以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。ただし、以下の説明において特に断らない限り、方向や向きに関する記述は、当該説明の便宜上、図面に対応するものであり、例えば実施品、製品または権利範囲等を限定するものではない。
<1. 実施の形態>
図1は、電力線通信システム1を示す図である。電力線通信システム1は、ネットワーク91に接続された複数の第1端末装置10,11,12,13、ネットワーク92に接続された複数の第2端末装置20,21,22,23、および、ネットワーク94を介して第1端末装置10と接続される保守端末装置3を備えている。また、電力線通信システム1は、ネットワーク95を介して第1端末装置12と接続されるウェブカメラ40、ネットワーク96を介して第1端末装置11と接続される印刷装置41、および、ネットワーク97を介して第2端末装置20と接続される印刷装置42を備えている。
なお、一般に、電力線通信システム1に対するメンテナンスとしては、様々な作業が想定される。例えば、機器の交換修理、ソフトウェアの更新、ディップスイッチやソフトウェアによる設定変更、定期的な検査、あるいは、機器の追加などである。一方で、ネットワークを構成するシステムのメンテナンスにおいては、実際の個々の作業の前段階として、現状のネットワーク構成(トポロジー)を把握することが必要となる場合が多い。以下の説明では、メンテナンスとして、電力線通信システム1におけるネットワーク構成を把握するための作業について説明する。
また、以下の説明では、メンテナンスを行う者を「保守作業者」と称する。保守作業者は、保守端末装置3を操作して、電力線通信システム1に対するメンテナンスを行うものとする。昨今では、保守端末装置3のような、メンテナンスのための専用端末を用いて、作業を行うことが一般的になっている。
ネットワーク91,92は、電力線によるPLC(Power Line Communication)網である。したがって、ネットワーク91,92は、商用電力線ケーブルを用いた有線通信網である。すなわち、ネットワーク91は、本発明における第1ネットワークに相当する。また、ネットワーク92は、本発明における第2ネットワークに相当する。このように、電力線通信システム1では、電力線によるネットワークが、ネットワーク91とネットワーク92に分割されている。
ネットワーク93,94,95,96,97は、いずれもIEEE802.3に規定されたネットワークである。すなわち、ネットワーク93,94,95,96,97は、いわゆるイーサネット(登録商標:以下同様)であり、有線通信網である。
ネットワーク93は、第1端末装置13と第2端末装置21とを、IEEE802.3に規定された通信プロトコルに従ってデータ通信可能に接続する。すなわち、ネットワーク93は、本発明における第3ネットワークに相当する。また、第1端末装置13は本発明における第1接続端末装置に相当し、第2端末装置21は本発明における第2接続端末装置に相当する。
ネットワーク94は、第1端末装置10と保守端末装置3とを、IEEE802.3に規定された通信プロトコルに従ってデータ通信可能に接続する。第1端末装置10は、複数の第1端末装置10,11,12,13の中から、保守端末装置3との間でデータ通信を行う装置として選択されたものである。
なお、ネットワーク93,94は、運用時において常時構築されていなければならないものではない。ネットワーク93,94は、いずれも、少なくともメンテナンスを行うときに準備されていればよい。
以下の説明では、ネットワーク93は、常時、構築されているものとする。すなわち、特に断らない限り、第1端末装置13は、通常時(運用時)においても、第2端末装置21と接続されているものとする。一方、ネットワーク94は、メンテナンスを行うときに、保守作業者が保守端末装置3と第1端末装置10とをイーサネットケーブルによって接続することにより構築されるものとする。
ネットワーク95は、第1端末装置12とウェブカメラ40とを接続している。これにより、第1端末装置12は、ウェブカメラ40によって撮像された画像を取り込めるように構成されている。
また、ネットワーク96は、第1端末装置11と印刷装置41とを接続している。さらに、ネットワーク97は、第2端末装置20と印刷装置42とを接続している。これにより、第1端末装置11および第2端末装置20は、いずれも紙媒体に必要な情報を出力することができる。
なお、図1では、4台の第1端末装置10,11,12,13、および、4台の第2端末装置20,21,22,23を示している。しかし、これらの端末装置(ノード)の数は、図1に示す数に限定されるものではない。
また、以下の説明では、第1端末装置10,11,12,13、および、第2端末装置20,21,22,23は、説明の便宜上、いずれも同一の構成を有する装置として説明する。ただし、第1端末装置10,11,12,13、および、第2端末装置20,21,22,23は、必ずしも同一の構成を備えていなくてもよい。以下の説明では、特に断らない限り、第1端末装置10を例に、第1端末装置10,11,12,13、および、第2端末装置20,21,22,23の構成および機能について説明する。
図2は、第1端末装置10のブロック図である。第1端末装置10は、CPU100、記憶装置101、操作部102および表示部103を備えている。
CPU100は、記憶装置101に格納されているプログラム106を読み取りつつ実行し、各種データの演算や制御信号の生成等を行う。これにより、CPU100は、第1端末装置10が備える各構成を制御するとともに、各種データを演算し作成する機能を有している。すなわち、第1端末装置10は、一般的なコンピュータとして構成されている。
記憶装置101は、第1端末装置10において各種データを記憶する機能を提供する。言い換えれば、記憶装置101が第1端末装置10において電子的に固定された情報を保存する。
記憶装置101としては、CPU100の一時的なワーキングエリアとして使用されるRAMやバッファ、読み取り専用のROM、不揮発性のメモリ(例えばNANDメモリなど)、比較的大容量のデータを記憶するハードディスク、専用の読み取り装置に装着された可搬性の記憶媒体(CD−ROM、DVD−ROM、PCカード、SDカード、USBメモリなど)等が該当する。図2においては、記憶装置101を、あたかも1つの構造物であるかのように図示している。しかし、通常、記憶装置101は、上記例示した各種装置(あるいは媒体)のうち、必要に応じて採用される複数種類の装置から構成されるものである。すなわち、記憶装置101は、データを記憶する機能を有する装置群の総称である。
また、現実のCPU100は高速にアクセス可能なRAMを内部に備えた電子回路である。しかし、このようなCPU100が備える記憶装置も、説明の都合上、記憶装置101に含めて説明する。すなわち、一時的にCPU100自体が記憶するデータも、記憶装置101が記憶するとして説明する。図2に示すように、記憶装置101は、プログラム106を記憶するために使用される。
操作部102は、第1端末装置10に対してオペレータ等が指示を入力するために操作するハードウェアである。操作部102としては、例えば、各種キーやボタン類、スイッチ、タッチパネル、ポインティングデバイス、あるいは、ジョグダイヤルなどが該当する。
表示部103は、各種データを表示することによりオペレータ等に対して出力する機能を有するハードウェアである。表示部103としては、例えば、ランプやLED、CRT、液晶ディスプレイや液晶パネルなどが該当する。
さらに、第1端末装置10は、第1通信部104および第2通信部105を備えている。
第1通信部104は、詳細は図示しないが、いわゆるPLCモジュールと、電力線の供給口であるコンセントに挿入されるプラグと、プラグが先端に取り付けられた電力線ケーブルとを備えている。第1端末装置10は、建物の壁などに設けられたコンセントにプラグを挿入することによって、電力線から電力の供給を受けることが可能であるとともに、当該電力線による電力線通信を行うことができる。すなわち、第1通信部104を備えることにより、第1端末装置10,11,12,13、および、第2端末装置20,21,22,23は、いずれも、PLC端末装置(電力線通信のノード)として機能する。
図1に示すように、第1端末装置10,11,12,13がネットワーク91に接続されており、電力線通信における1のグループネットワークを形成している。また、第2端末装置20,21,22,23がネットワーク92に接続されており、電力線通信における他のグループネットワークを形成している。
すでに説明したように、ネットワーク91およびネットワーク92は、いずれも電力線によるネットワークである。すなわち、ネットワーク91とネットワーク92とは、物理的(電気的)には接続されている。したがって、ネットワーク91に接続されている第1端末装置10,11,12,13と、ネットワーク92に接続されている第2端末装置20,21,22,23とは、1つのグループネットワークを形成することも原理的には可能である。
しかし、ネットワーク91とネットワーク92とを1つのネットワークと見た場合、ネットワークの延長距離が長くなりすぎる場合がある。また、ネットワーク91が特殊な回路(分電盤など、信号を通過させにくい回路)を介してネットワーク92に接続される場合がある。このような場合、ネットワーク91とネットワーク92とが電気的に接続されていても、通信信号の減衰が大きくなり、通信品質が低下することが考えられる。あるいは、通信品質に問題がなくても、部署ごとや用途ごとにネットワークを分けたいと望む場合が考えられる。すなわち、運用時において、ユーザがネットワーク91とネットワーク92との間の通信を望まない場合がある。
このような理由から、電力線通信では、ネットワークが複数のグループネットワークに分割されることがある。ここでは、2つのグループネットワークが形成される例について説明するが、グループネットワークの数は2つに限定されるものではない。
電力線通信では、1つのグループネットワークは、1つの親機と、1以上の子機とから構成される。以下の説明では、特に断らない限り、ネットワーク91において、保守端末装置3が接続される第1端末装置10が親機として設定されており、第1端末装置11,12,13が子機として設定されているものとする。また、ネットワーク92において、第2端末装置20が親機として設定されており、第2端末装置21,22,23が子機として設定されているものとする。
ただし、電力線通信システム1は、このような構成に限定されるものではない。すなわち、保守端末装置3は、必ず親機に接続されなければならないわけではない。また、第2接続端末装置(第2端末装置21)は、必ず子機でなければならないわけではない。
第2通信部105は、詳細は図示しないが、いわゆるイーサネットモジュールと、イーサネットケーブルのモジュラージャックが挿入されるコネクタとを備えている。このコネクタに、イーサネットケーブルのモジュラージャックが挿入されることにより、第1端末装置10は、データ通信が可能な状態でイーサネットに接続される。なお、第2通信部105が備えるコネクタは、1つに限定されるものではない。
ここに示す例では、第1端末装置10,11,12,13、および、第2端末装置20,21が、それぞれネットワーク93,94,95,96,97のいずれかに接続されている。しかし、第2端末装置22,23のように、イーサネットに接続する必要のないものについては、第2通信部105を備えていなくてもよい。逆に言えば、電力線通信システム1が備える第1端末装置10,11,12,13のうちの第2通信部105を備えているものが、保守端末装置3を接続する対象として選択され得る。
図3は、第2端末装置21が備える機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図3に示す第1通信制御部107、第2通信制御部108、および、データ処理部109は、CPU100がプログラム106に従って動作することにより実現される機能ブロックである。
なお、図3においては、説明の都合上、これまで説明した第1端末装置10ではなく、第2端末装置21を例に説明する。第2端末装置21は、すでに説明したように、本発明における第2接続端末装置に相当する。したがって、図3において、電力線に接続する第1通信部104は、電力線によるネットワーク92に接続されている。また、イーサネットに接続する第2通信部105は、IEEE802.3に規定されるネットワーク93に接続されている。
図3に示す親機情報112とは、電力線通信において、子機が所属しているグループネットワークにおける親機に関する情報である。したがって、例えば、子機である第1端末装置11,12,13の場合であれば、ネットワーク91における親機である第1端末装置10に関する情報である。また、例えば、子機である第2端末装置21,22,23の場合であれば、ネットワーク92における親機である第2端末装置20に関する情報である。親機情報112には、親機に関する様々な情報を格納しておくことが可能であるが、少なくとも親機のMACアドレスを含んでいる。
登録情報113は、本来は、親機が保持している情報であって、自機と同じグループネットワークを形成している子機に関する情報である。したがって、例えば、第1端末装置10であれば第1端末装置11,12,13に関する情報であり、第2端末装置20であれば第2端末装置21,22,23に関する情報である。登録情報113には、子機に関する様々な情報を格納しておくことが可能であるが、少なくとも子機のMACアドレスを含んでいる。
図3では、説明の都合上、親機情報112および登録情報113の両方が記憶装置101に記憶されるかのように図示している。しかし、すでに説明したように、親機情報112は原則として子機が保持する情報であり、登録情報113は原則として親機が保持する情報である。
電力線通信では、グループネットワークが形成される過程で、子機において親機情報112作成され、親機において登録情報113が作成される。親機情報112および登録情報113を作成する技術は、例えば、従来の技術を適宜採用することが可能であるため、詳細な説明を省略する。
第1通信制御部107は、ネットワーク92を介して第1通信部104が受信した情報を、記憶装置101に転送し、受信情報110として記憶させる機能を有している。このように、第1通信部104と第1通信制御部107とによって、第2端末装置21は、電力線通信において情報を受信することができる。
受信情報110は、何らかの処理を実行させるための各種コマンドを示す情報や、表示部103に表示される情報、あるいは、親機情報112や登録情報113の元となる情報などが想定される。ただし、受信情報110は、これらの情報に限定されるものではない。
なお、受信情報110は、自機宛の情報に限定されるものではない。例えば、自機を介して他の宛先に向けて転送される情報である場合もある。受信情報110の宛先が自機でない場合には、受信情報110は、適宜、送信情報111に書き替えられる。
また、第1通信制御部107は、記憶装置101に格納された送信情報111の宛先を確認し、当該宛先がネットワーク92を介して送信すべき宛先である場合には、第1通信部104を制御して当該送信情報111を当該宛先に向けて送信させる。このように、第1通信制御部107と第1通信部104とによって、第2端末装置21は、電力線通信において情報を送信することができる。
送信情報111は、自機以外の装置において受信情報110となるべき情報である。また、送信情報111には、送信先や宛先に関する情報なども付加されている。
第2通信制御部108は、ネットワーク93を介して第2通信部105が受信した情報を、記憶装置101に転送し、受信情報110として記憶させる機能を有している。このように、第2通信制御部108と第2通信部105とによって、第2端末装置21は、イーサネットにおいて情報を受信することができる。すなわち、受信情報110は、第1通信制御部107によって作成される場合のみならず、第2通信制御部108によって作成される場合もある。
また、第2通信制御部108は、記憶装置101に格納された送信情報111の宛先を確認し、当該宛先がネットワーク93を介して送信すべき宛先である場合に、第2通信部105を制御して当該送信情報111を当該宛先に向けて送信させる。このように、第2通信制御部108と第2通信部105とによって、第2端末装置21は、イーサネットにおいて情報を送信することができる。すなわち、送信情報111は、ネットワーク92に向けて送信される場合のみならず、ネットワーク93に向けて送信される場合もある。
さらに、第2通信制御部108は、第2通信部105にネットワーク93が接続されるのを監視し、ネットワーク93が接続されると、その旨をデータ処理部109に伝達する。以下の説明では、このとき、第2通信制御部108からデータ処理部109に向けて伝達される信号を、「接続検出信号」と称する。
データ処理部109は、受信情報110を解析して、送信情報111や親機情報112、登録情報113、表示部103に表示させる情報といった様々な情報を作成する。また、受信情報110に何らかのコマンドが含まれている場合には、データ処理部109は当該コマンドを実行するための情報を作成する。また、データ処理部109は、操作部102から入力される情報に応じて情報を作成する場合もある。ただし、データ処理部109によって作成される情報は、これらの情報に限定されるものではない。
また、データ処理部109は、すでに親機情報112や登録情報113が存在する場合には、これらを参照することもある。例えば、親機宛の送信情報111を作成するときには、親機情報112を参照して、親機のMACアドレスを取得し、これを送信情報111に含める。
さらに、データ処理部109は、第2通信制御部108から伝達される接続検出信号に応じて、第2通信制御部108に検索結果114を作成するように制御する。ただし、詳細は後述する。
なお、検索結果114は、イーサネットを介して接続されているノードが、電力線通信のノードであるか否かを、第2通信制御部108が検索した結果を示す情報である。電力線通信システム1では、検索結果114は、当該ノードが電力線通信のノードである場合にのみ作成されるものとする。検索結果114は、電力線通信のノードであると検出されたノードのMACアドレスとする。
図4は、保守端末装置3のブロック図である。保守端末装置3は、CPU30、記憶装置31、操作部32、表示部33および通信部34を備えている。
CPU30は、記憶装置31に格納されているプログラム310を読み取りつつ実行し、各種データの演算や制御信号の生成等を行う。これにより、CPU30は、保守端末装置3が備える各構成を制御するとともに、各種データを演算し作成する機能を有している。すなわち、保守端末装置3は、一般的なコンピュータとして構成されている。
記憶装置31は、保守端末装置3において各種データを記憶する機能を提供する。言い換えれば、記憶装置31が保守端末装置3において電子的に固定された情報を保存する。
記憶装置31としては、CPU30の一時的なワーキングエリアとして使用されるRAMやバッファ、読み取り専用のROM、不揮発性のメモリ(例えばNANDメモリなど)、比較的大容量のデータを記憶するハードディスク、専用の読み取り装置に装着された可搬性の記憶媒体(CD−ROM、DVD−ROM、PCカード、SDカード、USBメモリなど)等が該当する。図4においては、記憶装置31を、あたかも1つの構造物であるかのように図示している。しかし、通常、記憶装置31は、上記例示した各種装置(あるいは媒体)のうち、必要に応じて採用される複数種類の装置から構成されるものである。すなわち、記憶装置31は、データを記憶する機能を有する装置群の総称である。
また、現実のCPU30は、高速にアクセス可能なRAMを内部に備えた電子回路である。しかし、このようなCPU30が備える記憶装置も、説明の都合上、記憶装置31に含めて説明する。すなわち、一時的にCPU30自体が記憶するデータも、記憶装置31が記憶するとして説明する。図4に示すように、記憶装置31は、プログラム310を記憶するために使用される。
操作部32は、保守端末装置3に対して保守作業者が指示を入力するために操作するハードウェアである。操作部32としては、例えば、各種キーやボタン類、スイッチ、タッチパネル、ポインティングデバイス、あるいは、ジョグダイヤルなどが該当する。
表示部33は、各種データを表示することにより保守作業者に対して出力する機能を有するハードウェアである。表示部33としては、例えば、ランプやLED、CRT、液晶ディスプレイや液晶パネルなどが該当する。
通信部34は、詳細は図示しないが、いわゆるイーサネットモジュールと、イーサネットケーブルのモジュラージャックが挿入されるコネクタとを備えている。このコネクタに、イーサネットケーブルのモジュラージャックが挿入されることにより、保守端末装置3は、データ通信が可能な状態でイーサネットに接続される。
すでに説明したように、保守端末装置3は、ネットワーク94により、第1端末装置10と接続される。すなわち、保守作業者は、メンテナンスにおける作業として、イーサネットケーブルのモジュラージャックを通信部34のコネクタに挿入する。また、保守作業者は、保守端末装置3に接続されたイーサネットケーブルの他端のモジュラージャックを、第1端末装置10の第2通信部105のコネクタに挿入する。
このようにして、ネットワーク94が構築されると、第1端末装置10と保守端末装置3とがデータ通信可能な状態で接続される。以下の説明では、保守作業者が第1端末装置10と保守端末装置3とをネットワーク94により接続する作業を、「保守端末接続作業」と称する。
図5は、保守端末装置3が備える機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図5に示す通信制御部300、および、データ処理部301は、CPU30がプログラム310に従って動作することにより実現される機能ブロックである。
図5に示すトポロジー情報313は、電力線通信システム1における電力線通信のネットワーク構成に関する情報である。トポロジー情報313に含まれる情報としては、親機のMACアドレス、登録されている子機の台数やMACアドレス、各種パラメータ(インタフェース設定、接続許可設定、ホップの制限回数、プログラムのバージョン情報、ログ記録など)などである。ただし、これらに限定されるものではない。
このような情報を保守端末装置3が取得してトポロジー情報313として一元的に記録することにより、複数に分割された電力線によるネットワークを統合管理することが容易になる。例えば、電力線通信システム1における特定のノードを、トポロジー情報313に基づいて効率的に検索することができる。
通信制御部300は、ネットワーク94を介して通信部34が受信した情報を受信情報311として記憶装置31に格納する。また、通信制御部300は、記憶装置31に格納されている送信情報312を、通信部34に転送し、ネットワーク94を介して送信させる。
なお、電力線通信システム1では、保守端末装置3は、ネットワーク94を介して第1端末装置10と接続されている。したがって、保守端末装置3から送信される送信情報312は、少なくとも送信先アドレスが第1端末装置10となっており、一旦、第1端末装置10によって受信される。しかし、保守端末装置3から送信される送信情報312であっても、宛先が第1端末装置10と異なるものについては、第1端末装置10から該当する宛先に向けて転送される。
データ処理部301は、操作部32から入力される情報や受信情報311に基づいて、トポロジー情報313を作成(更新)する機能を有している。
また、データ処理部301は、トポロジー情報313、受信情報311、あるいは、操作部32から入力される情報を参照して、通信部34に送信させる送信情報312や表示部33に表示させる情報を作成する。
以上が電力線通信システム1の構成および機能の説明である。
電力線通信に限らず、ネットワークを維持管理するためには、対象となるネットワークの構成を把握することが重要である。したがって、従来より、電力線通信システム1のように、電力線によるネットワークが複数のグループネットワークを形成するシステムについても、ネットワーク構成を示す情報を収集する作業が行われていた。このような場合、保守作業者は、各グループネットワークを巡回しながら、その都度、保守用のコンピュータ(保守端末装置3に相当する。)を接続し、各グループネットワークごとに必要な情報を収集していた。
しかし、ビルや工場といった広大な宅内にシステムが設置されると、巡回する保守作業者の負担が大きいという問題があった。さらに、広大な宅内に設置されるシステムでは、保守作業者が巡回しなければならないグループネットワークの数が増大する傾向にあり、さらに負担が増大していた。
そこで、発明者は、従来のシステムにおいて、保守作業者が巡回することなく、ネットワーク構成に関する情報(トポロジー情報313に相当する情報)を収集する技術について考察した。
図6および図7は、従来のシステムにおいて実現可能な動作を示す流れ図である。すなわち、図6および図7に示す例は、保守作業者が、各グループネットワークごとに巡回しながら保守用のコンピュータをつなぎ替えるといった作業を行わなくても、トポロジー情報313に相当する情報を収集することができる方法を例示するものである。なお、図6および図7に示す例は、従来のシステムを用いているが、従来技術ではない。
ここでは、図6および図7に示す例における従来のシステムのネットワーク構成は、図1に示す電力線通信システム1と同一であるものとして説明する。
図6に示す処理を開始するとき、保守作業者は、接続作業を行う(ステップS1)。ステップS1における接続作業とは、保守用のコンピュータを、電力線によるネットワークを構成しているノード(以下、「被選択ノード」と称する。)に、イーサケーブルで接続する作業である。すなわち、電力線通信システム1における「保守端末接続作業」に相当する作業である。詳細な説明は省略するが、ステップS1が実行されると、保守用のコンピュータと被選択ノードとは、IEEE802.3に規定されたネットワークを構成し、通信リンクが確立され、互いのMACアドレスを取得した状態となる。
次に、保守用のコンピュータは、ステップS1において接続された被選択ノードに対して、電力線によるネットワークを形成するノードであるか否かの問い合わせを行う(ステップS2)。ステップS2において、保守用のコンピュータは、ステップS1において取得した被選択ノードのMACアドレスを指定して、電力線通信におけるコマンドを送信する。このとき保守用のコンピュータが送信するコマンドとは、例えば、電力線通信に関する情報を被選択ノードに要求するコマンドである。
被選択ノードは、自機が電力線通信を行うノードであれば、受信したコマンドを解析することが可能であり、当該コマンドに対する応答を保守用のコンピュータに向けて返信する。ここに示す例では、被選択ノードが返信する応答には、被選択ノードが所属する電力線によるネットワークにおいて親機であるか子機であるかを識別する情報が含まれているものとする。
保守用のコンピュータは、ステップS2において送信したコマンドに対する応答の有無(あるいは応答に示される情報)によって、被選択ノードが電力線によるネットワークを形成するノードであるか否かを判定する(ステップS3)。
ステップS1において、保守作業者は、電力線によるネットワークを形成しているノードを選択して保守用のコンピュータを接続する。したがって、保守作業者による作業が正常に実行されていれば、ステップS2において送信されたコマンドに対して正常な応答が返信される。しかし、ステップS1における作業が正常に実行されておらず、例えば正常な応答がない場合(ステップS3においてNo。)、保守用のコンピュータは、エラーを表示し(ステップS4)、作業を終了する。
ステップS3においてYesの場合、保守用のコンピュータは、さらに、被選択ノードが親機か否かを判定する(ステップS5)。
被選択ノードが親機でない場合(ステップS5においてNo。)、保守用のコンピュータは、被選択ノードに対して親機に関する情報を要求する(ステップS6)。ここに示す例では、親機に関する情報(親機情報112に相当する情報)とは、親機のMACアドレスであるが、これに限定されるものではない。
ステップS6における要求に対して、被選択ノードから親機に関する情報が返信されると、保守用のコンピュータは、親機のMACアドレスを指定して、ネットワーク構成に関する情報(登録情報113に相当する情報。以下、単に「登録情報」と称する。)を要求する(ステップS7)。
なお、被選択ノードが親機の場合(ステップS5においてYes)、保守用のコンピュータは、被選択ノードのMACアドレスを指定して、登録情報を要求する(ステップS7)。
ここで説明するシステムのネットワーク構成は、図1に示す電力線通信システム1と同じ構成である。したがって、保守用のコンピュータと接続された被選択ノード(第1端末装置10に相当する。)が1のグループネットワークの親機として設定されている。すなわち、保守用のコンピュータが要求した登録情報は、被選択ノードが記憶しており、当該被選択ノードから登録情報が返信される。
ただし、被選択ノードが親機でない場合には、ステップS7において送信されたコマンドは、被選択ノードを介して、被選択ノードに対する親機であるノードに向けて転送される。したがって、被選択ノードが親機であるか否かに関わらず、ステップS7において送信されたコマンドに対して、登録情報が保守用のコンピュータに対して返信される。
返信された登録情報を受信すると、保守用のコンピュータは、受信した登録情報を、システムのネットワーク構成を示す情報(トポロジー情報313に相当する。以下、単に「トポロジー情報」と称する。)として格納する(ステップS8)。ステップS8において格納された登録情報は、当該登録情報を返信した親機に登録されている子機の情報などを含んでいる。また、保守端末装置3は、ステップS6において取得した親機に関する情報も、トポロジー情報として格納する。
ステップS8において格納した(更新した)トポロジー情報によって、保守用のコンピュータは、1のグループネットワーク(被選択ノードを含む電力線ネットワーク)に関するネットワーク構成を把握することができる。しかし、ステップS8において格納される登録情報には、当該1のグループネットワーク以外のネットワーク(例えばイーサネット)を介して接続されているノードについては記録されてはいない。
図1に示す電力線通信システム1を参考にすれば、第1端末装置11と接続されている印刷装置41や、第1端末装置12に接続されているウェブカメラ40、あるいは、第1端末装置13に接続されている第2端末装置21に相当するノードについては、親機から取得する登録情報では、その存在を把握することができない(これらのノードのMACアドレスを取得できない。)。
しかし、システムにおけるネットワーク構成を把握するためには(より完全なトポロジー情報を作成するためには)、これらのノードのMACアドレスも必要である。特に、電力線によるグループネットワークを構成する第2端末装置21に相当するノードのMACアドレスは重要である。
そこで、ステップS8を実行すると、保守用のコンピュータは、更新されたトポロジー情報を参照して、新たにネットワーク構成を把握したネットワークに接続されている全ノードに対して、状態を問い合わせるためのコマンドを送信する(図7:ステップS11)。
ステップS11を実行するときには、すでに保守用のコンピュータは、電力線通信(1のグループネットワーク)による全ノードのMACアドレスを把握している。したがって、ステップS11を実行するとき、ユニキャストによってコマンドを送信することも可能である。
しかし、ステップS11において、ユニキャストでコマンドを送信すると、当該送信情報には、電力線通信のノードのMACアドレスのみが記述される。電力線通信のノードのMACアドレスのみが記述された送信情報(コマンド)は、当然、電力線通信のノードにまでしか転送されない。したがって、電力線通信のノードの先に、イーサネットを介して接続されたノードには、当該コマンドが転送されない。コマンドが到着しないのであるから、イーサネットを介して接続されたノードは、保守用のコンピュータに対して応答を返信することはない。
また、イーサネットを介して接続されたノードのMACアドレスは、当該ノードから送信された何らかのデータを電力線通信のノードが受信した後でないと、当該電力線通信のノード側において知得されることはない。したがって、未だイーサネットを介したノード間でデータ通信が行われていないときに、保守用のコンピュータから状態を問い合わせるためのコマンドが到着すると、当該電力線通信のノードから返信される応答に、イーサネットを介して接続されたノードのMACアドレスが含まれることはない。
以上によれば、ステップS11におけるコマンドの送信をユニキャストにより実施すると、所望のノードのMACアドレスを収集できないおそれがある。
一方、ステップS11におけるコマンドの送信をブロードキャストにより実施することも可能である。ブロードキャストされたコマンド自体は、イーサネットを介して送信されるわけではない。しかし、ブロードキャストされた送信情報(コマンド)の宛先は固定ではなく、MACアドレスを指定する必要もない。したがって、ブロードキャストされたコマンドは、電力線通信のノードとイーサネットを介した先のノードとの間におけるデータの送受信を誘発することが期待できる。
そして、このようなデータの送受信が行われれば、イーサネットを介した先のノードから送信されたデータに、送信元のMACアドレス(電力線通信のノードとイーサネットを介して接続されたノードのMACアドレス)が含まれる。
すでに説明したように、電力線通信のノードは、イーサネットを介して接続されたノードから送信されたデータを受信することにより、当該ノードのMACアドレスを取得することができる。すなわち、保守用のコンピュータがステップS11において送信するコマンドをブロードキャストすることにより、電力線通信のノードがイーサネットを介して接続されたノードのMACアドレスを取得する可能性を向上させることができる。
電力線通信のノードが、イーサネットを介して接続されたノードのMACアドレスを取得すれば、当該電力線通信のノードから保守用のコンピュータに向けて送信される応答により、保守用のコンピュータは当該MACアドレスを取得することができる。したがって、ステップS11において保守用のコンピュータが送信するコマンドは、ブロードキャストによって送信されることが好ましい。
ステップS11を実行すると、保守用のコンピュータは、ステップS11において送信した状態を問い合わせるコマンドに対する応答に、これまでに未検出であったノードに関する情報(例えば、トポロジー情報に記録されていないMACアドレス)が含まれているか否かを判定する(ステップS12)。
未検出のノードが検出された場合(ステップS12においてYes。)、当該ノードに関する情報をトポロジー情報に追加する(ステップS13)。図1に示す電力線通信システム1と同一のネットワーク構成を有するシステムでは、最初にステップS12が実行されるときに、ウェブカメラ40、印刷装置41および第2端末装置21にそれぞれ相当するノードが未検出ノードとして検出される。したがって、これらのノードに関する情報が、ステップS13によって、トポロジー情報に追加される。
一方、未検出のノードが検出されなかった場合(ステップS12においてNo。)、保守用のコンピュータは、ステップS13をスキップする。
次に、保守用のコンピュータは、トポロジー情報に記録されているノードのなかで、未だ、状態問い合わせを行っていない未確認のノードがあるか否かを判定する(ステップS14)。
すでに、全てのノードについて状態を確認している場合(ステップS14においてNo。)、保守用のコンピュータは、システムのネットワーク構成を把握できた(トポロジー情報が完成した)とみなして、処理を終了する。
一方、未確認のノードが存在する場合(ステップS14においてYes。)、保守用のコンピュータは、検出した未確認のノードのMACアドレスをトポロジー情報から取得し、当該未確認のノードに対して、状態を問い合わせるコマンドを送信する(ステップS15)。ステップS15における送信は、1の未確認のノードを選択して、ユニキャストにより実行される。例えば、電力線通信システム1におけるウェブカメラ40に相当するノードのMACアドレスを指定して、状態を問い合わせるためのコマンドを送信する。
ステップS15において送信したコマンドに対する応答を受信すると、保守用のコンピュータは、当該応答を解析することにより、当該応答を送信したノード(未確認であったノード)が、電力線通信のノードか否かを判定する(ステップS16)。
例えば、ステップS11により状態を問い合わせた結果、検出される未検出のノードは、イーサネットを介して電力線によるネットワークに接続されている。したがって、ステップS13が実行された段階では、保守用のコンピュータからは、イーサネットのノードとして把握されることになる。言い換えれば、当該ノードより先のノードは、保守用のコンピュータにとっては、すべてイーサネット機器であるかのように見える。
これは、例えば、ウェブカメラ40や印刷装置41に相当するノードであれば、特に大きな問題とはならないかもしれない。しかし、第2端末装置21に相当するノードは、電力線による2つの異なるグループネットワークをイーサネットによって架橋(ブリッジ)するノードである。したがって、このノードをイーサネット機器として扱うと、第2端末装置20,21,22,23に相当するノードがすべてイーサネット機器としてトポロジー情報に記録され、電力線通信によるグループネットワークとして管理することが困難になる。
したがって、一旦、イーサネットのノードとして検出されたノードに対して、保守用のコンピュータから状態を問い合わせるコマンドを送信して、電力線通信のノードであるか否かを確認することが好ましい。
応答を返信したノードが電力線通信のノードでない場合(ステップS16においてNo。)、保守用のコンピュータは、トポロジー情報を書き替えることなく、ステップS14の処理に戻る。これにより、他に未確認のノードがなくなるまで、未確認のノードに対する状態問い合わせを繰り返す。
一方、応答を返信したノードが電力線通信のノードである場合(ステップS16においてYes。)、保守用のコンピュータは、図6に示すステップS5に戻って処理を繰り返す。
例えば、第2端末装置21に相当するノードについては、ステップS16においてYesと判定する。その場合は、当該ノードからの応答に基づいて、当該ノードが親機であるか否かを判定する(ステップS5)。そして、当該ノードが親機であれば当該ノードから、当該ノードが親機でなければ当該ノードから取得した親機に関する情報で指定されるノードから登録情報を取得する。そして、得られた登録情報をトポロジー情報に格納するとともに(ステップS8)、得られた登録情報に基づいて全子機(ノード)に対して再び状態の問い合わせを行う(ステップS11)。これにより、印刷装置42に相当するノードが検出され(ステップS12)、トポロジー情報に追加される(ステップS13)。
このようにして、ステップS16において新しい電力線通信のノードを検出するたびに、当該ノードの所属するグループネットワークのネットワーク構成に関する情報を収集し、トポロジー情報を更新する。このように、発明者が考案した図6および図7に示した方法によって、従来のシステム(従来のコマンド体系のシステム)を用いる場合であっても、保守作業者が巡回することのないトポロジー情報の収集処理が期待できる。
しかし、このように構成したとしても、以下のような問題が予想される。第1に、比較的広範囲で、多数のパケットを送受信しなければならないブロードキャストを用いるため、運用中のシステムにおいては通常運用における通信の妨げになるおそれがあること。第2に、ブロードキャストによっても、確実にイーサネットのノードから応答があるとは言い切れない。応答がなければ、イーサネットのノードのMACアドレスを収集することができず、検出漏れを生じるおそれがあること。第3に、イーサネットのノードのMACアドレスが得られたとしても、当該ノードが電力線通信のノードであるか否かの確認を、個別に実行せねばならず、非常に煩雑で非効率であることである。特に、昨今では、イーサネットを介して接続される機器が増加しており、ステップS14ないしS16の繰り返し回数が増大する。
次に、電力線通信システム1を用いるメンテナンス方法について説明する前に、電力線通信システム1において、異なるグループネットワーク(ネットワーク91,92)をイーサネットでブリッジしたときの動作について説明する。すなわち、電力線通信システム1において、第1端末装置10と、第2端末装置21とをイーサネットケーブルで接続するときの動作について説明する。
図8は、電力線通信システム1における準備作業を示す流れ図である。準備作業は、後述するメンテナンスが開始される前に、予め実行されている作業である。
運用が開始されると、電力線通信システム1における電力線通信のノード(第1端末装置10,11,12,13および第2端末装置20,21,22,23)は、通常処理(ステップS21)を実行しつつ、第2通信部105のコネクタにイーサネットケーブルが接続されたか否かを監視する(ステップS22)。なお、ステップS21における通常処理とは、電力線通信システム1が運用されているときに必要となる一般的な処理の総称である。
この状態で、保守作業者が第2通信部105のコネクタにイーサネットケーブルを接続すると、第2通信制御部108がこれを検出し、ステップS22においてYesと判定する。ステップS22においてYesと判定すると、第2通信制御部108は、接続検出信号をデータ処理部109に伝達する(ステップS23)。
接続検出信号が伝達されると、データ処理部109は電力線通信ノード検索コマンドを含む送信情報111を作成して、記憶装置101に格納する。この送信情報111は、第2通信制御部108によって第2通信部105に転送され、第2通信部105によってイーサネットケーブルの先に接続されたノードに向けて送信される(ステップS24)。
電力線通信システム1では、準備作業において、第1端末装置13と第2端末装置21とがイーサネットケーブルで接続され、ネットワーク93が構築される。したがって、第1端末装置13は、第2端末装置21に対してステップS24における送信情報111を送信する。また、第2端末装置21は、第1端末装置13に対してステップS24における送信情報111を送信する。すなわち、電力線通信システム1では、分割された電力線ネットワークをブリッジする2つのノード間で、電力線通信ノード検索コマンドが送受信される。
このように、ブリッジを形成した場合、電力線通信ノード検索コマンドは互いに送受信される。すなわち、ステップS24を実行したノードは、相手側から電力線通信ノード検索コマンドを受信する可能性がある。したがって、当該ノードは、電力線通信ノード検索コマンドを受信したか否かを監視する(ステップS25)。
電力線通信ノード検索コマンドを受信した場合(ステップS25においてYes。)、電力線通信のノードは、当該コマンドを実行する(ステップS26)。ステップS26における処理は、第2通信制御部108が第2通信部105の先にイーサネットケーブルで接続されているノードが電力線通信のノードか否かを確認する処理である。この処理は、例えば、電力線通信のRAWパケットを第2通信部105に送信させ、隣接する電力線によるネットワークの存在を把握することによって実現できる。ステップS26における検索結果114は、記憶装置101に記憶される。
なお、例えば、第1端末装置12の第2通信部105も、イーサネットケーブルが接続され、ネットワーク95が形成されて、ウェブカメラ40が接続される。したがって、第1端末装置12は、ステップS22においてYesと判定し、電力線通信ノード検索コマンドが第2通信部105からウェブカメラ40に対して送信される。しかし、このコマンドはウェブカメラ40が電力線通信のノードではないため、無視される。したがって、ウェブカメラ40は、当該コマンドの実行結果(検索結果114)を格納することはない。
また、ウェブカメラ40は電力線通信のノードではないので、ウェブカメラ40から電力線通信ノード検索コマンドが送信されることはない。したがって、第1端末装置12は、ステップS25においてYesと判定することはないので、当該コマンドの実行結果(検索結果114)を格納することはない。
このように、電力線通信システム1では、例え、第2通信部105のコネクタにイーサネットケーブルが接続されても、ブリッジを形成するものでなければ、電力線通信ノード検索コマンドの実行結果(検索結果114)が格納されることはない。
次に、電力線通信システム1を用いるメンテナンス方法について説明する。
図9および図10は、電力線通信システム1を用いたメンテナンス方法を示す流れ図である。なお、電力線通信システム1においては、図9および図10に示す処理が開始されるまでに、図8に示す準備作業が完了している。したがって、第1端末装置13は、通常においても、ネットワーク93を介して第2端末装置21と接続されている。すなわち、図9および図10に示す処理が開始されるまでに、電力線通信システム1において、ネットワーク91とネットワーク92に対して、ネットワーク93によるブリッジが形成されている。
図9および図10に示す処理が開始されると、保守作業者は、保守端末装置3と第1端末装置10とをイーサケーブルで接続する。すなわち、保守作業者は保守端末接続作業を行う(ステップS31)。これにより、保守端末装置3と第1端末装置10とは、物理的に接続される。なお、以下に説明する、図9に示すステップS32ないしS38は、図6に示したステップS2ないしS8に相当する。
ステップS31を終了すると、保守作業者は操作部32を操作して、保守端末接続作業が終了した旨を保守端末装置3に入力する。これにより、データ処理部301は、接続された第1端末装置10に対して状態を問い合わせるためのコマンドを含む送信情報312を作成する。この時点では、保守端末装置3は、第1端末装置10のMACアドレスを取得していない。したがって、このとき作成される送信情報312には、第1端末装置10のMACアドレスは含まれていない。
送信情報312が作成されると、通信制御部300は、当該送信情報312を通信部34に転送するとともに、コネクタから送信するように通信部34を制御する。これにより、状態を問い合わせるためのコマンドを含む送信情報312が、保守端末装置3から送信される。すなわち、保守端末装置3から、接続先の第1端末装置10に対して、状態の問い合わせが行われる(ステップS32)。
保守作業者による保守端末接続作業が正常に実行されていれば、保守端末装置3がネットワーク94によって接続されている相手は、電力線通信のノードである第1端末装置10である。第1端末装置10の第2通信部105が送信情報312を受信すると、第2通信制御部108は、これを受信情報110として記憶装置101に転送する。
受信情報110は、データ処理部109によって解析され、状態を問い合わせるためのコマンドであると認識される。データ処理部109は、状態を問い合わせるためのコマンドに対して、自機に関する情報(MACアドレス)を含む送信情報111を作成する。このとき、受信情報110には、送信元である保守端末装置3のMACアドレスが含まれている。したがって、データ処理部109は、保守端末装置3のMACアドレスを指定して、送信情報111を作成する。
送信情報111が作成されると、第1通信制御部107および第2通信制御部108が宛先を確認する。ここでは、宛先は、保守端末装置3であるため、第2通信制御部108が第2通信部105に当該送信情報111を転送し、保守端末装置3に向けて送信するように第2通信部105を制御する。したがって、ステップS32において送信された送信情報312に対して、第1端末装置10から電力線通信における状態を示す送信情報111が応答として送信される。この応答には、自機が親機であるか否かの識別子が含まれているものとする。
この送信情報111(応答)が保守端末装置3の通信部34によって受信されると、通信制御部300は、当該送信情報111を受信情報311として記憶装置31に転送する。受信情報311は、データ処理部301によって解析され、送信元(第1端末装置10)が電力線通信のノードか否かが判定される(ステップS33)。なお、詳細は図示していないが、ステップS33が実行されるとき、受信情報311に含まれる情報の一部は、データ処理部109によりトポロジー情報313として格納される。
保守作業者による保守端末接続作業が正常に実行されておらず、接続先が電力線通信のノードでない場合(ステップS33においてNo。)、データ処理部301は、表示部33を制御して、エラーを表示させ(ステップS34)、処理を終了する。この場合、保守作業者は、表示部33に表示されたエラーメッセージにより、保守端末接続作業をやり直すことができる。
ステップS33においてYesの場合、データ処理部301は、第1端末装置10が電力線通信における親機であるか否かを判定する(ステップS35)。
保守端末装置3が接続された相手が親機でない場合(ステップS35においてNo。)、保守端末装置3は相手に対して、親機情報112を要求する(ステップS36)。相手が親機でなく子機の場合、記憶装置101に親機情報112を格納している。したがって、ステップS36を実行することにより、保守端末装置3は、相手側から親機情報112を取得することができる。取得された親機情報112は、データ処理部301によってトポロジー情報313として格納される。
図1に示す電力線通信システム1は、保守端末装置3が親機である第1端末装置10に接続される。しかし、メンテナンスにおいて、ステップS35,S36を設けておくことにより、保守端末装置3が子機に接続された場合であっても、メンテナンスを行うことができる。すなわち、保守作業者は、保守端末装置3を接続するノードが親機であるか子機であるかを意識しなくても、メンテナンスを行うことができる。なお、相手が親機である場合(ステップS35においてYes。)、保守端末装置3は、ステップS36をスキップする。
次に、データ処理部301は、トポロジー情報313を参照して、ステップS33において電力線通信のノードとして検出したノード(第1端末装置10)の所属するグループネットワークの親機を特定する。そして、特定した親機のMACアドレスと、登録情報113を要求するためのコマンドとを含む送信情報312を作成する。
送信情報312が作成されると、当該送信情報312は、通信部34によってネットワーク94を介して送信される。この送信情報312には、登録情報113を要求するコマンドが含まれている。したがって、この送信情報312の送信により、保守端末装置3は、登録情報113を要求する(ステップS37)。
電力線通信システム1では、すでに説明したように、第1端末装置10が1のグループネットワークの親機として設定されている。したがって、送信情報312の宛先には、第1端末装置10のMACアドレスが格納されている。すなわち、この送信情報312は第1端末装置10によって、最終的に受信される。
第1端末装置10のデータ処理部109は、登録情報113を要求するコマンドに従って、登録情報113を含む送信情報111を作成する。この送信情報111の宛先は、当該コマンドの送信元である保守端末装置3である。
したがって、登録情報113を含む送信情報111は、第2通信制御部108によって第2通信部105に転送される。これにより、第2通信部105が、ネットワーク94を介して、保守端末装置3に向けて当該送信情報111を送信する。この送信情報111は、保守端末装置3による登録情報要求(ステップS37)に対する応答として、保守端末装置3に受信される。
通信部34によって登録情報113を含む送信情報111が受信されると、通信制御部300は、当該送信情報111を受信情報311として記憶装置31に格納する。当該受信情報311は、データ処理部301によって解析され、登録情報113が抽出されて、トポロジー情報313として格納される(ステップS38)。
次に、保守端末装置3は、ステップS38において格納した登録情報113に登録されているノードに対して、検索結果114を要求する(ステップS41)。ステップS38において格納した登録情報113には、第1端末装置10(接続された相手)と同じグループネットワーク(ネットワーク91)に所属する電力線通信のノードのMACアドレスが登録されている。すなわち、電力線通信システム1において、ステップS41が実行されると、保守端末装置3は、第1端末装置11,12,13に対して、検索結果114を要求する。なお、検索結果114の要求を含む送信情報312は、ユニキャストにより実行される。
ステップS41において送信された送信情報312を第1通信部104が受信すると、第1通信制御部107によって受信情報110が作成される。このとき作成される受信情報110には、検索結果114の要求が含まれている。したがって、データ処理部109は、記憶装置101に検索結果114が格納されているか否かを判定する(ステップS42)。
なお、準備作業において、電力線通信ノード検索コマンドを取得してから、検索結果114を格納するまで、一定の時間が必要となる。しかし、通常は、図8の準備作業が実施されてから、図9および図10のメンテナンスが開始されるまでに充分な時間が経過しているものと考えてよい。したがって、例えば、第1接続端末装置である第1端末装置13において、ステップS42における判定がされるときには、すでに検索結果114が記憶装置101に格納されているとみなしてよい。
このように、電力線通信システム1は、予め、準備作業において検索結果114を作成する。これにより、メンテナンスにおける保守端末装置3からの要求があってから電力線通信ノード検索コマンドを実行する場合に比べて効率的なメンテナンスが可能となる。
検索結果114が存在する場合(ステップS42においてYes。)、データ処理部109は、検索結果114を含み、保守端末装置3のMACアドレスを宛先として格納した送信情報111を作成する。この送信情報111は、ステップS41に対する応答として、第1通信部104によって保守端末装置3に向けて送信される。
電力線通信システム1では、第1端末装置10,11,12は、検索結果114が存在しないことを示す応答を送信する。一方、第1端末装置13の第2通信部105には、電力線通信のノードである第2端末装置21が接続されている。したがって、第1端末装置13は、検索結果114がすでに作成されており、第2端末装置21のMACアドレスを含む応答を返信する。
ステップS41を実行した保守端末装置3は、検索結果114を要求したノードからの応答を受信する。さらに、データ処理部301は、受信された応答に含まれる検索結果114に応じて、トポロジー情報313を更新する(ステップS43)。電力線通信システム1では、第1端末装置13からの応答において、第2端末装置21が電力線通信のノードとして検出される。したがって、ステップS43において、第2端末装置21のMACアドレスがトポロジー情報313に格納される。
ステップS43によってトポロジー情報313を更新すると、保守端末装置3は、ステップS35からの処理を繰り返す。すなわち、新たに検出された電力線のグループネットワーク(例えばネットワーク92)について、親機情報112および登録情報113を取得してトポロジー情報313に格納する(ステップS38)。
そして、新しく検出された他のグループネットワーク(ネットワーク92)についても、検索結果114を要求し(ステップS41)、さらに新しいグループネットワークを検索する。ただし、電力線通信システム1では、さらに新しい電力線のグループネットワークが検出されることはないので、再度実行されるステップS42において、「No」と判定される。
ステップS42においてNoの場合、保守端末装置3は、トポロジー情報313を参照して、未だ、登録情報113を収集していない未確認の電力線通信のノードが存在するか否かを判定する(ステップS44)。
電力線通信システム1では、ステップS42が実行されたときに、複数の電力線通信のノードが新たに検出されることはない。しかし、例えば、ネットワーク91において複数のブリッジが構築されていることも想定される。このような場合は、ステップS42において、複数の電力線通信のノード(ブリッジ)が検出される。電力線通信システム1では、検出されたすべての電力線によるグループネットワークに対して、ステップS35ないしS38、および、ステップS41ないしS43の処理を実行しなければならない。したがって、未確認のノードが存在する場合(ステップS44においてYes。)、当該未確認のノードが所属するグループネットワークに対する処理を実行するために、保守端末装置3は、ステップS35に戻って処理を繰り返す。
図6と図9とを比較すると明らかであるが、電力線通信システム1においても、保守端末接続作業(ステップS31)は、一度、実行されるだけであり、保守作業者が複数のグループネットワークを巡回する必要はない。
また、電力線通信システム1によるメンテナンス方法では、状態を問い合わせるためのコマンドをブロードキャストする必要がない。これにより、運用中における通信が妨げられる危険性が低下する。
また、電力線通信システム1は、イーサネットに接続された電力線通信のノードを、当該ノードと接続されているノードから直接検索する。また、検索するノードに対しては、ユニキャストによってコマンド(電力線通信ノード検索コマンド)を送信する。これにより、ブロードキャストに対する応答という信頼性の低い方法に比べて、確実に所望のノードを検出することができる。
さらに、検出されたノードは、検出された時点で、電力線通信のノードであることが把握されている。すなわち、検出されたノードに対して、改めて個別に、電力線通信のノードであるか否かの確認を行う必要がない。したがって、効率的にメンテナンスを行うことができる。
以上のように、電力線を介した電力線通信を行う電力線通信システム1は、電力線によるネットワーク91に接続され、1のグループネットワークを構成する複数の第1端末装置10,11,12,13と、電力線によるネットワーク92に接続され、当該1のグループネットワークと異なる他のグループネットワークを構成する複数の第2端末装置20,21,22,23と、少なくともメンテナンスを行うときに、複数の第1端末装置10,11,12,13のうちの少なくとも1つの選択された第1端末装置10とデータ通信可能に接続される保守端末装置3とを備える。また、複数の第1端末装置10,11,12,13は、少なくともメンテナンスを行うときに、IEEE802.3によるネットワーク93を構成するように接続される第1端末装置13(第1接続端末装置)を含み、複数の第2端末装置20,21,22,23は、ネットワーク93により第1端末装置13との間でデータ通信可能に接続される第2端末装置21(第2接続端末装置)を含む。さらに、第1端末装置13は、メンテナンスを行うときに、保守端末装置3からの要求(電力線通信ノード検索コマンドによる要求)に応じて、第2端末装置21が電力線によるネットワーク92に接続されているか否かを通知する。これにより、保守端末装置が第2端末装置21に対して、個別に、電力線通信における端末装置(電力線通信のノード)であるか否かの問い合わせを行う必要がない。
また、既存の電力線通信の機能を利用することができるため、処理負荷も少なく、CPUパワーやメモリ容量などのリソースを抑制することができる。
第1接続端末装置である第1端末装置13は、メンテナンスが開始される前に実施する予備作業において、第2接続端末装置である第2端末装置21が電力線によるネットワーク92に接続されていることを予め検出し、検索結果114を格納しておく。これにより、メンテナンスのときに検出する場合に比べて、保守端末装置3による処理を軽減することができる。したがって、メンテナンスの効率が向上する。
第1接続端末装置である第1端末装置13は、第2接続端末装置である第2端末装置21と接続されたときに、当該第2端末装置21が電力線によるネットワーク92に接続されていることを検出する。これにより、検出を実施するタイミングを容易に決定できる。
なお、電力線通信システム1では、保守端末装置3は、第1端末装置10に接続されるとして説明した。しかし、例えば、ネットワーク92に接続されている第2端末装置20に接続されてもよい。
また、電力線通信システム1では、ネットワーク91における子機の第1端末装置13と、ネットワーク92における子機の第2端末装置21とがネットワーク93によって接続されていた。しかし、ネットワーク93によって接続されるノードは、子機に限定されるものではない。例えば、親機である第1端末装置10と子機である第2端末装置21とが接続されてもよいし、親機である第1端末装置10と親機である第2端末装置20とが接続されてもよい。あるいは、ブリッジを形成する2つのノードが、1つの筐体に収納される形態を採用してもよい。
<2. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
例えば、上記実施の形態に示した各工程は、あくまでも例示であって、上記に示した順序や内容に限定されるものではない。すなわち、同様の効果が得られるならば、適宜、順序や内容が変更されてもよい。
また、上記実施の形態に示した機能ブロック(例えば、第1通信制御部107やデータ処理部109など)は、CPU100がプログラム106に従って動作することにより、ソフトウェア的に実現されると説明した。しかし、これらの機能ブロックの一部または全部を専用の論理回路で構成し、ハードウェア的に実現してもよい。
また、第1端末装置13と第2端末装置21とが接続され、ネットワーク93に頻繁にデータが流れると、これによって第1端末装置13および第2端末装置21の負荷が増大するおそれもある。したがって、メンテナンスを行うとき以外の期間において、第1接続端末装置である第1端末装置13と第2接続端末装置である第2端末装置21との間のデータ通信を抑制してもよい。これにより、メンテナンス用に設けたブリッジ(ネットワーク93)によって、通常の通信が妨げられることを抑制することができる。
また、メンテナンスを行うとき以外の期間において、第2端末装置21から第1端末装置13に向けてのデータの送信を禁止してもよい。このような送信の禁止は、ソフトウェア的に実現することもできる。メンテナンスにおいて、保守端末装置3が接続される上流側の第1端末装置13からの送信のみを許可しておくことにより、効果的にブリッジ間の通信を抑制することができる。なお、この場合、第2端末装置21から第1端末装置13に向けてのデータの送信を禁止するのではなく、抑制(送信の一部を許可する。)にとどめてもよい。
このように設定した場合、例えば、メンテナンスが開始され、保守端末装置3から何らかの送信情報312が第1端末装置13に受信されたときに、第1端末装置13が第2端末装置21に向けて、当該送信の禁止を解除するコマンドを送信してもよい。これにより、メンテナンスを行うときには、ネットワーク93において双方向のデータ通信が可能となり、第2端末装置21側からもデータを送信することが可能となる。したがって、第2端末装置21側に存在する情報であって、トポロジー情報313として保守端末装置3において記録されるべき情報も、容易に収集することができる。