御の対象となっている部分ネットワークを示す情報、及び現在呼び出されているシーンのシーン番号を表示する表示部である。上述したように、本システムでは、例えば部分ネットワークAの音響システムから他の部分ネットワークB,C,Dのノードの各機能を利用できる。その場合、当該音響システムでは、他の部分ネットワークの利用したいノードを、当該システムを構成するノードとしてマスタコンソールに登録することにより、マスタコンソールのカレントメモリ及びシーンメモリに、該ノードのカレントメモリ及びシーンメモリのデータを記憶するエリアが設けられて初期化されるとともに、該ノードのカレントメモリ及びシーンメモリのデータも初期化される。その後は、該ノードのカレントメモリ及びシーンメモリは、当該システムの他のノードのカレントメモリ及びシーンメモリと同様に、マスタコンソールのカレントメモリ及びシーンメモリにおける変化に追従する。すなわち、マスタコンソールのカレントメモリないしシーンメモリのデータに変化があったとき、その変化が該ノードのカレントメモリないしシーンメモリにも反映されるようになる。コンソールでシーンをストアする操作があったときには、マスタコンソールは、自身のカレントメモリのパラメータをシーンメモリの指定されたシーンのエリアにストアするとともに、当該システムの各ノード(他の部分ネットワークのノードを含む)に対しそのストアイベントを送信し、該ストアイベントを受け取った各ノードでは、自身のカレントメモリのパラメータをシーンメモリの指定されたシーンのエリアにストアする。また、リコールする操作があったときは、マスタコンソールは、自身のシーンメモリの指定されたシーンのパラメータをカレントメモリにリコールするとともに、各ノード(他の部分ネットワークのノードを含む)に対しそのリコールイベントを送信し、該リコールイベントを受け取った各ノードでは、自身のシーンメモリの指定されたシーンのパラメータをカレントメモリにリコールする。このように、当該システムでは、マスタコンソールでのシーンのストア/リコールに同期して、当該システムに属する各ノードでシーンのストア/リコールが一括して実行されるようになっている。そのため、シーン番号表示部543では、当該コンソールからシーン制御の対象となっている部分ネットワーク(組合せの場合は複数の部分ネットワークになる)を示す情報とシーン番号とをセットで表示するようにしている。なお、シーンについては、図7の画面でさらに詳しく説明する。
550は当該コンソールから現在制御の対象としている部分ネットワーク及びその部分ネットワークのレイヤの選択スイッチ群である。571〜576は、当該部分ネットワーク及び当該部分ネットワークから接続ネットワークを介して接続された他の部分ネットワークのうちの、このコンソールが制御対象とする部分ネットワークの音響システムを特定するスイッチである。各スイッチのA〜Fは部分ネットワークの記号を示す(図2の構成ではA〜Dのスイッチのみ使用し、E,Fのスイッチは使わない)。ここで、他の部分ネットワークのスイッチをオンすることにより、当該コンソールで他の部分ネットワークの音響システムを制御することもできる。その場合、当該コンソール内には、当該部分ネットワークの音響システムのカレントメモリ及びシーンメモリとは別に、他の部分ネットワークの音響システムのカレントメモリ及びシーンメモリが用意される。561〜564は、部分ネットワーク選択スイッチ571〜576により現在制御対象として選択した部分ネットワークの音響システム内で、どの入力chのレイヤを制御するかを特定する入力chのレイヤスイッチである。また出力側レイヤ選択スイッチ551、552は、現在選択されている部分ネットワークの出力chの制御を行うことを選択するスイッチである。これらのスイッチは、制御対象の部分ネットワークの数や、レイヤの数に応じて、さらに多くの数を設けてもよい。
ただし、当該コンソールからログインしているユーザには権限が予め決められており、その権限の中に、当該ユーザが操作可能な部分ネットワークの権限情報が含まれる。したがって、ログインしているユーザが例えば部分ネットワークA,B,Cには操作可能な権限を持つが、部分ネットワークD,E,Fには権限を持たない場合、部分ネットワーク選択ボタン574〜576は無効なスイッチとされる。さらに、各コンソールのユーザは、当該コンソールの操作子で制御可能な範囲が、どの部分ネットワークであるのかについて、上記ユーザ権限の範囲内で設定できる。その制御範囲の設定については、図10で説明する。上記ユーザ権限により、あるいは上記制御可能な範囲の設定により、操作が不可能な部分ネットワークの選択ボタンは、そのボタン上に設けられたLEDが消灯され操作できないことを示すようにしている。操作できる選択スイッチのLEDは薄く点灯しており、その選択スイッチをオンするとそのLEDが明るく点灯する。
chストリップ部503の操作子などを操作することにより、現在選択されている部分ネットワークの音響システムの所定のchのレイヤのパラメータを、chストリップ503−1〜503−24を用いて設定変更できる。このとき、各種パラメータを記憶するカレントメモリのオリジナルは、当該音響システムのマスタコンソールに置かれているため、何れのコンソールでのパラメータ値の変更操作も当該音響システムのマスタコンソールに通知される。該通知を受けたマスタコンソールは、自身のカレントメモリの当該パラメータ値を設定変更するとともに、そのパラメータ値変更イベントを当該音響システムの対応するノードに送信する。そして、該イベントを受信したノードでも、自身のカレントメモリの当該パラメータ値が設定変更される。また、入力パッチや出力パッチにおける結線、及び入力chからMIXバスへのルーティングの設定で、部分ネットワークないし接続ネットワークを経由する信号の伝送が必要になった場合、マスタコンソールは、マスタノードに依頼して部分ネットワークないし接続ネットワークの伝送chを決定し、決定された伝送chを用いた音響信号の伝送のための各種パラメータを自身のカレントメモリに設定するとともに、その伝送に係る各ノードにそのパラメータ値変更イベントを送信する。該イベントを受信したノードでも、カレントメモリの当該パラメータ値の設定変更が行われることにより、該設定された結線ないしルーティングが実現される。
各音響システムにおいては、マスタコンソールのカレントメモリ及びシーンメモリに記憶されている各種データがマスタデータ(オリジナル)であり、その他の機器のカレントメモリ及びシーンメモリに記憶されている各種データは、そのマスタデータの変更時に同期して変更されるスレーブデータである。先述したように、コンソールのカレントメモリ及びシーンメモリは不揮発であり、システムの電源オン時など、これからマスタコンソールによる当該システム制御が開始されるときは、それに先立って、マスタコンソールのカレントメモリ及びシーンメモリに記憶された各種データがそれぞれ対応するノードに送信され、当該音響システムの各ノードのカレントメモリ及びシーンメモリがマスタコンソールのデータに同期化される。その後、ユーザ操作があったときには、まず、マスタコンソールにおいてマスタデータが変更されるとともに、その変更イベントが当該システムの各ノードに送信され、各ノードではその変更イベントに応じてスレーブデータが変更される。本実施形態でマスタコンソールにマスタデータを配置しているのは、複数機器に分散配置した場合に起こりがちな機器間での制御の競合を防ぐため、及び、マスタコンソールでの操作に応じた制御のレスポンスを上げるためである。
次に、コンソールの障害発生時のフェイルセーフ機能について説明する。図5に示したようなコンソールが何らかの障害を起こした場合、本実施形態のシステムでは、同じ部分ネットワーク内の別のコンソール、あるいは接続ネットワークを介して接続された別の部分ネットワーク上のコンソールで代替することができる。コンソールが代替されるときの手順の概要は以下の通りである。まず予め、マスタコンソールが障害を起こした場合に当該システムのスレーブコンソールがどの順番で代替を行うかを登録しておく。すなわち、マスタコンソールが障害を起こした場合には、まず、1番に登録されているスレーブコンソールがまず代替し、さらにそのスレーブコンソールが障害を起こした場合には、2番目のスレーブコンソールが代替し…というように代替が順番に行われる。システムの動作時には、各スレーブコンソールは、所定の時間間隔で、ネットワークシステム上に当該システムのマスタコンソールが存在するかをチェックし、存在しなくなったとき、当該システムに現存する次の代替コンソールが自身であれば、マスタコンソールに昇格して当該システムのマスタコンソールとしての動作を開始する。次の代替コンソールが他のスレーブコンソールであれば、そのスレーブコンソールに対してマスタコンソールの不在を通知し、該通知を受けたスレーブコンソールがマスタコンソールに昇格する。なお、マスタコンソールが存在しなくなったときでも、当該システムの各ノードのカレントメモリ及びシーンメモリの記憶内容は変化しないので、各機器の動作は現状維持のまま継続される。現状維持のまま代替のコンソールに置き換えるものである。
図6(a)は、入力パッチの設定画面の例である。この画面は、例えば図5のコンソールの部分ネットワークA選択ボタン571をオンし、さらに所定の操作で入力パッチの設定を指示したとき表示されるものである。なお、図4の入力ch407,408の各chをどのノードに割り当てるかについては別途設定画面で設定してあるものとする。図6(a)の入力パッチ設定画面において、611は、第9入力ch〜第12入力chのパッチ設定を行う画面であることを示す表示である。この表示611の右向き三角印や左向き三角印のボタンをオンすることにより、4ch単位で他の入力chに切り替えることができる。612〜615は、第9入力ch〜第12入力chのそれぞれの入力パッチ設定を示す。例えば612は、第9入力chに、部分ネットワークAのノードA3の入力ポート3からの入力信号を結線することを示している。614に示すように、他の部分ネットワークCのノードであっても、当該システムに属するノードであれば、その入力ポートを割り当てることができる。図6(b)は、出力パッチ設定を行う画面602である。
なお、入力パッチや出力パッチの結線に関する設定情報は、マスタコンソール(及びスレーブコンソール)のカレントメモリにのみ記憶される。そして、当該システムの該結線に関わる各ノードのパラメータが該設定情報に基づいて生成され、マスタコンソールのカレントメモリに記憶されるとともに、その各ノードに送信され設定される。例えば、613に示すような1つのノード内の結線であれば、そのノードのパラメータのみが生成され、612に示すような部分ネットワークを介する結線であれば、送り側と受け側のノードのパラメータが生成され、さらに、614に示すような部分ネットワークと接続ネットワークを介する結線であれば、送り側と受け側のノードのパラメータだけでなく、中継するノードのパラメータも生成される。そのパラメータの中には、ノード内の結線を実現するためのパラメータ(信号バス115での伝送に関するパラメータやDSPカードのDSPに供給するマイクロプログラム等)も含まれる。
図6(c)は、コンソールでログイン/ログアウトボタン541をオンしたときに表示されるログイン画面603の例を示す。ユーザ名入力表示領域631、パスワード入力領域632、OKボタン633が設けられている。この画面でユーザ名とパスワードが入力された場合は、当該システムのマスタコンソールに記憶されたユーザアカウント情報に基づいて認証処理が行われる。認証をパスした場合は、該ユーザアカウント情報中の権限情報の示す権限で当該システムを利用できるようになる。
図7は、シーンデータのストア及びリコールを行う画面の例を示す。この実施形態のシステムでは、ユーザの権限に応じて複数の部分ネットワークにまたがるシーンをストアしたりリコールすることができる。
図7(a)は、1つの部分ネットワークAでシーンをストア/リコールする画面の例である。711に現在ストア/リコール対象のシーンメモリが部分ネットワークAに係るデータであることを示す表示がなされている。この表示711はリストボックスとなっており、右側の下向き矢印をクリックすることにより、当該ユーザが当該コンソールから制御可能な範囲と指定している部分ネットワーク及びそれらの組合せの一覧がリスト表示され、その中から選択することができる。例えば、制御可能な範囲が部分ネットワークのA,B,Cであるときは、「A」、「B」、「C」、「A,B」、「A,C」、「B,C」、「A,B,C」の7つの選択肢がリスト表示される。712は、いま選択されている部分ネットワークAのミキサシステムにおける各シーンの一覧である。No.はシーン番号を示す。カーソル移動ボタン714,715を用いてカーソル713を任意のシーン番号に合わせ、ストアボタン716をオンすることにより、その時点で部分ネットワークAの各ノードの機器に設定されているパラメータの値の集合が、カーソル713がセットされているシーン番号のシーンとしてストアされる。Preset*(*は1,2,3,…の数字であり、プリセット番号である)は、シーンとしてストアされるパラメータ値の集合のファイルを示す。Preset*が表示されているか否かに関わらず、何れかのシーン番号にカーソルを合わせてストアボタン716をオンすると、現在のカレントメモリのパラメータ値が直前にリコールされたPreset*から変化していなければ、そのプリセット番号*が当該シーン番号に割り当てられ、変化していれば、新たなプリセット番号*が当該シーンに割り当てられてPreset*のファイルが作成され、カレントメモリのパラメータ値の集合が格納される。ストア操作があったとき、ファイルPreset*は、当該システムのマスタコンソールのシーンメモリに格納されるとともに、当該システムの各ノードにそのストア操作が伝達され、その各ノードでは該ファイルPreset*の対応する一部のパラメータが当該ノードのシーンメモリに格納される。また、シーン番号とPreset*との対応関係も、当該システムのマスタコンソール及び各ノードのシーンメモリに格納される。なお、ここでは部分ネットワークAの音響システムのシーンをストアするので、例えば図6(a)の614のような接続ネットワークを経由する結線の設定があったとしても、図7(a)の画面でのストアでは保存されずに無視される。一覧712の中から任意のシーン番号にカーソル713をセットし、リコールボタン717をオンすると、当該システムのマスタコンソールのカレントメモリに、シーンメモリの該シーンのPreset*のパラメータの集合がリコールされ、さらに、当該システムの各ノードにそのリコール操作が伝達され、その各ノードではカレントメモリに当該ノードのシーンメモリから該シーンのPreset*の対応する一部のパラメータがリコールされる。
図7(b)は、部分ネットワークA及びBを制御可能な範囲とするシーンのストア/リコール画面702の例である。721に現在ストア/リコール対象のシーンメモリが部分ネットワークA及びBに係るデータであることを示す表示がなされている。シーンの一覧722には、部分ネットワークAのPreset*と部分ネットワークBのPreset*の組合せが並べてシーン番号に沿って表示されている。カーソル713を、任意のシーン番号にセットし、ストアボタン716をオンすると、その時点で部分ネットワークAと部分ネットワークBにそれぞれ設定されているパラメータがそれぞれプリセットファイルPreset*として格納される。各部分ネットワーク毎に、現在のカレントメモリのパラメータ値が直前にリコールされたPreset*から変化していなければ、そのプリセット番号*が当該シーン番号に割り当てられ、変化していれば、新たなプリセット番号*が当該シーンに割り当てられてPreset*のファイルが作成され、カレントメモリのパラメータ値の集合が格納される。ストア操作があったとき、各部分ネットワークのPreset*は、当該システムのシーンメモリに格納されるとともに、当該システムの各ノードにそのストア操作が伝達され、そのうちの部分ネットワークAの各ノードでは、それぞれ部分ネットワークAにおけるPreset*の対応する一部のパラメータが格納され、部分ネットワークBの各ノードでは、それぞれ部分ネットワークBにおけるPreset*の対応する一部のパラメータが格納される。各部分ネットワークのPreset*には、その時点で割り当てられている各部分ネットワークないし接続ネットワークの伝送chの情報が含まれる。さらに、シーン番号と部分ネットワークA,Bの各Preset*の対応関係も、当該システムのマスタコンソール及び各ノードのシーンメモリに格納される。また、リコールについては、図11を参照して説明する。
図8は、部分ネットワーク内の他のノードの機能あるいは接続ネットワークを介した他の部分ネットワークのノードの機能を利用する場合に、コンソールからどのような指示を与えるかの手順を示したフローチャートである。この処理は、上述した図4の入力パッチ406で(1−1)〜(1−3)に場合分けして説明した処理を実現するものである。ここでは、図6(a)の入力パッチの設定画面において、新たな結線の設定が行われた場合の処理を説明する。
結線操作イベントを受けて、マスタコンソールは、ステップ801で音響信号の送信側と受信側のノードが同じ部分ネットワーク内にあるか判定し、そうであるときは、ステップ802で送信側と受信側が同じノード内か判定する。同じノード内のとき、例えば図6(a)において613の設定が行われた場合は、ステップ803で、マスタコンソールのカレントメモリに該ノードの結線パラメータを設定し、ステップ804で、該ノードにパラメータの変更イベントを送信する。変更イベントを受信したノードにおいて、当該結線に関するノード内結線のパラメータの変更が行われることにより、1つのノード内の当該結線が実現される。
ステップ802で同じノード内でないとき、例えば図6(a)において612の設定が行われた場合は、ステップ811で、送信側と受信側のノードがある該部分ネットワークのマスタノードと交渉して伝送chの割当てを受ける。またステップ812で、マスタコンソールのカレントメモリに送信側と受信側の各ノードの結線パラメータを設定し、ステップ813で、送信側と受信側の各ノードにそれぞれパラメータの変更イベントを送信する。変更イベントを受信した送信側ノードでは、当該結線に関するノード内結線のパラメータと、部分ネットワーク結線の送信側パラメータとが変更され、また、変更イベントを受信した受信側のノードでは、当該結線に関する部分ネットワーク結線の受信側パラメータと、ノード内結線パラメータとが変更されることにより、1つの部分ネットワークを介した当該結線が実現される。
ステップ801で同じ部分ネットワーク内でないとき、例えば図6(a)において614の設定が行われた場合は、ステップ821で、送信側ノードがある部分ネットワークのマスタノードと交渉して伝送chの割当てを受け、ステップ822で、接続ネットワークのマスタである接続マスタと交渉して伝送chの割当てを受け、ステップ823で、受信側ノードがある部分ネットワークのマスタノードと交渉して伝送chの割当てを受ける。またステップ824で、マスタコンソールのカレントメモリに、送信側、受信側、及び中継の各ノードの結線パラメータを設定し、ステップ825で、送信側、受信側、及び中継の各ノードにそれぞれパラメータの変更イベントを送信する。変更イベントを受信した送信側ノードでは、当該結線に関するノード内結線のパラメータと、送信側部分ネットワーク結線の送信側パラメータとが変更され、変更イベントを受信した受信側のノードでは、当該結線に関する受信側部分ネットワーク結線の受信側パラメータと、ノード内結線パラメータとが変更され、さらに、変更イベントを受信した各中継ノードで、対応する部分ネットワークと接続ネットワーク間での中継用パラメータが設定されることにより、2つの部分ネットワークにまたがる当該結線が実現される。
図9(a)は、各スレーブコンソールにおいて所定時間間隔で繰り返し行われるコンソールチェックのための定時処理を示す。ステップ901で、当該システムのマスタコンソールをチェックする。ステップ902で、正常に動作していればそのまま処理を終了する。正常でないときは、ステップ903で、自スレーブコンソールが、システムに現存しているコンソールのうち代替する順番が最高位のものであるかを判定する。そうであるときは、ステップ904で自スレーブコンソールをマスタコンソールに昇格させる処理を行い、ステップ905でマスタコンソールの動作を開始する。ステップ903で最高位でないときは、ステップ906で、最高位のスレーブコンソールにマスタコンソールの不在を通知する。その通知を受けたスレーブコンソールは、上記ステップ904,905と同様の処理により、マスタコンソールとして動作を開始する。なお、マスタコンソール自身が自分の異常を検出して、他のスレーブコンソールにマスタになるように指示してもよい。
図9(b)は、ユーザが何れかのコンソールにおいて明示的にマスタコンソールの切替え操作を行った場合の処理手順を示す。マスタコンソールの切替えは、音響システムのどのコンソールからでも行える。ステップ911で、当該システムの全コンソールを検出する。ステップ912では、自コンソール以外のコンソールがあるか判定する。なければ(システムには、マスタである自コンソール以外のコンソールがないということ)、処理を終了する。あれば、ステップ913で、検出されたコンソールの一覧を表示し、ステップ914で、ユーザの選択操作に従ってマスタコンソールを切替える。
図10(a)は、マスタコンソールにおいて当該音響システムに各機器を登録する指示操作が行われた場合の処理手順を示す。図10(b)は、その登録画面を示す。マスタコンソールにおいて所定の指示操作が行われたとき、図10(b)の登録画面が表示される。登録画面1010には、当該コンソールで制御可能な部分ネットワーク(ログインユーザの権限に応じて制御可能な範囲が決定される)の一覧が1011〜1013に示すように表示される。また各部分ネットワークごとに、その部分ネットワークに接続されているノードとコンソールの一覧がチェックボックス付きで表示されている。このチェックボックスにチェックしてOKボタン1020をオンすると、図10(a)の処理が実行され、チェックされた部分ネットワークのノードとコンソールが制御可能な範囲として登録される。なお、他の音響システムで既に登録済みのノードについては、図10(b)の登録画面のそのノードの表示をグレーアウトして登録できないようにしてもよい。
図10(a)の処理では、まずステップ1001で、当該音響システムの制御可能な範囲を示す制御範囲データを、図10(b)の登録画面の設定に基づいて、更新する。ステップ1002で制御範囲が減ったときは、ステップ1003で、マスタコンソールのカレントメモリの該ノードまたはコンソール(登録画面でチェックが外されたもの)のデータ領域を開放する。ステップ1004で制御範囲が増えたときは、ステップ1005で、マスタコンソールのカレントメモリに該ノードまたはコンソール(登録画面でチェックが付けられたもの)のデータ領域を作成する。ステップ1006では、登録画面の設定に基づき当該音響システムの機能を増減する。
図11は、シーンのリコールが指示されたときのマスタコンソールの処理を示す。ここでは、リコールを指示されたシーンが接続伝送chの割当を要するものである場合について説明する。また、部分ネットワークAのPresetと部分ネットワークBのPresetの組合せのシーンがリコールされたものとする。図7(b)で説明したように、各部分ネットワークのPresetには、その部分ネットワーク及び接続ネットワークで使用していた伝送chの情報が含まれている。
まずステップ1101で、リコールを指示されたシーンの部分ネットワークAのPresetをカレントメモリにリコールする。ステップ1102で、リコールを指示されたシーンの部分ネットワークBのPresetをカレントメモリにリコールする。ステップ1103では、各部分ネットワークA,BにおいてそれぞれのPresetで指定されている部分ネットワーク及び接続ネットワークの伝送chは、現在未使用であるかを判定する。未使用であれば、ステップ1104で、各部分ネットワークA,Bと接続ネットワークにおいてそれぞれその伝送chを確保し、ステップ1105で、当該システムの各ノードにリコールイベントを送信する。ステップ1103で前記伝送chが現在使用中であれば、ステップ1106で、各部分ネットワーク及び接続ネットワークのマスタノードと交渉して伝送chの割当てを受ける。次にステップ1107で、カレントメモリの伝送chに関するパラメータを前記割当てに基づいて変更し、ステップ1108で、当該システムの各ノードにリコールイベントとパラメータ変更イベントを送信する。なお、ステップ1103〜1108では、各部分ネットワーク及び接続ネットワークをまとめて処理するように図示したが、実際には各ネットワーク毎にステップ1103〜1108を行う。例えば、部分ネットワークAの伝送chは未使用だが、部分ネットワークBの伝送chは使用中の場合、部分ネットワークAについてはステップ1104,1105が実行され、部分ネットワークBについてはステップ1106〜1108が実行される。このようにして、そのシーンの保存時に使用していた伝送chが未使用であれば、そのシーンをそのままリコールし、その伝送chが使用中であれば、新たな伝送chを割り当て、使用する伝送chをその割り当てた伝送chに変更しつつシーンのリコールを行うようにしたので、伝送chの空き状況に関わらず、伝送chの割当を必要とするシーンのリコールを実現することができる。また、シーン保存時に使用していた伝送chが空いていれば、そのシーンのパラメータをそのままリコールするだけでよいので、より高速なリコールが可能である。
なお、図1の105に「・・・」で示されているとおり、各ノードが備えるスロットの数はノード毎に異なっていても良い。また、各ノードは、スロットに装着されるカードが実現するのと同じ機能(Ain、Aout、DSPなど)を固定的に備えていてもよい。その場合、その機能としては、図1の一部のスロットにその機能のカードが固定的に装着されているのと等価であるが、構成としては、その機能はエンジン100の基板上に実装され、その機能のカードはスロットに装着されない。また、コンソールの表示器に、各部分ネットワークや接続ネットワークの伝送帯域の利用状況(何%使用しているか)を表示するようにしてもよい。
100…ノード、101…中央処理装置(CPU)、102…フラッシュメモリ、103…ランダムアクセスメモリ(RAM)、104…コミュニケーション入出力インターフェース(COM I/O)、105…カード入出力インターフェース(I/O)ユニット、106…信号処理装置(DSP)、107…部分ネットワーク用インターフェース(Net I/O)、109…バスライン、108…接続ネットワーク用インターフェース(Net I/O)。