JP4918751B2 - ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の処理方法及びガンマブチロラクトンの製造方法 - Google Patents

ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の処理方法及びガンマブチロラクトンの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4918751B2
JP4918751B2 JP2005103834A JP2005103834A JP4918751B2 JP 4918751 B2 JP4918751 B2 JP 4918751B2 JP 2005103834 A JP2005103834 A JP 2005103834A JP 2005103834 A JP2005103834 A JP 2005103834A JP 4918751 B2 JP4918751 B2 JP 4918751B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
butyrolactone
gamma
acid
production
butanediol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005103834A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006282563A (ja
Inventor
賢 宇都宮
勝克 溝口
宗市 折田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2005103834A priority Critical patent/JP4918751B2/ja
Publication of JP2006282563A publication Critical patent/JP2006282563A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4918751B2 publication Critical patent/JP4918751B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Furan Compounds (AREA)

Description

本発明は、ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の処理方法及びガンマブチロラクトンの製造方法に関する。
ガンマブチロラクトンはそれ自体優れた溶媒として使用されるだけでなく、N−メチルピロリドンなど様々な物質の重要中間体として有用であり、そのため、各種製造プロセスの開発が行われてきた。例えば特開平3−26340号公報、特開平3−232874号公報に示すように、無水コハク酸の水素化反応や1,4−ブタンジオールの脱水素反応が開発されている。またルテニウム錯体触媒を用いた同じく無水コハク酸の水素化反応(Jounal of catalysis 194, 188−197, 2000)、及び1,4−ブタンジオールの脱水素反応(特開2001−240595号公報)が報告されている。これらガンマブチロラクトンの製造方法は収率良く進行することが多いが、高沸点化合物を副生物として生成することがあり、原料である無水コハク酸、コハク酸、1,4−ブタンジオール、無水マレイン酸等のコストを押し上げていた。この高沸点化合物を原料である無水コハク酸、コハク酸、1,4−ブタンジオールなどに再変換し、それをリサイクルできれば、よりコスト競争力のあるガンマブチロラクトンの製造プロセスを構築することができる。しかしながら、該高沸点化合物を効率よく分解し、コハク酸などのガンマブチロラクトンの原料を再生する方法は見出されていなかった。そのため、これら副生する高沸点化合物を分解し原料を再生することができれば、より効率の高いガンマブチロラクトンの製造方法を確立することができる。そのため、このような方法が求められてきた。
特開平3−26340号公報 特開平3−232874号公報 特開2001−240595号公報 Jounal of catalysis 194,188−197,2000
本発明により、ガンマブチロラクトンの製造方法において、副生する高沸点化合物を効率よく分解し、原料である「無水コハク酸またはコハク酸」へと変換し得る有機酸塩類を得る方法を提供することができる。
本発明の課題は、ガンマブチロラクトンの製造方法において、副生する高沸点化合物を効率よく分解し、原料である「無水コハク酸またはコハク酸」へと変換し得る有機酸塩類を得る方法を提供することである。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ガンマブチロラクトンの製造法において、副生する高沸点化合物が1,4−ブタンジオール、コハク酸、溶媒分解物がエステル結合で結ばれたオリゴマーであることを見出し、該高沸点化合物をアルカリ水溶液で処理することで、原料である「無水コハク酸またはコハク酸」へと変換し得る有機酸塩類、及び1,4−ブタンジオールを含む水溶液に変換されることを見出した。また、得られた該水溶液に水溶性有機化合物を貧溶媒として添加することで、アルコール類、高沸点化合物を含む有機酸塩類の水溶液から、有機酸塩類を固体として析出させ、残るアルコール類、高沸点化合物を水溶液として保ち、固液分離により効率の高い、工業的に有利な有機酸塩類の精製を行う方法を見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明の要旨は、下記(1)〜(7)に存する。
(1) ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の処理方法であって、該高沸点化合物の水溶液にアルカリ水溶液を添加して加熱攪拌することにより高沸点化合物を有機酸塩類と1,4−ブタンジオールに分解し、得られた有機酸塩類と1,4−ブタンジオールを含有するアルカリ水溶液に水溶性有機化合物を添加し、有機酸塩類を析出させる方法。
(2) ガンマブチロラクトンの製造が、無水コハク酸あるいはコハク酸の水素化反応によるガンマブチロラクトンの製造であることを特徴とする上記(1)に記載の方法。
(3) 無水コハク酸あるいはコハク酸の水素化反応によるガンマブチロラクトンの製造において、無水コハク酸あるいはコハク酸の水素化反応により得られる反応液からガンマブチロラクトン及び反応溶媒を除去して得た副生高沸点化合物を含有する触媒液に、水及び非極性溶媒を添加して抽出分離し、分離後の複数相の内、非極性有機溶媒相のみを分離除去し、残る相にアルカリ水溶液を添加し加熱攪拌を行った後、得られたアルカリ性液相に水溶性有機化合物を添加し、有機酸塩類を析出させる方法。
(4) ガンマブチロラクトンの製造がルテニウム錯体触媒を用いた無水コハク酸あるいはコハク酸の水素化反応であり、非極性溶媒が炭素数5〜20の炭化水素であり、アルカリ水溶液が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液であり、有機酸塩類がコハク酸のナトリウム塩あるいはカリウム塩であることを特徴とする上記(3)に記載の方法。
(5) 析出した有機酸塩類を、ろ過により固液分離する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 析出した有機酸塩類を遠心分離により固液分離する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
なお、本発明は回分、半回分、連続方式のいずれの系式にも使用することができる。以下、その詳細について説明する。
(7) 無水コハク酸あるいはコハク酸の水素化反応によりガンマブチロラクトンを製造する方法であって、水素化反応により得られる反応液からガンマブチロラクトン及び反応溶媒を除去し、得られた副生高沸点化合物を含有する触媒液に、水及び非極性溶媒を添加して抽出分離し、分離後の複数相の内、非極性有機溶媒相のみを分離除去し、残る相にアルカリ水溶液を添加し加熱攪拌を行った後、得られたアルカリ性液相に水溶性有機化合物を添加してコハク酸塩類を析出させ、該コハク酸塩類を固液分離した後該コハク酸塩類を酸類によりコハク酸へ変換し、該コハク酸を水素化反応の原料コハク酸として用いることを特徴とするガンマブチロラクトンの製造方法。
本発明のガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の処理方法は、ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の処理方法であって、該高沸点化合物の水溶液にアルカリ水溶液を添加して加熱攪拌することにより高沸点化合物を有機酸塩類と1,4−ブタンジオールに分解し、得られた有機酸塩類と1,4−ブタンジオールを含有するアルカリ水溶液に水溶性有機化合物を添加し、有機酸塩類を析出させることを特徴とする。
本発明における「ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物」は、鋭意検討の結果、1,4−ブタンジオール、コハク酸、及び4−ヒドロキシ酪酸、場合により反応溶媒分解物のアルコール類、酸類を含む各成分の脱水縮合により生成するものであることが判明した。脱水縮合により生成した高沸点化合物はエステル結合を有する。この副生する高沸点化合物は固体触媒を使用したコハク酸または無水コハク酸の水素化反応、無水マレイン酸の水素化反応あるいは1,4−ブタンジオールの脱水素反応、均一系錯体触媒を用いたコハク酸または無水コハク酸の水素化反応、無水マレイン酸の水素化反応、あるいは1,4−ブタンジオールの脱水素反応などを含むガンマブチロラクトンの製造法などで副生するものである。該製造法は気相、液相、固体触媒、錯体触媒のいずれでも差し支えない。本発明は上記全てのガンマブチロラクトンの製造法に適用可能であるが、好ましくは固体触媒を使用したコハク酸または無水コハク酸の水素化反応によるガンマブチロラクトンの製造で副生するもの、均一系錯体触媒を用いたコハク酸または無水コハク酸の水素化反応によるガンマブチロラクトンの製造で副生するものである。固体触媒を使用する場合には、銅−クロム、銅−亜鉛、銅−アルミ、銅−金属酸化物系の固体触媒が好ましい。ガンマブチロラクトンの製造法として特に好ましくは均一系ルテニウム錯体触媒を用いたコハク酸または無水コハク酸の水素化反応である。
ガンマブチロラクトン製造プロセスの反応後液中には、水素化や脱水素反応により副生する高沸点化合物が含まれ、本発明における「ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物」としては、この副生した高沸点化合物が挙げられる。また本発明における「高沸点化合物の水溶液」として、この副生する高沸点化合物を含有する水溶液が挙げられ、具体的には、該反応後に水を添加したもの、もしくは該反応液からガンマブチロラクトン、及びガンマブチロラクトンよりも軽沸点化合物、液相反応の場合は反応溶媒を除去したものに水を添加したものを用いることができ、好ましくは後者である。
また上記水素化、脱水素反応等により副生する高沸点化合物は、1,4−ブタンジオール、コハク酸、及び4−ヒドロキシ酪酸が脱水縮合して生成するエステルオリゴマーが挙げられる。該エステルオリゴマーは、1,4−ブタンジオール、コハク酸、及び4−ヒドロキシ酪酸由来の構成単位からなり、2以上、20以下の構成単位からなるエステルオリゴマーが好ましい。これら構成単位が1つのみ、即ち1,4−ブタンジオール、コハク酸、4−ヒドロキシ酪酸などのモノマーであれば分解する必要は無く、多すぎると分解するための反応条件が過酷となり高温反応による構成単位の分解による多種の微量副生物の生成、反応器の長大化、反応時間の長大化により経済性の悪化したプロセスとなる。また通常の水素化反応や脱水素反応等では構成単位が20以上の高沸点化合物は生成しないものと考えている。エステルオリゴマーを構成する構成単位は、2種以上であり、通常は2〜4種である。
本発明においては「エステルオリゴマーはその構成単位としてコハク酸と1,4−ブタンジオールの2種を含有している」か、「構成単位としてコハク酸を含有するエステルオリゴマーと構成単位として1,4−ブタンジオールを含有するエステルオリゴマーの混合物」である。上記の「構成単位としてコハク酸と1,4−ブタンジオールの2種を含有しているエステルオリゴマー」、「構成単位としてコハク酸を含有するエステルオリゴマー」及び「構成単位として1,4−ブタンジオールを含有するエステルオリゴマー」は、各々その他の構成単位を有していてもよい。
本発明では、これらエステルオリゴマーを1種に対しても、多種のオリゴマーの混合物に対しても適用可能である。またエステルオリゴマーを1種のみ含んだ水溶液でも、多種のエステルオリゴマーを含んだ水溶液に対しても適用可能である。本発明では副生する高沸点化合物を含んだ水溶液の使用が好ましい。該水溶液では、該高沸点化合物を10重量%〜90重量%、特に好ましくは30重量%〜80重量%の水溶液である。高沸点化合物の含有量が少なすぎると加水分解の効率が低下し、工業的に不利となり、多すぎると高沸点化合物が完全にアルカリ水溶液に溶解せず、固液混合液となり閉塞などプロセス上に不具合が生じてしまう。
また水を10重量%以上含むことが好ましく、より好ましくは水溶液中の水組成が20重量%〜70重量%である。水の含有量が少なすぎると加水分解速度が低下し、また高沸点化合物の析出により閉塞などの不具合がプロセスにおいて生じ、多すぎると反応器単位体積あたりの加水分解生成物の生産量が低下してしまう。
また該副生高沸点化合物以外の、その他の成分を含んでも本発明のアルカリ水溶液による加水分解は差し支えなく進行し、特にコハク酸、無水コハク酸、1,4−ブタンジオール、4−ヒドロキシ酪酸、ガンマブチロラクトンを含む該高沸点化合物の水溶液を使用することも可能である。該高沸点化合物のアルカリ水溶液処理後の液成分には、高沸点化合物の分解により生成するコハク酸ナトリウム、コハク酸カリウムなどの有機酸塩類、1,4−ブタンジオールなど上記有機酸塩類、アルコール類が含まれる。また、本発明では、ガンマブチロラクトン製造工程で少量副生するアルコール類や酸類を含むエステル類が混入している場合も差し支えない。例えば、ガンマブチロラクトン製造反応で少量副生するアルコール類及び酸類とは炭素数2〜10のアルコール類と酸類であり、好ましくは1−オクタノール、2−オクタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ブタノール、2−ブタノール、エタノール、メタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などである。また特に好ましくはジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルであり、これら副生アルコール類、酸類を10重量ppm〜5重量%含んでいても差し支えない。これらは反応溶媒、触媒成分などから少量副生するものである。これらの酸類、アルコール類はアルカリ水溶液で処理した高沸点化合物の水溶液中に存在しても差し支えない。
本発明で使用するアルカリ水溶液(高沸点化合物の水溶液に添加するアルカリ水溶液)とは、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液が好ましく、特に好ましくは水酸化ナトリウムの水溶液である。水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの濃度は1重量%以上、飽和濃度以下が好ましく、より好ましくは5重量%以上、50重量%以下である。アルカリ水溶液の濃度が低すぎると高沸点化合物の分解及び水相への相移動が不充分となり加水分解の効率が低下し、高すぎると水相において高沸点化合物の分解により生成するカルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩が析出し、閉塞などプロセスのトラブルを発生する恐れがある。
アルカリ水溶液の添加量は高沸点化合物の水溶液に対して重量比で1重量%〜1000重量%の範囲が好ましく、特に好ましくは10重量%〜400重量%である。アルカリ水溶液の添加量が少なすぎると、高沸点化合物の分解が不充分となり有機酸塩類の収率が低下し、また多すぎると有機酸塩類の精製時に除去すべき水、及びアルカリが過剰となり経済的に不利なプロセスとなってしまう。
本発明においては、ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の水溶液にアルカリ水溶液を添加した後、加熱攪拌することにより高沸点化合物を有機酸塩類と1,4−ブタンジオールに分解するが、加熱攪拌させる温度は40℃以上、200℃以下が好ましく、より好ましくは60℃以上、100℃以下である。この際の温度が低すぎると該高沸点化合物の分解が不十分となり、また温度が高すぎると水溶液であるために、圧力が向上し加水分解を行う反応器が高価となってしまい不利なプロセスとなる。加熱攪拌を行う反応時間(攪拌時間)は10分〜24時間の範囲が好ましく、より好ましくは20分〜12時間、特に好ましくは30分〜5時間である。時間が短すぎた場合には加水分解が不十分となり、時間が長すぎた場合には生産性の低下又は反応器の巨大化となりプロセスの競争力が低下する。
また、これらを加熱攪拌する際、該高沸点化合物の分解速度を高く保つために、pHでアルカリ水添加量を決定することもできる。水相中のpHは6以上、15以下であることが好ましく、更に好ましくはpH8以上、12以下となる範囲でアルカリ水の添加量を決定できる。本発明における該高沸点化合物の分解は反応時間ではなく、このpHにより制御することも可能であり、pH8以上、12以下となった段階で工程を終了することも可能である。また別途希釈水を加えて、該高沸点化合物の加水分解物、例えばコハク酸のナトリウム塩の析出を抑制することも可能である。発明における加熱攪拌は、連続、回分のいずれの様式でも差し支えなく行うことができる。
本加熱攪拌工程における攪拌は、高沸点化合物またはその水溶液と、添加したアルカリ水溶液が混合されれば良く、均一に攪拌されることがより好ましい。攪拌方法としては、攪拌翼により攪拌する方法、加熱により対流を起こして混合させる方法、また連続での混合のためにトレイを使用した反応管等が挙げられる。攪拌翼を用いて攪拌する場合には、例えば攪拌速度は100rpm〜2000rpmである。10rpmより低すぎた場合には必要な攪拌効率が得られず副生する高沸点化合物の加水分解が迅速に進行しない、また攪拌速度が高すぎた場合には高速の回転機器が必要となり、経済性の悪化を招く。本工程で使用する槽には攪拌効率を上げる為の邪魔板を使用することも差し支えない。
本発明においては、上述の副生する高沸点化合物とアルカリ水溶液との加熱攪拌工程により得られた有機酸塩類と1,4−ブタンジオールを含有するアルカリ水溶液に水溶性の有機化合物を添加することを必須としている。水溶性有機化合物の仕込み割合は、該アルカリ水溶液の総量(アルカリ水溶液に水溶性有機化合物を添加した後の溶液量)の50〜1000wt%が好ましく、より好ましくは80〜300wt%、更に好ましくは100〜200wt%である。水溶性の有機化合物の添加量が少なすぎると有機酸塩類の析出が不充分となり、多すぎるとその後の精製工程での水溶性の有機化合物の除去がコスト高となってしまう。 本発明で使用する水溶性有機化合物としては、ケトン類、エーテル類が好ましく、具体的にはアセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。使用する水溶性有機化合物自体のコストの観点から、特に好ましくはアセトンである。
本発明で用いられる「副生する高沸点化合物」は、ルテニウム錯体触媒により無水コハク酸またはコハク酸を水素化して得られる反応液中に含まれるものが好ましい。本ルテニウム錯体触媒の原料は、金属ルテニウム及びルテニウム化合物のいずれもが使用可能である。ルテニウム化合物として酸化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩あるいは錯化合物等が使用される。具体的には二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウム、二水酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、沃化ルテニウム、硝酸ルテニム、酢酸ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、ヘキサクロロルテニウム酸ナトリウム、テトラカルボニルルテニウム酸ジカリウム、ペンタカルボニルルテニウム、シクロペンタジエニルジカルボニルルテニウム、ジブロモトリカルボニルルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ヒドリドルテニウム、テトラ(トリフェニルホスフィン)ジヒドリドルテニウム、テトラ(トリメチルホスフィン)ジヒドリドルテニウム、ビス(トリ−n−ブチルホスフィン)トリカルボニルルテニウム、テトラヒドリドデカルボニルテトラルテニウム、ドデカカルボニルトリルテニウム、オクタデカカルボニルヘキサルテニウム酸ジセシウム、ウンデカカルボニルヒドリドトリルテニウム酸テトラフェニルホスフォニウム等が挙げられ、好ましくは塩化ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、酢酸ルテニウムである。
また本発明に使用するルテニウム錯体触媒は、好ましくはリン配位子を含有する。用いるリン配位子として、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィンのような少なくとも1つのアリール基を含有するリン配位子を使用することもできるが、好ましくはトリアルキルホスフィン、更に好ましくは1級アルキル基により構成されるトリアルキルホスフィン、及びそれらの分解物である。例えばトリデカニルホスフィン、トリノニルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリヘプチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリペンチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリメチルホスフィン、ジメチルオクチルホスフィン、ジオクチルメチルホスフィン、ジメチルヘプチルホスフィン、ジヘプチルメチルホスフィン、ジメチルヘキシルホスフィン、ジヘキシルメチルホスフィン、ジメチルヘプチルホスフィン、ジヘプチルメチルホスフィン、ジメチルヘキシルホスフィン、ジヘキシルメチルホスフィン、ジメチルブチルホスフィン、ジブチルメチルホスフィン、トリペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリヘプチルホスフィン、トリベンジルホスフィン、ジメチルシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルメチルホスフィン、1、1、2、2−ジメチルホスフィノエタン、1、1、2、2−ジメチルホスフィノプロパン、1、1、2、2−ジメチルホスフィノブタン、1、1、2、2−ジオクチルホスフィノエタン、1、1、2、2−ジオクチルホスフィノプロパン、1、1、2、2−ジオクチルホスフィノプロパン、1、1、2、2−ジオクチルホスフィノブタン、1、1、2、2−ジヘキシルホスフィノエタン、1、1、2、2−ジヘキシルホスフィノプロパン、1、1、2、2−ジヘキシルホスフィノブタン、1、1、2、2−ジブチルホスフィノエタン、1、1、2、2−ジブチルホスフィノプロパン、1、1、2、2−ジブチルホスフィノブタン、1、1―ジホスフィナン、1、4−ジメチル−1、4−ジホスフィノファン、1、3−ジメチルホスフォリナン、1、4―ジメチルホスフォリナン、8−メチル−8−ホスフィノビシクロオクタン、4−メチル−4−ホスフォテトラシクロオクタン、1−メチルホスフォラン、1−メチルホスフォナン等の単座、複座、環状、及びアルキル基に置換基を持つアルキルホスフィン類が挙げられ、また光学活性なトリアルキルリンを使用することで光学活性なラクトン類の合成も期待できる。本反応に使用するトリアルキルリンのアルキル基は、ノルマル体、イソ体、及びその混合物でも差し支えない。
また、トリアルキルリン、あるいは芳香族置換基等を有する有機ホスフィンだけでなく、他のリン原子を含有する配位性有機化合物も配位子として使用可能であり、例えば、ホスファイト、ホスフィネート、ホスフィンオキシド、アミノホスフィン、ホスフィン酸なども使用可能である。これらリン配位子の使用量は、ルテニウム金属1モルに対して、0.1〜1000モル、好ましくは1〜100モルの範囲である。
また本発明のルテニウム錯体触媒はpKaが2より小さい酸の共役塩基をもちいて、カチオン性錯体の形で反応に用いることも可能であり、活性の向上、触媒の安定化など幾つかの点において共役塩基の使用は効果的である。
pKaが2よりも小さい酸の共役塩基としては触媒調整中または反応系中においてかかる共役塩基を形成するものであれば良く、その供給形態としてはpKaが2より小さいブレンステッド酸あるいはその各種の塩などが用いられる。具体的には硝酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸、ヘキサフルオロリン酸、フルオロスルホン酸等の無機酸類、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ドデシルスルホン酸、オクタデシルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素酸、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼン共重合体等の有機酸等のブレンステッド酸もしくはこれらの酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、銀塩等があげられる。
また、上記の酸の共役塩基が反応系で生成すると考えられる酸誘導体の形で添加しても差し支えない。例えば酸ハロゲン化物、酸無水物、エステル、酸アミド等の形で反応系に添加しても同様の効果が期待される。
これら酸あるいはその塩の使用量は、ルテニウム金属に対して0〜1000モル、好ましくは0〜100モルの範囲である。特に好ましくは0〜10モルである。
本発明におけるガンマブチロラクトンの製造は、溶媒の存在なしに、すなわち反応原料である有機酸類、好ましくは無水コハク酸、および生成物であるエステル類、好ましくはガンマブチロラクトンそのものを溶媒として実施することが好ましいが、反応原料以外の溶媒を使用することもできる。例えば、ジエチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサンのエーテル類、メタノール、エタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トルイル酸などのカルボン酸類、酢酸メチル、酢酸ブチル、安息香酸ベンジルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭素、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のカルボン酸アミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドその他のアミド類、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類、ジメチルスルホン等のスルホン類、ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシド類、ガンマブチロラクトン、カプロラクトン等のラクトン類、テトラグライム、トリグライム等のポリエーテル類、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル類等であり、好ましくはエーテル類、ポリエーテル類、および反応原料、生成物のガンマブチロラクトンである。
反応温度は通常20〜350℃、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは150〜220℃である。この反応は回分方式および連続方式のいずれでも実施することができる。
また本発明においては、「ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物」として、「ガンマブチロラクトンと副生する高沸点化合物を含む反応液からガンマブチロラクトン及び反応溶媒を除去して得た触媒液を、ヘプタンなど非極性溶媒、及び水などの極性溶媒(好ましくは水)を用いて抽出処理し、ルテニウム触媒を多く含む非極性溶媒相と、副生エステル類を多く含む極性溶媒相に分離し、得られた該極性溶媒相」を使用することが可能である。また、「ガンマブチロラクトン及び反応溶媒を除去して得た触媒液を、ヘプタンなど非極性溶媒、及び水などの極性溶媒(好ましくは水)を用いて抽出処理し、非極性溶媒相、水相、及び有機溶媒、水に対して不溶なオイル相の3相に分離し、得られた水相を使用することも可能である。ここで用いられる非極性溶媒として、脂肪族炭化水素化合物、脂環式炭化水素化合物や芳香族炭化水素化合物などが挙げられる。また、これら非極性溶媒としては置換基を有していても構わない。具体的な例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼンなどが挙げられるが、特にペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭素数が5〜8の脂肪族炭化水素化合物が好ましい。また極性溶媒として、アルコール類、ケトン類、エステル類、水などが挙げられる。また、これら極性溶媒は置換基を有していても構わない。具体的な例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、3−ノナノール、4−ノナノール、5−ノナノール、1−デカノール、2−デカノール、3−デカノール、4−デカノール、5−デカノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、1−フェネチルアルコール、2−フェネチルアルコール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等が挙げられるが経済性、安全性からアルコール類が好ましく、より好ましくはジオール及び水、特に1,4−ブタンジオール、水が好ましい。
上記抽出処理における触媒液、極性溶媒、及び非極性溶媒の重量比は1/0.2〜10/0.2〜10の範囲内で使用される。好ましくは1/1〜3/0.2〜1の範囲である。また、極性溶媒と非極性溶媒の重量比は1〜15(極性溶媒重量/非極性溶媒重量)が好ましく、特に好ましくは2〜10である。この値が小さすぎると、高沸点物質の極性溶媒相への溶解が不充分となり抽出処理による相分離が不完全となり、またこの値が大きすぎると、抽出処理工程及び減量化工程のプロセス機器が不必要に巨大となり経済性の悪化要因となってしまう。
抽出処理温度は通常20〜150℃であり、好ましくは40℃〜100℃である。この温度が高すぎると、高温度維持のためのエネルギーコスト高となり、低すぎると抽出処理に必要な時間が長くなり、不経済となる。抽出時間は10分〜5時間、望ましくは30分〜3時間の範囲である。時間を長くしすぎると、不経済となり、また短すぎると抽出処理が完全に進行しない。
本抽出工程は連続、回分いずれの様式も使用可能である。抽出後に生成する非極性溶媒相は他の相との界面で相分離し、該非極性溶媒相内に含まれる触媒種を目的生成物であるエステル類の製造工程にリサイクルされる。その際、非極性溶媒を蒸留などにより触媒と分離しても差し支えない。また抽出後に相分離した非極性溶媒相以外の液成分は、副生する高沸点化合物を含む1相を形成する、あるいは極性溶媒相と、極性溶媒及び非極性溶媒に不溶なオイル相の2相を形成する。この際、副生する高沸点物質は極性溶媒相、オイル相いずれにも含有される。 アルコール類、有機酸塩類、及び高沸点化合物を含む水溶液、及び上記ルテニウム錯体触媒を用いた有機酸の水素化反応液のアルカリ水処理液、共に水溶性有機化合物添加による有機酸塩類の析出後、ろ過、または遠心分離により固液分離可能である。また、得られた有機酸塩類は固体酸等の酸類により有機酸へと再生され、ガンマブチロラクトンの製造に再利用することが出来る。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、1,4−ブタンジオールの分析は内部標準法によるガスクロマトグラフィー(島津社製GC−14A)、コハク酸の分析は液体クロマトグラフィー(島津社製カラムCA−10S、検出器SPD−10A)、水分分析はカールフィッシャー法(三菱化学社製Mitsubishi Moisture:CA−20)により行った。
参考例1
ルテニウムトリオクチルホスフィン−パラトルエンスルホン酸系触媒を用いた無水コハク酸の水素化反応を次の通り行った。反応は図1に示す気液分離器(1)、蒸留塔(2)付きの循環装置を使用して行った。触媒容器(3)に0.056重量%のトリス(アセチルアセトン)ルテニウム、0.51重量%のトリオクチルホスフィン、0.22重量%のパラトルエンスルホン酸をトリグライム(トリエチレングリコール ジメチルエーテル)に溶解し、窒素雰囲気下200℃で2時間加熱処理し、新触媒容器(5)に入れ心フィード触媒液とした。この触媒液を3500mL/hの流量でオートクレーブ(8)に供給し、気液分離後、蒸留塔の看守杖気として回収リサイクルした。
一方、水素圧縮機(6)より7.9Nm/hの水素ガスをオートクレーブに送り20気圧に調節した。オートクレーブを200℃へ昇温し、無水コハク酸80重量%、ガンマブチロラクトン20重量%から成る原料液を375g/hの流量で連続的に供給した。反応液は60℃に冷却後、常圧で気液分離した後、蒸留塔で生成物の水、及びガンマブチロラクトンと触媒液を分離し、触媒液を触媒容器へと(3)に戻すが、反応開始7日後よりそのうちの一部の流れとして29g/hの流量で触媒液を抜き出し、抜き出し触媒容器(4)に保存した。
抜き出した分に相当する29g/hの流量で新触媒液(5)から新触媒をオートクレーブに補給した。反応は30日間連続して行ったが7日目以降安定した成績が得られた。抜き出し触媒液の組成は下記の通りであった。
Figure 0004918751
参考例2
上記参考例1で得られた抜き出し触媒液の濃縮を以下のようにして行った。抜き出し触媒液878.1gを減圧蒸留装置付きのジャケット式反応器に入れ、減圧蒸留により溶媒であるトリグライムを留去した。この時、液温を160℃以下に保つように減圧度を70mmHg〜5mmHgの範囲でコントロールした。溶媒留去後、濃縮触媒液を295.75g得た。得られた濃縮触媒液の組成は以下のとおりであった。
Figure 0004918751
参考例3
参考例2で得られた濃縮触媒液39.8gに水90.3g、ヘプタン28.0gを添加し、80℃で1時間攪拌した。80℃で静置すると上から触媒を含有するヘプタン相、水相、ヘプタン相及び水相のいずれにも不溶で、廃ルテニウムを含有するオイル相の3相に分離した。この3相を分離し、水相110gを得た。この水相の組成は以下の通りであった。本水相を用いて実施例を行った。
Figure 0004918751
参考例4
参考例2で得られた濃縮触媒液50.0gに水60.6g、ヘプタン35.0gを添加し、80℃で1時間攪拌した。80℃で静置すると上からヘプタン相、及び廃ルテニウムを含有する水相の2相に分離した。この2相を分離し、水相106.7gを得た。この水相の組成は以下の通りであった。本水相を用いて実施例を行った。
Figure 0004918751
実施例1
参考例3で得られた水相を40g、48重量%の水酸化ナトリウム水溶液20gを攪拌翼の付いたガラス製の内容量100mLのフラスコに充填し、90℃で30分間加熱攪拌を行った。本反応液の組成は以下のとおりであった。
コハク酸ナトリウム:32.0重量%、水分:60.5重量%、1,4−ブタンジオール:5.0重量%、高沸点化合物:7wt%
ここで得られた反応液5.01gに、アセトンを10.05g添加し、室温にて1時間放置すると白色結晶が析出した。この固液混合液をろ過により分離し、白色固体1.51g、母液13.55gを得た。この得られた固体(白色結晶)を乾燥した後、液体クロマトグラフィーにより分析した結果、コハク酸ナトリウムであることが判明した。このコハク酸は参考例3で得られた水相中の高沸点化合物のコハク酸骨格のうち、98%がコハク酸ナトリウムとして回収できたことを示す。またこの白色固体を水に溶解した水溶液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、1,4−ブタンジオールは検出されなかった。母液を分析した結果、コハク酸ナトリウムは検出されず、1,4−ブタンジオールが1.8重量%含まれていることが明らかとなった。本実施例により、ガンマブチロラクトン製造で副生する高沸点化合物をアルカリにより分解できること、更に水溶性有機化合物をアルカリ性液成分に添加することで、有機酸塩類を効率よく析出できることが判明した。
実施例2
参考例4で得られた水相を40g、48重量%の水酸化ナトリウム水溶液20gを攪拌翼の付いたガラス製の内容量100mLのフラスコに充填し、90℃で30分間加熱攪拌を行った。本反応液の組成は以下のとおりであった。
コハク酸ナトリウム:34重量%、水分:44.5重量%、1,4−ブタンジオール:5.5重量%、高沸点化合物:6wt%
ここで得られた反応液50.1gに、アセトンを75.8g添加し、30℃にて30分攪拌、30分静置すると白色結晶が析出した。この固液混合液を遠心分離器により分離し、白色固体33.8g、液体86.9gを得た。この得られた固体(白色結晶)を液体クロマトグラフィーにより分析した結果、47.8重量%のコハク酸ナトリウムであることが判明した。このコハク酸は参考例3で得られた水相中の高沸点化合物のコハク酸骨格のうち、95%がコハク酸ナトリウムとして回収できたことを示す。またこの白色固体を水に溶解した水溶液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、1,4−ブタンジオールは検出されなかった。母液を分析した結果、コハク酸ナトリウムは検出されず、1,4−ブタンジオールが2.3重量%含まれていることが明らかとなった。本実施例により、固液分離によりコハク酸ナトリウム、1,4−ブタンジオールの分離が効率よく進行することが判明した。
実施例3
参考例4で得られた水相を40g、48重量%の水酸化ナトリウム水溶液20gを攪拌翼の付いたガラス製の内容量100mLのフラスコに充填し、90℃で30分間加熱攪拌を行った。本反応液の組成は以下のとおりであった。
コハク酸ナトリウム:34重量%、水分:44.5重量%、1,4−ブタンジオール:5.5重量%、高沸点化合物:6wt%
ここで得られた反応液50.0gに、アセトン75.1gを200mLガラス製攪拌翼付きのフラスコ内で添加し、30℃にて1時間攪拌、30分静置すると白色結晶が析出した。この固液混合液をろ過により分離し、ろ液を91.4g得た。またフラスコ内に残存する白色固体に水50.3g添加し、溶解後に抜き出した。白色固体水溶液79.0gを得た(白色固体28.6g)。この得られた白色固体の溶液を液体クロマトグラフィーにより分析した結果、白色固体は46.8重量%のコハク酸ナトリウムであることが判明した。このコハク酸は参考例3で得られた水相中の高沸点化合物のコハク酸骨格のうち、95%がコハク酸ナトリウムとして回収できたことを示す。またこの白色固体の水溶液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、1,4−ブタンジオールは検出されなかった。一方,ろ液を液体クロマトグラフィー、及びガスクロマトグラフィーにて分析した結果、コハク酸ナトリウムは検出されず、1,4−ブタンジオールが2.2重量%含まれていることが明らかとなった。本実施例により、固液分離によりコハク酸ナトリウム、1,4−ブタンジオールの分離が効率よく進行することが判明した。
比較例1
参考例4で得られた水相50gにアルカリ水溶液を添加せずに、アセトンを75.8g添加し、30℃にて30分攪拌、30分静置したが、均一に溶解し、白色結晶は析出しなかった。
参考例の「ルテニウムトリオクチルホスフィン−パラトルエンスルホン酸系触媒を用いた無水コハク酸の水素化反応」を行った装置を示す図である。

Claims (6)

  1. ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の処理方法であって、該高沸点化合物が1,4−ブタンジオール、コハク酸、及び4−ヒドロキシ酪酸が脱水縮合して生成するエステルオリゴマーであって、該高沸点化合物の水溶液にアルカリ水溶液を添加して加熱攪拌することにより高沸点化合物をコハク酸ナトリウムと1,4−ブタンジオールに分解し、得られたコハク酸ナトリウムと1,4−ブタンジオールを含有するアルカリ水溶液にアセトン又はメチルエチルケトンを添加し、コハク酸ナトリウムを析出させる方法。
  2. ガンマブチロラクトンの製造が、無水コハク酸あるいはコハク酸の水素化反応によるガンマブチロラクトンの製造であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 無水コハク酸あるいはコハク酸の水素化反応によるガンマブチロラクトンの製造において、無水コハク酸あるいはコハク酸の水素化反応により得られる反応液からガンマブチロラクトン及び反応溶媒を除去して得た1,4−ブタンジオール、コハク酸、及び4−ヒドロキシ酪酸が脱水縮合して生成するエステルオリゴマーを含有する触媒液に、水及び非極性溶媒を添加して抽出分離し、分離後の複数相の内、非極性有機溶媒相のみを分離除去し、残る相にアルカリ水溶液を添加し加熱攪拌を行った後、得られたアルカリ性液相にアセトン又はメチルエチルケトンを添加し、コハク酸ナトリウムを析出させる方法。
  4. ガンマブチロラクトンの製造がルテニウム錯体触媒を用いた無水コハク酸あるいはコハク酸の水素化反応であり、非極性溶媒が炭素数5〜20の炭化水素であり、アルカリ水溶液が水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 析出したコハク酸ナトリウムを、ろ過により固液分離する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 析出したコハク酸ナトリウムを、遠心分離により固液分離する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
JP2005103834A 2005-03-31 2005-03-31 ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の処理方法及びガンマブチロラクトンの製造方法 Active JP4918751B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005103834A JP4918751B2 (ja) 2005-03-31 2005-03-31 ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の処理方法及びガンマブチロラクトンの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005103834A JP4918751B2 (ja) 2005-03-31 2005-03-31 ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の処理方法及びガンマブチロラクトンの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006282563A JP2006282563A (ja) 2006-10-19
JP4918751B2 true JP4918751B2 (ja) 2012-04-18

Family

ID=37404844

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005103834A Active JP4918751B2 (ja) 2005-03-31 2005-03-31 ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の処理方法及びガンマブチロラクトンの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4918751B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109053427A (zh) * 2018-09-13 2018-12-21 天津市安凯特科技发展有限公司 一种麝香t解聚残渣的回收利用方法

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010184877A (ja) * 2009-02-10 2010-08-26 Mitsubishi Chemicals Corp カルボニル化合物の製造方法
CN103626647B (zh) * 2013-11-27 2015-12-02 青岛大学 以贝壳为原料的钙型干贝素合成方法
CN111909121B (zh) * 2020-08-31 2023-05-23 湖北仙盛科技股份有限公司 一种γ-丁内酯制备方法
CN113466357A (zh) * 2021-06-03 2021-10-01 魏万里 一种用于检测样品中γ-羟丁酸成分的方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5055599A (en) * 1989-06-23 1991-10-08 The Standard Oil Company Process for the hydrogenation of maleic anhydride to tetrahydrofuran and gamma-butyrolactone
JP2874016B2 (ja) * 1990-02-09 1999-03-24 東燃株式会社 γ―ブチロラクトンの製造法
JP4147741B2 (ja) * 1999-12-21 2008-09-10 三菱化学株式会社 アルコールの脱水素によるカルボニル化合物の製造方法
JP2002069064A (ja) * 2000-08-24 2002-03-08 New Japan Chem Co Ltd γ−ブチロラクトンの製造方法
JP2006137749A (ja) * 2004-10-14 2006-06-01 Mitsubishi Chemicals Corp エステルオリゴマーの分解方法及び炭素数4の化合物の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109053427A (zh) * 2018-09-13 2018-12-21 天津市安凯特科技发展有限公司 一种麝香t解聚残渣的回收利用方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006282563A (ja) 2006-10-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0888266B1 (en) Process for preparing 1,3-propanediol
CN105531245A (zh) 用于纯化包含2-甲酰基-呋喃-5-羧酸和2,5-呋喃二羧酸的酸组合物的方法
US9777109B2 (en) Process for producing polylactide
JP4918751B2 (ja) ガンマブチロラクトンの製造において副生する高沸点化合物の処理方法及びガンマブチロラクトンの製造方法
JPH06192758A (ja) 第viii族貴金属の回収方法
CN107903224A (zh) 酸性催化剂和加氢催化剂协同催化碳水化合物一锅法制备γ‑戊内酯
JP4048076B2 (ja) ミカエル型付加物の分解方法
JPH0940590A (ja) アセトアルデヒドの分離除去方法
JP6380018B2 (ja) フルフラールの製造方法
EP0410613A1 (en) Synthesis of alpha-hydroxy ketones
CN101379014A (zh) 制备链烷二醇的方法
JP4661157B2 (ja) ルテニウム含有廃液の減量化方法
JP2857055B2 (ja) 1,9−ノナンジアールの製造方法
JP3758226B2 (ja) ルテニウム錯体の分離回収方法
JP6458473B2 (ja) ラクトン類の製造方法
JP7060152B1 (ja) イオン液体のカチオン成分の回収方法およびイオン液体の再生方法
JP2006137749A (ja) エステルオリゴマーの分解方法及び炭素数4の化合物の製造方法
JP3637670B2 (ja) ルテニウム錯体の回収方法
JP2008167663A (ja) エステルオリゴマーの分解方法及び炭素数4の化合物の製造方法
JPH03261775A (ja) 2―ヒドロキシテトラヒドロフランの製造方法
JP3541542B2 (ja) 二量化アルデヒドの製造方法
KR20070064335A (ko) 에스테르 올리고머의 분해 방법 및 탄소수 4 의 화합물의제조 방법
JP4470358B2 (ja) カルボニル化合物の製造方法
EP4196458A1 (en) Glycerin-only reaction for allyl alcohol production
CN101519354B (zh) 1-羟基-2-甲基-4-乙酰氧基-2-丁烯的合成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080226

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20090619

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110712

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110909

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111004

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111205

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120104

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120117

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4918751

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150210

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350