JP2006137749A - エステルオリゴマーの分解方法及び炭素数4の化合物の製造方法 - Google Patents

エステルオリゴマーの分解方法及び炭素数4の化合物の製造方法 Download PDF

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【課題】本発明の課題は、コハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマー(高沸点化合物)、特にガンマブチロラクトンの製造方法で副生する高沸点化合物(エステルオリゴマー)を分解する方法を提供すること、更には工業的に有利なC4製品群、特にガンマブチロラクトンの製造方法を提供することである。
【解決手段】コハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、各構成成分に分解するとともに1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換、及び/又はエステルオリゴマーの構成成分として4−ヒドロキシ酪酸を含有する場合は4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換するエステルオリゴマーの分解方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エステルオリゴマーの分解方法及び炭素数4の化合物の製造方法に関する。
炭素数4つからなる化学製品群(C4製品群)は、ガンマブチロラクトン、1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフラン、コハク酸、N−メチルピロリドンなど各種溶剤、ポリマー原料に使用される重要な中間体群であり、近年益々需要が増加している。特にガンマブチロラクトンはそれ自体優れた溶媒として使用されるだけでなく、ピロリドン類など様々な物質の重要中間体として有用であり、そのため、各種製造プロセスの開発が行われてきた。例えば特開平3−26340号公報、特開平3−232874号公報に示すように、無水コハク酸の水素化反応や1.4−ブタンジオールの脱水素反応が開発されている。またルテニウム錯体触媒を用いた同じく無水コハク酸の水素化反応(Journal of catalysis 194, 188-197, 2000)、及び1,4−ブタンジオールの脱水素反応(特開2001−240595号公報)が報告されている。これらガンマブチロラクトンの製造方法は収率良く進行することが多いが、高沸点化合物を副生物として生成することがあり、原料となる無水コハク酸、コハク酸、1,4−ブタンジオール、無水マレイン酸等のコストを押し上げていた。そのため、これら副生する高沸点化合物を分解し原料を再生することができれば、より効率の高いガンマブチロラクトンの製造方法を確立することができる。そのため、このような方法が求められてきた。
特開平3−26340号公報 特開平3−232874号公報 特開2001−240595号公報 Journal of catalysis 194, 188-197, 2000
本発明の目的は、コハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマー(高沸点化合物)、特にガンマブチロラクトンの製造方法で副生する高沸点化合物(エステルオリゴマー)を分解する方法を提供すること、更には工業的に有利なC4製品群、特にガンマブチロラクトンの製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、C4製品群、特にガンマブチロラクトン製造で副生する高沸点化合物がコハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーであることを見出し、該高沸点化合物(エステルオリゴマー)を含む水溶液を、固体酸触媒で処理することで、該高沸点化合物(エステルオリゴマー)の構成成分であるコハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを含む水溶液に分解される(加水分解できる)ことを見出した。しかしながら、(該高沸点化合物を分解して得られた)コハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを共存させておくと高沸点化合物(エステルオリゴマー)に変換されることも見出した。コハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールが高沸点化合物(エステルオリゴマー)に変換されると、各構成成分を分離することができず、それらを利用することができない。そこで更に、コハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールが高沸点化合物(エステルオリゴマー)に変換されることを防ぐべく鋭意検討した結果、高沸点化合物(エステルオリゴマー)を加温下、固体酸触媒と接触させることにより、各構成成分に分解するとともに1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換でき、また4−ヒドロキシ酪酸を含有する場合は4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換することができることを見出した。またコハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びにテトラヒドロフランは共存しても高沸点化合物(エステルオリゴマー)は生成せず、ガンマブチロラクトンと1,4−ブタンジオールが共存しても高沸点化合物(エステルオリゴマー)は生成しないことを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明の要旨は下記(1)〜(15)に存する。
(1) コハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、各構成成分に分解するとともに1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換、及び/又はエステルオリゴマーの構成成分として4−ヒドロキシ酪酸を含有する場合は4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換するエステルオリゴマーの分解方法。
(2) コハク酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、コハク酸及び1,4−ブタンジオールに分解するとともに1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換するエステルオリゴマーの分解方法。
(3) 4−ヒドロキシ酪酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、4−ヒドロキシ酪酸と1,4−ブタンジオールに分解するとともに4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換するエステルオリゴマーの分解方法。
(4) 加温が80〜200℃であり、固体酸触媒との接触時間が1〜20時間である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエステルオリゴマーの分解方法。
(5) エステルオリゴマーの水溶液が、リン濃度1wtppm〜400wtppmの水溶液である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のエステルオリゴマーの分解方法。
(6) エステルオリゴマーの水溶液が、ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応、又はジオールの脱水素反応により炭素数4の化合物を製造する際に副生する高沸点化合物の水溶液である上記(1)〜(5)のいずれかに記載のエステルオリゴマーの分解方法。
(7) 炭素数4の化合物がガンマブチロラクトン、1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフラン、コハク酸、及び無水コハク酸のうち少なくとも1種であることを特徴とする上記(6)に記載のエステルオリゴマーの分解方法。
(8) 炭素数4の化合物がガンマブチロラクトンであることを特徴とする上記(6)に記載のエステルオリゴマーの分解方法。
(9) 固体酸触媒が、スルホン基を有する陽イオン交換樹脂であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載のエステルオリゴマーの分解方法。
(10) コハク酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、コハク酸とテトラヒドロフランに分解するコハク酸の製造方法。
(11) 4−ヒドロキシ酪酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、ガンマブチロラクトンとテトラヒドロフランに分解するガンマブチロラクトンの製造方法。
(12) ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応により炭素数4の化合物を製造する方法であって、炭素数4の化合物を製造する際に副生する高沸点化合物を含有する水溶液を、コハク酸及びテトラヒドロフランに分解し、コハク酸をジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応に導入する炭素数4の化合物の製造方法。
(13) ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応により炭素数4の化合物を製造する方法であって、炭素数4の化合物を製造する際に副生する高沸点化合物を含有する水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、高沸点化合物をコハク酸及びテトラヒドロフランに分解し、水及びテトラヒドロフランを蒸留分離し、得られたコハク酸水溶液をジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応に導入することを特徴とする炭素数4の化合物の製造方法。
(14) ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応、又はジオールの脱水素反応により炭素数4の化合物を製造する方法が、均一系ルテニウム錯体触媒を用いて無水コハク酸、コハク酸、無水マレイン酸のいずれか一つ、あるいは複数の水素化反応により、あるいは1,4−ブタンジオールの脱水素により、ガンマブチロラクトンを製造する方法である上記(12)又は(13)のいずれかに記載の炭素数4の化合物の製造方法。
(15) 炭素数4の化合物を製造する際に副生する高沸点化合物を含有する水溶液が、ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応、又はジオールの脱水素反応により得られる反応液から炭素数4の化合物及び反応溶媒を除去して得た副生高沸点化合物を含有する触媒液に、水及び非極性溶媒を添加して抽出処理し、得られた複数相の内の水相である上記(12)〜(14)のいずれかに記載の炭素数4の化合物の製造方法。
本発明は回分、半回分、連続方式のいずれの形式にも使用することができる。以下、その詳細について説明する。
本発明により、コハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマー(高沸点化合物)、特にガンマブチロラクトンの製造方法で副生する高沸点化合物(エステルオリゴマー)を分解する方法を提供すること、更には工業的に有利なC4製品群、特にガンマブチロラクトンの製造方法を提供することができる。
本発明のエステルオリゴマーの分解方法は、コハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、各構成成分に分解するとともに1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換、及び/又はエステルオリゴマーの構成成分として4−ヒドロキシ酪酸を含有する場合は4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換することを特徴とする。
なお、本発明の実施形態として、以下の(i)〜(iii)が挙げられる。
(i) コハク酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、コハク酸とテトラヒドロフランに分解するコハク酸の製造方法。
(ii) 4−ヒドロキシ酪酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、ガンマブチロラクトンとテトラヒドロフランに分解するガンマブチロラクトンの製造方法。
(iii) ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応により炭素数4の化合物を製造する方法であって、炭素数4の化合物を製造する際に副生する高沸点化合物を含有する水溶液を、コハク酸及びテトラヒドロフランに分解し、コハク酸をジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応に導入する炭素数4の化合物の製造方法。
本発明における「コハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマー」とは、1,4−ブタンジオール、コハク酸、及び4−ヒドロキシ酪酸が脱水縮合して生成するエステル結合で架橋されたエステルオリゴマー、及びその混合物である。該エステルオリゴマーは、1,4−ブタンジオール、コハク酸、及び4−ヒドロキシ酪酸由来の構成単位からなり、2以上、20以下の構成単位からなるエステルオリゴマーが好ましい。これら構成単位数が1つのみ、即ち1,4−ブタンジオール、コハク酸、4−ヒドロキシ酪酸などのモノマーであれば分解する必要はなく、多すぎると分解するための反応条件が過酷となり高温反応によるイオン交換樹脂の劣化、反応器の長大化、反応時間の長大化により経済性の悪化したプロセスとなる。また通常の水素化反応や脱水素反応等では構成単位が20を超える高沸点化合物は生成しないものと考えている。エステルオリゴマーを構成する構成単位は、2種以上であり、通常は2〜4種である。 これらエステルオリゴマーは、例えば炭素数4の化合物の製造時に副生する高沸点化合物が挙げられ、具体的には、以下のような化合物群である。但し、これらに限定されるものではない。
Figure 2006137749
固体触媒を使用したコハク酸または無水コハク酸の水素化反応によるガンマブチロラクトン、1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフランの製造方法、無水マレイン酸の水素化反応によるガンマブチロラクトン、1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフラン、コハク酸、無水コハク酸の製造方法、1,4−ブタンジオールの脱水素反応によるガンマブチロラクトンの製造方法、均一系錯体触媒を用いたコハク酸または無水コハク酸の水素化反応によるガンマブチロラクトン、1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフランの製造方法、無水マレイン酸の水素化反応、あるいは均一系錯体触媒を用いた1,4−ブタンジオールの脱水素反応によるガンマブチロラクトンの製造方法などを含む炭素数4の化合物の製造法などで副生する高沸点化合物が挙げられる。
上記炭素数4の化合物の製造法は気相、液相、固体触媒、錯体触媒のいずれでも差し支えない。炭素数4の化合物としてはガンマブチロラクトン、1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフラン、フラン、ジヒドロフラン、コハク酸、無水コハク酸、が挙げられ、好ましくはガンマブチロラクトン、1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフラン、コハク酸、無水コハク酸であり、とくに好ましくはガンマブチロラクトンである。本発明は上記全ての上記炭素数4の化合物の製造法に適用可能であるが、好ましくは固体触媒を使用したコハク酸または無水コハク酸の水素化反応によるガンマブチロラクトン、1,4−ブタンジオールの製造方法、無水マレイン酸の水素化反応によるガンマブチロラクトン、1,4−ブタンジオールの製造方法、1,4−ブタンジオールの脱水素反応によるガンマブチロラクトンの製造方法、均一系錯体触媒を用いたコハク酸または無水コハク酸の水素化反応によるガンマブチロラクトンの製造方法、無水マレイン酸の水素化反応によるガンマブチロラクトンの製造方法、1,4−ブタンジオールの製造方法、1,4−ブタンジオールの脱水素反応によるガンマブチロラクトンの製造方法であり、特に好ましくは固体触媒を使用したコハク酸または無水コハク酸の水素化反応によるガンマブチロラクトン製造方法、均一系錯体触媒を用いたコハク酸または無水コハク酸の水素化反応によるガンマブチロラクトンの製造方法で副生するものである。
以下、上記反応に関して説明する。これらの反応は生成物に関わらず4つの形式に分類することができる。すなわち、1)固体触媒を用いた水素化反応、2)固体触媒を用いた脱水素反応、3)錯体触媒を用いた水素化反応、4)錯体触媒を用いた脱水素反応である。それぞれについて説明する。固体触媒を使用する水素化反応の場合には、銅−クロム、銅−亜鉛、銅−アルミ、銅−金属酸化物系の固体触媒が好ましく、液相あるいは気相での反応条件が採用され、特に無水マレイン酸、マレイン酸、無水コハク酸、コハク酸、ガンマブチロラクトンの水素化反応に好適であり、得られる製品は無水コハク酸、コハク酸、ガンマブチロラクトン、1,4−ブタンジオールなどである。本反応は通常1MPa〜10MPaの水素圧下で実施され、反応温度は150℃〜300℃である。反応後液から製品は蒸留、晶析、溶媒による吸収などにより精製される。一方、固体触媒を用いた脱水素反応も同じく、銅−クロム、銅−亜鉛、銅−アルミ、銅−金属酸化物系の固体触媒が好ましく、通常気相での反応条件が採用され、1,4−ブタンジオールの脱水素によるガンマブチロラクトンの製造方法に好適である。本反応は通常0.01MPa〜1MPaの圧力下で実施され、反応で副生した水素雰囲気下で行なわれる。反応温度は150℃〜300℃であり、反応後液から製品が蒸留により精製される。錯体触媒を用いた水素化反応はルテニウム錯体触媒が好ましく、通常配位子としてリン化合物を含有する。液相の反応条件が採用され、特に無水コハク酸、コハク酸の水素化によるガンマブチロラクトンの製造方法に好適である。反応温度は100℃〜250℃、1MPa〜5MPaの水素圧下で実施される。製品は本反応後液から蒸留、晶析、溶媒による吸収などにより精製される。また錯体触媒を用いた脱水素化反応も同じくルテニウム錯体触媒が好ましく、通常配位子としてリン化合物を含有する。液相の反応条件が採用され、特に1,4−ブタンジオールの脱水素化によるガンマブチロラクトンの製造方法に好適である。本反応は通常0.01MPa〜1MPaの圧力下で実施され、反応で副生した水素雰囲気下で行なわれる。反応温度は150℃〜300℃であり、反応後液から製品が蒸留により精製される。
ガンマブチロラクトンなど炭素数4の化合物の製造プロセスでの反応後液中には、水素化反応や脱水素反応等により副生する高沸点化合物が含まれ、本発明における「炭素数4の化合物を製造する際に副生する高沸点化合物の水溶液」としては、この副生した高沸点化合物を含有する水溶液が挙げられる。具体的には、該反応後液に水を添加したもの、もしくは該反応液からガンマブチロラクトンなどの炭素数4の化合物、及びガンマブチロラクトンなどの炭素数4の化合物よりも軽沸点化合物、液相反応の場合は反応溶媒を除去したものに水を添加したものを用いることができ、好ましくは後者である。
本発明においては「エステルオリゴマーはその構成単位としてコハク酸と1,4−ブタンジオールの2種を含有している」か、「構成単位としてコハク酸を含有するエステルオリゴマーと構成単位として1,4−ブタンジオールを含有するエステルオリゴマーの混合物」か、「エステルオリゴマーはその構成単位としてコハク酸と4-ヒドロキシ酪酸と1,4−ブタンジオールの3種を含有している」か、「構成単位としてコハク酸を含有するエステルオリゴマーと、構成単位として4-ヒドロキシ酪酸を含有するエステルオリゴマーと、構成単位として1,4−ブタンジオールを含有するエステルオリゴマーの混合物」か、「エステルオリゴマーはその構成単位として4-ヒドロキシ酪酸と1,4−ブタンジオールの2種を含有している」か、「構成単位として構成単位として4-ヒドロキシ酪酸を含有するエステルオリゴマーと、構成単位として1,4−ブタンジオールを含有するエステルオリゴマーの混合物」である。上記のエステルオリゴマーは、各々その他の構成単位を有していてもよい。
本発明では、これらエステルオリゴマーを1種のみ含んだ水溶液でも、多種のオリゴマーを含んだ水溶液に対しても適用可能である。本発明で使用する該エステルオリゴマー(高沸点化合物)の水溶液では、該エステルオリゴマー(高沸点化合物)を1重量%〜80重量%含む水溶液が使用可能であり、好ましくは3重量%〜30重量%、特に好ましくは5重量%〜20重量%の水溶液である。高沸点化合物の含有量が少なすぎると加水分解の効率が低下し、工業的に不利となり、多すぎると加水分解速度が低下すると共に、高沸点化合物が完全に水に溶解せず、固液混合液となり閉塞などプロセス上に不具合が生じてしまう。
また水を10重量%以上含むことが好ましく、より好ましくは水溶液中の水組成が30重量%〜95重量%であり、特に好ましくは50重量%〜90重量%である。水の含有量が少なすぎるとエステルオリゴマー(高沸点化合物)を固体酸触媒に接触させた際の加水分解速度が低下し、また高沸点化合物の析出により閉塞などの不具合がプロセスにおいて生じ、多すぎると反応器単位体積あたりの加水分解生成物の生産量が低下してしまう。
また該副生高沸点化合物以外の、その他の成分を含んでも本発明の加水分解は差し支えなく進行し、特にコハク酸、無水コハク酸、1,4−ブタンジオール、4−ヒドロキシ酪酸、ガンマブチロラクトンを含む該高沸点化合物の水溶液を使用することも可能である。ガンマブチロラクトン製造工程で少量副生するアルコール類や酸類を含むエステル類が混入している場合も本発明で使用可能である。例えば、ガンマブチロラクトン製造反応で少量副生するアルコール類及び酸類とは炭素数2〜10のアルコール類と酸類であり、好ましくは1−オクタノール、2−オクタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ブタノール、2−ブタノール、エタノール、メタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などである。また特に好ましくはジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルであり、これら副生アルコール類、酸類を10重量ppm〜5重量%含んでいても差し支えない。これらは反応溶媒、触媒成分、ガンマブチロラクトン、1,4−ブタンジオール、コハク酸、無水コハク酸、無水マレイン酸などから少量副生するものである。またリン化合物を配位子として用いる錯体触媒を使用した製造法の場合には、該エステルオリゴマーの水溶液中に、リン化合物が含有される場合がある。リン化合物は固体酸触媒の劣化原因物質となりえることが、本発明者らの鋭意検討の結果判明し、該エステルオリゴマーの水溶液中にできる限り低濃度で含有されることが望ましいと判明した。すなわち、好ましくはリン原子の濃度として0wtppm〜400wtppmであり、特に好ましくは1wtppm〜200wtppmである。
本発明では、固体酸触媒を使用してコハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマー(高沸点化合物)を各構成成分に分解するとともに1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換、及び/又はエステルオリゴマーの構成成分として4−ヒドロキシ酪酸を含有する場合は4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換するが、ここで使用する固体酸触媒としては陽イオン交換樹脂、金属酸化物、ゼオライト、活性白土、金属硫酸化物などが挙げられ、好ましくは陽イオン交換樹脂である。陽イオン交換樹脂としては強酸性陽イオン交換樹脂が好ましく、特にスルホン基を有するものが特に好ましい。例えばスルホン化されたスチレン−ジビニルベンゼン共重合体を用いることが出来る。このスルホン化されたスチレン−ジビニルベンゼン共重合体は特に限定されるものではなく、市販品を使用することができる。また、構造の種類は特に限定されるものではないが、ゲル型、MR型(macroreticular)型、ポーラス型、ハイポーラス型のいずれも用いることができる。
固体酸触媒でコハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマー(高沸点化合物)を各構成成分に分解するとともに1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換、及び/又はエステルオリゴマーの構成成分として4−ヒドロキシ酪酸を含有する場合は4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換する際、エステルオリゴマーを加温下、固体酸触媒と接触させるが、加温する温度(反応温度)は好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、特に好ましくは80℃以上であり、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、特に好ましくは150℃以下である。反応温度が低すぎる場合には加水分解速度が低下し反応効率が悪化し、また反応温度が高すぎる場合にはイオン交換樹脂など固体酸触媒の劣化が速くなってしまう。
固体酸触媒との接触時間、及び連続の場合での反応器滞留時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは1時間以上、特に好ましくは2時間以上であり、好ましくは100時間以下、より好ましくは40時間以下であり、特に好ましくは20時間以下である。反応器滞留時間が短かすぎると加水分解の進行が不完全となり、長すぎると反応器が不要に長大化してしまい効率の悪いプロセスとなる。
コハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーは、固体酸触媒により各構成成分に分解するとともに1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換、及び/又はエステルオリゴマーの構成成分として4−ヒドロキシ酪酸を含有する場合は4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換される。
1,4-ブタンジオールはコハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸と共存するとエステルオリゴマーを形成してしまうが、テトラヒドロフランはコハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸と共存してもエステルオリゴマーを形成しないので、1,4-ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換すれば、エステルオリゴマーを分解した状態を保つことができる。1,4-ブタンジオールがテトラヒドロフランに変換されれば、変換された1,4-ブタンジオールの量に対応する量のコハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸はエステルオリゴマーを形成せず、分離することが可能となる。即ち、本発明においては少量であっても1,4-ブタンジオールがテトラヒドロフランに変換されれば変換された量分はエステルオリゴマーを分解可能であり、各成分も分離可能である。1,4-ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換する割合は、通常10%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは60%以上である。1,4-ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換する割合が少なすぎるとコハク酸など他成分との分離が困難となってしまう。該変換する割合は高いほど分解割合が増すので好ましいが、反応器長大化、触媒量の増大、構成成分の比率が大きく偏っている場合など経済性の観点から、1,4−ブタンジオールを必ずしも大きくテトラヒドロフランへと変換することが必要とも限らず、30%以下にしてもよい。
また、ガンマブチロラクトンは1,4−ブタンジオールと共存してもエステルオリゴマーを形成しないので、4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換すれば、エステルオリゴマーを分解した状態を保つことができる。4−ヒドロキシ酪酸がガンマブチロラクトンに変換されれば、変換された4−ヒドロキシ酪酸の量に対応する量の1,4−ブタンジオールはエステルオリゴマーを形成せず、分離することが可能となる。即ち、本発明においては少量であっても4−ヒドロキシ酪酸がガンマブチロラクトンに変換されれば変換された量分はエステルオリゴマーを分解可能であり、各成分も分離可能である。4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換する割合は、通常10%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは60%以上である。4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換する割合が少なすぎると1,4−ブタンジオールとの分離が困難となってしまう。該変換する割合は高いほど分解割合が増すので好ましいが、反応器長大化、触媒量の増大、構成成分の比率が大きく偏っている場合など経済性の観点から、4−ヒドロキシ酪酸を必ずしも大きくガンマブチロラクトンへと変換することが必要とも限らず、30%以下にしてもよい。
エステルオリゴマーの分解方法を具体的に例示すると下記(イ)〜(ハ)が挙げられる。
(イ)コハク酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの場合、該エステルオリゴマーは、固体酸触媒によりコハク酸と1,4−ブタンジオールに加水分解され、更に1,4−ブタンジオールはテトラヒドロフランに変換される。1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換する割合は、通常30〜100%、好ましくは60〜100%である。上記操作を行った後に水及びテトラヒドロフランを蒸留分離すればコハク酸を得ることができる。得られたコハク酸は、ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応により炭素数4の化合物を製造する方法において、ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応に導入することにより有効利用することができる。コハク酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーがジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応により炭素数4の化合物を製造する方法において副生する高沸点化合物であれば、得られたコハク酸を、ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応に導入することにより収率をアップすることができる。
水、及びテトラヒドロフランを蒸留によりコハク酸から分離するための蒸留は、常圧下、もしくは減圧条件下、単蒸留あるいは多段蒸留により水、及びテトラヒドロフランを除去することができる。その際、塔頂部からテトラヒドロフランを多く含有する成分を抜き出し、側留部よりテトラヒドロフランをほとんど含まない水を抜き出すことも可能である。好ましくは塔頂圧が40mmHg〜760mmHg、更に好ましくは200mmHg〜760mmHgであり、段数は1〜40、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10段の範囲である。
(ロ)コハク酸と4−ヒドロキシ酪酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの場合、該エステルオリゴマーは、固体酸触媒によりコハク酸、4−ヒドロキシ酪酸と1,4−ブタンジオールに加水分解され、更に4−ヒドロキシ酪酸はガンマブチロラクトン、1,4−ブタンジオールはテトラヒドロフランにそれぞれ変換される。4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換する割合は通常30%〜100%、好ましくは60%〜100%である。また1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換する割合は、通常30%〜100%、好ましくは60%〜100%である。上記操作を行った後に水及びテトラヒドロフラン、ガンマブチロラクトンを蒸留分離すればコハク酸を得ることができる。得られたコハク酸は、ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応により炭素数4の化合物を製造する方法において、ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応に導入することにより有効利用することができる。あるいは水及びテトラヒドロフランを蒸留分離すればガンマブチロラクトンを含むコハク酸を得ることができる。コハク酸と4−ヒドロキシ酪酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーがジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応により炭素数4の化合物を製造する方法において副生する高沸点化合物であれば、得られたコハク酸を、ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応に導入することにより収率をアップすることができる。
水、及びテトラヒドロフラン、ガンマブチロラクトンを蒸留によりコハク酸から分離するための蒸留は、常圧下、もしくは減圧条件下、単蒸留あるいは多段蒸留により水、テトラヒドロフラン、及びガンマブチロラクトンを除去することができる。その際、塔頂部からテトラヒドロフランを多く含有する成分を抜き出し、より塔頂に近い第1側留部よりテトラヒドロフランをほとんど含まない水を抜き出し、より塔底に近い第2側留部よりガンマブチロラクトンを抜き出すことも可能である。あるいは塔頂部からテトラヒドロフランを多く含有する成分を抜き出し、側留部よりテトラヒドロフランをほとんど含まない水を抜き出し、ガンマブチロラクトンを含有するコハク酸を得ることも可能である。好ましくは塔頂圧が40mmHg〜760mmHg、更に好ましくは200mmHg〜760mmHgであり、段数は1〜40、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10段の範囲である。
(ハ)4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの場合、該エステルオリゴマーは、固体酸触媒により4−ヒドロキシ酪酸と1,4−ブタンジオールに加水分解され、更に4−ヒドロキシ酪酸はガンマブチロラクトン、1,4−ブタンジオールはテトラヒドロフランにそれぞれ一部変換される。4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換する割合は通常30%〜100%、好ましくは60%〜100%である。また1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換する割合は、通常0%〜100%、好ましくは0%〜50%である。上記操作を行った後に水及びテトラヒドロフラン、ガンマブチロラクトンを蒸留分離すれば1,4−ブタンジオールを得ることができる。得られた1,4−ブタンジオールは、1,4−ブタンジオールの脱水素化反応により炭素数4の化合物、特にガンマブチロラクトンを製造する方法において、1,4−ブタンジオールの脱水素化反応に導入することにより有効利用することができる。4−ヒドロキシ酪酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーがジオールの脱水素化反応により炭素数4の化合物を製造する方法において副生する高沸点化合物であれば、得られた1,4−ブタンジオールを、該脱水素化反応に導入することにより収率をアップすることができる。
水、及びテトラヒドロフラン、ガンマブチロラクトンを蒸留により1,4−ブタンジオールから分離するための蒸留は、常圧下、もしくは減圧条件下、単蒸留あるいは多段蒸留により水、テトラヒドロフラン、及びガンマブチロラクトンを除去することができる。その際、塔頂部からテトラヒドロフランを多く含有する成分を抜き出し、より塔頂に近い第1側留部よりテトラヒドロフランをほとんど含まない水を抜き出し、より塔底に近い第2側留部よりガンマブチロラクトンを抜き出すことも可能である。あるいは塔頂部からテトラヒドロフランを多く含有する成分を抜き出し、側留部よりテトラヒドロフランをほとんど含まない水を抜き出し、ガンマブチロラクトンを含有する1,4−ブタンジオールを得ることも可能である。好ましくは塔頂圧が40mmHg〜760mmHg、更に好ましくは200mmHg〜760mmHgであり、段数は1〜40、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10段の範囲である。
更に反応器形式は回分、連続どちらでも使用可能であり、また完全混合、管型反応器の両方が使用可能である。好ましくは連続での管型反応器である。また固体であるイオン交換樹脂を充填した反応器中での固体物による閉塞を回避するという観点から、反応器へ該副生する高沸点化合物の水溶液を導入する以前に、該水溶液を均一液相とすることが好ましく、原料槽温度を好ましくは40℃以上、200℃以下、より好ましくは60℃以上、150℃以下に加熱保温する。
また本発明ではエステルオリゴマー(副生する高沸点化合物)の加水分解により生成した1,4−ブタンジオールを、固体酸触媒(イオン交換樹脂)を有する反応器内でテトラヒドロフランへと脱水環化させることが必須であり、生成した1,4−ブタンジオールの一部、あるいは全量をテトラヒドロフラン化する。また同様にして、エステルオリゴマー(副生する高沸点化合物)の加水分解により生成した4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換する。この場合、加水分解と同一反応器で1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフラン、4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンへと脱水環化することも可能であるが、別途1つ以上の反応器を通過させてテトラヒドロフラン、ガンマブチロラクトンへと多段反応器により脱水環化することも差し支えない。なお、高沸点化合物の加水分解により生成した1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランへ、4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンへ脱水環化させる固体酸触媒はイオン交換樹脂が好ましく、更に強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。例えばスルホン化されたスチレン−ジビニルベンゼン共重合体を用いることが出来る。このスルホン化されたスチレン−ジビニルベンゼン共重合体は特に限定されるものではなく、市販品を使用することができる。また、構造の種類は特に限定されるものではないが、ゲル型、MR型(macroreticular)型、ポーラス型、ハイポーラス型のいずれも用いることができる。
スルホン基などを有する陽イオン交換樹脂による反応では、反応器流出液中に硫酸イオンなど酸由来のイオン性物質が溶出することがあり、この酸由来のイオン性物質はプロセスに腐食など悪影響を与える可能性がある。そのため、陽イオン交換樹脂を充填した反応器後に陰イオン交換樹脂の充填管を設置することも可能である。この陰イオン交換樹脂は特に限定されるものではなく、市販品を使用することができる。また、構造の種類は特に限定されるものではないが、ゲル型、MR型(macroreticular)型、ポーラス型、ハイポーラス型のいずれも用いることができる。
本発明における炭素数4からなる化合物の製造方法は、特に均一系ルテニウム錯体触媒を用いたコハク酸、または無水コハク酸の水素化反応が特に好ましい。本製造方法における触媒であるルテニウムの供給形態は特に制限されるものでなく、金属又はルテニウム化合物であってよい。本発明で用いられるルテニウム化合物として例えば酸化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩あるいは錯化合物等が使用される。具体的には二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウム、二水酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、沃化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、ヘキサクロロルテニウム酸ナトリウム等が挙げられ、好ましくは塩化ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、酢酸ルテニウムである。
また、有機リン化合物としてトリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィンのような少なくとも1つのアリール基を含有する有機リン化合物及びその分解物を使用することもできるが、好ましくはトリアルキルリン、さらに好ましくは1級アルキル基により構成されるトリアルキルリン、及びそれらの分解物である。
好適な有機リン化合物として、例えば、トリデシルホスフィン、トリノニルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリヘプチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリペンチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリメチルホスフィン、ジメチルオクチルホスフィン、ジオクチルメチルホスフィン、ジメチルヘプチルホスフィン、ジヘプチルメチルホスフィン、ジメチルヘキシルホスフィン、ジヘキシルメチルホスフィン、ジメチルブチルホスフィン、ジブチルメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリベンジルホスフィン、ジメチルシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルメチルホスフィン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジメチルホスフィノ)ブタン、1,2−ビス(ジオクチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジオクチルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジオクチルホスフィノ)ブタン、1,2−ビス(ジヘキシルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジヘキシルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジヘキシルホスフィノ)ブタン、1,2−ビス(ジブチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジブチルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジブチルホスフィノ)ブタン、1,3−ジメチルホスホリナン、1,4−ジメチルホスホリナン、8−メチル−8−ホスファビシクロ[3.2.1]オクタン、4−メチル−4−ホスファテトラシクロオクタン、1−メチルホスホラン等の単座、複座、環状、及びアルキル基に置換基を持つアルキルホスフィン類が挙げられる。本反応に使用するトリアルキルリンのアルキル基は、ノルマル体、イソ体、及びその混合物でも差し支えない。これらホスフィン配位子の使用量は、ルテニウム金属1モルに対して、0.1〜1000モル、好ましくは1〜100モル、特に好ましくは1〜10モルの範囲である。

また、トリアルキルリン、あるいは芳香族置換基等を有する有機ホスフィンだけでなく、他のリン原子を含有する配位性有機化合物も配位子として使用可能であり、例えば、ホスファイト、ホスフィネート、ホスフィンオキシド、アミノホスフィン、ホスフィン酸なども使用可能である。
また本発明のルテニウム錯体触媒はpKaが2より小さい酸の共役塩基をもちいて、カチオン性錯体の形で反応に用いることも可能であり、活性の向上、触媒の安定化など幾つかの点において共役塩基の使用は効果的である。
pKaが2よりも小さい酸の共役塩基としては触媒調製中または反応系中においてかかる共役塩基を形成するものであれば良く、その供給形態としてはpKaが2より小さいブレンステッド酸あるいはその各種の塩などが用いられる。具体的には硝酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸、ヘキサフルオロリン酸、フルオロスルホン酸等の無機酸類、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ドデシルスルホン酸、オクタデシルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素酸、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼン共重合体等の有機酸等のブレンステッド酸もしくはこれらの酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、銀塩等があげられる。
また、上記の酸の共役塩基が反応系で生成すると考えられる酸誘導体の形で添加しても差し支えない。例えば酸ハロゲン化物、酸無水物、エステル、酸アミド等の形で反応系に添加しても同様の効果が期待される。
これら酸あるいはその塩の使用量は、ルテニウム金属に対して0〜1000モル、好ましくは0〜100モルの範囲である。特に好ましくは0〜10モルの範囲である。
本発明のガンマブチロラクトンの製造方法は特に溶媒の存在なしに、すなわち反応原料および生成物そのもの、または副生する高沸点化合物を溶媒として実施することが好ましいが、反応原料以外の溶媒を使用することもできる。例えば、ジエチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トルイル酸などのカルボン酸類、酢酸メチル、酢酸ブチル、安息香酸ベンジルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭素、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のカルボン酸アミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドその他のアミド類、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類、ジメチルスルホン等のスルホン類、ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシド類、ガンマブチロラクトン、カプロラクトン等のラクトン類、テトラグライム、トリグライム等のポリエーテル類、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル類等であり、好ましくはエーテル類、ポリエーテル類、および反応原料、生成物のガンマブチロラクトンである。反応温度は通常20〜350℃、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは150〜220℃である。反応は回分方式および連続方式のいずれでも実施することができる。 また本発明は、ガンマブチロラクトンと副生する高沸点化合物を含む反応液(ガンマブチロラクトン製造の水素化反応後の反応液)からガンマブチロラクトン及び反応溶媒を除去して得た触媒液を、ヘプタンなどの非極性溶媒及び水を用いて抽出処理し、ルテニウム触媒を多く含む非極性溶媒相と、該高沸点化合物を多く含む水相に分離し、該水相を、陽イオン交換樹脂を含む反応器に流通することも可能である。またガンマブチロラクトン及び反応溶媒を除去して得た触媒液を、ヘプタンなど非極性溶媒、及び水を用いて抽出処理し、非極性溶媒相、水相、及び非極性溶媒、水に対して不溶なオイル相の3相に分離し、該水相をイオン交換樹脂を充填した反応器に流通することも可能である。
ここで用いられる非極性溶媒として、脂肪族炭化水素化合物、脂環式炭化水素化合物や芳香族炭化水素化合物などが挙げられる。また、これら非極性溶媒としては置換基を有していても構わない。具体的な例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼンなどが挙げられるが、特にペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭素数が5〜8の脂肪族炭化水素化合物が好ましい。
上記抽出処理における触媒液/水/非極性溶媒の重量比は1/0.2〜10/0.2から10の範囲内で使用される。また抽出処理温度は通常20〜150℃であり、好ましくは40℃〜100℃である。但し、水相中のリン濃度を低減化するためには処理温度を70℃以下、50℃以上とする必要がある。この抽出時間は10分〜5時間、望ましくは30分〜3時間の範囲である。尚、該触媒液の組成により非極性溶媒と水による抽出分離は、ルテニウム触媒を多く含む非極性溶媒相と、高沸点化合物を多く含む水相とに2相分離する場合と、ルテニウム触媒を多く含む非極性溶媒相、高沸点化合物を多く含む水相、及び非極性溶媒、水に対して不溶なオイル相の3相に分離する場合とがあるが、どちらでも差し支えなく、いずれの場合の水相も副生する高沸点化合物を多く含み、イオン交換樹脂を充填した反応器により加水分解することが可能である。また、加水分解により得られる1,4−ブタンジオールのテトラヒドロフランへの脱水環化も、2相分離、3相分離の水相いずれでも差し支えない。
なお、上記の「水素化反応により得られたガンマブチロラクトンと副生した高沸点化合物を含む反応液からガンマブチロラクトン及び反応溶媒を除去して得た触媒液を、ヘプタンなど非極性溶媒及び水を用いて抽出処理し、ルテニウム触媒を多く含む非極性溶媒相と、高沸点化合物を多く含む水相に分離し得られた水相」、「水素化反応により得られたガンマブチロラクトンと副生した高沸点化合物を含む反応液からガンマブチロラクトン及び反応溶媒を除去して得た触媒液を、ヘプタンなど非極性溶媒及び水を用いて抽出処理し、ルテニウム触媒を多く含む非極性溶媒相、高沸点化合物を多く含む水相、及び非極性溶媒、水に対して不溶なオイル相の3相に分離し得られた水相」は、本発明における「副生する高沸点化合物の水溶液」に該当する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、テトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオール、ガンマブチロラクトンの分析は内部標準法によるガスクロマトグラフィー(島津社製GC−14B)、コハク酸の分析は液クロマトグラフィー(島津社製カラムCA−10S、検出器SPD−10A)、水分分析はカールフィッシャー法(三菱化学社製Mitsubishi Moisture:CA−20)により行った。また参考例1〜4の高沸点副生物はGPC(東ソー製GPCカラムTSKgel G−1000HXL&2000HXL 7.8φ×300mm)により分取し、分取したサンプルをLC−MS(装置:Micromass Q−Tof、ESI Positive、Negativeイオン化法)、及びNMR(Varian製Unity Plus400)により分析した。その結果、以下のエステルオリゴマーの混合物であることを明らかになった。
Figure 2006137749
参考例1
ルテニウムトリオクチルホスフィン−パラトルエンスルホン酸系触媒を用いた無水コハク酸の水素化反応を次の通り行った。反応は図1に示す気液分離器(1)、蒸留塔(2)付きの循環装置を使用して行った。触媒容器(3)に0.056重量%のトリス(アセチルアセトン)ルテニウム、0.51重量%のトリオクチルホスフィン、0.22重量%のパラトルエンスルホン酸をトリグライム(トリエチレングリコール ジメチルエーテル)に溶解し、窒素雰囲気下200℃で2時間加熱処理し、
新触媒容器(5)に入れ、これをフィード触媒液とした。この触媒液を3500mL/hの流量でオートクレーブ(8)に供給し、気液分離後、蒸留塔の還出液として回収リサイクルした。
一方、水素圧縮機(6)より7.9Nm/hの水素ガスをオートクレーブに送り20気圧に調節した。オートクレーブを200℃へ昇温し、無水コハク酸80重量%、ガンマブチロラクトン20重量%から成る原料液を375g/hの流量で連続的に供給した。反応液は60℃に冷却後、常圧で気液分離した後、蒸留塔で生成物の水、及びガンマブチロラクトンと触媒液を分離し、触媒液を触媒容器(3)へと戻すが、反応開始7日後よりそのうちの一部の流れとして29g/hの流量で触媒液を抜き出し、抜き出し触媒容器(4)に保存した。
抜き出した分に相当する29g/hの流量で新触媒液(5)から新触媒をオートクレーブに補給した。反応は30日間連続して行ったが7日目以降安定した成績が得られた。抜き出し触媒液の組成は下記の通りであった。
Figure 2006137749
参考例2
上記参考例1で得られた抜き出し触媒液の濃縮を以下のようにして行った。抜き出し触媒液878.1gを減圧蒸留装置付きのジャケット式反応器に入れ、減圧蒸留により溶媒であるトリグライムを留去した。この時、液温を160℃以下に保つように減圧度を70mmHg〜5mmHgの範囲でコントロールした。溶媒留去後、濃縮触媒液を295.75g得た。得られた濃縮触媒液の組成は以下のとおりであった。
Figure 2006137749
参考例3
上記参考例2で得られた濃縮触媒液39.8gに水90.3g、ヘプタン28.0gを添加し、80℃で1時間攪拌した。80℃で静置すると上からヘプタン相、水相、ヘプタン相及び水相のいずれにも不溶のオイル相の3相に分離した。この3相から水相を分離し、水相114.1gを得た。この水相の組成は以下の通りであった。本水相を用いて以下の実施例を行った。尚、ICPで分析した結果、水相中のリン濃度は498wtppmであった。
Figure 2006137749
参考例4
上記参考例2で得られた濃縮触媒液39.8gに水86.5g、ヘプタン28.0gを添加し、80℃で1時間攪拌した後、冷却し65℃で1時間静置した。その結果、上からヘプタン相、水相、ヘプタン相及び水相のいずれにも不溶のオイル相の3相に分離した。この3相から水相を分離し、水相113.2gを得た。この水相の組成は以下の通りであった。本水相を用いて以下の実施例を行った。尚、ICPで分析した結果、水相中のリン濃度は59wtppmであった。
Figure 2006137749
実施例1
80mLのステンレス製反応管(内径10mm)にイオン交換樹脂(三菱化学社製:SK1B−H)80mLを充填し、そこに脱塩水で2重量倍に希釈した参考例3で得られた水相(高沸点化合物9.1重量%)を10mL/h、100℃で通液した(滞留時間8h)。反応管はヒーターで100℃に加熱した。反応管出口液を分析した結果、その組成は表5の通りであった。
実施例2
脱塩水で2重量倍に希釈した参考例3で得られた水相(高沸点化合物9.1重量%)を、20mL/h、100℃で通液した(滞留時間4h)以外は実施例1と同様にした。反応管出口液を分析した結果、その組成は表4の通りであった。
実施例3
脱塩水で2重量倍に希釈した参考例3で得られた水相(高沸点化合物9.1重量%)を、10mL/h、110℃で通液し(滞留時間8h)、反応管の加熱温度を110℃にした以外は実施例1と同様にした。反応管出口液を分析した結果、その組成は表5の通りであった。
実施例4
脱塩水で2重量倍に希釈した参考例3で得られた水相(高沸点化合物9.1重量%)を、10mL/h、80℃で通液し(滞留時間8h)、反応管の加熱温度を80℃にした以外は実施例1と同様にした。反応管出口液を分析した結果、その組成は表5の通りであった。
実施例5
50mLの容量のガラス製フラスコに攪拌子、参考例3で得られた水相5.0g(高沸点化合物19.2重量%)、イオン交換樹脂(三菱化学社製:SK1B−H)2.1gを入れ100℃で5h加熱攪拌を行った。反応液を分析した結果、高沸点化合物の39.1重量%がコハク酸+無水コハク酸へと転化し、12.3重量%が1,4−ブタンジオールへと転化し、2.5重量%がテトラヒドロフランへと転化した。
実施例6
50mLの容量のガラス製フラスコに攪拌子、参考例3で得られた水相2.0g(高沸点化合物19.2重量%)、脱塩水3.1g、イオン交換樹脂(三菱化学社製:SK1B−H)2.1gを入れ100℃で5h加熱攪拌を行った。反応液を分析した結果、高沸点化合物の52.6重量%がコハク酸+無水コハク酸へと転化し、15.8重量%が1,4−ブタンジオールへと転化し、1.5重量%がテトラヒドロフランへと転化した。
実施例7
80mLのステンレス製反応管(内径10mm)にイオン交換樹脂(三菱化学社製:SK1B−H)80mLを充填し、そこに参考例3で得られた水相(高沸点化合物19.2重量%)を脱塩水で希釈することなく、20mL/h、100℃で通液した(滞留時間8h)。反応管はヒーターで100℃に加熱した。反応管出口液を分析した結果、その組成は表5の通りであった。
実施例8
80mLのステンレス製反応管(内径10mm)にイオン交換樹脂(三菱化学社製:SK1B−H)80mLを充填し、そこに参考例4で得られた水相(高沸点化合物21.9重量%、リン濃度59wtppm)を脱塩水で希釈することなく、10mL/h、110℃で400時間通液した(滞留時間8h)。反応管はヒーターで110℃に加熱した。反応管出口液を分析した結果、8時間後に比較して、400時間後のコハク酸生成量は99.8%(vs8時間後生成量に対する割合)の生成量であり、活性低下は確認されなかった。
比較例1
イオン交換樹脂を用いなかった以外は実施例6と同様にした。反応液を分析した結果、高沸点化合物の2重量%がコハク酸+無水コハク酸へと転化し、1重量%が1,4−ブタンジオールへと転化した。テトラヒドロフランは生成しなかった。
比較例2
イオン交換樹脂を用いなかった以外は実施例4と同様にした。反応管出口液を分析した結果、その組成は表5の通りであった。
実施例9
80mLのステンレス製反応管(内径10mm)にイオン交換樹脂(三菱化学社製:SK1B−H)80mLを充填し、そこに参考例3で得られた水相(高沸点化合物18.2重量%、リン濃度498wtppm)を脱塩水で希釈することなく、10mL/h、110℃で400時間通液した(滞留時間8h)。反応管はヒーターで110℃に加熱した。反応管出口液を分析した結果、8時間後に比較して、400時間後のコハク酸生成量は85.1%(vs8時間後生成量に対する割合)に低下していた。
Figure 2006137749
参考例の「ルテニウムトリオクチルホスフィン−パラトルエンスルホン酸系触媒を用いた無水コハク酸の水素化反応」を行った装置を示す図である。

Claims (15)

  1. コハク酸及び/又は4−ヒドロキシ酪酸、並びに1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、各構成成分に分解するとともに1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換、及び/又はエステルオリゴマーの構成成分として4−ヒドロキシ酪酸を含有する場合は4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換するエステルオリゴマーの分解方法。
  2. コハク酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、コハク酸及び1,4−ブタンジオールに分解するとともに1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換するエステルオリゴマーの分解方法。
  3. 4−ヒドロキシ酪酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、4−ヒドロキシ酪酸と1,4−ブタンジオールに分解するとともに4−ヒドロキシ酪酸をガンマブチロラクトンに変換するエステルオリゴマーの分解方法。
  4. 加温が80〜200℃であり、固体酸触媒との接触時間が1〜20時間である請求項1〜3のいずれかに記載のエステルオリゴマーの分解方法。
  5. エステルオリゴマーの水溶液が、リン濃度1wtppm〜400wtppmの水溶液である請求項1〜4のいずれかに記載のエステルオリゴマーの分解方法。
  6. エステルオリゴマーの水溶液が、ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応、又はジオールの脱水素反応により炭素数4の化合物を製造する際に副生する高沸点化合物の水溶液である請求項1〜5のいずれかに記載のエステルオリゴマーの分解方法。
  7. 炭素数4の化合物がガンマブチロラクトン、1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフラン、コハク酸、及び無水コハク酸のうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項6に記載のエステルオリゴマーの分解方法。
  8. 炭素数4の化合物がガンマブチロラクトンであることを特徴とする請求項6に記載のエステルオリゴマーの分解方法。
  9. 固体酸触媒が、スルホン基を有する陽イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のエステルオリゴマーの分解方法。
  10. コハク酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、コハク酸とテトラヒドロフランに分解するコハク酸の製造方法。
  11. 4−ヒドロキシ酪酸と1,4−ブタンジオールを構成成分として含有するエステルオリゴマーの水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、ガンマブチロラクトンとテトラヒドロフランに分解するガンマブチロラクトンの製造方法。
  12. ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応により炭素数4の化合物を製造する方法であって、炭素数4の化合物を製造する際に副生する高沸点化合物を含有する水溶液を、コハク酸及びテトラヒドロフランに分解し、コハク酸をジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応に導入する炭素数4の化合物の製造方法。
  13. ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応により炭素数4の化合物を製造する方法であって、炭素数4の化合物を製造する際に副生する高沸点化合物を含有する水溶液を、加温下、固体酸触媒と接触させ、高沸点化合物をコハク酸及びテトラヒドロフランに分解し、水及びテトラヒドロフランを蒸留分離し、得られたコハク酸水溶液をジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応に導入することを特徴とする炭素数4の化合物の製造方法。
  14. ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応、又はジオールの脱水素反応により炭素数4の化合物を製造する方法が、均一系ルテニウム錯体触媒を用いて無水コハク酸、コハク酸、無水マレイン酸のいずれか一つ、あるいは複数の水素化反応により、あるいは1,4−ブタンジオールの脱水素により、ガンマブチロラクトンを製造する方法である請求項12又は13のいずれかに記載の炭素数4の化合物の製造方法。
  15. 炭素数4の化合物を製造する際に副生する高沸点化合物を含有する水溶液が、ジカルボン酸若しくは酸無水物の水素化反応、又はジオールの脱水素反応により得られる反応液から炭素数4の化合物及び反応溶媒を除去して得た副生高沸点化合物を含有する触媒液に、水及び非極性溶媒を添加して抽出処理し、得られた複数相の内の水相である請求項12〜14のいずれかに記載の炭素数4の化合物の製造方法。
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