JP5267060B2 - 音響信号処理システム - Google Patents

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Description

この発明は、複数の装置間で音響信号のリアルタイム伝送を行う機能を有する音響信号処理システムに関する。
従来から、複数のミキサエンジンに並行して同一の動作をさせておき、通常時はその一方のミキサエンジンによるミキシングの結果を出力として使用する一方、使用中のミキサエンジンに異常が生じた場合に、他のミキサエンジンによるミキシングの結果を出力として使用するようにしたミキサシステムが知られている。
このようなミキサシステムによれば、用意したミキサエンジンの1つが故障したとしても、すぐに他のミキサエンジンをバックアップとして使用でき、いわゆるフォールトトレラントなシステムを実現することができる。
このようなミキサシステムについては例えば特許文献1に記載されている。
特開2003−101442号公報
また、フォールトトレラントなシステムの構築は、WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)サーバ、オンラインシステム、ルータなどを運用する場合において、システムに特に問題がない場合に処理を行う機器と、そのバックアップを行う機器とを用意しておき、使用中の機器に問題が生じたらバックアップの機器にその動作を引き継がせるといった手法で行うことも知られている。
また、これらの技術とは別に、従来から、複数のノード間で音響信号の伝送を行うためのオーディオネットワークシステムが知られており、コンサート、演劇、音楽製作、構内放送等において用いられている。このようなオーディオネットワークシステムの例としては、以下の非特許文献1,2に記載のような、CobraNet(商標),EtherSound(商標)が知られている。
「CobraNet(TM)」、[online]、バルコム株式会社、[平成18年3月21日検索]、インターネット<URL:http://www.balcom.co.jp/cobranet.htm> Carl Conrad、「EtherSound(TM) in a studio environment」、[online]、Digigram S.A.、[平成18年3月21日検索]、インターネット<URL:http://www.ethersound.com/news/getnews.php?enews_key=101>
しかしながら、フォールトトレラントなシステムを実現するに当たり、特許文献1に記載の技術を採用するとすると、各入力ユニットや出力ユニットから各々2台のミキサエンジンにケーブルを接続する必要があった。すなわち、信号処理に最低限必要な1台のミキサエンジンを用いて信号処理を行う場合に比べ、配線の手間が2倍になってしまうという問題があった。
また、非特許文献1や非特許文献2に記載のように、多数のノード間で音響信号の伝送を行うオーディオネットワークシステムを構築する場合においては、効果的にフォールトトレラントなシステムを構築する方法は知られていない。WWWサーバ、オンラインシステム、ルータ等の通常のネットワーク機器で使用される手法をオーディオネットワークシステムに適用したとしても、このような従来の手法では、不具合の発生した機器の動作をバックアップの機器に引き継がせる処理に時間を要し、その間、数秒から数十秒に亘って信号伝送が途切れてしまうことが想定されるためである。
しかし、このような長時間信号伝送が途切れるようなシステムでは、音響信号伝送という用途の特性上、十分な性能とは言えない。コンサート等で使用する際には、使用中の機器の動作に不具合が生じた場合に、ほとんど人間の耳では感じられない程度の時間でバックアップの機器に動作を引き継がせることが要求されるためである。
この発明は、このような問題を解決し、音響信号を複数の装置間で伝送して信号処理を行う音響信号処理システムにおいて、一部の装置に異常が発生した場合でも信号処理を異常発生前と同じように継続できるようにする機能を、容易に実現できるようにすることを目的とする。
上記の目的を達成するため、この発明の音響信号処理システムは、それぞれ単方向に通信を行う2組の受信手段及び送信手段を備えた複数の装置を、ある装置の1組の受信手段及び送信手段を次の装置の1組の送信手段及び受信手段とそれぞれ接続することにより順次接続して構成され、複数の音響信号の記憶領域を備えた音声伝送フレームを、上記各装置間に形成されるループ状の伝送経路に沿って一定周期で循環させ、その各装置でその音声伝送フレームへ音響信号の書き込み及び/又は読み出しを行うことにより、上記複数の装置間で音響信号のリアルタイム伝送を行う機能を有し、上記複数の装置に、上記音声伝送フレームの第1の記憶領域から音響信号を読み出し、その音響信号に対し、所定の制御信号に従って定めたパラメータの値に従った信号処理を施し、その処理後の音響信号を上記音声伝送フレームの第2の記憶領域に書き込む1又は複数の第1の信号処理エンジンと、上記第1の信号処理エンジンの各々と対応し、上記音声伝送フレームの上記第1の記憶領域から音響信号を読み出し、その音響信号に対し、上記制御信号に従って定めたパラメータの値に従った信号処理であって対応する第1の信号処理エンジンが実行する信号処理と同じ信号処理を施す1又は複数の第2の信号処理エンジンとを含む音響信号処理システムにおいて、以下の構成としたものである。
すなわち、上記第2の信号処理エンジンを、その対応する第1の信号処理エンジンの直前又は直後に上記音声伝送フレームへの音響信号の書き込み及び/又は読み出しを行う位置に配置し、所定の切り替え指示があった場合に、その指示に係る第1の信号処理エンジンと対応する第2の信号処理エンジンが上記信号処理を施した後の音響信号が、上記音声伝送フレームの、対応する第1の信号処理エンジンの場合と同じ第2の記憶領域に書き込まれ、以後の処理に使用されるようにしたものである。
あるいは、上記第2の信号処理エンジンを、その対応する第1の信号処理エンジンの直前に上記音声伝送フレームへの音響信号の書き込み及び/又は読み出しを行う位置に配置し、上記第2の信号処理エンジンが、処理後の音響信号を対応する上記第1の信号処理エンジンの場合と同じ記憶領域に書き込むようにし、所定の切り替え指示があった場合に、その指示に係る第1の信号処理エンジンが、その時点で伝送中の音声伝送フレームの伝送完了後、次の音声伝送フレームから、上記第2の記憶領域への音響信号の書き込みを中止するようにしたものである。
あるいはまた、上記第2の信号処理エンジンを、その対応する第1の信号処理エンジンの直後に上記音声伝送フレームへの音響信号の書き込み及び/又は読み出しを行う位置に配置し、所定の切り替え指示があった場合に、その指示に係る第2の信号処理エンジンが、その時点で伝送中の音声伝送フレームの伝送完了後、次の音声伝送フレームから、上記信号処理を施した後の音響信号を、対応する上記第1の信号処理エンジンの場合と同じ記憶領域に書き込むようにしたものである。
また、上記の各音響信号処理システムにおいて、上記第1の信号処理エンジンに、その第1の信号処理エンジンの動作制御を行うCPU及びタイマを設け、上記CPUが、定期的に上記タイマのクリアを行い、上記タイマに、所定時間そのタイマがクリアされない場合にその第1の信号処理エンジンに係る上記切替え指示を自動生成する手段を設けるとよい。
さらに、上記コンソールが、ユーザの操作に応じて上記切り替え指示を生成し、その切り替え指示を、少なくとも、その切り替え指示に係る第1の信号処理エンジン及びその第1の信号処理エンジンと対応する第2の信号処理エンジンのうち下流側に配置された信号処理エンジンに送信するようにするとよい。
あるいは、上記の各音響信号処理システムにおいて、上記第1の信号処理エンジンに、その第1の信号処理エンジンの動作確認を行う動作確認部と、その動作確認部により動作の異常が検出されたときに、上記コンソールにその異常の発生を通知する異常通知部とを設けるとよい。
さらに、上記第1の信号処理エンジンに、上記動作確認部が異常を検出している時間が所定時間継続したことを検出したとき、その第1の信号処理エンジンに係る上記切替え指示を自動生成する手段を設けるとよい。
あるいはまた、上記の各音響信号処理システムにおいて、上記第1の信号処理エンジンと上記第2の信号処理エンジンのうち、上記伝送経路の上流側に位置する信号処理エンジンが、上記信号処理を施した後の音響信号を上記音声伝送フレームの上記第2の記憶領域に書き込み、下流側に位置する信号処理エンジンが、上記上流側に位置する信号処理エンジンが書き込んだ音響信号を上記音声伝送フレームの上記第2の記憶領域から読み出し、その下流側に位置する信号処理エンジンが上記信号処理を施した後の音響信号と比較することにより、両者の信号処理エンジンにおける信号処理の不一致を検出するようにするとよい。
以上のようなこの発明の音響信号処理システムによれば、音響信号を複数の装置間で伝送して信号処理を行う音響信号処理システムにおいて、一部の装置に異常が発生した場合でも信号処理を異常発生前と同じように継続できるようにする機能を、容易に実現することができる。また、その際、音声伝送フレームに音響信号を書き込む信号処理エンジンが入れ替わっても、同じ記憶領域に書き込みを行うので、その書き込まれた音響信号を読み出している他の装置は、入れ替えに応じて動作を変える必要はなく、それまでと同じ動作を続ければよい。
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
1. この発明の実施形態のオーディオネットワークシステムの概要
1.1 全体構成
まず、図1に、この発明の音響信号処理システムの実施形態であるオーディオネットワークシステムの概略を示す。
図1(a),(b)に示すように、このオーディオネットワークシステム1は、それぞれ単方向の通信を行う受信手段である受信インタフェース(I/F)と送信手段である送信I/Fの組を2組備えたノードA〜Cを、通信ケーブルCBで順次接続することにより構成したものである。ここでは3つのノードにより構成した例を示しているが、ノードの数は任意でよい。
ノードAにおいては、受信I/F_AR1と送信I/F_AT1が一組のI/Fで、受信I/F_AR2と送信I/F_AT2がもう一組のI/Fである。ノードB及びCについても、符号の先頭の文字「A」を「B」あるいは「C」に置き換えたI/Fが、同様な関係に当たる。
そして、ノード間の接続は、1組の受信I/F及び送信I/Fを、別のノードの1組の送信I/F及び受信I/Fとそれぞれ通信ケーブルCBで接続することにより行っている。例えば、ノードAとノードBとの間では、受信I/F_AR2と送信I/F_BT1とを接続すると共に、送信I/F_AT2と受信I/F_BR1とを接続している。また、ノードBとノードCとの間では、ノードBのもう1組のI/Fと、ノードCの1組のI/Fとを接続している。
なお、図1に示す各ノードは、システムの外部から供給されるアナログ又はデジタルの音響信号をシステムに入力する入力装置、システムにおいて処理された音響信号をシステムの外部に出力する出力装置、システムに入力された音響信号に対してミキシング,エフェクト付与等の信号処理を施す信号処理エンジン等である。ノード毎に機能が違っていても当然構わない。
ここで、(a)に示すように、各ノードを、端部を有する1本のラインのように接続した状態を、「カスケード接続」と呼ぶことにする。そしてこの場合、各ノード間を結ぶケーブルCBにより、破線で示すように1つのリング状のデータ伝送経路を形成することができる。また各ノードは、この経路で音声伝送フレームを一定周期で循環させるように伝送し、その音声伝送フレームに対して必要な情報を読み書きすることにより、経路上の任意のノードとの間で、音響信号であるオーディオ波形データ(以下単に「波形データ」という)を始めとする種々のデータの送受信を行うことができる。
そして、オーディオネットワークシステム1内において、1つのノードがマスタノードとなり、音声伝送フレームを生成し、定期的に伝送経路を循環させたり、ネットワークの管理を行ったりする。
また、(a)に示したカスケード接続に加え、両端のノードで使用していないI/F同士も通信ケーブルCBで接続すると、(b)に示すように、リング状のデータ伝送経路を2つ形成することができる。そして、各ノードは、これらの経路でそれぞれ音声伝送フレームを伝送し、その各音声伝送フレームに対して必要な情報を読み書きすることにより、経路上の任意のノードとの間でデータの送受信を行うことができる。このようなノード間の接続状態を、「ループ接続」と呼ぶことにする。
なお、図1ではケーブルを2本示しているが、1組の受信I/Fと送信I/Fとを近接してあるいは一体として設ければ、2本を束ねて1本にしたケーブルにより、1組のI/F同士の接続を行うことも可能である。
また、各ノードには、必要なI/Fを設ければ、(c)に示すように、外部機器Nを接続し、外部機器Nから受信したデータを音声伝送フレームに書き込んで他のノードに送信したり、音声伝送フレームから読み出したデータを外部機器Nに送信したりすることもできる。
このような外部機器Nとしては、例えば外付けのコンソールが考えられる。そして、コンソールがユーザから受け付けた操作に応じたコマンドをノードBに送信し、ノードBがこれを音声伝送フレームに書き込んで他のノードに送信してそのコマンドに応じた動作を行わせたり、他のノードが音声伝送フレームに書き込んで送信してきた応答やレベルデータ等をノードBが読み出してコンソールに送信し、コンソールにおける操作子状態の表示やレベル表示に使用するといった動作を行わせることが考えられる。
もちろん、コンソールと、そのコンソールが接続されたノードとの間で、上記のリング上の伝送経路とは別の経路で通信を行い、コンソールが受け付けた操作内容に従ってノードの動作や設定内容等を制御することもできる。
1.2 音声伝送フレームの構成
次に、図2に、上述した伝送経路で伝送される音声伝送フレームの構成例を示す。なお、この図に示した各領域の幅は必ずしもデータ量と対応しない。
図2に示すように、この音声伝送フレーム100は、サイズが1282バイトであり、先頭から順に、ヘッダ101,管理データ102,波形データ(オーディオデータ)領域103,制御データ領域104,FCS(Frame Check Sequence)105の各領域からなる。各領域のサイズは、その領域に記載するデータ量に関わらずそれぞれ一定である。また、ここで示すFCS領域105以外の各領域のサイズは一例であり、適宜変更してよい。
そして、ヘッダ101は、計22バイトのデータであり、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.3で規定されるプリアンブル,SFD(Start Frame Delimiter),宛先アドレス,送信元アドレス,音声伝送フレーム100の長さを示すレングスを記載する。
なお、このオーディオネットワークシステム1においては、送信I/Fから送出されるフレームは、1本の接続ケーブルCBで接続された受信I/Fにしか届かないから、アドレスの記載はあまり意味がない。そこで、宛先アドレスとしては、例えばブロードキャストを示すアドレスを記載し、送信元アドレスとしては、送信元ノードのMAC(Media Access Control)アドレスを記載する。
各ノードは、送信I/Fと受信I/Fを2つずつ備えているが、それぞれ別個のMACアドレスを持つのではなく、ノードとして1つのMACアドレスを持つ。また、宛先アドレスとして、ブロードキャストアドレスを記載する代わりに、送信先ノードのMACアドレスを記載するようにしてもよい。さらに、MACアドレスに代えて、各ノードのIDを記載するようにしてもよい。
また、管理データ102は、8バイトのデータであり、オーディオネットワークシステム1内の各ノードが音声伝送フレームに含まれるデータの管理に利用するデータとして、フレーム通し番号TN、各サンプリング周期内のフレーム番号PN、サンプル遅れ値SD、波形データ103中の波形データのch数ACN、および異常フラグABを記載する。
ここで、サンプル遅れ値SDは、あるノードがフレームに書き込んだ波形データが伝送経路を1周して戻ってくるまでに何サンプル分の時間がかかるかを示すデータである。異常フラグABは、フレーム伝送経路上の特定のノードにおける異常発生有無を示すフラグである。異常フラグABについては、後に詳述する。
また、波形データ103の領域としては1024バイトを確保し、音響信号のデータである1サンプル32ビットの波形データを256ch分記載できる。すなわち、本システムでは、1つの音声伝送フレーム100を循環させることにより、256ch分の音響信号を伝送することができる。なお、256ch中の伝送に使われていないch(空きch)の領域については、そこに何が記載されているか気にしなくて良い。
また、制御データ104の領域としては224バイトを確保し、ここには、IP(Internet Protocol)に基づくノード間通信用のパケットなどの各種データを記載するIPパケット領域や、レベル表示に使用するレベルデータを記載するレベルデータ領域、オーディオネットワークシステム1の構成を管理・制御するためのネットワーク構成情報を記載するネットワーク構成領域が設けられている。ここで、IPパケットによる通信では、各ノードに動作を指示するためのコマンドや、それに対する応答などがノード間で送受信される。
なお、レベルデータやネットワーク構成情報にそれぞれ専用の領域(例えば10バイト)が設けられているのは、それらのデータを定常的に伝達するためである。
このうちIPパケット領域には、通信すべきデータをパケット化したIPパケットを、さらにパケット化したIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.3形式のパケットを、用意したサイズ(ここでは204バイト)に入るようにパケットの送信側で分割して記載する。そして、パケットの受信側で複数の音声伝送フレーム100からデータを取り出して結合し、分割前のパケットを復元することにより、通常のイーサネット(登録商標)での伝送と同様にIPパケットをノード間で伝送することができる。IEEE802.3形式のパケットの最大サイズは1526バイトであり、一方、分割・復元の制御用に数バイトの分割制御データを加えたとしても、1音声伝送フレーム毎に約200バイトの送信ができるので、1つのIPパケットの送信は、最大でも8フレームで完了する。
FCS105は、IEEE802.3で規定される、フレームのエラーを検出するためのフィールドである。
1.3 音声伝送フレームの伝送方式
次に、図3に、図2に示した音声伝送フレーム100の伝送タイミングを示す。
この図に示すように、オーディオネットワークシステム1においては、音声伝送フレーム100を、96kHz(キロヘルツ)のサンプリング周期1周期である10.4μsec(マイクロ秒)毎に1つ、ノード間で循環させ、各ノードは音声伝送フレームの所望のchへの音響信号の書き込みないし所望のchからの音響信号の読み出しを行うようになっている。従って、各サンプリング周期に、256の伝送chについて、それぞれ1サンプル分の波形データを、各ノード間で伝送できる。
1Gbps(ギガビット・パー・セカンド)のイーサネット(登録商標)方式のデータ転送を採用すれば、音声伝送フレーム100の時間長は、1ナノ秒×8ビット×1282バイト=10.26μsecであり、1サンプリング周期内に伝送が完了する。
なお、1282バイトの場合、フレーム間の時間間隔を無視すれば、計算上は1sec/10.26μsec=97.47kHzのサンプリング周期まで対応可能であり、96kHzのサンプリング周期であれば、10.4μsec/8ビット/1ナノ秒=1300バイトのフレームサイズまで伝送可能である。しかし、フレーム間には所定時間以上の空きが必要であり、また、フレームの伝送タイミングが前後に揺れる可能性があるので、音声伝送フレームのサイズ(時間長)はそれらを考慮した上で決定される。
次に、図4に、オーディオネットワークシステム1上での音響信号の伝送時における、図2に示した音声伝送フレームの伝送状況を示す。
ここでは、ノードAからノードEまでの5つのノードをカスケード接続したオーディオネットワークシステムを考える。そして、このシステム内の各ノードに図2に示した音声伝送フレーム100を循環させる場合、いずれか1つのノードをマスタノードに定め、そのノードのみが新たなサンプリング周期の音声伝送フレーム(通し番号の異なる音声伝送フレーム)の生成を行い、生成した音声伝送フレームをサンプリング周期毎に次のノードへ送信する。マスタノード以外のノードはスレーブノードであり、それぞれ前のノードから音声伝送フレームを受信し、次のノードへ送信する転送処理を行う。
そして、マスタノードDが最初に図で右向きに、ワードクロックのタイミングに合わせて、ノードEに向かって音声伝送フレームを送信すると、その音声伝送フレームは、破線で示すように、ノードD→E→D→C→B→A→B→C→Dの順で伝送され、ノードDに戻ってくる。マスタノードから見て、一巡する音声伝送フレームを最初に送信する側を前方側と呼び、2回目に送信する側を後方側と呼ぶ。また、この伝送の際、各ノードは、音声伝送フレームを受信してから送信するまでに、他のノードから受信すべき波形データや制御データを音声伝送フレームから読み取り、また他のノードに送信すべき波形データや制御データを音声伝送フレームに書き込む。
そして、マスタノードは、音声伝送フレームが伝送経路を1周して戻ってくると、その音声伝送フレームの管理データ102を書き換えて後のサンプル周期の音声伝送フレームを生成し、適当なサンプル周期での送信に供する。またこのとき、マスタノードも他のノードと同様に音声伝送フレームに対してデータの読み書きを行う。
以上を繰り返すことにより、1サンプリング周期につき1つの音声伝送フレームに、(a)から(e)に時系列的に示すように、各ノードを循環させることができる。これらの図において、黒塗りの矢印は音声伝送フレームの先頭を、黒丸は音声伝送フレームの末端を示す。線の矢印は、音声伝送フレームの切れ目を分かり易くするために記載したものである。
なお、各スレーブノードは、音声伝送フレームの全てを受信してからデータの読み書きや次のノードへの送信を行う必要はなく、先頭から必要なバイト数だけ受信したら、データの読み書きや次のノードへの送信の処理を開始してしまってよい。そしてその後、音声伝送フレームの末端まで、受信するのとほぼ同じ速さでデータの読み書きや送信を行って行けばよい。ただし、マスタノードについては、音声伝送フレームの全てを受信してから、その内容に基づいて新たな音声伝送フレームの生成を行うことが好ましい。
また、カスケード接続の場合、両端のノード以外のノードは、1周のうちに2度音声伝送フレームを通過させることになるが、このうちデータの読み書きを行うのは1度のみである。どちらでその読み書きを行うかは、最初に音声伝送フレームを通過させる時、図で右向きに音声伝送フレームを通過させる時等、任意に定めればよい。読み書きを行わない場合には、単に送信元アドレスと後述する存在確認情報だけ書き換えて音声伝送フレームの残りの部分はスルーさせればよい。
また、各ノードにおいて、音声伝送フレームのデータを書き換えるためや、受信側のネットワーククロック(送信元のノードの動作クロックに対応)と送信側のネットワーククロック(当該ノードの動作クロックに対応)の周波数やタイミングの差を吸収するために、音声伝送フレームの受信時にバッファリングを行う必要があるので、音声伝送フレームの受信開始から送信開始まで幾分かのタイムラグが生じる。
そして、ネットワークで伝送される音響信号の伝送遅延(サンプリング周期単位)を最小にしたい場合は、上記のタイムラグの量を考慮して、マスタノードがあるワードクロックのタイミングで送信開始した音声伝送フレームを、次の次のワードクロックより所定時間α(マスタノード内での新音声伝送フレームの準備に係る時間に対応する)だけ前のタイミングに、マスタノードが受信完了できるようにすればよい。
この場合、例えばS番目の音声伝送フレームに基づいて、2サンプリング周期先に送信するS+2番目の音声伝送フレームを生成すればよい。
本システムにおいては、以上のような方式のデータ伝送を行うことにより、ネットワーク内で常に音声伝送フレームのサイズに応じた一定の伝送帯域幅を確保することができる。そして、この帯域幅は、特定のノード間でのデータ伝送量の多寡には影響されない。
なお、図4に示した各ノードを、図1(b)に示したようにループ接続する場合には、図1からわかるように、マスタノードDが生成して図で右向きに送信した音声伝送フレームを、ノードD→E→A→B→C→Dの順で伝送する伝送経路と、マスタノードDが生成して図で左向きに送信した音声伝送フレームを、ノードD→C→B→A→E→Dの順で伝送する伝送経路とができることになる。そしてこの伝送の際、各ノードは、音声伝送フレームを受信してから送信するまでに、他のノードから受信すべき波形データや制御データを音声伝送フレームから読み取り、また他のノードに送信すべき波形データや制御データを音声伝送フレームに書き込む。
また、ループ接続の場合、音声伝送フレームが伝送経路を1周する間に全てのノードを1回ずつ通過することになるため、各ノードは、その通過の際にデータの読み書きを行う。
そして、システムの全体として、2つの伝送経路のフレームに同じデータを書き込んで循環させる二重化通信と、2つの伝送経路のフレームに別々のデータを書き込んで循環させる二倍化通信とを、選択的に行うことができる。
このうち、二重化通信の場合には、フレームは2つになっても同じデータを記載するため、1サンプリング周期当たりに伝送可能な情報量、すなわち通信の帯域幅は、カスケード接続の場合と同じである。しかし、1ヶ所で断線が生じても速やかにカスケード接続の伝送に移行し、同じ帯域幅でのデータ伝送を維持することができる。また、2つのフレームの内容を比較することにより、データが正確に伝送されているかどうかを確認することができる。
一方、二倍化通信の場合には、1サンプリング周期当たりにフレーム2つ分のデータを伝送可能であるから、通信の帯域幅を、カスケード接続の場合の2倍にすることができる。
このどちらを行うかは、マスタノードに設定しておけばよい。
1.4 システムを構成する各装置のハードウェア構成及び基本動作
次に、以上説明してきたような音声伝送フレームの伝送を行うためのハードウェア及びその動作について説明する。
まず、図5に、上述のオーディオネットワークシステムを構成するノードとなる音響信号処理装置のハードウェア構成を示す。
図5に示すように、この音響信号処理装置2は、CPU201,フラッシュメモリ202,RAM203,外部機器I/F(インタフェース)204,表示器205,操作子206を備え、これらがシステムバス207により接続されている。また、外部機器I/F204とシステムバス207とに接続する波形処理部210も備えている。
そして、CPU201は、この音響信号処理装置2の動作を統括制御する制御手段であり、フラッシュメモリ202に記憶された所要の制御プログラムを実行することにより、表示器205における表示を制御したり、操作子206の操作を検出してその操作に従ってパラメータの値の設定/変更や各部の動作を制御したり、コマンドを波形処理部210を介して他の音響信号処理装置に送信したり、波形処理部210を介して他の音響信号処理装置から受信したコマンドに従った処理を行ったりする。
フラッシュメモリ202は、CPU201が実行する制御プログラムを始め、電源を切っても残しておくべきデータを記憶する書き換え可能な不揮発性記憶手段である。
RAM203は、一時的に記憶すべきデータを記憶したり、CPU201のワークメモリとして使用したりする記憶手段である。
外部機器I/F204は、種々の外部機器を接続し入出力を行うためのインタフェースであり、例えば外部のディスプレイ、マウス、文字入力用のキーボード、コンソール、PC(パーソナルコンピュータ)等を接続するためのインタフェースが用意される。
外部機器I/F204は、波形処理部210のオーディオバス217にも接続しており、オーディオバス217を流れる波形データを外部装置に送信したり、外部装置から受信した波形データをオーディオバス217に入力したりすることができる。
表示器205は、CPU201による制御に従って種々の情報を表示する表示手段であり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)や発光ダイオード(LED)によって構成することができる。
操作子206は、音響信号処理装置2に対する操作を受け付けるためのものであり、種々のキー、ボタン、ダイヤル、スライダ等によって構成することができる。
また、波形処理部210は、オーディオバス217と制御バス218を備え、これらのバスに接続する種々のユニットを設けることにより、音響信号処理装置2に対する音響信号及び制御信号の入出力及びその処理を行うことができるようにするためのインタフェースである。波形処理部210に設けられる種々のユニットは、オーディオバス217を介して相互に波形データを送受信すると共に、制御バス218を介してCPU201との間で制御信号を送受信し、CPU201の制御を受ける。なお、これらのユニットは、着脱可能なカードモジュールとして構成することも可能である。
オーディオバス217は、任意のユニットから任意のユニットへ、複数チャンネルの波形データをサンプリング周期に基づくタイミングで各1サンプルずつ時分割伝送する音響信号伝送用ローカルバスである。接続された複数ユニットの何れか1つがマスタとなり、当該ユニットが生成し供給するワードクロックに基づいてオーディオバス217の時分割伝送の基準タイミングを制御する。その他の各ユニットはスレーブとなり、その基準タイミングに基づいて各ユニットのワードクロックを生成する。
すなわち、各ユニットで生成されるワードクロックは、マスタとなるユニットのワードクロックに同期した共通のクロックとなり、ノード内の複数のユニットは、共通のサンプリング周波数で波形データの処理を行う。さらに、各ユニットは、自身のワードクロックに基づいて処理した波形データ及び処理すべき波形データを、上記の基準タイミングに基づく時分割タイミングで、オーディオバス217を介して他のユニットに送信し、また他のユニットから受信する。
図5には、波形処理部210に設けるユニットの例として、波形伝送I/Oユニット211、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)ユニット212、アナログ入力ユニット213、アナログ出力ユニット214、デジタル入出力ユニット215、その他ユニット216を示している。
波形処理部210に設ける各種ユニットは、そのユニットの機能に応じた波形データの処理を、それぞれ、ワードクロック(波形データのサンプリング周期)に基づくタイミングで実行するものである。
このうち、波形伝送I/Oユニット211は、送信I/Fと受信I/Fを2組備え、図1乃至図4を用いて説明した音声伝送フレーム100の伝送と、音声伝送フレーム100に対する波形データや制御データ等の読み書きを行う機能とを有する。その詳細については後述する。
DSPユニット212は、オーディオバス217から取得した波形データに対し、ワードクロックに基づくタイミングで、ミキシング、イコライジング、エフェクト付与を始めとする種々の処理を行う信号処理手段である。処理後のデータも、オーディオバス217に出力する。また、複数chの波形データの入力を受け付けて処理し、複数chの波形データを出力することができる。
アナログ入力ユニット213は、A/D(アナログ/デジタル)変換回路を備え、マイク等の音声入力装置から入力するアナログ音響信号を、デジタルの波形データに変換してオーディオバス217に供給する機能を有する。
アナログ出力ユニット214は、D/A(デジタル/アナログ)変換回路を備え、オーディオバス217から取得したデジタルの波形データをアナログの音響信号に変換して、スピーカ等の音声出力装置に出力する機能を有する。
デジタル入出力ユニット215は、音声入力装置から入力するデジタル音響信号(波形データ)をオーディオバス217に供給する機能と、オーディオバスから取得した波形データをデジタル信号のままで音声出力装置に出力する機能とを有する。
これらの入力/出力ユニットはいずれも、複数chの信号を並列して処理することが可能である。
その他ユニット216としては、音源、レコーダ、エフェクタ等の機能を有するユニットが考えられる。
オーディオネットワークシステム1を構成するノードとするためには、音響信号処理装置2には少なくとも1つの波形伝送I/Oユニット211を設ける必要があるが、他のユニットについては、音響信号処理装置2に持たせたい機能に応じて任意に選択し、また組み合わせて設けることができる。
例えば、DSPユニット212を設ければ、音響信号処理装置2は、音声伝送フレームから音響信号を読み出し、その音響信号に対して予め定められたパラメータの値に従った信号処理を施し、その処理後の音響信号を音声伝送フレームに書き込む信号処理エンジンとして機能する。
アナログ入力ユニット213を設ければ、音響信号処理装置は、オーディオネットワークシステム1の外部から入力する音響信号を音声伝送フレームに書き込む入力装置として機能する。アナログ出力ユニット214を設ければ、音響信号処理装置は、音声伝送フレームから読み出した音響信号をオーディオネットワークシステム1の外部に出力する出力装置として機能する。デジタル入出力ユニット215を設ければ、入力装置と出力装置の双方として機能する。
もちろん、複数のユニットを設けることにより、上記の機能を1台の装置に複数兼ね備えさせることも可能である。
なお、上述のように、波形処理部210に設けられたユニットは、共通のワードクロックに従って音響信号の処理を行うが、音響信号処理装置2がマスタノードである場合は、装着されたユニットのうちの何れか1枚が波形伝送I/Oユニット211を含む他のユニットへワードクロックを供給し、波形伝送I/Oユニット211はマスタノードとしてサンプリング周期毎に音声伝送フレームを送信する。音響信号処理装置2がスレーブノードである場合は、波形伝送I/Oユニット211が音声伝送フレームの受信タイミングに基づいてワードクロックを生成(再生)し、波形処理部210に設けられた他のユニットへワードクロックを供給する。
次に、図6に、波形伝送I/Oユニット211の構成をより詳細に示す。
図6に示すように、波形伝送I/Oユニットは、第1,第2のデータ入出力部10,20、第1,第2の受信I/F31,33、第1,第2の送信I/F34,32、セレクタ35〜38、オーディオバスI/O39、制御バスI/O40、制御部41、ワードクロック生成部42及びタイマ43を備える。
このうち、第1,第2の受信I/F31,33及び第1,第2の送信I/F34,32は、図1に示した2組の受信I/F及び送信I/Fと対応する通信手段であり、それぞれ通信ケーブルと接続するための所定のコネクタ(メス側)を備えている。通信ケーブルの接続に際しては、第1の受信I/F31と第1の送信I/F34とを1組とし、第2の送信I/F32と第2の受信I/F33とを1組とする。これらのI/Fは、上述した1サンプリング周期内の音声伝送フレームの伝送に十分な能力を有していれば、どのような通信方式でデータ通信行うI/Fであってもよいが、ここでは1Gbpsのイーサネット方式のデータ転送を行うI/Fを採用している。
現在、1Gイーサネットには、通信ケーブルCBとしてRJ45コネクタ付きCAT5eケーブル(シールドされていないツイストペア)を使用する1000BASE−Tと、光ファイバやSTPケーブル(シールドされたツイストペア)を使用する1000BASE−Xの2種類があるが、本実施形態にはその何れを用いることもできる。また、1Gイーサネット以外の広帯域ネットワーク技術を用いても良い。例えば、FiberChannel、SDH(Synchronous Digital Hierarchy)/SONET(Synchronous Optical NETwork)などである。
受信I/Fは、通信ケーブルCBを伝播する電気信号や光信号からキャリアであるネットワーククロックを抽出し、抽出されたクロックに基づいて該電気信号や光信号からバイト単位(ないしワード単位)のデジタルデータのデータ列を復調して出力する。送信I/Fは、ネットワーククロックと送信すべきバイト単位(ないしワード単位)のデジタルデータ列を入力し、該ネットワーククロックをキャリアとして伝送用の電気信号や光信号に変調して通信ケーブルCBに出力する。
また、オーディオバスI/O39は、オーディオバス217に対して波形データを入出力するためのインタフェースである。
制御バスI/O40は、制御バス218に対して制御用パケット、レベルデータ、ネットワーク構成情報等のデータを入出力するためのインタフェースである。
制御部41は、CPU,ROM,RAM等を備え、波形伝送I/Oユニット211の動作に関する全般的な制御に加え、詳細な説明は省略するが、音声伝送フレームの伝送経路の形成に関する制御を行う。また、制御部41も、制御バスI/O40及び制御バス218を介してCPU201との間でデータを送受信することができる。
ワードクロック生成部42は、オーディオバス217における波形データの転送や、オーディオバス217に接続される各種ユニットにおける信号データ処理のタイミングの基準となるワードクロックを生成するワードクロック生成手段である。
マスタノードにおいては、ワードクロック生成部42は、波形伝送I/Oユニット211独自のタイミング、ないし、オーディオバス217を介して供給される他のユニットからのワードクロックに同期したタイミングでワードクロックを生成し、そのクロックを音声伝送フレームの送信タイミングの基準としても用いるが、スレーブノードにおいては、ワードクロック生成部42は音声伝送フレームの受信タイミングを基準としてワードクロックを生成する。
タイマ43は、経過時間を計測する計時手段である。そして、CPU201は、後述のように音響信号処理装置2の動作に異常がない場合に制御部41を介してタイマ43を定期的にリセットし、タイマ43のカウントが所定値に達したことをトリガに制御部41が異常の発生を検出できるようにしている。
また、第1,第2のデータ入出力部10,20はそれぞれ、図示しない動作クロック発生部の発生する動作クロックに基づいて動作し、対応する受信I/Fが受信した各種フレーム(音声伝送フレームを含む)から所望のデータを読み出す読出手段であり、また、同受信した音声伝送フレームに対して所望のデータの書き込みを行う書込手段である。そして、第1,第2の入出力部の機能は同等なものであるので、第1のデータ入出力部10について代表して説明する。
第1のデータ入出力部10は、データ抽出部11、波形入力用FIFO12、波形出力用FIFO13、制御入力用FIFO14、制御出力用FIFO15、フレームバッファ16、波形データ比較部17を備える。また、第1の受信I/F31がキャリアとして抽出したネットワーククロックNC1の供給を受けて、それに同期して第1の受信I/F31からのデータの受け取りを行う。ここで、各FIFOは、それぞれ、先に書き込まれたデータが先に読み出されるファーストイン・ファーストアウトのレジスタである。
すなわち、データ抽出部11及びフレームバッファ16は、第1の受信I/F31の出力するデータをネットワーククロックNC1に同期して取り込む(ここでは、セレクタ38で第1の受信I/F31からの入力が選択されているとする)。なお、フレームバッファ16に取り込まれるのは音声伝送フレームのみであるが、データ抽出部11には、ここでは説明しない音声伝送フレーム以外のデータも取り込まれる。
そして、これらのうちデータ抽出部11は、取り込んだデータのうち、読み出してオーディオバス217に供給すべき伝送chの波形データを波形入力用FIFO12に書き込み、第1のデータ入出力部10において音声伝送フレーム100に書き込みを行う予定の伝送chの波形データを波形データ比較部17に書き込み、読み出すべき制御データを制御入力用FIFO14に書き込み、それ以外のデータは破棄する機能を有する。
そして、波形入力用FIFO12に書き込まれた各伝送chの波形データはオーディオバスI/O39により、ワードクロックに同期して1サンプルずつ読み出され、オーディオバス217を介して他のユニットに伝送される。また、制御入力用FIFO14に書き込まれた制御データは、制御バスI/O40を介してCPU201により順次読み出され、音響信号処理装置2の制御に使用される。
なお、波形データについては、制御部41が、少なくともどの伝送chのデータを読み取るべきか把握しており、そのデータが音声伝送フレームの何バイト目に記載されているかは計算で求められるため、制御部41がその位置をデータ抽出部11に指示し、必要な位置のデータのみを波形入力用FIFO12及び波形データ比較部17に書き込ませるようにすればよい。
また、制御データについては、データ抽出部11での判断は行わず、取り込んだデータが制御データであれば制御入力用FIFO14に書き込み、制御入力用FIFO14から読み出したCPU201が制御データに含まれる送信先アドレス等を解析して参照すべき制御データであるか否かを判断する。
先述したように、制御データの伝送では、送信側でパケットを複数に分割して制御データとして送信する場合があるが、そのようなデータに柔軟に対応するためにはCPU201に判断を任せるのが好適である。或いは、データ抽出部11にその分割されたパケットの処理機能を持たせるとともに、制御部41に、自機のアドレスをデータ抽出部11に対して指示させ、データ抽出部11において、制御データに含まれる送信先アドレスの一致に基づいて参照すべき制御データであるか否かを判断するようにしてもよい。
一方、波形出力用FIFO13は、音声伝送フレームに記載して出力すべき波形データを格納するバッファであり、オーディオバスI/O39は、サンプリング周期毎に出力すべき波形データをオーディオバス217から取得してここに書き込む。複数の伝送ch分の波形データを書き込むことも当然可能であり、音声伝送フレームの先頭に近いバイトに書き込むデータを先に波形出力用FIFO13に書き込んでおけばよい。
また、制御出力用FIFO15は、音声伝送フレームに記載して出力すべき制御データを格納するバッファであり、制御バスI/O40は、出力すべき制御データを制御バス218から取得してここに書き込む。
そして、自機がスレーブノードである場合、フレームバッファ16に音声伝送フレームのデータが所定量(第1の所定量)蓄積されると、蓄積の進行に合わせて、波形出力用FIFO13及び制御出力用FIFO15のデータを、フレームバッファ16の適当なアドレスに書き込んで音声伝送フレームの内容を書き換える。
音声伝送フレームの何バイト目にデータを書き込めばよいかは、波形データについては、制御部41が書き込むべき伝送chに基づいて算出し、フレームバッファ16に指示する。制御データについても、図2に示した区分に従いデータの種類毎に自動的に決定される。さらに別の種類のデータを伝送したい場合は、「IPパケット」の領域の一部をそのデータ用の領域としてもよい。
そして、自機がスレーブノードである場合、フレームバッファ16に音声伝送フレームのデータが上記の第1の所定量より多い第2の所定量だけ蓄積されると、フレームバッファ16は音声伝送フレームの出力を開始し、セレクタ35が第2の送信I/F32への出力を選択していれば、音声伝送フレームのデータを先頭から順に第2の送信I/F32に渡して送信させる。
このとき、第1のデータ入出力部10の動作クロックが、そのままネットワーククロックNC2として、第2の送信I/F32に供給され、第2の送信I/Fは、音声伝送フレームのデータを、ネットワーククロックNC2をキャリアとして順次変調して通信ケーブルCBに出力する。
この場合、第1のデータ入出力部10は送信制御手段として機能する。
なお、本実施形態では、フレームバッファ16に記憶された音声伝送フレームへの波形出力用FIFO13及び制御出力用FIFO15からのデータによる内容の書き換えと、フレームバッファ16からの音声伝送フレームの出力を独立して行うようになっていたが、その書き換えと出力を一度に行うようにしてもよい。すなわち、受信した音声伝送フレームをフレームバッファ16へ書き込み、所定量の蓄積をトリガとしてその音声伝送フレームの読み出しを開始し、波形出力用FIFO13及び制御出力用FIFO15からのデータにより内容を差し替えつつ出力するようにしてもよい。
また、音声伝送フレームのデータの書き換えは、一旦受信した音声伝送フレームをフレームバッファ16に格納してから行うのではなく、音声伝送フレームのフレームバッファ16への書き込み時に、第1の受信I/F31からのデータと、波形出力用FIFO13からのデータ、および制御出力用FIFO15からのデータのうち適切なものを選択して書き込むようにしてもよい。この場合、第1の受信I/F31からの音声伝送フレームのデータのうち、選択されなかったデータは破棄されることになる。
なお、上述のように、カスケード接続の場合、各ノードは音声伝送フレームに伝送経路を1周させる間、1回しか読み書きを行わない。従って、第1,第2のデータ入出力部10,20のいずれか一方でしかデータの読み書きを行わない。そして、データの読み書きを行わない方のデータ入出力部では、単にデータをスルーさせるのみとする。なお、スルーさせるのみであればFIFO22,23,25を実装する必要はないが、これらのFIFOは、オーディオネットワークシステム1をループ接続で動作させるために設けられている。
また、これとは別に、後述するように、音響信号処理装置2の動作状態に応じて、音声伝送フレームからのデータの読み出しを行うデータ入出力部においても、波形出力用FIFO及び制御出力用FIFOから音声伝送フレームへのデータの書き込みを停止する場合もある。この停止の制御は、制御部41が行う。
また、マスタノードにおいては、音声伝送フレーム全体の受信が完了してから音声伝送フレームの更新を行うようにしており、音声伝送フレームへのデータの書き込みのタイミングおよび音声伝送フレームの送信開始のタイミングが、スレーブノードとは異なる。しかし、音声伝送フレーム中のデータの書き込み位置については、スレーブノードの場合と同様に定めることができる。また、音声伝送フレーム中の管理データ102の書き換えも行うが、この書き換えも、新たな音声伝送フレームに記載すべきデータを制御出力用FIFO15に書き込んでおき、このデータをフレームバッファに蓄積された音声伝送フレームに上書きして行うことができる。
また、波形データ比較部17は、後述するようにオーディオネットワークシステム1内に、システムをフォールトトレラントにするために2つの信号処理エンジンを組にして設ける場合に動作させる機能部である。そして、波形データ比較部17は、データ抽出部11から入力された、これから書き込みを行う予定の伝送chの波形データと、波形出力用FIFO13に書き込まれている、同じ伝送chに書き込むべき波形データとを比較する動作を行う。ただし、この比較のための波形出力用FIFO13からのデータの読み出しアドレスは、波形データの書き込みのためのFIFO動作には影響を与えないように、別途読み出しアドレスレジスタを用意する等して管理する。また、波形データ比較部17による比較の意義については、図7乃至図9の説明において後述する。
以上が音声伝送フレーム送信に関するデータ入出力部の機能である。
ところで、図1(a)等からわかるように、あるノードが受信した音声伝送フレームのそのノードからの送信先は、その音声伝送フレームの送信元と別のノードになる場合(図1(a)のノードB)と、送信元と同じノードになる場合(同ノードA,C)とがある。そして、前者の場合、音声伝送フレームの送信は、音声伝送フレームを受信した受信I/Fと別の組の送信I/Fから行い、後者の場合、同じ組の送信I/Fから行う。
セレクタ35〜38は、このような送信先の切り替えを行うために設けたものである。
そして、セレクタ35とセレクタ36は連動して動作し、セレクタ35がフレームバッファ16の出力を第2の送信I/F32に流す状態では、セレクタ36は第2の受信I/F33で受信したデータをフレームバッファ26に書き込み、第2のI/F側のノードと通信が可能な状態となる。
しかし、セレクタ35とセレクタ36とを折り返しラインTL1の側に切り換えると、フレームバッファ16の出力は、フレームバッファ26に書き込み、そこから第1の送信I/F34に渡して接続先に送信させる。従って、受信した音声伝送フレームをその送信元に対して折り返し送信することになる。なおこのとき、データをフレームバッファ26に書き込まず、ここをスルーしてフレームバッファ16の出力を直接第1の送信I/F34に渡すことができるようにしてもよい。また、ネットワーククロックとしては、送信するデータを供給する第1のデータ入出力部10の動作クロックを供給するようにすればよいが、第1のデータ入出力部10と第2のデータ入出力部20とを共通の動作クロックで動作させている場合には、ネットワーククロックの供給源を切り換える必要はない。
また、この状態では、第2の受信I/F33から何らかのフレームを受信しても、その内容はフレームバッファ26には書き込まれない。しかし、その内容はデータ抽出部21には書き込まれ、データ抽出部21はこれを全て制御部41に入力する。また、この状態では、第2の送信I/F32には、フレームバッファ16の出力は供給されないが、制御部41から直接データを渡して送信させる経路は設けている。
これらの入出力経路は、詳細な説明は省略するが、初期処理においてオーディオネットワークシステムを組み立てたり、システムの構成変更(ノードの追加等)に係る処理を行ったりする際の通知やコマンドの送受信等に用いる。
また、ここではセレクタ35,36について説明したが、セレクタ37,38も、連動して動作することにより同様な機能を有する。そして、第2の受信I/F33から受信した音声伝送フレームに関し、折り返しを行うか否かを切り換えることができる。
以上をまとめると、音響信号処理装置2においては、所属するオーディオネットワークシステム中での各ノードの接続状態と、自機がマスタノードかスレーブノードかとに従い、図6に示した波形伝送I/Oユニット211のハードウェアが、検出したイベントに応じて以下の表1及び表2のいずれかの処理を行うことにより、図1乃至図4を用いて説明したような音声伝送フレーム及びデータの伝送に係る機能を実現することができる。
ただし、これらの表では、常に第1のデータ入出力部10をデータの入出力に使用する例を示しており、第2のデータ入出力部20を使用する場合には、第1のデータ入出力部10と第2のデータ入出力部20の機能が逆になるよう、処理の内容を入れ替えればよい。また、これらの表には、波形データ比較部17,27の機能に関する処理については記載していない。
Figure 0005267060
Figure 0005267060
従って、波形伝送I/Oユニット211は、電源が供給され、適当なケーブルがI/F31〜34に接続され、かつマスタノードの場合にはワードクロックが生成可能又は制御バス218から供給されていれば、音響信号処理装置2の他の部分に異常が発生したとしても、波形伝送I/Oユニット211自身のハードウェアが有する機能により、少なくとも音声伝送フレームの伝送自体は行うことができる。
2. フォールトトレラントなオーディオネットワークシステムの構成例
2.1 ノードの機能と接続順
次に、以上説明してきたオーディオネットワークシステムに関し、フォールトトレラントな構成とする場合の具体的なシステムの構成例を説明する。
図7に、そのシステムの構成例を示す。
図7に示すのは、A〜Eの5つのノードで構成されたオーディオネットワークシステムXに対し、ミキサとして機能するノードB,Cに外部機器としてコンソールYを接続したミキサシステムZである。この図において、(a)にはカスケード接続の場合の音声伝送フレームの伝送経路を破線で示し、(b)には同じくループ接続の場合の伝送経路を破線で示しているが、それ以外の点については、これら2つのシステムは共通のものである。
そして、オーディオネットワークシステムXを構成する5つのノードは、それぞれアナログ入力装置A,上流側ミキサB,下流側ミキサC,デジタル入出力装置D,アナログ出力装置Eである。これらのうちアナログ入力装置Aは図5に示したアナログ入力ユニット213を、上流側ミキサB及び下流側ミキサCはDSPユニット212を、デジタル入出力装置Dはデジタル入出力ユニット215を、アナログ出力装置Eはアナログ出力ユニット214をそれぞれ備える。
どのノードがマスタノードとなってもよいが、ここではデジタル入出力装置Dがマスタノードであるとする。
そして、ミキサシステムZは、全体として、アナログ入力装置A及びデジタル入出力装置Dから入力した音響信号を、上流側ミキサB及び下流側ミキサCにより処理し、その処理後の音響信号をデジタル入出力装置D及びアナログ出力装置Bから出力する機能を有する。
ここで、既に述べたように、マスタノードが送信した1つの音声伝送フレームがループ状の伝送経路を巡回するとき、その音声伝送フレームは、各ノードを1回又は2回通過する。そして、各ノードは、その1回又は2回のうちのいずれか1回の通過時に、その音声伝送フレームに対してデータの書き込みや読み出しを行う。各機器は、ループ状の伝送経路を巡回する1つの音声伝送フレームに対し、順番に書き込み及び/又は読み出しの処理を行うということである。
この処理の順番を、ループ状の伝送経路におけるフレーム処理順と呼ぶ。また、このフレーム処理順が前であるノードを「上流」のノードと呼び、フレーム処理順が後であるノードを「下流」のノードと呼ぶ。
なお、このフレーム処理順は、必ずしもノードの接続順と一致するとは限らない。例えば、カスケード接続の場合において、あるノードは第1のデータ入出力部10により音声伝送フレームに対してデータの読み書きを行い、他のノードは第2のデータ入出力部20によりデータの読み書きを行うというような場合には、フレーム処理順はノードの接続順と異なるものとなる。そして、この実施形態において重要なのは、ノードの接続順ではなく、フレーム処理順で見た上流/下流関係である。
また、ループ接続の場合、伝送経路によって、2台のミキサの上流/下流関係が変わることになる。図7に示した例では、図で上側の伝送経路ではミキサBが上流側であるが、図で下側の伝送経路ではミキサCが上流側である。従って、ループ接続の場合、伝送経路毎に上流/下流関係を管理し、この関係に応じた制御を行う必要がある。
ミキサシステムZにおいては、上流側ミキサBと下流側ミキサCとは、フレーム処理順が連続している(間で他のノードが読み書きを行わない)ノードとして設けられ、また、少なくとも波形伝送I/Oユニット211とDSPユニット212については全く同じハードウェア構成であり、音声伝送フレームの同じ伝送chの波形データを読み出して、その波形データに対して同じ信号処理を行うようにしている。信号処理の種類や手順だけでなく、用いるパラメータについても同じ内容である。
そして、コンソールYも上流側ミキサBと下流側ミキサCとの双方に接続し、ユーザの操作に応じて、DSPユニット212における信号処理に用いるパラメータと、波形伝送I/Oユニット211における音声伝送フレームからの波形データの読み出しに用いるパラメータとにつき、上流側ミキサBと下流側ミキサCとの双方に同じ値を設定できるようにしている。
以上のような上流側ミキサBと下流側ミキサCとは、一方を、処理結果をシステムの外部への出力に反映させる運用系のミキサ(第1の信号処理エンジン)として用い、他方を、システムの動作に問題がなければ処理結果をシステムの外部への出力に反映させないが、運用系のミキサの動作に異常が生じた場合に代わりに運用系のミキサとして機能させるバックアップ用の待機系のミキサ(第2の信号処理エンジン)として用いる。そして、このことにより、ミキサシステムZを、2つのミキサのうち1つにおいて異常が生じても、引き続き正常な出力音響信号を得られるフォールトトレラントな構成としている。
運用系と待機系の機能は、(a)に示したカスケード接続の場合も、(b)に示したループ接続の場合も、基本的には同様に実現できる。ループ接続の場合には、2本できる伝送経路のそれぞれについて、カスケード接続の場合と同様な波形データ書き込みの制御を行えばよい。ループ接続の場合、各ノードにおいて、2つのデータ入出力部がそれぞれ異なる伝送経路におけるデータの読み書きを担当することになるため、各伝送経路に関する制御を、その伝送経路と対応するデータ入出力部に対して行うようにすればよい。
次に、図8に、図7に示した各ノードが行う音声伝送フレームに対する波形データの読み書きの概要を示す。なお、この図に示す各ノードや矢印の位置関係は、読み書きの時間的な前後関係は意味しない。各ノードに関する波形データの読み出し及び書き込みは、音声伝送フレームの所定の伝送chに相当する部分がそのノードを通過する際に行われるものである。
図8に示すように、ミキサシステムZにおいては、アナログ入力装置A及びデジタル入出力装置Dが、マイク等の外部装置から入力する音響信号をそれぞれ音声伝送フレームの所定の伝送chの領域に波形データとして書き込む。
図8では、アナログ入力装置Aが書き込みを行う領域を符号Aで、デジタル入出力装置Dが書き込みを行う領域を符号Dで示した。また、図8には、アナログ入力装置A及びデジタル入出力装置Dが書き込みを行う領域をそれぞれ連続した領域として示したが、これに限られることはなく、飛び飛びの領域であってもよい。また、予め確保してある領域の全てに書き込みを行う必要もない。この点は、以下の符号B1及びB2で示す領域についても同様である。
次に、上流側ミキサB及び下流側ミキサCはそれぞれ、アナログ入力装置A及びデジタル出力装置Dが書き込んだ波形データを音声伝送フレームから読み出し、DSPユニット212でこれらの波形データに対して信号処理を行い、その処理後の波形データを、音声伝送フレームの所定の伝送chの領域に書き込む。
また、デジタル入出力装置D及びアナログ出力装置Eは、それぞれ音声伝送フレームから上流側ミキサB又は下流側ミキサCが書き込んだ波形データを読み出し、デジタル又はアナログの音響信号としてスピーカ等の外部装置に出力する。図では、デジタル入出力装置Dが読み出しを行う領域を符号B1で、アナログ出力装置Eが読み出しを行う領域を符号B2で示した。そして、上流側ミキサB及び下流側ミキサCは、処理後の複数chの波形データを、その波形データを読み出させる装置に応じて、このB1とB2の領域に配分して書き込みを行う。
なお、上流側ミキサBも下流側ミキサCも、音声伝送フレームへの書き込みを行うとすれば、双方とも、B1とB2を合わせた領域の、同じ伝送chの領域に対して書き込みを行う。従って、下流側ミキサCが書き込みを行う場合、下流側ミキサCによる処理後の波形データを、上流側ミキサBが書き込んだ波形データに上書きすることになる。
また、図7に示すように、上流側ミキサBと下流側ミキサCの間では他のノードが音声伝送フレームに対して波形データの書き込みを行わないため、これら2つのミキサでは、音声伝送フレームの同じ伝送ch(ミキサ自身が書き込みを行わないchに限る)の領域から波形データを読み出せば、全く同じ波形データが得られるし、その波形データに対して同じ信号処理を施せば、処理結果として全く同じ波形データが得られるはずである。さらに、上流側ミキサBと下流側ミキサCの間で他のノードが波形データを読み出すこともないため、これら2つのミキサのいずれが処理結果を音声伝送フレームに書き込むかは、他のノードの動作には一切影響を与えない。
ミキサシステムZにおいては、この点を考慮し、上流側ミキサBと下流側ミキサCのどちらを運用系として用いるかに応じて、どちら(又は双方)のミキサが音声伝送フレームへの書き込みを行うかを定めるようにしている。また、運用系のミキサに不具合が生じた場合には、それまで待機系としていたミキサを運用系として用いることになるが、音声伝送フレームへの書き込みを行うミキサを適切に変更することにより、この切り替えを実現できるようにしている。
2.2 運用系と待機系の切り替え制御の概要
次に、図9を用いて、状況に応じた上流側ミキサBと下流側ミキサCの書き込み有無の設定について説明する。
この図において、矢印のついた角丸長方形は1つのフレーム伝送経路を示し、ミキサからこの伝送経路に向かう矢印が音声伝送フレームに対する波形データの書き込みを、伝送経路からミキサに向かう矢印が音声伝送フレームからの波形データの読み出しを示す。
まず、図9(a)に示すように、下流側ミキサCを運用系として用いる場合、運用系である下流側ミキサCによる処理結果を他のノードに伝送すべく、少なくとも下流側ミキサCは、音声伝送フレームに対する波形データの書き込みを行う。この場合、上流側ミキサBについては、波形データの伝送のみを考慮すれば、書き込みを行っても行わなくても同じ(下流側ミキサCによって上書きされるため)であるが、ここでは書き込みを行うようにしている。
これは、図6に示した波形データ比較部17の機能を利用してミキサの動作異常を検出できるようにするためである。すなわち、上流側ミキサBと下流側ミキサCの双方が正常に機能していれば、上述の通り、上流側ミキサBが信号処理を行った後で音声伝送フレームに書き込む波形データと、下流側ミキサCが信号処理を行った後で音声伝送フレームに書き込む波形データとは、同じ内容になるはずである。逆に、上流側ミキサBと下流側ミキサCのどちらかの動作、特にDSPユニット212による信号処理動作に異常が生じた場合には、これらの波形データの内容に差が生じると考えられる。
従って、下流側ミキサCにおいて波形データ比較部17を動作させ、上流側ミキサBが書き込んだ波形データ、すなわち下流側ミキサCが受信した音声伝送フレームにおいて下流側ミキサCが書き込む予定の伝送chの位置に書き込まれている波形データを、下流側ミキサCがこれから書き込もうとする波形データと比較することにより、上流側ミキサBと下流側ミキサCの動作異常を検出することができる。両者に差がない場合、共に異常なしであり、差がある場合、どちらかに異常があることになる。
ただし、この比較からだけでは、どちらに異常があるかは判断できない。従って、異常の発生したミキサを特定するためには、さらに別の検査が必要となる。また、一致不一致の判定に多少の曖昧さを持たせ、データの値の差が所定誤差以内であれば、一致と見なすようにしてもよい。
また、ユーザは、コンソールYからの操作により、運用系として用いるミキサと待機系として用いるミキサを手動で切り替えることができる。
(d)に、この切り替えを行った状態、すなわち上流側ミキサBを運用系として用い、下流側ミキサCを待機系として用いる状態を示す。
この場合、上流側ミキサBが音声伝送フレームに対する波形データの書き込みを行う一方、下流側ミキサCは波形データの書き込みを行わない。従って、上流側ミキサBによる処理結果が他のノードに伝送されることになる。なお、音声伝送フレームからの波形データの読み込みについては、波形データ比較部17の機能を利用できるよう、上流側ミキサBだけでなく下流側ミキサCも行うようにしている。
従って、システムを(a)に示す状態から(d)に示す状態に移行させるためには、単に、下流側ミキサCに音声伝送フレームに対する波形データの書き込みを停止させればよい。また逆に(d)に示す状態から(a)に示す状態に移行させるためには下流側ミキサCに音声伝送フレームに対する波形データの書き込みを開始させればよい。
なお、上述の説明から明らかなように、下流側ミキサCが波形データの書き込みを行うか否かに関わらず、波形データ比較部17による異常検出機能は同じように発揮できる。
また、(a)に示す状態が初期状態である必要はなく、(d)に示す状態が初期状態であってもよい。
また、(a)に示す状態で、(b)に示すように運用系である下流側ミキサCの動作に異常が検出された場合、適切に信号処理された波形データが音声伝送フレームに書き込まれることが保証できなくなる。
そこでこの場合、(c)に示すように下流側ミキサCによる音声伝送フレームへの波形データの書き込みを停止させる。この状態では、上流側ミキサBが音声伝送フレームに書き込んだ波形データが下流の出力装置に届くため、出力装置は、下流側ミキサCに異常が発生する前と同じ動作を継続しながら、下流側ミキサCに異常が発生する前と同様に適切な波形データを外部に出力することができる。
そして、運用系の切り替えに要する時間は1サンプル期間以内で、データの損失も、0〜1サンプルである。従って、人の耳ではほとんど聞き取れない程度のノイズあるいは空白しか生じさせずに、異常発生前と同様な出力を継続することができる。
この状態では、上流側ミキサBが運用系として機能することになる。また、下流側ミキサCは、異常が発生しているため、そのままでは待機系としての機能は果たせない。しかし、自動的にあるいは手動により異常が解消されるか、あるいは異常の検出が誤りで装置の動作に問題がないことが確認されれば、下流側ミキサCを待機系として用いることができる。
図から明らかなように、(c)に示す状態は、下流側ミキサCの異常が解消されれば、(d)に示す状態と全く同じである。従って、下流側ミキサCの異常が解消された場合、格別の処理無く、(d)の状態に移行したものと取り扱って差し支えない。
また、(d)に示す状態で、(e)に示すように運用系である上流側ミキサBの動作に異常が検出された場合、適切に信号処理された波形データが音声伝送フレームに書き込まれることが保証できなくなる。
そこでこの場合、(f)に示すように下流側ミキサCによる音声伝送フレームへの波形データの書き込みを開始させる。この状態では、上流側ミキサBが音声伝送フレームに書き込んだ波形データは上書きされ、下流側ミキサCが書き込んだ波形データが下流の出力装置に届くため、出力装置は、特に設定を変更しなくても、上流側ミキサBに異常が発生する前と同様に適切な波形データを外部に出力することができる。この場合において、上流側ミキサBによる波形データの書き込みを停止する必要はない。
この場合も、運用系の切り替えに要する時間は1サンプル期間以内で、データの損失も、0〜1サンプルである。従って、人の耳ではほとんど聞き取れない程度のノイズあるいは空白しか生じさせずに、異常発生前と同様な出力を継続することができる。
また、(f)の状態では、下流側ミキサCが運用系として機能することになる。また、上述の(c)の場合と同様な考え方に基づき、上流側ミキサBの異常が解消した場合には、(a)に示した状態に移行して待機系として用いるようにできる。
なお、以上の切り替え制御においては、ミキサを含む各ノードにおいて、少なくとも音声伝送フレームの伝送が可能な状態は保たれていることを前提としている(この状態でデータの読み書きに異常が発生することは考えられる)。また、書き込みの停止/実行を切り替える機能も保たれていないと、適切な状態遷移はできない。
音響信号処理装置2においては、これらの機能は波形伝送I/Oユニット211に設けている。従って、基本的には、上述の「異常」についても、波形伝送I/Oユニット211以外の部分での異常を想定している。
しかし、波形伝送I/Oユニット211を、波形伝送I/Oユニット211自体に異常が生じた場合でも、その異常の内容によっては音声伝送フレームを受信した状態のままスルーさせる機能を維持できるように構成した場合には、波形伝送I/Oユニット211自体の異常も上述の「異常」に含めて考える。
例えば、音声伝送フレームに係る信号をスルーさせるためのブロックについては、他のブロックの電源が落ちても動作するようバックアップ機能を設ける、データの書き込み系に異常が生じた場合に、音声伝送フレームに余計なデータが書き込まれないよう書き込みをブロックする機能を設ける、等の場合である。
2.3 運用系と待機系の切り替え制御のための処理
次に、以上説明してきた運用系と待機系の切り替え制御を実現するために、上流側及び下流側ミキサ(として機能する音響信号処理装置2)の各部が実行する処理及び動作について説明する。
まず、図10にミキサのCPUが実行する動作確認処理のフローチャートを示す。
ミキサシステムZにおいて、上流側ミキサB及び下流側ミキサCとして機能する音響信号処理装置2のCPU201は、定期的に図10に示す処理を開始する。
そして、まず自機の動作確認を行い(S11)、全てOKであれば(S12のYES)、波形伝送I/Oユニット211に対してタイマ43のクリアを指示して(S13)処理を終了する。また、動作確認で1つでもOKでない項目があった場合には(S12のNO)、異常検出の旨及びその内容をコンソールYに通知して(S14)処理を終了する。
以上の処理により、ミキサの動作に異常がない場合には、タイマ43は定期的にリセットされる。従って、波形伝送I/Oユニット211は、タイマ43が図10の処理の間隔よりも長い時間までカウントアップした場合に、ミキサの動作に何らかの異常が生じたと判断することができる。CPU201の処理にデッドロックが生じた、CPU201の処理が無限ループに入った等により、CPU201が図10の処理自体を行えない場合でも、同様な判断が可能である。
また、図10の処理の間隔の複数倍程度の時間をタイマ43のカウントの閾値とすれば、ミキサの動作に異常を検出している時間が所定時間継続した場合に初めて、その異常に応じた動作のトリガを発生させることもできる。
なお、ステップS11での動作確認の項目としては、CPU201自身の動作、コンソールYとの通信、DSPユニット212における信号処理の実行状況、オーディオバス217や制御バス218の動作状況、波形伝送I/Oユニット211の動作状況等が考えられる。ただし、波形伝送I/Oユニット211において、音声伝送フレームの受信及び送信ができなくなるような不具合が発生した場合、図7に示したシステムの構成自体が維持できず、運用系と待機系の切り替えもできないことが考えられる。しかし、このような場合でも異常が発生したことはコンソールYに通知することが好ましいため、このような不具合もステップS11での確認項目に含めている。
また、音響信号処理装置2は、種々の構成のオーディオネットワークシステムに組み入れることが可能であるから、常に上述したような動作切り替えの機能を利用するノードになるとは限らない。ミキサが1台しかないシステムのノードとなる場合もある。
従って、オーディオネットワークシステムが形成された後で、いずれかのノードのCPU201が、ユーザの指示に従い、あるいは自動的に、システムを構成するノードの中から運用系と待機系の対とするノードを指定して、そのノードについてのみタイマ43を動作させるようにする。そして、そのノードについてのみ、タイマ43を用いた異常検出を行うようにする。
次に、図11に、ミキサのCPUが実行する書き込み切替処理のフローチャートを示す。
ミキサに接続されたコンソールYは、パネル上の操作子により、ユーザから運用系と待機系を切り替える(図9の(a)と(d)の状態を切り替える)指示を受け付ける。そして、この指示があった場合、コンソールYが接続されている上流側ミキサBと下流側ミキサCにその切り替えを指示すべく、切替操作通知を生成してそれらのミキサに送信する。
そして、ミキサのCPU201は、この切替操作通知を受け取ると、図11のフローチャートに示す処理を開始する。そして、まず波形伝送I/Oユニット211に対して波形データ書き込み動作の切り替えを要求する(S21)。これに対し、波形伝送I/Oユニット211は後述のように切り替えを行ってその結果を返してくるので、その結果をコンソールYに通知して(S22)処理を終了する。
次に、図12に、波形伝送I/Oユニット211の制御部41が種々のイベントに応じて実行する、運用系と待機系の切り替え機能に関連する動作を示す。
図12に示すとおり、波形伝送I/Oユニット211が上流側ミキサBに設けられたものであるか下流側ミキサCに設けられたものであるかに応じて、同じイベントに応じて実行する動作は異なる。そして、波形伝送I/Oユニット211においては、制御部41が、音声伝送フレーム中のネットワーク構成情報と、CPU201から通知される自機と対となるミキサの情報とから、自機が上流側であるか下流側であるかを判断し、制御部41の制御により、その判断に応じた動作を行う。
なお、図12には、自機が運用系であるか待機系であるかに応じた処理の区別は示していないが、実質的には運用系であるか待機系であるかに応じて異なる処理を行うことになる箇所もある。
また、図12に示した動作のうち、異常フラグABを「1」に設定する動作は、タイマカウントが所定値に達した場合に、CPUからの指示なしに、ハードウェア処理によって行うようにするとよい。
以下、図12に示した動作につき、イベント毎に説明する。
まず、特にイベントがない場合の動作は、上流側でも下流側でも同じである。すなわち、波形伝送I/Oユニット211は、受信した音声伝送フレーム100の管理データ102中に記載された異常フラグABの値を確認すると共に、そのABに異常なしを示す「0」を設定して次のノードに音声伝送フレームを送信する。もちろん、これ以外に、必要に応じて波形データの読み書き等の処理も行う。
一方、タイマ43のカウントが異常を示す所定値に達した場合には、自機に運用系のミキサとして動作できないような異常が発生したことを意味する。
そこで、波形伝送I/Oユニット211はまず、上流側の場合も下流側の場合も、音響信号処理装置2本体側のCPU201に、イベントの発生、すなわち自機における異常の発生を通知する。そしてさらに、次に送信する音声伝送フレームにおいて、異常発生を対になるミキサに伝達すべく、異常フラグABの値を「1」に設定する動作を行う。
また、下流側ミキサCにおいては、これに加え、波形データの書き込みを実行中であれば、書き込みを停止し、書き込み動作の自動切替を行った旨をCPU201に通知する動作も行う。下流側ミキサCで書き込み実行中であるのは、図9(a)のように、下流側ミキサCを運用系として用いている場合であり、この状態でタイマカウント所定値イベントを検出して書き込みを停止する動作は、図9の(a)から(c)へ移行する動作と対応する。
なお、波形データの書き込み停止は、イベント発生時に送信中の音声伝送フレームの送信終了後、次の音声伝送フレームから行うとよい。フレームの送信中に切り替えを行うと、送信タイミングずれやデータの破損が起きる危険があるためである。
また、下流側ミキサCで書き込み実行中でない(停止中である)のは、図9(d)のように、下流側ミキサCを待機系として用いている場合である。この状態では、そもそも下流側ミキサCにおける信号処理結果は外部に出力されないので、異常発生に応じて波形データの書き込み動作を変更する必要はない。
以上の動作のうち、書き込み停止動作は、タイマが自動生成した切り替え指示に応じて待機系と運用系を入れ替える動作に該当する。また、異常フラグABの設定は、その切り替え指示を対になるミキサに伝達する動作に該当する。
次の行の、受信した音声伝送フレームにおける異常フラグAB「1」の検出イベントは、通常時動作において異常フラグABの値を確認した際に発生する。そして、このイベントの発生は、自機と対になっているミキサから異常の発生を通知されたことを意味する。
そこで、上流側の場合も下流側の場合も、波形伝送I/Oユニット211は、音響信号処理装置2本体側のCPU201に、イベントの発生、すなわち対になっているミキサにおける異常の発生を通知する。また、タイマカウント所定値のイベントが起こっていなければ、通常時動作の一環として、自機には異常がないことを示すため、異常フラグABに「0」を設定して音声伝送フレームを送信する。
また、下流側ミキサCにおいては、これに加え、波形データの書き込みを停止中であれば、書き込みを開始し、書き込みモードの自動切替を行った旨をCPU201に通知する動作も行う。下流側ミキサCで書き込み停止中であるのは、図9(d)のように、下流側ミキサCを待機系として用いている場合であり、この状態で対になっているミキサの異常を検出して書き込みを開始する動作は、図9の(d)から(f)へ移行する動作と対応する。
なお、書き込みを停止する場合と同様な理由により、波形データの書き込みは、イベント発生時に送信中の音声伝送フレームの送信終了後、次の音声伝送フレームから開始するとよい。
また、下流側ミキサCで書き込み停止中でない(実行中である)のは、図9(a)のように、下流側ミキサCを運用系として用いている場合である。この状態では、現在信号処理結果が外部に出力されない待機系のミキサでの異常発生が通知されたことになるため、運用系がこれに応じて動作を変更する必要はない。
以上の動作のうち、書き込み開始動作は、対になるミキサから受け取った切り替え指示に応じて待機系と運用系を入れ替える動作に該当する。
次に、送受信データの不一致検出イベントは、波形データ比較部17が、上流側ミキサBが音声伝送フレームに書き込んだ波形データと下流側ミキサCが音声伝送フレームに書き込む波形データとの間に不一致を検出した場合に発生するイベントである。この比較は、下流側ミキサCのみで行うため、対応する動作も下流側ミキサCのみにあり、発生したイベントを本体側のCPU201に通知する動作を行う。
なお、不一致があっただけでは、どちらのミキサに異常があるか判断できないため、異常フラグABの値については、通常時動作の場合と同様、「0」を設定する。
また、本体側CPUからの切り替え要求は、図11のステップS21の処理で送信してくる要求であり、図9の(a)の状態と(d)の状態との間の切り替えを要求するものである。そこで、下流側ミキサCにおいては、波形伝送I/Oユニット211は、波形データの書き込み実行中であれば書き込みを停止し、書き込み停止中であれば書き込みを開始すると共に、その実行結果をCPU201に返す動作を行う。一方、上流側ミキサBにおいては、どちらの状態でも書き込みを行うため、動作に変更はない。ただし、CPU201に対し、切り替え要求に対する応答は返す。
また、切り替え要求はミキサの動作における異常を示すものではないため、上流側の場合も下流側の場合も、切り替え要求があったとしても通常時動作は継続し、異常フラグABには「0」を設定する。
波形伝送I/Oユニット211が以上の動作を行うことにより、図9を用いて説明したような、音響信号処理装置2における異常発生に応じた運用系と待機系の入れ替え、およびコンソールが受け付けたユーザの操作に応じた運用系と待機系の入れ替えを行うことができる。
なお、CPU201へのイベントの通知については、これらの切り替えの内容や、異常の発生を、コンソールYによりユーザに通知するためである。
次に、図13に、このための処理として、波形伝送I/Oユニット211からイベントの通知を受けた場合にCPU201が実行する処理のフローチャートを示す。
図12に示した範囲では、波形伝送I/Oユニット211がCPU201に通知するイベントは、タイマカウント所定値イベント、異常フラグAB「1」検出イベント、送受信データの不一致検出イベント及び自動切替の実行である。そして、CPU201は、これらのイベントを受け取ると、図13に示す処理を開始し、波形伝送I/Oユニット211から通知されたイベントを、音響信号処理装置2に接続されているコンソールYに通知し(S31)、処理を終了する。
なお、CPU201がコンソールYに通知する情報としては、図13の処理で通知するもの以外に、図10のステップS14における異常検出の通知、及び図11のステップS22における切り替え動作結果の通知もある。
また、タイマカウント所定値イベントの発生時には、ミキサに何らかの異常が発生しているため、CPU201が図13の処理を実行できる状態であるとは限らない。
図14に、コンソールYがこれらの通知に応じて表示器に表示させるメッセージの例を示す。
なお、コンソールYは、接続先のミキサのうちどちらが待機系でどちらが運用系であるかは、把握している。始めに運用系と待機系の切り替え機能を有効にする際にその区別を記憶し、その後、切り替えがある度にその内容を修正すればよい。
そして、ミキサから通知を受信すると、その通知内容と、送信元装置のIDが待機系のものか運用系のものかに応じて、図14に示すメッセージをディスプレイに表示する。
まず、異常検出の通知又はタイマカウント所定値の通知があった場合には、通知元のミキサで動作異常が検出された旨の表示を行う。また、異常フラグ「1」検出の通知があった場合には、通知元のミキサと対になるミキサで動作異常が検出された旨の表示を行う。
CPU201自身に動作異常が発生した場合、異常検出やタイマカウント所定値の通知が送られてこないことも考えられるが、波形伝送I/Oユニット211が動作していれば、異常発生は対応するミキサに伝達され、その対応するミキサからコンソールYに通知して、適当なメッセージを表示させることができる。
また、送受信データの不一致検出の通知があった場合には、通知元にて、運用系と待機系で波形データの処理結果が不一致であることが検出された旨の表示を行う。この場合、どちらに不具合があるか直ちにはわからないため、自動で何らかの対処を行っても、対処をユーザに任せてもよい。
また、図11のステップS22で切替動作完了の通知が返された場合には、運用系と待機系の手動切替が完了した旨の表示を行う。また、自動切替実行の通知があった場合には、同じく自動切替が完了した旨の表示を行う。
なお、自動切替完了の表示は、通常は、異常発生の通知と同時に又は続けて行われることになる。ただし、下流側ミキサCが自動切替を行った場合、CPU201に動作異常が発生していると、自動切替完了の通知をコンソールYに送れないことも考えられる。従って、下流側ミキサCが運用系であって、運用系に異常が発生した旨の通知の後、所定時間以内に自動切替完了の通知がない場合、上流側ミキサBに適当なコマンドを送信して、下流側ミキサCの動作状況を確認させるとよい。
CPU201により通知又は中継される各種情報に応じてコンソールYに以上の動作を行わせることにより、オーディオネットワークシステムにおける運用系と待機系の動作状態を、ユーザに適切に通知することができる。
ところで、オーディオネットワークシステムに生じる異常には、各ノード内部の不具合だけでなく、ノード同士を接続するケーブルの断線もあり得る。
以上説明してきたオーディオネットワークシステムにおいては、ノードがループ接続され、図1(b)や図7(b)に示すように、ノード間に2つのデータ伝送経路が形成されている場合、断線に応じて自動的に伝送経路を組み換え、断線後も音声伝送フレームの循環を維持できるようにすることが考えられる。
図15に、この動作の例を示す。
図15(a)に示したのは、図7(b)に示したものと同じオーディオネットワークシステムである。そして、このシステムにおいては、システム中でどこか1箇所のケーブル(この例では上流側ミキサBと下流側ミキサCとの間のケーブル)が断線した場合に、その断線箇所の両側のノードが、断線箇所の側のセレクタを折り返しライン側に切り替えることにより(図6参照)伝送経路を折り返すようにし、断線箇所を両端とするカスケード接続のシステムに自動的に組み換える機能を設けている。
また、このような機能を設ける場合、ループ接続の状態では、2つのデータ伝送経路のうち一方のみを用いて音響信号の伝送を行い、他方を予備としておけば、断線が生じてカスケード接続のシステムに組み換えられた場合も、ループ接続の状態と同じch数の波形データの伝送を継続することができる。従って、冗長性を持たせ、不具合に強いシステムとすることができる。
また、この場合において、例えば、ループ接続の状態でもカスケード接続の状態でも、各ノードが図で右向きに音声伝送フレーム100を通過させる際にフレームに対する音響信号の読み書きを行うようにすれば、断線によるシステム組み替えの前後で音声伝送フレーム100がノードを通過する順番は変わっても、伝送経路におけるフレーム処理順は維持されるようにすることができる。
従って、図15に示すような、断線及びそれに伴うシステムの組み替えが行われる場合も、以上説明してきたような、運用系と待機系の切り替え制御が可能な状態を維持することができる。
ただし、断線が生じた場合、1〜数サンプリング周期程度の間、一時的にシステム内の音声伝送フレームの伝送に不具合が生じることになる。そして、図10のステップS11において、このような伝送の不具合も、異常として検出されてしまうことも考えられる。
しかし、この異常は一時的なものであり、速やかに回復されるものであるから、これをトリガに待機系と運用系を切り替える必要はない。そこで、この点を考慮すれば、システムの組み換えに伴って発生する程度の短期間の異常では図12のタイマカウント所定値イベントが発生しないよう、「所定値」を定めるとよい。
3.変形例
以上で実施形態の説明を終了するが、装置の構成、データの構成、具体的な処理内容等が上述の実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
まず、上述の実施形態においては、運用系と待機系のミキサをそれぞれ1台ずつ設ける例について説明したが、本発明はこれに限られることはない
図16に示すように、運用系と待機系の組を複数組設け、各組毎に独立して運用系と待機系の切り替えを行えるようにすることも考えられる。だだし、同じ組内の運用系ミキサと待機系ミキサとは、オーディオネットワークシステム内において隣り合ったノードとする必要がある。また、異常フラグは、各組毎に用意する。コンソールについては、組毎に用意しても、1台のコンソールで複数組のミキサを操作するようにしてもよい。
また、運用系と待機系を用意する信号処理エンジンについても、ミキサに限られることはない。例えば、本発明をエフェクタに適用することも考えられる。
また、上述した実施形態においては、コンソールが信号処理エンジンから独立した構成となっていたが、信号処理エンジンのうち任意のものが、コンソールと一体となった構成であってもよい。
また、信号処理エンジンとコンソールが一体か否かに関わらず、コンソールを2つ有するシステム構成とした場合には、それらのコンソールの一方をマスタ、他方をスレーブとして動作させるとよい。その場合、マスタとして動作しているコンソールに異常が生じた場合、スレーブとして動作しているコンソールをマスタに昇格させて動作を引き継がせるようにすれば、コンソールの二重化が実現できる。
また、上述した実施形態においては、待機系と運用系として用いる2つの信号処理エンジンを同じハードウェア構成としたが、このことは必須ではない。例えば、信号処理エンジンを上位下位のグレード間にコンパチビリティを持たせて設計してある場合、上位グレードの信号処理エンジンでは下位グレードのものと同じ処理を行うことができる。従って、このような場合、待機系を運用系より上位グレートとすれば、待機系と運用系でハードウェア構成が異なっても、上述した実施形態の場合と同様、運用系に不具合が生じた場合に、待機系に運用系と同じ出力をさせることができる。
さらにまた、上述した実施形態においては、各信号処理エンジンは、上流側に位置するか下流側に位置するかを自身で判断するようにしていたが、コンソールから各信号処理エンジンにその信号処理エンジンの位置を通知するようにしてもよい。
また、オーディオネットワークシステムにおける音声伝送フレームの伝送方式も、必ずしも上述の方式には限られない。
例えば、1サンプリング周期に1つの音声伝送フレームを循環させることは必須ではなく、1サンプリング周期に複数の音声伝送フレームを循環させたり、複数サンプリング周期につき1つの音声伝送フレームを循環させ、そこに複数サンプリング周期分の波形データを記載することも考えられる。
また、音声伝送フレームの構成について、波形データと制御データの領域の比率を変更してもよいことは、もちろんである。いずれかの領域のサイズを0にしてもよい。さらに、音声伝送フレームは、IEEE802.3の形式に限らず、他の任意の形式であってよい。
上述の実施形態では、サンプリング周波数は96kHzであったが、88.2kHz、192kHz等任意の周波数で設計することができる。また、サンプリング周波数を切り換えられるようにしてもよい。
また、これらの変形及び実施形態の説明において述べた変形は、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて適用可能である。また逆に、ネットワークシステム及び音響信号処理装置が実施形態の説明において述べた特徴を全て有している必要もない。
以上の説明から明らかなように、この発明の音響信号処理システムによれば、音響信号を複数の装置間で伝送して信号処理を行う音響信号処理システムにおいて、一部の装置に異常が発生した場合でも信号処理を異常発生前と同じように継続できるようにする機能を、容易に実現することができる。
従って、この発明を適用することにより、音響信号処理システムのフォールトトレラント性能を向上させることができる。
この発明の音響信号処理システムの実施形態であるオーディオネットワークシステムの概略を示す図である。 図1に示した伝送経路で伝送される音声伝送フレームの構成例を示す図である。 図2に示した音声伝送フレームの伝送タイミングを示す図である。 オーディオネットワークシステム上でのシングルモードの音響信号の伝送時における、図2に示したTLフレームの伝送状況を示す図である。 オーディオネットワークシステムを構成するノードとなる音響信号処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図5に示した波形伝送I/Oユニットの構成を示す図である。 図1に示したオーディオネットワークシステムのより具体的な構成の例を示す図である。 図7に示した各ノードが行う音声伝送フレームに対する波形データの読み書きの概要を示す図である。 図7に示したシステムにおける、状況に応じた上流側ミキサBと下流側ミキサCの書き込み有無の設定について説明するための図である。 図7に示したシステムを構成するミキサにおいてCPUが実行する動作確認処理のフローチャートである。
同じく書き込み切替処理のフローチャートである。 図7に示したシステムを構成するミキサにおいて、波形伝送I/Oユニットの制御部が種々のイベントに応じて実行する、運用系及び待機系の切り替え機能に関連する動作を示す図である。 図7に示したシステムを構成するミキサにおいて、波形伝送I/Oユニットからイベントの通知を受けた場合にCPUが実行する処理のフローチャートである。 図7に示したシステムにおいてコンソールがミキサのCPUからの通知に応じて表示器に表示させるメッセージの例を示す。 図7に示したオーディオネットワークシステムにおいてノード間に断線が生じた場合の動作について説明するための図である。 この発明の実施形態の変形例の構成を示す図である。
符号の説明
1…オーディオネットワークシステム、2…音響信号処理装置、10…第1のデータ入出力部、11,21…データ抽出部、12,22…波形入力用FIFO、13,23…波形出力用FIFO、14,24…制御入力用FIFO、15,25…制御出力用FIFO、16,26…フレームバッファ、17,27…波形データ比較部、31,33…第1,第2の受信I/F、32,34…第2,第1の送信I/F、35〜38…セレクタ、39…オーディオバスI/O、40…制御バスI/O、41…制御部、42…ワードクロック生成部、43…タイマ、100…音声伝送フレーム、201…CPU、202…フラッシュメモリ、203…RAM、204…外部機器I/F、205…表示器、206…操作子、207…システムバス、210…波形処理部、212…DSPユニット、213…アナログ入力ユニット、214…アナログ出力ユニット、215…デジタル入出力ユニット、216…その他ユニット、217…オーディオバス、218…制御バス、NC1〜NC4…ネットワーククロック、TL1,TL2…折り返しライン、X…オーディオネットワークシステム、Y…コンソール、Z…ミキサシステム

Claims (8)

  1. それぞれ単方向に通信を行う2組の受信手段及び送信手段を備えた複数の装置を、ある装置の1組の受信手段及び送信手段を次の装置の1組の送信手段及び受信手段とそれぞれ接続することにより順次接続して構成され、複数の音響信号の記憶領域を備えた音声伝送フレームを、前記各装置間に形成されるループ状の伝送経路に沿って一定周期で循環させ、該各装置で該音声伝送フレームへ音響信号の書き込み及び/又は読み出しを行うことにより、前記複数の装置間で音響信号のリアルタイム伝送を行う機能を有する音響信号処理システムであって、
    前記複数の装置は、
    前記音声伝送フレームの第1の記憶領域から音響信号を読み出し、該音響信号に対し、所定の制御信号に従って定めたパラメータの値に従った信号処理を施し、その処理後の音響信号を前記音声伝送フレームの第2の記憶領域に書き込む1又は複数の第1の信号処理エンジンと、
    前記第1の信号処理エンジンの各々と対応し、該対応する第1の信号処理エンジンの直前又は直後に前記音声伝送フレームへの音響信号の書き込み及び/又は読み出しを行う位置に配置され、前記音声伝送フレームの前記第1の記憶領域から音響信号を読み出し、該音響信号に対し、前記制御信号に従って定めたパラメータの値に従った信号処理であって対応する第1の信号処理エンジンが実行する信号処理と同じ信号処理を施す1又は複数の第2の信号処理エンジンとを含み
    所定の切り替え指示があった場合に、該指示に係る第1の信号処理エンジンと対応する第2の信号処理エンジンが前記信号処理を施した後の音響信号が、前記音声伝送フレームの、対応する第1の信号処理エンジンの場合と同じ第2の記憶領域に書き込まれるようにしたことを特徴とする音響信号処理システム。
  2. それぞれ単方向に通信を行う2組の受信手段及び送信手段を備えた複数の装置を、ある装置の1組の受信手段及び送信手段を次の装置の1組の送信手段及び受信手段とそれぞれ接続することにより順次接続して構成され、複数の音響信号の記憶領域を備えた音声伝送フレームを、各装置間に形成されるループ状の伝送経路に沿って一定周期で循環させ、各装置で該音声伝送フレームへ音響信号の書き込み及び/又は読み出しを行うことにより、順次接続された一連の装置間で音響信号のリアルタイム伝送を行う機能を有する音響信号処理システムであって、
    前記複数の装置は、
    前記音声伝送フレームの第1の記憶領域から音響信号を読み出し、該音響信号に対し、所定の制御信号に従って定めたパラメータの値に従った信号処理を施し、その処理後の音響信号を前記音声伝送フレームの第2の記憶領域に書き込む1又は複数の第1の信号処理エンジンと、
    前記第1の信号処理エンジンの各々と対応し、該対応する第1の信号処理エンジンの直前に前記音声伝送フレームへの音響信号の書き込み及び/又は読み出しを行う位置に配置され、前記音声伝送フレームの前記第1の記憶領域から音響信号を読み出し、該音響信号に対し、前記制御信号に従って定めたパラメータの値に従った信号処理であって対応する第1の信号処理エンジンが実行する信号処理と同じ信号処理を施し、その処理後の音響信号を、対応する前記第1の信号処理エンジンの場合と同じ記憶領域に書き込む1又は複数の第2の信号処理エンジンとを含み
    所定の切り替え指示があった場合に、該指示に係る第1の信号処理エンジンが、その時点で伝送中の音声伝送フレームの伝送完了後、次の音声伝送フレームから、前記第2の記憶領域への音響信号の書き込みを中止するようにしたことを特徴とする音響信号処理システム。
  3. それぞれ単方向に通信を行う2組の受信手段及び送信手段を備えた複数の装置を、ある装置の1組の受信手段及び送信手段を次の装置の1組の送信手段及び受信手段とそれぞれ接続することにより順次接続して構成され、複数の音響信号の記憶領域を備えた音声伝送フレームを、前記各装置間に形成されるループ状の伝送経路に沿って一定周期で循環させ、該各装置で該音声伝送フレームへ音響信号の書き込み及び/又は読み出しを行うことにより、前記複数の装置間で音響信号のリアルタイム伝送を行う機能を有する音響信号処理システムであって、
    前記複数の装置は、
    前記音声伝送フレームの第1の記憶領域から音響信号を読み出し、該音響信号に対し、所定の制御信号に従って定めたパラメータの値に従った信号処理を施し、その処理後の音響信号を前記音声伝送フレームの第2の記憶領域に書き込む1又は複数の第1の信号処理エンジンと、
    前記第1の信号処理エンジンの各々と対応し、該対応する第1の信号処理エンジンの直後に前記音声伝送フレームへの音響信号の書き込み及び/又は読み出しを行う位置に配置され、前記音声伝送フレームの前記第1の記憶領域から音響信号を読み出し、該音響信号に対し、前記制御信号に従って定めたパラメータの値に従った信号処理であって対応する第1の信号処理エンジンが実行する信号処理と同じ信号処理を施す1又は複数の第2の信号処理エンジンとを含み
    所定の切り替え指示があった場合に、該指示に係る第2の信号処理エンジンが、その時点で伝送中の音声伝送フレームの伝送完了後、次の音声伝送フレームから、前記信号処理を施した後の音響信号を、対応する前記第1の信号処理エンジンの場合と同じ記憶領域に書き込み開始するようにしたことを特徴とする音響信号処理システム。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の音響信号処理システムであって、
    前記第1の信号処理エンジンが、当該第1の信号処理エンジンの動作制御を行うCPU及びタイマを備え、
    前記CPUが、定期的に前記タイマのクリアを行い、
    前記タイマに、所定時間当該タイマがクリアされない場合に当該第1の信号処理エンジンに係る前記切替え指示を自動生成する手段を設けたことを特徴とする音響信号処理システム。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の音響信号処理システムであって、
    コンソールを備え、
    前記コンソールが、ユーザの操作に応じて前記切り替え指示を生成し、該切り替え指示を、少なくとも、該切り替え指示に係る第1の信号処理エンジン及び該第1の信号処理エンジンと対応する第2の信号処理エンジンのうち、前記伝送経路の下流側に配置された信号処理エンジンに送信することを特徴とする音響信号処理システム。
  6. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の音響信号処理システムであって、
    コンソールを備え、
    前記第1の信号処理エンジンが、該第1の信号処理エンジンの動作確認を行う動作確認部と、該動作確認部により動作の異常が検出されたときに、前記コンソールに該異常の発生を通知する異常通知部とを備えることを特徴とする音響信号処理システム。
  7. 請求項6に記載の音響信号処理システムであって、
    前記第1の信号処理エンジンがさらに、前記動作確認部が異常を検出している時間が所定時間継続したことを検出したとき、当該第1の信号処理エンジンに係る前記切替え指示を自動生成する手段を備えることを特徴とする音響信号処理システム。
  8. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の音響信号処理システムであって、
    前記第1の信号処理エンジンと前記第2の信号処理エンジンのうち、前記伝送経路の上流側に位置する信号処理エンジンは、前記信号処理を施した後の音響信号を前記音声伝送フレームの前記第2の記憶領域に書き込み、下流側に位置する信号処理エンジンは、前記上流側に位置する信号処理エンジンが書き込んだ音響信号を前記音声伝送フレームの前記第2の記憶領域から読み出し、当該下流側に位置する信号処理エンジンが前記信号処理を施した後の音響信号と比較することにより、両者の信号処理エンジンにおける信号処理の不一致を検出することを特徴とする音響信号処理システム。
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