JP4920983B2 - ズームレンズ及びそれを有する画像投射装置 - Google Patents

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Description

本発明はズームレンズ及びそれを有する画像投射装置に関し、例えば液晶プロジェクターに好適なものである。
従来、液晶等の表示素子を用いて、その表示素子に形成された画像をスクリーン面に投射する液晶プロジェクター(画像投射装置)が種々提案されている。
特に、液晶プロジェクターはパソコン等の画像を大画面に投射してみることができる装置として会議及びプレゼンテーション等に広く利用されている。
この液晶プロジェクターに用いられる投射レンズには、装置の高輝度化といったニーズのために、高い透過率を有し、又液晶表示装置(縮小)側の瞳が無限遠方にある所謂大口径でテレセントリックな光学系であることが望まれている。
上記条件および大口径・高解像度の投射レンズ(投写レンズ)を実現するために従来より、6つのレンズ群を適切な屈折力条件のもとに配列することによって諸収差を良好に補正しうる6群ズームレンズが提案されている(特許文献1)。
特許文献1では、拡大側より縮小側に順に、負,正,正,負,正(もしくは負),正の屈折力の第1〜第6レンズ群の配列による全体として6つのレンズ群より構成した6群ズームレンズを提案している。そして、これらのレンズ群のうち所定のレンズ群を適切に移動させてズーミングを行っている。
一方で、近年プロジェクター装置には携帯・機動性を重視すべく、特に装置の小型・軽量化が求められている。
このようなニーズを実現するためにレンズ群の数が少ない簡易な構成の投射レンズが提案されている(特許文献2)。特許文献2では、拡大側から縮小側へ順に、負,正,正,正の屈折力のレンズ群より成り、ズーミング時、最も拡大側と縮小側のレンズ群を不動とした4群ズームレンズを提案している。
特開2004−70306号公報 特開2000−275519号公報
投射レンズの多レンズ群化を進めれば、収差補正上の観点からは光学的に有利に作用する。しかしながら、一般的には投射レンズのレンズ構成が複雑になり、又は重くなり製作も難しくなるといった問題が生じてくる。
また、簡易な構成として提案されている特許文献2の構成では、構成レンズ枚数が13枚前後と多い。又変倍レンズ群の横倍率が等倍からかけ離れて大きいためズーミング時(変倍時)に生じる焦点移動を補正する焦点位置補整レンズ群の移動量が大きい。更に焦点位置補正レンズ群の移動に伴って変倍比が減じられてしまっているため、変倍レンズ群に対する変倍負担が大きくなってくる。
又、液晶プロジェクターに好適な縮小側に対してテレセントリックなズームレンズを実現しようとすると、絞りから縮小側に配置したレンズ群全体について正の屈折力が大きくなる。この結果、レンズ系全体がレトロフォーカス型の屈折力配置となり、レンズ系全体の非対称性が増大し、特に歪曲・倍率色収差などの補正が困難となってくる。
本発明は、レンズ系全体の小型化を図りつつ、高いズーム比が容易に得られ、しかもズーミングに伴う諸収差を良好に補正し、良好なる光学性能を有した液晶プロジェクター用に好適なズームレンズ及びそれを有する画像投射装置の提供を目的とする。
本発明のズームレンズは、拡大側より縮小側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群より構成され、ズーミングに際して、複数のレンズ群が、相互間隔を変化させながら移動しており、広角端から望遠端へのズーミングに際して、該移動する複数のレンズ群はいずれも増倍作用をして移動しており、
広角端から望遠端へのズーミングに際して、前記第2レンズ群は拡大側から縮小側へ移動し、
全系の広角端における焦点距離をfw、該第1レンズ群の焦点距離をf1とし、広角端のズーム位置において、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群の横倍率を各々β2w、β3wとするとき、
0.65<|fw/f1|<0.99
1<β2w<3
−2.3<β3w≦−1.17
なる条件を満足すること特徴としている。
本発明によれば、レンズ系全体の小型化を図りつつ、高い変倍比が容易に得られ、しかもズーミングに伴う諸収差を良好に補正し、良好なる光学性能を有した液晶プロジェクター用に好適なズームレンズを達成することができる。
図1は本発明の実施例1のズームレンズを用いた画像投射装置(液晶プロジェクター)の要部概略図である。同図(A)は、ズームレンズが広角端(短焦点距離側)のズーム位置にあるとき、同図(B)はズームレンズが望遠端(長焦点距離側)のズーム位置にあるときを示している。
図2(A),(B)は本発明の実施例1に対応する後述する数値実施例1の数値をmm単位で表わした時の物体距離(第1レンズ群からの距離)2.35mのときの広角端と望遠端における収差図である。
図3は本発明の参考例1のズームレンズを用いた画像投射装置の要部概略図である。同図(A)は、ズームレンズが広角端のズーム位置にあるとき、同図(B)はズームレンズが望遠端のズーム位置にあるときを示している。
図4(A),(B)は本発明の参考例1に対応する後述する数値実施例2の数値をmm単位で表わした時の物体距離2.35mのときの広角端と望遠端における収差図である。
図5は本発明の実施例のズームレンズを用いた画像投射装置の要部概略図である。同図(A)は、ズームレンズが広角端のズーム位置にあるとき、同図(B)はズームレンズが望遠端のズーム位置にあるときを示している。
図6(A),(B)は本発明の実施例に対応する後述する数値実施例3の数値をmm単位で表わした時の物体距離2.35mのときの広角端と望遠端における収差図である。
図7は本発明の実施例のズームレンズを用いた画像投射装置の要部概略図である。同図(A)は、ズームレンズが広角端のズーム位置にあるとき、同図(B)はズームレンズが望遠端のズーム位置にあるときを示している。
図8(A),(B)は本発明の実施例に対応する後述する数値実施例4の数値をmm単位で表わした時の物体距離2.34mのときの広角端と望遠端における収差図である。
図1,図3,図5,図7の実施例1、参考例1、実施例2、3における画像投射装置ではLCDの原画(被投影画像)をズームレンズ(投影レンズ,投写レンズ)PLを用いてスクリーン面S上に拡大投影している状態を示している。
Sはスクリーン面(投影面)、LCDは液晶パネル(液晶表示素子)等の原画像(被投影画像)である。スクリーン面Sと原画像LCDとは共役関係にあり、一般にはスクリーン面Sは距離の長い方の共役点で拡大側(前方)に、原画像LCDは距離の短い方の共役点で縮小側(後方)に相当している。
尚、ズームレンズを撮影系として用いるときは、スクリーン面S側が物体側、原画像LCD側が像側となる。
GBは色合成プリズムや偏光フィルター、そしてカラーフィルター等に対応して光学設計上設けられたガラスブロックである。
ズームレンズPLは接続部材(不図示)を介して液晶ビデオプロジェクター本体(不図示)に装着されている。ガラスブロックGB以降の液晶表示素子LCD側はプロジェクター本体に含まれている。
L1は負の屈折力の第1レンズ群、L2は正の屈折力の第2レンズ群、L3は正の屈折力の第3レンズ群、L4は正の屈折力の第4レンズ群である。 図3の参考例1では、第3レンズ群L3は正の屈折力の第3aレンズ群L3aと負の屈折力の第3bレンズ群L3bより成っている。
図7の実施例では第3レンズ群L3は負の屈折力の第3aレンズ群L3aと正の屈折力の第3bレンズ群L3bより成っている。
尚、ここではレンズ群として1枚のレンズで構成されているのも便宜上レンズ群と呼ぶ。
各実施例では第3レンズ群L3の第1レンズ面に相当する位置に開口絞り(不図示)が配置されている。
各実施例では広角端から望遠端のズーム位置へのズーミング(変倍)に際して矢印のように第2レンズ群L2は縮小側へ、第3レンズ群L3は拡大側に移動している。
図3,図7の参考例1、実施例3では、広角端から望遠端へのズーミングに際して、第3aレンズ群L3aと第3bレンズ群L3bは、相互間隔を変えながら(互いに異なった量)拡大側へ移動している。
第1レンズ群L1、第4レンズ群L4はズーミングのためには移動しない。
以下の各実施例において広角端と望遠端は変倍用のレンズ群(第2レンズ群L2,第3レンズ群L3)が機構上、光軸上移動可能な範囲の両端に位置したときのズーム位置をいう。
フォーカスは第1レンズ群L1を移動させて行っている。尚、フォーカスは表示パネルLCDを移動させて行っても良い。
各レンズ面には反射防止用の多層コートが施されている。
図2,図4,図6,図8の収差図においてGは波長550nm、Rは波長620nm、Bは波長470nmでの収差を示す。S(サジタル像面の倒れ)、M(メリジオナル像面の倒れ)はどちらも波長550nmでの収差を示す。FNOはFナンバーである。ωは半画角である。
各実施例と参考例1では、ズーミングに際して、複数のレンズ群(2つのレンズ群L2,L3)が、相互間隔を変化させながら移動している。そして広角端から望遠端のズーム位置へのズーミングに際して、該移動する複数のレンズ群はいずれも増倍作用をして移動している。
広角端から望遠端へのズーミングに際して移動レンズ群が、それぞれ全ズーム域にて全て増倍作用をもつように構成することによって、各移動レンズ群の変倍比の分担を少なくしつつ、高ズーム比化を容易にしている。
全系の広角端における焦点距離をfw、該第1レンズ群の焦点距離をf1とする。このとき
0.65<|fw/f1|<0.99‥‥‥(1)
なる条件を満足している。
条件式(1)は広角端における全系の焦点距離と第1レンズ群L1との焦点距離の比を規定したものである。条件式(1)の下限を超えると光学ブロックを配置するだけの長さのバックフォーカスを得るのが難しくなる。また逆に上限を超えると第1レンズ群L1の屈折力が大きくなりすぎて歪曲収差と倍率色収差などの軸外収差の補正が難しくなってくる。
尚、条件式(1)は、更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
0.65<|fw/f1|<0.97‥‥‥(1a)
縮小側の共役点から縮小側の瞳位置までの距離をtk、全系の広角端における焦点距離をfwとする。このとき
−0.2<fw/tk<0.2‥‥‥(2)
なる条件を満足している。
条件式(2)は縮小側のテレセントリック性能を確保するためのものである。
条件式(2)の範囲外の構成では縮小側の射出瞳が短くなり良好なテレセントリック性能が得られない。特に、液晶プロジェクター用の投影系などに使用した場合、投射画面の周辺の照度落ちや画面内の色ムラなどが発生するため好ましくない。
尚、条件式(2)は、更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
−0.1<fw/tk<0.1‥‥‥(2a)
複数のレンズ群(第2,第3レンズ群)のうち、ズーミングに際して増倍作用が最も小さいレンズ群の変倍率をZmin、全系のズーム比をZとする。このとき
0.75<Zmin/Z<0.95‥‥‥(3)
なる条件を満足している。
条件式(3)は、ズーミングの際に各移動レンズ群が負担する最小変倍比を規定する条件式である。条件式(3)の下限を超えると他の移動レンズ群による増倍負担がかかりすぎてしまうため好ましくない。又、上限を超えるとズームレンズとして好ましく無い。
尚、条件式(3)は、更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
0.8<Zmin/Z<0.93‥‥‥(3a)
広角端のズーム位置において、第2,第3レンズ群L2,L3の横倍率を各々β2w,β3wとする。このとき
1<β2w<3 ‥‥‥(4)
−2.3<β3w≦−1.17 ‥‥‥(5)
なる条件を満足している。
本実施例では、負の屈折力のレンズ群が先行するネガティブリード型を構成することにより、広画角化および長いバックフォーカスを確保している。
条件式(4)は第2レンズ群L2の広角端における横倍率を規定するものである。条件式(4)の下限を超えると変倍レンズ群がかせぐ変倍比の負担が大きくなりすぎる。又、上限を超えると球面収差とコマ収差の補正が難しくなる。
条件式(5)は変倍レンズ群である第3レンズ群L3の横倍率を規定するものである。条件式(5)の範囲についてどちらを超えても変倍時の焦点位置ずれが大きくなる。この結果、焦点位置補正レンズ群である第2レンズ群L2の移動量が大きくなってしまうため好ましくない。
尚、条件式(4)は更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
1.3<β2w< 2.5 ‥‥‥(4a
第3レンズ群L3は、拡大側から縮小側へ順に正レンズ,負レンズ,正レンズより成る。そして、これらのうち正の屈折力が大きい方の正レンズの屈折力をφ3p、負レンズの屈折力をφ3nとする。このとき、
1.2<|φ3n/φ3p|<2‥‥‥(6)
なる条件を満足している。
条件式(6)は第3レンズ群L3の内部の負レンズの屈折力の大きさを規定するものである。条件式(6)の下限を超えるとペッツバール和が増大するとともに像面湾曲が大きくなってしまうため好ましくない。
逆に上限を超えると負レンズの屈折力が強くなりすぎ、球面収差が補正過剰となってしまうので良くない。
尚、条件式(6)は更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
1.23<|φ3n/φ3p|<1.8‥‥‥(6a)
各実施例ではズーミング時、最も拡大側の第1レンズ群L1と縮小側の第4レンズ群L4は縮小側の共役面に対して不動としている。
これによってズーミング時のレンズ全長を不変として、投射レンズ部の堅牢性を確保している。
またズーミング時に大きな有効径のレンズ群が固定されているため重量バランスの変化が少なく保持機構が容易になる。
第2レンズ群L2は広角端から望遠端へのズーミングに際して拡大側から縮小側に移動しつつ、増倍作用をする。また第3レンズ群L3は縮小側から拡大側に移動することによって増倍作用をする。第2,第3レンズ群L2,L3がいずれも増倍作用をすることで双方のレンズ群の変倍負担を軽減している。
変倍レンズ群である第3レンズ群L3は少なくとも2枚の正レンズおよび少なくとも1枚の負レンズで構成されている。第3レンズ群L3は変倍比を稼ぐためのレンズ群であって、この第3レンズ群L3の移動によって横倍率が変化しても収差変動が大きくならないようにする必要がある。
そのため第3レンズ群L3には少なくとも2枚の正レンズを使用して正の屈折力を分担して収差発生を低減している。更に、少なくとも負レンズ1枚を使って正レンズで発生する収差を十分に補正できるような構成としている。これによってズーミング時の収差変動を低減している。
各実施例と参考例1において第3レンズ群L3は拡大側から縮小側へ順に正レンズ、負レンズ、正レンズにより構成されている。
尚、収差補正手段として非球面を全系中に少なくとも1面使うのが良い。これによれば、良好な結像性能を確保することが容易となる。この非球面レンズは、環境による特性変動が少ないガラス材を成形してなる非球面レンズとすることが好ましい。
非球面の配置に関しては、開口絞り(第5レンズ面に相当)を挟んで拡大側および縮小側にそれぞれ1つずつ配置するのが良い。
非球面の位置について開口絞りを挟んで拡大側の非球面は負レンズの凹面に、および縮小側の非球面は正レンズの凸面にそれぞれ設けられることが望ましい。
これによって開口絞りを挟んで拡大側が負の屈折力、縮小側が正の屈折力といった所謂レトロフォーカス型の屈折力配置に起因する、非対称性収差(コマ・歪曲収差)などを良好に補正することが容易となる。
諸収差の補正のための非球面形状としては、開口絞りを挟んで拡大側の負レンズの凹面に設ける非球面形状は光軸(レンズ中心)からレンズ周辺部にいくにつれて負の屈折力が緩くなるような形状とするのが良い。縮小側の正レンズの凸面に設ける非球面形状は光軸からレンズ周辺部にいくにつれて正の屈折力が緩くなるような形状とするのが良い。
また、レトロフォーカス型のレンズ系では倍率色収差を低減するのが難しい。このため、アッベ数80以上の硝材より成るレンズを少なくとも1枚有するのが良い。これによれば、可視光の広帯域について色にじみが少ない投射レンズを実現できる。
第1レンズ群L1は負レンズ1枚のみで構成することが良い。これによれば、より軽量・安価な投射レンズを実現することができる。
また第2レンズ群L2も正レンズ1枚のみで構成することが良い。これによれば、より軽量・安価な投射レンズを実現できる。最も縮小側のレンズ群は、テレセントリック性能を実現するため正の屈折力が必要となる。第4レンズ群L4は正レンズ1枚のみで構成するのが良い。これによれば、より軽量化が容易になる。
この最も縮小側の第4レンズ群L4はバックフォーカス調整群として使用することが良い。これによれば簡易的な正レンズ1枚といった構成が好ましい。
また、第3レンズ群L3についてはズーミング時、相互のレンズ群間隔を変えながら独立に移動する第3aレンズ群L3aと第3bレンズ群L3bに分割されるようにし、全系として所謂5群構成のレンズ群とするのが良い。
このとき第3aレンズ群L3aと第3bレンズ群L3bは互いに屈折力の符号が異なるようにするのが良い。
又、第3bレンズ群L3bはアッベ数が80以上の材料より成る正レンズを有するように構成するのが良い。
これによれば色収差を効果的に補正するのが容易となる。
次に各実施例の具体的な構成について説明する。
図1の実施例1について説明する。第1レンズ群L1は、1枚の負レンズG11で構成している。この場合、負レンズG11のレンズ周辺部で発生する歪曲収差とコマ収差が少なくなるように負レンズG11の両面(拡大側と縮小側の面)を非球面形状としている。
負レンズG11の材料はガラス材である。負レンズG11は、ガラス材を成形してなる非球面レンズである。
ガラス材としては、レトロフォーカス型レンズ特有の倍率色収差の発生を低減するために低分散のガラスを選択するのが良い。
例えばアッベ数が80以上のガラスを選択するのが良い。
第2レンズ群L2は1枚の正レンズG21より構成している。第2レンズ群L2は、ズーミングに際して前述の如く移動して主たる変倍レンズ群である第3レンズ群L3が移動した結果生ずるピント面の移動を補正しつつズーム比を確保する働きをしている。
このため変倍レンズ群である第3レンズ群L3の変倍のための移動量を少なくすることができる。又、ズーミング時の収差変動を低減することができ、更にレンズ系全体を小型にすることができる。
第3レンズ群L3は、主たる変倍レンズ群として作用している。第3レンズ群L3は拡大側から縮小側へ順に正レンズG31,負レンズG32,正レンズG33より構成している。第3レンズ群L3は、構成レンズ群中で最も多いレンズ要素で構成されている。
負レンズG32は2つの正レンズG31,G33に挟まれるようなレンズ構成として近軸追跡光線の高さが低くなるようにして強い負の屈折力を与えることができるようにしている。
これによりペッツバール和を小さくして、像面特性を良好に維持している。負レンズG32の材料は、他の正レンズG31,G33で発生する色収差を補正するために高分散ガラスを選択することが望ましい。
また最も縮小側に配置される正レンズG33の材料は、アッベ数70前後の材料を使用して色収差を良好に補正している。
正レンズG33の材料にアッベ数80以上の低分散ガラスを採用すると、より効率よく色収差を補正することができる。なお正レンズG33はガラス材を成形してなる非球面レンズより構成して主に、像面湾曲等の収差発生の発生を少なくしている。
第4レンズ群L4は1枚の正レンズG41より構成している。第4レンズ群L4は、主に軸外主光線の角度を光軸に対して平行に曲げるような屈折作用と、第1〜3レンズ群L1〜L3の合成屈折力を小さくする作用を有している。
正レンズG41は、ガラス材を成形してなる両面が非球面形状である。これらの非球面は、主に歪曲収差と像面湾曲などを効率よく補正する効果を有している。
ガラス材としては、負レンズG11を構成するガラス材と同様、レトロフォーカス型レンズ特有の非対称収差である倍率色収差の発生を低減するために低分散のガラス材を選択するのが良い。
例えばアッベ数が80以上のガラスを選択するのが良い。尚、非球面レンズについては、色収差補正および先に述べた第1レンズ群L1の負レンズG11の屈折力との兼ね合いによっては、ともにプラスチック材を成形してなる非球面レンズであっても良い。
実施例1によれば、F値(Fナンバー)が1.6と大口径であるにもかかわらず、全体のレンズ枚数が6枚といった簡易的なレンズ構成で高い光学性能を有したズームレンズを実現している。
図3の参考例1について説明する。
参考例1は実施例1に比べて大きく異なる点は次のとおりである。第3レンズ群L3を拡大側から縮小側へ順に、正の屈折力の第3aレンズ群L3aと負の屈折力の第3bレンズ群L3bで構成していることである。
そして広角端から望遠端へのズーミングに際して第3aレンズ群L3aと第3bレンズ群L3bの間隔を変えながら拡大側へ移動していることである。
このため参考例1は拡大側から縮小側へ順に負,正,正,負,正の屈折力のレンズ群より成る5群ズームレンズとして取り扱うこともできる。
ここで、第3aレンズ群L3aは1枚の正レンズG31より成っている。第3bレンズ群L3bは負レンズG32と正レンズG33より成っている。
参考例1では第3bレンズ群L3bを構成する正レンズG33の両面が非球面形状である。正レンズG33の材料は、アッベ数が80以上である商品名S-FPL51(オハラ製)を使用している。これによって、短波長側の色収差を良好に補正している。第3bレンズ群L3bは焦点距離が−8040mmと弱い負の屈折力である。
第3bレンズ群L3bは、所望の設計仕様によっては弱い正の屈折力のレンズ群より構成しても良い。
なお、参考例1では第4レンズ群に非球面は採用していない。
その他の点については実施例1と同じである。
図5の実施例について説明する。実施例では、第3レンズ群L3中の正レンズG33にアッベ数が80以上である商品名S-FPL51(オハラ製)を使用している。そして負レンズG32と貼合せて構成している。これにより、短波長側の色収差を良好に補正している。
なお、実施例ではこの正レンズG33に非球面を採用していない。その他の点については実施例1と同じである。
図7の実施例について説明する。
実施例は実施例1に比べて大きく異なる点は次のとおりである。第3レンズ群L3を拡大側から縮小側へ順に、負の屈折力の第3aレンズ群L3aと正の屈折力の第3bレンズ群L3bで構成していることである。
そして広角端から望遠端へのズーミングに際して第3aレンズ群L3aと第3bレンズ群L3bの間隔を変えながら拡大側へ移動していることである。
このため実施例は拡大側から縮小側へ順に負,正,負,正,正の屈折力のレンズ群より成る5群ズームレンズとして取り扱うこともできる。
ここで、第3aレンズ群L3aは正レンズG31と負レンズG32より成っている。第3bレンズ群L3bは正レンズG33より成っている。
実施例では第3bレンズ群L3bを構成する正レンズG33の材料にアッベ数が80以上である商品名S-FPL51(オハラ製)を使用している。これによって短波長側の色収差を良好に補正している。正レンズG33に非球面は採用していない。その他の点については実施例1と同じである。
尚、以上の各実施例と参考例1において第1レンズ群L1の拡大側又は第4レンズ群L4の縮小側に、又は双方にコンバーターレンズ等の光学素子を配置しても良い。
以下に実施例1、参考例1、実施例2、3のズームレンズに各々対応する数値実施例1〜4を示す。各数値実施例においてiは拡大面(前方側)からの光学面の順序を示し、Riは第i番目の光学面(第i面)の曲率半径、diは第i面と第i面+1面との間の間隔、niとνiはそれぞれd線に対する第i番目の光学部材の材質の屈折率、アッベ数を示す。
fは焦点距離、FNOはFナンバーである。ωは半画角である。また数値実施例1〜4の最も後方側の5つの面は、色分解プリズム,フェースプレート,各種フィルター等に想到するガラスブロックGBを構成する面である。
またkを離心率、A,B,C,D,Eを非球面係数、光軸からの高さhの位置での光軸方向の変位を面頂点を基準にしてxとするとき、非球面形状は、
x=(h/r)/[1+[1−(1+k)(h/R)]1/2]
+Ah+Bh+Ch+Dh10+Eh12
で表示される。但しrは近軸曲率半径である。非球面に関しては近軸曲率半径rを1/rと示している。
尚、例えば「e−Z」の表示は「10−Z」を意味する。群間隔データでWは広角端、Tは望遠端を示している。
前述の各条件式1〜6と数値実施例1〜4における諸数値との関係を表1に示す。
数値実施例1
f: 18.6mm〜22.1mm FNO: 1.64〜1.90 ω:27.04°〜23.22°
Ri di ni νi
1 ( ) 1.50 1.605 60.6
2 ( ) (可変)
3 34.340 4.36 1.673 47.2
4 -245.167 (可変)
5 28.045 3.92 1.696 53.2
6 12974.177 19.65
7 -18.140 1.32 1.704 30.1
8 37.355 0.15
9 ( ) 8.53 1.489 70.2
10 ( ) (可変)
11 ( ) 3.94 1.699 55.5
12 ( ) 4.05
13 ∞ 23.00 1.518 64.1
14 ∞ 0.44 1.502 65.0
15 ∞ 0.50 1.767 65.0
16 ∞ 2.20 1.462 65.0
17 ∞

群間隔データ
W T
d 2 5.80 6.59
d 4 30.54 20.59
d10 0.60 9.75

非球面データ
1/r k A B C D
1 -7.658e-003-2.351e+002-1.028e-005 0.000e+000 6.164e-011-1.259e-013
2 7.704e-002-1.336e+000 1.989e-005-1.478e-007 6.218e-010-1.190e-012
9 3.587e-002-7.201e+000 1.265e-005-5.975e-008-1.112e-010 9.784e-013
10 -5.979e-002-6.441e-002 4.432e-006 6.376e-008-2.737e-010-3.393e-013
11 2.660e-002-1.872e+000-4.517e-006 1.755e-008-3.145e-011-1.243e-013
12 -4.974e-003 1.409e+002-4.288e-006 8.850e-009 3.951e-011-1.490e-013

数値実施例2
f: 18.6mm〜22.1mm FNO: 1.64〜1.96 ω:27.04°〜23.22°
Ri di ni νi
1 ( ) 1.50 1.489 70.2
2 ( ) (可変)
3 29.307 3.18 1.673 47.2
4 61.344 (可変)
5 27.417 3.83 1.723 50.2
6 797.018 (可変)
7 -17.602 1.10 1.677 32.1
8 36.133 0.15
9 ( ) 9.10 1.498 81.5
10 ( ) (可変)
11 46.302 3.75 1.699 55.5
12 -135.858 4.05
13 ∞ 23.00 1.518 64.1
14 ∞ 0.44 1.502 65.0
15 ∞ 0.50 1.767 65.0
16 ∞ 2.20 1.462 65.0
17 ∞

群間隔データ
W T
d 2 7.76 9.15
d 4 29.50 19.62
d 6 18.22 18.44
d10 2.20 10.47

非球面データ
1/r k A B C D
1 2.950e-005 3.979e+006-8.753e-006 0.000e+000 8.231e-011-2.301e-013
2 8.042e-002-1.239e+000 2.138e-005-1.188e-007 7.972e-010-2.297e-012
9 3.798e-002-7.320e+000 9.558e-006-6.799e-008 3.084e-011 8.509e-013
10 -6.025e-002-1.238e-001 6.097e-006 3.451e-008-3.219e-010 3.555e-013

数値実施例3
f: 18.6mm〜22.0mm FNO: 1.64〜2.09 ω:27.06°〜23.37°
Ri di ni νi
1 ( ) 1.50 1.699 55.5
2 ( ) (可変)
3 46.085 3.01 1.810 40.9
4 -3774.500 (可変)
5 37.554 4.14 1.810 40.9
6 -94.575 14.34
7 -26.305 6.00 1.746 27.8
8 27.137 7.19 1.498 81.5
9 -23.331 (可変)
10 ( ) 4.26 1.699 55.5
11 ( ) 4.05
12 ∞ 23.00 1.518 64.1
13 ∞ 0.44 1.502 65.0
14 ∞ 0.50 1.767 65.0
15 ∞ 2.20 1.462 65.0
16 ∞

群間隔データ
W T
d 2 4.82 7.56
d 4 29.36 17.94
d 9 5.69 14.37

非球面データ
1/r k A B C D
1 2.734e-003 1.825e+002 2.548e-006-7.346e-008 2.448e-010-2.053e-013
2 7.341e-002-1.245e+000 2.040e-005-8.704e-008-1.712e-010 1.811e-012
10 2.997e-002 0.000e+000-1.119e-006-1.347e-008 8.361e-011-3.358e-013
11 -6.855e-003 0.000e+000 5.348e-006-8.622e-009 8.008e-012-1.279e-013

数値実施例4
f: 18.5mm〜22.0mm FNO: 1.64〜1.98 ω:27.18°〜23.35°
Ri di ni νi
1 ( ) 1.60 1.489 70.2
2 ( ) (可変)
3 39.822 2.27 1.839 37.2
4 100.688 (可変)
5 29.686 3.62 1.839 37.2
6 -104.646 8.82
7 -26.018 1.40 1.854 23.8
8 30.681 (可変)
9 86.712 7.17 1.498 81.5
10 -19.885 (可変)
11 ( ) 5.38 1.489 70.2
12 ( ) 10.30
13 ∞ 23.00 1.518 64.1
14 ∞ 0.44 1.502 65.0
15 ∞ 0.50 1.767 65.0
16 ∞ 2.20 1.462 65.0
17 ∞

群間隔データ
W T
d 2 7.17 9.64
d 4 27.16 14.38
d 8 5.10 5.11
d10 0.60 10.90
d17 0.28 0.28

非球面データ
1/r k A B C D
1 9.084e-003-3.334e+002 6.243e-006-3.979e-008 5.959e-011 4.042e-014
2 8.215e-002-1.444e+000 2.697e-005 1.207e-007-1.140e-009 3.267e-012
11 3.458e-002 0.000e+000-5.286e-006-1.305e-008 7.782e-011-2.928e-013
12 -1.674e-002 0.000e+000 8.181e-006-1.480e-008 3.278e-011-1.184e-013
図9は本発明の画像投射装置の実施例の要部概略図である。
同図は前述したズームレンズを3板式のカラー液晶プロジェクターに適用し複数の液晶表示素子(表示ユニット)に基づく複数の色光の画像情報を色合成手段を介して合成し、投射レンズでスクリーン面上に拡大投射する画像投射装置を示している。
図9においてカラー液晶プロジェクター1はR,G,Bの3枚の液晶パネル5B,5G,5GからのRGBの各色光を色合成手段としてのプリズム2で1つの光路に合成し、前述したズームレンズより成る投影レンズ3を用いてスクリーン4に投影している。
図10は本発明の光学機器の実施例の要部概略図である。
本実施例ではビデオカメラ,デジタルカメラ等の撮像装置を含む光学機器に撮影レンズとして前述したズームレンズを用いた例を示している。
図10においては被写体9の像を撮影レンズ8で感光体7に結像し、画像情報を得ている。
以上のように各実施例によれば、レンズ系全体の小型化を図りつつ、ズーミングに伴う諸収差を良好に補正し、画面全体にわたり良好なる光学性能を有した液晶プロジェクター用に好適なズームレンズを達成することができる。
この他、本発明によれば画像情報をCCD等の撮像手段面上に形成するビデオカメラ,デジタルカメラ等の光学機器に好適なズームレンズを達成することができる。
実施例1の画像投射装置の要部概略図 数値実施例1の収差図 参考例1の画像投射装置の要部概略図 数値実施例2の収差図 実施例の画像投射装置の要部概略図 数値実施例3の収差図 実施例の画像投射装置の要部概略図 数値実施例4の収差図 本発明の画像投射装置をカラー液晶プロジェクターに適用したときの要部概略図 本発明の光学機器の実施例の要部概略図
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
L4 第4レンズ群
LCD 液晶表示装置(像面)
GB 硝子ブロック(色合成プリズム)
S Sagittal像面の倒れ
M Meridional像面の倒れ
1 液晶プロジェクター
2 色合成手段
3 投射レンズ
4 スクリーン
5(5B、5G、5R) 液晶パネル
6 撮像装置
7 撮像手段
8 撮影レンズ
9 被写体

Claims (12)

  1. 拡大側より縮小側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、正の屈折力を有する第4レンズ群より構成され、ズーミングに際して、複数のレンズ群が、相互間隔を変化させながら移動しており、広角端から望遠端へのズーミングに際して、該移動する複数のレンズ群はいずれも増倍作用をして移動しており、
    広角端から望遠端へのズーミングに際して、前記第2レンズ群は拡大側から縮小側へ移動し、
    全系の広角端における焦点距離をfw、該第1レンズ群の焦点距離をf1とし、広角端のズーム位置において、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群の横倍率を各々β2w、β3wとするとき、
    0.65<|fw/f1|<0.99
    1<β2w<3
    −2.3<β3w≦−1.17
    なる条件を満足すること特徴とするズームレンズ。
  2. 前記複数のレンズ群は前記第2レンズ群、前記第3レンズ群であることを特徴とする請求項のズームレンズ。
  3. 縮小側の共役点から縮小側の瞳位置までの距離をtk、全系の広角端における焦点距離をfwとするとき
    −0.2<fw/tk<0.2
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1又は2のズームレンズ。
  4. 前記複数のレンズ群のうち、ズーミングに際して増倍作用が最も小さいレンズ群の変倍率をZmin、全系のズーム比をZとするとき
    0.75<Zmin/Z<0.95
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項のズームレンズ。
  5. ズーミングのためには、前記第1レンズ群および前記第4レンズ群は縮小側の共役面に対して不動であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項のズームレンズ。
  6. 前記複数のレンズ群は前記第2レンズ群、前記第3レンズ群であり、広角端から望遠端のズーム位置へのズーミングに際して、該第3レンズ群は、縮小側から拡大側へ移動することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項のズームレンズ。
  7. 開口絞りを有し、該開口絞りよりも拡大側には、レンズ中心からレンズ周辺にいくに従って負の屈折力が弱くなる形状の非球面を凹面に設けた負レンズが配置され、該開口絞りよりも縮小側には、レンズ中心からレンズ周辺にいくに従って正の屈折力が弱くなる形状の非球面を凸面に設けた正レンズが配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項のズームレンズ。
  8. 前記第2レンズ群は1枚のレンズから構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項のズームレンズ。
  9. 前記第3レンズ群は、拡大側から縮小側へ順に正レンズ負レンズ正レンズから構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項のズームレンズ。
  10. 前記第3レンズ群は、拡大側から縮小側へ順に正レンズ負レンズ正レンズより成り、これらのうち正の屈折力が大きい方の正レンズの屈折力をφ3p、負レンズの屈折力をφ3nとするとき、
    1.2<|φ3n/φ3p|<2
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項のズームレンズ。
  11. 拡大側より縮小側へ順に、前記第3レンズ群はズーミングに際して相互間隔を変えながら移動する第3aレンズ群と第3bレンズ群より構成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項のズームレンズ。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項のズームレンズと、原画を形成する表示ユニットとを有し、前記表示ユニットによって形成された原画を前記ズームレンズによってスクリーン面上に投射することを特徴とする画像投射装置。
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