JP4923389B2 - 密閉形蓄電池 - Google Patents

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Description

本発明は、密閉形蓄電池に関するもので、さらに詳しく言えば、30分間以内で急速充電が可能な密閉形蓄電池に関するものである。
密閉形蓄電池には、例えば、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池等のアルカリ蓄電池がある。該蓄電池は耐過充電特性、耐過放電特性、充放電サイクル特性に優れるところからサイクルユース用として好適であり、携帯電話、小型電動工具および小型パーソナルコンピュータ等の携帯用小型電子機器類の電源として広く利用されている。また、充電を短時間で終了させたいとのユーザーの強い要望により、例えば15〜30分間という短時間で充電を完了させることのできる急速充電が可能なアルカリ蓄電池の開発が望まれている。
例えばニッケル水素蓄電池を急速充電しようとすると、オーム損に起因する発熱、水素吸蔵合金の水素吸蔵反応に起因する発熱、充電末期に正極から発生する酸素を負極で吸収する反応に起因する発熱により、蓄電池の温度が高温になり、蓄電池の構成材料が変質するために特性が劣化する虞がある。また、蓄電池内部でのガス発生量が多くなるため、蓄電池内部の圧力が上昇する結果、排気弁が動作し、漏液したり、ガスや飛沫として電解液が外部に逸散するために蓄電池の内部インピーダンスが増大するなど蓄電池の特性が劣化する虞がある。
急速充電を行うに際して生じる前記問題を解決するため、充電中に蓄電池内部の圧力が所定値を超えて上昇したときに充電を停止し、蓄電池内部の圧力が所定値以下に降下したときに充電を再開するように、極板と外部端子のを結ぶ回路に該回路のオン・オフを司るスイッチ機能を持たせた密閉形蓄電池が提案されている。(例えば特許文献1参照)
WO2002/0119364 A1(Fig.2A、Fig.2B) 該特許文献に記載の密閉形蓄電池は、図6に示すような蓋体(ここでは前記圧力スイッチを備え、電槽缶の開放端を気密に封止するための部材を蓋体と呼ぶことにする)を備える。図6において密閉形蓄電池21の電槽缶の開放端は、合成樹脂の成形体からなるグロメット26とその中央部に設けた透孔に嵌着させた接続端子23により気密に封止されている。グロメット26の外側には金属製封口板25が配置され、さらにその外側にキャップ状正極外部端子27が当接している。正極板30と前記接続端子23は正極リード板29を介して接続されている。常時は、接続端子23に接合した金属製リング24が前記封口板当接しており、正極板30正極外部端子(キャップ)27を結ぶ回路がオンの状態にある。充電中に蓄電池内部の圧力が所定の値を超えて上昇するとグロメット26の中央部分が上方に撓み、金属製リング24が上方に移動して金属製リング24の封口板25との接点が封口板25から離れ、回路がオンからオフに切り替わり充電が停止する。充電停止中に蓄電池内部の圧力が降下し、所定値を下回ると、弾性体28の押圧力によって金属製リングが下方に移動し、封口板に当接して回路がオフからオンに切り替わり充電が再開される。
しかしながら、図6に示した従来提案の圧力スイッチ内蔵式密閉形蓄電池は、通常の充放電中の異常な内圧上昇時には、パッキング部材が撓んで正極板と正極外部端子を結ぶ回路が切断されて充電が停止されるため、充電中に蓄電池内部の圧力が所定値を大きく越えることはないが、圧力スイッチ機能の構造が複雑であって、圧力スイッチを備えない蓄電池に比べて蓋体の占有体積が大きく、極板群を収容することのできる内部空間が小さくなるため、電池の容量が低下するという問題があった。さらに、使用部品点数が多く構造も複雑であるため、コストが高く、蓋体を組組み立てるとき生産効率が劣る欠点がある。
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、前記圧力スイッチの占有体積を小さくし、かつ構造を簡略化することによって、極板群を収容するための内部空間が小さくなるのを抑制し、且つ、安価な圧力スイッチ機能付き密閉形蓄電池を提供しようとするものである。
本発明は、密閉形蓄電池の構成を以下の構成とすることによって前記の目的を達成する
ものである。
本発明に係る密閉形蓄電池は、正極板と負極板のうち少なくとも一方の極板と外部端子
を接続する回路に、蓄電池内部の圧力が所定の値以下のときに前記回路を導通状態とし、
前記圧力が所定の値を超えているときに前記回路を切断状態とする圧力スイッチ機能を備
える密閉形蓄電池において、電槽缶の開放端に金属製の封口板を配置、前記封口板の外側
に一方の外部端子を配置し、前記封口板と前記一方の極板がリード部材を介して電気的に
接続されており、前記封口板と前記外部端子の間には電気絶縁層が配置され、常時は、前
記外部端子と前記封口板が金属製のバネと接続部材を介して電気的に接続されており、前
記封口板に設けた透孔を電気絶縁性の弁体で気密に封止しており、前記弁体は前記透孔の
壁面に沿って摺動可能であり、前記接続部材は前記弁体が摺動することによって位置を変
え、蓄電池内部の圧力が所定の値を超えたときに前記弁体が摺動し、前記摺動に伴い前記
接続部材と封口板との電気的接点が封口板から離れることによって極板と外部端子を接続
する回路を切断する機能を備え、蓄電池内部の圧力が前記所定の値以下に降下すると前記金属バネの押圧力によって前記弁体が摺動して前記接続部材と前記封口板とが接触することを特徴とする密閉形蓄電池であり、前記弁体は、さらに上方向に移動したときに蓄電池内部とキャップ内空間とを連通する切り欠きを備えたものであることことが好ましい。
本発明によれば、圧力スイッチ機能を備えない従来形の密閉形蓄電池に比べて有効な内容積を減少させることなく急速充電が可能な密閉形蓄電池を提供することができる。
以下に、図に基づいて本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態を示す密閉形蓄電池の要部断面図である。
図1の(イ)は、蓄電池の内部圧力が所定値以下であって、接続部材5と封口板1が接続部材5の封口板1との接点5Aを介して電気的に接続しており、スイッチがオンの状態を示す。極板群8を構成する正極板の端部に接合した正極集電端子7と封口板1は正極リード板10を介して接続されている。封口板1とキャップ状正極外部端子3(以下キャップという)の間には電気絶縁シート2が配置されている。常時は、図1の(イ)に示すように、接続部材5と封口板1が当接し、封口板1とキャップ3は、接続部材5,金属製バネ6を介して接続しており、前記正極板とキャップ3を結ぶ回路がオンの状態にある。
充電中に蓄電池内部の圧力が所定値を超えて上昇したときには、図1の(ロ)に示す如く弁体4が封口板1に設けた透孔1Aの壁面に沿って図の上向きに摺動し、該弁体4に固着された接続部材5が上方に移動して前記接点5Aが封口板1から離れてスイッチがオンからオフに切り替わって充電が停止される。充電停止中に蓄電池内部の圧力が所定値以下に降下するとバネ6の押圧力によって弁体4が下向きに摺動し、接続部材5が接点5Aを介して封口板1に当接し、スイッチがオフからオンに切り替わって充電が再開される。
なお、ここでいう蓄電池内部の圧力の所定値は特に限定されるものではがないが、円筒形のニッケル水素蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池においては、1.7〜3.0メガパスカル(MPa)が好ましく、2.0〜2.6MPaがさらに好ましい。該所定値が1.7MPa未満では、充電中に一方の極板と外部端子を結ぶ回路がオフの状態にある時間が長いので急速に且つ短時間に充電しようとすると、充電が十分にできず、充電不足になる虞がある。蓄電池内部の圧力の所定値が3.0MPaを超えると充電中の蓄電池温度が蓄電池の好ましい温度の上限(約60℃)を超え、活物質等の蓄電池構成材料が変質して放電容量が低下する虞がある。また、蓄電池内部の圧力の上昇によって電槽缶と封口板との間のシール(図1のクリンプシール)が破壊する虞があるで好ましくない。該所定値の大きさは、バネ6の圧縮応力(バネの弾性率によって決まる)の大きさ、弁体4の太さ{弁体4の断面積の大きさ(透孔1Aの断面積の大きさに等しい)を選ぶことによって所望の大きさに設定することができる。
該実施形態においては接続部材5が弁体4の固着されており、弁体4は、封口板1に設けた透孔1Aに沿って上下に摺動するので、接続部材5は移動に際して絶えず封口板と平行であって封口板に対して斜めになる虞がない。従って、蓄電池内部の圧力が上昇して、接続部材5が上昇するとその封口板との接点5Aが確実に封口板1から離れるので、スイッチがオンからオフに切り変わるときの信頼性が高い。
図1の(ハ)は、図1の(ロ)に比べてさらに蓄電池内部の圧力が上昇したときの状態を示す図であって、図1の(ロ)に比べて弁体4がさらに上方向に移動し、弁体4の側面に設けた切り欠き4Aによって電池内部の空間(図の封口板1の下側の空間)とキャップ内空間(封口板1とキャップ3によって仕切られた空間)との間の気密が破れ、蓄電池内部の空間に蓄積されたガスが前記切り欠き4Aを通ってキャップ内空間に移動し、さらに、外部端子3に設けた排気孔3Aを通って外部に放出される。
該実施形態においては、接続部材5の封口部材1との接点を突起状とせずに、接点5Aを、図2に示すように平面とすることもできる。
該第1の実施形態において、弁体4は電気絶縁製であって、耐電解液性に優れた材質であればよく特に限定される物ではないが、安価であるところからポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系の合成樹脂またはポリテトラフロロエチレン等の合成樹脂成形体が好適である。なかでもポリテトラフロロエチレンの成形体は、高温での寸法安定製に優れ、封口板1の透孔1Aとの当接面の気密性、摺動性にも優れるところから特に好ましい材質である。
封口板の材質は特に限定されるものではなく、ニッケル製またはニッケルメッキを施した鋼板製が適用出来る。封口板の厚さは弁体4が斜めにならずに封口板に対して垂直に摺動するように0.4mm以上、さらには0.6mm以上の厚さにすることが好ましい。また、蓋体の厚さをできるだけ小さく抑えるために封口板の厚さを1mm以下にすることが好ましい。また、弁体4と透孔1Aの当接面に高い気密性を持たせ、弁体4をスムースに摺動するように、透孔1Aを凹凸のない滑らかな面にすることが好ましい。封口板1に設ける透孔1Aの直径は蓄電池の大きさに応じて異なり特に限定されるものではないが、例えばAAの場合は、透孔1Aの直径を1〜3mmとすることが好ましい。該直径が1mm未満では蓄電池内部の圧力上昇したときに弁体に係る押圧力が小さく、圧力変化に対する感度が劣る虞がある。該直径が3mmを超えると弁体4にバネ6の押圧力が加わったときに弁体4が斜めになり易い欠点がある。
また、キャップ3と封口板1の間に配置する電気絶縁層は特に限定されるものではなく、合成樹脂の塗膜、またはシートが適用できる。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態において蓄電池内部の圧力が所定の値を超えて上昇しているときの状態を示す図である。第2の実施形態においては接続部材5の一端が電気絶縁性のヒンジ(蝶番)12を介して封口板1に固定されており、他端に封口板1との接点5Aを有する。充電中に蓄電池内部の圧力が上昇したために弁体が上向きに摺動しているのは前記第1の実施形態と同じであるが、該弁体の摺動によって、接続部材5が上方に平行移動するのではなく、ヒンジ12を支点として開き、接続部材5のヒンジ12と反対側の位置に設けた封口板1との接点5Aが封口板1から離れてスイッチがオンからオフに切り替わる。該実施の形態によれば接続部材の一端が固定されており、接続部材5の全体が移動するのではなく、接点5Aのみが上下に位置を変えるのでスイッチの動作の信頼性が高い利点がある。ヒンジ12の材質は電気絶縁製であればよく、その材質は特に限定されるものではないが、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂製が適用出来る。
(第3の実施形態)
図4は、参考例を示す図であって、この参考例の実施形態において蓄電池内部の圧力が所定の値を超えて上昇しているときの状態を示す図である。本実施形態においては、弁体5が伸縮可能なシートであり、弁体5の周縁部分は封口板1に固着されており、封口板1に設けた透孔1Aを気密に封止している。蓄電池内部の圧力が上昇して所定の値を超えると、弁体5が伸び、図に示すように上向きに撓む。該撓みが生じたことによって接続体が上方向に移動して接続部材5の封口板1との接点5Aが封口板1から離れてスイッチがオンからオフに切り替わる。
該実施形態においては弁体4を構成する伸縮可能なシートの材質は特に限定されるものではなく、クロロプレンゴムやアクリルゴム等の各種合成ゴムや天然ゴムのシートが適用出来る。また、該シートの厚さは特に限定されるものではないが、0.3〜1.5mmとすることが好ましい。該厚さが0.3mm未満ではシートの機械的強度が不足し、シートが破損して気密性が失われる虞があり、1.5mmを超えるとシートの伸縮性が劣って、スイッチ機能を損ねる虞がある。該実施形態においては透孔1Aの直径は特に限定を受けない。また、弁体4であるシートの大きさ形状は特に限定されるものではないが、弁体4を一様に伸縮変形させるためには円形であることが好ましく、その直径を3mm以上とすることがましい、該直径が3mm未満では弁体4であるシートの伸びが小さく、圧力スイッチが機能しない虞がある。
該実施形態においては、接続部材5が上方に移動する際に平行移動することが保証されていないので、圧力スイッチがオンからオフに切り替わる(接続部材が上方に移動する)際に接続部材5が封口板1に対して斜めになり、接点5Aが封口板1から離れない事態がおきる虞がある。該虞を無くすために、接続部材5を平行に移動させるためには、接続部材5の外周端面をフリーとせずに、筒状部材の内面に当接させ、接続部材5を筒状部材の内壁に沿って摺動させるようにするのが有効である。詳細は省くが、図3において、キャップ3の側壁を封口板1に垂直にし、接続部材5の外径をキャップ3の内径に等しくして説族部材5の外周端面をキャップ3の内壁に当接させることによって、接続部材5がキャップん3の内壁に沿って摺動するようにすることもできる。
(第4の実施形態)
図5は、参考例を示す図であって、この参考例の実施形態において蓄電池内部の圧力が所定の値を超えて上昇しているときの状態を示す図である。本実施形態においては、弁体5は、前記第3の実施形態同様伸縮可能なシートであり、弁体5の周縁部分は封口板1に固着されており、封口板1に設けた透孔1Aを気密に封止している。蓄電池内部の圧力が上昇して所定の値を超えると、弁体5が伸び、図に示すように、上向きに撓む。該撓みが生じたことによって接続部材5がその一端に取り付けた電気絶縁性のヒンジ12を支点として開き、他端に設けた封口板との接点が封口板から離れスイッチがオフの状態になる。
以下1実施例により本発明の詳細を説明するが、本発明は以下に記載の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
硝酸ニッケル94重量部に硝酸コバルト1重量部と硝酸亜鉛5重量部とを加え、これを溶解させた水溶液に硫酸アンモニウムと水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを11〜12の範囲に保ちながら撹拌し、CoとZnが固溶した水酸化ニッケル粒子を析出させた。これを水洗し、乾燥して水酸化ニッケル粉末とした。次いで、水酸化ニッケル粉末を硫酸アンモニウムと水酸化ナトリウムからなる水溶液中に投入し、これに硫酸コバルトおよび水酸化ナトリウム水溶液を撹拌しながら、且つpH10〜12に制御しながら滴下した。所定のpHにて1時間保持した後、これを水洗し、乾燥して水酸化物コバルトで被覆された水酸化ニッケル粉末を得た。こうして得られた水酸化ニッケル粉末中の水酸化コバルトの含有量は6%であった。さらに、この水酸化ニッケル粉末を14Nに調整した温度50℃のNaOH中に、この水酸化コバルトで被覆された水酸化ニッケル粒子を投入して撹拌した後、水酸化ニッケルの酸化値が2.10となるようにK2S2O8量を変化させて投入した。K2S2O8投入から2時間後、これを水洗し、乾燥して得た粉末98重量部に酸化イッテルビウム2重量部を混合し、さらに増粘剤を溶解した水溶液を加えてペースト状にしたものをニッケル多孔体基板に充填した後、所定の厚さにプレスして正極板とした。
MmNi3.8Al0.3Co0.7Mn0.2(Mmはミッシュメタルであり、La30%、Ce50%、Pr5%、Nd15%からなる混合物である。)の組成となるように各金属を秤量し、不活性雰囲気下、高周波誘導溶解炉で合金インゴットを作製し、1000℃で熱処理した。これを75μm以下の大きさに粉砕して水素吸蔵合金粉末とした。次いで、この水素吸蔵合金粉末99.5重量部に酸化イッテルビウム0.5重量部を混合し、さらに増粘剤を溶解した水溶液を加え、ポロテトラフルオロエチレンを結着剤としてペースト状にしたものをパンチングメタルの両面に塗布して乾燥した後、所定の厚さにプレスして負極板とした。
ポリプロピレンとエチレン−ビニルアルコール共重合体との重量比が50:50で、それぞれが繊維断面において交互に隣接されるように複合紡糸された繊度3デニールの分割性複合繊維60重量とポリプロピレンを芯成分、ポリエチレンを鞘成分とする繊度2デニールの芯鞘複合繊維40重量部とを用いて目付45g/mになるように湿式抄紙した後、これに高圧水流を噴射して繊維を交絡させると同時に分割性複合繊維を分割し、分割後の繊度が0.2デニールの不織布を得た。これを0.12mmに厚み調整してセパレータとした。
正極板と正極容量に対して1.2倍の容量を有する前記負極板とを準備し、この間に前記セパレータを介し、渦巻き状に捲回して捲回式極板群を作製した。なお、極板群の幅を42mmとした。この極板群を、円筒状金属缶に収納し、7NのKOHと1NのLiOHからなる電解液を、正極容量1Ah当たり1.16ml注液した後、前記図1に示した構造を有し、蓄電池内部の圧力が2.4メガパスカル(MPa)を超えて上昇した時に、通電状態を遮断するような蓋体を備えた蓋体で封口してAAサイズの円筒形のニッケル水素蓄電池を作製した。なお、弁体4をポリテトラフロロエチレン製の成形体とし、その直径(封口板1に設けた透孔1Aの直径に同じ)を3mmとした。また、ニッケル製封口板1の厚さを2mmとした。該例を実施例1とする。
(比較例1)
図6に示した構造を有する従来提案の圧力スイッチ機構を備え、蓄電池内部の圧力が2.4MPaを超えて上昇した時に、通電状態を遮断するような蓋体を備えた蓋体で封口し、極板群の幅を40mmとしたそれ以外は前記実施例1と同一のAAサイズで円筒形のニッケル水素蓄電池を作製した。該例を比較例1とする。
(比較例2)
圧力スイッチを備えず、封口板に設けた透孔をゴム製弁体で封口した排気弁を備える従来形のAAサイズで円筒形のニッケル水素蓄電池を作製した。なお、極板群の幅を42mmとした捲回式極板群を適用した。該例を比較例2とする。
(初期化成)
実施例1、比較例1、比較例2に係る密閉形ニッケル水素蓄電池を、周囲温度20℃
において化成した。初回(1サイクル目)、40mAで50時間充電し、次いで100mAで12時間充電し、1時間放置した後200mAで放電カット電圧を1.0Vとして放電した。2サイクル目〜10サイクル目まで、400mAで6時間充電し、1時間放置後400mAで放電カット電圧を1.0Vとして放電した。
(放電容量評価1)
実施例1、比較例1、比較例2に係る初期化成終了後の電池をそれぞれ10ケづつ用意し、該電池を周囲温度20℃において、400mAで6時間充電し、1時間放置後400mAで放電カット電圧を1.0Vとして放電し、放電容量を求めた。
(放電容量評価2)
実施例1、比較例1、比較例2に係る初期化成終了後の電池をそれぞれ10ケづつ用意し、周囲温度20℃において該電池に1.62Vの定電圧を印加して15分間充電した。1時間放置後2000mAの定電流で、放電カット電圧を0.9Vとして放電し放電容量を求めた。
(充放電サイクル試験の評価)
実施例1、比較例1、比較例2に係る初期化成終了後の電池をそれぞれ10ケづつ用意し、該電池に周囲温度20℃において、1.62Vの定電圧を印加して15分間充電した。1時間放置後2000mAの定電流で、放電カット電圧を0.9Vとして放電した。該充放電を1サイクルとし、充放電を繰り返し実施した。放電容量が、該充放電サイクルにおける1サイクル目の放電容量の80%に低下したサイクル数をもってその電池のサイクル寿命とした。
表1に実施例1、比較例1、比較例2の放電容量評価1、放電容量評価2の結果(10ケの平均値)を示す。
Figure 0004923389
表1に示したように、放電容量評価1によれば本発明に係る実施例1および従来の圧力スイッチを備えない比較例2が2000mAhであったのに対して、比較例が1900mAhと、実施例1、比較例2に比べ放電容量が低かった。比較例1の場合は、実施例1および比較例2に比べて蓋体の厚さが大きく、電槽缶内に収納できる極板群の幅が小さくなったために放電容量が低くなった。
放電容量評価2によれば、実施例1に比べて比較例1および比較例2の放電容量が低い。比較例1は、前記のように極板群の幅が実施例1に比べて放電容量が低くなったものであり、比較例2の場合は、充電中に蓄電池の温度が好ましい温度の上限(60℃)を超えて上昇したために充電効率が低くなったことと、充電中に蓄電池内部の圧力が上昇して排気弁が開いている間に電解液が外部に逸散して蓄電池の内部インピーダンスが上昇したために放電容量が低くなったものである。
表2に実施例1、比較例1,比較例2の充放電サイクル試験結果(10ケの平均値)を示す。
Figure 0004923389
表2に示すように、実施例1および比較例1は、500サイクル以上のサイクル寿命を有するのに対して、比較例2はサイクル寿命が190サイクルと極端に短い。実施例1および比較例1においては、充電中に圧力スイッチ機能が動作し、蓄電池の温度が好ましい温度の上限(60℃)を超えて上昇することと排気弁が動作するのを抑制することによって、活物質等の構成材料が変質したり、電解液が外部に逸散するのを抑制したのに対して、比較例2においては充電中に蓄電池の温度が好ましい温度の上限(60℃)を超えて上昇したために活物質等の構成材料が変質したり、電解液が外部に逸散したために早期に放電容量が低下したと考えられる。
本発明は、蓄電池内部の圧力の大きさに応じて極板と端子を結ぶ回路をオン・オフの切り替えを行う圧力スイッチ機構を内蔵する密閉形蓄電池において、蓋体の占有体積を小さくすることによって高容量を維持し、かつ、安価な密閉形蓄電池を提供するものであって、産業上の利用価値の高いものである。
本発明の第1の実施形態を示す密閉形蓄電池の要部断面図である。 本発明の第1の実施形態を示す密閉形蓄電池の要部断面図である。 本発明の第2の実施形態を示す密閉形蓄電池の要部断面図である。 参考例の実施形態を示す密閉形蓄電池の要部断面図である。 参考例の実施形態を示す密閉形蓄電池の要部断面図である。 従来提案に係る圧力スイッチ内蔵形の密閉形蓄電池の要部断面図である。
符号の説明
1 封口板
1A 透孔
2 電気絶縁層
3 キャップ
3A 排気孔
4 弁体
5 接続部材
6 バネ
9 電槽缶


Claims (2)

  1. 正極板と負極板のうち少なくとも一方の極板と外部端子を接続する回路に、蓄電池内部の圧力が所定の値以下のときに前記回路を導通状態とし、前記圧力が所定の値を超えているときに前記回路を切断状態とする圧力スイッチ機能を備える密閉形蓄電池において、電槽缶の開放端に金属製の封口板を配置、前記封口板の外側に一方の外部端子を配置し、前記封口板と前記一方の極板がリード部材を介して電気的に接続されており、前記封口板と前記外部端子の間には電気絶縁層が配置され、常時は、前記外部端子と前記封口板が金属製のバネと接続部材を介して電気的に接続されており、前記封口板に設けた透孔を電気絶縁性の弁体で気密に封止しており、前記弁体は前記透孔の壁面に沿って摺動可能であり、前記接続部材は前記弁体が摺動することによって位置を変え、蓄電池内部の圧力が所定の値を超えたときに前記弁体が摺動し、前記摺動に伴い前記接続部材と封口板との電気的接点が封口板から離れることによって極板と外部端子を接続する回路を切断する機能を備え、蓄電池内部の圧力が前記所定の値以下に降下すると前記金属バネの押圧力によって前記弁体が摺動して前記接続部材と前記封口板とが接触することを特徴とする密閉形蓄電池。
  2. 弁体は、さらに上方向に移動したときに蓄電池内部とキャップ内空間とを連通する切り欠きを備えたことを特徴とする請求項1記載の密閉形蓄電池。
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