JP4916285B2 - 鋼帯の冷間タンデム圧延方法及び圧延装置 - Google Patents

鋼帯の冷間タンデム圧延方法及び圧延装置 Download PDF

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Description

本発明は、鋼帯の冷間タンデム圧延に係り、特に高速度・高圧下の冷間圧延で製造される製品鋼帯のうち、アルミキルド中炭素鋼鋼帯について、その表面に生じ易い、焼付き状の線状疵の発生を未然に防止し、圧延能率と表面品質の両面の要請に応え得るようにした冷間タンデム圧延方法及びその圧延装置に関する。
鋼帯の冷間タンデム圧延装置は、直列に配置された複数の圧延スタンドからなり、被圧延材(熱延鋼板)は、各スタンドで順次所定の圧下率で圧延されて製品板厚に仕上げられる。図1は、入側の第1スタンド(111)〜出側の第4スタンド(114)からなる4スタンドタンデム圧延機(10)の例を示している。各圧延スタンドのワークロール(121)〜(124)は、砥石による研削加工で所要の表面粗度に調整されたロールが使用される。
ワークロールに要求される表面粗度は圧延スタンドにより異なる。下流側のスタンド(113)(114)のワークロール(123)(124)については、製品鋼帯の表面品質に大きく影響する(実質的に製品鋼帯の表面品質を決める)ことから、粒度番号の高い砥石(例えば、粒度80の砥石)で平滑性の高い表面に仕上げたものが使用されている。他方、上流側のスタンド(111)(112)のワークロール(121)(122)については、製品の表面品質に対する直接的な影響も軽微で、下流側のロールほどの平滑性を要しないと考えられること、および圧延性(ロールバイトでのスリップ防止・噛み込みの円滑性)の確保、研削加工能率・加工コスト等の観点から、粒度番号の低い砥石(例えば粒度36)で研削仕上げしたロールを使用するのが一般である。
なお、冷間圧延装置には圧延油供給装置が付帯する。図1は循環供給回路(20)を備えた例を示している。圧延油は、圧延油原油(合成エステル,油脂類等の基油と乳化剤、その他の調整剤等からなる)を所定濃度で水に懸濁乳化したエマルジョン液であり、その循環供給により各圧延スタンド(111)〜(114)のロールバイト内のワークロールと圧延材との接触界面の潤滑(摩擦抵抗の低減)および圧延材とワークロールの冷却(摩擦熱および塑性加工熱の除去)が行なわれる。
上記鋼帯の冷間タンデム圧延において、製品鋼帯の表面にヒートスクラッチと称される欠陥(鋼帯の長手方向に延在する焼付き疵)が発生することがある。この表面欠陥は、ワークロールと圧延材との金属接触により発生することが知られており、その対策として圧延油の油膜厚さ・油膜強度等を高めワークロールと圧延材との金属接触を阻止するようにした圧延油の組成・物性に関する改良、あるいはワークロールと圧延材の接触界面の摩擦熱・塑性加工熱による昇温(圧延油の膜厚・油膜強度の低下を伴う)を抑制するための圧延油供給量の制御や圧延方法等について種々の提案がなされている(特許文献1〜5)。
また、ワークロールは経時的に(圧延材通板量の増加と共に)、表面劣化(肌荒れ・微小亀裂等の発生)が進行し、製品鋼帯の表面品質に影響するので、その表面劣化層を除去するための砥石による研削加工(健全なロール表面の再生加工)が定期的に実施される。その研削加工法として、ライン生産性の点から、ロールを圧延スタンドから取り外して実施する従来の方法に代え、スタンド内に組み込まれた状態で行なう所謂オンライン研削加工についても種々の工夫が提案されている(特許文献6,7)。
特開2004−168844号公報 特開2000−158034号公報 特開平10−273689号公報 特開2006−263739号公報 特開2000−218305号公報 特開2002−137007号公報 特開平06−335849号公報
製品鋼帯の表面品質に関して、従来ヒートスクラッチと称されている上記表面欠陥は、圧延油の濃度調整、圧延油の物性(油膜厚さ・油膜強度等)の改良、圧延油の供給量、圧延条件の制御等の工夫により改善することができる。
しかし、ヒートスクラッチと見られる表面欠陥のなかには、上記のものと異なって、圧延油や圧延条件等の調整・制御では解決困難なものが存在する。その表面欠陥は、鋼帯の長手方向に延在する焼付き状の疵(以下「線状疵」と称する)であり、その疵幅は数μm〜約2mm程度で、異物の付着はなく、わずかな凹み(約1〜2μm程度)を呈し、疵のない部分に比べて表面粗度がやや低く光沢をもっている。この線状疵は、製品鋼帯の機械的性質に実質的な悪影響を及ぼす程のものではなく、また化成処理や溶融めっき等の表面処理が行なわれる場合にも、その化成処理品質や溶融めっき品質に対する実質的な悪影響の懸念も殆どない極めて軽微の表面欠陥である。しかし、線状疵による鋼帯表面の視覚的不均一性は、製品の商品価値を著しく損なう要因となる。
本発明者らは、製品鋼帯の上記線状疵に関して、冷間タンデム圧延機の下流側圧延スタンド(図1の4スタンドタンデム圧延機では主として第3スタンド113)を通過した鋼帯に観察されるという事実をもとに、その発生原因と防止策について鋭意検討し、次の知見を得た。
第3スタンド(113)のワークロール(123)表面を詳細に観察すると、鋼帯表面の線状疵の発生位置(板幅方向位置)と一致するロール表面位置(ロール軸方向位置)に、線状疵(円周方向に延在)が存在している。そのロール表面の線状疵は、高さ約1〜2μm(幅:約1〜3mm)の突起(以下「線状突起」)である。このことは、製品鋼帯に現れる上記線状疵が、ワークロール表面に存在する線状突起の鋼帯に対する転写マークとして発生する表面欠陥であることを示している。そのワークロール(123)の線状突起は、硝酸等の腐食性酸液で拭き取ることができ、拭き取った後のロール表面は線状突起のない面域と同等の健全な表面性状を有している。なお、そのワークロール(123)を、新たなロールに取り替えると、鋼帯表面の線状疵の発生はなくなるが、しばらくすると再びそのロール表面に線状突起が形成されると共に、そこを通過した鋼帯の表面に線状疵が生じるようになる。しかも、そのロール表面の線状突起および鋼帯表面の線状疵のそれぞれの発生位置は、ワークロール(123)の取替え前のそれと一致している。
上記知見をもとに更に検討を重ねた結果、第3スタンド(113)のワークロール(123)に発生する線状突起は、その上流側第2スタンド(112)のワークロール(122)の表面に存在する微細な掻き疵に起因し、その微細な掻き疵はロールの研削加工で発生したスクラッチ疵(以下「研削掻き疵」)であるとの知見を得、これに基づき第2スタンドのワークロール(122)の研削仕上げ面を規制することにより、第3スタンド(113)のワークロール(123)の線状突起および鋼帯表面の線状疵の発生を未然に防止し、製品鋼帯の健全な表面品質を確保し得ることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。
本発明に係る鋼帯の冷間タンデム圧延方法(請求項1)は、
研削加工されたワークロールを有する複数の圧延スタンドの各圧延機に被圧延材としてアルミキルド中炭素鋼の鋼帯を順次通板して所定板厚に仕上げる鋼帯の冷間タンデム圧延において、少なくとも第2スタンド以降の各圧延機のワークロールとして、表面粗さRa:0.6μm以下に研削仕上げされ、研削仕上げ面に研削掻き疵が存在する場合の該掻き疵の大きさは、深さ(d):20μm以下、開口幅(w):50μm以下、および長さ(l):5mm以下であるロールを使用することにより、ワークロール表面の線状突起の発生とその鋼帯表面への転写マークである焼付き状の線状疵を防止することを特徴としている。
本発明のアルミキルド中炭素鋼鋼帯の冷間圧延を実施するための鋼帯冷間タンデム圧延機(請求項2)は、
複数の圧延スタンドのそれぞれに研削加工されたワークロールが組み込まれている鋼帯冷間圧延用タンデム圧延機において、少なくとも第2スタンド以降の各圧延スタンドの圧延機のワークロールが、表面粗さRa:0.6μm以下であって、研削加工時に生じる研削掻き疵が存在する場合の該掻き疵の大きさが、深さ(d):20μm以下、開口幅(w):50μm以下、および長さ(l):5mm以下である研削仕上面を有するロールであることを特徴としている。
前記のとおり、冷間タンデム圧延機の下流側の圧延スタンドを通過した鋼帯表面に発生する上記線状疵は、それが発生した圧延スタンド(図1のタンデム圧延機では、主として第3スタンド113)の上流側に位置する圧延スタンド(同第2スタンド112)のワークロール(122)の表面欠陥(研削掻き疵)に起因している。
図2に、鋼帯の線状疵の発生メカニズムを模式的に示す(同図[1]:平面図、同図[II]:正面図)。第2スタンド(112)のワークロール(122)のロール表面に、研削加工時に発生した研削掻き疵(1)が存在している。研削掻き疵(1)は微細な凹み疵(後記)であり、第2スタンド(112)を通過した鋼帯の表面に、その転写マークとして微小突起(2)がロール周長に一致するピッチで鋼帯の長手方向に反復形成される。この鋼帯が次の第3スタンド(113)のワークロール(123)で圧下される際に、ワークロール(123)の表面に対する微小突起(2)の焼付き(熱的転着)(31)が生じる。
各圧延スタンドのそれぞれのワークロール径は、通常スタンドごとに異なるので、上記鋼帯表面に生じる微小突起(2)のピッチは、第3スタンドのワークロール(123)の円周長の整数倍とはならず、このため微小突起(2)は経時的に(通板量の増加と共に)ワークロール(123)の円周上の別の部分に次々に焼き付いて周方向につながり線状突起(32)となる。その線状突起(32)が鋼帯に押圧されることにより鋼帯表面に線状疵(4)が発生し、その線状疵(4)は、第4スタンド(114)を通過した後も残留し、製品鋼帯の表面欠陥となる。この線状疵(4)が高速度・高圧下の圧延条件において発生し易いのは、上記ワークロール(123)表面の焼付き(31)(微小突起2の熱的転着)とその線状突起(32)への成長が、高速度・高圧下の圧延であるほど助長され、顕著化するからである。
本発明によれば、上流側圧延スタンドのワークロールの研削仕上げ面(表面粗度Ra及び研削掻き疵1の大きさ)の規制の効果として、下流側圧延スタンドにおけるワークロール表面の焼付き(31)と線状突起(32)の発生および製品鋼帯の線状疵(4)が未然に防止され、高速度・高圧下の圧延条件においても健全な表面品質が確保される。
砥石によるロール研削加工において、砥石から砥粒が脱落(正規破砕される前に粒子のまま砥石面から離脱)すると、被研削体(ロール)と砥石との間で圧砕され、ロール研削表面に、微小な凹み疵である研削掻き疵(1)が発生する。図3[I][II]は研削掻き疵(1)の断面プロフィールの例(各図ともロール軸に平行な向きの断面)を示している。砥粒の脱落とそれによる研削掻き疵(1)の発生は、砥石の選択および研削加工条件の設定が適切であっても完全には防ぎきれない。しかし研削掻き疵(1)が極く軽微の疵であれば、ロールバイト(ワークロールと被圧延材との接触界面)の圧延油膜の介在効果として、製品鋼帯の線状疵(4)の発生(図2)を回避することができる。本発明はこの点より上流側スタンドのワークロールの研削仕上げ面について、表面粗さをRa:0.6μm以下、および研削掻き疵(1)の大きさを深さ(d):20μm以下、開口幅(w):50μm以下、長さ(l)(円周方向):5mm以下、とする規定を設け、製品鋼帯の表面品質に及ぼす研削掻き疵(1)の実質的な影響を防止している。
研削掻き疵(1)の大きさ(深さ,幅,長さ)は、使用する砥石の粒度の影響を受ける。このため砥石の粒度の選択は重要である。本発明の前記規定を満たす研削仕上げ面を得るには、所謂「細目」に属する粒度番号70以上の砥石を使用することを要する。具体的には、粒度番号70,80,90等の砥石が効果的に使用される。ちなみに、粒度番号70は平均径:250〜177μm、同番号80は平均径:210〜149μm、同番号90は平均径:177〜125μmである。
このような砥石による研削加工においては、砥粒の脱落とその圧砕が生じても、ロール表面に発生する研削掻き疵(1)は微細であり、上記規定を満たす研削仕上げ面を得ることができる。なお、粒度番号がこれより大きい砥石(例えば粒度番号100)を使用しても、それによる特別の利益はなく、むしろ研削加工の能率低下・コスト増加のほか、圧延性の低下(ワークロールの過度の平滑化によるロールバイトでのスリップ・噛み込み不良)およびロール寿命の低下を招く原因となる等の不利益が大きくなり好ましくない。
砥石の選択については上記粒度の規定をうける以外は、特に制限はなく、例えば砥粒の材種(アルミナ系,炭化けいそ系等),結合剤(磁器質粘土,熱硬化性合成樹脂等),および結合度(結合剤の砥粒保持力)、組織(砥粒の占有割合)等は、ロール研削加工に使用される通常の砥石と同様のものであってよく、また研削加工についても、ロールの研削加工に採用される一般的な研削条件に従って実施することができる。
各スタンドのワークロールについては、すでに述べたように下流側スタンドでは、砥粒番号の大きい砥石による平滑性の高い研削仕上げ面を有するロールを使用し、上流側スタンドには、粒度番号の小さい砥石で研削仕上げしたワークロール(下流側のワークロールに比し平滑性は低い)を使用する、というのが従来の通念である。これと異なって本発明は、上流側スタンド、少なくとも第2スタンドを含むそれ以降の各圧延スタンドのそれぞれのワークロールとして、平滑性の高い研削仕上げ面を有するロール[表面粗さRa:0.6μm以下、研削掻き疵(1)の大きさ;深さd≦20μm,開口幅w≦50μm,長さl≦5mm]を使用することとしている。その研削仕上げ面は、前記したとおり粒度番号70以上の砥石を用いた研削加工により形成することができる。
各圧延スタンドのワークロールの具体例として、例えば図1に示した4スタンド冷間タンデム圧延機においては、第2スタンド(112)〜第4スタンド(114)の各ワークロール(122)〜(124)として、粒度番号80の砥石(砥粒平均径:210〜149μm)による研削仕上げを施したロールを使用し、第1スタンド(111)のワークロール(121)には、粒度番号36の砥石(砥粒平均径:590〜420μm)で研削仕上げしたロールを使用する例が挙げられる。
第1スタンド(111)のワークロール(121)の研削仕上げ面は、必ずしも第2スタンド(112)のワークロール(122)のそれと同じレベルである必要はなく、従来と同様の粒度番号の低い砥石による研削仕上げ面であってもよい。これは、第1スタンド(111)での圧延は、第2スタンド(112)以降の圧延に比べて製品の表面品質に対する影響が軽微なことによる。ただし、圧延能率の更なる向上の要請に対して、圧延速度・圧下率をより高く設定した圧延条件を適用するに当り、第1スタンド(111)のワークロール(121)の表面性状が、製品鋼帯の表面品質の低下(線状疵4発生)の原因となることが懸念される場合には、そのワークロール(121)にも、第2スタンド(112)のワークロール(122)と同等の研削仕上げ面を有するロールを使用することとする。なお、第1スタンド(111)のワークロール表面は、圧延性(ロールバイトのスリップ防止・噛み込み性等)の点から、ある程度の粗さが必要とされるが、粒度番号70〜80等の砥石による研削仕上げを施したロールでは、噛み込み性等の不具合をきたすことはなく、良好な圧延性を保持することができる。
各スタンドに組み込まれたワークロールのそれぞれは、経時的に(通板量の増加と共に)、表面層の劣化(肌荒れ・微小亀裂の発生等)が進行する。従ってその表面劣化層を除去してロール表面を再生するための砥石による研削加工を適時実施される。その再生研削加工には、ワークロールをスタンドから取り外して行なうオフライン研削加工、またはスタンド内で行なうオンライン研削加工が任意に使用される。いずれも場合も、各スタンドのワークロールについて上記の研削仕上げ面が確保されるように、それに対応した砥石による研削加工を行なうことを要する。
上記のように上流側スタンドに平滑性の高い研削仕上げ面を有するワークロールを使用することとした本発明においては、従来の冷間タンデム圧延(上流側スタンドは下流側スタンドのワークロールより平滑性の低いワークロールが使用される)に比べて、ロール研削のコスト増加の不利を伴う。しかし、ワークロール表面の上記規制の効果として、製品鋼帯の線状疵(4)の発生を確実に防止し、高速度・高圧下率の圧延条件下にも健全な表面品質を確保することが可能となり、その圧延能率の向上・表面品質の安定確保の効果は、ロール研削のコストアップ等の不利を補って十分に余りあるものである。
本発明の冷間タンデム圧延はアルミキルド中炭素鋼の鋼帯を被圧延材とする。前記線状疵(4)は、アルミキルド中炭素鋼の鋼帯の冷間圧延において生じ易く、その鋼組成(質量%)は、C:0.08〜0.25%,Si:0.15〜0.35%,Mn:0.30〜0.60%,P:0.030%以下,S:0.035%以下,Al:0.02〜0.10%,残部Fe及び不可避不純物からなる(JIS G4051 S10C〜S22C等がこれに属する)。また、その冷間圧延における線状疵(4)の発生傾向は、薄ゲージ圧延(製品板厚:約0.5mm以下)において高くなる。従って本発明による表面品質及び圧延能率の向上効果は、製品板厚0.5mm以下のアルミキルド中炭素鋼鋼帯を対象とするタンデム圧延において特に顕著である。
冷間タンデム圧延機を構成する圧延スタンド数は任意であり、本発明の効果は圧延スタンド数の制限を受けないが、一般的には4〜6スタンドである。
なお、各圧延スタンドのロールバイト(ワークロールと被圧延材との接触界面)の潤滑と冷却のために圧延油が供給される。供給方式は直接式と循環式とに大別され、そのいずれであってもよく、前記図1は冷間タンデム圧延装置(10)と圧延油供給装置(20)とを給油管路(21)と戻り油管路(22)で連結した循環方式の例を示している。圧延油供給装置(20)の圧延油貯留タンク(23)はダーティタンク(24)とクリーンタンク(25)とからなり、冷間タンデム圧延装置(10)から回収される圧延油は、鉄分除去装置(電磁フィルタ)(26)及び濾過装置(ホフマン型濾過器等)(27)で浄化されて各スタンド圧延装置(10)に循環供給される。
また、圧延油に要求される潤滑特性は製品鋼帯の板厚の厚薄により異なるので、それに対応した圧延油の濃度調整が行なわれる。図1では、圧延油貯留タンク(23)として2つの圧延油貯留タンク(23a)(23b)を並列配置し、一方を薄ゲージ(製品板厚:約0.5mm以下)圧延用、他方を厚ゲージ(製品板厚:0.5mm以上)圧延用とし、それぞれの圧延油を所要濃度に調整維持し、回路切り替えにより厚ゲージ圧延と薄ゲージ圧延との変更に即応し得るようにしている。上記循環供給回路構成は従来のそれと異ならなず、圧延油(圧延油原油を水に適宜濃度で懸濁乳化したエマルジョン液)についても公知のものが適宜使用される。
図1の4スタンド冷間タンデム圧延機において下記条件による鋼帯冷間圧延を行なった。
[I]各圧延スタンドのワークロール
(1)ロール径(mm)
第1スタンド:400-460,第2スタンド:410-470,第3スタンド:440-480,第4スタンド:370-430。
(2)ロール表面の研削加工および仕上げ面性状
砥石1又は砥石2による研削仕上げ加工を行なった。
砥石1…A系砥粒、粒度番号36(平均径590-420μm)
砥石2…A系砥粒、粒度番号80(平均径210-149μm)
<発明例>
各圧延スタンドのワークロール(121)〜(124)としてそれぞれ砥石2で研削仕上げしたロールを使用。
表面粗度Ra:0.6μm以下
研削掻き疵(1)の大きさ:深さ(d)≦20μm,開口幅(w)≦50μm,長さ(l)≦5mm
<比較例(従来例)>
第1及び第2スタンドのワークロールは砥石1で研削仕上げし、第3及び第4スタンドのそれは砥石2で研削仕上げしたロールを使用。
第1,第2スタンドワークロール(121)(122)
表面粗度Ra:0.6μm以下
研削掻き疵(1)の大きさ:深さ(d)15-30μm,開口幅(w)35-70μm,長さ(l)3-8mm
第3,第4スタンドワークロール(123)(124)
表面粗度Ra:0.6μm以下
研削掻き疵(1)の大きさ:深さ(d)≦20μm,開口幅(w)≦50μm,長さ(l)≦5mm
[II]圧延条件
(1)鋼帯材種:アルミキルド中炭素鋼(JIS G4051 S15C相当材)
(2)入側板厚:2.0〜2.5mm
出側板厚:0.2〜0.5mm
圧下率:約85%
圧延速度:700〜1000m/min
(3)圧延油:合成エステル,改質油脂を基油とする圧延油原油の2%エマルジョン液。
上記冷間タンデム圧延において、従来例では、圧延速度700m/minを超えると、製品鋼帯に線状疵(4)が発生するようになり、これを回避するために圧延速度をそれ以下に制限しなければならず、これに対し発明例では、1000m/minの圧延速度においても、線状疵(4)の発生はなく、健全な表面品質を得ることができた。下表に発明例と比較例の圧延速度の比を示す。
[表1]
比較例(従来例) 発明例
圧延速度比 1 1.43
――――――――――――――――――――――
上記のように発明例と比較例とにおける圧延速度の相違は顕著である。この相違は、そのまま圧延能率の差異を示すものではないが、本発明における圧延能率の顕著な改善効果を示唆していることは明らかである。
本発明によれば、アルミキルド中炭素鋼鋼帯の冷間タンデム圧延における製品鋼帯表面の線状疵の発生を確実に防止し、高速度・高圧下率の圧延条件のもとに製品鋼帯の健全な表面品質を保証することができ、冷間タンデム圧延能率の顕著な改善効果が得られる。本発明は、上流側の圧延スタンドのワークロールとして下流側のワークロールと同等の研削仕上げを施すことを要し、それによるロール研削加工コストの増加を伴うが、上記圧延能率の向上効果は、ロール研削加工のコスト増加の不利を補って十分に余りあり、工業的に実用価値に富むものである。
冷間タンデム圧延装置の例を示す説明図。 鋼帯表面の線状疵の発生メカニズムの説明図(同図[I]は平面図、[II]は正面図)。 ロール研削仕上げ面に発生した研削掻き疵の断面プロフィルの例を示す図。
符号の説明
1:研削掻き疵
2:微小突起
1:焼付き(微小突起2の熱的転着)
2:線状突起
4:線状疵
10:冷間タンデム圧延装置
11(111〜114):圧延スタンド
12(121〜124):ワークロール
20:圧延油循環供給回路
21:給油管路
22:戻り油管路
23(23a,23b):圧延油貯留タンク
24:ダーティタンク
25:クリーンタンク
26:鉄分除去装置(マグネットフィルタ)
27:濾過装置(ホフマン型濾過器)
S;被圧延材(鋼帯)

Claims (3)

  1. 研削加工されたワークロールを有する複数の圧延スタンドの各圧延機に被圧延材としてアルミキルド中炭素鋼の鋼帯を順次通板して所定板厚に仕上げる鋼帯の冷間タンデム圧延において、少なくとも第2スタンド以降の各圧延機のワークロールとして、表面粗さRa:0.6μm以下に研削仕上げされ、研削仕上げ面に研削掻き疵が存在する場合の該掻き疵の大きさは、深さ(d):20μm以下、開口幅(w):50μm以下、および長さ(l):5mm以下であるロールを使用することにより、ワークロール表面の線状突起の発生とその鋼帯表面への転写マークである焼付き状の線状疵を防止することを特徴とするアルミキルド中炭素鋼鋼帯の冷間タンデム圧延方法。
  2. 複数の圧延スタンドのそれぞれに研削加工されたワークロールが組み込まれている鋼帯冷間圧延用タンデム圧延機において、少なくとも第2スタンド以降の各圧延スタンドの圧延機のワークロールが、表面粗さRa:0.6μm以下であって、研削加工時に生じる研削掻き疵が存在する場合の該掻き疵の大きさが、深さ(d):20μm以下、開口幅(w):50μm以下、および長さ(l):5mm以下である研削仕上面を有するロールであることを特徴とする、請求項1に記載のアルミキルド中炭素鋼鋼帯の冷間タンデム圧延に使用される冷間圧延用タンデム圧延機。
  3. 少なくとも第2スタンド以降の各圧延スタンドの圧延機のワークロールは、粒度番号70以上の砥石による研削仕上げ加工が施されたロールである請求項2に記載の鋼帯の冷間圧延用タンデム圧延機。
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