JP6593190B2 - 被圧延材の異周速圧延方法 - Google Patents

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Description

本発明は、上下一対の作業ロールを構成する各作業ロールの周方向速度が異なる状態で被圧延材を圧延する、被圧延材の異周速圧延方法に関する。
被圧延材の異周速圧延方法は、上下一対の作業ロールを有する圧延機を用いて、一方の作業ロールの表面の周方向速度(以下、「周速度」と称する。)が他方の作業ロールの表面の周速度に対して相対的に低速となる状態で、鋼板等の被圧延材を圧延する圧延方法である。被圧延材の異周速圧延方法は、圧延荷重あるいは圧延トルク等の圧延負荷の軽減効果や圧延荷重の変更による被圧延材の表面性状の調整・制御効果、および、クロスシャー領域(摩擦応力の作用する方向が被圧延板の上面と下面とで互いに逆方向となる領域)が形成されることにより板厚中央のひずみ量を増加させ、圧延後の板製品の機械特性を向上させる効果等を得るために用いられている。
一方、板厚方向に非対称な変形特性を有する被圧延材、例えば板厚方向に上下非対称な温度分布を有する熱間圧延素材、あるいは上下に異なる鋼種の板材を接合したクラッド材等を圧延する際には、降伏応力の上下非対称性に起因して圧延中の反り発生が予想される。そこで、予測される反りの程度に応じて上下に配置された作業ロール間の周速度の差(以下、「周速度差」と称する。)、もしくはその比率(以下、「異速率」と称する。)を設定し、異周速板圧延を行う技術も提案されている。
例えば、特許文献1には、異周速圧延方法を調質圧延に適用し、被圧延材の表面粗度を制御する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、上下に配置された作業ロール間での圧延変形の上下非対称性により、圧延後の被圧延材には顕著に上下非対称な残留応力分布(板長さ方向応力の板厚方向分布)が生じ、切板製品とする際に顕著な反りが発生し、平坦度不良という品質問題が起こる。さらには、圧延の後工程において張力が低下もしくは開放されると、上下方向に被圧延材の進行方向が顕著に変わるため、通板不良等の操業問題も生じる。
また、特許文献2には、異周速圧延方法を被圧延材の表面粗度の制御方法として用いるために、一対の作業ロールのうち高周速度側の作業ロールを無潤滑とし、低周速度側の作業ロールに潤滑剤を供給して圧延する方法が開示されている。この方法によれば、圧延後の被圧延材の反りの抑制も期待されるが、後述する理由により、圧延条件によっては当該反りを増大させてしまい、操業安定性や品質の劣化に繋がる。
一方、異周速板圧延によって圧延材の反り発生を防止する技術としては、前パスの圧延荷重と圧延トルクの実績値とから当該パスで発生する圧延反り量を予測し、予測された反りの発生を防止するための上下作業ロールの周速度差の設定変更制御量を算出し、当該算出した上下作業ロールの周速度差の設定変更制御量に基づいてロール周速度を制御する方法がある(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この方法では、圧延条件によっては反り量の予測誤差に起因する制御効果の過不足が生じたり、場合によっては予測した反りと同方向により大きな反りが発生したりすることがあり、一定の効果を奏するものの、反りを安定的に解消することはできなかった。
特公昭63−65401号公報 特開平9−122705号公報 特開平7−164031号公報
第34回塑性加工連合講演会予稿集、日本塑性加工学会、1983、p109−112 材料とプロセス、日本鉄鋼協会、1987、p59−62
上述したように、上記従来技術を用いた場合でも、圧延条件によっては圧延中に顕著な被圧延材の反りが出側で生じる場合があり、通板トラブルが発生したり、意図する板圧延を安定して実現できなかったりする。特に、作業ロールと被圧延材との間の投影接触弧長(以下、単に「接触弧長」と称する。)と、接触弧内(以下、「ロールバイト」と称する。)の平均板厚(以下、単に「平均板厚」と称する。)との比である圧延形状比が、ある範囲内となるような条件下では、上記の問題はより顕著となる。
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、異周速板圧延において、被圧延材の反りによる通板トラブルや平坦度不良を解消することの可能な、被圧延材の異周速圧延方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、上下一対の作業ロールを有する圧延機を用いて、一方の作業ロールの表面の周方向速度が他方の作業ロールの表面の周方向速度に対して相対的に低速となる状態で被圧延材を圧延する、被圧延材の異周速圧延方法であって、被圧延材の先端噛み込み直後の非定常部から定常部に至る迄を、被圧延材の先端部分として、被圧延材の先端部分の圧延時のみ、作業ロールのうち、周方向速度が相対的に低速となる低速側作業ロールに当接する被圧延材の表面に対して潤滑剤を供給し、被圧延材の先端部分の圧延後は、被圧延材の表面に対する潤滑剤の供給を停止する、被圧延材の異周速圧延方法が提供される。
また、本発明の別の観点によれば、上下一対の作業ロールを有する圧延機を用いて、一方の作業ロールの表面の周方向速度が他方の作業ロールの表面の周方向速度に対して相対的に低速となる状態で被圧延材を圧延する、被圧延材の異周速圧延方法であって、被圧延材の先端部分の圧延時のみ、作業ロールのうち、周方向速度が相対的に低速となる低速側作業ロールに当接する被圧延材の表面に対して潤滑剤を供給し、被圧延材の先端部分の圧延後は、被圧延材の表面に対する潤滑剤の供給を停止し、潤滑剤が供給される被圧延材の先端部分の潤滑剤供給長さL lub は、圧延形状比と被圧延材の板厚とに基づいて決定され、下記式(1)で表される、被圧延材の異周速圧延方法が提供される。
lub =α×η×H ・・・(1)
ここで、αは1〜50の係数、ηは圧延形状比、H はロールバイト内の被圧延材の平均板厚である。
低速側作業ロールは非駆動であってもよい。
また、上記被圧延材の異周速圧延方法は、圧延形状比が1以上かつ4以下となる圧延条件の場合に実施されてもよい。
以上説明したように本発明によれば、異周速板圧延において、被圧延材の先端部分を圧延する際に、種々の上下非対称要因により生じる被圧延材の反りや上下に配置された作業ロールとの接触状態を含む幾何学的非対称要因の変化が抑制される。これにより、後続の定常部から尾端にかけての反り挙動を安定化させることができ、不安定かつ極端な被圧延材の反り発生に起因する通板トラブルや製品品質の劣化を解消することができる。
本発明の第1の実施形態に係る圧延機を模式的に示す概略構成図である。 図1の圧延機による被圧延材の異周速圧延方法を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る圧延機を模式的に示す概略構成図である。 図3の圧延機による被圧延材の異周速圧延方法を示すフローチャートである。 被圧延材の異周速圧延における圧延反り量と圧延形状比の関係を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.本発明の概念>
まず、本発明の被圧延材の異周速圧延方法の概念について説明する。本発明者らは、上記課題を解決するために、圧延中の被圧延材の反りの挙動、特に被圧延材の先端が圧延機に噛み込んだ直後からのロールバイト内とその近傍での材料変形挙動について、実験用圧延機を用いた実験による観察、およびこれを再現するFEMモデルを用いた解析を行い、詳細に検討した。実験用圧延機は、上下一対の作業ロールのうち鉛直方向上側に配置された上側作業ロールを非駆動とする、いわゆる片駆動圧延機能と、各作業ロールのロール周速度を個別に設定し制御する異周速圧延機能(上記特許文献3の技術の適用を含む。)とを備えるものである。実験および解析に際しては、被圧延材の先端部の形状や表面性状、降伏応力の板厚方向分布、パスライン高さ(すなわち、下作業ロールの上死点位置と入側テーブルまたは出側テーブルとの高低差)等について、実機での外乱量を想定した種々条件を設定して行った。その結果、本発明者らは、以下の知見を得た。
(1)被圧延材の先端の噛み込み開始から異周速圧延(片駆動圧延を含む。)を行った際に観察される被圧延材の反りと圧延形状比との関係は、例えば図5に示すような関係が従来から知られている。図5は、異周速圧延における圧延反り量と圧延形状比の関係を示す説明図である。この関係によれば、被圧延材の反りは、圧延形状比ηが小さい条件では、相対的に周速度が低速となる作業ロール(片駆動圧延の場合には非駆動側の作業ロール。以下、「低速ロール」と称する。)に向かい、圧延形状比ηが大きくなると反り方向が反転し、相対的に周速度が高速となる作業ロール(片駆動圧延の場合には駆動側の作業ロール。以下、「高速ロール」と称する。)に向かう。しかし、本発明者らが実験、解析を重ねた結果、この関係とは全く逆方向の反りが生じ得ることが観察された。また、被圧延材の定常部に比べ、被圧延材の先端噛み込み直後の非定常部においてこの逆方向の反りがより多く生じることも知見された。
(2)上記(1)で観察された、従来から知られている関係とは逆方向の反りが生じる場合には、従来から知られている方向に反りが発生した場合に比べて必ずしも反りの程度が緩和されず、また、反対方向に向かう同程度の反りや、より大きな(すなわち、曲率の絶対値が大きい)反りが生じることもあった。さらに、反り方向や曲率のバラツキも顕著であり、被圧延材の先端部分と定常部以降とで反り方向が反転し、圧延後の被圧延材形状がS字状になる場合もあった。
(3)ロールバイト近傍における圧延変形について被圧延材の先端の噛み込みから時系列的に詳細に観察した結果、従来から知られている関係とは逆方向に反りが生じる場合には、被圧延材の先端噛み込み直後から定常部に至る迄の間に既に逆方向に反りが生じており、これが定常部での反り方向を決定することが示唆された。また、先端の非定常部での反りの方向は、圧延形状比ηに依らず低速ロールに向かうことが多いことも知見された。
(4)また、低速ロールと当接する側の被圧延材の板面(以下、「低速ロール側の板面」と称する。)に、先端から所定の距離だけ潤滑剤を供給しながら圧延し、以降は潤滑剤の供給を停止して圧延すれば、従来から知られている関係がほぼ安定して再現されることが判明した。
(5)上記(4)で試行した低速ロール側の板面への潤滑剤の供給を圧延全長にわたって行うと、特に圧延形状比ηが大体1〜4の範囲で定常部に高速ロールに向かう反りが顕著に増大することが判明した。
(6)圧延形状比ηが1未満もしくは4より大きい場合でも、上述の潤滑剤の供給を圧延全長にわたって行うと、定常部以降の反り方向と大きさは従来から知られている関係とは有意に異なることがあり、再現性に乏しくなる。
(7)また、上記(5)とは逆に、高速ロールと当接する側の板面(以下、「高速ロール側の板面」と称する。)へ被圧延材全長にわたって潤滑剤の供給を行うと、低速ロールに巻き付くほど非常に大きな反りが生じる。
(8)上記(2)の知見は、異周速圧延での被圧延材の反り発生現象の不安定さや発散傾向を意味しており、片駆動圧延や上記特許文献1に開示されている技術のように、設備構造や品質制約等の観点で異速率が規定される場合には、極端な反りの発現やS字状の平坦度不良などが回避できず、上述した操業安定性や品質の劣化を来すことが判る。
(9)また、上記(5)、(6)および(7)の知見は、例えば、非特許文献2のような被圧延材の上面及び下面の摩擦係数差と被圧延材の反りとの関係に基づく上下非対称潤滑技術や、上記特許文献2に記載の技術を単純に被圧延材全長にわたって適用しても、圧延による反り発生を安定的に軽減することができないことを示唆する。また、上記(2)の知見を含め、当該知見は異周速圧延における圧延形状比ηと被圧延材の反り量との関係に無視し得ない外乱、変動が生じることを意味している。これは、上記特許文献3のような従来技術の適用においては予測制御モデルの大きな誤差要因となるため、期待する効果が得られない場合が多いと考えられる。
(10)これらの上記(1)から(7)の現象、特性が発現した理由については、以下のような機構によるものと考察される。
(10−1)まず、圧延における被圧延材の反り発生については、例えば上記非特許文献1に開示されているように、上下一対の作業ロールとの接触域の境界位置、すなわち、ロールバイト近傍の幾何学的な上下非対称要因(以下、「幾何学的非対称要因」と称する。)が、圧延後の反りの方向及び大きさに顕著に影響することが示されている。幾何学的非対称要因は、異速率や被圧延材の上面及び下面の摩擦係数差、被圧延材の板厚方向に上下非対称な降伏応力分布等の、いわゆる上下非対称要因だけではなく、ロールバイトの入側での被圧延材の進入角や進入高さ、ロールバイトの出側での被圧延材の進出角度、および圧延前後での被圧延材の寸法、形状を含めて決定される。
通常、被圧延材の圧延工程においては、ロールバイト前後にローラテーブルや上部ガイドが配置され、また、上流工程での圧延や切断により被圧延材の先端の断面形状と尾端の断面形状とは上下非対称なものとなっている。したがって、被圧延材の先端噛み込み直後の非定常部のようにロールバイト入側にのみ長い被圧延材が存在する場合と、定常部のようにロールバイトの入側出側の双方に長い被圧延材が存在する場合とでは、幾何学的非対称要因の変化とこれによる影響が顕著に異なると思われる。すなわち、被圧延材の先端の非定常部では、種々の上下非対称要因の影響で幾何学的非対称要因が容易に変化し得るのに対し、定常部では相対的に幾何学的非対称要因の変化が抑制され、その圧延変形、すなわち被圧延材の反り発生への影響が増す傾向にあると思われる。
(10−2)図5に示した被圧延材の反りと圧延形状比ηとの関係は従来の実験結果の一例であり、種々の文献の記載によれば、異周速条件を除く上下非対称要因および幾何学的非対称要因が十分管理された実験、解析がなされていると考えられる。上述したように、本発明に関わる実験、解析では種々の外乱を考慮しているため、上記(1)および(2)の知見のように、従来から知られている関係とは逆方向の反りや非常に大きな反りが発生する可能性が高いこと、定常部に比べて先端の非定常部においてその発生率が高いことが理解される。また、先端の非定常部でのみ逆方向の反りが発生した場合にS字状の反り形状が観察されたものと推測される。
(10−3)被圧延材の先端の非定常部で発生する反りは、幾何学的非対称要因を時々刻々変化させる。この幾何学的非対称要因が定常部に受け継がれると考えられ、被圧延材の先端の非定常部での(逆方向)の反りが定常部での反り方向に有意に影響していると考えられる。すなわち、上記(3)の知見が理解できる。異周速圧延の場合、本来、高速ロール側の板表面の方が反対側の板表面よりも被圧延材の速度が速くなる、すなわち低速ロール側に向かう反りが発生することが自然の理に適うように思われる。このため、ロールバイト出側での自由な変形が許される先端部分の圧延において低速ロール側に向かう反りの発生頻度が高くなったと思われる。既知の、圧延形状比ηが大きい場合に高速ロール側に向かう反りが発生するという現象については、圧延形状比η、すなわちロールバイトの縦横比が変わることで幾何学的非対称要因と反り方向との関係が高速ロール側にシフトすることで発生したものと考えられる。
(10−4)本発明技術の適用ともいえる、上記(4)で知見された現象については、潤滑剤の供給により低速ロール側の摩擦係数が低下することで被圧延材の延伸が増大し、当該低速ロール側の被圧延材の速度が速くなることにより、被圧延材の先端の非定常部での低速ロール側に向かう反りの傾向が抑制され、幾何学的非対称要因の変化を介して定常部の反り方向にも影響したと考えられる。すなわち、従来から知られている関係がほぼ安定して再現されたものと考えられる。
(10−5)また、図5に示されるように、圧延形状比ηが大体1〜4の範囲は無潤滑の場合でも高速ロール側に向かう反りが生じ易い領域であり、被圧延材の定常部も継続して低速ロール側に潤滑剤を供給すると高速ロール側に向かう反りがさらに増大することは想像に難くなく、上記(5)の知見が理解できる。また、潤滑剤を高速ロール側に供給すると、上記(10−3)に記した異周速圧延での本来の反り方向と、上記(10−4)に記した潤滑剤の供給による反り方向が一致することになり、圧延全長にわたって低速側に向かう反りが非常に大きくなる。すなわち上記(7)の知見が理解できる。
(10−6)上記(10−1)に記したように、被圧延材の先端の非定常部と定常部以降とでは、幾何学的非対称要因を含め潤滑剤の供給による圧延反りへの影響が異なること、および潤滑剤の供給による実質的な摩擦係数低減効果が実用十分には安定でないことなどに起因して、上記(6)のように有意な反り特性の変化が生じたものと考えられる。
上記の知見に基づき、本発明に係る被圧延材の異周速圧延方法では、被圧延材の先端部分の圧延に際し、被圧延材の上面または下面のうち、低速ロール側の板面に潤滑剤を供給して圧延し、以降は潤滑剤の供給を停止して被圧延材を圧延する。これにより、被圧延材の反りによる通板トラブルや平坦度不良を解消する。以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
<2.第1の実施形態>
[2−1.圧延機の構成]
まず、図1に基づいて、本発明の第1の実施形態に係る被圧延材を圧延する圧延機の構成について説明する。なお、図1は、本発明の第1の実施形態に係る圧延機を示す概略構成図である。
本実施形態に係る圧延機は、図1に示すように、対となる上作業ロール2及び下作業ロール3と、上作業ロール2及び下作業ロール3を補強する上補強ロール1及び下補強ロール4と、上作業ロール2及び下作業ロール3をそれぞれ独立して駆動する駆動用電動機5、6とを備える。上作業ロール2の上部には上補強ロール1が、下作業ロール3の下部には下補強ロール4が配設されている。
ロール群1〜4の通板方向上流側には、潤滑剤タンク8に貯蔵された潤滑剤を、被圧延材Sの上面及び下面に供給する潤滑剤供給装置9、10が設置されている。通板される被圧延材Sの上部及び下部に潤滑剤供給装置9、10を設けることで、被圧延材Sの上面および下面について個別に潤滑剤の供給が可能となる。なお、潤滑剤及びその供給量は、被圧延材Sの作業ロールへの噛み込みに支障のない摩擦係数が確保できる潤滑剤及び供給量であればよい。潤滑剤は、例えば、油脂(鉱物系、動物系、ニート、エマルジョン等。)、グリース、固体潤滑剤(黒鉛、膨潤雲母、モリブデン等)等を用いることができ、圧延荷重低減や圧延製品の表面疵防止、ロール損耗低減等を目的に供給される一般的な熱間圧延用の潤滑剤を用いてもよい。
また、潤滑剤供給装置9、10の上方には被圧延材Sの先端からの距離を測定する距離測定器11が設置されており、被圧延材Sの先端が潤滑剤供給装置9、10の位置に到達してからの進行距離を測定する。
潤滑剤供給装置9、10は、上作業ロール2及び被圧延材Sの上面の双方に潤滑剤を供給可能なように、下作業ロール3及び被圧延材Sの下面の双方に潤滑剤を供給可能なように、上作業ロール2と下作業ロール3との間の入側直近にそれぞれ配置されていてもよい。この場合、距離測定器11は、実質的に被圧延材Sの先端からの圧延開始時点からの圧延距離(入側での被圧延材Sの進行距離)を測定すればよい。
圧延機は、制御装置102により駆動制御される。制御装置102は、圧延機を駆動制御するための各種機能部を備えているが、本実施形態に係る異周速圧延方法を実現するための機能部として、図1に示すように、異周速度設定値入力部12と、周速度制御装置13と、演算部14と、潤滑剤供給制御装置15とを備えている。
異周速度設定値入力部12は、上駆動用電動機5及び下駆動用電動機6の異周速度設定値が入力される機能部である。異周速度設定値は、圧延条件に基づき設定される。異周速度設定値は、下記式(2)および式(3)で定義される上作業ロール2と下作業ロール3との平均速度Vaveおよび異速率Rをいう。なお、異周速度設定値は、上作業ロールの周速度Vと下作業ロールの周速度Vを個別に直接設定してもよいことは言うまでもない。
ave=(V+V)/2 ・・・(2)
=(V−V)/Vave ・・・(3)
異周速度設定値入力部12は、異周速度設定値を、周速度制御装置13及び潤滑剤供給制御装置15へ出力する。
周速度制御装置13は、上作業ロールの周速度Vと下作業ロールの周速度Vとが異周速度設定値に一致するように、上駆動用電動機5及び下駆動用電動機6を制御する。上作業ロールの周速度V及び下作業ロールの周速度Vは、下記式(4)および式(5)で算出される。周速度制御装置13は、算出した上作業ロールの周速度V及び下作業ロールの周速度Vとなるように、上駆動用電動機5及び下駆動用電動機6を制御する。
=(1+R/2)Vave ・・・(4)
=(1−R/2)Vave ・・・(5)
演算部14は、圧延形状比(η)の演算値および被圧延材Sの潤滑剤供給長さの演算値(Llub)を演算する。演算部14は、圧延形状比(η)の演算値および被圧延材Sの潤滑剤供給長さの演算値(Llub)を、潤滑剤供給制御装置15へ出力する。
潤滑剤供給制御装置15は、距離測定器11で測定された潤滑剤の供給長さの測定値(Llub meas)と、圧延形状比(η)の演算値および潤滑剤供給距離の演算値(Llub)と、異周速度設定値とに基づいて、潤滑剤供給装置9、10による潤滑剤の供給・停止を制御する。
[2−2.圧延機の制御]
次に、図2に基づいて、本実施形態に係る圧延機による被圧延材Sの異周速圧延方法について説明する。図2は、図1に示した本実施形態に係る圧延機による被圧延材Sの異周速圧延方法を示すフローチャートである。図2では、演算部14による圧延形状比の演算値の算出から処理を開始し、異周速圧延の終了までの制御を示している。
[S10]
まず、演算部14により、当該圧延パスの圧延条件に基づいて圧延形状比ηが算出される。圧延形状比ηは、作業ロール2、3と被圧延材Sとの間の投影接触弧長とロールバイト内の平均板厚の比であり、例えば下記式(6)を用いて計算される。
η=l/H ・・・(6)
ここで、lは投影接触弧長、Hはロールバイト内平均板厚であり、例えば下記式(7)、式(8)で計算される。
=(R×Δh)0.5 ・・・(7)
=(H+2h)/3 ・・・(8)
ここで、Rは作業ロール半径、Δhは当該圧延パスの圧下量(Δh=H−h)、Hは圧延前の板厚、hは圧延後の板厚である。
演算部14は、式(6)にて算出した圧延形状比の演算値を潤滑剤供給制御装置15へ出力する。
[S11]
また、上作業ロール2と下作業ロール3との周速度差が異周速度設定値として設定される。異周速度設定値は、異周速度設定値入力部12から入力され、周速度制御装置13及び潤滑剤供給制御装置15に出力される。異周速度設定値は、例えば特許文献3に開示された技術を用いて算出された値であってもよい。
[S12]
次いで、潤滑剤供給制御装置15は、異周速度設定値に基づいて、潤滑剤を供給する被圧延材Sの面を決定する。潤滑剤供給制御装置15は、異周速度設定値から上記式(4)、式(5)を用いて上作業ロール2及び下作業ロール3の周速度をそれぞれ求め、被圧延材Sの上面または下面のうち低速ロール側の板面を特定する。潤滑剤供給制御装置15は、特定した低速ロール側の板面を、潤滑剤を供給する潤滑剤供給面として決定し、当該潤滑剤供給面に対して潤滑剤を供給可能な潤滑剤供給装置9、10を選択する。
[S13]
さらに、潤滑剤供給制御装置15は、潤滑剤を供給する板先端からの距離、すなわち潤滑剤供給長さの演算値Llubを、上記式(1)を用いて算出する。式(1)で算出される値は、接触弧長のα倍の距離に相当する。係数αは、1〜50の範囲で適切な値が選択される。すなわち、潤滑剤供給長さの演算値Llubは、αが1であれば接触弧長と等しい値となり、接触弧長の50倍の長さまでの範囲で設定される。ここで、圧延形状比が1より小さい場合には、潤滑剤供給長さの演算値Llubはロールバイト内平均板厚H以上となるように係数αを選択することが望ましい。あるいは、潤滑剤供給長さの演算値Llubが、投影接触弧長lの1倍以上10倍以下であり、かつ、ロールバイト内平均板厚Hの1倍以上10倍以下となるように、係数αを決定してもよい。
なお、αの値として適切な値を選択するに際しては、例えば、他の条件を一定にしてαのみを変更した実験を行い、反りの大きさが所定の値以下となるαを求めて、その値をαとしてもよい。あるいは、上述した実機での外乱量を想定した種々条件に対して実験を行って、反りの大きさ、方向の変化(バラツキ)が所定の値以下となるαを求めて、その値をαとしてもよい。
ただし、被圧延材Sの厚さが潤滑剤供給長さの演算値Llubより大きい等、上記式(1)で算出された値が最適ではないと思われる場合には、予め設定した値を用いてもよいし、圧延形状比および板厚を用いた他の計算式によって演算された値としてもよい。
[S14]
ステップS13にて潤滑剤供給長さの演算値Llubが算出されると、周速度制御装置13は、異周速度設定値に基づき上作業ロールの周速度V及び下作業ロールの周速度Vを算出し、算出した上作業ロールの周速度V及び下作業ロールの周速度Vとなるように、上駆動用電動機5及び下駆動用電動機6を制御し、異周速圧延を開始する。
[S15]
異周速圧延が開始されると、潤滑剤供給制御装置15は、距離測定器11の測定結果に基づいて、ステップS12で選択された潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置9もしくは潤滑剤供給装置10の設置位置に被圧延材Sの先端が到達したことを検知する。そして、被圧延材Sの先端が選択された潤滑剤供給装置9もしくは潤滑剤供給装置10の設置位置に到達したことが検知されると、潤滑剤の供給が開始される。
[S16]、[S17]
潤滑剤の供給を開始すると、潤滑剤供給制御装置15は、距離測定器11による被圧延材Sの先端からの測定値Llub measを監視する。そして、測定値Llub measがステップS13にて設定された距離Llubになるまで、選択された潤滑剤供給面に対して潤滑剤を供給する。なお、ステップS10で算出された圧延形状比ηが1以上4以下の場合に本実施形態に係る圧延方法を適用すると、より大きな効果を奏することができる。
[S18]、[S19]
そして、潤滑剤供給制御装置15は、距離測定器11による測定値Llub measが距離Llubを超えたことを検知すると、潤滑剤の供給を停止する。以降は潤滑剤の供給を行わず、異周速板圧延を被圧延材Sの尾端が通過するまで継続して実行する。
以上、本発明の第1の実施形態に係る圧延機の構成とこれによる異周速圧延方法について説明した。
<3.第2の実施形態>
次に、図3及び図4に基づいて、本発明の第2の実施形態に係る圧延機およびこれによる被圧延材Sの異周速圧延方法について説明する。
[3−1.圧延機の構成]
まず、図3に基づいて、本実施形態に係る圧延機の構成を説明する。図3は、本実施形態に係る圧延機の構成を示す概略構成図である。なお、以下の説明では、図3において、図1に示した第1の実施形態に係る圧延機と同様の装置および部材については、その説明を省略する。
本実施形態に係る圧延機は、図3に示すように、図1に示した第1の実施形態に係る圧延機と比較して、ます、上作業ロール2が非駆動であること、被圧延材Sの上面側にのみ潤滑剤の潤滑剤供給装置9を備えることが相違する。
また、本実施形態に係る圧延機は、制御装置104の構成が図1の制御装置102と相違する。具体的には、制御装置104は、周速度制御装置13に代えて下作業ロール周速度制御装置17を備え、下作業ロール周速度目標値入力部16から入力される下作業ロール3の周速度の目標値(以下、「下作業ロール周速度目標値」と称する。)に従って制御される。また、制御装置104の潤滑剤供給制御装置15は、圧延形状比(η)の演算値、潤滑剤供給長さの設定値と距離測定器11で測定された潤滑剤の供給長さの測定値(Llub meas)に基づいて潤滑剤供給装置9による潤滑剤の供給、停止を制御する。
なお、図3では、上作業ロール2を非駆動としたが、本発明はかかる例に限定されず、下作業ロール2が非駆動となるように、上下逆転させた圧延機および潤滑剤供給装置の配置としてもよい。
[3−2.圧延機の制御]
次に、図4に基づいて、本実施形態に係る圧延機による被圧延材Sの異周速(片駆動)圧延方法について説明する。図4は、図3に示した本実施形態に係る圧延機による被圧延材Sの異周速(片駆動)圧延方法を示すフローチャートである。
[S20]
まず、演算部14により、当該圧延パスの圧延条件に基づいて圧延形状比ηが算出される。圧延形状比ηは作業ロールと板間の投影接触弧長とロールバイト内の平均板厚の比であり、上記式(6)を用いて計算すればよい。演算部14は、式(6)にて算出した圧延形状比の演算値を潤滑剤供給制御装置15へ出力する。
[S21]
次いで、下作業ロール周速度目標値入力部16から入力された下作業ロール3の周速度の目標値である下作業ロール周速度目標値が下作業ロール周速度制御装置17に出力される。
[S22]
一方、潤滑剤供給制御装置15は、潤滑剤を供給する板先端からの距離、すなわち潤滑剤供給長さの演算値Llubを、上記式(1)を用いて算出する。潤滑剤供給長さの演算値Llubについては、予め設定した値を用いてもよいし、圧延形状比および板厚を用いた他の計算式によって演算された値としてもよい。
[S23]
ステップS22にて潤滑剤供給長さの演算値Llubが算出されると、下作業ロール周速度制御装置17は、ステップS21にて入力された下作業ロール周速度目標値に従って下駆動用電動機6を制御し、異周速(片駆動)圧延を開始する。
[S24]
異周速(片駆動)が開始されると、潤滑剤供給制御装置15は、距離測定器11の測定結果に基づいて潤滑剤供給装置9の設置位置に被圧延材Sの先端が到達したことを検知する。そして、被圧延材Sの先端が選択された潤滑剤供給装置9の設置位置に到達したことが検知されると、潤滑剤の供給が開始される。
[S24]、[S26]
潤滑剤の供給を開始すると、潤滑剤供給制御装置15は、距離測定器11による被圧延材Sの先端からの測定値Llub measを監視する。そして、測定値Llub measがステップS22にて設定された距離Llubになるまで、潤滑剤供給面である被圧延材Sの上面に対して潤滑剤を供給する。なお、ステップS20で算出された圧延形状比ηが1以上4以下の場合に本実施形態に係る圧延方法を適用すると、より大きな効果を奏することができる。
[S27]、[S28]
そして、潤滑剤供給制御装置15は、距離測定器11による測定値Llub measが距離Llubを超えたことを検知すると、潤滑剤の供給を停止する。以降は潤滑剤の供給を行わず、異周速(片駆動)圧延を被圧延材Sの尾端が通過するまで継続して実行する。
以上、本発明の第2の実施形態に係る圧延機の構成とこれによる異周速圧延方法について説明した。
以下の実施例1、2では、従来技術と本発明の技術について、片駆動圧延機を用いた熱間圧延、および異周速圧延が可能な厚板圧延工程での、被圧延材の反りの発生状況とこれによる通板トラブルの発生頻度とについて比較を行った。
[実施例1]
実施例1では、上作業ロールを非駆動とした片駆動圧延機を用いた熱間圧延での圧延反り状況について検証した。実施例1では、被圧延材自重による反り形状変化が顕著でない圧延条件下での(すなわち、板厚が厚く(50〜150mm)、かつ被圧延材の全長と板厚との比が比較的小さい(全長/板厚=約50〜100)被圧延材の)、圧延後の全長に亘る反り形状(平均反り曲率と反り方向)を比較した。
圧延形状比は1.5〜4の間であり、板厚および圧下率を変更して圧延条件を設定した。各適用技術の約100本の圧延材について圧延後の反り形状を測定し、全長の曲率分布(約100点)の平均値を作業ロールの表面の曲率(2×10−3mm−1)で正規化した値を平均反り曲率とした。また、上作業ロールに向かう方向の反りの場合に正となるよう符号を付与した。従来技術の適用としては、比較例aとして上面及び下面とも無潤滑で圧延した場合を、比較例bとして全長に亘って上面のみに潤滑剤を供給して圧延した場合を、および比較例cとして全長に亘って下面のみに潤滑剤を供給して圧延した場合を示す。本発明を適用した実施例Aは、上記第2の実施形態に係る異周速圧延方法を用い、圧延形状比が1以上かつ4以下となる圧延条件の場合にのみ実施した。また、係数αを5〜10として被圧延材の上面の先端部分に潤滑剤を供給して圧延した。
表1は、実施例1における平均反り曲率(正規化値)を示す。正規化曲率が0.8以上の場合、被圧延材が実質的に作業ロールに巻き付いた状態となる。これより、備考欄で正規化曲率が0.8以上または−0.8以下の場合に被圧延材の反りが大きい「反り大」の状態であると判断した。表1より、従来技術においては、比較例aのように無潤滑の場合には小さい下反りに納まることもあるが、逆に中程度の上反りが発生することもあり、板内で反り方向が反転する場合もあるなど、バラツキが大きい。また、比較例b、cのように全長に亘って上面/下面のみを潤滑した場合には、反り方向は安定するものの下反り/上反りが大きい。一方、実施例Aのように本発明によれば、全長に亘って小さい下反りが比較的安定に生じている。これより、圧延操業の安定化が得られることは容易に想到される。
Figure 0006593190
[実施例2]
実施例2では、異周速圧延が可能な厚板圧延工程の、主に仕上げ圧延工程での圧延反り起因の通板トラブル発生率を比較した。実施例2では、圧延形状比が最小でも1以上の圧延パスを比較の対象とした。従来技術として上記特許文献3に開示された技術を適用し、比較例dとした。一方、本発明を適用する場合は、上記特許文献3に開示された技術で算出された上作業ロールと下作業ロールとの周速度差に基づき、低速ロール側の板表面の先端部分(約1.5m)に潤滑剤供給装置であるスプレーノズルにて潤滑剤を供給し、圧延した。
表2は、実施例2における圧延反り起因の通板トラブル発生率を示す。実施例2での通板トラブル発生率は、「反り起因の圧延異常が生じたパス数/比較対象とした全パス数」で表している。圧延異常の判断基準は、ミスロール(圧延停止)、先端通板時の異音(板先端の上部ガイド/テーブルロールへの衝突音)の発生、または被圧延材の先端の反り高さが300mm以上となった場合、とした。表2より、従来技術のみでは、比較例dのように、同一程度の圧延形状比でかつ周速度差が同符号の場合でも反り方向が反転し、大きくなる場合がある等、不安定さが生じている。一方、実施例Bのように、この従来技術に本発明の技術を追加適用することで、安定的に圧延反りが抑制され、通板トラブル発生率が顕著に低減することが確認される。この効果は、厚板圧延工程のみならず、薄板の熱間圧延工程の粗工程の後段パス群や、仕上げ圧延工程においても得られることは容易に想到される。
Figure 0006593190
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 上補強ロール
2 上作業ロール
3 下作業ロール
4 下補強ロール
5 上駆動用電動機
6 下駆動用電動機
8 潤滑剤タンク
9 潤滑剤供給装置(上面側)
10 潤滑剤供給装置(下面側)
11 距離測定器
12 異周速度設定値入力部
13 周速度制御装置
14 演算部
15 潤滑剤供給制御装置
16 下作業ロール周速度目標値入力部
17 下作業ロール周速度制御装置
S 被圧延材

Claims (4)

  1. 上下一対の作業ロールを有する圧延機を用いて、一方の前記作業ロールの表面の周方向速度が他方の前記作業ロールの表面の周方向速度に対して相対的に低速となる状態で被圧延材を圧延する、被圧延材の異周速圧延方法であって、
    前記被圧延材の先端噛み込み直後の非定常部から定常部に至る迄を、前記被圧延材の先端部分として、
    前記被圧延材の前記先端部分の圧延時のみ、前記作業ロールのうち、前記周方向速度が相対的に低速となる低速側作業ロールに当接する前記被圧延材の表面に対して潤滑剤を供給し、
    前記被圧延材の前記先端部分の圧延後は、前記被圧延材の表面に対する前記潤滑剤の供給を停止する、被圧延材の異周速圧延方法。
  2. 上下一対の作業ロールを有する圧延機を用いて、一方の前記作業ロールの表面の周方向速度が他方の前記作業ロールの表面の周方向速度に対して相対的に低速となる状態で被圧延材を圧延する、被圧延材の異周速圧延方法であって、
    前記被圧延材の先端部分の圧延時のみ、前記作業ロールのうち、前記周方向速度が相対的に低速となる低速側作業ロールに当接する前記被圧延材の表面に対して潤滑剤を供給し、
    前記被圧延材の前記先端部分の圧延後は、前記被圧延材の表面に対する前記潤滑剤の供給を停止し、
    前記潤滑剤が供給される前記被圧延材の先端部分の潤滑剤供給長さL lub は、圧延形状比と前記被圧延材の板厚とに基づいて決定され、下記式(1)で表される、被圧延材の異周速圧延方法。
    lub =α×η×H ・・・(1)
    ここで、αは1〜50の係数、ηは圧延形状比、H はロールバイト内の被圧延材の平均板厚である。
  3. 前記低速側作業ロールは非駆動である、請求項1または2に記載の被圧延材の異周速圧延方法。
  4. 圧延形状比が1以上かつ4以下となる圧延条件の場合に実施される、請求項2または3に記載の被圧延材の異周速圧延方法。
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