JP4923551B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料ガス及び酸化剤ガスの供給により発電する燃料電池を備えた燃料電池システムに関し、特に、システム起動時に、燃料電池から正常に出力を取り出せる状態にするための起動運転を行う燃料電池システムに関する。
燃料電池システムは、燃料電池の燃料極(アノード)に水素等の燃料ガスを供給すると共に、酸化剤極(カソード)に空気等の酸化剤ガスを供給して電気化学反応を生じさせ、燃料の持つ化学エネルギを電気エネルギに変換するエネルギ変換システムである。
このような燃料電池システムにおいて、燃料電池から正常に出力を取り出すためには、燃料電池の燃料極側を均一な濃度の燃料ガス(水素)で満たし、酸化剤極側を十分な酸化剤ガス(空気)で満たした状態としておく必要があるが、システム起動直後は、システム停止期間中に水素が空気等に置換された燃料極側へ水素が供給されることで燃料極側のガス組成が不均一になっていたり、クロスリークと呼ばれる現象により燃料極側の水素が酸化剤極側へと透過している場合もあり、燃料電池から正常に出力を取り出せる状態となっていないことも多い。そこで、特に自動車の駆動動力源として利用される燃料電池システムなど、燃料電池から大きな出力を取り出すことが要求される燃料電池システムにおいては、システム起動直後に、通常運転を行う前の準備段階としての起動運転を行い、燃料電池から正常に電力を取り出せる状態としてから通常運転へと移行するようにしているのが一般的である。
以上のような燃料電池システムにおける起動運転の手法としては、特に燃料電池の燃料極側に着目したものとして、例えば特許文献1にて開示された手法が知られている。この特許文献1にて開示される手法は、システム起動直後に、燃料電池の燃料極側に供給する水素圧力を通常運転時における供給圧よりも高く設定し、水素ポンプの駆動とともに水素供給弁を開放して、燃料電池の燃料極側に高圧の水素を供給するようにしたものである。引用文献1に記載の発明では、システム起動時に以上のような制御を行うことにより、燃料極側に残留している酸素を短時間で排出して均一な濃度の水素に置換することが可能で、燃料電池の劣化を抑制できるとしている。
特開2004−139984号公報
しかしながら、前記特許文献1にて開示されている手法をはじめとして、従来の起動運転の手法では、起動直後に水素排出弁(パージ弁)を開放した状態で水素等の燃料ガスの供給を開始し、燃料極側に残留している不純物を水素排出弁から水素とともに外部に排出する構成となっているため、起動運転を行う際の無駄な水素の排出が問題となる。特に、前記特許文献1にて開示される手法のように、起動運転を行う際に高圧の水素を供給するようにした場合には、起動直後に水素排出弁を開放すると、多量の水素を外部に排出してしまうことになり、例えば自動車の駆動動力源として利用される燃料電池システムなどでは燃費の悪化につながるため、改善が求められている。
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて創案されたものであって、システム起動時における無駄な燃料ガスの排出を極力抑制しながら、短時間で燃料電池から正常に電力を取り出せる状態にして通常運転へと移行することが可能な燃料電池システムを提供することを目的としている。
本発明に係る燃料電池システムは、燃料ガス及び酸化剤ガスの供給により発電する燃料電池と、燃料電池に酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス供給系と、燃料電池に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給系と、燃料ガス供給系及び燃料電池内部に蓄積された不純物を燃料ガスとともに系外に排出するパージ手段と、少なくとも燃料ガス供給系による燃料ガスの供給動作及びパージ手段による排出動作を制御する制御手段とを備え、システム起動時に、燃料電池から正常に出力を取り出せる状態にするための起動運転を行うものである。このような燃料電池システムにおいて、本発明では、前記目的を達成するために、制御手段が、起動運転の開始直後は、パージ手段による排出動作を停止させた状態で、燃料ガス供給系から通常運転時の圧力よりも高い起動時ガス圧力で燃料ガスを供給させる制御を行い、酸化剤ガス供給系により、システム停止期間中に燃料電池のアノード側から電解質膜を介してカソード側へと透過してきた燃料ガスを燃料電池のカソード側へと供給する酸化剤ガスで排出する処理が終了し、燃料電池を発電させるために酸化剤ガスの供給を開始している段階で、パージ手段による排出動作を開始させるとともに、燃料ガス供給系から供給される燃料ガスの圧力を起動時ガス圧力から通常運転時の圧力へと漸次低下させる制御を行うようにしている。
本発明に係る燃料電池システムによれば、起動運転の開始直後は、パージ手段による排出動作を停止させた状態で、燃料ガス供給系から燃料電池の燃料極に高圧の燃料ガスを供給させることで燃料極側を均一の濃度の燃料ガスで満たし、システム停止期間中に燃料電池のアノード側から電解質膜を介してカソード側へと透過してきた燃料ガスを燃料電池のカソード側へと供給する酸化剤ガスで排出する処理が終了し、燃料電池を発電させるために酸化剤ガスの供給を開始している段階でパージ手段による排出動作を開始させるとともに、燃料ガス供給系から供給される燃料ガスの圧力を通常運転時の圧力へと漸次低下させるようにしているので、システム起動時における無駄な燃料ガスの排出を極力抑制しながら、短時間で燃料電池から正常に電力を取り出せる状態にして通常運転へと移行することができる。
以下、本発明を適用した燃料電池システムの具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した燃料電池システムの全体構成を示すシステム構成図である。この図1に示す燃料電池システムは、例えば燃料電池車両用の発電システムとして構成されたものであり、主要な構成要素として、発電を行う燃料電池1と、この燃料電池1に燃料ガスである水素を供給する水素供給系、酸化剤ガスである空気を供給する空気供給系、冷却液を供給する冷却液供給系と、システム全体を統括的に制御するコントローラ100とを備えている。
燃料電池1は、水素が供給されるアノード(燃料極)と空気が供給されるカソード(酸化剤極)とが電解質を挟んで重ね合わされて発電セルが構成されるとともに、複数の発電セルが多段積層されたスタック構造を有し、電気化学反応により化学エネルギを電気エネルギに変換する。この燃料電池1の各発電セルでは、アノードに供給された水素が水素イオンと電子とに分離される反応が起き、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、カソード側にそれぞれ移動する。カソードでは、供給された空気中の酸素と電解質を通って移動した水素イオン及び電子が反応して水が生成され、外部に排出される。すなわち、燃料電池1では、以下に示す電極反応が進行し、電力が発電される。
アノード(燃料極): H→2H+2e (1)
カソード(酸化剤極): 2H+2e+(1/2)O→HO (2)
燃料電池1の電解質としては、高エネルギ密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質膜が用いられる。固体高分子電解質膜は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。
水素供給系は、例えば、水素供給源である水素タンク2を有しており、この水素タンク2に貯蔵された高圧水素を水素タンク元弁3を開いて取り出し、減圧弁4で機械的に所定の圧力まで減圧し、水素供給弁5で所望の圧力になるように調整した上で、水素供給管6から燃料電池1のアノード側へと供給するようになっている。
燃料電池1のアノード側では、供給された水素が全て消費されるわけではなく、余剰分の水素(燃料電池1のアノードから排出される水素)は、水素循環装置7の駆動により、水素循環配管8を通って循環され、新たに水素タンク2から取り出された水素と混合されて再び燃料電池1のアノードに供給される。また、燃料電池1のアノードに供給される水素の圧力は、コントローラ100が水素供給管6に設置された圧力センサ10の検出値をフィードバックして水素供給弁5を駆動することによって制御される。水素圧を一定にすることによって、燃料電池1が消費した分だけの水素が自動的に補われることになる。
また、燃料電池1のアノード出口側には水素排気管9が接続されており、この水素排気配管9の下流側(水素循環配管8が分岐される部分の下流位置)には、パージ弁11が設けられている。このパージ弁11は、水素循環機能を確保するために、水素供給系や燃料電池1のアノード内部に蓄積された窒素等を排出する際に開放されるものである。また、このパージ弁11は、燃料電池1内部のガス流路に詰まった水詰まりを吹き飛ばし、セル電圧を回復させるという用途にも用いられる。さらに、このパージ弁11は、システム起動に際して、燃料電池1のアノード内部を高濃度の水素に置換するために、水素供給系や燃料電池1のアノード内部に蓄積された不純物を排出する目的でも利用される。なお、水素排気管9のパージ弁11の下流位置には、排水素処理装置12が設けられているが、この排水素処理装置12は、パージ弁11の開放によって排出される水素を空気供給系からの空気で希釈するためのものである。
空気供給系は、例えば、空気供給源としてコンプレッサ13を有し、このコンプレッサ13で外気をで吸入、加圧して空気供給管14から燃料電池1のカソード側へと供給するようになっている。なお、空気供給管14の中途位置には加湿装置15が設置されており、コンプレッサ13から圧送される空気はこの加湿装置15によって加湿された上で、燃料電池1のカソード側へと供給されるようになっている。
また、燃料電池1のカソード出口側には空気排気管16が接続されており、燃料電池1のカソードで消費されなかった酸素及び空気中の他の成分は、この空気排気管16から空気調圧弁17を介して排出され、その一部は排水素処理装置12でアノードからの排水素を希釈するために用いられる。また、燃料電池1のカソードに供給される空気の圧力は、コントローラ100が空気供給管14に設置された圧力センサ18の検出値をフィードバックして空気調圧弁17を駆動することによって制御される。
冷却液供給系は、冷却液ポンプ19の駆動によって、例えば水にエチレングリコール等の凍結防止剤を混入した冷却液を冷却液循環配管20内で循環させて、燃料電池1に供給する構成となっている。冷却液循環配管20の経路内には、ラジエータファン21を有するラジエータ22が設けられており、燃料電池1の冷却により加熱された冷却液は、ここで冷却される。また、冷却液循環配管20は三方弁23によって分岐されており、分岐経路としてラジエータ22と並列にバイパス配管24が設けられている。冷却液は、三方弁23によってラジエータ22側とバイパス配管24側に分流され、冷却温度が調整される。なお、バイパス配管24を流れる冷却液の流量は、三方弁23を調整することにより制御される。
冷却液循環配管20の燃料電池1の入口近傍位置には温度センサ25、出口近傍位置には温度センサ26がそれぞれが設けられており、これら温度センサ25,26によって検出される燃料電池1の入口と出口の冷却液温度に応じて、コントローラ100が三方弁23を調整するようになっている。なお、三方弁23をラジエータ22側に切り替えるだけでは冷却液を所望の温度に冷却できないときには、コントローラ100はラジエータファン21も駆動する。
以上の構成を有する燃料電池システムにおいて、燃料電池1からの出力は出力取出装置27により取り出され、例えば車両を駆動するための図示しない駆動モータ等の外部負荷や、システム内の水素循環装置7、コンプレッサ13、冷却液ポンプ19、ラジエータファン21などのシステム補機に供給される。この出力取出装置27による燃料電池1からの出力の取り出しは、燃料電池1からの出力電圧を検出する電圧センサ28の検出値や、燃料電池1を構成する各発電セル群の電圧などに応じて、コントローラ100によって制御される。
コントローラ100は、CPUやRAM、ROM、周辺インターフェース等を有するマイクロコンピュータを中心とした制御ユニットとして構成されており、CPUがRAMをワークエリアとして利用してROMに格納されている各種制御プログラムを実行することで、燃料電池システム全体の動作を統括的に制御するようになっている。具体的には、コントローラ100は、燃料電池システムが通常運転を行っている間、圧力センサ10,18や温度センサ25,26、電圧センサ28等の各種センサ検出値をモニタリングしてシステム全体の動作状態を把握し、燃料電池1を最適な状態にしてシステムに要求される電力を燃料電池1からの出力で適切に賄えるように、水素供給系や空気供給系、冷却液供給系の各部の動作を制御する。
また、システム起動時には、コントローラ100による制御のもとで、燃料電池1から正常に出力を取り出せる状態とするための起動運転が行われるが、特に、本実施形態の燃料電池システムでは、この起動運転を行う際に、コントローラ100が、無駄な水素の排出を極力抑制して燃費向上を図りながら、短時間で通常運転へと移行できるような制御を行うようにしている。
以下、本実施形態の燃料電池システムに特徴的な起動運転の際のコントローラ100による動作制御について、更に詳しく説明する。
本実施形態の燃料電池システムで起動運転を行う際、コントローラ100は、まず、起動開始直後は、水素供給系のパージ弁11を閉じた状態で、燃料電池1のアノードに対して通常運転時の圧力よりも高い起動時ガス圧力で燃料ガスである水素を供給させる制御を行う。そして、システムの起動が完了した段階で、パージ弁11を開放してアノード側の不純物を水素とともに排出させ、燃料電池1のアノード内の水素濃度上昇を図るとともに、燃料電池1のアノードに対して供給する水素の圧力を起動時ガス圧力から通常運転時の圧力へと漸次低下させる制御を行うようにしている。
なお、ここで、システムの起動が完了した段階とは、例えば、以下の4つの条件をクリアできた段階を意味する。ただし、ここで説明する判定基準は本実施形態の燃料電池システムの構成を前提とした一例であり、システムの起動完了の判定はシステム構成に応じて変更可能である。
(1)システム停止期間中に、燃料電池1のアノード側から電解質膜を介してカソード側へと透過してきた水素を、空気供給系から燃料電池1のカソード側へと供給する空気で十分に希釈して排出する処理が終了し、燃料電池1を発電させるための空気供給が開始できている。
(2)冷却液供給系から燃料電池1に対する冷却液の循環供給が開始できている。
(3)燃料電池1のアノード側の水素フロントと呼ばれる現象(アノード内でシステム停止期間中に置換された空気と新たに供給された水素とが局所的に偏在し、水素と空気の境界層が存在している状態)が解消され、アノード内のガス組成がほぼ均一な状態となっている。
(4)燃料電池1の総電圧が所定値以上で、且つ、各発電セルの電圧が最低電圧以上となっている。
本実施形態の燃料電池システムでは、起動運転を行う際に、コントローラ100が以上のような判定基準に従ってシステムの起動完了を判定するようにしている。そして、コントローラ100は、起動運転を開始してからシステムの起動が完了するまでの間は、水素パージ弁11を閉じた状態で、燃料電池1のアノードに対して高圧の水素を供給させる制御を行い、システムの起動が完了した段階で、パージ弁11を開放して水素供給系や燃料電池1のアノード内部に蓄積された窒素等の不純物を系外へと排出させながら、燃料電池1のアノードへと供給する水素の圧力を起動時ガス圧力から通常運転時の圧力へと徐々に低下させる制御を行う。これにより、本実施形態の燃料電池システムでは、システム起動時における無駄な水素の排出を極力抑制して燃費向上を図りながら、短時間で燃料電池1から正常に電力を取り出せる状態にして通常運転への移行を迅速に行うことが可能となる。
また、以上のような燃費向上の効果をより高めるために、コントローラ100は、システムの起動が完了した後の制御として、水素供給系から燃料電池1のアノードへと供給される水素の圧力が通常運転時の圧力になるタイミングと、パージ弁11の開放による窒素等の不純物の排出により水素供給系及び燃料電池1のアノード内部に蓄積された不純物の濃度(以下、アノード内不純物濃度と表記する。)が所定の許容濃度以下となるタイミングとが略一致するように、水素供給系による水素の供給動作とパージ弁11の開放によるガス排出動作とを連係させて制御することが望ましい。
このとき、コントローラ100は、水素供給系による水素の供給動作やパージ弁11の開放によるガス排出動作を、事前に設計された制御プロファイルに従って制御するようにしてもよいし、パージ弁11の開放による窒素等の不純物の排出に伴い時々刻々と変化するアノード内不純物濃度の現在の値(つまり、アノード側の現在のガス組成)を推定し、推定される現在のアノード内不純物濃度に応じて動的に制御するようにしてもよい。また、コントローラ100は、水素供給系による水素の供給動作とパージ弁11の開放によるガス排出動作との何れか一方を事前に設計された制御プロファイルに従って制御し、他方を、推定される現在のアノード内不純物濃度に応じて動的に制御するようにしてもよい。
ここで、コントローラ100による水素供給系の水素供給動作の制御とは、目標とする水素圧力を設定して、圧力センサ10の検出値をモニタリングしながら、燃料電池1のアノードに供給される水素圧力が目標圧力となるように、水素供給弁(圧力調整弁)5の開度を制御することを意味する。また、コントローラ100によるガス排出動作の制御とは、パージ弁11が開度の制御が可能な可変弁であれば、当該パージ弁11の開度を制御することを意味し、パージ弁11が開度一定の可変弁であれば、当該パージ弁11の開閉周期を制御することを意味する。
なお、上述した制御プロファイルは、燃料電池1のアノードに供給する水素圧力やパージ弁11の状態と、アノード内不純物濃度の変化との関係を、予め実験等を行って求めることで作成することができる。
次に、現在のアノード内不純物濃度を推定する手法の具体例について説明する。
本実施形態の燃料電池システムにおいて、システム起動直後におけるアノード内不純物濃度(アノード内不純物濃度の初期値)は、起動運転を開始する前のシステム停止時間に基づいて推定することができる。すなわち、本実施形態の燃料電池システムにおいて、システム起動直後に水素供給系及び燃料電池1のアノード内部に蓄積されている不純物は、システム停止期間中にカソードから透過してくる窒素や、システム停止期間中に水素供給系内へと徐々に拡散、或いは強制的に水素と置換された空気中の窒素(酸素は水素の供給により消費される)が主であり、その窒素量は、図2の特性図で示すように、システム停止時間が長いほど多くなる傾向にある。したがって、本実施形態の燃料電池システムに対応した図2のような特性図を予め作成して保持しておき、システム停止期間中にその停止時間を計測しておくようにすれば、計測したシステム停止時間から、システム起動直後におけるアノード内不純物濃度、つまりアノード内不純物濃度の初期値を推定することができる。
また、起動運転によって水素供給系及び燃料電池1のアノード内部の窒素量は低下するので、起動運転を開始した後の窒素量は、図3の特性図で示すように、起動運転を開始してからの経過時間が長いほど少なくなる傾向にある。また、このときの窒素量は大気圧や起動運転時に供給される水素圧力、システム温度、パージ弁11の開放に伴うガス排出量にも依存し、図3の特性図で示すように、大気圧が低いほど窒素量は少なくなり、また、供給水素圧力が高いほど窒素量は少なくなり、また、システム温度が低いほど窒素量は少なくなり、また、ガス排出量が大きいほど窒素量は少なくなる。したがって、本実施形態の燃料電池システムに対応した図3のような特性図を予め作成して保持しておき、起動運転を開始してからの経過時間と、大気圧、供給水素圧力、システム温度、ガス排出量の少なくとも何れかを計測するようにすれば、起動運転開始後の不純物の低下量を推定することができる。そして、以上説明したシステム起動時におけるアノード内不純物濃度の初期値と、起動運転開始後の不純物の低下量とから、現在のアノード内不純物濃度を推定することができる。
また、起動運転の際に水素循環装置7を作動させて水素の循環供給を行う場合には、水素循環装置7の現在のトルク又は電流値に基づいて、現在のアノード内不純物濃度を推定することも可能である。すなわち、水素循環装置7で所定量の水素循環量を確保しようとした場合、水素供給系及び燃料電池1のアノード内部の水素濃度が低ければ、その分、水素循環装置7の仕事量は大きくなる。つまり、水素循環装置7の動作はアノード内不純物濃度と関連性があり、図4の特性図で示すように、水素循環装置7のトルクや電流、電力が大きいほど、水素供給系及び燃料電池1のアノード内部に蓄積されている窒素量が多くなっている。したがって、本実施形態の燃料電池システムに対応した図4のような特性図を予め作成して保持しておき、起動運転中における水素循環装置7のトルク又は電流値をモニタリングするようにしておけば、水素循環装置7の現在のトルク又は電流値から、現在のアノード内不純物濃度を推定することも可能となる。
以上のように、本実施形態の燃料電池システムでは、コントローラ100による制御のもとで起動運転を行う際に、システムの起動が完了したと判定された段階で、パージ弁11を開放してアノード側のガスの排出を行うようにしているが、このとき、駆動モータ等の外部負荷から出力要求があったときに燃料電池1から直ぐに出力を取り出せるようにするために、起動完了後には、外部負荷から出力要求がなくても燃料電池1のアイドル発電を行うようにしている。この場合、アイドル電流で所定のストイキ比を確保するためには、水素循環装置7を作動させて水素の循環供給を行う必要があるが、起動完了後の水素供給圧力の制御やガス排出制御に応じて、アノード内不純物濃度は時々刻々と変化するので、アイドル電流で所定のストイキ比を確保するために必要とされる水素循環量も時々刻々と変化することになる。
そこで、本実施形態の燃料電池システムにおいては、コントローラ100が起動完了後の時々刻々と変化するアノード内不純物濃度を上述した手法で推定し、推定した現在のアノード内不純物濃度に応じて水素循環装置7を作動させ、水素循環装置7による水素循環量を制御するようにしている。具体的には、コントローラ100は、まず、燃料電池1からアイドル電流を取り出すのに必要なストイキ比を確認するとともに、現在のアノード内不純物濃度を推定し、必要なストイキ比を現在のアノード側のガス組成で実現するための水素循環量を算出して、この水素循環量を確保できるように、水素循環装置7を駆動制御する。これにより、本実施形態の燃料電池システムでは、上述した無駄な水素の排出を抑制する効果を有効に発揮させながら、起動完了後のアイドル発電も適切に行うことが可能となる。
また、本実施形態の燃料電池システムでは、起動完了後には、駆動モータ等の外部負荷から出力要求があれば、出力取出装置27によって燃料電池1からその出力を取り出すことも可能であるが、起動完了直後はアノード内不純物濃度が高い状態にあり、また、水素循環装置7の駆動による水素循環量にも限界があるため、駆動モータ等の外部負荷で要求される出力(電流)に見合ったストイキ比を確保できない場合がある。このため、起動完了直後には、過大な出力を燃料電池1から無理に取り出すことによって燃料電池1がダメージを受けることを防止するために、出力取出装置27によって燃料電池1から取り出す出力に上限値を設定する必要があるが、この上限値(上限出力)は、アノード内不純物濃度に応じて変化することになる。
そこで、本実施形態の燃料電池システムにおいては、コントローラ100が起動完了後の時々刻々と変化するアノード内不純物濃度を上述した手法で推定し、推定した現在のアノード内不純物濃度に応じて、出力取出装置27が燃料電池1から取り出す上限出力を設定するようにしている。具体的には、コントローラ100は、まず、水素循環装置7を最大限に駆動した場合の最大循環流量を確認するとともに、現在のアノード内不純物濃度を推定し、現在のアノード側のガス組成で最大循環流量とした場合の水素循環量を算出する。そして、この水素循環量で実現できるストイキ比から、燃料電池1から正常に取り出すことが可能な出力の上限値を求め、これを上限出力として設定する。これにより、本実施形態の燃料電池システムでは、上述した無駄な水素の排出を抑制する効果を有効に発揮させながら、起動完了直後に燃料電池1から過大な出力を取り出すことによって燃料電池1にダメージを与えてしまうといった不都合も回避することができる。
ところで、燃料電池システムの通常運転時における発電制御では、コントローラ100は、駆動モータ等の外部負荷で要求される電力(ネット電力)に、コンプレッサ13などのシステム補機での消費電力を加算した総電力(グロス電力)が燃料電池1で発電されるように、水素供給系や空気供給系などの動作を制御し、また、出力取出装置27に対してグロス電力に相当する出力の取り出し指令を与えるようにしている。このとき、グロス電力を求めるのに必要な補機消費電力を算出する際は、燃料電池1の通常運転時の定常特性を考慮したマップ等を用いて、ネット電力を入力として補機消費電力を算出するようにしているのが一般的である。
しかしながら、本実施形態の燃料電池システムでは、上述したように、システム起動時に燃料電池1のアノード側に通常運転時の圧力よりも高い起動時ガス圧力で水素を供給するようにしており、燃料電池1の電解質として用いている固体高分子膜の保護のためには、燃料電池1のカソード側に供給する空気についても、アノード側との差圧が許容膜間差圧以下となるように空気圧力を上昇させる必要がある。このため、燃料電池1のアノード側に起動時ガス圧力で水素を供給する制御を行っている間は、コンプレッサ13の吐出圧を上げる必要があり、その分、コンプレッサ13での消費電力は大きくなる。したがって、燃料電池1のアノード側に起動時ガス圧力で水素を供給する制御を行っている間に、通常運転時と同様のマップ等を用いて補機消費電力を算出したのでは、算出される補機消費電力と実際の補機消費電力との間に乖離が生じ、駆動モータ等の外部負荷に供給できる電力が目減りすることになる。
そこで、本実施形態の燃料電池システムにおいては、燃料電池1のアノード側に起動時ガス圧力で水素を供給する制御を行っている間は、通常運転時の圧力と起動時ガス圧力との比率又は差に基づいて、上述したマップ等を用いて算出される補機消費電力を補正することで、実際にコンプレッサ13等のシステム補機で消費される補機消費電力を算出するようにしている。これにより、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池1のアノード側に起動時ガス圧力で水素を供給する制御を行っている間であっても、マップ等を用いた演算という比較的簡便な手法で補機消費電力を正確に算出して、適切な発電制御を行うことができる。
次に、以上のような本実施形態の燃料電池システムにおいて、システム起動時にコントローラ100によって実行される制御の流れを、2つの具体例を例示して説明する。1つは、事前に設計された制御プロファイルに従って水素供給系による水素の供給動作を制御するとともに、現在のアノード内不純物濃度の推定結果に応じてパージ弁11の開放によるガス排出動作を制御する例(実施例1)であり、もう1つは、事前に設計された制御プロファイルに従ってパージ弁11の開放によるガス排出動作を制御するとともに、現在のアノード内不純物濃度の推定結果に応じて水素供給系による水素の供給動作を制御する例(実施例2)である。
[実施例1]
図5は、実施例1におけるコントローラ100の制御の流れを示すフローチャートである。
この実施例1では、例えば本実施形態の燃料電池システムが搭載された車両のイグニッションキーがオンされ、システムが起動されると、コントローラ100は、まず、ステップS101において、事前に設計された制御プロファイルから起動時ガス圧力(通常運転時の圧力よりも高い圧力)を読み込み、ステップS102において、水素供給系の水素タンク元弁3を開くとともに水素供給弁5の開度を調整して、燃料電池1のアノードに起動時ガス圧力で水素が供給されるように制御(水素高圧制御)する。なお、このときはパージ弁11は閉じた状態とし、アノード側のガス排出動作は行わない。
また、この際、コントローラ100は、空気供給系のコンプレッサ13を駆動して燃料電池1のカソード側への空気供給を開始し、システム停止期間中に燃料電池1のアノード側からカソード側へ透過した水素(クロスオーバ水素)を希釈した上で、排出する制御を行う。さらに、コントローラ100は、冷却液供給系の冷却液ポンプ19の駆動を開始して、燃料電池1に対する冷却液の循環供給も開始させる。
ここで、燃料電池1のカソード側へと供給する空気流量は、水素と同等の圧力まで上昇させるために必要な昇圧分の流量を供給する必要があり、またクロスオーバ水素を希釈するための希釈空気流量も供給する必要がある。クロスオーバ水素量は、例えば、前回のシステム停止からの経過時間に依存する値であるため、事前に取得したマップなどに基づいて、システムの停止時間から一義的に特定する。そして、特定されたクロスオーバ水素を希釈するために必要な流量を、例えば、事前に取得したマップなどを用いて演算し、これを希釈空気流量とする。あるいは、クロスオーバ水素の最悪値を前提に、事前に定められた所定量を希釈空気流量としてもよい。そして、クロスオーバ水素の希釈が終了した段階で、昇圧用の空気流量をのみを供給する(これ以降の制御では、空気圧力は、水素圧力に追従するように、その圧力制御を行う)。
また、燃料電池1のカソード側へと供給する空気流量は、通常の運転圧力に応じた空気圧力まで上昇させるために必要な昇圧分の流量を供給するとともに、クロスオーバ水素を希釈するための希釈空気流量も供給するようにし、クロスオーバ水素の希釈が終了した段階で、通常の運転圧力に応じた空気圧力まで上昇させるために必要な昇圧分の流量をのみを供給するようにしてもよい。この場合、起動直後の水素の圧力(上述した起動時ガス圧力)は、通常の運転圧力との差が、燃料電池1の性能に依存して定まる、許容膜間差圧の範囲となるように決定される。
次に、コントローラ100は、ステップS103において、例えば先に説明した4つの条件がクリアできたかどうかにより、システムの起動が完了したか否かを判定する。そして、システムの起動が完了するまで上述したステップS102の水素高圧制御を継続し、システムの起動が完了した段階でステップS104へと処理を移行する。
次に、コントローラ100は、ステップS104において、システム起動前のシステム停止時間や起動後の経過時間、大気圧、水素の実圧力(圧力センサ10の検出値)、システム温度などのシステム運転状態を表す各種パラメータを検出し、ステップS105において、ステップS104で検出したシステム運転状態に基づいて、アノード内不純物濃度(アノードガス組成)を推定する。そして、コントローラ100は、ステップS106において、ステップS105で推定したアノード内不純物濃度に応じて、パージ弁11の開放によるガス排出動作を制御する。この際、コントローラ100は、パージ弁11が可変弁であればその開度、開閉弁であれば開閉周期(開度Duty)を制御する。
次に、コントローラ100は、ステップS107において、ステップS105で推定したアノード内不純物濃度に応じて、水素循環装置7による水素循環量を制御する。また、コントローラ100は、ステップS108において、ステップS105で推定したアノード内不純物濃度に応じて、出力取出装置27が燃料電池1から取り出し可能な出力の上限値(上限出力)を設定する。
そして、コントローラ100は、ステップS109において、水素供給系から燃料電池1のアノード側へと供給する水素の圧力が通常運転時の圧力にまで低下し、且つ、アノード内不純物濃度が許容濃度以下にまで低下した状態である通常運転状態が成立したか否かを判定し、通常運転状態が成立していなければ、ステップS110において、事前に設計した制御プロファイルに従って、水素供給弁5の開度を調整して水素供給系から燃料電池1のアノード側へと供給される水素の圧力を所定量低下させ、ステップS104以降の処理を繰り返す。なお、この水素圧力を変更した後に繰り返される処理では、ステップS105におけるアノード内不純物濃度推定の際に、パージ弁11の開放によるガス排出量も考慮される。そして、時々刻々と変化するアノード内不純物濃度に応じて、ステップS106にてパージ弁11の開放によるガス排出動作が制御される。
そして、ステップS104からステップS110までの処理が繰り返される中で、事前に設計した制御プロファイルに従って燃料電池1のアノード側へと供給される水素の圧力が通常運転時の圧力へと低下されるタイミングと、パージ弁11の開放によるガス排出によってアノード内不純物濃度が許容濃度以下にまで低下するタイミングとが略一致するように、パージ弁11の開放によるガス排出動作が動的に制御される。その後、ステップS109で通常運転状態が成立したと判定されると、通常運転へと移行して、システム起動時におけるコントローラ100の一連の制御が終了する。
[実施例2]
図6は、実施例2におけるコントローラ100の制御の流れを示すフローチャートである。
この実施例2では、例えば本実施形態の燃料電池システムが搭載された車両のイグニッションキーがオンされ、システムが起動されると、コントローラ100は、まず、ステップS201において、水素高圧制御を行うための最適な水素圧力(起動時ガス圧力)を演算し、ステップS202において、水素供給系の水素タンク元弁3を開くとともに水素供給弁5の開度を調整し、燃料電池1のアノードにステップS201で演算した起動時ガス圧力で水素が供給されるように制御する。なお、このときは実施例1と同様にパージ弁11は閉じた状態とし、アノード側のガス排出動作は行わない。
また、この際、コントローラ100は、実施例1と同様に、空気供給系のコンプレッサ13を駆動して燃料電池1のカソード側への空気供給を開始し、システム停止期間中に燃料電池1のアノード側からカソード側へ透過した水素(クロスオーバ水素)を希釈した上で、排出する制御を行う。さらに、コントローラ100は、冷却液供給系の冷却液ポンプ19の駆動を開始して、燃料電池1に対する冷却液の循環供給も開始させる。
次に、コントローラ100は、ステップS203において、例えば先に説明した4つの条件がクリアできたかどうかにより、システムの起動が完了したか否かを判定する。そして、システムの起動が完了するまで上述したステップS202の水素高圧制御を継続し、システムの起動が完了した段階でステップS204へと処理を移行する。
次に、コントローラ100は、ステップS204において、事前に設計された制御プロファイルに従って、パージ弁11の開放によるガス排出動作を開始する。この制御プロファイルに従ったパージ弁11の制御は、例えば、パージ弁11の開度を一定として所定時間パージ弁11を開放させる、或いは、開度Dutyを所定の値に定めて所定時間パージ弁11の開閉動作を継続させるといったように、通常運転時における水素パージと同様の制御としてもよい。
次に、コントローラ100は、ステップS205において、システム起動前のシステム停止時間や起動後の経過時間、大気圧、水素の実圧力(圧力センサ10の検出値)、システム温度、パージ弁11の開放によるガス排出量などのシステム運転状態を表す各種パラメータを検出し、ステップS206において、ステップS205で検出したシステム運転状態に基づいて、アノード内不純物濃度(アノードガス組成)を推定する。そして、コントローラ100は、ステップS207において、ステップS206で推定したアノード内不純物濃度に応じて、水素供給系から燃料電池1のアノード側へと供給する水素の圧力補正量(低下量)を演算する。
次に、コントローラ100は、ステップS208において、ステップS206で推定したアノード内不純物濃度に応じて、水素循環装置7による水素循環量を制御する。また、コントローラ100は、ステップS209において、ステップS206で推定したアノード内不純物濃度に応じて、出力取出装置27が燃料電池1から取り出し可能な出力の上限値(上限出力)を設定する。
そして、コントローラ100は、ステップS210において、水素供給系から燃料電池1のアノード側へと供給する水素の圧力が通常運転時の圧力にまで低下し、且つ、水素供給系及び燃料電池1のアノード内部の不純物濃度が許容濃度以下にまで低下した状態である通常運転状態が成立したか否かを判定し、通常運転状態が成立していなければ、ステップS211において、ステップS207で演算した補正量分だけ燃料電池1のアノード側へと供給される水素圧力が低下するように、水素供給弁5の開度を調整して水素圧力を変更する制御を行い、ステップS205以降の処理を繰り返す。
そして、ステップS205からステップS211までの処理が繰り返される中で、燃料電池1のアノード側へと供給される水素の圧力が通常運転時の圧力へと低下されるタイミングと、パージ弁11の開放によるガス排出によってアノード内不純物濃度が許容濃度以下にまで低下するタイミングとが略一致するように、水素供給系による水素の供給動作が動的に制御される。その後、ステップS210で通常運転状態が成立したと判定されると、通常運転へと移行して、システム起動時におけるコントローラ100の一連の制御が終了する。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の燃料電池ステムによれば、コントローラ100が、起動運転の開始直後は、水素供給系のパージ弁11を閉じた状態で、燃料電池1のアノードに対して通常運転時の圧力よりも高い起動時ガス圧力で水素を供給させる制御を行い、システムの起動が完了した段階で、パージ弁11を開放してアノード側の不純物を水素とともに排出させ、燃料電池1のアノード内の水素濃度上昇を図るとともに、燃料電池1のアノードに対して供給する水素の圧力を起動時ガス圧力から通常運転時の圧力へと漸次低下させる制御を行うようにしているので、システム起動時における無駄な水素の排出を極力抑制して燃費向上を図りながら、通常運転への移行を短時間で行うことができる。
また、本実施形態の燃料電池ステムでは、コントローラ100が、システムの起動が完了した後の制御として、水素供給系から燃料電池1のアノードへと供給される水素の圧力が通常運転時の圧力になるタイミングと、パージ弁11の開放による窒素等の不純物の排出によりアノード内不純物濃度が所定の許容濃度以下となるタイミングとが略一致するように、水素供給系による水素の供給動作とパージ弁11の開放によるガス排出動作とを連係させて制御することにより、水素の排出を最大限に抑制して、燃費向上の効果を更に高めることができる。
図7は、従来の一般的な燃料電池システムにおけるシステム起動時の制御、すなわち、起動運転開始と同時にパージ弁を開放してアノード側の不純物を水素とともに排出させる制御を行った場合の水素の排出量を示したものであり、図8は、本実施形態の燃料電池システムにおいて、システム起動時に、コントローラ100が上述した実施例1の制御を行った場合の水素の排出量を示したものである。
図7に示すように、従来の一般的な燃料電池システムでは、起動運転を開始したときに、燃料電池のアノード側に供給する水素の圧力を急激に上昇させるのに伴って、パージ弁を開放してアノード側の窒素等の不純物を排出させるようにしているため、アノード内不純物濃度を短時間で低下させることができるが、起動運転を開始してから起動完了後に水素圧力を通常の運転圧力まで低下させるまでの間に、多量の水素を無駄に排出してしまっている。
これに対して、本実施形態の燃料電池システムでは、図8に示すように、起動運転を開始してから起動完了までの間はパージ弁11を閉じた状態で水素高圧制御を行い、システムの起動が完了した段階でパージ弁11を開放し、水素圧力を通常運転時の圧力に戻す制御と連動してアノード内不純物濃度を所定の許容濃度以下にまで低下させるようにしているので、無駄に排出される水素量を大幅に低減することができ、燃費の向上を図ることができる。
以上、本発明を適用した燃料電池システムの具体的な実施形態について詳細に説明したが、以上の実施形態は本発明の一適用例を例示したものであり、本発明の技術的範囲は、以上の実施形態の説明で開示した内容に限定されるものではなく、これらの開示から容易に導き得る様々な代替技術も含まれることは勿論である。
本発明を適用した燃料電池システムの全体構成を示すシステム構成図である。 システム停止時間とアノード側に蓄積される窒素量との関係を示す特性図である。 起動運転を開始してからの経過時間とアノード側に残留している窒素量との関係を示す特性図である。 水素循環装置のトルクや電流、電力とアノード側に存在する窒素量との関係を示す特性図である。 システム起動時にコントローラにより実行される制御の流れを示すフローチャートであり、事前に設計された制御プロファイルに従って水素供給系による水素の供給動作を制御するとともに、現在のアノード内不純物濃度の推定結果に応じてパージ弁の開放によるガス排出動作を制御する場合のフローチャートである。 システム起動時にコントローラにより実行される制御の流れを示すフローチャートであり、事前に設計された制御プロファイルに従ってパージ弁の開放によるガス排出動作を制御するとともに、現在のアノード内不純物濃度の推定結果に応じて水素供給系による水素の供給動作を制御する場合のフローチャートである。 従来の一般的な燃料電池システムにおけるシステム起動時の制御の様子を、その制御に伴う水素の排出量と合わせて示すタイミングチャートである。 本発明を適用した燃料電池システムにおけるシステム起動時の制御の様子を、その制御に伴う水素の排出量と合わせて示すタイミングチャートである。
符号の説明
1 燃料電池
2 水素タンク
5 水素供給弁
7 水素循環装置
10 圧力センサ
11 パージ弁
13 コンプレッサ
27 出力取出装置
100 コントローラ

Claims (12)

  1. 燃料ガス及び酸化剤ガスの供給により発電する燃料電池と、前記燃料電池に酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス供給系と、前記燃料電池に燃料ガスを供給するための燃料ガス供給系と、前記燃料ガス供給系及び燃料電池内部に蓄積された不純物を燃料ガスとともに系外に排出するパージ手段と、少なくとも前記燃料ガス供給系による燃料ガスの供給動作及び前記パージ手段による排出動作を制御する制御手段とを備え、システム起動時に、前記燃料電池から正常に出力を取り出せる状態にするための起動運転を行う燃料電池システムにおいて、
    前記制御手段が、
    前記起動運転の開始直後は、前記パージ手段による排出動作を停止させた状態で、前記燃料ガス供給系から通常運転時の圧力よりも高い起動時ガス圧力で燃料ガスを供給させる制御を行い、
    前記酸化剤ガス供給系により、システム停止期間中に前記燃料電池のアノード側から電解質膜を介してカソード側へと透過してきた燃料ガスを前記燃料電池のカソード側へと供給する酸化剤ガスで排出する処理が終了し、前記燃料電池を発電させるために前記酸化剤ガスの供給を開始している段階で、
    前記パージ手段による排出動作を開始させるとともに、前記燃料ガス供給系から供給される燃料ガスの圧力を前記起動時ガス圧力から通常運転時の圧力へと漸次低下させる制御を行うことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記制御手段は、システムの起動が完了した後に、前記燃料ガス供給系から供給される燃料ガスの圧力が通常運転時の圧力になるタイミングと、前記パージ手段の排出動作によって前記燃料ガス供給系及び燃料電池内部に蓄積された不純物の濃度が許容濃度以下になるタイミングとが略一致するように、前記燃料ガス供給系による燃料ガスの供給動作及び前記パージ手段による排出動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記制御手段は、前記燃料ガス供給系による燃料ガスの供給動作と前記パージ手段による排出動作との何れか一方又は双方を、事前に設計された前記燃料電池に供給する水素圧力と前記パージ手段の状態との何れか一方又は双方と前記燃料電池内不純物濃度の変化との関係を記したプロファイルに従って制御することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記制御手段は、前記燃料ガス供給系による燃料ガスの供給動作と前記パージ手段による排出動作との何れか一方又は双方を、推定される現在の不純物濃度に応じて動的に制御することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  5. 前記制御手段は、前記起動運転開始前のシステム停止時間に基づき不純物濃度の初期値を推定するとともに、前記起動運転を開始してからの経過時間と大気圧、計測される燃料ガスの実際の圧力、システム温度、前記パージ手段の動作状態の少なくとも何れかに基づき不純物の低下量を推定して、現在の不純物濃度を推定することを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 前記燃料ガス供給系が燃料ガスを循環供給するための燃料ガス循環装置を有し、
    前記制御手段は、前記燃料ガス循環装置の現在のトルク又は電流値に基づいて、現在の不純物濃度を推定することを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  7. 前記パージ手段は開度が制御可能な可変パージ弁であり、
    前記制御手段は、事前に設計された前記燃料電池に供給する水素圧力と前記パージ手段の状態との何れか一方又は双方と前記燃料電池内不純物濃度の変化との関係を記したプロファイルに従って、又は、推定される現在の不純物濃度に応じて、前記可変パージ弁の開度を動的に制御することを特徴とする請求項3又は4に記載の燃料電池システム。
  8. 前記パージ手段は開度が一定の開閉パージ弁であり、
    前記制御手段は、事前に設計された前記燃料電池に供給する水素圧力と前記パージ手段の状態との何れか一方又は双方と前記燃料電池内不純物濃度の変化との関係を記したプロファイルに従って、又は、推定される現在の不純物濃度に応じて、前記開閉パージ弁の開閉周期を動的に制御することを特徴とする請求項3又は4に記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料ガス供給系は開度が制御可能な圧力調整弁を有し、
    前記制御手段は、事前に設計されたプロファイルに従って、又は、推定される現在の不純物濃度に応じて、前記圧力調整弁の開度を動的に制御することを特徴とする請求項3又は4に記載の燃料電池システム。
  10. 前記燃料ガス供給系が燃料ガスを循環供給するための燃料ガス循環装置を有し、
    前記制御手段は、推定される現在の不純物濃度に応じて、前記燃料ガス循環装置による燃料ガスの循環量を制御することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  11. 前記燃料電池から出力を取り出して外部負荷へと供給する出力取出装置を備え、
    前記制御手段は、推定される現在の不純物濃度に応じて、前記出力取出装置が前記燃料電池から取り出す上限出力を設定することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  12. 前記燃料電池から出力を取り出して外部負荷へと供給する出力取出装置を備え、
    前記制御装置は、前記外部負荷で要求される負荷要求電力にシステム補機で消費される補機消費電力を加算した電力に見合う出力を前記燃料電池から取り出すように前記出力取出装置の動作を制御するとともに、前記燃料ガス供給系から前記起動時ガス圧力で燃料ガスを供給させる制御を行っている間は、通常運転時の圧力と前記起動時ガス圧力との比率又は差に基づいて通常運転時における補機消費電力を補正することで、補機消費電力を算出することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
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