JP5589727B2 - ネットワークシステム - Google Patents

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Description

この発明は、複数のノード間で音響信号の伝送を行うためのネットワークシステムに関する。
近年、複数のデバイスの間で音響信号をリアルタイム伝送できるようにしたネットワークシステムとして、例えば特許文献1及び特許文献2に記載のものが提案されている。
この特許文献1及び2に記載のネットワークシステムにおいては、システムを構成する各機器により形成されるリング状の伝送路にフレームを定期的に循環させ、各機器がそのフレームに対して必要な情報を読み書きすることにより、システムを構成する任意の機器から任意の機器へ、音響信号だけでなくイーサネット(登録商標)フレーム等の制御信号も、安定して伝送することができる。各機器をループ型に接続した上で適当なモードで動作させることにより、ネットワークのうちどこか一カ所で通信障害を生じても、障害発生前と実質同様に音響信号や制御信号の伝送を続けることができ、この点でも安定した情報伝送が可能である。
また、これらとは別に、特許文献3に記載のようなネットワークシステムも提案されている。
この特許文献3に記載のネットワークシステムは、複数の部分ネットワークを、接続ネットワークを介して接続して、ある部分ネットワークに属する機器から他の部分ネットワークに属する機器への信号のルーティングを可能としたものである。そしてこのルーティングにより、ある部分ネットワークに属する機器が、他の部分ネットワークに属する機器の機能を利用可能であり、1つの部分ネットワークに接続可能な機器の数がネットワークの規格から決まる音響信号の最大伝送ch数により制約される場合でも、各機器が、最大伝送ch数の制約を超えた数の機器の機能を利用することができる。
特開2009−94589号公報 特開2007−259347号公報 特開2007−258966号公報
ところで、上述した特許文献1及び2に記載のネットワークシステムにおいては、各機器で信号伝送用のフレームに対してデータの読み書きを行いつつ、所定の周期内にフレームに伝送路を1周させることが必要であった。
従って、システムに組み込むことのできる機器の数や、伝送路の物理的な長さ(主に機器間を接続するケーブルの長さに依存する)に制約があるという問題があった。
しかし一方で、上述した特許文献1及び2に記載のネットワークシステムを複数接続し、異なるシステムに属する(異なる伝送路を形成する)機器間で音響信号の授受ができるようにしようとする場合、各システムに属する多数の機器の間に適切な信号伝送経路を定めるために、複雑な設定が必要になってしまうという問題があった。また、各機器が行う動作も複雑なものになってしまうという問題があった。
特許文献3に記載のネットワークシステムにおいては、パッチの設定に応じてネットワークのノードが自動的に必要な信号伝送chを確保してパッチに従った信号伝送経路を形成することができるが、各機器における制御のシンプルさは十分とは言えなかった。
この発明は、以上のような背景でなされたものであり、リング状の伝送路にフレームを定期的に循環させて音響信号の伝送を行うネットワークを複数接続する場合において、ネットワークを跨いだ音響信号伝送を、シンプルな操作かつ制御で実現できるようにすることを目的とする。
上記の目的を達成するため、この発明のネットワークシステムは、それぞれカスケード接続又はループ接続された複数のノードからなり、その複数のノード間で複数の音響信号を伝送する部分ネットワークを形成する第1部分ネットワークシステムと第2部分ネットワークシステムとを備え、上記第1部分ネットワークシステムが備える第1接続ノードと、上記第2部分ネットワークシステムが備える第2接続ノードとが互いに接続されて、その第1接続ノードとその第2接続ノードとの間で複数の伝送チャンネルを用いて複数の音響信号を伝送する接続ネットワークを形成するネットワークシステムにおいて、さらに、上記第1部分ネットワークシステムにおける音響信号の伝送を制御する第1制御装置と、上記第2部分ネットワークシステムにおける音響信号の伝送を制御する第2制御装置とを設け、以下の(a)乃至(d)の処理を行うことにより、上記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークにおいて伝送される音響信号を上記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークに転送する動作を開始するようにしたものである。
(a)上記第1制御装置が、上記第1接続ノードが上記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークから受信可能な音響信号のうち1以上の音響信号を選択し、上記第1接続ノードに対し、その選択した音響信号の各々を特定する信号名を設定する、
(b)上記(a)において上記第1接続ノードに設定された信号名に基づき、上記第1接続ノードが、上記接続ネットワークにおける上記複数の伝送チャンネルのうち1以上の伝送チャンネルを確保し、その確保した伝送チャンネルを用いて上記設定された信号名により特定される音響信号を上記接続ネットワークへ送信し、上記第2接続ノード及び上記第2制御装置に対し、上記確保した伝送チャンネルの各々と関連付けられるべき信号名を通知する、
(c)上記第2制御装置が、上記(b)において上記第1接続ノードから通知された信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、上記第2接続ノードに対し、その選択した音響信号を特定する信号名を設定する、
(d)上記(c)において上記第2接続ノードに設定された信号名に基づき、上記第2接続ノードが、上記接続ネットワークのその設定された信号名と関連付けられた伝送チャンネルの音響信号を受信して、その受信した音響信号を上記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークへ送信する。
このようなネットワークシステムにおいて、上記第1部分ネットワークシステム及び上記第2部分ネットワークシステムがそれぞれネットワークIDを有し、上記(b)の処理において、上記第1接続ノードが、上記第2接続ノードに対し、上記確保した伝送チャンネルの各々と関連付けられるべき信号名に加えて上記第1部分ネットワークシステムのネットワークIDを通知し、上記(c)の処理において、上記第2制御装置が、上記(b)において上記第1接続ノードから上記第2接続ノードに通知されたネットワークID及び信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、上記第2接続ノードに対し、その選択した音響信号を特定するネットワークID及び信号名を設定し、上記(d)の処理において、上記(c)において上記第2接続ノードに設定されたネットワークID及び信号名に基づき、上記第2接続ノードが、上記接続ネットワークのその設定されたネットワークID及び信号名と関連付けられた伝送チャンネルの音響信号を受信するようにするとよい。
さらに、上記接続ネットワークにおいて、上記第1接続ノードと上記第2接続ノードを通るリング状の伝送路が形成され、上記複数の伝送チャンネルを有するフレームが上記リング状の伝送路に沿って周期的に循環し、上記第1接続ノード及び第2接続ノードの一方が上記フレームの上記伝送チャンネルに音響信号を書き込むことにより音響信号の送信を行い、上記第1接続ノード及び第2接続ノードの他方がそのフレームのその伝送チャンネルから音響信号を読み出すことにより音響信号の受信を行うようにするとよい。
また、この発明の別のネットワークシステムは、それぞれカスケード接続又はループ接続された複数のノードからなり、その複数のノード間で複数の伝送チャンネルを用いて複数の音響信号を伝送する部分ネットワークを形成する第1部分ネットワークシステムと第2部分ネットワークシステムとを備え、上記第1部分ネットワークシステムが備える第1接続ノードと、上記第2部分ネットワークシステムが備える第2接続ノードとが互いに接続されて、その第1接続ノードとその第2接続ノードとの間で複数の伝送チャンネルを用いて複数の音響信号を伝送する接続ネットワークを形成するネットワークシステムにおいて、さらに、上記第1部分ネットワークシステムにおける音響信号の伝送を制御する第1制御装置と、上記第2部分ネットワークシステムにおける音響信号の伝送を制御する第2制御装置とを設け、上記第1部分ネットワークシステムの各ノードが上記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークの1以上の伝送チャンネルを確保し、その確保した伝送チャンネルを用いて1以上の音響信号を上記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークへ送信し、上記第1部分ネットワークシステムを構成する各ノード及び上記第1制御装置に対し、上記確保した伝送チャンネルの各々と関連付けられるべき信号名を通知し、以下の(a)乃至(f)の処理を行うことにより、上記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークにおいて伝送される音響信号を上記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークに転送する動作を開始することを特徴とするネットワークシステムである。
(a)上記第1制御装置が、上記第1部分ネットワークシステムを構成するノードから通知された信号名により特定される音響信号の中から1以上の音響信号を選択し、上記第1接続ノードに対し、その選択した音響信号の各々を特定する信号名を設定する、
(b)上記第1接続ノードが、上記(a)による信号名の設定に基づき、その設定された信号名に関連付けられた伝送チャンネルで伝送される音響信号を上記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークから受信する、
(c)上記第1接続ノードが、上記接続ネットワークの1以上の伝送チャンネルを確保し、上記(b)において受信した音響信号を、その確保した伝送チャンネルを用いて上記接続ネットワークに送信し、上記第2接続ノード及び上記第2制御装置に対し、上記確保した伝送チャンネルの各々と関連付けられるべき、上記(a)で上記第1接続ノードに設定された信号名を通知する、
(d)上記第2制御装置が、上記(c)において上記第1接続ノードから通知された信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、上記第2接続ノードに対し、その選択した音響信号を特定する信号名を設定する、
(e)上記(d)において上記第2接続ノードに設定された信号名に基づき、上記第2接続ノードが、上記接続ネットワークのその設定された信号名と関連付けられた伝送チャンネルの音響信号を受信し、
(f)上記第2接続ノードが、上記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークの伝送チャンネルを確保し、その確保した伝送チャンネルを用いて、上記(e)において受信した音響信号を、上記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークへ送信し、上記第2部分ネットワークシステムを構成する各ノード及び上記第2制御装置に対し、上記確保した伝送チャンネルと関連付けられるべき、上記(d)で上記第2接続ノードに設定された信号名を通知する。
このようなネットワークシステムにおいて、上記第1部分ネットワークシステム及び上記第2部分ネットワークシステムはそれぞれネットワークIDを設け、上記(c)の処理において、上記第1接続ノードが、上記第2接続ノード及び上記第2制御装置に対し、上記確保した伝送チャンネルの各々と関連付けられるべき信号名に加えて上記第1部分ネットワークシステムのネットワークIDを通知し、上記(d)の処理において、上記第2制御装置が、上記(c)において上記第1接続ノードから通知されたネットワークID及び信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、上記第2接続ノードに対し、その選択した音響信号を特定するネットワークID及び信号名を設定し、上記(e)の処理において、上記(d)において上記第2接続ノードに設定されたネットワークID及び信号名に基づき、上記第2接続ノードが、上記接続ネットワークのその設定されたネットワークID及び信号名と関連付けられた伝送チャンネルの音響信号を受信するようにするとよい。
さらに、上記第1部分ネットワークシステム及び第2部分ネットワークシステムの各々において、その部分ネットワークシステムを構成する上記複数のノードの全てを通るリング状の伝送路が形成され、複数の伝送チャンネルを有するフレームが上記リング状の伝送路に沿って周期的に循環し、上記部分ネットワークは、一のノードが上記循環するフレームの伝送チャンネルに音響信号を書き込み、他のノードがその循環するフレームのその伝送チャンネルから音響信号を読み出すことにより、上記一のノードから上記他のノードへ音響信号を転送するようにするとよい。
また、上記の各ネットワークシステムにおいて、以下の(g)及び(h)の処理を行うことにより、上記第2部分ネットワークシステムを構成する一のノードが上記部分ネットワークから音響信号を受信する動作を開始するようにするとよい。
(g)上記第2制御装置が、上記第2部分ネットワークシステムを構成するノードから通知された信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、上記一のノードに対し、その選択した音響信号を特定する信号名を設定する、
(h)上記(g)において上記一のノードに設定された信号名に基づき、上記一のノードが、上記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークから、上記設定された信号名と関連付けられた伝送チャンネルの音響信号を受信する。
あるいは、以下の(g)及び(h)の処理を行うことにより、上記第1部分ネットワークシステムを構成する一のノードが上記部分ネットワークから音響信号を受信する動作を開始するようにするとよい。
(g)上記第1制御装置が、上記第1部分ネットワークシステムを構成するノードから通知された信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、上記一のノードに対し、その選択した音響信号を特定する信号名を設定する、
(h)上記(g)において上記一のノードに設定された信号名に基づき、上記一のノードが、上記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークから、上記設定された信号名と関連付けられた伝送チャンネルの音響信号を受信する。
あるいは、以下の(i)乃至(k)の処理を行うことにより、上記第1部分ネットワークシステムを構成する一のノードが部分ネットワークへ音響信号を送信する動作を開始するようにするとよい。
(i)上記第1制御装置が、上記一のノードに入力されるか又は上記一のノードで処理される各音響信号に信号名を付け、その信号名を上記一のノードに通知する、
(j)上記第1制御装置が、上記一のノードに入力されるか又は上記一のノードで処理される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、上記一のノードに対し、その選択した音響信号を送信するよう命令する、
(k)上記(j)の命令に基づき、上記一のノードが上記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークの伝送チャンネルを確保し、その確保した伝送チャンネルを用いて、上記(j)で選択された音響信号を上記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークへ送信し、上記第1部分ネットワークシステムを構成する各ノード及び上記第1制御装置に対し、上記確保した伝送チャンネルと関連付けられるべき、その選択された音響信号の信号名を通知する。
あるいはまた、以下の(i)乃至(k)の処理を行うことにより、上記第2部分ネットワークシステムを構成する一のノードが部分ネットワークへ音響信号を送信する動作を開始するようにするとよい。
(i)上記第2制御装置が、上記一のノードに入力されるか又は上記一のノードで処理される各音響信号に信号名を付け、その信号名を上記一のノードに通知する、
(j)上記第2制御装置が、上記一のノードに入力されるか又は上記一のノードで処理される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、上記一のノードに対し、その選択した音響信号を送信するよう命令する、
(k)上記(j)の命令に基づき、上記一のノードが上記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークの伝送チャンネルを確保し、その確保した伝送チャンネルを用いて、上記(j)で選択された音響信号を上記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークへ送信し、上記第2部分ネットワークシステムを構成する各ノード及び上記第2制御装置に対し、上記確保した伝送チャンネルと関連付けられるべき、その選択された音響信号の信号名を通知する。
以上のようなこの発明のネットワークシステムによれば、リング状の伝送路にフレームを定期的に循環させて音響信号の伝送を行うネットワークを複数接続する場合において、ネットワークを跨いだ音響信号伝送を、シンプルな操作かつ制御で実現できるようにすることをができる。
この発明のネットワークシステムの実施形態であるオーディオネットワークシステムの概略構成を示す図である。 図1に示したオーディオネットワークシステムにおける部分ネットワーク(及び接続ネットワーク)の概略構成を示す図である。 図2に示したネットワークの伝送路で伝送されるTLフレームの構成例を示す図である。 図3に示したTLフレームのうち波形データ領域の構成をより詳細に示す図である。 TLフレームの伝送タイミングを示す図である。
部分ネットワーク上での音響信号の伝送時における、TLフレームの伝送状況について説明するための図である。 図1に示したオーディオネットワークシステムを構成する各ノードとなる音響信号処理装置のハードウェア構成を示す図である。 図7に示したネットワークI/FカードにおけるTLフレームの伝送に関する機能をより詳細に示す図である。 各部分ネットワーク及び接続ネットワークにおいてノードをループ接続した場合に図1に示したオーディオネットワークシステムにおいて各ノード間に形成されるTLフレームの伝送路を示す図である。 同じく一部の部分ネットワークをカスケード接続した場合の伝送路を示す図である。
オーディオネットワークシステム及びTLフレームの伝送路を形成する際の、ユーザによる作業及びそれに応じた各機器の動作手順を示す図である。 その続きを示す図である。 そのさらに続きを示す図である。 オーディオネットワークシステムを構成する各機器が行うTLフレームに対する波形データの読み書きの内容を模式的に示す図である。 オーディオネットワークシステムを構成する各機器の動作により実現される機能を、第1部分ネットワークシステムの機器に注目して示す機能ブロック図である。
同じく第2部分ネットワークシステムの機器に注目して示す図である。 オーディオネットワークシステムを構成する各機器に記憶させる信号名設定テーブルの例を示す図である。 同じくルーティングテーブルの例を示す図である。 オーディオネットワークシステムSを構成する各機器が個別パッチ設定画面において供給元の設定指示を検出した場合に実行する処理のフローチャートである。 同じく個別パッチ設定画面において供給先の設定指示を検出した場合の処理のフローチャートである。
同じくルーティングテーブルの内容を機器の動作に反映させる処理のフローチャートである。 オーディオネットワークシステムを構成する各機器に記憶させるchテーブルの例を示す図である。 制御装置がリモート制御操作を検出した場合に実行する処理のフローチャートである。 制御操作通知を受信した機器が実行する処理のフローチャートである。
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
1. この発明の実施形態のオーディオネットワークシステムの概要
1.1 全体構成
まず図1に、この発明のネットワークシステムの実施形態であるオーディオネットワークシステムの概略構成を示す。
この図に示すように、オーディオネットワークシステムSは、第1部分ネットワークシステムSaと第2部分ネットワークシステムSbとを、接続ネットワークScにより接続した構成となっている。
そして、第1部分ネットワークシステムSaは、コンソールCa1、ミキサエンジンEa1、および入出力装置IOa1を、通信ケーブルCBによりループ状に接続して構成している。また、ループ状の接続に用いる通信ケーブルのうち任意の1カ所を省略して、端部を有するカスケード状に機器を接続してもよい。他の部分ネットワークシステムや接続ネットワークについても同様である。
第2部分ネットワークシステムSbは、コンソールCb1、入出力装置IOb1、ミキサエンジンEb1、入出力装置IOb3、および入出力装置IOb2を、通信ケーブルCBによりループ状に接続して構成している。
また、これらの各部分ネットワークシステムを構成する機器のうち、入出力装置IOa1と入出力装置IOb3は、部分ネットワークシステムSa又はSbに接続するためのネットワークI/F(インタフェース)と、接続ネットワークに接続するためのネットワークI/Fとを別々に持っている。
そして、各部分ネットワークシステムにおいて、その部分ネットワークシステムに属するノードとして、その部分ネットワークシステムに属する他のノードとの間でデータの送受信を行うと共に、一方の部分ネットワークシステムに入力したデータを接続ネットワークに伝達したり、接続ネットワークを介して伝達されてきた他の部分ネットワークシステムのデータを、自身の属する部分ネットワークシステムに伝達したりすることができる。そしてこのことにより、部分ネットワークシステムと接続ネットワークとを接続する接続ノードとして機能することができる。
すなわち、第1部分ネットワークシステムSaにおける接続ノードである入出力装置IOa1と、第2部分ネットワークシステムSbにおける接続ノードである入出力装置IOb3とが互いに接続されて、第1部分ネットワークシステムSaと第2部分ネットワークシステムSbとを接続する接続ネットワークScが形成される。
また、各入出力装置IOa1,IOb1〜IOb3は、オーディオネットワークシステムSに対して外部から音響信号を入力する入力手段及び/又は外部へ音響信号を出力する出力手段を有する装置である。アナログ入出力を行う場合には、A/D変換器及びD/A変換器を備え、オーディオネットワークシステムSで扱うデジタル音響信号と、端子から入出力するアナログ音響信号との間の変換を行う。装置毎に入力チャンネル(入力ポート)及び出力チャンネル(出力ポート)の数やその他の機能が異なっていても構わない。
コンソールCa1,Cb1は、オーディオネットワークシステムSを構成する各機器に対する操作を受け付けるための機器であり、多数の操作子や表示器を備えた操作パネルを有する。
ミキサエンジンEa1,Eb1は、各入出力装置から入力され、オーディオネットワークシステムS内を伝送される複数ch(チャンネル)の音響信号に対し、ミキシング、イコライジング、エフェクト付与等の種々の信号処理を施す機器である。また、その信号処理の結果は、オーディオネットワークシステムSを介して各入出力装置に伝送し該入出力装置から外部へ出力させることができる。
1.2 部分ネットワークシステムの構成
次に、図2に、部分ネットワークを形成する部分ネットワークシステムの概略構成を示す。なお、接続ネットワークについても、構成及びフレーム伝送の方式は同様である。
図2(a),(b)に示すように、この部分ネットワークシステム1は、それぞれ単方向の通信を行う受信手段である受信インタフェース(I/F)と送信手段である送信I/Fの組を2組備えたノードを、通信ケーブルCBで順次接続することにより構成したものである。これらの各ノードが、図1におけるコンソールCa1,Cb1、入出力装置IOa1,IOb1〜IOb3及びミキサエンジンEa1,Eb1に当たる。ここではA〜Cの3つのノードにより構成した例を示しているが、ノードの数は2以上の任意でよい。
ノードAにおいては、受信I/F_AR1と送信I/F_AT1が一組のI/Fで、受信I/F_AR2と送信I/F_AT2がもう一組のI/Fである。ノードB及びCについても、符号の先頭の文字「A」を「B」あるいは「C」に置き換えたI/Fが、同様な関係に当たる。
そして、ノード間の接続は、1組の受信I/F及び送信I/Fを、別のノードの1組の送信I/F及び受信I/Fとそれぞれ通信ケーブルCBで接続することにより行っている。例えば、ノードAとノードBとの間では、受信I/F_AR2と送信I/F_BT1とを接続すると共に、送信I/F_AT2と受信I/F_BR1とを接続している。また、ノードBとノードCとの間では、ノードBのもう1組のI/Fと、ノードCの1組のI/Fとを接続している。
ここで、(a)に示すように、各ノードを、端部を有する1本のラインのように接続した状態を、「カスケード接続」と呼ぶことにする。そしてこの場合、各ノード間を結ぶ通信ケーブルCBにより、破線で示すように1つのリング状のデータ伝送路を形成することができる。このことにより、その接続された複数のノードが、複数の音響信号を伝送する部分ネットワークを形成することができる。そして各ノードは、この伝送路にフレームを一定周期で循環させるように伝送し、そのフレームに対して必要な情報を読み書きすることにより、伝送路上の任意のノードとの間でデータの送受信を行うことができる。
そして、部分ネットワークシステム1内において、1つのノードがマスタノード(このような部分ネットワーク単位のマスタは、「部分マスタ」と呼ぶことにする)となり、音響信号を伝送するためのフレームを生成し、定期的に伝送路を循環させたり、部分ネットワーク(あるいは接続ネットワーク)の管理を行ったりする。この部分マスタが生成するフレームを、「TLフレーム」と呼ぶことにする。
従って、複数のノードの間で、TLフレームに書き込まれた音響信号を伝送する部分ネットワークを、部分ネットワークシステム内に形成することができる。以後、第1部分ネットワークシステムSaに形成される部分ネットワークを「第1部分ネットワーク」と、第2部分ネットワークシステムSbに形成される部分ネットワークを「第2部分ネットワーク」と呼ぶことにする。
また、(a)に示したカスケード接続に加え、両端のノードで使用していないI/F同士も通信ケーブルCBで接続すると、(b)に示すように、リング状のデータ伝送路を2つ形成することができる。そして、各ノードは、これらの経路でそれぞれフレームを伝送し、その各フレームに対して必要な情報を読み書きすることにより、経路上の任意のノードとの間でデータの送受信を行うことができる。このようなノード間の接続状態を、「ループ接続」と呼ぶことにする。
このループ接続の状態で、一方の伝送路を循環させるTLフレームのみで伝送可能な情報量の通信を行っている場合、1カ所で断線が発生したとしても、その断線箇所の両側でTLフレームの伝送を折り返すことにより、断線箇所の両側をカスケード接続の両端と見て、速やかに(a)に示したようなカスケード接続のシステムに組み換え、0〜2フレーム程度の損失でTLフレームの伝送を継続することができる(特開2007−259347号公報参照)。
なお、図2ではケーブルを2本示しているが、1組の受信I/Fと送信I/Fとを近接してあるいは一体として設ければ、2本を束ねて1本にしたケーブルにより、1組のI/F同士の接続を行うことも可能である。
また、図1における入出力装置IOa1,IOb3のように、2つ以上のネットワーク(部分ネットワークシステム及び接続ネットワーク)に接続する装置は、接続するネットワーク1つにつき、そのネットワークで用いる2組の送受信I/Fを有する。従って、入出力装置IOa1及びIOb3は、それぞれ4組の送受信I/Fを有する。
また、各ノードには、必要なI/Fを設ければ、外部機器を接続し、その外部機器から受信したデータをTLフレームに書き込んで他のノードに送信したり、TLフレームから読み出したデータをその外部機器に送信したりすることもできる。
このような外部機器としては、例えば外付けのコンソールが考えられる。そして、コンソールがユーザから受け付けた操作に応じたコマンドを接続先のノードに送信し、そのノードがこれをTLフレームに書き込んで他のノードに送信したり、他のノードがTLフレームに書き込んで送信してきた応答やレベルデータ等を接続先のノードが読み出してコンソールに送信し、コンソールにおける操作子状態の表示やレベル表示に使用するといった動作を行わせることが考えられる。
1.3 TLフレームの構成
次に、図3に、上述した部分ネットワーク及び接続ネットワークの伝送路で伝送されるTLフレームの構成例を示す。図4に、そのうち波形データ領域の構成をより詳細に示す。なお、これらの図に示した各領域の幅は必ずしもデータ量と対応しない。
図3に示すように、このTLフレーム100は、先頭から順に、プリアンブル101,管理データ102,波形データ(オーディオデータ)領域103,制御データ領域104,FCS(Frame Check Sequence)105の各領域からなる。各領域のサイズは、その領域に記載するデータ量に関わらずそれぞれ固定である。
そして、プリアンブル101には、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.3で規定されるプリアンブルとSFD(Start Frame Delimiter)とを記載する。
管理データ102には、部分ネットワークシステム1内の各ノードがTLフレームに含まれるデータの管理に利用するデータとして、部分ネットワークシステム内のどの伝送路を循環させるフレームかを示すリングID、フレーム通し番号であるフレームID、波形データ領域103中の波形データのch数等を記載する。
また、波形データ領域103は、音響信号のデータを記載する領域であり、例えば1サンプル16ビットの波形データを400ch分記載できる。この場合、部分ネットワークでは、1つのTLフレーム100を循環させることにより、400ch分の音響信号を伝送することができる。なお、400ch中の伝送に使われていないch(空きch)の領域については、そこに何が記載されているか気にしなくて良い。
なお、各部分ネットワークにおいて伝送可能な波形データの量は、部分マスタが各サンプリング周期毎に送信するTLフレームのサイズによって決まる。部分ネットワークの伝送レートが高ければ、TLフレームをより大きなサイズのフレームすることができ、その中の波形データ領域のサイズも大きくすることができる。そして、伝送可能な波形データのチャンネル数は、波形データ記憶領域のサイズを、1ch当たりの波形データの伝送に必要とされるサイズで割った商として求めることができる。
例えば、1〜16ビットの波形データを400ch伝送する場合には波形データ領域のサイズは800バイトでよいが、17〜32ビットの波形データを同じ400ch伝送する場合には波形データ領域のサイズが1600バイト必要となる。また、16ビットの波形データを300ch伝送するのみでよい場合には、600バイトの波形データ領域を用意すればよい。
このように波形データ領域103に用意する波形データ伝送用のchを、以後、「信号伝送ch」と呼ぶことにする。
オーディオネットワークシステムSにおいては、各部分ネットワーク及び接続ネットワークにおいて、そのネットワークの部分マスタが、そのネットワークに属する各ノードからの要求に従って、各ノードに図4に示すように波形データ領域103の信号伝送chを割り当て、各ノードは、自身に割り当てられた信号伝送chの位置に出力波形データの書き込みを行う。
また、オーディオネットワークシステムSにおいては、信号伝送chの割り当ては各部分ネットワーク及び接続ネットワークについて個別かつ独立に行うことができる。複数のネットワークに属するノードについても、ネットワーク毎に、そのネットワークで使用させる信号伝送chの割り当てを行う。
図4の例で言えば、入出力装置IOa1に対しては、第1部分ネットワークと接続ネットワークの双方で信号伝送chの割り当てを行い、入出力装置IOb3に対しては、第2部分ネットワークと接続ネットワークの双方で信号伝送chの割り当てを行う。
従って、各ネットワークにおいて、割り当て可能なch数が異なっていてもよい。ただし、1サンプル当たりの波形データサイズは、全てのネットワークで共通であることが好ましい。
図3の説明に戻ると、制御データ領域104には、イーサネットフレーム領域106、ITLフレーム領域107、および管理データ領域108を設けている。
このうちイーサネットフレーム領域106には、IP(Internet Protocol)に基づくノード間通信用のパケットであるIPパケットをさらにフレーム化したIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.3形式のフレーム(イーサネットフレーム)を記載する。
また、記載すべきイーサネットフレームが用意したサイズに収まらない場合には、フレームの送信側で必要な数のブロックに分割し、TLフレーム1つにつき、そのブロック1つを記載する。そして、フレームの受信側で複数のTLフレーム100からデータを取り出して結合し、分割前のフレームを復元することにより、通常のイーサネット(登録商標)での伝送と同様にイーサネットフレームをノード間で伝送することができる。
また、ITLフレーム領域107には、隣接ノード間でのコマンド及びコマンドに対する応答の伝送に使用するフレームであるITLフレームのデータを記載する。このITLフレームは、詳細な説明は省略するが、部分ネットワーク及び接続ネットワーク内でフレーム伝送路を形成する際の情報伝達や、ネットワーク形成後の情報伝達に使用する。
管理データ領域108は、部分ネットワーク及び接続ネットワーク内の各ノードがTLフレーム100に含まれるデータの管理に利用するデータを記載する領域である。ここに記載するデータとしては、例えば、音響信号のレベル表示に使用するレベルデータ、TLフレーム100が伝送中に切断されたことを示す切断検出フラグ、TLフレーム100の伝送にエラーが生じたことを示すエラーフラグ等が挙げられる。
また、FCS105は、IEEE802.3で規定される、フレームのエラーを検出するためのフィールドである。
1.4 TLフレームの伝送方式
次に、図5に、図3に示したTLフレーム100の伝送タイミングを示す。
この図に示すように、部分ネットワークシステム1においては、TLフレーム100を、96kHz(キロヘルツ)のサンプリング周期1周期である10.4μsec(マイクロ秒)毎に1つ、ノード間を循環させ、各ノードはTLフレームの所望のchへの音響信号の書き込みないし所望のchからの音響信号の読み出しを行うようになっている。従って、各サンプリング周期に、波形データ領域103に設けた各信号伝送chについて、それぞれ1サンプル分の波形データを、各ノード間で伝送できる。
1Gbps(ギガビット・パー・セカンド)のイーサネット(登録商標)方式のデータ転送を採用すれば、例えばTLフレームのサイズを1282バイトとすると、TLフレーム100の時間長は、1ナノ秒×8ビット×1282バイト=10.26μsecであり、1サンプリング周期内に伝送が完了する。データ転送速度やサンプリング周期が異なる場合には、それに応じて1サンプリング周期内に伝送可能なTLフレームのサイズは異なることになる。
次に、図6に、部分ネットワーク及び接続ネットワーク上での音響信号の伝送時における、図3に示したTLフレームの伝送状況を示す。
ここでは、ノードAからノードDまでの4つのノードをカスケード接続した部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークを考える。そして、この部分ネットワーク内の各ノードにTLフレーム100を循環させる場合、いずれか1つのノードを部分マスタと定め、そのノードのみが新たなサンプリング周期のTLフレーム(通し番号の異なるTLフレーム)の生成を行い、サンプリング周期毎に生成されたTLフレームを次のノードへ送信する。部分マスタ以外のノードはスレーブノードであり、それぞれ前のノードからTLフレームを受信し、次のノードへ送信する転送処理を行う。
そして、部分マスタBが最初に図で右向きに、ワードクロックのタイミングに合わせてノードCに向かってTLフレームを送信すると、そのTLフレームは、破線で示すようにノードB→C→D→C→B→A→Bの順で伝送され、ノードBに戻ってくる。この伝送の際、各ノードは、TLフレームを受信してから送信するまでに、他のノードから受信すべき波形データや制御データをTLフレームから読み取り、また他のノードに送信すべき波形データや制御データをTLフレームに書き込む。
そして、部分マスタは、TLフレームが伝送路を1周して戻ってくると、そのTLフレームの管理データを書き換えて後のサンプル周期のTLフレームを生成し、適当なサンプル周期での送信に供する。またこのとき、部分マスタも他のノードと同様にTLフレームに対してデータの読み書きを行う。
以上を繰り返すことにより、1サンプリング周期につき1つのTLフレームに、(a)から(e)に時系列的に示すように、各ノードを循環させることができる。これらの図において、黒塗りの矢印はTLフレームの先頭を、黒丸はTLフレームの末端を示す。線の矢印は、TLフレームの切れ目を分かり易くするために記載したものである。
なお、各スレーブノードは、TLフレームの全てを受信してからデータの読み書きや次のノードへの送信を行う必要はなく、先頭から必要なバイト数だけ受信したら、データの読み書きや次のノードへの送信の処理を開始してしまってよい。そしてその後、TLフレームの末端まで、受信するのとほぼ同じ速さでデータの読み書きや送信を行って行けばよい。ただし、部分マスタについては、TLフレームが正常に伝送路を1周したことを確認するため、TLフレームの全てを受信してから、その内容に基づいて新たなTLフレームの生成を行うことが好ましい。
また、カスケード接続の場合、両端のノード以外のノードは、1周のうちに2度TLフレームを通過させることになるが、このうちITLフレーム領域107以外のデータの読み書きを行うのは1度のみである。どちらでその読み書きを行うかは、最初にTLフレームを通過させる時、図で右向きにTLフレームを通過させる時等、任意に定めればよい。読み書きを行わない場合には、単に送信元アドレスを書き換えてTLフレームの残りの部分はスルーさせればよい。ITLフレームについては、両方向の隣接ノードに伝達できることが好ましい。
また、各ノードにおいて、TLフレームのデータを書き換えるためや、受信側のネットワーククロック(送信元のノードの動作クロックに対応)と送信側のネットワーククロック(当該ノードの動作クロックに対応)の周波数やタイミングの差を吸収するために、TLフレームの受信時にバッファリングを行う必要があるので、TLフレームの受信開始から送信開始まで幾分かのタイムラグが生じる。
そして、ネットワークで伝送される音響信号の伝送遅延(サンプリング周期単位)を最小にしたい場合は、上記のタイムラグの量を考慮して、マスタノードがあるワードクロックのタイミングで送信開始したTLフレームを、2つ先のワードクロックより所定時間α(マスタノード内での新TLフレームの準備に係る時間に対応する)だけ前のタイミングに、マスタノードが受信完了できるようにすればよい。
本ネットワークにおいては、以上のような方式のデータ伝送を行うことにより、1サンプリング周期内にTLフレームを1周させることのできる程度のノード数であれば、ネットワーク内で常にTLフレームのサイズに応じた一定の伝送帯域幅を確保することができる。そして、この帯域幅は、特定のノード間でのデータ伝送量の多寡には影響されない。
なお、ループ接続を行い、部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワーク内に伝送路を2本形成する場合には、図2からわかるように、部分マスタBが生成して図で右向きに送信したTLフレームを、ノードB→C→D→A→Bの順で伝送する伝送路と、部分マスタBが生成して図で左向きに送信したTLフレームを、ノードB→A→D→C→Bの順で伝送する伝送路とができることになる。そしてこの場合、TLフレームが伝送路を1周する間に全てのノードを1回ずつ通過することになるため、各ノードは、その通過の際にデータの読み書きを行う。
1.5 システムを構成する各装置のハードウェア構成及び基本動作
次に、以上説明してきたようなTLフレームの伝送を行うためのハードウェア及びその動作について説明する。
まず、図7に、上述のオーディオネットワークシステムSを構成する各ノードとなる音響信号処理装置のハードウェア構成を示す。
図7に示すように、この音響信号処理装置10は、CPU201,フラッシュメモリ202,RAM203,外部機器I/F(インタフェース)204,表示器205,操作子206を備え、これらがシステムバス207により接続されている。また、外部機器I/F204とシステムバス207とに接続するカードI/O(入出力部)210も備えている。
そして、CPU201は、この音響信号処理装置10の動作を統括制御する制御手段であり、フラッシュメモリ202に記憶された所要の制御プログラムを実行することにより、表示器205における表示を制御したり、操作子206の操作を検出してその操作に従ってパラメータの値の設定/変更や各部の動作を制御したり、コマンドをカードI/O210を介して他の音響信号処理装置に送信したり、カードI/O210を介して他の音響信号処理装置から受信したコマンドに従った処理を行ったりする。
フラッシュメモリ202は、CPU201が実行する制御プログラムを始め、電源を切っても残しておくべきデータを記憶する書き換え可能な不揮発性記憶手段である。
RAM203は、一時的に記憶すべきデータを記憶したり、CPU201のワークメモリとして使用したりする記憶手段である。
外部機器I/F204は、種々の外部機器を接続し入出力を行うためのインタフェースであり、例えば外部のディスプレイ、マウス、文字入力用のキーボード、操作パネル、PC(パーソナルコンピュータ)等を接続するためのインタフェースが用意される。
外部機器I/F204は、カードI/O210のオーディオバス217にも接続しており、オーディオバス217を流れる波形データを外部装置に送信したり、外部装置から受信した波形データをオーディオバス217に入力したりすることができる。
表示器205は、CPU201による制御に従って種々の情報を表示する表示手段であり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)や発光ダイオード(LED)によって構成することができる。
操作子206は、音響信号処理装置10に対する操作を受け付けるためのものであり、種々のキー、ボタン、ダイヤル、スライダ等によって構成することができる。
これらの表示器205及び操作子206は、コンソールCa1,Cb1においては、多数のchについて信号処理パラメータやパッチの設定を受け付けるための大型のディスプレイや多数のボタン、スイッチ、電動フェーダ等を設け、入出力装置IOa1,IOb1〜IOb3においては電源及びモード設定のための簡単なランプやボタンを設ける等、装置の機能に応じて大きく構成が異なるものである。
また、カードI/O210は、オーディオバス217と制御バス218を備え、これらのバスに種々のカードモジュールを装着することにより、音響信号処理装置10に対する音響信号及び制御信号の入出力及びその処理を行うことができるようにするためのインタフェースである。ここに装着される各カードモジュールは、オーディオバス217を介して相互に波形データを送受信すると共に、制御バス218を介してCPU201との間で制御信号を送受信し、CPU201の制御を受ける。
オーディオバス217は、任意のカードから任意のカードへ、複数チャンネルの波形データをサンプリング周期に基づくタイミングで各1サンプルずつ時分割伝送する音響信号伝送用ローカルバスである。接続された複数カードの何れか1つがマスタとなり、当該カードが生成し供給するワードクロックに基づいてオーディオバス217の時分割伝送の基準タイミングを制御する。その他の各カードはスレーブとなり、その基準タイミングに基づいて各カードのワードクロックを生成する。
すなわち、各カードで生成されるワードクロックは、マスタとなるカードのワードクロックに同期した共通のクロックとなり、音響信号処理装置10内の複数のカードは、共通のサンプリング周波数で波形データの処理を行う。さらに、各カードは、自身のワードクロックに基づいて処理した波形データ及び処理すべき波形データを、上記の基準タイミングに基づく時分割タイミングで、オーディオバス217を介して他のカードに送信し、また他のカードから受信する。
図7には、カードI/O210にDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)カード211,212,アナログ入力カード213,アナログ出力カード214,ネットワークI/Fカード215を装着した例を示している。
カードI/O210に装着される各種カードは、そのカードの機能に応じた波形データの処理を、それぞれ、ワードクロック(波形データのサンプリング周期)に基づくタイミングで実行する。
このうち、DSPカード211,212は、オーディオバス217から取得した波形データに対し、ワードクロックに基づくタイミングで、ミキシング、イコライジング、エフェクト付与を始めとする種々の処理を行う信号処理手段である。処理後のデータも、オーディオバス217に出力する。また、複数chの波形データの入力を受け付けて処理し、複数chの波形データを出力することができる。
アナログ入力カード213は、A/D(アナログ/デジタル)変換回路を備え、マイク等の音声入力装置から入力するアナログ音響信号を、デジタルの波形データに変換してオーディオバス217に供給する機能を有する。複数chの信号を並列して処理することも可能である。
アナログ出力カード214は、D/A(デジタル/アナログ)変換回路を備え、オーディオバス217から取得したデジタルの波形データをアナログの音響信号に変換して、スピーカ等の音声出力装置に出力する機能を有する。
ネットワークI/Fカード215は、送信I/Fと受信I/Fを2組備え、図2乃至図6を用いて説明した部分ネットワークにおけるTLフレーム100の伝送と、TLフレーム100に対する波形データや制御データ等の読み書きとを行う機能を有する。
また、カードI/O210には、ネットワークI/Fカードを複数枚装着することが可能であり、図1に示した入出力装置IOa1及びIOb3のような接続ノードにおいては、ネットワークI/Fカードを複数枚装着して、各ネットワークI/Fカード毎に別々のネットワークに接続する。
なお、ここで述べた各種カードのうち、ネットワークI/Fカード215以外のカードは、任意に選択して装着することができる。例えば、図1に示した入出力装置IOa1,IOb1〜IOb3においては、信号入出力のみ行えばよいのであれば、DSPカード211,212は不要であるし、ミキサエンジンEa1,Eb1においては、システムの外部に対する信号入出力を行わないのであれば、アナログ入力カード213やアナログ出力カード214は不要である。さらに、コンソールCa1,Cb1においては、パラメータに対する操作のみ行うのであれば、ネットワークI/Fカード215以外のカードを設ける必要はない。
また逆に、ここで挙げたもの以外でも、その他カード216として、デジタル入出力、音源、レコーダ、エフェクタ等の、種々のカードモジュールを装着可能とすることが考えられる。
なお、上述のように、カードI/O210に装着されたカードは、共通のワードクロックに従って音響信号の処理を行うが、音響信号処理装置10がオーディオネットワークシステムS全体のワードクロックソースである場合は、装着されたカードのうちの何れか1枚がネットワークI/Fカード215を含む他のカードへワードクロックを供給し、ネットワークI/Fカード215は、音響信号処理装置10が属する部分ネットワークの部分マスタとしてサンプリング周期毎にTLフレームを送信する。音響信号処理装置10がスレーブノードである場合は、ネットワークI/Fカード215がTLフレームの受信タイミングに基づいてワードクロックを生成(再生)し、カードI/O210に装着された他のカードへワードクロックを供給する。
次に、図8に、ネットワークI/Fカード215におけるTLフレーム100の伝送に関する機能をより詳細に示す。
図8に示すように、ネットワークI/Fカード215は、第1,第2受信I/F11,14及び第1,第2送信I/F12,13を備え、また、TLフレーム100の伝送方向を切り換えるためのセレクタ21〜24と、TLフレーム100に対するデータの読み書きを行う第1及び第2データ入出力部31,32と、オーディオバス217及び制御バス218に対してデータを入出力するためのインタフェースであり、音響信号処理装置10のうちネットワークI/Fカード215以外の部分とのインタフェースとなる上位層I/F33とを有する。
このうち、第1,第2受信I/F11,14及び第1,第2送信I/F12,13は、図2に示した2組の受信I/F及び送信I/Fと対応する通信手段であり、それぞれ通信ケーブルと接続するための所定のコネクタ(メス側)を備えている。通信ケーブルの接続に際しては、第1受信I/F11と第1送信I/F12とを1組とし、第2送信I/F13と第2受信I/F14とを1組とする。これらのI/Fは、上述した1サンプリング周期内のTLフレームの伝送に十分な能力を有していれば、どのような通信方式でデータ通信を行うI/Fであってもよいが、ここでは1Gbpsのイーサネット方式のデータ転送を行うI/Fを採用している。
一方、第1及び第2データ入出力部31,32はそれぞれ、図示しない動作クロック発生部の発生する動作クロックに基づいて動作し、対応する受信I/Fが受信したTLフレーム100から波形データや制御データ等の所望のデータを読み出す読出手段及び、受信したTLフレーム100に対して波形データや制御データ等の所望のデータの書き込みを行う書込手段として機能する。
また、図2(a)等からわかるように、あるノードが受信したTLフレーム100のそのノードからの送信先は、そのTLフレーム100の送信元と別の装置になる場合(図2(a)のノードB)と、送信元と同じ装置になる場合(同ノードA,C)とがある。そして、前者の場合、TLフレーム100の送信は、TLフレーム100を受信した受信I/Fと別の組の送信I/Fから行い、後者の場合、同じ組の送信I/Fから行う。
セレクタ21〜24は、このような送信先の切り替えを行うために設けたものである。
このうち、セレクタ23,24が、第1受信I/F11が受信し第1データ入出力部31を通過したTLフレームを、第2送信I/F13から送信するか、第1送信I/F12から送信するかを選択するためのセレクタである。
これらのセレクタ23,24は連動しており、セレクタ23が第2送信I/F13側を選択している場合は、第1受信I/F11が受信したTLフレームを第2送信I/F13から送信する一方、セレクタ24は第2受信I/F14側を選択し、第2受信I/F14が受信したTLフレームを第2データ入出力部32に入力する。
逆に、セレクタ23が折り返しライン26側を選択している場合は、セレクタ24も折り返しライン26側を選択し、第1受信I/F11が受信したTLフレームを、折り返しライン26及び第2データ入出力部32を通過させて、第1送信I/F12から送信する。
このとき、セレクタ22が第1送信I/F12側を選択していることが前提となる。しかし、セレクタ21,22も、セレクタ23,24と同様に連動しており、第1受信I/F11で受信したTLフレームに第1データ入出力部31を通過させる場合、セレクタ21は第1受信I/F11側を選択し、これに連動してセレクタ22は第1送信I/F12側を選択している。従って、セレクタ23,24の切り換えにより、第1受信I/F11が受信し、第1受信I/F11が受信したTLフレームを折り返すか否かを選択することができる。
同様に、セレクタ21,22に折り返しライン25側を選択させるか否かにより、第2受信I/F14が受信し第2データ入出力部32を通過したTLフレームを折り返すか否かを選択することができる。
なお、TLフレームを折り返す場合、ネットワークI/Fカード215においてTLフレームが第1及び第2データ入出力部31,32を両方通過することになるが、TLフレームに対するデータの読み書きは、そのうち任意の一方、例えば最初に通過する方において行えばよい。
また、セレクタ21が折り返しライン25を選択している状態で第1受信I/F11が受信したフレーム及び、セレクタ24が折り返しライン26を選択している状態で第2受信I/F14が受信したフレーム(上述したITLフレームの受信が想定される)については、不図示の処理部に供給して、その内容の解析及びその内容に応じた処理を行う。
音響信号処理装置10においては、ネットワークI/Fカード215のハードウェアが上述した動作を行うことにより、図2乃至図6を用いて説明したようなTLフレームの伝送に係る機能を実現することができる。より具体的なハードウェア構成については、例えば特開2009−94589号公報に記載のものを採用することができる。
オーディオネットワークシステムSの上述した構成によれば、第1及び第2の部分ネットワークシステムの各々において、その部分ネットワークシステムを形成する複数のノードの全てを通るリング状の伝送路が形成され、複数の伝送チャンネルを有するフレームが上記リング状の伝送路に沿って周期的に循環され、上記部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークにおいては、一のノードが上記循環するフレームの伝送チャンネルに音響信号を書き込み、他のノードがその循環するフレームのその伝送チャンネルから音響信号を読み出すことにより、上記一のノードから上記他のノードへ音響信号を転送することができる。
さらに、第1接続ノードである入出力装置IOa1と第2接続ノードである入出力装置IOb3とを通るリング状の伝送路が形成されて接続ネットワークScが形成される。そして、その伝送路には、複数の伝送チャンネルを有するフレームが周期的に循環する。
2.接続ノードにおける部分ネットワークシステムの接続について
2.1 オーディオネットワークシステムにおける伝送路の形成手順
この実施形態の特徴的な点は、第1部分ネットワークシステムSaに形成される第1部分ネットワークと第2部分ネットワークシステムSbに形成される第2部分ネットワークとの間で接続ネットワークをまたいで波形データを伝送する場合の接続ノード(図1の例では入出力装置IOa1及びIOb3)の動作及び、関連するその他の機器の動作である。そこで、以下これらの点について説明する。
まず図9及び図10に、図1に示したオーディオネットワークシステムSにおいて各ノード間に形成されるTLフレームの伝送路を示す。図9に示すのは、各部分ネットワークシステムにおいて機器をループ接続した場合の例、図10に示すのは、第1部分ネットワークシステムSaのみカスケード接続にした場合の例である。
図9に示すように、ループ接続の場合、各部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークにおいて、全てのノードを1度ずつ通る伝送路が2つずつ形成される。第1部分ネットワークシステムSaに形成される第1部分ネットワークにおいては伝送路Ra1及びRa2、第2部分ネットワークシステムSbに形成される第2部分ネットワークにおいては伝送路Rb1及びRb2、接続ネットワークScにおいては伝送路Rc1及びRc2である。
そして、いずれの場合も、接続ノードである入出力装置IOa1及びIOb3には、接続ネットワークScにおいて形成される2本の伝送路に加え、その機器が属する部分ネットワークにおいて形成される2本の伝送路が通ることになる。
また、図10に示すように、一部の部分ネットワークシステムの接続をカスケード接続とした場合、その部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークにおいては、カスケードの両端のノードで折り返す1本のループ状の伝送路が形成される。図10の例では、第1部分ネットワークシステムSaに形成される第1部分ネットワークにおいては1本の伝送路Ra1が形成されている。もちろん、他の部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークにおいて機器をカスケード状に接続することも可能であり、その場合、その部分ネットワークにおいても、同様にカスケードの両端のノードで折り返す1本のループ状の伝送路が形成される。
次に、図11乃至図13に、オーディオネットワークシステムS及び上述したTLフレームの伝送路を形成する際の、ユーザによる作業及びそれに応じた各機器の動作手順を示す。これらの図に示すのは、各機器が物理的に接続されていない状態から伝送路を形成する場合の手順である。
図1に示したオーディオネットワークシステムSを形成する場合、ユーザはまず、第1部分ネットワークシステムSaを形成させる2以上の機器を、カスケード状又はループ状に接続する(S11)。このとき、機器の中の少なくとも1つは、接続ノードになる機器である必要がある。また、ここでいう「接続」には、既に電源が入っている機器を通信ケーブルで繋ぐことと、既に通信ケーブルで繋がれている機器の電源を入れることと、どちらもなされていない機器を通信ケーブルで繋いだ上で電源を入れることとのいずれも含む。
そして、この接続がなされると、接続された機器は、自動的に互いの機器の存在及びその接続のトポロジー(カスケードかループか、及び各機器の接続順)を確認した上で、そのトポロジーに応じて、接続された機器の間を循環する、図9又は図10に示したようなTLフレームの伝送路を形成し、その伝送路に沿ったTLフレームの伝送を開始する(S31)。
ただし、この段階ではまだTLフレームに対する波形データの読み書きは行わず、TLフレーム100のうちITLフレーム領域107や制御データ領域104を用いて、機器間で制御データの伝送を行うモード(TTLモード)で動作する。また、TLフレームを生成するノードとなる仮の部分マスタは、機器間でネゴシエーションして適当なアルゴリズムで定める。
この際の伝送路の形成手順については、例えば特開2009−94589号公報に記載のものを採用することができる。
また、ユーザは、ステップS11の後、第1部分ネットワークシステムSaに形成される第1部分ネットワークおける部分マスタを指定する(S12)。この指定は、ステップS31の完了後に行うことが好ましいが、これは必須ではない。
そして、ステップS12の指定がなされると、TTLモードで動作中の各機器は、ステップS12で指定されたノードを部分マスタとして、接続された各機器の間を循環するTLフレームの伝送路を再構築し、今度はTLフレームに対する波形データの読み書きが可能なモード(RTLモード)でTLフレームの伝送を開始する(S41)。このステップにおいて、第1部分ネットワークシステムSaにおいて第1部分ネットワークが形成される。
その後、各機器は、自身が要求する信号伝送ch数を、自身が属する部分ネットワークの部分マスタに通知する(S42)。ここで通知するch数は、機器がTLフレーム100に対して何chの波形データを書き込むかを示すものである。この値は、ユーザが予め定めておいた値としたり、自身の備える入力端子(入力ポート:外部から入力する波形データを書き込む場合)や出力ch(内部で処理した波形データを書き込む場合)の数に応じて自動的に決定したりすることができる。なお、要求ch数がゼロである場合もあり、この場合にはchの割り当てを受ける必要がないので、要求ch数の通知も不要である。
なお、ステップS42の通知は、TLフレーム100の制御データ領域104に記載する部分マスタ宛てのイーサネットフレームにより行ったり、ITLフレーム領域107に記載するITLフレームを、隣接ノードに順次中継させながら部分マスタまで届けることにより行ったりすることができる。以降に述べる、部分マスタと各機器の間の通信についても同様である。
一方、部分マスタは、ステップS42の通知を受けると、その通知に応じて通知元の機器に、自身が制御する部分ネットワークのTLフレーム100における信号伝送chを割り当てる(S43)。どの機器にどのchを割り当てても問題ないため、先着順で先頭から割り当てる等、任意のアルゴリズムを採用可能である。ただし、信号伝送chの数には限りがあるため、割り当てのできない場合があり、この場合にはその旨を、コンソールCa1に表示させる、所定のランプを点灯させる、等の何らかの手段でユーザに通知することが好ましい。ただし、割り当てができなくても、割り当てられなかった機器においてTLフレーム100への波形データの書き込みができないというだけで、TLフレーム100からの波形データの読み出しはできるし、その他の機器の動作に影響はない。
また、部分マスタは、ステップS43で行った割り当ての内容を、自身が制御する部分ネットワーク内の各機器に通知する(S44)。各機器は、信号伝送chの割り当て内容を参照してどの信号伝送chへ波形データを書き込むかを決定するため、この割り当て内容の通知は、新たな割り当てを行う度に、すなわち割り当ての内容を変更する度に行うことが好ましい。
そして、各機器は、ステップS44での通知を受けると、信号伝送chの割り当て及びパッチの設定内容に従って、TLフレームへの波形データの書き込み及び読み出しを開始する(S45)。以上で、第1部分ネットワークにおいて、ノードとなる各機器の間で音響信号及び制御信号の送受信が可能な状態となる。
ここで、パッチとは、TLフレームへの書き込み時においては、どの入力端子(入力ポート)あるいはどの出力chから供給される波形データを、自身に割り当てられている信号伝送chのうち何番目の信号伝送chの領域に書き込むか、という対応関係を規定するデータである。TLフレームからの読み出し時においては、何番目の信号伝送chから波形データを読み出して、自身のどの入力chあるいは出力端子(出力ポート)に供給するか、という対応関係を規定するデータである。
これらのパッチの内容については、ユーザが後述するルーティングテーブルの設定を通じて任意に設定することができるし、初期状態においても機器毎に何らかのデフォルトの値を用意しておく。
なお、各部分ネットワークシステムの各機器における波形データの送信と受信の設定は、以下のようにして行われる。
まず、各ミキサシステムのコンソール(CA1,Cb1)は、そのコンソールが属する部分ネットワークシステムの各機器(ミキサエンジンを含む)から、その機器が備える波形データの入力ポート及び出力ポート、及び、ミキサエンジンが備える入力チャンネル及び出力チャンネルの情報を取得する。そして、コンソールの表示器に、各機器の入力ポートからミキサエンジンの入力チャンネルへの入力パッチ設定画面、ないし、ミキサエンジンの出力チャンネルから各機器の出力ポートへの出力パッチ設定画面を表示し、ユーザによる所望の供給元から所望の供給先へのパッチ設定を受け付ける。
ここで、入力パッチ画面に表示される波形データの供給元は、複数の入力ポート、及び、接続ノードにおける接続ネットワークからの複数の受信ポート(信号伝送ch)であり、供給先は、複数の入力チャンネルである。また、出力パッチ画面に表示される供給元は、複数の出力チャンネルであり、供給先は、複数の出力ポート、及び、接続ノードにおける接続ネットワークへの複数の送信ポート(信号伝送ch)である。
さらに、出力パッチ設定画面に供給先として表示される「接続ネットワークへの送信ポート」は、接続ノードに割り当てられている接続ネットワークの伝送チャンネルであり、入力パッチ設定画面に供給元として表示される「接続ネットワークからの受信ポート」は、他の部分ネットワークシステムの接続ノードが接続ネットワークに波形データを送出している伝送チャンネルである。
各接続ノードは、その接続ノードが接続ネットワークのどの信号伝送chにどの信号を送出しているかを送信情報として接続ネットワークの他の接続ノードに通知している。そして、各接続ノードは、他の接続ノードから通知された送信情報に基づいて、供給元としての「接続ネットワークからの受信ポート」を入力パッチ設定画面に表示するための情報を、コンソールに提供する。
そして、コンソールに表示された入力パッチ設定画面、ないし、出力パッチ設定画面において、波形データの1の供給元から1の供給先へのパッチ(接続)の設定を受け付けたとき、コンソールは、該1の供給元を備えている機器に対し、その供給元からの波形データを送信すべき旨の送信設定を行い、該1の供給先を備えている機器に対し、該1の供給元からの波形データを受信しその供給先に供給すべき旨の受信設定を行う。
送信設定が行われた機器は、当該機器に割り当てられた部分ネットワークの信号伝送chのうちの未使用のchを1つ、その送信設定に係る供給元からの波形データの送信に使用するchとして確保し、その供給元からの波形データがTLフレームの確保された信号伝送chの領域に書き込まれるよう、当該機器内のパッチを設定(書込設定)する。そして、その確保された信号伝送chにその供給元からの波形データが書き込まれていることを示す送信情報を、当該機器が属する(書込設定を行った)部分ネットワークシステムの全機器に通知する。
従って、(1以上の)送信設定が行われた機器は、その機器における1以上の音響信号を、その機器が属する部分ネットワークに、確保した信号伝送chを用いて送信し、その送信した音響信号を特定する情報を上記確保した信号伝送chと関連付けて、送信設定が行われた機器が属する部分ネットワークシステムの各機器(及びその部分ネットワークシステムにおける音響信号の伝送を制御するリモート制御装置であって部分ネットワークシステムの外部に設けたもの)に通知する。後述のように、音響信号を特定する情報としては信号名を用いる。
受信設定が行われた機器は、他の機器から順次通知される送信情報に基づき、受信設定された供給元の信号がTLフレームの何れかの伝送chの領域に書き込まれているか判定し、書き込まれている場合は、TLフレームのその伝送chの領域から波形データを読み出して、読み出された波形データが、受信設定された供給先に供給されるよう当該機器内のパッチを設定(読出設定)する。
このように、各機器における送信ないし受信の設定は、コンソールにおけるユーザのパッチ設定操作に基づいて行われるのである。なお、パッチ設定操作は、外部機器I/F204に接続されたPCで行われるようにしてもよい。その場合、ここで述べたコンソールの動作は、PCと、そのPCが接続された機器とが共同して行う。また、設定された送信設定および受信設定は、各機器の不揮発メモリに記憶されるようにしておき、機器の電源投入時に、保持されている送信設定および受信設定に基づき、電源切断前の接続を自動的に復活させるようにしてもよい。もちろん、上記の送信設定及び受信設定は、複数の供給元及び複数の供給先について行うことができる。
なお、ここでの送信設定と受信設定は、後述するルーティングテーブルの設定に該当する。
次に、ユーザは、第2部分ネットワークシステムSbを形成させる2以上の機器を、第1の部分ネットワークシステムSaの場合と同様に、カスケード状又はループ状に接続する(S13)と共に、第2部分ネットワークシステムSbに形成される第2部分ネットワークにおける部分マスタを指定する(S14)。
そして、この接続がなされると、接続された各機器は、第1部分ネットワークシステムSaの場合と同様に、ステップS31及びS41乃至S45の動作を行い、RTLモードで伝送するTLフレームに対する波形データの書き込み及び読み出しを開始する。その結果、第2部分ネットワークシステムSbにおいて第2部分ネットワークが形成される。
なお、この時点では、第1部分ネットワークシステムSaと第2部分ネットワークシステムSbとはそれぞれ独立して動作しているので、これらの部分ネットワークシステムを区別する必要は特にない。従って、図11では便宜上順番を付けて示したものの、これらの部分ネットワークシステムを構成する順番には特に制限はなく、第2部分ネットワークシステムSbを先に形成させたり、2つの部分ネットワークシステムを並行して形成させたりしても全く問題ない。
ここまでの手順により2つの部分ネットワークが2つの部分ネットワークシステムにおいて形成された後、ユーザは、各部分ネットワークシステムの接続ノード、すなわち接続ネットワークを形成させる2以上の機器同士を、カスケード状又はループ状に接続する(S15)。この際には、接続ノードの、ステップS11及びS13での接続には用いていないネットワークI/Fカードに対して接続を行う。
そして、この接続がなされると、各接続ノードは、自身の接続設定が完全ブリッジか一部ブリッジかを確認する(S51)。接続ノードは、設定に応じてこのいずれの接続モードでも動作可能である。
ここで、完全ブリッジとは、第1部分ネットワークと第2部分ネットワークとで、信号伝送chの割り当てを共通化し、全ての信号伝送chの波形データを共通に用いることができるようにする接続モードであり、本明細書では詳細な説明は行わない。
他方、一部ブリッジは、接続ネットワークをまたいで伝送する必要のある音響信号及び制御信号のみを他の部分ネットワークに伝送する接続モードであり、本明細書で詳細に説明するのは、この接続モードである。
そして、完全ブリッジの場合には、接続ネットワークを介さずに、接続ノードにより第1部分ネットワークシステムSaと第2部分ネットワークシステムSbを接続する。このため、ステップS15に相当する手順で接続ノードに接続される相手は、その接続ノードが初めに属した部分ネットワークシステムと接続する他の部分ネットワークシステムを形成させる機器であり、接続ノードは、該他の部分ネットワークシステムを形成させる機器の間にRTLモードでTLフレームを巡回させる。
一部ブリッジの場合には、ステップS52以下の処理に進む。
一部ブリッジの場合、図1に示したように、第1部分ネットワークシステムSaと第2部分ネットワークシステムSbとを、接続ノードによって形成される接続ネットワークScにより接続する。
そこで、ステップS15で接続された各機器は、接続ネットワークを形成すべく、まず自動的に互いの機器の存在及びその接続のトポロジーを確認した上で、何らかのアルゴリズムでいずれかの接続ノードを接続ネットワークの仮の部分マスタに設定する(S52)。そしてその後、接続された接続ノードの間を循環するTLフレームの伝送路を形成し、その伝送路に沿ったTTLモードでのTLフレームの伝送を開始する(S53)。この際の伝送路の形成手順は、ステップS31と同様でよい。
次に、手順は図12に示す部分に進み、ユーザは、ステップS15で接続した接続ノードの1つを、オーディオネットワークシステムS全体のワードクロックソースとして指定する(S16)。この指定は、接続ネットワークのワードクロックソースすなわち部分マスタの指定でもある。また、この指定操作は、部分マスタとする機器を直接操作して行ってもよいし、他の機器を操作して行ってもよい。
そして、ステップS16の指定があると、ここまでに接続してある各機器は、イーサネットフレーム又はITLフレームにより、指定操作を受け付けた機器から新たにワードクロックソースに指定された接続ノードまで、その接続ノードが接続ネットワークの部分マスタに指定されたことを示すコマンドを伝達し、そのコマンドを受け取った機器が、自身を接続ネットワークの部分マスタに設定する(S61)。
その後、部分マスタとなった機器は、両側の各機器に順次リセットコマンドを伝播させると共に、自身もリセットし、接続ネットワークを形成する全機器をリセットする(S62)。ただし、ここでリセットするのは、接続ネットワークの形成に用いるネットワークI/Fカード215及び、そのカードを介した通信に係る機能のみである。従って、他の部分ネットワークの通信に係る動作は、リセット後もそのまま継続する。
また、リセットされたネットワークI/Fカード215は、図8に示したセレクタ21〜24の全てに折り返しライン25,26側を選択させるため、このリセットに伴い、接続ネットワーク内のループ状の伝送路は消失する。ただし、部分マスタとなった機器には、リセット後も、接続ネットワークの形成時に自機が部分マスタとなるべきことは把握させておく。
そして、全機器のリセット完了後、図11のステップS41の場合と同様に、各接続ノードが接続ネットワークを形成し、RTLモードでのTLフレームの伝送を開始する(S63)。なお、この時点では、まだ各接続ノードへの信号伝送chの割り当てを行う必要はない。従って、接続ネットワークにおける音響信号の伝送も行う必要はない。
次に、ユーザは、接続ネットワーク以外の各部分ネットワークについて、接続ネットワークをワードクロックソースとして指定する(S17)。この指定は、接続ノードを部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークの部分マスタとして指定することにより行うことができる。また、この指定操作も、部分マスタとする機器を直接操作して行ってもよいし、他の機器を操作して行ってもよい。
そして、ステップS17の指定があると、指定があった部分ネットワークの各機器は、ステップS61の場合と同様に、部分ネットワークの部分マスタに指定されたことを示すコマンドを接続ノード伝達し、接続ノードに自身を部分ネットワークの部分マスタに設定させる(S71)。
その後、部分マスタとなった接続ノードは、ステップS62の場合と同様に両側の各機器に順次リセットコマンドを伝播させると共に、自身もリセットし、ステップS17での指定に係る部分ネットワークを形成する全機器をリセットする(S72)。ただし、ここでリセットするのは、指定に係る部分ネットワークの形成に用いるネットワークI/Fカード215及び、そのカードを介した通信に係る機能のみである。従って、接続ネットワークの通信に係る動作は、リセット後もそのまま継続する。
そして、このリセットの後、部分ネットワークの部分マスタとなる接続ノードは、他の部分ネットワークと重複しないネットワークIDを自動生成し、自身が部分マスタとして制御する部分ネットワークに割り当てる(S73)。このことにより、その部分ネットワークを形成するどの部分ネットワークシステムにもネットワークIDが割り当てられる。なお、このネットワークIDを、ユーザが手動で設定するようにしてもよい。
そしてその後、部分ネットワークシステムを構成する各機器は、図11のステップS41乃至S45の場合と同様な手順により、接続ノードを部分マスタとして部分ネットワークを形成し、RTLモードでのTLフレームの伝送を開始すると共に、TLフレームに対する波形データの書き込み及び読み出しを開始する(S74)。
なおこのとき、部分ネットワークのワードクロック源としての接続ノードは、接続ネットワークにおけるTLフレームの受信タイミングに基づいて、受信周期と同周期の、部分ネットワークで使用するワードクロックを生成する。そして、その生成したワードクロックに基づいて部分ネットワークでのTLフレームの送信タイミングを決定することにより、接続ネットワークと部分ネットワークとでTLフレームの送信周期を同期させる。
そして、全ての部分ネットワークについてステップS71乃至S74の処理が完了すると、オーディオネットワークシステムSは、各部分ネットワークシステム内のノード間で音響信号及び制御信号を伝送すると共に、接続ネットワークにより部分ネットワークシステム間をブリッジし、必要な信号については接続ネットワークをまたいだ伝送も可能な状態となる。
そして、手順は図13に示す部分に進み、ユーザは具体的な音響信号伝送の設定を行う。すなわち、まず部分ネットワーク毎に、接続ネットワークScに送信する音声を設定する(S18)。詳細は後述するが、この設定は、部分ネットワーク内で伝送されるどの音響信号を接続ネットワークScを跨いで伝送するかを定めるルーティングの設定である。また、この設定は、設定に係る部分ネットワークの接続ノードに対する操作の可能な任意の機器を操作して行うことができる。
そしてこの設定がなされると、設定のあった部分ネットワークの接続ノードは、接続ネットワークの信号伝送chを確保する(S81)と共に、接続ネットワークへの送信を設定された波形データを部分ネットワークのTLフレームから読み出し、接続ネットワークのTLフレームに書き込む動作を開始する(S82)。そして、どのような波形データをどの信号伝送chに書き込むかを、接続ネットワークの他の接続ノードに通知する(S83)。
その後、接続ノードが各サンプリング周期においてステップS82で開始した読み出しと書き込みを行うことにより、部分ネットワーク内で伝送していた波形データを、接続ネットワークを介して他の接続ノードに伝送し、該他の接続ノードが任意に読み出せる状態にすることができる。
ここで、ステップS81での信号伝送chの確保について、必要になった都度接続ネットワークの部分マスタに依頼して割り当てを信号伝送chの割り当てを受けてもよいし、予め割り当てられている信号伝送chの中から、実際に使用する信号伝送chを選択してもよい。また、信号伝送chを確保できなかった場合、それ以上接続ネットワークをまたいで伝送する音響信号の数を増やすことはできないが、部分ネットワークシステム内での音響信号の伝送には全く支障はない。
ユーザは、必要なだけステップS18の設定を行うと、次に、部分ネットワーク毎に、接続ネットワークScから受信する音声を設定する(S19)。詳細は後述するが、この設定は、接続ネットワークをまたいで接続ネットワークScを介して送信されてくるどの音響信号を部分ネットワークシステムに供給して該部分ネットワークシステムに属する機器が読み出せるようにするかを定めるルーティングの設定である。また、この設定も、設定に係る部分ネットワークの接続ノードに対する操作の可能な任意の機器を操作して行うことができる。
そしてこの設定がなされると、接続ネットワークのTLフレームに目的の音声の波形データがある場合には(S91のYES)、設定のあった部分ネットワークの接続ノードは、部分ネットワークの信号伝送chを確保する(S92)と共に、ステップS83で通知された情報を参考に、受信を設定された音声の波形データを接続ネットワークのTLフレームから読み出し、部分ネットワークのTLフレームに書き込む動作を開始する(S93)。そして、どのような波形データをどの信号伝送chに書き込むかを、部分ネットワーク内の他のノードに通知する(S94)。
その後、接続ノードが各サンプリング周期においてステップS93で開始した読み出しと書き込みを行うことにより、接続ネットワークScを介して伝送されてきた波形データを、該接続ノードが部分マスタとして制御する部分ネットワークの各ノードが任意に読み出せる状態にすることができる。各ノードにその波形データを使用させる場合には、そのノードに対し、接続ノードが書き込みを行った信号伝送chから波形データを読み出す旨の設定を行えばよい。
なお、ステップS92での信号伝送chの確保は、ステップS81の場合と同様に行うが、割り当てを行うのは接続ノード自身である。
また、ステップS91でNOの場合、ステップS19の設定を受け付けた機器の表示部にメッセージを表示させる等して、設定に係る音声の受信ができない旨をユーザに通知する(S95)。ただし、ここでは、設定内容自体は残しておき、接続ネットワークのTLフレームに目的の音声の波形データが書き込まれるようになった時点で、接続ノードがステップS92以降の処理を行うようにしている。
以上の手順により、オーディオネットワークシステムSにおいて、各部分ネットワークシステムSa,Sbに属するノードが扱う音響信号のうち所望の音響信号を、接続ネットワークScを介して他の部分ネットワークシステムに伝送し、該他の部分ネットワークシステムに属するノードが利用できる状態にすることができる。
この場合において、ステップS18やS19の設定は、任意の数を任意の順番で行うことができるし、予め記憶させておいたルーティングの設定をいずれかの機器に自動で読み出させてシステムの動作に反映させることも考えられる。
2.2 部分ネットワークをまたぐ信号伝送(ブリッジ)の手順
次に、音響信号のブリッジのためにオーディオネットワークシステムSを構成する各機器が行う動作について、より具体的に説明する。
図14に、オーディオネットワークシステムSを構成する各機器が行うTLフレームに対する波形データの読み書きの内容を模式的に示す。
この図においては、第1部分ネットワーク、第2部分ネットワーク及び接続ネットワークにおいて、各機器がそれぞれTLフレームの波形データ領域のうちどの部分からデータを読み出し、どの部分にデータを書き込むかを、3種類の矢印により示している。
また、図の下側に示した第1部分ネットワークの3本の帯、接続ネットワークの2本の帯、および第2部分ネットワークの5本の帯は、それぞれ、第1部分ネットワー、接続ネットワーク及び第2部分ネットワークを循環する各TLフレーム100の波形データ領域103のうち、図4に示したようにそのネットワークに属する各機器に割り当てられた、波形伝送chと対応する波形データ領域を示す。
なお、図14における各帯の横方向への広がりは、対応するTLフレームの巡回範囲に相当する。
そして、図で上側の機器を示すボックスから波形データ領域を示す帯に延びる矢印は、その機器がその領域に波形データを書き込むことを示し、波形データ領域を示す帯から機器を示すボックスに延びる矢印は、その機器がその領域から波形データを読み出すことを示す。
入出力装置IOa1については、第1部分ネットワーク及び接続ネットワークの双方の波形データ領域との間に矢印を記載しているが、これは双方の波形データ領域に対して波形データの読み書きを行うことを示す。ただし、上述の通り、対象のネットワーク毎に読み書きに使用するネットワークI/Fカードは異なる。入出力装置IOb3についても同様である。
また、矢印の種類につき、先端が白ヌキの矢印は、ミキサエンジンEa1あるいはEb1による信号処理に供する波形データの読み書きを示す。先端が黒塗りの矢印は、外部に出力する波形データの読み書きを示す。先端が線になっている矢印は、接続ノードによるブリッジ動作のための波形データの読み書きを示す。
なお、図に示した読み書きは一例であり、各機器になされているルーティングの設定によっては、波形データの読み出し及び書き込みの一方又は両方を行わなかったり、さらに別の読み出しや書き込みを行ったりする場合もある。
また、波形データをTLフレームのある信号伝送chの領域に書き込んだ場合、その領域に書き込まれていた前のサンプル周期の波形データに上書きすることになるため、複数の機器が1つの波形伝送chに波形データを書き込むことはできない。しかし、波形データの読み出しを行っても、TLフレームに書き込まれている波形データに何の影響も与えないため、複数の機器が1つの波形伝送chから波形データを読み出すことはできる。
以上をもとに、図15及び図16も参照して、波形データがオーディオネットワークシステムSに入力してから出力されるまでの、システム内における処理の流れを、機器毎の動作と共に説明する。
図15は、オーディオネットワークシステムSを構成する各機器の動作により実現される機能を、第1部分ネットワークシステムSaを構成する機器に注目して示す機能ブロック図(第1ミキサシステムMSa)である。図16は、同じく第2部分ネットワークシステムSbを構成する機器に注目した機能ブロック図(第2ミキサシステムMSb)である。
図14乃至図16に示す例では、波形データは、入出力装置IOa1,IOb1〜IOb3及びコンソールCa1,Cb1からオーディオネットワークシステムSに入力する。
また、図15及び図16に示すように、各入出力装置IOa1,IOb1〜IOb3及びコンソールCa1,Cb1において、パッチ302により、それらの機器の入力部301が備える端子と対応する任意の数の入力ポートに対し、それぞれその機器が属する部分ネットワークのTLフレーム中でその機器に割り当てられている信号伝送chのいずれかを対応付けておく。ただし、ユーザはこの設定を行う際に具体的な信号伝送chのIDを把握している必要はない。この点については後に詳述する。
そして、各入出力装置IOa1,IOb1〜IOb3及びコンソールCa1,Cb1はそれぞれ、入力部301の各端子から入力する波形データ(アナログ音響信号をAD変換して得る場合も、デジタル入力の場合もある)を、自身が属する部分ネットワークを巡回するTLフレームの、その端子と対応する入力ポートと対応付けられている信号伝送chの領域に書き込む。そしてこの書き込みにより、各波形データは、その波形データの書き込みを行った機器が属する部分ネットワークに入力されたことになる。
接続ノードは、第1又は第2部分ネットワークと接続ネットワークとの2つのネットワークに属するが、入力パッチ302の設定に従って書き込む先は、第1又は第2部分ネットワークのTLフレームである。
また、注目している部分ネットワークと異なる部分ネットワークに属する機器の入力部に入力した波形データは、パッチ303に設定されている対応付けに従って、注目している部分ネットワークのTLフレームのいずれかの信号伝送chの領域に書き込まれる。
ここで、パッチ303は1つのボックスで示しているが、この機能は、波形データを外部から入力し送信する入出力機器内のパッチだけでなく、波形データ送出側の部分ネットワークにおける接続ノードと、波形データ受信側の部分ネットワークにおける接続ノードとの協働により実現される。
例えば、図15の例で言えば、入出力装置IOb3が、該入出力装置においてなされているルーティングの設定に従い、第2部分ネットワークのTLフレームから、第1の部分ネットワークに送信すべき波形データ(ここでは入出力装置IOb1,IOb2及びコンソールCb1の入力部301から入力し、これらの機器により第2部分ネットワークのTLフレームに書き込まれた波形データ)を読み出して、接続ネットワークのTLフレームのうち、該入出力装置IOb3に割り当てられている波形伝送chの領域に書き込む。この動作は、図16において入出力装置IOb3の枠内に示したパッチ306の動作の一部に当たる。
そして、入出力装置IOa1は、該入出力装置においてなされているルーティングの設定に従い、入出力装置IOb3が接続ネットワークのTLフレームに書き込んだ波形データのうち、第1部分ネットワークに入力すべき波形データを、第1部分ネットワークのTLフレームのうち、該入出力装置IOa1に割り当てられている波形伝送chの領域に書き込む。
以上の動作により、第2部分ネットワークに属する機器に入力した波形データを第1部分ネットワークに伝送する、パッチ303による音響信号のブリッジが実現される。
なお、図15の例では、例えば入出力装置IOb3から入力した波形データは第1部分ネットワークにブリッジしない設定となっているため、入出力装置IOb3を示すボックスを示していない。しかしもちろん、ルーティングの設定を変更してこの波形データも第1部分ネットワークにブリッジするようにすることも可能である。
一方、ミキサエンジンEa1,Eb1においてはそれぞれ、TLフレームのどの信号伝送chから読み出した波形データを、入力ch部312が備える複数の入力chのうち何番目に入力するかを、図15に示す入力パッチ311(個別のパッチ設定)により設定しておく。
なお、TLフレームのどの信号伝送chにどの機器のどの入力ポート、出力ch、あるいは(接続ネットワークからの)受信ポートからの波形データが書き込まれているかは、各部分ネットワーク毎に、TLフレームの各信号伝送chにその波形データを書き込んでいる機器が、その他の機器に、その信号伝送chの内容を示す送信情報として通知している。
このとき、「どの機器のどのポートあるいは出力chから」に当たる情報は、ポートあるいは出力chに付された、オーディオネットワークシステムS内で一意な信号の名称(すなわちそのポートあるいは出力chから入力される音響信号を特定することができる名称)という形で部分ネットワーク内で共有され、ユーザはこの信号の名称を用いて入力パッチ311の設定を行うことができる。従って、入力パッチ311の設定を行う際に信号伝送chのIDをユーザが把握している必要はない。この点については後に詳述する。また、入力パッチ311の設定を行う際に、読み出す波形データが同一部分ネットワーク内の機器から入力したものか、他の部分ネットワークから転送されてきたものかを区別する必要はないし、どちらの波形データであっても同じように読み出して入力chに入力することができる。
また、ミキサエンジンEa1,Eb1は、TLフレームを介さずに外部から直接波形データの入力を受け付ける入力部316も備えており、入力パッチ311は、この入力部316から入力した波形データを入力chに入力する設定も可能である。
そして、ミキサエンジンEa1,Eb1は、入力パッチ311の設定に従い、TLフレームから読み出した波形データや、入力部316から入力した波形データを、入力パッチ311により対応付けられている入力chに入力する。
各入力chにおいては、入力する波形データに対しレベル調整、周波数特性調整、音像定位位置調整等の信号処理を行った後、混合バス313に入力する。混合バス313は、複数系統設けられており、各入力chから各系統のバスへの出力レベルを、ユーザは任意に設定することができる。
各系統のバスにおいては、各入力chから入力した波形データを混合し、その結果を、バスの系統に対応して設けられる、出力ch部314の出力chに入力する。出力chにおいては、混合バス313から出力される波形データに対し、それぞれレベル調整、周波数特性調整等の信号処理が施される。
また、出力パッチ(個別のパッチ設定)により、各出力chと、ミキサエンジンEa1,Eb1が属する部分ネットワークにおいてミキサエンジンEa1,Eb1に割り当てられている信号伝送chのいずれかとを対応付けておく。ミキサエンジンEa1,Eb1は、TLフレームを介さずに外部へ直接波形データを出力する出力部317も備えており、出力パッチ315により、いずれかの出力chをこの出力部317と対応付けることも可能である。
そして、ミキサエンジンEa1,Eb1は、出力パッチ315の設定に従い、各出力chで処理した後の波形データを、自身が属する部分ネットワークのTLフレームの、その出力chと対応付けられている信号伝送chの領域に書き込むか、出力部317から出力する。
また、各入出力装置IOa1,IOb1〜IOb3及びコンソールCa1,Cb1においは、パッチ304により、それらの機器の出力部305が備える端子と対応する任意の数の出力ポートに対し、それぞれその機器が属する部分ネットワークのTLフレーム中の信号伝送chのうち波形データが書き込まれている信号伝送chのいずれかを対応付けておく。ただし、ユーザはこの設定を行う際にも具体的な信号伝送chのIDを把握している必要はない。この点については後に詳述する。
そして、各入出力装置IOa1,IOb1〜IOb3及びコンソールCa1,Cb1は、パッチ304に設定されている対応関係に従ってTLフレームの各信号伝送chから読み出した波形データを出力部305から出力する。このときも、入力パッチ311の場合と同様、読み出す波形データの由来によらず同じように読み出して出力ポートに入力し、対応する出力端子から外部に出力することができる(DA変換してアナログ音響信号として出力する場合も、デジタル出力の場合もある)。
なお、接続ノードは、第1又は第2部分ネットワークと接続ネットワークとの2つのネットワークに属するが、パッチ304の設定に従って読み出す波形データは、基本的には第1又は第2部分ネットワークのTLフレームに書き込まれている波形データである。ただし、接続ネットワークのTLフレームに書き込まれている波形データも読み出せるようにしてもよい。
また、異なる部分ネットワークに属する機器に伝送すべき波形データは、パッチ306に設定されている対応付けに従って、接続ネットワークScを介してその部分ネットワークに伝送される。
ここで、パッチ306は1つのボックスで示しているが、この機能も、パッチ303の場合と同様、波形データを受信し外部に出力する入出力機器内のパッチだけでなく、波形データ送出側の部分ネットワークにおける接続ノードと、波形データ受信側の部分ネットワークにおける接続ノードとの協働により実現される。
例えば、図15の例で言えば、入出力装置IOa1は、該入出力装置においてなされているルーティングの設定に従い、第1部分ネットワークのTLフレームから、第2部分ネットワークに送信すべき波形データ(ここではミキサエンジンEa1により第1部分ネットワークのTLフレームに書き込まれた波形データ)を読み出して、接続ネットワークのTLフレームのうち、該入出力装置IOa1に割り当てられている波形伝送chの領域に書き込む。この動作は、図16において入出力装置IOb3の枠内に示したパッチ303の動作の一部に当たる。
そして、入出力装置IOb3は、該入出力装置においてなされているルーティングの設定に従い、入出力装置IOa1が接続ネットワークのTLフレームに書き込んだ波形データのうち、第2部分ネットワークに入力すべき波形データを、第2部分ネットワークのTLフレームのうち、該入出力装置IOb3に割り当てられている波形伝送chの領域に書き込む。
以上の動作により、第1部分ネットワークシステムSaに属する機器に入力した波形データ又は第1部分ネットワークシステムSaに属する機器が出力した波形データを第2部分ネットワークシステムSbに形成される第2部分ネットワーク伝送する、パッチ306による音響信号のブリッジが実現される。なお、この波形データを入出力装置IOb1,IOb2及びミキサエンジンEb1等の具体的な機器に供給するためには、これらの機器において、図16に示すパッチ304の設定として、第1部分ネットワークから伝送されてきた波形データを読み出す設定を行う必要がある。
なお、図15の例では、例えば入出力装置IOb3は第1部分ネットワークから伝送されてくる波形データを読み出さない設定となっているため、入出力装置IOb3を示すボックスを示していない。しかしもちろん、ルーティングの設定を変更して入出力装置IOb3も第1部分ネットワークから伝送されてくる波形データを読み出すようにすることも可能である。
以上のように、オーディオネットワークシステムSにおいては、接続ノードである入出力装置IOa1,IOb3が行うブリッジ動作により、TLフレームの伝送路が第1部分ネットワークと第2部分ネットワークに別れていても、所望の波形データについては、接続ネットワークをまたいだ信号伝送を容易に行うことができる。
この場合において、ルーティングの設定も容易に行うことができるが、この点については後述する。
また、各部分ネットワークシステムをループ接続している場合には、部分ネットワークシステム毎に1カ所の断線が生じても、断線が生じた部分ネットワークシステムを、カスケード接続のシステムとして信号伝送を継続させることができる。従って、オーディオネットワークシステムS全体を1つのループに接続する場合に比べ、断線に対する耐性を高めることができる。
また、伝送路の長さの制限は、TLフレームを循環させる部分ネットワークシステム毎に適用されるため、オーディオネットワークシステムS全体に1つのTLフレームを循環させる場合にくらべ、接続ケーブルを長くして、広範囲に各機器を設置することができる。
3.ルーティングの設定について
ところで、既に述べた通り、オーディオネットワークシステムSにおいては、ルーティングの設定により、波形データをどのような経路で伝送するかを規定する。この設定は、ユーザが、上述した入力パッチ設定画面や出力パッチ設定画面を用いて、送信側の機器の設定(送信設定)と受信側の機器の設定(受信設定)とを一括で行うこともできるし、機器毎の個別パッチ設定画面を用いて、その機器の設定(送信設定、受信設定、ないし機器内の接続設定)を個別に行うこともできる。なお、入力パッチ設定画面や出力パッチ設定画面では、ミキサエンジン内の接続設定を行うことも可能である。
そして、この設定を行う際、ユーザは、オーディオネットワークシステムS内を伝送される波形データを、オーディオネットワークシステムS内で一意に付された波形データの名称により識別して行うことができる。
以下、このルーティングの設定の手順及びその設定を各機器の動作に反映させるための処理について説明する。
まず、図17に、信号名設定テーブルの例を示す。
この信号名設定テーブルは、オーディオネットワークシステムSを構成する各機器に記憶させるものであり、その機器が備える各入力ポート及び出力chについて、その入力ポートから機器に入力する波形データ又は出力chから出力される波形データに信号名を設定するためのテーブルである。
この信号名は、ユーザが任意設定した名称を基本として、オーディオネットワークシステムS内でユニークな名称となるよう、自動生成した付加名称を加えたものとする。例えば、オーディオネットワークシステムSあるいはミキサシステムMSa,MSbでは、システム内の各機器に他の機器とかぶらないIDが付与されるので、ユーザが機器内で一意となる名称を入力し、その機器のIDを付加名称として付加すれば、システム内で一意の信号名とすることができる。
なお、信号名の設定は、機器がオーディオネットワークシステムSにおいて部分ネットワーク及び接続ネットワークを形成する前後及び形成中を問わず、任意のタイミングで行うことができる。また、音響信号の伝送を制御するコンソールCa1及びCb1のような制御装置が、各ノードに入力されるか又は各ノードで処理される各音響信号にユーザによって指定された信号名を付け、その信号名を、その音響信号を入力ポートから入力する装置又はその音響信号を出力chで処理する部分ネットワークにおけるミキサエンジンに対して通知することも考えられる。
次に、図18に、ルーティングテーブルの例を示す。
このルーティングテーブルも、オーディオネットワークシステムSを構成する各機器に記憶させるものであり、その機器が行う波形データ伝送処理の内容を規定するテーブルである。ここでいう波形データ伝送には、TLフレームに対する書き込み(送信設定)、TLフレームからの読み出し(受信設定)、および、TLフレームを介さない機器内部での伝送(接続設定:例えば図15における入力部316から入力ch部312への伝送)も含む。
このルーティングテーブルに登録するデータのうち、1行分のデータが1つのルーティング設定を示し、IDは各行の設定を識別するための識別情報である。
供給元は、波形データをどこから供給するかを示す情報である。ここには、機器の入力ポート番号、出力ch番号及び、該当機器が属するネットワークのいずれか(部分ネットワーク又は接続ネットワークを特定する情報)を設定することができる。
信号名は、供給元から供給される波形データの信号名を示す情報である。供給元に入力ポート番号又は出力ch番号を設定する場合、信号名は信号名設定テーブルの内容に基づいて自動的に設定される。供給元にネットワークを設定する場合、そのネットワークのTLフレームから読み出し可能な波形データの信号名から1つ選択して設定する。
後述するように、各機器は、あるネットワークにおいてTLフレームに波形データを書き込む場合、どの信号伝送chにどの信号名の波形データを書き込むかを、そのネットワークに属する全ての機器に通知する。そして、通知された機器は、図22に示すようなchテーブルにこの対応関係を記憶させておく。従って、TLフレームからどの波形データを読み出すかを、そのTLフレームが巡回する部分ネットワークに関するchテーブルに記載された信号名から選択してルーティングテーブルに登録することができる。
次に、供給先は、波形データをどこへ供給するかを示す情報である。ここには、機器の出力ポート番号、入力ch番号及び、該当機器が属するネットワークのいずれかを設定することができる。
また、実現は、各ルーティング設定に係る信号伝送が実現できているか否かを示す情報である。ルーティングを設定しても、供給元として設定した入力ポートに対応する信号入力カードが装着されていなかったり、供給先として設定したネットワークにおいて信号伝送chが確保できなかったりした場合には、各ルーティング設定に係る信号伝送が実現できない可能性もあるためである。各機器は、定期的に各ルーティング設定に関する信号伝送の状況を確認し、「実現」の項目のデータをアップデートする。
なお、以上のルーティングテーブルにおいて、供給元と供給先の双方に同じネットワークを設定することはできないようにしている。この設定は、TLフレームから読み出した波形データをまた同じTLフレームに書き込むことを意味し、そのような信号伝送は単なる信号伝送chの無駄遣いだからである。
また、以上のようなルーティングの設定として、ある機器において供給元に入力ポート又は出力chを設定し、供給先に部分ネットワークを設定すると、その入力ポートから入力する波形データ又はその出力chから出力される波形データを、その機器が属する部分ネットワークのTLフレームに書き込み、その部分ネットワークに属する他の機器が読み出し可能な状態にする信号伝送の設定をしたことになる。
また、ある機器において信号名にその機器が属する部分ネットワークでTLフレームに書き込まれる信号名のいずれかを設定し(この場合供給元にその部分ネットワークが設定されることになる)、供給先に出力ポート又は入力chを設定すると、その信号名が示す波形データを、その出力ポートから出力する又は入力chに入力する信号伝送の設定をしたことになる。
接続ノードにおいては、上記と同様に部分ネットワークに代えて接続ネットワークを設定することにより、自機のポート又はchと接続ネットワークとの間で、他の部分ネットワークを介さずに信号伝送を行うこともできる。
また、接続ノードにおいて信号名に部分ネットワークでTLフレームに書き込まれる信号名のいずれかを設定し(この場合供給元にその部分ネットワークが設定されることになる)、供給先に接続ネットワークを設定すると、その信号名が示す波形データを、接続ネットワークを介して他の部分ネットワークに供給できるようブリッジする信号伝送の設定をしたことになる。
逆に、接続ノードにおいて信号名に接続ネットワークでTLフレームに書き込まれる信号名のいずれかを設定し(この場合供給元に接続ネットワークが設定されることになる)、供給先に部分ネットワークを設定すると、その信号名が示す波形データを、接続ノードが部分マスタとして制御する部分ネットワークに供給し、その部分ネットワークに属する他の機器が読み出し可能な状態にする信号伝送の設定をしたことになる。
以上のようなルーティングテーブルの設定は、該ルーティングテーブルに従って動作させる機器そのものを操作して行ってもよいが、コンソールCa1,Cb1など、他の機器を操作して行うこともできる。後者の場合、設定操作を検出した機器は、設定対象の機器に対し、設定操作の内容を伝達するコマンドを送信し、このコマンドを受信した機器が、コマンドに従って自身のルーティングテーブルの内容を更新する。
次に、図19乃至図21に、以上説明してきたルーティングの設定受付(個別のパッチ設定)及びその内容の反映のためにオーディオネットワークシステムSを構成する各機器が実行する処理のフローチャートを示す。
図19に示すのは、個別パッチ設定画面において供給元の設定指示を検出した場合の処理のフローチャートである。
オーディオネットワークシステムSを構成している状態であってもそうでなくても、オーディオネットワークシステムSを構成し得る音響信号処理装置10のCPU201は、自機のID=rのルーティングについて供給元をssに設定する操作(その旨を伝達するコマンドを含む)を検出すると、図19のフローチャートに示す処理を開始する。
そして、ssがネットワークでない場合(S101のNO)、ssは入力ポート又は出力chであるので、その入力ポート又は出力chと対応する信号名snを図17に示した信号名設定テーブルから取得する(S102)。
そして、設定を指示されたssをr番目のルーティングについての供給元SS(r)として、ステップS102で取得したsnを同信号名SN(r)としてルーティングテーブルに登録し(S103)、処理を終了する。
また、ステップS101で部分ネットワークであった場合、これが同じルーティングについての供給先SD(r)と同じでないことを確認する(S104)。
そして、同じでない場合、ssが示すネットワークと対応するchテーブルを検索し、該ネットワークから受信可能な波形データの信号名をユーザに提示してその中から供給元とする信号名snを選択させる(S105)。そして、ステップS103でss及びsnをルーティングテーブルに設定して処理を終了する。
ステップS104で同じである場合、ルーティングの設定を拒否して(S106)処理を終了する。この場合、メッセージ等によりユーザにその旨を通知することが好ましい。他の機器からのコマンドによる設定の場合、設定を拒否した旨の応答を返せばよい。
次に、図20に、個別パッチ設定画面において供給先の設定指示を検出した場合の処理のフローチャートを示す。
音響信号処理装置10のCPU201は、図19の場合と同様に、自機のr番目のルーティングについて供給先をsdに設定する操作を検出すると、図20のフローチャートに示す処理を開始する。
そして、sdがネットワークでない場合(S111のNO)、sdは出力ポート又は入力chであり、そのまま設定して問題ないので、設定を指示されたsdをr番目のルーティングについての供給先SD(r)としてルーティングテーブルに登録し(S112)、処理を終了する。
また、ステップS111で部分ネットワークであった場合、これが同じルーティングについての供給元SS(r)と同じでないことを確認する(S113)。そして、同じでない場合、やはりsdをそのまま設定して問題ないので、ステップS112でこの設定を行って処理を終了する。
ステップS113で同じである場合、ルーティングの設定を拒否して(S114)処理を終了する。この場合も、ユーザにその旨を通知することが好ましい。
以上の図19及び図20に示した処理により、各機器は、ユーザの指示に従ってルーティングテーブルの設定を行うことができる。
次に、図21に、ルーティングテーブルの内容を機器の動作に反映させる処理のフローチャートを示す。
音響信号処理装置10のCPU201は、該音響信号処理装置がオーディオネットワークシステムSを構成している状態では、定期的に図21のフローチャートに示す処理を実行し、自身が記憶するルーティングテーブルの内容を、ネットワークI/Fカード215における波形データの読み書きや、オーディオバス217における波形データの伝送の動作に反映させる。この場合において、入力パッチ設定画面や出力パッチ設定画面を用いて行った設定と、個別パッチ設定画面を用いて行った設定とを区別する必要はない。
図21の処理においてはまず、図18に示したルーティングテーブルを検索して未処理のルーティングを検出し、そのIDをrとする(S121)。そして、r=nullすなわち全てのルーティングについて処理が完了していて未処理のルーティングがみつからなければ(S122)、そのまま処理を終了するが、未処理のルーティングがみつかった場合には、そのID=rのルーティングに対応する動作の可否を確認するため、ステップS123以下の処理に進む。
そして、供給元SS(r)がネットワークでなければ、SS(r)が示す入力ポート又は出力chが存在することを確認する(S123,S124)。SS(r)がネットワークであれば、SS(r)が示すネットワークと対応するchテーブルを検索し、該ネットワークから信号名SN(r)の波形データが受信できることを確認する(S125)。
これらの確認ができれば(S126のYES)、次は供給先SD(r)の確認処理に進む。
そして、供給先SD(r)がネットワークでなければ、SD(r)が示す出力ポート又は入力chが存在することを確認する(S127,S128)。SD(r)がネットワークであれば、SD(r)が示すネットワークの信号伝送chを、ID=rのルーティングと対応する書き込みのために確保する、又は確保されていることを確認する(S129)。
これらの確認ができれば(S130のYES)、ID=rのルーティングを音響信号処理装置10の動作に反映させることが可能であることがわかるので、その設定に従った信号伝送を、適当なパッチに設定する(S131)と共に、そのルーティングが実現されている旨をルーティングテーブルに登録する(S132)。
また、SD(r)がネットワークである場合には、信号出力先のネットワークに属する各機器に、ステップS131で設定した信号伝送に係る波形データの信号名と書き込み先信号伝送chを通知する(S133,S134)。
ステップS134での通知を受けた各機器は、不図示の処理により、通知の内容を図22に示すchテーブルに反映させ、通知に係るネットワークにおいて、どの信号伝送chからどの信号名の波形データを受信できるかを把握できるようにする。このchテーブルは、図19のステップS105や、図21のステップS125の処理で参照するものである。
また、図21のステップS126又はS130でNOの場合、ID=rのルーティングに従った信号伝送はできないことがわかるため、パッチにもしそのルーティングと対応する設定があればそれを解除し(S135)、そのルーティングが未実現である旨をルーティングテーブルに登録する(S136)。
そして、以上のいずれの場合もステップS121に戻って処理を繰り返す。
以上の処理により、各機器は、ルーティングテーブルの内容を、その機器の動作に反映させることができる。
従って、オーディオネットワークシステムSは、以下の(1a)から(1d)の処理を実行することにより、第1部分ネットワークシステムSaに形成される部分ネットワークにおいて伝送される音響信号を第2部分ネットワークシステムSbに形成される部分ネットワークに転送する動作を開始することができる。
(1a)コンソールCa1(第1部分ネットワークシステムSaにおける音響信号の伝送を制御する第1制御装置)が、第1接続ノードが第1部分ネットワークシステムSaに形成される部分ネットワークから受信可能な音響信号のうち1以上の音響信号を選択し、第1接続ノードである入出力装置IOa1に対し、その選択した音響信号の各々を特定する信号名を設定する処理を、部分ネットワークから接続ネットワークへの上述のルーティングの設定として行う(図19のステップS105及び図22のchテーブルを参照)。
(1b)上記(1a)において入出力装置IOa1に設定された信号名に基づき、入出力装置IOa1が、接続ネットワークにおける複数の伝送chのうち1以上の伝送chを確保し、その確保した信号伝送chを用いて上記の設定された信号名により特定される音響信号を接続ネットワークへ送信し、第2接続ノードである入出力装置IOb3及びコンソールCb1(第2部分ネットワークシステムSbにおける音響信号の伝送を制御する第2制御装置)に対し、上記確保した信号伝送chの各々と関連付ける信号名を通知する処理を、図13のステップS81乃至S83を参照して説明した通り行う。この処理は、図21を用いて説明した処理を経て、(1a)において設定したルーティングに従った音響信号の送信を入出力装置IOa1において開始するものである。特に、上記の信号名の通知は、図13のステップS83及び図21のステップS134において行う処理である。
(1c)コンソールCb1が、(1b)において入出力装置IOa1から通知された信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、入出力装置IOb3に対し、その選択した音響信号を特定する信号名を設定する処理を、接続ネットワークから部分ネットワークへの上述のルーティングの設定として行う(図19のステップS105及び図22のchテーブルを参照)。
(1d)上記(1c)において入出力装置IOb3に設定された信号名に基づき、入出力装置IOb3が、接続ネットワークのその設定された信号名と関連付けられた信号伝送chの音響信号を受信して、その受信した音響信号を前記第2部分ネットワークシステムSbに形成される部分ネットワークへ送信する処理を、図13のステップS93及びS94を用いて説明した処理として行う。この処理は、図21を用いて説明した処理を経て、(1c)において設定したルーティングに従った音響信号の送信を入出力装置IOb3において開始するものである。
あるいは、オーディオネットワークシステムSは、以下の(2a)から(2f)の処理を実行することにより、上記の転送動作を開始することができる。
(2a)コンソールCa1が、第1部分ネットワークシステムSaを構成するノードから通知された信号名により特定される音響信号の中から1以上の音響信号を選択し、入出力装置IOa1に対し、その選択した音響信号の各々を特定する信号名を設定する処理を、部分ネットワークから接続ネットワークへの上述のルーティングの設定として行う(図19のステップS105及び図22のchテーブルを参照)。なお、第1部分ネットワークシステムSaを構成する各ノードは、図21のステップS134において、同じ第1部分ネットワークシステムSaを構成する各ノードに対し、自身が第1部分ネットワークに送信する音響信号の信号名を通知する。
(2b)入出力装置IOa1が、上記(2a)による信号名の設定に基づき、設定された信号名に関連付けられた信号伝送chで伝送される音響信号を第1部分ネットワークシステムSaに形成される部分ネットワークから受信する。この処理は、上述の(1b)のうち、音響信号の受信に係る処理と対応する。
(2c)入出力装置IOa1が、接続ネットワークの1以上の伝送チャンネルを確保し、上記(2b)において受信した音響信号を、その確保した伝送チャンネルを用いて接続ネットワークに送信し、入出力装置IOb3及びコンソールCb1に対し、その確保した伝送チャンネルの各々と関連付けられるべき、上記(2a)で入出力装置IOa1に設定された信号名を通知する。この処理は、上述の(1b)のうち、音響信号の送信に係る処理と対応する。
(2d)コンソールCb1が、上記(2c)において入出力装置IOa1から通知された信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、入出力装置IOb3に対し、その選択した音響信号を特定する信号名を設定する。この処理は、上述の(1c)の処理と対応する。
(2e)上記(2d)において入出力装置IOb3に設定された信号名に基づき、入出力装置IOb3が、接続ネットワークのその設定された信号名と関連付けられた信号伝送chの音響信号を受信する。この処理は、上述の(1d)のうち、音響信号の受信に係る処理と対応する。
(2f)入出力装置IOb3が、第2部分ネットワークシステムSbに形成される部分ネットワークの信号伝送chを確保し、その確保した信号伝送chを用いて、上記(2e)において受信した音響信号を、第2部分ネットワークシステムSbに形成される部分ネットワークへ送信し、第2部分ネットワークシステムSbを構成する各ノード及びコンソールCb1に対し、上記の確保した伝送チャンネルと関連付けられるべき、上記(2d)で入出力装置IOb3に設定された信号名を通知する。この処理は、上述の(1d)のうち、音響信号の送信に係る処理と対応する。なお、入出力装置IOb3も含め、第2部分ネットワークシステムSbを構成する各ノードは、図21のステップS134において、同じ第2部分ネットワークシステムSbを構成する各ノードに対し、自身が第2部分ネットワークに送信する音響信号の信号名を通知する。
さらに、オーディオネットワークシステムSは、以下の(g)及び(h)の処理を行うことにより、第2部分ネットワークシステムSbを構成する一のノードが第2部分ネットワークから音響信号を受信する動作を開始することができる。
(g)コンソールCb1が、第2部分ネットワークシステムSbを構成するノードから通知された信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、上記一のノードに対し、その選択した音響信号を特定する信号名を設定する処理を、部分ネットワークから出力ポート又は入力chへの上述のルーティングの設定として行う(図19のステップS105及び図22のchテーブルを参照)。なお、第2部分ネットワークシステムSbに属する入出力装置IOb3は、同じ第2部分ネットワークシステムSbを構成する各ノードに対し、第1部分ネットワークシステムSaから転送され、その後入出力装置IOb3によって第2部分ネットワークシステムSbへ送信される音響信号の信号名を通知する。したがって、接続ノードを介して伝送されるこれら音響信号を、同じ第2部分ネットワークシステムSb内の他のノードから転送される音声信号を選択する場合と同様に選択できる。
(h)上記(g)において上記一のノードに設定された信号名に基づき、上記一のノードが、上記第2部分ネットワークシステムSbに形成される第2部分ネットワークから、上記の設定された信号名と関連付けられた信号伝送chの音響信号を受信する。この処理は、図21を用いて説明した処理を経て、(g)において設定したルーティングに従った音響信号の送信を上記一のノードにおいて開始するものである。
さらに、オーディオネットワークシステムSは、以下の(i)乃至(k)の処理を行うことにより、第1部分ネットワークシステムSaを構成する一のノードが部分ネットワークへ音響信号を送信する動作を開始することができる。
(i)コンソールCa1が、図17を用いて説明した通り、上記一のノードに入力されるか又は上記一のノードで処理される各音響信号に信号名を付け、その信号名を上記一のノードに通知する。
(j)コンソールCa1が、上記一のノードに入力されるか又は上記一のノードで処理される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、上記一のノードに対し、その選択した音響信号を送信するよう命令する処理を、入力ポート又は出力chから部分ネットワークへの上述のルーティングの設定として行う(図19のステップS102を参照)。
(k)上記(j)の命令に基づき、上記一のノードが上記第1部分ネットワークシステムSaに形成される部分ネットワークの信号伝送chを確保し、その確保した信号伝送chを用いて、上記(j)で選択された音響信号を第1部分ネットワークシステムSaに形成される部分ネットワークへ送信し、第1部分ネットワークシステムSaを構成する各ノード及びコンソールCa1に対し、上記確保した信号伝送chと関連付けられるべき、その選択された音響信号の信号名を通知する。この処理は、図21を用いて説明した処理を経て、(j)において設定したルーティングに従った音響信号の送信を上記一のノードにおいて開始するものである。特に、上記の信号名の通知は、図21のステップS134において行う処理である。
また、以上説明したようなルーティング設定方式によれば、部分ネットワークから接続ネットワークへの信号送出と、接続ネットワークから部分ネットワークへの信号取り込みとを独立して設定できるため、部分ネットワーク毎に、他の部分ネットワークにおいてなされている設定の内容を意識せずに設定が可能であり、また、簡単な処理でルーティング設定の内容を実際の信号伝送に反映させることができる。
例えば、ある機器がネットワークへ出力した1chの音響信号を、別の部分ネットワークシステムの多数の機器が取り込んで発音に用いるような場合でも、部分ネットワークをまたぐ信号伝送の設定は、出力側と取り込み側の組み合わせ1つずつについて行う必要がなく、出力側の1chについてのみ行えばよい(取り込み側は、接続ネットワークをまたいで伝送されてきた音響信号を取り込む設定のみを行えばよい)。従って、音響の出力側と取り込み側の複数の組み合わせについて、一部の信号伝送経路を容易に共用することができる。
また、このような設定方式は、どの機器が、またいくつの機器が実際に波形データを読み出すかを気にせずTLフレームに波形データを書き込んでネットワークに送出できる、上記の実施形態で説明してきた各部分システムの構成と親和性が高い。
4.リモート制御について
次に、オーディオネットワークシステムSを構成する機器を、別の機器からリモート制御する場合に各機器が行う動作について説明する。
オーディオネットワークシステムSにおいては、上述したように、各部分ネットワークシステムに対して一意なネットワークIDを付している。そして、オーディオネットワークシステムSを構成する機器をリモート制御するための制御装置であるコンソールCa1,Cb1において、その制御対象を、ネットワークIDを指定することにより1つの部分ネットワークシステムに限定し、その部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークにおける音響信号の伝送についてのみ、リモート制御ができるようにしている。
ただし、コンソールが属する部分ネットワークと、制御対象とする部分ネットワークとが同じである必要はなく、また、制御対象とする部分ネットワークを手動で変更できるようにしてもよい。
また、ここでいうリモート制御には、レベル調整量や信号オンオフなど、信号処理内容を規定するパラメータの設定の他、信号名やルーティングの設定も含まれる。
ここで、図23に、制御装置がリモート制御操作を検出した場合に実行する処理のフローチャートを示す。
制御装置として機能する音響信号処理装置10のCPU201は、ユーザが操作子206により他の機器をリモート制御する操作を行ったことを検出すると、図23のフローチャートに示す処理を開始する。
そして、まず検出した操作に係る制御対象の機器を特定する(S141)。この特定は、現在どの機器に関する設定操作を受け付ける状態であるか、などに基づいて行うことができるが、多くの場合、ユーザが行った操作がリモート制御に関するものであることを認識した時点で、どの機器に対するリモート制御操作であるかも認識できるものと考えられる。
次に、検出した操作内容に応じて、制御装置内のカレントメモリの内容を更新する(S142)。制御装置として機能する音響信号処理装置10は、リモート制御に関する表示のレスポンスをよくするため、各機器に対応するカレントメモリを用意して、リモート制御の対象となる全ての機器におけるカレントメモリ(信号名設定テーブル及びルーティングテーブルを含む)の内容と同じ内容を記憶すると共に、その内容についてリモート制御の対象機器と同期を取っており、リモート制御操作に応じてまず自機のカレントメモリの内容を更新して、制御対象の機器に操作内容を通知する前に先に結果を表示できるようにしている。
次に、CPU201は、ステップS141で特定した制御対象の機器に宛てて、検出した制御操作の内容に現在制御対象として設定されている部分ネットワークシステムのネットワークIDを付した制御操作通知を生成し、これを自機が属する部分ネットワークシステムのTLフレームに書き込んで送信する(S143)。この通知は、ここではイーサネットフレームとして生成し、イーサネットフレーム領域106に書き込んで送信する。また、制御操作通知の宛先は、IPアドレスや機器IDなどにより指定することができるが、これらの情報は、部分ネットワークシステム内で一意のものであれば、オーディオネットワークシステムS内で一意である必要はない。
そして、ステップS143の後、送信した制御操作通知に対するレスポンスを待ち、そのレスポンスに応じて、ステップS142でのカレントメモリの内容更新を確定又は取り消しし(S144)、処理を終了する。
また、図24に、制御操作通知を受信した機器が実行する処理のフローチャートを示す。
オーディオネットワークシステムSを構成する各機器は、受信したTLフレームのイーサネットフレーム領域106の内容は、そこに記載されているフレームの宛先に関わらず全て読み出し、読み出した後で不要であれば廃棄する。従って、制御装置が図23のステップS143で送信した制御操作通知は、少なくとも制御装置と同じ部分ネットワークに属する全ての機器が受信する。
そして、この制御操作通知を受信した機器のCPU201は、図24のフローチャートに示す処理を開始する。
この処理において、CPU201は、制御操作通知の宛先を確認し(S151)、自機宛てである場合、制御操作通知に自機の属する部分ネットワークシステムのネットワークIDが付されているか否か確認する(S152)。
そして、付されていた場合、そのことをもって受信した制御操作通知は自機に対するリモート制御の内容を示すものと判断し、その通知が示す操作内容に応じて自機のカレントメモリの内容を更新する(S153)。操作内容が信号名設定テーブルやルーティングテーブルの更新を指示するものであった場合には、これらのテーブルの内容を更新する。
そして、ステップS153での更新結果を制御操作通知に対するレスポンスとして、制御操作通知の送信元である制御装置に送信し(S154)、処理を終了する。
ステップS152でシステムIDが異なる場合には、受信した制御操作通知は自機に対するリモート制御の内容を示すものではないと判断し、そのまま処理を終了する。
一方、ステップS151で自機宛でない場合、やはり受信した制御操作通知は自機に対するリモート制御の内容を示すものではないと判断し、自機が接続ノードでなければ(S155のNO)、そのまま処理を終了する。
しかし、自機が接続ノードであれば、必要に応じて他の部分ネットワークへの転送のための処理を行う。すなわち、制御操作通知を受信したネットワークが部分ネットワークである場合(S156)、受信した制御操作通知を接続ネットワークを介して他の部分ネットワークに転送すべく、接続ネットワークのTLフレームに書き込んで送信し(S157)、処理を終了する。
また、制御操作通知を受信したネットワークが接続ネットワークである場合(S156)、制御操作通知に自機の属する部分ネットワークシステムのネットワークIDが付されているか否か確認する(S158)。そして、付されていれば、受信した制御操作通知は自機と同じ部分ネットワークに属する機器に受信させるべきものであると判断し、検出した制御操作通知を部分ネットワークのTLフレームに書き込んで送信し(S159)、処理を終了する。
なお、接続ノードがステップS159の処理を行った場合、制御操作通知は、送信元の制御装置が属するものとは異なる部分ネットワークにも到達し、これを受信した機器のCPU201も、図24のフローチャートに示す処理を開始することになる。
以上の図23及び図24の処理により、1台の制御装置によりリモート制御する範囲を1つの部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワーク内に限定し、制御範囲を物理的な結線の様子から確認し易い状態にすることができる。一方、制御対象の部分ネットワークシステムのIDを変更することにより、制御装置が属するものとは異なる部分ネットワークシステムの機器を制御することも可能であり、制御対象の選択について高い自由度を得ることができる。
例えば、オーディオネットワークシステムSをライブコンサートで用いる場合、第2部分ネットワークシステムSbの入出力装置IOb1〜IOb3、コンソールCb1、およびエンジンEb1をステージ袖に配置して、ミキサシステムMSbを、出演者への戻しのモニタ音をミキシングするためのモニタ用ミキサとして使用するとともに、第1部分ネットワークシステムSaのコンソールCa1、エンジンEa1、入出力装置IOa1を客席内に配置して、ミキサシステムMSaを、客席に放音されるメイン音をミキシングするFoH(フロントオブハウス)用ミキサとして使用することができる。さらに、接続ネットワークに第3部分ネットワークシステムSc(図示せず)を接続し、第3部分ネットワークシステムScに属するミキサエンジンを中心とするミキサシステムMSc(図示せず)を、ライブレコーディング用ないし生放送用のミキサとして使用することもできる。
このように、オーディオネットワークシステムSを、用途の異なるミキサシステムの複合体として動作させる場合、部分ネットワークシステムのIDによる制御対象の切り分けが有効である。
なお、オーディオネットワークシステムS内に複数の制御装置が存在する場合、複数のの制御装置から1つの機器をリモート制御できるようにすると、制御処理が混乱することが考えられるため、部分ネットワークシステム単位で制御対象を切り分けられるようにする構成は、このような混乱を防止する上でも効果的である。従って、制御対象の部分ネットワークシステムのIDについて複数の制御装置で同じIDを設定できないようにするとよい。
5.変形例
以上で実施形態の説明を終了するが、装置の構成、データの構成、採用する通信規格、サンプリング周期、具体的な処理内容等が上述の実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
例えば、上述の実施形態では、接続ノードは、複数のネットワークI/Fカードを要するため、他のノードとハードウェア上の要求が異なる旨の説明をした。しかし、電源ON中にカードの抜き差しが可能な規格であれば、システム内の適当なノードに後からネットワークI/Fカードを追加して接続ノードとして機能させられるようにすることも、考えられる。
逆に、各ネットワークI/Fカードを接続ネットワークへの接続に使用するか部分ネットワークへの接続に使用するかを予め設定できるようにしてもよい。このようにすれば、各ネットワークに関する設定を、ネットワークI/Fカードのハードウェアと対応付けて保持でき、設定内容の管理が容易になる。
また、オーディオネットワークシステムに接続するためのI/Fや信号処理のためのDSPなどを、カード状に形成して音響信号処理装置10の本体から着脱可能とすることも、必須ではない。
また、上述した実施形態においては、図21のステップS134で送出する波形データの信号名を通知し、図22に示したchテーブルでも信号名を登録する例について説明した。しかし、これに加えて信号供給元機器(波形データの最初の供給源となっている入力ポート又は出力chを有する機器)が属する部分ネットワークシステムのネットワークIDも通知し、chテーブルに登録するようにしてもよい。
このようにすれば、ルーティングの設定を行う際の信号選択において、ユーザがネットワークIDも参照しながら取り込む信号を選択することができ、信号選択が容易になる。
このような構成とする場合、第2制御装置は、第2接続ノードに通知されたネットワークID及び信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択する。そして、第2接続ノードに対して該選択する音響信号を特定するためのネットワークID及び信号名の設定をも行う。さらに、第2接続ノードは、接続ネットワークのその設定されたネットワークID及び信号名と関連付けられた信号伝送chの音響信号を受信する。
また逆に、「信号名」というパラメータは使用せず、信号供給元機器のIDや該機器が属する部分ネットワークシステムのネットワークID、波形データの供給源である入力ポート又は出力chのID等から、各chの波形データの由来を特定する名称を自動で生成し、その名称に基づいてユーザに波形データを選択させるようにすることも考えられる。
また、上述した実施形態においては、部分ネットワークシステムや接続ネットワークをループ接続により構成した場合の、2つの伝送路を循環するTLフレームの使い分け及び、この使い分けとブリッジ動作との関係について、詳細な説明をしなかったので、この点についてここで補足しておく。
まず、ネットワーク内の2つの伝送路においてそれぞれTLフレームを循環させる場合、その一方を用いてTLフレーム1つ分の信号伝送chの波形データを伝送する場合と、双方を別々の信号伝送chを備えたTLフレームと見て波形データの伝送に用いる場合とがある。
前者の場合、上述のように、ネットワークの1カ所で断線した場合でも、直ちにカスケード接続の動作に切り換え、それまでと同じch数の波形データ伝送を継続できるというメリットがある。後者の場合、前者の2倍の信号伝送chを使用可能であるというメリットがある。
ここで、後者の場合、ネットワークの1カ所で断線し、カスケード接続の動作に切換が起こった場合、使用可能な信号伝送chの数が半減するため、それまで伝送できていた波形データが伝送できなくなる事態があり得る。そしてこの場合、図21に示したルーティング更新処理により、各機器で設定されているルーティングをカスケード接続で提供される信号伝送ch数の範囲で各機器の動作に反映させるよう、信号伝送chの割り当て等を見直すことになる。
ただし、オーディオネットワークシステムSにおいては、部分ネットワーク及び接続ネットワーク毎に信号伝送chの数が異なっていてもよいので、一つのネットワークで信号伝送chの数が減少したからといって、他のネットワークの信号伝送chの数に影響を及ぼすことはない。しかし、上記のルーティングの見直しに伴い、それまであるネットワークから受信できていた波形データが受信できなくなる、といった変化はあり得る。
また、図23及び図24を用いて説明した制御装置を、部分ネットワークシステムの外に置くことも考えられる。このような構成であっても、部分ネットワークシステムに属する特定の機器と制御装置とを相互に通信可能なように接続し、制御装置が送信する制御操作通知を、接続ノードによるブリッジ(図24のステップS156乃至S159の処理)が許可されているプロトコルでラップして上記特定の機器に送信し、該特定の機器から部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワーク転送してもらうトンネリングを行えば、制御装置が部分ネットワークシステム内にある場合と同様な動作が可能である。
また、逆に、制御装置が部分ネットワークシステムに属するようにする場合であっても、接続ノードに、制御操作通知のブリッジをさせないようにすれば、制御操作通知にネットワークIDを付加しなくても、部分ネットワークシステム毎の制御の分離を実現することができる。
また、3つ以上の部分ネットワークを接続ネットワークにより接続する場合であっても、上述した実施形態と同様な処理により、波形データ及び制御データのブリッジを実現することができる。
以上説明してきた変形及び実施形態の説明において述べた変形は、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて適用可能である。また逆に、ネットワークシステム及び音響信号処理装置が実施形態の説明において述べた特徴を全て有している必要もない。
以上の説明から明らかなように、この発明のネットワークシステムによれば、シンプルな操作及び制御により、リング状の伝送路にフレームを定期的に循環させて音響信号の伝送を行うネットワークシステムを複数接続して、システムを跨いだ音響信号伝送を、シンプルな操作かつ制御で実現できるようにすることができる。
従って、この発明を適用することにより、ネットワークシステムの利便性を向上させることができる。
Ca1,Cb1…コンソール、Ea1,Eb1…ミキサエンジン、IOa1,IOb1〜IOb3…入出力装置、S…オーディオネットワークシステム、Sa…第1部分ネットワークシステム、Sb…第2部分ネットワークシステム、Sc…接続ネットワーク、10…音響信号処理装置、11,14…第1、第2受信I/F、12,13…第1,第2送信I/F、21〜24…セレクタ、25,26…折り返しライン、31,32…第1,第2データ入出力部、100…TLフレーム

Claims (10)

  1. それぞれカスケード接続又はループ接続された複数のノードからなり、該複数のノード間で複数の音響信号を伝送する部分ネットワークを形成する第1部分ネットワークシステムと第2部分ネットワークシステムとを備え、前記第1部分ネットワークシステムが備える第1接続ノードと、前記第2部分ネットワークシステムが備える第2接続ノードとが互いに接続されて、該第1接続ノードと該第2接続ノードとの間で複数の伝送チャンネルを用いて複数の音響信号を伝送する接続ネットワークを形成するネットワークシステムであって、
    さらに、前記第1部分ネットワークシステムにおける音響信号の伝送を制御する第1制御装置と、前記第2部分ネットワークシステムにおける音響信号の伝送を制御する第2制御装置とを備え、
    以下の(a)乃至(d)の処理を行うことにより、前記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークにおいて伝送される音響信号を前記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークに転送する動作を開始することを特徴とするネットワークシステム。
    (a)前記第1制御装置が、前記第1接続ノードが前記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークから受信可能な音響信号のうち1以上の音響信号を選択し、前記第1接続ノードに対し、該選択した音響信号の各々を特定する信号名を設定する、
    (b)前記(a)において前記第1接続ノードに設定された信号名に基づき、前記第1接続ノードが、前記接続ネットワークにおける前記複数の伝送チャンネルのうち1以上の伝送チャンネルを確保し、該確保した伝送チャンネルを用いて前記設定された信号名により特定される音響信号を前記接続ネットワークへ送信し、前記第2接続ノード及び前記第2制御装置に対し、前記確保した伝送チャンネルの各々と関連付けられるべき信号名を通知する、
    (c)前記第2制御装置が、前記(b)において前記第1接続ノードから通知された信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、前記第2接続ノードに対し、該選択した音響信号を特定する信号名を設定する、
    (d)前記(c)において前記第2接続ノードに設定された信号名に基づき、前記第2接続ノードが、前記接続ネットワークの該設定された信号名と関連付けられた伝送チャンネルの音響信号を受信して、該受信した音響信号を前記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークへ送信する。
  2. 請求項1に記載のネットワークシステムであって、
    前記第1部分ネットワークシステム及び前記第2部分ネットワークシステムはそれぞれネットワークIDを有し、
    前記(b)の処理において、前記第1接続ノードが、前記第2接続ノードに対し、前記確保した伝送チャンネルの各々と関連付けられるべき信号名に加えて前記第1部分ネットワークシステムのネットワークIDを通知し、
    前記(c)の処理において、前記第2制御装置が、前記(b)において前記第1接続ノードから前記第2接続ノードに通知されたネットワークID及び信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、前記第2接続ノードに対し、該選択した音響信号を特定するネットワークID及び信号名を設定し、
    前記(d)の処理において、前記(c)において前記第2接続ノードに設定されたネットワークID及び信号名に基づき、前記第2接続ノードが、前記接続ネットワークの該設定されたネットワークID及び信号名と関連付けられた伝送チャンネルの音響信号を受信することを特徴とするネットワークシステム。
  3. 請求項1又は2に記載のネットワークシステムであって、
    前記接続ネットワークにおいて、前記第1接続ノードと前記第2接続ノードを通るリング状の伝送路が形成され、前記複数の伝送チャンネルを有するフレームが前記リング状の伝送路に沿って周期的に循環し、前記第1接続ノード及び第2接続ノードの一方が前記フレームの前記伝送チャンネルに音響信号を書き込むことにより音響信号の送信を行い、前記第1接続ノード及び第2接続ノードの他方が該フレームの該伝送チャンネルから音響信号を読み出すことにより音響信号の受信を行うことを特徴とするネットワークシステム。
  4. それぞれカスケード接続又はループ接続された複数のノードからなり、該複数のノード間で複数の伝送チャンネルを用いて複数の音響信号を伝送する部分ネットワークを形成する第1部分ネットワークシステムと第2部分ネットワークシステムとを備え、前記第1部分ネットワークシステムが備える第1接続ノードと、前記第2部分ネットワークシステムが備える第2接続ノードとが互いに接続されて、該第1接続ノードと該第2接続ノードとの間で複数の伝送チャンネルを用いて複数の音響信号を伝送する接続ネットワークを形成するネットワークシステムであって、
    さらに、前記第1部分ネットワークシステムにおける音響信号の伝送を制御する第1制御装置と、前記第2部分ネットワークシステムにおける音響信号の伝送を制御する第2制御装置とを備え、
    前記第1部分ネットワークシステムの各ノードが前記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークの1以上の伝送チャンネルを確保し、該確保した伝送チャンネルを用いて1以上の音響信号を前記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークへ送信し、前記第1部分ネットワークシステムを構成する各ノード及び前記第1制御装置に対し、前記確保した伝送チャンネルの各々と関連付けられるべき信号名を通知し、
    以下の(a)乃至(f)の処理を行うことにより、前記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークにおいて伝送される音響信号を前記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークに転送する動作を開始することを特徴とするネットワークシステム。
    (a)前記第1制御装置が、前記第1部分ネットワークシステムを構成するノードから通知された信号名により特定される音響信号の中から1以上の音響信号を選択し、前記第1接続ノードに対し、該選択した音響信号の各々を特定する信号名を設定する、
    (b)前記第1接続ノードが、前記(a)による信号名の設定に基づき、該設定された信号名に関連付けられた伝送チャンネルで伝送される音響信号を前記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークから受信する、
    (c)前記第1接続ノードが、前記接続ネットワークの1以上の伝送チャンネルを確保し、前記(b)において受信した音響信号を、該確保した伝送チャンネルを用いて前記接続ネットワークに送信し、前記第2接続ノード及び前記第2制御装置に対し、前記確保した伝送チャンネルの各々と関連付けられるべき、前記(a)で前記第1接続ノードに設定された信号名を通知する、
    (d)前記第2制御装置が、前記(c)において前記第1接続ノードから通知された信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、前記第2接続ノードに対し、該選択した音響信号を特定する信号名を設定する、
    (e)前記(d)において前記第2接続ノードに設定された信号名に基づき、前記第2接続ノードが、前記接続ネットワークの該設定された信号名と関連付けられた伝送チャンネルの音響信号を受信し、
    (f)前記第2接続ノードが、前記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークの伝送チャンネルを確保し、その確保した伝送チャンネルを用いて、前記(e)において受信した音響信号を、前記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークへ送信し、前記第2部分ネットワークシステムを構成する各ノード及び前記第2制御装置に対し、前記確保した伝送チャンネルと関連付けられるべき、前記(d)で前記第2接続ノードに設定された信号名を通知する。
  5. 請求項4に記載のネットワークシステムであって、
    前記第1部分ネットワークシステム及び前記第2部分ネットワークシステムはそれぞれネットワークIDを有し、
    前記(c)の処理において、前記第1接続ノードが、前記第2接続ノード及び前記第2制御装置に対し、前記確保した伝送チャンネルの各々と関連付けられるべき信号名に加えて前記第1部分ネットワークシステムのネットワークIDを通知し、
    前記(d)の処理において、前記第2制御装置が、前記(c)において前記第1接続ノードから通知されたネットワークID及び信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、前記第2接続ノードに対し、該選択した音響信号を特定するネットワークID及び信号名を設定し、
    前記(e)の処理において、前記(d)において前記第2接続ノードに設定されたネットワークID及び信号名に基づき、前記第2接続ノードが、前記接続ネットワークの該設定されたネットワークID及び信号名と関連付けられた伝送チャンネルの音響信号を受信することを特徴とするネットワークシステム。
  6. 請求項4又は5に記載のネットワークシステムであって、
    前記第1部分ネットワークシステム及び第2部分ネットワークシステムの各々において、該部分ネットワークシステムを構成する前記複数のノードの全てを通るリング状の伝送路が形成され、複数の伝送チャンネルを有するフレームが前記リング状の伝送路に沿って周期的に循環し、前記部分ネットワークは、一のノードが前記循環するフレームの伝送チャンネルに音響信号を書き込み、他のノードが該循環するフレームの該伝送チャンネルから音響信号を読み出すことにより、前記一のノードから前記他のノードへ音響信号を転送することを特徴とするネットワークシステム。
  7. 請求項4乃至6のいずれか一項に記載のネットワークシステムであって、
    以下の(g)及び(h)の処理を行うことにより、前記第2部分ネットワークシステムを構成する一のノードが前記部分ネットワークから音響信号を受信する動作を開始することを特徴とするネットワークシステム。
    (g)前記第2制御装置が、前記第2部分ネットワークシステムを構成するノードから通知された信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、前記一のノードに対し、該選択した音響信号を特定する信号名を設定する、
    (h)前記(g)において前記一のノードに設定された信号名に基づき、前記一のノードが、前記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークから、前記設定された信号名と関連付けられた伝送チャンネルの音響信号を受信する。
  8. 請求項4乃至6のいずれか一項に記載のネットワークシステムであって、
    以下の(g)及び(h)の処理を行うことにより、前記第1部分ネットワークシステムを構成する一のノードが前記部分ネットワークから音響信号を受信する動作を開始することを特徴とするネットワークシステム。
    (g)前記第1制御装置が、前記第1部分ネットワークシステムを構成するノードから通知された信号名により特定される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、前記一のノードに対し、該選択した音響信号を特定する信号名を設定する、
    (h)前記(g)において前記一のノードに設定された信号名に基づき、前記一のノードが、前記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークから、前記設定された信号名と関連付けられた伝送チャンネルの音響信号を受信する。
  9. 請求項4乃至6のいずれか一項に記載のネットワークシステムであって、
    以下の(i)乃至(k)の処理を行うことにより、前記第1部分ネットワークシステムを構成する一のノードが部分ネットワークへ音響信号を送信する動作を開始することを特徴とするネットワークシステム。
    (i)前記第1制御装置が、前記一のノードに入力されるか又は前記一のノードで処理される各音響信号に信号名を付け、該信号名を前記一のノードに通知する、
    (j)前記第1制御装置が、前記一のノードに入力されるか又は前記一のノードで処理される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、前記一のノードに対し、該選択した音響信号を送信するよう命令する、
    (k)前記(j)の命令に基づき、前記一のノードが前記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークの伝送チャンネルを確保し、該確保した伝送チャンネルを用いて、前記(j)で選択された音響信号を前記第1部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークへ送信し、前記第1部分ネットワークシステムを構成する各ノード及び前記第1制御装置に対し、前記確保した伝送チャンネルと関連付けられるべき、該選択された音響信号の信号名を通知する。
  10. 請求項4乃至6のいずれか一項に記載のネットワークシステムであって、
    以下の(i)乃至(k)の処理を行うことにより、前記第2部分ネットワークシステムを構成する一のノードが部分ネットワークへ音響信号を送信する動作を開始することを特徴とするネットワークシステム。
    (i)前記第2制御装置が、前記一のノードに入力されるか又は前記一のノードで処理される各音響信号に信号名を付け、該信号名を前記一のノードに通知する、
    (j)前記第2制御装置が、前記一のノードに入力されるか又は前記一のノードで処理される音響信号の中から任意の音響信号を選択し、前記一のノードに対し、該選択した音響信号を送信するよう命令する、
    (k)前記(j)の命令に基づき、前記一のノードが前記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークの伝送チャンネルを確保し、該確保した伝送チャンネルを用いて、前記(j)で選択された音響信号を前記第2部分ネットワークシステムに形成される部分ネットワークへ送信し、前記第2部分ネットワークシステムを構成する各ノード及び前記第2制御装置に対し、前記確保した伝送チャンネルと関連付けられるべき、該選択された音響信号の信号名を通知する。
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