以下に、本発明に係るミキシングコンソールの一実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、デジタルオーディオミキサ(「デジタルミキサ」又は、単に「ミキサ」とも言う)の電気的ハードウェア構成を示すブロック図である。デジタルミキサ1は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)10、フラッシュメモリ11、RAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)12、波形入出力インターフェース(波形I/O)13、信号処理部(DSP(Digital Signal Processing)部)14、操作子15、電動フェーダ16、表示器17、及び、その他I/O18を備え、各構成要素がバスライン19を介して接続される。
CPU10は、フラッシュメモリ11又はRAM12に記憶された制御プログラムを実行して、デジタルミキサ1の全体動作を制御する。フラッシュメモリ11は、CPU10が実行する各種のプログラムや各種のデータなどを格納した不揮発性メモリである。フラッシュメモリ11には、ミキシング信号処理に用いる全てのパラメータの現在の設定値(カレントデータ)を記憶したカレントメモリがある。また、後述する出力チャンネルテーブル及び後述する出力ポートテーブルを含むオーディオ信号の通信路を規定するデータや、各chストリップに設定されている操作対象チャンネルなどミキサ1における各種設定データも記憶する。RAM12は、CPU10が実行するプログラムのロード領域やワーク領域に使用する揮発性メモリである。
波形I/O13は、オーディオ信号を入出力するためのインターフェースであり、図中の矢印で示すように、アナログオーディオ信号を入力する複数の入力ポート、アナログオーディオ信号を出力する複数の出力ポート、及び、デジタルオーディオ信号を入出力するデジタル入出力(複数の入力ポート及び複数の出力ポート)を含む。波形I/O13は、さらに、アナログデジタル変換(AD変換)、デジタルアナログ変換(DA変換)、及びデジタル変換(フォーマット変換)を行うための機構を含む。
DSP部14は、CPU10の指示に基づいて各種のマイクロプログラムを実行することにより、カレントメモリに記憶された各種のパラメータのカレントデータに基づいて、波形I/O13経由で外部機器から入力されたオーディオ信号に対して、オーディオミキシングに関する各種の信号処理を行い(本明細書ではこの信号処理を「ミキシング信号処理」と呼ぶ)、処理後のオーディオ信号を波形I/O13経由で外部機器へ出力する。なお、前記各種信号処理とはオーディオ信号の音量レベル制御、複数のオーディオ信号のミキシング、オーディオ信号への効果付与等である。
操作子15、電動フェーダ16、及び表示器17は、ミキサ1の操作卓(ミキシングコンソール)の操作パネル上に設けられたユーザインターフェースである。表示器17は、例えばタッチパネル式液晶ディスプレイにより構成され、CPU10からバス19を介して与えられた表示制御信号に基づいて各種画面を表示できる。操作子15は、後述するノブ操作子等を含む操作パネル上に配置された操作子群である。電動フェーダ16は、フェーダ型の操作子であり、ユーザが操作できるとともに、CPU10から与えられる駆動制御信号に基づいて操作位置が自動制御される。CUP10は、操作子15、電動フェーダ16及びタッチパネル式ディスプレイ17の操作に応じて、カレントデータを調整する。「カレントデータを調整する」とは、カレントメモリに記憶されている当該操作に該当するパラメータのカレントデータを、当該操作に応じた値に変更し、変更後の値をDSP部14や表示器17へ反映することである。
その他I/O18は、例えばRS−422、USB(universal serial bus)、或いは、Ethernet(登録商標)規格など、周知の複数の汎用インターフェースを含み、図中の矢印で示すように、後述する外付けアンプや外付けヘッドアンプとの間で制御信号の通信を行う。
図2は、図1のミキサ1におけるミキシング信号処理の構成を説明するブロック図である。図2に示す各部の動作は、主にCPU10の処理及びDSP部14が実行するマイクロプログラムの処理により実現される。
アナログ入力部(A入力)20及びデジタル入力部(D入力)21は、波形I/O13が実行するオーディオ信号の入力、AD変換、フォーマット変換などのオーディオ信号入力機能に相当する。入力パッチ22は、ユーザの指定に基づいて、A入力20とD入力21に複数ずつ設けられている入力ポートそれぞれを、後段の入力ch23のいずれか1つの入力chに割り当てる。すなわち、入力パッチ22では、1つの入力chに対して1つの入力ポートのみ割り当てる。なお、本明細書では「チャンネル」を「ch」と表記する。
入力ch23は、64個の入力ch(ch1〜ch64)を持つ。各入力chは、入力パッチ22を介して接続された1つの入力ポートから入力されるオーディオ信号に対して、カレントデータに基づき各種の信号処理を行い、信号処理後のオーディオ信号をMIXバス24及びステレオバス25のうちの任意の1又は複数のバスへ出力する。
16本あるMIXバス24(MIX1〜16)のそれぞれは、入力ch部23から供給されたオーディオ信号をミキシングし、ミキシング後のオーディオ信号をMIX出力ch26へ出力する。2本のステレオバス25(ST L,ST R)のそれぞれは、入力ch部23から供給されたオーディオ信号をミキシングして、ミキシング後のオーディオ信号をステレオ出力ch27へ出力する。
MIX出力ch26は、16本のMIXバス24のそれぞれに対応する16個のMIX出力ch(ch1〜ch16)を持つ。各MIX出力ch26は、対応するMIXバス24から入力されるオーディオ信号に対して、カレントデータに基づき、EQ、コンプレッサ、出力音量レベル、及びchオン・オフ等の各種の信号処理を行い、信号処理後のオーディオ信号を出力パッチ30又はMATRIXバス28へ出力する。8本あるMATRIXバス28(MATRIX1〜8)のそれぞれは、MIX出力ch26から供給されたオーディオ信号をミキシングし、ミキシング後のオーディオ信号をMATRIX出力ch部29へ出力する。
ステレオ出力ch27(ST出力ch)は、ステレオバス25のそれぞれに対応して、2個のch(Lch,Rch)を持ち、対応するステレオバス25から入力されるオーディオ信号に対して、カレントデータに基づき、EQ、コンプレッサ、出力音量レベル、及びchオン・オフ等の各種の信号処理を行い、信号処理後のオーディオ信号を出力パッチ30へ出力する。
また、MATRIX出力ch29(MATRIX出力ch)は、8本のMATRIXバス28のそれぞれに対応する8個のMATRIX出力ch(ch1〜ch8)を持ち、対応するMATRIXバス28から入力されるオーディオ信号に対して、カレントデータに基づき、EQ、コンプレッサ、出力音量レベル、及びchオン・オフ等の各種の信号処理を行い、信号処理後のオーディオ信号を出力パッチ30へ出力する。
本明細書では、MIX出力ch26、ST出力ch27及びMATRIX出力ch29の出力系chを総称して、「出力ch」と呼ぶ。これら出力chは、いずれも、出力パッチ30を介して出力ポートに接続され、出力ポートを介してアンプに外部接続される可能性がある。すなわち、出力chは外部接続されたアンプへ送出するオーディオ信号の音特性の調整を行うchである。
出力パッチ30は、ユーザの指定に基づいて、各出力ch26、27及び29を、それぞれ、アナログ出力部(A出力)31とデジタル出力部(D出力)32に複数ずつ設けられている出力ポートのうち任意の1又は複数の出力ポートに割り当てる。A出力31及びD出力32は、波形I/O13が実行するオーディオ信号のDA変換、フォーマット変換、出力などのオーディオ信号出力機能に相当する。A出力31及びD出力32に複数ずつ設けられている出力ポートのそれぞれに、外付けのアンプを外部接続できる。
出力パッチ30の設定、すなわち出力chと出力ポートの接続状況は、出力chテーブル33(出力パッチデータ)により規定される。図3は、出力chテーブル33の構成を示す。出力chテーブル33は、ミキサ1に備わる全出力ch(16本のMIX出力ch26、2本のST出力ch27、及び、8本のMATRIX出力ch29)と、全出力ポート(A出力31及びD出力32)との接続状況を記録している。各出力chは、例えば出力ch番号や出力ch名により特定される(「MIX出力ch1」、「MIX出力ch2」・・・)。また、各出力ポートは、例えば出力ポート番号や出力ポート名により特定される(「出力ポート1」、「出力ポート2」・・・)。
オペレータは、ミキシングコンソール2を使って手動で、所望の出力ch毎に接続先となる所望の1又は複数の出力ポートを指定して、所望の出力chテーブル33を作成できる。作成された出力chテーブル33はフラッシュメモリ11に記憶される。オペレータは、出力chと出力ポートの接続設定においては、1つの出力chに対して複数の出力ポートをパラレルに接続できる。その反対に複数の出力chを1つの出力ポートに接続することはできない。例えば、図3の出力chテーブル33では、1つのMIX出力ch1に対して、3つの出力ポート(「出力ポート1」、「出力ポート3」及び「出力ポート5」)を接続するようになっている。
図4は、図1のミキサ1と、ミキサ1に外部接続されたヘッドアンプ(マイクHA)4,5、及び、ミキサ1に外部接続されたアンプ(スピーカAMP)6,7,8の間のオーディオ信号及び制御信号の通信路を説明するブロック図である。実線で示すオーディオ信号の通信路はオーディオケーブルを用いて配線される。点線で示す制御信号の通信路は制御信号用ケーブルを用いて配線される。なお、例えばEtherenet(登録商標)規格に準拠する1本のネットワークケーブルを用いてオーディオ信号と制御信号を通信する構成を採用してもよい。
図4において、ミキサ1の構成を、ミキシングコンソール2とミキシングエンジン3とに分けて描いている。ミキシングコンソール2は、図1のCPU10、フラッシュメモリ11、RAM12、波形I/O13、操作子15、電動フェーダ16、表示器17及びその他I/O18に相当しており、その他I/O18を介して、ヘッドアンプ4、5及びアンプ6,7及び8との間で制御信号を通信可能に接続される。ミキシングエンジン3(DSP)は、図1の波形I/O13及び信号処理部14に相当しており、波形I/O13の入力ポート20,21を介してヘッドアンプ4、5に外部接続され、且つ、波形I/O13の出力ポート31,32を介してアンプ6,7,8に外部接続される。
ヘッドアンプ4、5は、それぞれ、アナログオーディオ信号のレベルを制御するヘッドアンプゲインを備えたマイクヘッドアンプであり、マイク等の入力源から入力されたアナログオーディオ信号をゲイン調整してミキシングエンジン3に供給する(図4において実線A1)。ミキシングコンソール2は、オペレータによる操作に応じて、ヘッドアンプ4、5のヘッドアンプゲインを制御する制御信号をヘッドアンプ4、5に供給し(図4において点線C1)、ヘッドアンプ4、5のヘッドアンプゲインをリモート制御できる。
ミキシングコンソール2は、ミキシング信号処理(図2の入力パッチ22から出力パッチ30までの各種信号処理)に関する、オペレータによる各種操作に応じた+制御信号をミキシングエンジン3に供給する(図4において点線C2)。ミキシングエンジン3は、ミキシングコンソール2から与えられた制御信号に従い、ヘッドアンプ4、5から入力されたオーディオ信号に対してミキシング信号処理を実行し、処理後のオーディオ信号を、アンプ6,7及び8に送出する(図4において実線A3)。なお、ミキシングエンジン3からミキシングコンソール2にオーディオ信号を出力して(図4において実線A2)、オペレータがミキシングコンソール2にて該オーディオ信号をモニタできるようになっている。
アンプ6,7及び8は、それぞれ、アナログオーディオ信号のレベルを制御するアンプゲインを備えており、それぞれ、ミキシングエンジン3から入力されたオーディオ信号(の音量レベル)を、アンプゲインの値に従って最終調整してスピーカに出力する。ミキシングコンソール2は、オペレータによる操作に応じて、アンプ6,7及び8のアンプゲインを制御する制御信号をアンプ6,7及び8に供給し(図4において点線C3)、アンプ6,7及び8のアンプゲインの値をリモート制御できる。
出力ポートと外付けアンプとの接続状況は、図5に示す出力ポートテーブルに記録される。出力ポートテーブル34は、ミキサ1に備わる全出力ポート(A出力31及びD出力32)とアンプの接続状況を記録している。各出力ポートは例えば出力ポート番号や出力ポート名により特定される(「出力ポート1」、「出力ポート2」・・・)。各アンプは、例えばアンプ名や、アンプのID番号、及び、そのアンプが内蔵している個々のchの識別子により特定される(「スピーカAMP1(L)」、「スピーカAMP1(R)」、「スピーカAMP2(L)」、「スピーカAMP2(R)」・・・)。例えば「スピーカAMP1(L)」と「スピーカAMP1(R)」は、1つの筐体(スピーカAMP1)に内蔵しているch(L)とch(R)をそれぞれ特定している。
アンプ名やアンプのID番号は、ミキシングコンソール2において個々のアンプに設定した情報であってもよいし、或いは、各アンプに予め記憶されている各アンプに固有の識別情報などを利用もよい。また、アンプ6,7,8をEtherenet(登録商標)規格等のネットワークを介してミキシングコンソール2に接続する場合には、アンプを特定する情報として、アンプのネットワークアドレス(IPアドレスやMACアドレス)を利用できる。
オペレータは、ミキシングコンソール2を使って手動で出力ポート毎に接続先となるアンプを指定して、出力ポートテーブル34を作成できる。作成された出力ポートテーブル34はフラッシュメモリ11に記憶される。なお、出力ポートテーブル34は、各出力ポートの接続先となるアンプを記録したものであればよく、接続先となるアンプが実際にミキサと接続されているか否かは問わない。そのため、実際にミキサと接続されているアンプ以外に、実際にはミキサに接続されていないアンプを接続先として指定することもできる。
図6は、ミキシングコンソール2の操作パネルの構成例である。操作パネルには、ディスプレイ40と、3つのchストリップ部41、42及び43(chストリップ部♯1、chストリップ部♯2及びchストリップ部♯3)と、セレクテッドch画面ディスプレイ44と、セレクテッドch操作子部45と、レイヤ選択スイッチ46(レイヤSW)が設けられている(図1の操作子15、電動フェーダ16、表示器17に相当)。セレクテッドch画面ディスプレイ44とセレクテッドch操作子部45は、オペレータに選択された1chに関する詳細なパラメータの表示と調整に用いる。
各chストリップ部41〜43は、それぞれ、8本のchストリップ47からなる。1つのchストリップ47には、電動フェーダ16(第1操作子)とノブ操作子48(第2操作子)を含む複数の物理操作子が設けられている。電動フェーダ16とノブ操作子48は、それぞれ、操作対象パラメータとして割り当てられたパラメータのカレントデータを調整する。
12個のレイヤSW46(「L1」、「L2」、「L3」・・・「L12」)は、第1chストリップ部41の8つのchストリップ47の操作対象chを一括して選択するスイッチである。各レイヤSW46には、それぞれ、複数本のchからなるchグループが設定される。chグループのグループ分けは、12個のレイヤSW46によりミキサ1に具わる全ch(64本の入力ch23、16本のMIX出力ch26、2本のST出力ch27及び8本のMATRIX出力chの90本)を網羅でき、且つ、グループ相互間でchが重複しないように、更に、1つのグループに異なる種類のchが混在しないように行われる。
ディスプレイ40は、図1の表示器17に相当しており、基本的には第1chストリップ部41に割り当てられたchに関する基本画面を表示する。図6では、第1chストリップ部41に入力chが割り当てられているときにディスプレイ40に表示される入力ch基本画面500を表示した状態を示す。第1chストリップ部41に出力chが割り当てられているときは、ディスプレイ40には後述の出力ch基本画面が表示される。
入力ch基本画面500は、第1chストリップ部41と同数、且つ、同配列で、8つのchストリップ47に対応する8つのch領域50を配置し、各ch領域50に、対応するchストリップ47の操作対象chの入力chに関する各種情報を簡易表示する。具体的には、図において上から順に、最上段に、その入力chをch名前やch番号で特定するch名51がある。続く3つのマスに当該入力chに設定されているエフェクタの設定状態を簡易表示し、且つ、そのエフェクタの詳細設定用ポップアップウィンドウを表示させるスイッチとして機能するエフェクタアイコン52がある。エフェクタは例えばEQやコンプレッサなどである。その下に、当該入力chから対応するMIXバス24へのセンドレベルの設定状態を簡易表示し、且つ、chストリップ47のノブ操作子48の操作対象パラメータとして、そのセンドレベルを割り当てるスイッチとして機能する16個のセンドレベルアイコン53がある。
次に、オペレータのミキシングコンソール操作と、その操作に応じた処理について説明する。
オペレータは、レイヤSW46のいずれか1つを押すことで、第1chストリップ部41の8つのchストリップ47の操作対象chの変更を指示できる。ミキサ1のCPU10は、レイヤSW46のいずれか1つの操作を検出したとき、図7の操作対象chを変更する処理を起動する。
ステップS1において、CPU10は、操作されたレイヤSW46のchグループに属するch群を第1chストリップ部41の8つのchストリップ47の新たな操作対象chとして設定し、当該chグループに属するchを1つずつ、該8つのchストリップ47に割り当てる。例えば、「L1」を押すと、第1chストリップ部41の各chストリップ47には、左端から右に向かって順次、「L1」に属する「入力ch1」、「入力ch2」・・・「入力ch8」が1つずつ割り当てられる。また、例えば、「L9」を押すと、第1chストリップ部41の各chストリップ47には、左端のから右に向かって順次、「L9」に属する「MIX出力ch1」、「MIX出力ch2」、・・・「MIX出力ch8」が割り当てられる。
ステップS2において、CPU10は、第1chストリップ部41の各chストリップ47の各操作子に操作対象パラメータを割り当てる。操作子毎の操作対象パラメータは操作対象chの種類に応じて予め規定されている。例えば、操作対象chが入力ch23の場合、電動フェーダ16に入力chの入力音量レベルを割り当てて、ノブ操作子48に16本のMIXバス24のうち先頭の「MIXバス1」へのセンドレベルを割り当てる。他方、操作対象chがMIX出力ch26の場合には、電動フェーダ16に出力chの出力音量レベルを割り当てて、ノブ操作子48に8本のMATRIXバス28のうち先頭の「MATRIXバス1」へのセンドレベルを割り当てる。
ステップS3において、CPU10は、ディスプレイ40に、新たな操作対象chに関する基本画面を表示する。操作対象chが入力ch23の場合には、ディスプレイ40には入力ch基本画面500(図6参照)が表示される。他方、操作対象chが出力ch26,27,29の場合には、ディスプレイ40には出力ch基本画面が表示される。図8は、出力ch基本画面の一例として、MIX出力ch26に関する出力ch基本画面600(出力chにアンプが外部接続されていない場合)を示す。出力ch基本画面600は、入力ch基本画面500の構成と同様に、第1chストリップ部41と同数、同配列で、8つのchストリップ47に対応する8つのch領域60を配置し、各ch領域60に、対応するchストリップ47の操作対象chの出力chに関する各種情報を簡易に表示する。各ch領域60の表示内容も、基本的には入力ch基本画面500と同等であり、図において上から順に、当該出力chを特定するch名61(「xx1」、「xx2」、・・・「xx8」)、当該出力chのエフェクタのエフェクタアイコン62、8個のMATRIXバス28に対応する8個のセンドレベルアイコン63を表示する。エフェクタアイコン62及びセンドレベルアイコン63の機能は、それぞれ、入力ch基本画面500のエフェクタアイコン52及びセンドレベルアイコン53と同様である。なお、出力ch基本画面600に表示中の出力chがST出力ch27又はMATRIX出力ch29の場合、センドレベルアイコン63は1つも表示されない。
図7に戻ると、ステップS4において、CPU10は新たな8つの操作対象chに出力chが含まれるか否かを調べる。この判断は、例えば、当該操作対象chとして設定されたch群が出力chのchグループであるか、又は、前記ステップS3で出力ch基本画面600を表示したか、又は、当該操作対象chのいずれかに接続先のアンプをもつものがあるかを調べることにより行う。
新たな操作対象chに出力chがある場合(ステップS5のYES)、ステップS6において、CPU10は、新たな操作対象chに含まれる出力ch毎に、出力chテーブル33に基づいて、その出力chに接続されている全ての出力ポートを抽出し、また、出力ポートテーブル34に基づいて、前記抽出された全ての出力ポートについて、出力ポート毎の接続先のアンプ(外部接続されているアンプ、あるいは、外部接続される予定のアンプ)を抽出する。
前記ステップS6において接続先のアンプ抽出された場合(ステップS7のYES)、CPU10は、前記抽出されたアンプのアンプアイコンを作成して、該当するch領域60に追加表示する。出力chの接続先のアンプが複数個ある場合、複数のアンプの全てについて、アンプ毎にアンプアイコンを作成して、該当するch領域60に追加表示する。図9は、接続先アンプが存在する場合の出力ch基本画面600の表示例である。図9において、アンプを外部接続した出力chに対応するch領域60(図において「xx1」、「xx2」、「xx5」、「xx6」、「xx7」及び「xx8」)には、それぞれ、センドレベルアイコン63の下側に、当該出力chの接続先として抽出された全てのアンプのアンプアイコン64が表示される。例えば、左端のch領域60(ch名「xx1」)には、3つのアンプアイコン64(アンプ名「amp1(L)」、「amp2(L)」、及び「amp3(L)」)が縦に並んで表示される。そして、アンプアイコン64は、それぞれ、アンプ名を表示し、且つ、対応するchストリップ47のノブ操作子48の制御対象として、そのアンプのアンプゲインを割り当てるスイッチとして機能する。
出力ch基本画面600のch領域60毎に、対応する出力cnの接続先のアンプすべてのアンプアイコン64を表示するので、出力chの接続先のアンプの数や、どの出力chにどのアンプが接続されるかといった設定状況が判りやすい。また、出力ch基本画面600は、入力ch基本画面500に比べて各ch領域60に表示すべき情報量が少ないため、ch領域60に空きスペースが多い。各ch領域60の空きスペースを利用してアンプアイコン64の表示を行うので、例えば、出力ch基本画面600に表示すべき他の情報を削るあるいは、表示レイアウトを大きく変更する等の不利益は生じない。
図7に戻ると、ステップS9において、CPU10は、接続先のアンプを持つ出力ch毎に、その出力chが持つ接続先のアンプのうち1つを、該出力chを操作対象chとしているchストリップ47のノブ操作子48の操作対象として選択する。アンプの選択方法は、例えば各アンプの接続元の出力ポートのポート番号の先頭側の1つを選出するなど、適宜のルールに従う。ステップS10において、CPU10は、接続先のアンプを持つ出力ch毎に、その出力chを操作対象chとしているchストリップ47のノブ操作子48の操作対象パラメータを、前記ステップS9で選択されたアンプのアンプゲインに変更する。
前記ステップS6〜S10を、新たに選択された操作対象chに含まれる全出力chについて行うことで、該操作対象chのうち接続先のアンプを持つ全ての出力chについて、出力ch基本画面600の該当するch領域60に、接続先のアンプ全てのアンプアイコン64を表示し、且つ、接続先のアンプのうち選択された1つのアンプゲインを、該当するchストリップ47のノブ操作子48の操作対象パラメータに割り当てることができる。
オペレータは、ディスプレイ40に表示された基本画面500、600のいずれか1つのch領域50、60で、1つのセンドレベルアイコン53、63、又は、1つのアンプアイコン64を押し、ノブ操作子48の操作対象パラメータの変更を指示する。CPU10は、ディスプレイ40の基本画面において、センドレベルアイコン53、63、又は、アンプアイコン64が押されたときに、図10に示すノブ操作子48の操作対象パラメータの変更指示に応じた処理を起動する。この処理は、今回変更指示を受け付けたch領域50又は60に対応する1つのchストリップ47の1つのノブ操作子48について起動する。
ステップS11において、CPU10は、新たな操作対象パラメータとしてアンプゲインが指示されたか否か判断する。新たな操作対象パラメータがアンプゲインの場合、すなわち出力ch基本画面600の1つのch領域60でアンプアイコン64が押されたときには(ステップS11のYES)、CPU10は、ステップS12において、ノブ操作子48の操作対象パラメータを変更する方法が、操作対象パラメータを置換する構成(置換モード)、又は、操作対象パラメータにアンプゲインを追加する構成(追加モード)のいずれに設定されているかを判断する。
置換モード、又は、追加モードを設定するための構成としては、例えば、(1)オペレータが事前にいずれか一方のモードを設定しておく構成、或いは、(2)あらかじめアンプのグループを決めておき、変更指示以前からノブ操作子48の操作対象パラメータに設定されているアンプゲインと、今回新たに操作対象パラメータに指定されたアンプゲインとが同じグループに含まれるアンプのアンプゲインの場合には追加モードに設定し、同じグループに含まれていない場合は置換モードに設定する構成、などを採用できる。
追加モードの場合(ステップS12のYES)、ステップS13において、CPU10は、今回の変更指示を受け付けたch領域60に対応するchストリップ47のノブ操作子48に設定されている操作対象パラメータ(今回の変更指示以前から設定されている操作対象パラメータ)がアンプゲインであるか調べる。
今回の変更指示以前の操作対象パラメータがアンプゲインの場合(ステップS13のYES)、ステップS14において、CPU10は、当該ノブ操作子48に設定されている全ての既存のアンプゲインを解除せずに操作対象パラメータとして保持したまま、今回新たに指示されたアンプゲイン(今回操作されたアンプアイコン64に該当する接続先のアンプのアンプゲイン)を、当該ノブ操作子48の操作対象パラメータに追加して、全ての既存のアンプゲインと新たなアンプゲインとをまとめて、当該ノブ操作子48の操作対象パラメータとして割り当てる。これにより、1つのノブ操作子48で1つの出力chの複数の接続先のアンプのアンプゲインをまとめて調整できるようになる。
なお、追加モードの場合、今回の変更指示以前から設定されている1又は複数のアンプゲインのいずれかを解除できるよう構成してもよい。例えば、既に操作対象パラメータとして設定されているアンプゲインのアンプアイコン64が押された場合に、そのアンプゲインを操作対象パラメータから解除する構成を採用できる。ただし、その場合でも、今回の変更指示以前から設定されているアンプゲインが1つのみの場合には、そのアンプアイコン64が押されても、該アンプゲインを操作対象パラメータから解除しないようにするとよい。
置換モードの場合(ステップS12のNO)、CPU10は、ステップS15において、今回変更指示を受け付けたch領域60に対応するchストリップ47のノブ操作子48に、今回の変更指示以前から設定されている操作対象パラメータを解除して、今回新たに指示されたアンプのアンプゲインを、当該ノブ操作子48の操作対象パラメータとして割り当てる。
また、追加モードの場合(ステップS12のYES)であっても、今回の変更指示以前の操作対象パラメータがアンプゲイン以外の場合(ステップS13のNO)には、CPU10は、ステップS15において、今回変更指示を受け付けたノブ操作子48に設定されている操作対象パラメータを、今回変更指示されたアンプゲインに置換する。
ステップS16において、CPU10は、今回の変更指示を受け付けたch領域60に対応するchストリップ47の電動フェーダ16の操作対象パラメータとして、該chストリップ47に操作対象chとして設定されている出力chの出力音量レベルパラメータを割り当てる。これにより、ノブ操作子48に或るアンプのアンプゲインが操作対象パラメータとして設定されたときには、そのノブ操作子48が属するchストリップ47の電動フェーダ16を使って、当該アンプの接続元である出力chの出力音量レベルを調整できる状態が自動的に設定されることになる。なお、当該ステップS16による電動フェーダ16に対する出力音量レベルの割り当てを行わない処理構成を採用してもよい。
他方、今回の変更指示された操作対象パラメータがアンプゲイン以外の場合(ステップS11のNO)、ステップS17において、CPU10は、今回の変更指示を受け付けたノブ操作子48に設定されている操作対象パラメータを解除して、新たに指示されたパラメータを当該ノブ操作子48の操作対象パラメータとして割り当てる。入力ch基本画面500が表示中の場合は、必ずステップS11をNOに分岐する。前記アンプゲイン以外のパラメータは、具体的には、1つのMIXバス24又はMATRIXバス28へのセンドレベルである。ノブ操作子48の操作対象パラメータとして新たにセンドレベルが割り当てられたとき、当該変更指示を受け付けたch領域50又は60に対応する1つのchストリップ47のみならず、第1chストリップ部41の8つのchストリップ47全てで一括して、ノブ操作子48の操作対象パラメータを、今回変更指示されたセンドレベルに置換する。例えば、1つのch領域50で「MIXバス1」へのセンドレベルを押せば、第1chストリップ部41の8つのchストリップ47の全てのノブ操作子48に「MIXバス1」へのセンドレベルが割り当てられる。
オペレータは、ノブ操作子48を使って、そのノブ操作子48の操作対象パラメータの値(カレントデータ)を調整できる。CPU10は、いずれか1つのノブ操作子48の操作を受け付けたときに、図11の操作対象パラメータの値を調整する処理を起動する。この処理は、今回操作を受け付けたノブ操作子48の操作対象パラメータについて起動する。
操作を受け付けたノブ操作子48の操作対象パラメータがアンプゲインの場合(ステップS18のYES)、CPU10は、ステップS19において、ノブ操作子48の操作量に応じて新たな値を決定する。新たな値は、今回のノブ操作子48の操作に応じて、アンプに指示する値である。
ステップS20において、CPU10は、当該ノブ操作子48の操作対象となる全てのアンプを抽出する。追加モードでは1つのノブ操作子48の操作対象パラメータとして複数個のアンプのアンプゲインを設定できるので、1つのノブ操作子48の操作対象となるアンプが複数存在しうる。
ステップS21において、CPU10は、前記ステップS20で抽出された全てのアンプに対して、前記ステップS19で決定された新たな値を反映するよう指示する制御信号を送信する。制御信号を受信した各アンプは、それぞれ、前記制御信号に基づいて、アンプゲインの値に前記新たな値を反映させる。この反映の仕方としては、例えば(1)既存のアンプゲインの値を新たな値に置換する(すなわち、新たな値をアンプゲインの値として設定する)か、又は(2)既存のアンプゲインの値を新たな値だけ増減する(すなわち、新たな値に応じて既存の値を相対的に増減する)が考えられる。反映の仕方として前記のいずれの方法を採用してもよい。これにより、オペレータはミキシングコンソール2のノブ操作子48の操作によってアンプのアンプゲインの値を調整(リモート制御)できる。
他方、操作を受け付けたノブ操作子48の操作対象パラメータがアンプゲイン以外の場合(ステップS18のNO)、CPU10は、ステップS22において、RAM12に記録されている当該操作対象パラメータの値(カレントデータ)をノブ操作子48の操作量に応じた値に更新する。入力ch基本画面500が表示中の場合は、必ずステップS18をNOに分岐する。
ノブ操作子48以外のchストリップ47の操作子を使ってパラメータの値を調整するときの処理は図示省略したが、その動作は、操作された操作子に操作対象パラメータとして割り当てられているパラメータの値を、その操作の操作量に応じて変更するというものである。例えば、或るchストリップ47の電動フェーダ16が操作されたときには、CPU10は、その操作量に相当する値だけ、当該電動フェーダ16が操作対象としているchの、操作対象としてるパラメータ、例えば、或る入力chの入力音量レベルや或る出力chの出力音量レベル、の値(RAM12のカレントデータ)を調整する。
なお、図9の各ch領域60に、個別にアンプを選択するアンプアイコン64とともに、全てのアンプを一括して選択できるアイコン(オールセレクトアイコン)を配置する構成を採用してもよい。前記全てのアンプとは、図7のステップS6で抽出される、1つの出力chに対する全ての接続先のアンプである。この構成の場合、図7のステップS8において、アンプ毎のアイコン64とともに、オールセレクトアイコンも、図9のch領域60へ表示する。オールセレクトアイコンが操作された場合、図10のステップS12でNO(置換モード)と判断し、ステップS15において、今回の変更指示以前からノブ操作子48に設定されている操作対象パラメータを解除して、その出力chについて抽出された全ての接続先のアンプのアンプゲインを、まとめて(一括して)、当該ノブ操作子48の操作対象パラメータとして設定する。
なお、アンプゲインをノブ操作子48の操作対象パラメータに割り当てる構成に限らず、アンプに備わる他のパラメータをノブ操作子48の操作対象パラメータに割り当てる構成でもよい。また、ノブ操作子48以外の操作子(例えば電動フェーダ16)にアンプのアンプゲイン等のパラメータを割り当てる構成でもよい。例えば、アンプゲインを操作する操作子(第2操作子)として、ノブ操作子48ではなく、電動フェーダ16を使う構成を採用できる。この構成の場合、一例として、電動フェーダ16には操作上限位置と操作下限位置があることを考慮して、電動フェーダ16の操作量を、アンプゲインの絶対値としてアンプに伝えるのではなく、アンプゲインの相対的な変更量としてアンプに送信するとよい。アンプは受信した操作量(変更量)だけアンプゲインの値を増減する。また、電動フェーダ16にアンプゲインを設定したタイミングで、電動フェーダ16のつまみ位置を自動的にノミナル位置へ移動させておくとよい。前記タイミングは例えば、図10の処理が起動されるタイミングであり、図10のステップS16の後に、電動フェーダ16のつまみ位置を自動的にノミナル位置へ移動するステップを設けるとよい。更に、この場合、その出力chの音量レベルをノブ操作子48へ設定するようにして、アンプゲインと音量レベルの両方を、同じchストリップ47に属する別の操作子を使って同時並行的に操作できるようにしておく。
接続先のアンプが実際に接続されているか否かに応じて、アンプアイコン64の表示態様が変更される構成を採用してもよい。実際に接続されているアンプについては、そのアンプアイコン64を通常表示態様(通常の選択状態の態様又は通常の非選択状態の態様)で表示する。他方、実際には接続されていないアンプは、そのアンプアイコン64を通常表示とは異なる表示態様で表示する。例えば、グレイアウトで表示する構成を採用できる。あるいは、実際には接続されていないアンプのアンプアイコン64を表示しない構成を採用してもよい。実際にアンプが接続されているか否かは、例えば、図7のステップS6でアンプを抽出するときに、確認できる。その確認の方法としては、例えば、出力ポートテーブル34を参照して、接続先のアンプがあるとき、そのアンプに対して確認のための制御信号を送信し、アンプから応答があれば実際に接続されているものと判断し、該応答がなければ接続されていないと判断する。
また、ミキサ1をリモート制御するパーソナルコンピュータ(PC)を使って、出力chの出力音量レベル調整と、外部接続されたアンプのアンプゲイン調整とを行う構成、すなわちPCのディスプレイに図8の出力ch基本画面600を表示し、PCのユーザインターフェースを使って、出力chの出力音量レベル調整とアンプのアンプゲイン調整とを行う構成でもよい。
また、上記実施例では、ミキサ1がミキシングコンソール2の機能とミキシングエンジン3の機能を備える構成を説明したが、ミキシングコンソール2とミキシングエンジン3がそれぞれ独立した装置であるミキシングシステムに本発明を適用してもよい。