JP4470358B2 - カルボニル化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルボニル化合物の製造方法に関し、より詳細には、アルコール類を脱水素してエステルなどのカルボニル化合物を製造する方法に関する。本発明は、特に1、4−ブタンジオールの脱水素によるガンマブチロラクトンの製造方法に於いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
現在までに、特定の遷移金属触媒の存在下、アルコールを脱水素してカルボニル化合物を製造する方法はいくつか提案されてきた。例えば、J.Organomet.Chem.,429(1992)269−274には、イリジウム−イソプロピルホスフィン錯体、ルテニウム−トリフェニルホスフィン錯体を触媒としてジオールを脱水素してラクトン化合物を得る反応が記載されており、J.Org.Chem.1987,52,4319−4327ではルテニウム−有機ホスフィン錯体触媒に加えて、アセトンなどの水素受容体を過剰量添加した反応が記載されている。しかしながら、これらの反応は水素受容体無しでは触媒活性が著しく低下し、反応を完結させるためには長時間必要であるという問題が残されていた。発明者らは鋭意検討を行った結果、特開2001−240595号に於いてトリアルキルホスフィン配位子を含むルテニウム錯体触媒を使用することで、水素受容体の添加無しに、アルコールの脱水素反応を行い、効率よくカルボニル化合物を製造する技術を開発するに至ったが、工業的に実施するための課題が全て解決されているとは言えなかった。
例えば、アルコールの脱水素によるカルボニル化合物の製造方法に於ける課題の一つに、アルデヒド類、ヘミアセタール類を含む軽沸分の副生が挙げられる。収率低下は経済性を低下させるのみならず、副生廃棄物を増加させる結果となる。そのためできる限りカルボニル化合物を選択率良く製造し、廃棄物の少ない効率の良いプロセスを構築することが重要である。そのため、アルデヒド類及び/又はヘミアセタール類を含む軽沸分を有効に利用し、ガンマブチロラクトンなどのカルボニル化合物を収率良く製造する方法が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
反応で生成するアルデヒド類及び/又はヘミアセタール類などの軽沸分を用いて、収率良くカルボニル化合物を得ることができる、効率の高い工業的に有利なカルボニル化合物の製造を行う方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、蒸留塔から留出する軽沸分を触媒が存在する反応器にリサイクルすることで、該軽沸分をカルボニル化合物に変換することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明の要旨は、カルボニル化合物の製造方法に於いて、分子内に含まれる任意の2つのヒドロキシル基が3〜6個の炭素鎖で結ばれたポリオール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させ、カルボニル化合物を蒸留精製し、且つ「カルボニル化合物を蒸留精製する工程」で得られる留出液が、軽沸分を1〜20wt%含有する留出液であり、該留出液を分子内に含まれる任意の2つのヒドロキシル基が3〜6個の炭素鎖で結ばれたポリオール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させる工程」に循環することを特徴とするカルボニル化合物の製造方法に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のカルボニル化合物の製造方法は、アルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させ、カルボニル化合物を蒸留生成し、且つ「カルボニル化合物を蒸留精製する工程」で得られる軽沸分を「アルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させる工程」に循環することを特徴とする。
【0006】
本発明におけるカルボニル化合物の製造方法としては、2価の1級アルコールから環状のカルボニル化合物を製造する場合、軽沸分をそのままカルボニル化合物の原料として用いることができるので特に好ましい。
本発明における「軽沸分」とは、主としてアルデヒド類及び/又はヘミアセタール類を含み、その他の微量成分を含んでも良い、生成物であるカルボニル化合物よりも沸点の低い成分である。その他の微量成分とは通常、カルボニル化合物の製造時に副生する成分、原料、触媒成分に含有される成分等であり、例えばテトラヒドロフラン、ジヒドロフラン、水、酢酸、酪酸などの環状エーテル類、酸類、水等を挙げることができる。なお、本発明において「軽沸分が、主としてアルデヒド類及び/又はヘミアセタール類である」とは、上述のその他の微量成分を含んでいて良く、アルデヒド類及び/又はヘミアセタール類が通常50%重量以上、好ましくは80重量%以上であることを示す。
【0007】
本発明における「軽沸分」は、どのような方法で得られたものでも良いが、特に1、4−ブタンジオールの脱水素によるガンマブチロラクトン製造法において好適である。なお、「軽沸分」は、沸点が生成物であるカルボニル化合物の沸点と近いためにカルボニル化合物との完全な分離が困難であり、蒸留塔塔頂からカルボニル化合物との混合物として抜き出される。該カルボニル化合物の混合物中、軽沸分の濃度は、通常20wt%〜0.1wt%であり、好ましくは10.0wt%〜1.0wt%であり、その他の微量成分の総濃度は通常2.0wt%〜0.01wt%であり、好ましくは1.0wt%〜0.1wt%である。軽沸分が多すぎると循環量が大となり循環に伴う負荷が増大し、また少なすぎる場合には循環して再利用する有効性が低減化してしまう。
【0008】
本発明にけるカルボニル化合物の製造方法は、アルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成する工程、カルボニル化合物を蒸留精製する工程、及び「カルボニル化合物を蒸留精製する工程」で得られる軽沸分を「アルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させる工程」に循環する工程を必須とし、その他の工程を含んでいても良い。『「カルボニル化合物を蒸留精製する工程」で得られる軽沸分を「アルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させる工程」に循環する』とは、「カルボニル化合物を蒸留精製する工程」で得られる軽沸分を「アルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させる工程」に戻すということであり、即ち軽沸分をリサイクルするということである。
【0009】
具体的には、「カルボニル化合物を蒸留精製する工程」において得られる留出液を「アルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させる工程」に循環するればよい。なお、該留出液の軽沸分の濃度は上述の通り、通常20wt%〜0.1wt%であり、好ましくは10.0wt%〜1.0wt%であり、「アルデヒド類及び/又はヘミアセタール類」以外の微量成分の総濃度は通常2.0wt%〜0.01wt%であり、好ましくは1.0wt%〜0.1wt%である。
【0010】
「カルボニル化合物を蒸留精製する工程」において得られる残留液は、軽沸分の含有率が通常1wt%以下、好ましくは0.1wt%以下である、原料であるアルコール類、触媒成分、などを含むカルボニル化合物である。軽沸分が多すぎると、蒸留の工程が不効率である。
本発明におけるアルコール類としては、アルコール及び多価アルコール類を意味し、具体的には、炭素数が1〜50の飽和または不飽和なアルコール、およびポリオール誘導体であって、特に炭素数1〜10の1級アルコール類又は1級ジオール類が好ましい。またこれらのアルコールおよびポリオール類は他の置換基を有していても良い。具体的にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、1―オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、3−ノナノール、4−ノナノール、5−ノナノール、1−デカノール、2−デカノール、3−デカノール、4−デカノール、5−デカノール、アリルアルコール、1−ブテノール、2−ブテノール、1−ペンテノール、2−ペンテノール、1−ヘキセノール、2−ヘキセノール、3−ヘキセノール、1−ヘプテノール、2−ヘプテノール、3−ヘプテノール、1−オクテノール、2−オクテノール、3−オクテノール、4−オクテノール、1−ノネノール、2−ノネノール、3−ノネノール、4−ノネノール、1−デセノール、2−デセノール、3−デセノール、4−デセノール、5−デセノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロヘプタノール、1−フェネチルアルコール、2−フェネチルアルコール、メタノールアミン、エタノールアミン、また、特に分子内に含まれる任意の2つのヒドロキシル基が3〜6個の炭素鎖で結ばれたポリオール類、具体的には1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキシルジメチロール、1,3−シクロヘキシルジメチロール、1−ヒドロキシメチル−2−ヒドロキシエチルシクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシプロピルシクロヘキサン、1−ヒドロキシル−2−ヒドロキシエチルシクロヘキサン、1,2−ベンジルジメチロール、1,3−ベンジルジメチロール、1−ヒドロキシメチル−2−ヒドロキシエチルベンゼン、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシプロピルベンゼン、1−ヒドロキシル−2−ヒドロキシエチルベンゼン等が好ましい。本発明においては、特に1,4−ブタンジオールが好ましい。
【0011】
アルコール類の脱水素によりカルボニル化合物を生成させる方法としては、例えば触媒によりアルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させる方法が挙げられる。特に1、4−ブタンジオールの脱水素によるガンマブチロラクトンの製造方法に用いられる触媒は、各種の助触媒で改良されたニッケル触媒、コバルト触媒、パラジウム触媒、銅触媒、銅−クロム触媒などの固体触媒を使用することも可能であるが、好ましくは均一系錯体触媒であり、更に好ましくはルテニウム錯体触媒であり、特に好ましくは有機リン配位子を有するルテニウム錯体触媒である。
【0012】
有機リン配位子を有するルテニウム錯体触媒のルテニウムの供給形態としては、金属及び化合物のいずれもが可能である。ルテニウム化合物として酸化物、水酸化物、あるいは錯化合物等が使用される。具体的には二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウム、水酸化ルテニウム、硝酸ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ルテニウム、ジメチルブタジエンアセチルアセトナトルテニウム、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ルテニウム、テトラカルボニルルテニウム酸ジカリウム、ペンタカルボニルルテニウム、シクロペンタジエニルジカルボニルルテニウム、ジブロモトリカルボニルルテニウム、ビス(トリ−n−ブチルホスフィン)トリカルボニルルテニウム、テトラヒドリドデカカルボニルテトラルテニウム、ドデカカルボニルトリルテニウム、オクタデカカルボニルヘキサルテニウム酸ジセシウム、ウンデカカルボニルヒドリドトリルテニウム酸テトラフェニルホスフォニウム、ジメチルブタジエンアセチルアセトナトルテニウム等が挙げられ、特に好ましくは、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ルテニウム、ジメチルブタジエンアセチルアセトナトルテニウムである。
【0013】
これらのルテニウム金属及び/又はルテニウム金属化合物の使用量は、反応液中の濃度が反応溶液1リットル中のルテニウム金属として0.0001〜0.1モル、好ましくは0.001〜0.1モルとなる量である。
ルテニウム錯体触媒に含まれる有機リン配位子としては、ホスフィン、ホスファイト、アミノホスフィン等が使用可能であるが、特にトリアルキルホスフィンが好ましく、例えば、トリデシルホスフィン、トリノニルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリヘプチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリペンチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリメチルホスフィン、ジメチルオクチルホスフィン、ジオクチルメチルホスフィン、ジメチルヘプチルホスフィン、ジヘプチルメチルホスフィン、ジメチルヘキシルホスフィン、ジヘキシルメチルホスフィン、ジメチルペンチルホスフィン、ジペンチルメチルホスフィン、ジメチルブチルホスフィン、ジブチルメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリベンジルホスフィン、ジメチルシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルメチルホスフィン、1、2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1、3−ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、1、4−ビス(ジメチルホスフィノ)ブタン、1、2−ビス(ジオクチルホスフィノ)エタン、1、3−ビス(ジオクチルホスフィノ)プロパン、1、4−ビス(ジオクチルホスフィノ)ブタン、1、2−ビス(ジヘキシルホスフィノ)エタン、1、3−ビス(ジヘキシルホスフィノ)プロパン、1、4−ビス(ジヘキシルホスフィノ)ブタン、1、2−ビス(ジブチルホスフィノ)エタン、1、3−ビス(ジブチルホスフィノ)プロパン、1、4−ビス(ジブチルホスフィノ)ブタン等の単座、複座、環状、及びアルキル基に置換基を持つホスフィン配位子等が挙げられ、それらの内、1級のアルキル基を持つトリアルキルホスフィンが好ましく、さらに好ましくはトリオクチルホスフィンである。本反応に使用するトリアルキルホスフィンのアルキル基はノルマル体、イソ体、及びその混合物でも差し支えない。
【0014】
「有機リン配位子を有するルテニウム錯体触媒」の合成方法としては、例えばルテニウムトリスアセチルアセトナートを水素雰囲気下あるいは加圧下、溶媒中あるいは溶媒非存在下でも差し支えなく、6モル倍以下の有機ホスフィン類と加熱攪拌することにより合成することができる。水素圧力は0.1MPa〜5MPaが好ましく、さらに好ましくは0.2MPa〜0.9MPaである。また触媒調製温度は50〜250℃が好ましく、さらに好ましくは100〜200℃である。
【0015】
本発明の方法に使用される有機リン配位子を有するルテニウム錯体触媒はあらかじめ合成、単離して用いても良い。また、その前駆体をそれぞれ単独に反応系に添加して、反応系内で触媒を調製して使用しても良い。
本発明における脱水素反応は、溶媒の存在なしに、すなわち反応原料(アルコール類)及び生成物(カルボニル化合物)そのものを溶媒として実施することが好ましいが、反応原料以外の溶媒を使用することもできる。例えば、ジエチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサンのエーテル類、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭素、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のカルボン酸アミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドその他のアミド類、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類、ジメチルスルホン等のスルホン類、ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシド類、カプロラクトン等のラクトン類、テトラグライム、トリグライム等のポリエーテル類、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル類等であり、好ましくはエーテル類、ポリエーテル類、および反応原料、生成物のアルコール、多価アルコール、エステル類である。
【0016】
脱水素反応の反応温度は150〜250℃、さらに好ましくは180〜220℃であり、通常液相で行われる。
本発明においては、開放系において反応で生成する水素を抜き出すことにより、脱水素反応を促進することができるが、常圧下あるいは加圧下、減圧下でも反応は進行し、水素、およびメタン、エタン、ブタンなどの炭化水素ガス、および窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などの不活性ガスなどの存在下で行うことができる。好ましくは開放系、減圧下、あるいは不活性ガス0.001MPa/G〜1MPa/G存在下、水素ガス0.001MPa/G〜1MPa/Gである。
【0017】
脱水素反応は回分方式および連続方式のいずれでも実施することができる。
アルコール類の脱水素により得られるカルボニル化合物は、原料のアルコール類に対応したカルボニル化合物であるが、例えば、ホルムアルデヒド、エタナール、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール等のアルデヒド類、2−プロパノン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、アダマンチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、アセチルアセトン等のジケトン類、ガンマブチロラクトン、バレロラクトン等のエステル類が挙げられ、好ましくはガンマブチロラクトン、バレロラクトン等のエステル類であり、特に好ましくはガンマブチロラクトンである。
【0018】
カルボニル化合物を蒸留精製する方法としては、蒸留塔を用いて加圧、常圧、減圧条件下、好ましくは多段蒸留を行う。蒸留塔塔頂部、上部側流抜き出し部等から軽沸点成分を留出液として抜き出し、高沸点成分を蒸留塔塔底部から残留液として抜き出し、沸点/蒸気圧の相違により留出液と残留液とに分離する。なお、蒸留の運転条件の詳細についてはプロセスの構成により異なるので、具体的なプロセスにそって後述する。
【0019】
本発明の軽沸分であるアルデヒド類及び/又はヘミアセタール類は有効中間体成分であり、循環することで目的カルボニル化合物の生成収率を向上させることができる。すなわち、より効率の高いカルボニル化合物の製造を達成することができる。
本発明のカルボニル化合物の製造方法の具体例としては、例えば下記工程1〜5を含む製造方法(以下「製法1」ということがある)が挙げられる。
工程1:アルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させる工程
工程2:工程1から液相を回収する工程
工程3:工程2で回収した液相を蒸留塔第1塔で蒸留し、留出液と残留液を得る工程
工程4:工程3で得られた留出液を蒸留塔第2塔で蒸留し、軽沸分を含有する留出液と、主としてカルボニル化合物からなる残留液を得る工程
工程5:工程4で得られた留出液を工程1へ循環する工程
図1に示すように、工程1からライン1に示す工程2を経て、蒸留塔第1塔へとカルボニル化合物製造液が導入される。カルボニル化合物製造液は蒸留塔第1塔に於ける工程3によりライン2で示す留出液と、ライン3で示す残留液に分離される。ライン2の留出液は蒸留塔第2塔へ導入され、ライン4で示す軽沸分を含有する留出液と、ライン5で示す主としてカルボニル化合物からなる残留液とに分離される。本発明に於いてはライン4で示す軽沸分を含有する留出液を工程5として工程1へと循環する。
【0020】
本発明に於ける製法1では工程1を実施する反応器から、抜き出し液成分を蒸留塔第1塔へ導入する工程2を経由する。該蒸留塔第1塔では、工程3として塔底から原料であるアルコール類、及び触媒を含む高沸成分を残留液として抜き出し、塔頂部からアルデヒド類、及び/又はヘミアセタール類を含む軽沸分とカルボニル化合物の混合液を留出液として留去し、次いで蒸留塔第2塔へと導入する。蒸留塔第2塔で工程4として塔頂部からアルデヒド類、及び/またはヘミアセタール類を含む軽沸分、及びカルボニル化合物を軽沸分を含有する留出液として抜き出し、且つ、塔底部から精製された主としてカルボニル化合物からなる残留液を得る。塔頂部から抜き出される軽沸分を含有する留出液は工程5として工程1を実施する反応器へと循環する。
【0021】
上記工程1はアルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させる工程であり、詳細は上述の通り。
上記工程2においては、工程1で得られる反応液を工程3の蒸留塔第1塔へと導入する。工程1においては通常、反応が進行する液相部分と、反応により発生する水素ガスが存在する気相部分とに分離している。本工程では工程1における液相部分を抜き出すことを行う。該反応における反応液相中には原料である1,4−ブタンジオール、生成物であるガンマブチロラクトンの他に、軽沸分としてテトラヒドロフラン、4−ヒドロキシブタナール等のアルデヒド類、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン等のヘミアセタール類を含み、また触媒成分、高沸点成分等が含まれる。
上記工程3における蒸留塔第1塔では、蒸留塔の塔頂圧力は任意であるが、減圧蒸留塔が好ましく、塔頂圧力は1〜200mmHgが好ましく、更に好ましくは1〜100mmHgであり、特に好ましくは1〜50mmHgである。また塔頂温度は、軽沸分の内、アルデヒド類及びヘミアセタール類の副反応を低減化するために、低温度であることが好ましく、好ましくは200℃以下であり、更に好ましくは150℃以下であり、特に好ましくは120℃以下である。また塔頂冷却コスト、凍結防止の観点から、5℃以上であることが好ましい。塔頂から抜き出される軽沸分の内、4−ヒドロキシブタナール等のアルデヒド類、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン等のヘミアセタール類の塔内での反応抑制の観点から、塔内での反応時間をできる限り低減化することが好ましく、アルデヒド類及びヘミアセタール類の塔内滞留時間に影響を与える還流比は低い方がよい。好ましくは還流比100〜1であり、特に好ましくは30〜1である。本発明において規定する蒸留塔物質収支は、単位時間当たりの反応器抜き出し液成分である蒸留塔導入流量を重量で100とした場合に、単位時間当たりの塔頂留出流量を90〜20、好ましくは80〜30とし、塔底からの単位時間当たりの抜き出し流量を80〜10とすることが好ましい。蒸留塔は充填塔、棚段塔のいずれもが使用可能であるが、多段蒸留であることが好ましく、蒸留塔理論段で10段以上であることが好ましく、更に好ましくは20〜50段である。50段以上の蒸留塔は蒸留塔建設のための経済性、及び運転、安全管理のため好ましくない。
【0022】
上記工程4においては、蒸留塔第2塔により塔頂部からアルデヒド類、及び/またはヘミアセタール類を含む軽沸分及びカルボニル化合物を、軽沸分を含有する留出液として抜き出し、且つ、塔底部から精製された主としてカルボニル化合物からなる残留液を得る。蒸留塔の塔頂圧力は任意であるが、減圧蒸留塔が好ましく、塔頂圧力は1〜200mmHgが好ましく、更に好ましくは1〜100mmHgであり、特に好ましくは1〜50mmHgである。また塔頂温度は、軽沸分の内、アルデヒド類及びヘミアセタール類の副反応を低減化するために、低温度であることが好ましく、好ましくは150℃以下であり、更に好ましくは120℃以下であり、特に好ましくは100℃以下である。また塔頂冷却コスト、凍結防止の観点から、5℃以上であることが好ましい。本工程において蒸留塔塔頂部から抜き出され、反応器へと循環される軽沸分を含有する留出液の内、本発明に於いて対象となる軽沸分とはアルデヒド類及び/又はヘミアセタール類であり、これらはアルコール類、多価アルコール類から誘導されるアルデヒド類、ヘミアセタール類であり、且つ、製品のカルボニル化合物よりも軽沸点の物質で有れば任意である。具体的にはアルデヒド類としてホルムアルデヒド、エタナール、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、オクタナール、デカナール、ベンジルアルデヒド、また、特に分子内に含まれる任意の2つのヒドロキシル基が3−6個の炭素鎖で結ばれたポリオール類から誘導されるアルデヒド類が好ましく、具体的には1−ヒドロキシプロパナール、1−ヒドロキシブタナール、1−ヒドロキシヘキサナール等が挙げられる。特に好ましくは1、4−ブタンジオールから誘導される1−ヒドロキシブタナールである。ヘミアセタール類としては、上記アルデヒド類と原料のアルコール類から誘導されるヘミアセタール類、または分子内に水酸基とアルデヒド類を有する1−ヒドロキシプロパナール、1−ヒドロキシブタナール、1−ヒドロキシヘキサナール等と平衡を形成するものが好ましく、特に好ましくは2−ヒドロキシテトラヒドロフランである。これらのアルデヒド類及び/又はヘミアセタール類を蒸留塔塔頂部から軽沸点成分として抜き出し、反応器へと循環する。塔頂から抜き出される軽沸分の内、4−ヒドロキシブタナール等のアルデヒド類、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン等のヘミアセタール類の塔内での反応抑制の観点から、塔内での反応時間をできる限り低減化することが好ましく、アルデヒド類及びヘミアセタール類の塔内滞留時間に影響を与える還流比は低い方がよい。好ましくは還流比10〜1であり、特に好ましくは5〜1である。本発明において規定する蒸留塔物質収支は、単位時間当たりの蒸留塔第2塔導入流量を重量で100とした場合に、単位時間当たりの塔頂留出流量を40〜1、好ましくは30〜10とし、塔底からの単位時間当たりの抜き出し流量を99〜60とすることが好ましい。その際、塔頂からの留出量を多くしすぎると生産性が著しく低下することになり、反応器へと循環する軽沸点成分を含むカルボニル化合物の混合物中のカルボニル化合物組成をできるだけ低減化した方が、循環量を抑制でき、経済的に好適である。経済性の観点から好ましくない。蒸留塔は充填塔、棚段塔のいずれもが使用可能であるが、多段蒸留であることが好ましく、蒸留塔理論段で5段以上であることが好ましく、更に好ましくは10〜50段である。50段以上の蒸留塔は蒸留塔建設のための経済性、及び運転、安全管理のため好ましくない。製品化カルボニル化合物の純度、及び以後の精製系負担の観点から、工程4における主としてカルボニル化合物からなる残留液が、軽沸分の含有率が1wt%以下であるカルボニル化合物であることが好ましく、より好ましくは0.1wt%以下である。
【0023】
上記工程5においては、工程4において塔頂部から軽沸分を含有する留出液として抜き出されたアルデヒド類、及び/またはヘミアセタール類を含む軽沸分及びカルボニル化合物を、工程1に循環するものである。工程3、4と同様に塔頂から抜き出される軽沸分の内、4−ヒドロキシブタナール等のアルデヒド類、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン等のヘミアセタール類の工程5での反応抑制の観点から、低温度での循環が好ましく、好ましくは120℃以下であり、特に好ましくは100℃以下の循環である。また過度の低温度での運転は経済的に不利であり、5℃以上の温度が好ましい。
【0024】
また、本発明のカルボニル化合物の製造方法の具体例としては、例えば下記工程1〜4を含む製造方法(以下「製法2」ということがある)が挙げられる。
工程1:アルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させる工程
工程2:工程1から液相を回収する工程
工程3:工程2で回収した液相を蒸留塔第1塔で蒸留し、塔頂部から軽沸分を含有する留出液、側留部から主としてカルボニル化合物からなる留出液、塔底から残留液を得る工程
工程4:工程3で塔頂部から得られた軽沸分を含有する留出液を工程1へ循環する工程
図2に示すように、工程1からライン1に示す工程2を経て、蒸留塔第1塔へとカルボニル化合物製造液が導入される。カルボニル化合物製造液は蒸留塔第1塔に於ける工程3によりライン2で示す軽沸分を含有する留出液と、ライン3で示す側留部から主としてカルボニル化合物からなる留出液、ライン4で示される塔底からの残留液に分離される。これらのうち、ライン2で示す軽沸分を含有する留出液は本発明に於いて工程4として工程1へと循環する。
【0025】
製法2の工程1は製法1の工程1と同様である。
製法2の工程2は製法1の工程2と同様である。
上記工程3における蒸留塔第1塔では、蒸留塔の塔頂圧力は任意であるが、減圧蒸留塔が好ましく、塔頂圧力は1〜200mmHgが好ましく、更に好ましくは1〜100mmHgであり、特に好ましくは1〜50mmHgである。また塔頂温度は、軽沸分の内、アルデヒド類及びヘミアセタール類の副反応を低減化するために、低温度であることが好ましく、好ましくは200℃以下であり、更に好ましくは150℃以下であり、特に好ましくは120℃以下である。また塔頂冷却コスト、凍結防止の観点から、5℃以上であることが好ましい。塔頂から抜き出される軽沸分の内、4−ヒドロキシブタナール等のアルデヒド類、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン等のヘミアセタール類の塔内での反応抑制の観点から、塔内での反応時間をできる限り低減化することが好ましく、アルデヒド類及びヘミアセタール類の塔内滞留時間に影響を与える還流比は低い方がよい。好ましくは還流比100〜1であり、特に好ましくは30〜1である。本工程において蒸留塔塔頂部から抜き出され、反応器へと循環される軽沸分を含有する留出液の内、本発明に於いて対象となる軽沸分とは製法1の工程4における軽沸分と同義であり、アルデヒド類及び/又はヘミアセタール類である。これらはアルコール類、多価アルコール類から誘導されるアルデヒド類、ヘミアセタール類であり、且つ、製品のカルボニル化合物よりも軽沸点の物質で有れば任意である。これらのアルデヒド類及び/又はヘミアセタール類を蒸留塔塔頂部から軽沸点成分として抜き出し、反応器へと循環する。塔頂から抜き出される軽沸分の内、4−ヒドロキシブタナール等のアルデヒド類、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン等のヘミアセタール類の塔内での反応抑制の観点から、塔内での反応時間をできる限り低減化することが好ましく、アルデヒド類及びヘミアセタール類の塔内滞留時間に影響を与える還流比は低い方がよい。好ましくは還流比10〜1であり、特に好ましくは5〜1である。本発明において規定する蒸留塔物質収支は、単位時間当たりの本工程の蒸留塔導入流量を重量で100とした場合に、単位時間当たりの塔頂留出流量を30〜1、好ましくは20〜5とし、ライン3で示す側留部から主としてカルボニル化合物からなる留出液を98〜50より好ましくは80〜60とし、ライン4で示される塔底からの残留液の単位時間当たりの抜き出し流量を20〜1とすることが好ましく、より好ましくは15〜5である。その際、塔頂からの留出量を多くしすぎると生産性が著しく低下することになり、反応器へと循環する軽沸点成分を含むカルボニル化合物の混合物中のカルボニル化合物組成をできるだけ低減化した方が、循環量を抑制でき、経済的に好適である。蒸留塔は充填塔、棚段塔のいずれもが使用可能であるが、多段蒸留であることが好ましく、蒸留塔理論段で5段以上であることが好ましく、更に好ましくは10〜50段である。50段以上の蒸留塔は蒸留塔建設のための経済性、及び運転、安全管理のため好ましくない。また、軽沸分の内、4−ヒドロキシブタナール等のアルデヒド類、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン等のヘミアセタール類の工程3以降の精製系に於ける蒸留塔内での反応抑制のための負荷増加を回避するという観点から、工程3におけるライン3で示す側留部から抜き出す主としてカルボニル化合物からなる留出液が、軽沸分の含有率が1wt%以下であるカルボニル化合物であることが好ましく、より好ましくは0.5wt%以下である。
【0026】
製法2の工程4は製法1の工程5と同様である。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
(i)500mLのSUS製オートクレーブにルテニウムトリス(アセチルアセトナト)40.6g、及び6モル当量のトリ−n−オクチルホスフィン225.1gを導入し、水素圧0.8MPaで水素ガスを導入しながら、150℃で、3時間熱処理し、ルテニウム錯体触媒を調製した。
【0028】
(ii)攪拌器、冷却管、温度測定装置、サンプリング口を設置した300mLの4つ口フラスコ中に1,4−ブタンジオール101.2gを加え、205℃まで昇温した。次いで、上記ルテニウム錯体触媒を0.90g加え、203℃で4時間加熱攪拌した(Ru金属濃度1000重量ppm)。その結果、1,4−ブタンジオール31.2重量%であり、γ−ブチロラクトン57.1重量%、4−ヒドロキシブタナール、2−ヒドロキシテトラヒドロフランを合計で0.4重量%、テトラヒドロフラン等その他微量軽沸分を0.05重量%、触媒成分などその他高沸分を11.2重量%から成る反応液を得た。
【0029】
(iii)本反応液を30段のガラス製オルダーショウ蒸留塔に、塔頂から数えて10段目から100g/hrで導入し、塔頂圧力を40mmHg、還流比を1.45とし、また導入部の内温度(塔頂から導入する反応液の温度)を125℃に保ち、連続運転を行った。
塔頂から80g/hrの低沸点成分を抜き出し、塔底から20g/hrで高沸点成分を抜き出した。このとき、塔頂温度は110.6℃、反応液を導入した塔頂から10段目の温度は115.3℃、塔底温度は140.1℃であった。
塔頂抜き出し液の組成は、4−ヒドロキシブタナール、2−ヒドロキシテトラヒドロフランを合計で0.8重量%含み、且つテトラヒドロフラン、ジヒドロフランなどのその他微量成分を合計で0.1重量%含む、ガンマブチロラクトン純度99.1%のガンマブチロラクトン混合物であった。
【0030】
(iv)次に該塔頂抜き出し液を用いて、10段のガラス製オルダーショウ蒸留塔に、塔頂から数えて1段目から100g/hrで導入し、塔頂圧力を10mmHg、還流比を0.93とし、また導入部の内温度(塔頂から導入する反応液の温度)を25℃に保ち、連続運転を行った。
塔頂から21g/hrで低沸点成分を抜き出し、塔底から79g/hrで高沸点成分を抜き出した。このとき、塔頂温度は77.9℃、塔底温度は100.7℃であった。
塔頂抜き出し液の組成は、4−ヒドロキシブタナール、2−ヒドロキシテトラヒドロフランを合計で3.0重量%含み、且つテトラヒドロフラン、ジヒドロフランなどのその他微量成分を合計で0.4重量%含む、ガンマブチロラクトン純度96.2%のガンマブチロラクトン混合物であった。その際、蒸留塔塔底から得られた残留液組成は4−ヒドロキシブタナール、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン等の軽沸分を合計で0.03重量%含む、純度99.97%のガンマブチロラクトンであった。
【0031】
(v)攪拌器、冷却管、温度測定装置、サンプリング口を設置した300mLの4つ口フラスコ中に上記(iv)で得た蒸留塔塔頂抜き出し液100.3gを加え、200℃まで昇温した。次いで、上記ルテニウム錯体触媒を2.65g加え、203℃で5時間加熱攪拌した(Ru金属濃度1000重量ppm)。その結果、4−ヒドロキシブタナール、2−ヒドロキシテトラヒドロフランの転化率は100モル%であり、ガンマブチロラクトンの選択率は86.1モル%であった。
【0032】
実施例2
40段のガラス製オルダーショウ蒸留塔に、実施例1の(ii)で得た1,4−ブタンジオール31.2重量%、γ−ブチロラクトン57.1重量%、4−ヒドロキシブタナール、2−ヒドロキシテトラヒドロフランを合計で0.4重量%、テトラヒドロフラン等その他微量軽沸分を0.05重量%、触媒成分などその他高沸分を11.2重量%から成る反応液を100g/hrで導入し、塔頂圧力を40mmHg、還流比を22.5とし、また導入部の内温度(塔頂から導入する粗ガンマブチロラクトンの温度)を125℃に保ち、連続運転を行った。
【0033】
塔頂から10g/hrの低沸点成分を抜き出し、塔頂より10段目から60g/hrの精製ガンマブチロラクトンを抜き出し、塔底から30g/hrで高沸点成分を抜き出した。このとき、塔頂温度は118.1℃、精製ガンマブチロラクトンを抜き出した塔頂から10段目の温度は123.3℃、塔底温度は152.5℃であった。
【0034】
軽沸分を含む塔頂抜き出し液の組成は、4−ヒドロキシブタナール、2−ヒドロキシテトラヒドロフランを合計で9.7重量%含み、且つテトラヒドロフラン、ジヒドロフランなどのその他微量成分を合計で1.0重量%含む、ガンマブチロラクトン純度88.3%のガンマブチロラクトン混合物であった。
攪拌器、冷却管、温度測定装置、サンプリング口を設置した300mLの4つ口フラスコ中に、該蒸留塔塔頂抜き出し液100.3gを加え、200℃まで昇温した。次いで、実施例1の(i)で調製したルテニウム錯体触媒を2.65g加え、200℃で5時間加熱攪拌した(Ru金属濃度1000重量ppm)。その結果、4−ヒドロキシブタナール、2−ヒドロキシテトラヒドロフランの転化率は100モル%であり、ガンマブチロラクトンの選択率は90.3モル%であった。
【0035】
[考察]
実施例1、2より、4−ヒドロキシブタナール、2−ヒドロキシテトラヒドロフラン等の軽沸点アルデヒド類、ヘミアセタール類を廃棄することなく、脱水素反応工程へ循環することにより、より選択率高く経済的に優位に目的とするカルボニル化合物を製造することができることがわかった。
【0036】
【発明の効果】
本発明により、反応で生成するアルデヒド類及び/又はヘミアセタール類などの軽沸分を用いて、収率良くカルボニル化合物を得ることができる、効率の高い工業的に有利なカルボニル化合物の製造を行う方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のカルボニル化合物の製造方法の一例を示す行程図である。
【図2】 本発明のカルボニル化合物の製造方法の一例を示す行程図である。
【符号の説明】
1:ライン1
2:ライン2
3:ライン3
4:ライン4
5:ライン5
A:反応器
B:蒸留塔第1塔
C:蒸留塔第2塔

Claims (8)

  1. カルボニル化合物の製造方法に於いて、分子内に含まれる任意の2つのヒドロキシル基が3〜6個の炭素鎖で結ばれたポリオール類を脱水素して環状のカルボニル化合物を生成させ、環状のカルボニル化合物を蒸留精製し、且つ「環状のカルボニル化合物を蒸留精製する工程」で得られる留出液が、ヘミアセタール類を1〜20wt%含有する留出液であり、該留出液を「分子内に含まれる任意の2つのヒドロキシル基が3〜6個の炭素鎖で結ばれたポリオール類を脱水素して環状のカルボニル化合物を生成させる工程」に循環することを特徴とするカルボニル化合物の製造方法。
  2. 環状のカルボニル化合物を蒸留精製する工程」において得られる残留液が、ヘミアセタール類の含有率が1wt%以下である純度99wt%以上の環状のカルボニル化合物である請求項1に記載の製造方法。
  3. 下記工程1〜5を含む請求項1又は2に記載の製造方法。
    工程1:分子内に含まれる任意の2つのヒドロキシル基が3〜6個の炭素鎖で結ばれたポリオール類を脱水素して環状のカルボニル化合物を生成させる工程
    工程2:工程1から液相を回収する工程
    工程3:工程2で回収した液相を蒸留塔第1塔で蒸留し、留出液と残留液を得る工程
    工程4:工程3で得られた留出液を蒸留塔第2塔で蒸留し、ヘミアセタール類を含有する留出液と、主として環状のカルボニル化合物からなる残留液を得る工程
    工程5:工程4で得られた留出液を工程1へ循環する工程
  4. 下記工程1〜4を含む請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
    工程1:分子内に含まれる任意の2つのヒドロキシル基が3〜6個の炭素鎖で結ばれたポリオール類を脱水素して環状のカルボニル化合物を生成させる工程
    工程2:工程1から液相を回収する工程
    工程3:工程2で回収した液相を蒸留塔第1塔で蒸留し、塔頂部からヘミアセタール類を含有する留出液、側留部から主として環状のカルボニル化合物からなる留出液、塔底から残留液を得る工程
    工程4:工程3で塔頂部から得られたヘミアセタール類を含有する留出液を工程1へ循環する工程
  5. 分子内に含まれる任意の2つのヒドロキシル基が3〜6個の炭素鎖で結ばれたポリオール類の脱水素による環状のカルボニル化合物の生成が、有機リン配位子を有するルテニウム錯体触媒を用いた分子内に含まれる任意の2つのヒドロキシル基が3〜6個の炭素鎖で結ばれたポリオール類の脱水素による環状のカルボニル化合物の生成である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 有機リン配位子が、トリアルキルホスフィンである請求項5に記載の製造方法。
  7. 分子内に含まれる任意の2つのヒドロキシル基が3〜6個の炭素鎖で結ばれたポリオール類が、1級ジオール類である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  8. 分子内に含まれる任意の2つのヒドロキシル基が3〜6個の炭素鎖で結ばれたポリオール類が、1,4−ブタンジオールであり、環状のカルボニル化合物がガンマブチロラクトンであり、且つ、ヘミアセタール類が主として2−ヒドロキシテトラヒドロフランである請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
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