JP4186228B2 - 音響調整卓 - Google Patents

Description

この発明は、音響信号を処理するディジタルミキサなどに適用する音響調整卓に関し、特に多くの操作子が設けられている場合でも操作者が操作しやすいミキサ装置の音響調整卓に関する。

従来より、マイクロフォンなどの各種の音響信号源からの音響信号を入力し、ミキシング処理、効果付与処理、及び音量レベル制御処理などを行い、処理後の音響信号をアンプやスピーカなどの各種の出力機器に出力するミキサ装置が知られている。近年では、内部的な信号処理をディジタル処理で行うディジタルミキサが開発されている。このようなミキサ装置には、操作者が操作するための多くの操作子や表示器が配置された音響調整卓（操作パネル）が備えられている（例えば、非特許文献１参照）。

ミキサの操作パネル上には、ｃｈストリップ部、選択ｃｈ操作部、表示部、及びシーン操作部などが設けられる。ｃｈストリップ部は、複数本のｃｈストリップを並べた部分である。１本のｃｈストリップは、１つのｃｈについてのパラメータを設定変更するためのスイッチやフェーダを備える。複数の入力ｃｈ及び複数の出力ｃｈは、複数のレイヤにレイヤ分けされ、レイヤ選択スイッチにより選択された１つのレイヤの複数の入力／出力ｃｈがｃｈストリップ部に割当てられる。例えば、ｃｈストリップ部が８本のｃｈストリップからなる場合、レイヤ選択スイッチで第１レイヤを選択すると前記ｃｈストリップ部で第１〜８ｃｈの操作が可能になり、第２レイヤを選択すると前記ｃｈストリップ部で第９〜１６ｃｈの操作が可能になる、といった具合である。これにより、より少ない数のｃｈストリップで、多くの入力ｃｈ及び出力ｃｈのパラメータを操作することができる。

選択ｃｈ操作部は、１つのｃｈについての各種のパラメータの設定変更を行うための複数操作子を備えた部分である。上記ｃｈストリップで各ｃｈの所定のパラメータの設定変更は可能だが、より詳細に１つのｃｈについてのパラメータを設定変更する場合は、当該ｃｈを選択し（ｃｈの選択は、例えばｃｈストリップに設けられた選択スイッチを用いて行う）、選択ｃｈ操作部を用いて詳細なパラメータの設定変更を行うことができる。これにより、１つのｃｈについての複数のパラメータを素早く操作することができる。

表示部は、複数のページから選択されたページを表示する部分である。表示するページの選択は、各ページ毎に用意された複数のページ選択スイッチの１つを操作することにより行う。表示部に、選択されたｃｈについての種々のパラメータを表示し、カーソルをその中の１つに合わせ、共用のパラメータホイールでパラメータ値を変更し、エンターキーで確定する方式もある。また、表示部を、指で触った位置を検出する位置センサを備えたタッチパネルで構成するディジタルミキサもある。タッチパネルの操作により、表示されたパラメータの値の制御や同パラメータの選択（共用テンキーや共用ノブでの値操作のため）ができる。
ヤマハ、Digital Production Console DM2000 取扱説明書

上記従来技術において、操作パネル上に多くのｃｈストリップが設けられているミキサでは、操作者は、広い範囲にある多くのｃｈストリップのそれぞれに手を伸ばして操作しなければならず、操作パネルが左右に広い場合は左右に移動しながら操作しなければならない。レイヤ切換えがあるものでは、レイヤを確認してからｃｈストリップを操作しなければならず、オンされているレイヤスイッチの名前を読まないとその確認ができない。

また、タッチパネルを用いたものでは、パラメータ値の微妙な調整が難しく、また表示面が汚れてしまうという問題があった。さらに、パラメータ選択のために画面に触る場合であっても、その操作により誤ってパラメータ値が変化してしまう可能性があるので、慎重に操作しなければならなかった。

この発明は、ディジタルミキサなどに適用する音響調整卓において、操作者にとって操作しやすく、特にレイヤを確認しなければならない不具合やタッチパネルを用いた場合の不具合を解消した音響調整卓を提供することを目的とする。

この目的を達成するため、この発明は、操作パネル上に複数の入力ｃｈや出力ｃｈをグループ分けしたグループ単位にｃｈストリップ部を配置し、該ｃｈストリップ部の各ｃｈストリップで各ｃｈのパラメータの設定変更が行えるような音響調整卓において、操作者が操作しやすい例えば操作パネル中央部に割当ｃｈストリップ部を設け、グループ選択操作子を操作することで各グループのｃｈを割当ｃｈストリップ部に割当ててパラメータ設定変更ができるようにした。操作パネル上でグループ選択操作子を配置するグループ選択操作部では、操作パネル上のｃｈストリップ部の配置位置に対応するようにグループ選択操作子を配置する。これにより、どのグループが割当ｃｈストリップ部に割当てられているかが簡単に分かるようにする。

また、表示器を位置センサを備えたものとし、表示器に表示されているオンオフ操作子の操作を検出したときには、そのオンオフ操作子のｃｈにおいて、そのオンオフ操作子に対応するパラメータのオン／オフの設定と表示を反転し、表示されているレベル操作子の操作を検出したときには、そのレベル操作子のｃｈだけでなく現在割当ｃｈストリップ部に割当てられているグループのｎ個のｃｈにそれぞれ対応するｎ個のレベル操作子を表示上で全て選択状態とし、選択状態としたｎ個のレベル操作子に対応する各ｃｈのパラメータを、割当ｃｈストリップの割当ノブ操作子にそれぞれ割当てて、ｎ個のレベル操作子に対応する各ｃｈのパラメータのレベル値の設定変更ができるようにする。

さらに、操作パネル上にｃｈストリップ部を持たない出力ｃｈについてもグループ化し、該グループのｎ個のｃｈを割当ｃｈストリップ部のｎ個の割当ｃｈストリップに割当てることを指示するグループ選択操作子を備えるようにし、ｃｈストリップ部を持たない出力ｃｈを割当ｃｈストリップ部のｎ個の割当ｃｈストリップに割当てることを指示するグループ選択操作子は、操作パネル上のグループ選択操作部内の操作パネル上にｃｈストリップ部を有するグループのグループ選択操作子との位置関係において、割当ｃｈストリップ部と表示器の位置に対応する位置に縦方向に並べて配置されるようにする。

この発明によれば、グループ選択操作子の配置が各グループのｃｈストリップ部の操作パネル上での配置に対応しているので、ユーザは、所望のグループのグループ選択操作子を簡単に判別して操作することができる。また、オンしているグループ選択操作子の位置を見ることで、どのグループが選択されているかが簡単に判る。表示器と割当ｃｈストリップによって、グループ選択操作子により選択されたグループの複数ｃｈのパラメータを変更することができる。

また、タッチパネルのような位置センサを備えた表示器により、表示されたオンオフ操作子のオンオフとレベル操作子に割当てるパラメータの選択を行うことができる。表示されたレベル操作子の値は、表示器上の操作では変更されないようにしたので、レベル操作子を安心して触ることができる。

さらに、出力ｃｈのグループについては、パネル上に割当ｃｈストリップ以外に割当てられているｃｈストリップが存在しないことが、出力群選択操作子の配置により一目で判る。

以下、図面を用いてこの発明の実施の形態を説明する。

図１は、この発明の音響調整卓を適用した実施の形態であるディジタルミキサのハードウエア構成を示すブロック図である。このディジタルミキサは、中央処理装置（ＣＰＵ）１０１、フラッシュメモリ１０２、ランダムアクセスメモリ（ＲＡＭ）１０３、表示器１０４、電動フェーダ１０５、操作子１０６、波形入出力インターフェース（Ｉ／Ｏ）１０７、信号処理部（ＤＳＰ）１０８、操作者用モニタ１０９、その他Ｉ／Ｏ１１０、及びバスライン１１１を備える。

ＣＰＵ１０１は、このミキサ全体の動作を制御する処理装置である。フラッシュメモリ１０２は、ＣＰＵ１０１が実行する各種のプログラムや各種のデータなどを格納した不揮発性メモリである。ＲＡＭ１０３は、ＣＰＵ１０１が実行するプログラムのロード領域やワーク領域に使用する揮発性メモリである。表示器１０４は、このミキサの操作パネル上に設けられた各種の情報を表示するためのディスプレイである。表示器１０４は、タッチパネルになっており、指などで触れた位置を入力できる。電動フェーダ１０５は、操作パネル上に設けられたレベル設定用の操作子である。ＣＰＵ１０１の指示に応じて、電動フェーダ１０５のレベル設定値を設定し、つまみ位置をその設定値に対応する位置まで電動駆動することができる。操作子１０６は、操作パネル上に設けられたユーザが操作するための各種の操作子（電動フェーダ以外のもの）である。波形Ｉ／Ｏ１０７は、外部機器との間で波形信号をやり取りするためのインターフェースである。ＤＳＰ１０８は、ＣＰＵ１０１の指示に基づいて各種のマイクロプログラムを実行することにより、波形Ｉ／Ｏ１０７経由で入力した波形信号のミキシング処理、効果付与処理、及び音量レベル制御処理などを行い、処理後の波形信号を波形Ｉ／Ｏ１０７経由で出力する。操作者用モニタ１０９は、このミキサの操作者（オペレータ）が使用するモニタ用のヘッドホンへの出力を示す。その他Ｉ／Ｏ１１０は、その他の機器を接続するためのインターフェースである。

図２は、図１のディジタル・ミキサの機能構成を示すブロック図である。２０１はマイクなどで入力したアナログ音響信号をディジタル信号に変換した入力を示す。２０２はディジタル音響信号の入力を示す。これらの入力は、それぞれ複数本（その本数は装置構成に応じた上限がある）設けることができる。入力パッチ２０３は、上述した入力のラインから、入力チャンネル（ｃｈ）２０４やステレオ入力ｃｈ２０５への任意結線を行う。その結線の設定は、ユーザが所定の画面を見ながら任意に行うことができる。入力ｃｈ２０４は、シングルで４８ｃｈが設けられている。ステレオ入力ｃｈ２０５は４組（２×４ｃｈ）が設けられ、各組の左信号（Ｌ）と右信号（Ｒ）はペアで制御されようになっている。

各入力ｃｈ２０４及びステレオ入力ｃｈ２０５の信号は、１６本のＭＩＸバス２０６、ステレオバス（Ｓｔｅｒｅｏ＿Ｌ／Ｒ，Ｃ）２０７、あるいはＣＵＥバス２０８の任意のバスへ選択的に出力することができ、その送出レベルをそれぞれ独立に設定することができる。

ＭＩＸバス２０６の１６本の各バスは、入力ｃｈ２０４やステレオ入力ｃｈ２０５から入力する信号をミキシングする。ミキシングされた信号は、そのＭＩＸバスに対応するＭＩＸ出力チャンネル２１０（１〜１６ｃｈ）に出力される。ＭＩＸバス２０６とＭＩＸ出力ｃｈ２１０とは１対１の対応で各ｃｈが対応づけられている。ＭＩＸ出力ｃｈ２１０の出力は、出力パッチ２１３に入力する。ステレオバス２０７は、入力ｃｈ２０４やステレオ入力ｃｈ２０５から入力する信号をミキシングする。ミキシングされたステレオ信号は、ステレオ出力ｃｈ２０９へ出力される。なお、ステレオバス２０７とステレオ出力ｃｈ２０９は、Ｌ（左）とＲ（右）の信号ライン（Ｌバス、Ｒバス、Ｌ出力ｃｈ、Ｒ出力ｃｈ）のほか、Ｃ（中央）の信号ライン（Ｃバス、Ｃ出力ｃｈ）も備えている。例えば、ＬＲにステレオで音楽などを流して左右のスピーカから放音し、Ｃには講演者の音声を流して中央部のスピーカから放音する、というような態様で使用する。ステレオ出力ｃｈ２０９では、ＬＲはペアで制御され、ＬＲとＣとは独立に制御される。ステレオ出力ｃｈ２０９の出力は、出力パッチ２１３に入力する。ＣＵＥバス２０８は、各ｃｈにどのような信号が入力しているかを確認するためのバスである。後述する各ｃｈのＣＵＥスイッチをオンすると、そのｃｈの信号のみがこのバス２０８を経由してモニタ用ミキサ２１７に入力する。

ステレオ出力ｃｈ２０９の出力信号は、出力パッチ２１３及びマトリックスバス２１１へ出力される。ＭＩＸ出力ｃｈ２１０の出力信号は、出力パッチ２１３、マトリックスバス２１１、及びＣＵＥバス２０８へ出力される。マトリックスバス２１１は、ステレオ出力ｃｈ２０９及びＭＩＸ出力ｃｈ２１０の任意のｃｈ出力を選択的に入力して混合する１〜８ｃｈのバスである。マトリックスバス２１１で混合された信号は、マトリックス出力ｃｈ２１２に出力される。マトリックスバス２１１とマトリックス出力ｃｈ２１２とは、１対１の対応で各ｃｈが対応づけられている。マトリックス出力ｃｈ２１２の出力は、出力パッチ２１３及びＣＵＥバス２０８に入力する。出力パッチ２１３は、上述した３種類の出力ｃｈ２０９，２１０，２１２から出力ラインへの任意の結線を行う。その結線の設定は、ユーザが所定の画面を見ながら任意に行うことができる。Ａ出力２１４はアナログの出力ライン、Ｄ出力２１５はディジタルの出力ラインを示す。

モニタ用セレクタ２１６は、各出力ｃｈ２０９，２１０，２１２の信号を入力し、操作者により指示された任意のｃｈの出力を選択的にモニタ用ミキサ２１７に出力する。通常、観客に聞かせる音はこれらの出力ｃｈ２０９，２１０，２１２に流れているので、モニタ用セレクタ２１６からモニタ用ミキサ２１７経由でモニタ用Ａ出力２１８に出力される音をヘッドホンなどでモニタすることにより、操作者は会場に流している音を確認する。一方、ＣＵＥスイッチによりＣＵＥバス２０８に入力する任意のｃｈをＣＵＥオンにすると、当該ｃｈの信号がＣＵＥバス２０８及びモニタ用ミキサ２１７を経由してモニタ用Ａ出力２１８に出力される。このとき、モニタ用ミキサ２１７は、モニタ用セレクタ２１６からの信号のレベルを絞り（またはゼロとし）、その信号にＣＵＥバス２０８からの信号を混合してモニタ用Ａ出力２１８に出力する。これにより、会場に流している音とは無関係に、主としてＣＵＥオンされたｃｈのみをモニタすることができる。

図３は、図２の入力ｃｈ２０４のうちの１つのｃｈの信号処理の概略構成を示す。入力ｃｈは、ハイパスフィルタ（ＨＰＦ）３０１、パラメトリックイコライザ（ＰＥＱ）３０２、第１ダイナミックス（ＤＹＮＡＭＩＣＳ１）３０３、第２ダイナミックス（ＤＹＮＡＭＩＣＳ２）３０４、オンスイッチ（ＯＮ）３０５、フェーダ３０６、及びパンや混合レベル調整部３０７を備えている。

ＨＰＦ３０１及びＰＥＱ３０２は、周波数特性を調整する機能を果たす部分である。ダイナミックス３０３，３０４は、それぞれ信号の振幅を変形する部分であり、例えばノイズゲート（信号レベルが下がったときノイズが残らないように閉じるゲート）やコンプレッサ（自動ゲイン調整を行う）などである。ＯＮ３０５は、当該ｃｈの信号出力のオン／オフを行うスイッチである。フェーダ３０６は、レベル調整のためのボリュームである。３０７は、ステレオバスやその他のバスへ信号をステレオで出力する場合の左右定位（パン）の制御と、各バスへの信号出力のオンオフ制御と、各バスへの出力信号の個別のレベル調整（送出レベル）とを行う部分である。ステレオ入力ｃｈ２０５の構成も図３（ａ）と同様のものである。ただし、ステレオ入力ｃｈ１１３ではステレオの左信号（Ｌ）と右信号（Ｒ）がペアで制御されるようになっている。また、ステレオ出力ｃｈ２０９、ＭＩＸ出力ｃｈ２１０、及びマトリックス出力ｃｈ２１２の各ｃｈの構成も（信号処理の要素機能は異なるが）同様のものである。

図４は、この実施形態のミキサの操作パネル上の操作子の配列を示す。操作者から向かって、左側に左セクション４１０が、中央にマスタセクション４２０が、右側に右セクション４３０が、それぞれ設けられている。左セクション４１０には、入力ｃｈストリップ部４１１〜４１４が設けられ、右セクション４３０には入力ｃｈストリップ部４３１，４３２が設けられている。入力ｃｈストリップ部４１１〜４１４，４３１，４３２は、順に図２の入力ｃｈ２０４のうち、第１〜８ｃｈ、第９〜１６ｃｈ、第１７〜２４ｃｈ、第２５〜３２ｃｈ、第３３〜４０ｃｈ、第４１〜４８ｃｈのそれぞれ８ｃｈ分の操作子を備える。ＳＴ入力ｃｈストリップ部４１５は、図２のステレオ入力ｃｈ２０５に対応する操作子である。右セクション４３０のＳＴ出力ｃｈストリップ部４３３は、図２のステレオ出力ｃｈ２０９に対応する操作子である。マスタセクション４２０は、レベルメータ４２１、パラメータ操作部４２２、表示器４２３、割当ｃｈストリップ部４２４、シーン操作部４２５、及びＧ（グループ）選択操作部４２６を備える。

図５（ａ）は、入力ｃｈストリップ部４１１〜４１４，４３１，４３２の詳細な構成を示す。各入力ｃｈストリップ部は、５００−１〜５００−８の８本のｃｈストリップを備える。１本のｃｈストリップ、例えば５００−１は、ＳＥＬスイッチ５０１、ＣＵＥスイッチ５０２、レベルメータ用のＬＥＤ５０３、ＯＮスイッチ５０４、及び電動フェーダ５０５を備える。各スイッチ５０１，５０２，５０４は、当該スイッチがオンされたときに点灯しオフされたときに消灯するＬＥＤを備えている。ＳＥＬスイッチ５０１は、当該ｃｈストリップに割当てられたｃｈを選択し、当該ｃｈに関する詳細なパラメータ設定を後述するパラメータ画面（図８）で行うことを選択するスイッチである。ＣＵＥスイッチ５０２は、図２で説明したＣＵＥバス２０８への、当該ｃｈからの信号出力のオン／オフを切り替えるスイッチである。ＬＥＤ５０３は、当該ｃｈに入力する信号のレベルの値をリアルタイム表示するメータである。ＯＮスイッチ５０４は、各ｃｈの信号のオン／オフを切り替えるスイッチであり、図３のＯＮ３０５に相当する。電動フェーダ５０５は、当該ｃｈのレベルを設定するための操作子であり、通常は図３のフェーダ３０６に相当し、センドモードでは図３の３０７における送出レベル制御用のフェーダとなる。ＣＰＵ１０１からの指示により、電動フェーダ５０５のつまみの位置を所定の位置に設定することができる。他のｃｈストリップ５００−２〜５００−８も同様の構成である。ＳＴ入力ｃｈストリップ部４１５も、同様の構成である。ただし、ＳＴ入力ｃｈストリップ部４１５は、左右１組のステレオ入力ｃｈに対して１本のｃｈストリップが対応し、そのようなステレオ入力ｃｈが４組入力するので、その４組分のｃｈストリップ４本が備えられている。

図５（ｂ）は、図４の割当ｃｈストリップ部４２４の詳細な構成を示す。８本のｃｈストリップ５１０−１〜５１０−８が備えられており、１本のｃｈストリップの構成は図５（ａ）で説明したｃｈストリップ５００−１と同様の構成である。５１１〜５１５の各部は、５０１〜５０５の各部にそれぞれ対応する。５１６は、割当ｃｈストリップ部のみに設けられているロータリエンコーダである。各ｃｈストリップ５１０−１〜５１０−８のロータリエンコーダ５１６は、表示器４２３に表示されたグループ画面（図７で後述）において選択状態にある表示要素に対応するパラメータを変更する機能を持つ。また、これらのロータリエンコーダ５１６は、押し下げるとプッシュ操作イベントを発生する機能を持つ。

図５（ｃ）は、図４のＳＴ出力ｃｈストリップ部４３３の詳細な構成を示す。５２０はステレオ出力ｃｈ（Ｌ／Ｒのペア）を操作するためのｃｈストリップであり、５３０はモノラル出力（Ｃ）を操作するためのｃｈストリップである。各ｃｈストリップ５２０，５３０は、図５（ａ）で説明した１本のｃｈストリップ５００−１と同様の構成である。５２１〜５２５及び５３１〜５３５の各部は、それぞれ５０１〜５０５の各部に対応する。

図６（ａ）は、図４のパラメータ操作部４２２の詳細な構成を示す。パラメータ操作部４２２は、各々複数の入力ｃｈ２０４、ステレオ入力ｃｈ２０５、ステレオ出力ｃｈ２０９、ＭＩＸ出力ｃｈ２１０、マトリクス出力ｃｈ２１２の内のユーザにより選択されているｃｈの複数のパラメータを並列的に制御するための複数の操作子を備える。ここで、現在選択されているｃｈに関する情報は、表示器４２３に表示された画面中の選択ｃｈ表示領域（図７、図８の７４０）に常時表示される。６００はロータリエンコーダ領域であり、１６個のロータリエンコーダ６０１−１〜６０１−１６が設けられている。６１１〜６１５は、指定されたｃｈにおける各種のパラメータ設定用のロータリエンコーダである。６１６〜６１９の各領域にそれぞれ３つずつ備えられているロータリエンコーダは、指定されたｃｈにおけるイコライザの調整用のものである。これら全てのロータリエンコーダは、押し下げるとプッシュ操作イベントを発生する機能を持つ。

図６（ｂ）は、図４のシーン操作部４２５の詳細な構成を示す。シーン操作部４２５は、アップスイッチ６２１、ダウンスイッチ６２２、ストアスイッチ６２３、及びリコールスイッチ６２４を備える。シーンとは、ミキサの設定状態を規定するパラメータの組合せを言う。本ミキサはカレントメモリを備えており、各種のパラメータ値はカレントメモリに記憶される。ミキサは、カレントメモリ上のパラメータ値の設定に基づいて動作する。カレントメモリ上のパラメータ値のうち、入力パッチ、入力ｃｈ、出力ｃｈ、出力パッチに関するパラメータ値については、シーン番号を付けてシーンメモリに保存（ストア）することができる。逆に、シーン番号を特定してシーンメモリからカレントメモリにシーンを呼び出して（リコール）、簡単にシーンを再現することもできる。

図６（ｃ）は、図４のＧ（グループ）選択操作部４２６の詳細な構成を示す。６個の選択スイッチ６３１〜６３６は、それぞれ図４の入力ｃｈストリップ部４１１〜４１４，４３１，４３２に対応し、それらの各入力ｃｈストリップ部を割当ｃｈストリップ部４２４に割当てる（呼び出す）ための操作子である。例えば、選択スイッチ６３１をオンすると、入力ｃｈストリップ部４１１が割当ｃｈストリップ部４２４に割当てられ、これにより図５（ｂ）に示した８本の割当ｃｈストリップ５１０−１〜８が、それぞれ第１〜８ｃｈの入力ｃｈストリップとして機能することになる。同様にして、選択スイッチ６３２をオンすると入力ｃｈのうち第９〜１６ｃｈが、選択スイッチ６３３をオンすると入力ｃｈのうち第１７〜２４ｃｈが、…というように各入力ｃｈストリップ部４１１〜４１６が中央部のマスタセクション４２０にある割当ｃｈストリップ部４２４に割当てられる。同様に、Ｇ選択操作部４２６のＳＴＩＮスイッチ６３７をオンすると図４のＳＴ入力ｃｈストリップ部４１５が、マスタースイッチ６３８がオンされると図４のＳＴ出力ｃｈストリップ部４３３が、それぞれ割当ｃｈストリップ部４２４に割当てられる。なお、ＳＴ入力ｃｈストリップ部４１５は４本のｃｈストリップ、ＳＴ出力ｃｈストリップ部４３３は２本のｃｈストリップから構成されているので、割当ｃｈストリップ部４２４に割当てたときは、それぞれ左寄りの４本または２本のｃｈストリップのみが有効となる。

以上のように、操作者は左右のセクション４１０，４３０にあるｃｈストリップ部を操作することなしに、中央部のマスタセクション４２０にある割当ｃｈストリップ部４２４に各ｃｈストリップ部を呼び出して操作することができるので、操作卓を左右に移動することなしに操作することができる。もちろんｃｈストリップ部４１１〜４１５，４３１〜４３３のｃｈストリップでの操作も有効である。割当ｃｈストリップ部４２４の各ｃｈストリップと、そこに割当てられた元のｃｈストリップ部の各ｃｈストリップとは連動しており、例えば、一方のｃｈストリップでスイッチやフェーダの操作を行うと、対応するｃｈストリップにもその操作が反映される。

特に、Ｇ選択操作部４２６内における選択スイッチ６３１〜６３８の配置は、図４に示した操作パネル上での入力ｃｈストリップ部４１１〜４１５，４３１，４３２、ＳＴ入力ｃｈストリップ部４１５、及びＳＴ出力ｃｈ４３３の配置に対応している。従って、操作者は、手許を見ること無しに手探りで感覚的にＧ選択操作部４２６内の選択スイッチを操作して、所望のｃｈストリップ部を割当ｃｈストリップ部４２４に割当てることができる。所望のｃｈストリップ部を割当ｃｈストリップ部４２４に割当てることができるので、操作者は、左右セクション４１０，４３０に手を伸ばさずに、中央セクション４２０のみを利用して操作することができる。

上述の選択スイッチ６３１〜６３８は、図４の操作パネル上に設けられているｃｈストリップ部を割当ｃｈストリップ部４２４に割当てるスイッチである。一方、６４１〜６４４は、操作パネル上には存在しない内部的なｃｈの操作を行うための割当スイッチである。６４１は図２のマトリックス出力ｃｈ２１２（８ｃｈ分）の各ｃｈを操作するための操作子として割当ｃｈストリップ部４２４を用いることを指定する選択スイッチである。６４２は図２のＭＩＸ出力ｃｈ２１０のうち第１〜８ｃｈ、６４３はＭＩＸ出力ｃｈ２１０のうち第９〜１６ｃｈについて、それぞれ操作するための操作子として割当ｃｈストリップ部４２４を用いることを指定する選択スイッチである。６４４は不図示のＤＣＡ機能を用いたときの各ｃｈを操作するための操作子として割当ｃｈストリップ部４２４を用いることを指定する選択スイッチである。

これらのＧ選択操作部４２６の各選択スイッチ６３１〜６３８，６４１〜６４４は、それぞれ択一的にオンされるものであり、オンされたときに点灯してどの選択スイッチが選択状態にあるかを示すためのＬＥＤを備えている。消灯されている選択スイッチが新たにオンされると、そのスイッチが点灯し、それまで点灯されていたスイッチは消灯される。なお、各選択スイッチ６３１〜６３８，６４１〜６４４によって割当ｃｈストリップ部４２４に呼び出すことができる複数ｃｈのセットをそれぞれグループと呼ぶ。

図７は、図４の表示器４２３に表示されるグループ画面の表示例を示す。グループ画面は、図６（ｃ）で説明したＧ選択操作部４２６の各選択スイッチ６３１〜６３８，６４１〜６４４により選択されたグループの各ｃｈの設定状況を表示する画面であり、これらの選択スイッチの何れかがオンされたとき、対応するグループ画面が表示される。また、ロータリエンコーダのプッシュ操作イベントに応じてグループ画面を表示する機能を有するが、これについては後述する。図７は、選択スイッチ６３１がオンされ、入力ｃｈストリップ部４１１が割当ｃｈストリップ部４２４に割当てられたときの表示器４２３の表示例を示している。７００−１〜７００−８は、選択されたグループの各ｃｈ（ここでは第１〜８入力ｃｈ）のパラメータ設定状況を表示する領域である。各表示領域７００−１〜７００−８は、それぞれ表示器４２３の下側に設けられている割当ｃｈストリップ部４２４の各ｃｈストリップ５１０−１〜５１０−８に上下方向で対応するように表示される。

１ｃｈ分の表示領域、例えば７００−１において、７０１は当該ｃｈのｃｈ番号、当該ｃｈに付けられた名称、及び当該ｃｈへ入力する入力系統の表示、７０２は入力パッチで当該入力ｃｈへ接続されたヘッドアンプ（図２のＡ入力の内部にある）のアナログゲインの設定値を示すノブ及びその値の表示、７０３−１〜７０３−４は当該入力ｃｈにおける各種の信号処理の設定状況を示す領域である。ノブ７０２は、ロータリエンコーダのつまみを模した表示であり、そのレベル設定値に応じた量だけつまみが回転されているように表示される。領域７０３−１〜７０３−４の信号処理の設定状況とは、図３で説明した当該ｃｈの、ＨＰＦ３０１、ＰＥＱ３０２、並びに、第１及び第２ＤＹＮＡＭＩＣＳ３０３，３０４のパラメータ設定状況を順に示すものである。領域７０３−１の右側のＩＮＳ及びＤ．ＯＵＴと書かれた矩形はＩＮＳボタン及びＤ．ＯＵＴボタンを示す。これらのボタンは、タッチ（指などで触れる）することによりオン／オフすることができる。ＩＮＳボタンは、図２で非表示の内部エフェクタの当該入力ｃｈへの挿入の有効／無効を設定するためのボタンであり、Ｄ．ＯＵＴボタンは、当該入力ｃｈから図２の出力パッチ２１３への信号の直接出力の有効／無効を設定するためのボタンである。領域７０３−１〜７０３−４の背景部分は、当該機能をオン／オフするボタンとなっている。例えば、領域７０３−１の背景部分を指などで触れることにより、当該ｃｈのＨＰＦ３０１をオン／オフできる。ＨＰＦ３０１をオフするというのは、ＨＰＦ３０１を無効にして信号をスルーさせるということである。

７０４−１〜７０４−１６は、当該入力ｃｈから１６本の各ＭＩＸバス（図２の２０６）へ出力する信号の送出レベルの設定値を示すノブの表示である（ノブ７０４−ｎがＭＩＸｎ（第ｎ番目のＭＩＸバス）に対応している）。７０５は、当該入力ｃｈからステレオバス（図２の２０７）等へ信号をステレオで出力する場合の左右定位（パン／Panning）の設定値を示すノブの表示である。この送出レベルやパンに関する信号処理は、図３の３０７で行われる。ノブ７０５の右側のＳＴ及びＭＯＮＯと書かれた矩形はＳＴボタン及びＭＯＮＯボタンを示す。これらのボタンをタッチしてオン／オフすることにより、当該入力ｃｈからステレオバス２０７のＬとＲのバスへ出力する信号をオン／オフしたり（ＳＴボタン）、Ｃバスへ出力する信号をオン／オフしたり（ＭＯＮＯボタン）することができる。

なお、説明の便宜のため、表示領域７００−２〜７００−８内の表示要素についても、表示領域７００−１内の表示要素に付した番号を用いるものとする。例えば、表示領域７００−２内のノブ７０４−１と言うときは、表示領域７００−２と表示領域７００−１とを重ね合わせたとき、表示領域７００−１のノブ７０４−１に重なる表示領域７００−２のノブを指すものとする。図５で説明したｃｈストリップについても同様とする。

ノブ７０２，７０４−１〜７０４−１６，７０５のうちの何れかをタッチすることにより、当該ノブが選択状態となる。選択状態のノブにはカーソル７０６がセットされる。カーソル７０６は、ノブの表示に重なるリング状の形状を持つ。特に、各ｃｈの表示領域７００−１〜７００−８内のどのｃｈのどのノブをタッチしても、全ｃｈの表示領域７００−１〜７００−８内で同じ位置のノブが並列的に同時に選択される。例えば、表示領域７００−２内のノブ７０４−３をタッチすると、表示領域７００−１〜７００−８の８つのノブ７０４−３が全て選択状態となる。並列的に選択状態になったノブに対応するパラメータの値を、各割当ｃｈストリップ５１０−１〜５１０−８のロータリエンコーダ５１６で、それぞれ独立に変更することができる。上述したパラメータ操作部４２２では、選択された１つのｃｈに着目して、そのｃｈの複数のパラメータの並列的な操作が行えるのに対して、ロータリエンコーダ５１６では、タッチにより選択された１つのパラメータ（例えば、ＭＩＸバス２０６の何れか１つへの送出レベル）に着目して、割り当てｃｈストリップ５１０−１〜５１０−８に割り当てられた８ｃｈ分の該パラメータの並列的な操作が行える。これにより、例えば送出レベルであれば、着目した入力ｃｈから複数のＭＩＸバスへの送出レベルの並列的な操作と、８つの入力ｃｈから１つの着目したＭＩＸバスへの送出レベルの並列的な操作といったような、ｃｈ側からとパラメータ側からの２つの見方でのバランス調整が容易に行える。

各表示領域７００−１〜７００−８の部分領域内に表示されている下向き三角印または２重の下向き三角印は、その部分領域に対応する機能についての詳細パラメータ窓の表示を指示するボタンになっている。例えば、入力ｃｈのＨＰＦ３０１についての設定状況を表示する部分領域７０３−１内の下向き三角印をタッチすると、ＨＰＦ３０１に関する詳細なパラメータ設定を行うための詳細パラメータ窓が、図７の表示に重なって表示される。このとき割当ｃｈストリップ５１０−１〜５１０−８のロータリエンコーダ５１６は、その詳細パラメータ窓でのパラメータ値の変更を行う操作子として機能する。なお、三角印の近傍のみをボタンと認識するのではなく、三角印が含まれる部分領域の背景のどこに触れても三角印のボタンが操作されたと認識するのが、便利である。

なお、表示領域７００−１〜７００−８内で何れかのノブが選択状態にあるとき、何れかのボタンをタッチすると、そのボタン操作に対応する機能が実行されるが、ノブの選択状態に変更はないものとする。なお、ノブのタッチにより、そのノブと同じ位置の８つのノブを選択状態とするだけでなく、それと同時に、そのタッチしたノブが属する割当ｃｈストリップに割り当てられているｃｈが、パラメータ操作部４２２の制御対象のｃｈとして選択されるようにしてもよい。また、その制御対象のｃｈを連動して選択する機能を、ユーザの希望に応じて有効／無効にできるようにしてもよい。

７２０は、ミキサの各種の設定を行う際に利用するボタンやステレオ出力ｃｈのＬ／Ｒ及びＣの出力信号レベルを示すメータなどの表示領域である。７２１は、図１の電動フェーダ１０５（図５の５０５、５１５、５２５、５３５に相当）の動作モードを切り換えるボタンである。ボタン７２１がオフ状態のときは「通常モード」であり、各ｃｈストリップの電動フェーダは、対応するｃｈの信号のレベルを制御するフェーダとして、図３のフェーダ３０６の位置における信号のレベル（ゲイン）を制御する。ボタン７２１がオン状態のときは「センドモード」であり、各ｃｈストリップの電動フェーダは、対応するｃｈからの送出レベル制御用のフェーダとして、選択されたバスへの図３の３０７における送出レベル（ゲイン）を制御する。なお、「センドモード」では、領域７２０のメーター（ＭＥＴＥＲ）の表示領域に、１６本のＭＩＸバス及びステレオバスから１本（ないしペア）のバスを選択するためのボタンが表示される。そのボタン操作によって、電動フェーダで送出レベルを制御する対象となるバスを選択することができる。７３０は現在呼び出されているシーンの表示である。この表示７３０の下側にあるシーン操作部４２５（図６（ｂ））のＵＰスイッチ６２１及びＤＯＷＮスイッチ６２２でシーンナンバを増減し、ＲＥＣＡＬＬスイッチ６２４及びＳＴＯＲＥスイッチ６２３でシーンのリコールやストアを行うことができる。７４０は現在選択されているｃｈの表示であり、ここでは名称「Vocal」が付けられた入力ｃｈ「CH1」が選択されている。このｃｈの選択は、後述するｃｈストリップのＳＥＬスイッチによって行うことができるほか、７４０の左右に配置されたボタンでも行うことができる。

なお、図７では、選択スイッチ６３１をオンしたときに表示される第１〜８入力ｃｈのグループ画面を例として説明したが、他の選択スイッチ６３２〜６３８，６４１〜６４４をオンしたときに表示されるグループ画面も同様の構成である。ただし、選択スイッチ６３７がオンされたときは左寄り４ｃｈ分の表示（７００−１〜７００−４）、選択スイッチ６３８がオンされたときは左寄りに２ｃｈ分の表示（７００−１〜７００−２）が、それぞれ為されることになる。また、選択スイッチ６３８，６４１〜６４４のオンでは、出力側ｃｈの表示となるが、それらのｃｈでは信号処理の内容が図３で説明した入力ｃｈとは若干異なる部分があるので、グループ画面での１ｃｈ分の表示領域の部分領域７０１〜７０６などの表示は図７とは異なるものとなる。例えば、それらのｃｈの信号の入力元はバスなので７０２のヘッドアンプに相当する表示は存在せず、また、７０３−１のＩＮＳボタン、７０５のノブ、ＳＴボタン、ＭＯＮＯボタンなども存在しない。また、送出レベルを制御するノブは、ステレオ出力ｃｈとＭＩＸ出力ｃｈについてのみ、信号の出力先である８本のマトリクスバス２１１に対応する８つのノブ７０４−１〜７０４−８が表示される。

図８は、図４の表示器４２３に表示されるパラメータ画面の表示例を示す。図４の入力ｃｈストリップ部４１１〜４１６、ステレオ入力ｃｈストリップ部４１７、ステレオ出力ｃｈストリップ部４１８、及び割当ｃｈストリップ部４２４の何れかのｃｈストリップのＳＥＬスイッチ（図５の５０１，５１１，５２１，５３１など）がオンされると、そのｃｈストリップに対応するｃｈがパラメータ操作部４２２でのパラメータ操作の対象ｃｈとして選択されるが、その際に、その選択されたｃｈの詳細なパラメータの設定状態を表示する画面としてこのパラメータ画面が表示される。また、ロータリエンコーダのプッシュ操作イベントに応じてパラメータ画面を表示する機能を有するが、これについては後述する。図８のパラメータ画面は、入力ｃｈのうち第１ｃｈについてのパラメータ画面を示す。なお、ここではＳＥＬスイッチの操作でパラメータ画面に切替えるものとして説明したが、パラメータ画面に切替える機能の有効／無効をユーザが設定できるオプションがあるものとする（操作対象のｃｈの選択は行われる）。

８０１は当該入力ｃｈから１６本の各ＭＩＸバス２０６への送出レベルを示す１６個のノブ８０１−１〜８０１−１６の表示領域である。各ノブの右側にはＰＲＥボタン及びＯＮボタンが設けられている。８０２は当該入力ｃｈの前段に設けられるヘッドアンプのゲインのレベルを示すノブの表示領域である。８０３〜８０６は、それぞれ、図３で説明した当該入力ｃｈの、ＨＰＦ３０１、ＰＥＱ３０２、並びに、第１及び第２ＤＹＮＡＭＩＣＳ３０３，３０４のパラメータ設定状況を表示するための部分領域である。各部分領域８０３〜８０６には、それぞれ必要な数のノブが表示される。８０７は、当該入力ｃｈからステレオバス（図２の２０７）への出力信号のパン（Panning）の設定値を示すノブの表示領域である。その他、必要に応じて当該ｃｈについてのパラメータ設定状況を表示する部分領域が表示される。右側の７２０，７３０，７４０の表示は、図７のグループ画面と同様である。

部分領域８０１〜８０７に表示されているノブ（ただし、部分領域８０５，８０６は左側のＴＨＲＥＳＨＯＬＤ調整用のノブのみ）の配置は、図６（ａ）で説明した表示器４２３の左側のパラメータ操作部４２２のロータリエンコーダの配置に対応しており、パラメータ操作部４２２のロータリエンコーダを操作することにより、対応するノブのパラメータ値を変更することができる。配置が対応しているため、操作は分かりやすい。

パラメータ画面の各部分領域内には必要に応じてボタンが設けられている。例えば、領域８０７のＳＴ及びＭＯＮＯと書かれた矩形はＳＴボタン及びＭＯＮＯボタンを示す。ＳＴボタンの部分をタッチすると、当該入力ｃｈからステレオバス２０７のＬとＲのバスへの信号の出力をオン／オフすることができ、ＭＯＮＯボタンをタッチすると、Ｃバスへの信号の出力をオン／オフすることができる。また、各部分領域８０１〜８０７などに表示されている下向き三角印は、図７のグループ画面と同様、その部分領域に対応する機能についての詳細パラメータ窓の表示を指示するボタンである。

なお、図８では、第１入力ｃｈのパラメータ画面を例として説明したが、他のｃｈのパラメータ画面も同様の構成である。ただし、ｃｈの構成に応じて、部分領域８０１〜８０７などの表示が図８とは異なる場合がある。

ここで、割当ｃｈストリップ部４２４とパラメータ操作部４２２のロータリエンコーダのプッシュ操作イベントによる画面の切り換えについて説明する。上記のロータリエンコーダの何れかを押し下げると、現在グループ画面が表示されているなら最後に表示されたパラメータ画面（退避してあるもの）に、現在パラメータ画面が表示されているなら最後に表示されたグループ画面（退避してあるもの）に、それぞれ切り換わる。これにより、ロータリエンコーダに手を掛けた状態で簡単に画面切り換えができる。例えば、通常はグループ画面で操作するが、あるｃｈの所定のパラメータのみ確認・修正したい場合などは、ロータリエンコーダのプッシュ操作イベントによる画面の切り換え機能を利用するのが便利である。画面が切り換わっても割当ｃｈストリップ部４２４とパラメータ操作部４２２の操作子の機能は変わるわけではない。従って、パラメータ操作部４２２のロータリエンコーダをプッシュしてパラメータ画面でそのロータリエンコーダで変更できるパラメータを確認した後、再びそのロータリエンコーダをプッシュしてグループ画面としても、そのロータリエンコーダで対応するパラメータの微調整などを行うことができる。

図７のグループ画面及び図８のパラメータ画面の何れも、画面上のボタンやノブをタッチすることでボタンのオン／オフ操作やノブの選択を行うことができる。しかし、ノブが示すパラメータ値の変更は、画面に触れる操作では行うことができず、パネル上に設けられているロータリエンコーダを用いて行う。従って、画面を誤って触れることによりノブのパラメータ値が変化してしまうことはない。なお、グループ画面やパラメータ画面及び各操作部の操作子の操作では、カレントメモリに記憶されている対応するパラメータの値が変更され、その結果として、変更されたパラメータ値が各ボタンのオン／オフ状態や各ノブの設定値に反映される。

パラメータ操作部４２２とパラメータ画面との対応、及び、割当ｃｈストリップ部４２４とグループ画面との対応を分かりやすくするため、パラメータ操作部４２２の背景色とパラメータ画面の背景色とを第１の同系色とし、割当ｃｈストリップ部４２４の背景色とグループ画面の背景色とを前記第１の同系色とは異なる第２の同系色とするとよい。これにより、現在表示されているのがグループ画面かパラメータ画面かが一目で分かり、パラメータ操作部と割当ｃｈストリップ部のどちらを操作すべき状態なのかを容易に把握できる。さらに、ロータリエンコーダのつまみの色で画面上のノブ表示と対応を取ってもよい。

図９（ａ）は、Ｇ選択スイッチの操作イベントルーチンを示す。この処理は、図６（ｃ）のＧ選択操作部４２６内の選択スイッチ６３１〜６３８，６４１〜６４４の何れかをオンしたとき起動される。ステップ９０１で、現在表示されているパラメータ画面をパラメータ画面用退避領域に退避する。現在表示されているのがグループ画面なら何もしない。ステップ９０２で、オンされた選択スイッチを点灯する。なお、それまでに点灯していた他の選択スイッチがある場合はそれを消灯する。ステップ９０３で、オンされた選択スイッチに従って割当ｃｈストリップ部４２４へのｃｈの割当てを変更する。ステップ９０４では、表示器４２３に表示する画面を、オンされた選択スイッチに対応するグループのグループ画面（図７）に変更し、終了する。

図９（ｂ）は、グループ画面の操作イベントルーチンを示す。この処理は、図７で説明したグループ画面が表示されているとき、該画面上の任意の位置がタッチされたときに起動される。ステップ９１１で、画面上のタッチ位置を確認する。ステップ９１２でタッチ位置がボタンであるとき（ノブ以外の領域のとき）は、ステップ９１３でそのボタン操作に応じた処理（ボタンに対応するパラメータのオン／オフや、その領域に応じた詳細パラメータ窓の表示）を行い、ボタンでないとき（ノブの領域のとき）は、ステップ９１４で選択状態（各ｃｈストリップの同じ位置の８つのノブの選択、及び、それに連動したｃｈの選択）を変更し、終了する。選択状態の変更とは、図７で説明したようにノブの選択状態を変更する処理である。ステップ９１３のボタン操作に応じた処理では、図７で説明したように、操作されたボタンが下向き三角印または２重の下向き三角印である場合は対応する詳細パラメータ窓を開き、それ以外のボタンである場合は当該ボタン操作に対応する処理を行う。

図９（ｃ）は、割当ｃｈストリップ部４２４の操作子の操作イベントルーチンを示す。この処理は、図５（ｂ）で説明した割当ｃｈストリップ部の各ｃｈストリップ５１０−１〜８内の操作子５１１〜５１６の何れかが操作されたとき（ただしロータリエンコーダのプッシュ操作イベントは除く）起動される。ステップ９２１で、操作された操作子に割当てられているｃｈ及びパラメータを確認する。操作子５１１〜５１４については対応するパラメータは固定的であるが、操作子５１５が操作されたときは、電動フェーダの動作モードに応じて対応するパラメータが特定され、操作子５１６が操作されたときは、現在グループ画面上で選択状態にあるノブに対応するパラメータが特定される。なお、現在表示されているのがパラメータ画面であったとしても、グループ画面用退避領域にグループ画面が退避されているときには該退避領域のグループ画面で選択状態にあるノブを確認し、変更すべきパラメータを特定するものとする。ステップ９２２で、当該ｃｈにおいて、当該操作子の操作に応じた処理を行う。これは、当該操作子に対応するカレントメモリ上のパラメータ値を変更し、画面上の表示を変更する必要があれば変更する処理を含む。ステップ９２３で、左または右セクションにある割当て元のｃｈストリップに当該操作を反映し終了する。

図９（ｄ）は、割当ｃｈストリップ部４２４とパラメータ操作部４２２の何れかのロータリエンコーダのプッシュ操作イベントがあったときに起動されるルーチンを示す。ステップ９３１で現在表示されている画面がグループ画面であるときは、ステップ９３２で現在のグループ画面をグループ画面用退避領域に退避し、ステップ９３３でパラメータ画面用退避領域に退避してあるパラメータ画面を再表示して、終了する。現在表示されているのがパラメータ画面であるときは、ステップ９３４で現在のパラメータ画面をパラメータ画面用退避領域に退避し、ステップ９３５でグループ画面用退避領域に退避してあるグループ画面を再表示して、終了する。

図１０（ａ）は、ｃｈセレクトスイッチの操作イベントルーチンを示す。この処理は、左右セクションのｃｈストリップ部４１１〜４１５，４３１〜４３３および割当ｃｈストリップ部４２４のＳＥＬスイッチが操作されたときに起動される。ステップ１００１で、操作されたＳＥＬスイッチのｃｈストリップに対応するｃｈを選択するとともに、選択したｃｈの番号や名称を領域７４０に表示する。ステップ１００２で、連動してパラメータ画面を表示する機能の有効／無効を判断する。無効のときは、処理を終了する。有効のときは、ステップ１００３で、表示されているグループ画面を退避する。次にステップ１００４で、選択されたｃｈのパラメータ画面を表示して、処理を終了する。

図１０（ｂ）は、パラメータ画面の操作イベントルーチンを示す。この処理は、図８で説明したパラメータ画面上でタッチ操作が行われたときに起動される。ステップ１０１１で、画面上のタッチ位置を確認する。ステップ１０１２でタッチ位置を確認し、タッチ位置が下向き三角印または２重の下向き三角印のボタンであるときは、ステップ１０１４で対応する詳細パラメータ窓を開き、終了する。上記下向き三角印等以外のボタンであるときは、ステップ１０１３でそのボタン操作に応じた処理を行い、終了する。ボタン以外であるときは、そのまま終了する。

図１０（ｃ）は、パラメータ操作部の操作子の操作イベントルーチンを示す。この処理は、図６（ａ）で説明したパラメータ操作部４２２の何れかの操作子（ロータリエンコーダ）が操作されたとき起動される。ただし、ロータリエンコーダのプッシュ操作イベントは図９（ｄ）のルーチンで処理するので、それ以外の操作（回転操作）である。ステップ１０２１で、現在選択されているｃｈ（領域７４０に表示されているｃｈ）を確認する。ステップ１０２２で、当該ｃｈに関して、今操作された当該操作子の操作に応じた処理を実行し、終了する。この処理は、当該操作子に対応するカレントメモリ上のパラメータ値を変更し、それに伴い必要であれば表示を変更する処理を含むものである。なお、現在表示されているのがグループ画面であったとしても、ステップ１０２１、ステップ１０２２の処理は行われる。

なお、上記実施形態は、ユーザが操作するコンソールとその操作に応じてミキシング処理を行う信号処理部とが一体になったディジタルミキサを例として説明したが、本発明は、コンソールと信号処理部が別体になっているディジタルミキサシステムのコンソールに対して適用することもできる。すなわち、信号処理部は、本発明に必須の構成ではない。

上記実施形態に示した下向き三角印、２重の下向き三角印は１つの例であって、それ以外のマークとしたり、囲み枠のデザインや地色の色調で表すようにしてもよい。また、操作を続けていけばどこでパラメータ窓が開くか自ずと憶えていくので、そのような表示をなくしても大きな不都合は生じない。

上記実施形態では、各ｃｈストリップにＳＥＬスイッチ（ｃｈ選択操作子）が設けられていたが、ＳＥＬスイッチは必ずしもｃｈストリップに属していなくてもよい。例えば、各ｃｈのＳＥＬスイッチだけを外部パネル上の一箇所にまとめてしまってもよい。あるいは、外部パネル上から入力ｃｈストリップ４１１〜４１５、４３１、４３２や出力ｃｈストリップ４３３の全部乃至少なくとも一部を廃止してパネルを小さくし、その廃止されたｃｈストリップのＳＥＬスイッチを同パネル上の空きスペース（割当ｃｈストリップの左側など）に配置するようにしてもよい。

上記実施形態では、ｃｈストリップのＳＥＬスイッチの操作やパラメータ設定操作部のノブのプッシュ操作に応じて選択ｃｈのパラメータ画面を表示乃至退避させるようになっていたが、パラメータ画面を表示させるためのスイッチを外部パネル上に別途設けたり、表示領域７２０にパラメータ画面を表示させるためのボタンを表示して、該スイッチやボタンの操作に応じてパラメータ画面を表示（乃至退避）させるようにしてもよい。

この発明の音響調整卓を適用した実施の形態であるディジタルミキサのハードウエア構成を示すブロック図 ディジタル・ミキサの機能構成を示すブロック図 １つのｃｈの信号処理の概略構成を示す図 ミキサの操作パネル上の操作子の配列を示す図 ｃｈストリップ部などの詳細な構成図 パラメータ操作部などの詳細な構成図 グループ画面の表示例を示す図 パラメータ画面の表示例を示す図 Ｇ選択スイッチの操作イベントルーチンなどのフローチャート図 ｃｈセレクトスイッチの操作イベントルーチンなどのフローチャート図

符号の説明

１０１…中央処理装置（ＣＰＵ）、１０２…フラッシュメモリ、１０３…ランダムアクセスメモリ（ＲＡＭ）、１０４…表示器、１０５…電動フェーダ、１０６…操作子、１０７…波形入出力インターフェース（Ｉ／Ｏ）、１０８…信号処理部（ＤＳＰ）、１０９…操作者用モニタ、１１０…その他Ｉ／Ｏ、１１１…バスライン。

Claims (3)

1. 複数の入力チャンネル（ｃｈ）より入力信号を入力し、各種の信号処理を施して複数の出力ｃｈから出力するミキサ装置の音響調整卓であって、
   操作パネル上に、マスタセクションと、該マスタセクションに隣接して配置された入力ｃｈセクションとを設け、
   前記入力ｃｈセクション内に、マトリクス状に配置された複数の入力ｃｈストリップ部を設け、
   前記複数の入力ｃｈストリップ部は、
   それぞれ、前記複数の入力ｃｈを各々ｎ個（ｎ≧２）以内の入力ｃｈで構成された複数のグループにグループ化したグループ単位で、設けるものとし、
   各入力ｃｈストリップ部は、その入力ｃｈストリップ部に対応するグループに属するｎ個以内の入力ｃｈごとの入力ｃｈストリップを並列に配置したものとし、該各入力ｃｈごとに設けられた入力ｃｈストリップは少なくともフェーダを有するものとし、
   前記マスタセクションは、
   種々の情報を表示するための表示器と、
   該表示器に隣接し、操作パネルの操作者と対向する位置に配置された割当ｃｈストリップ部であって、少なくともフェーダを有するｎ個の割当ｃｈストリップを並列に配置した割当ｃｈストリップ部と、
   前記グループ化された入力ｃｈ乃至入力ｃｈストリップの各グループに対応する複数のグループ選択操作子を含み、それら複数のグループ選択操作子を、各グループ選択操作子が対応する前記入力ｃｈストリップ部の前記操作パネル上での配置態様と同一となるよう、マトリクス状に配置してなるグループ選択操作部と
   を備えたものとするとともに、
   前記入力ｃｈ及び出力ｃｈにおける信号処理を規定する、各ｃｈごとの複数のパラメータを、記憶するカレントメモリと、
   前記複数のグループ選択操作子のいずれかが操作されたことを検出する検出手段と、
   前記検出手段で操作が検出されたグループ選択操作子に対応するグループに含まれていた入力ｃｈの数をｍ個（ｍ≦ｎ）とするとき、該ｍ個の各入力ｃｈを、前記割当ｃｈストリップ部を構成する前記複数の割当ｃｈストリップのうち端部からｍ番目までに位置するｍ個の各割当ｃｈストリップに対して、該グループに含まれる各入力ｃｈが前記入力ｃｈストリップ部にて配置された順序にて、割り当てる割当手段と、
   前記カレントメモリに記憶されたパラメータに基づき、前記割当手段にて割当がなされた前記グループに含まれるｍ個の入力ｃｈに関する情報を前記表示器に表示させる表示制御手段と、
   前記複数の入力ｃｈストリップまたは前記割当手段にて入力ｃｈが割り当てられた割当ｃｈストリップが有する前記フェーダに対する操作を検出するフェーダ操作検出手段と、
   前記カレントメモリに記憶された複数のパラメータのうち、前記フェーダ操作検出手段で操作が検出されたフェーダに対応する入力ｃｈに関するパラメータを、前記検出されたフェーダの操作量に応じて更新するパラメータ制御手段と
   を備えたことを特徴とするミキサ装置の音響調整卓。
2. 請求項１に記載の音響調整卓において、
   前記割当ｃｈストリップは割当ノブ操作子を有し、
   前記表示制御手段は、前記割当ｃｈストリップに割り当てたｍ個の入力ｃｈに関する情報を前記表示器に表示する際、オンオフ操作子及びレベル操作子を模した表示要素を該割り当てた各入力ｃｈに対応して表示することで、オン／オフを設定するパラメータ及びレベル値を設定するパラメータの設定状況を表すものであり、
   前記表示器は、表示器上の操作位置を感知できる位置センサを備え、
   前記パラメータ制御手段は、さらに、前記位置センサが操作を検出したとき、
   （ａ）その操作位置に前記オンオフ操作子を模した表示要素が位置していた場合は、前記カレントメモリに記憶された複数のパラメータのうち、当該操作を検出したオンオフ操作子を模した表示要素が対応する入力ｃｈの、該オンオフ操作子を模した表示要素に対応するパラメータのオン／オフの設定を反転するとともに、該表示要素の示すオン／オフ状態の表示を反転し、
   （ｂ）その操作位置に前記レベル操作子を模した表示要素が位置していた場合は、前記割当ｃｈストリップに割り当てたｍ個の入力ｃｈに対応する前記レベル操作子を模した表示要素すべてを選択状態とし、該選択状態としたｍ個のレベル操作子に対応する各入力ｃｈのパラメータを、各入力ｃｈに対応する前記割当ｃｈストリップの前記割当ノブ操作子にそれぞれ割当てて、該割当ｃｈストリップの割当ノブ操作子にて前記レベル操作子を模した表示要素に対応する各入力ｃｈのレベル値の設定変更ができるようにする
   ことを特徴とするミキサ装置の音響調整卓。
3. 請求項１に記載の音響調整卓において、
   前記複数の出力ｃｈは、各々ｎ個以内の出力ｃｈで構成された複数のグループにグループ化されており、
   前記グループ選択操作部は、さらに、前記入力ｃｈストリップ部の前記操作パネル上での配置を模した前記入力ｃｈの各グループに対応する複数のグループ選択操作子に対して、前記操作パネル上における前記マスタセクションに相当する位置に、前記グループ化された出力ｃｈの各グループに対応する複数のグループ選択操作子を、前記操作パネルの操作者と対向する方向に沿って縦列に、配置し、
   前記割当手段は、さらに、前記検出手段で前記出力ｃｈのグループに対応するグループ操作子に対する操作が検出された場合、該操作が検出されたグループ操作子に対応するグループを構成するｍ個の各出力ｃｈを、前記割当ｃｈストリップ部を構成する前記複数の割当ｃｈストリップのうち端部からｍ番目までに位置するｍ個の各割当ｃｈストリップに対して、あらかじめ定められた順序にて割り当てる
   ことを特徴とするミキサ装置の音響調整卓。

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