JP5488080B2 - 粗度転写効率に優れた調質圧延機および調質圧延方法 - Google Patents

粗度転写効率に優れた調質圧延機および調質圧延方法 Download PDF

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この発明は、金属ストリップの粗度転写効率に優れた調質圧延機および調質圧延方法に関する。
一般に、製品として出荷されるダルワークロール仕上げの金属ストリップには、板厚、平坦度、強度、伸び、表面粗度(JIS B 0601に記載された算術平均粗さで表されるRaほかいずれのものでも良いが、ここでは算術平均粗さRaで代表する)が所望の範囲内に収まることが要求される。板厚に関しては、自動板厚制御(AGC、自動伸び率制御と同じ意味で表す)、平坦度に関してはAFC(自動形状制御)やテンションレベラー矯正、強度と伸びに関しては伸び率あるいは圧下率で対処している。
表面粗度に関しては、冷間タンデム圧延機で圧延され、連続焼鈍炉により熱処理された金属ストリップを、金属ストリップの材質と伸び率の経験と実績から調質圧延機に組み込むワークロールの表面粗度を標準化して調質圧延を行い、調質圧延後の金属ストリップの表面粗度が目標範囲内に収まるように、ワークロールの使用条件(積算コイル本数、積算圧延重量、または積算圧延長さ)を規制して圧延が行われ、上記使用条件を外れる場合にはワークロール組み替えを行うことで対処される。
調質圧延後の金属ストリップの表面粗度を測定し、その結果を基に次コイルの伸び率を調整することや、ワークロール摩耗に対応する表面粗度低下を考慮して、圧延後の金属ストリップの表面粗度が一定となるように累積圧延量により次コイルの圧延荷重(伸び率)を調整することにより金属ストリップの表面粗度を制御することは有効な手段である(例えば、特許文献1、2参照)。特に伸び率を調整することは、0.2%耐力が350MPa超の比較的硬い材料で伸び率の制限が緩い場合には有効である。
しかしながら、0.2%耐力が350MPa以下の比較的軟らかい材料は粗度転写効率が悪いため、多少伸び率を増大しても、調質圧延後の金属ストリップの表面粗度はあまり変わらないという問題がある。伸び率を大きく増大すれば調質圧延後の金属ストリップの表面粗度を変更できるが、求められる材料の機械的性質(強度および伸び)を満足しなくなる。このため、軟らかい材料では、調質圧延後の金属ストリップに大きな表面粗度を付与する(表面粗度を大幅に変更する)ことはできなかった。上記理由のため、軟らかい材料の場合は、上述した冷間タンデム圧延機で大きな表面粗度の素材を作る必要があった。言い換えると、軟らかい材料は調質圧延での表面粗度造り込みが困難なので、冷間タンデム圧延機で造り込む必要があった。
冷間タンデム圧延機で表面粗度を造り込む場合には、圧下スケジュールに自由度があまりないので、細かいレンジに合わせて表面粗度の異なるワークロールを数多く保有し、所望とする製品の表面粗度に応じて、ワークロールを頻繁に組替える必要がある。ワークロール組替えを行うと、その間、圧延機は停止するので生産性が低下するという問題がある。一方、表面粗度は連続焼鈍工程での通板安定性や熱処理のバラツキ、2次加工時のプレス成形性、塗装後の鮮映性に影響を及ぼすので、上記金属ストリップの表面粗度の厳格化(狭レンジ化)の要望が高い。このニーズに対応するためには、上記ロール交換の比率をさらに高めたり、圧延後の金属ストリップの表面粗度をコイル毎に測定して在庫として保有しておき、ユーザの要求に応じて在庫の中から選定して出荷することで対処される。しかし、ワークロール交換比率を上げると、生産性が低減すると共に製造コストの増大を招き、また、大量の在庫を保有することは製造コストの増大を新たに引き起こすこととなる。
さらに、調質圧延は圧下スケジュールに自由度があるので、表面粗度の制御可能範囲が広く、同じロール交換でもタンデム圧延のロール交換より調質圧延でのロール交換の頻度が下がり、製造コストが安いという利点がある。
このため、軟質材の表面粗度を調質圧延で造り込むことが可能な技術が要望されていた。
特開2002−1410号公報 特開平2−155501号公報
この発明は、金属ストリップが所望とする表面粗度、特に軟質材、さらには軟質材と硬質材の金属ストリップが所望する表面粗度を有する金属ストリップを効率的に製造するができるダルワークロールを用いた調質圧延機および調質圧延方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、第1発明の調質圧延機は、算術平均粗さで表される表面粗度が1μmRa以上、10μmRa以下、ロール径が1000mm以上、1400mm以下の鍛鋼ダルワークロールを備え、引張試験から求まる0.2%耐力が350MPa以下の金属ストリップを圧延する際に、伸び率0.2%以上、3.0%以下で圧延する機能を有することを特徴としている。
第2発明の調質圧延機は、調質圧延機において、算術平均粗さで表される表面粗度が1μmRa以上、10μmRa以下、ロール径が1000mm以上、1400mm以下の、鍛鋼ダルワークロールおよびロール表層ヤング率が450GPa以上のダルワークロール
を備え、
引張試験から求まる0.2%耐力が350MPa以下の金属ストリップを圧延する際は鍛鋼ダルワークロールに、引張試験から求まる0.2%耐力が350MPaを超える金属ストリップを圧延する際はロール表層ヤング率が450GPa以上のダルワークロールに交換可能であり、
伸び率0.2%以上、3.0%以下で圧延する機能を有することを特徴としている。
第3発明の調質圧延機は、第3発明の調質圧延機は、第1発明または第2発明の調質圧延機が2段圧延機であって、上下のワークロールを交差する機構(以下、「ロールクロス機構」という)を設けたことを特徴としている。
第4発明の調質圧延機は、第1発明または第2発明の調質圧延機が2段圧延機であって、板幅方向に非対称のクラウンを付けたワークロールを上下点対称に配置し、該上下ワークロールを板幅方向に移動する機構(以下、「ロールシフト機構」という)を設けたことを特徴としている。
第5発明の調質圧延方法は、算術平均粗さで表される表面粗度が1μmRa以上、10μmRa以下、ロール径が1000mm以上、1400mm以下の鍛鋼ダルワークロールを用い、引張試験から求まる0.2%耐力が350MPa以下の金属ストリップを、伸び率0.2%以上、3.0%以下で圧延することを特徴としている。
第6発明の調質圧延方法は、算術平均粗さで表される表面粗度が1μmRa以上10μmRa以下、ロール径が1000mm以上、1400mm以下の鍛鋼ダルワークロールおよびロール表層ヤング率が450GPa以上のダルワークロール用意し
引張試験から求まる0.2%耐力が350MPa以下の金属ストリップを圧延する際は鍛鋼ダルワークロールを用い、
引張試験から求まる0.2%耐力が350MPaを超える金属ストリップを圧延する際はロール表層ヤング率が450GPa以上のダルワークロールを用いて、
伸び率0.2%以上、3.0%以下で圧延することを特徴としている。
第1発明の調質圧延機および第5発明の調質圧延方法では、軟質材について所望とする狭い範囲の表面粗度(Ra)を有する金属ストリップを効率的に製造することができ、生産性の向上と製造コストの低減を図ることができる。また、粗度を得るためのタンデム圧延でのロール交換を回避でき、その交換頻度も、粗度を得るためのタンデム圧延でのロール交換をしたときに比べて少なくて済み、製造コストを安くすることができる。
第2発明の調質圧延機および第6発明の調質圧延方法では、第1発明の調質圧延機および第6発明の調質圧延方法の効果に加えて、ダルワークロールを、鍛鋼ダルワークロールとロール表層ヤング率が450GPa以上のダルワークロールとで交換することにより、1基の調質圧延機で軟質材および硬質材について所望の表面粗度を有する金属ストリップを製造することができるという効果を奏する。
軟質材と硬質材とについて伸び率と調質圧延後の粗度転写効率との関係を示す線図であり、粗度転写効率に及ぼす材料の影響を示すものである。 軟質材と硬質材とについて伸び率と単位幅当たりの圧延荷重(線荷重)との関係を示す線図であり、圧延荷重に及ぼす材料の影響を示すものである。 単位幅当たりの圧延荷重(線荷重)に及ぼすダルワークロール径とダルワークロール材質の影響を示す線図である。 本発明の一実施の形態を示すもので、調質圧延機の構成図である。
一般に冷間圧延後の金属ストリップの表面粗度に及ぼす圧延因子として、圧延荷重(線荷重)、張力、潤滑、伸び率、鋼種、ワークロール径、およびワークロール表面粗度があることが知られており、荷重レベルが高いほど圧延後の金属ストリップの表面粗度はワークロールの表面粗度に近づく。したがって、同じ圧延条件でも材料が異なると、圧延後の金属ストリップの表面粗度は異なる。
図1は調質圧延後の粗度転写効率(η(%))に及ぼす材料の影響を示す線図であり、図2はその際の単位幅当たりの圧延荷重を示す線図である。なお、ここでいう転写率(η(%))は、冷間圧延前の金属ストリップの表面粗度S(μmRa)、ワークロール表面粗度SWR(μmRa)、および冷間圧延後の金属ストリップの表面粗度S(μmRa)を用いて式(1)で定義される。
η=100(S−S)/(S−SWR) (1)
図1において、軟質材とは引張試験から求まる0.2%耐力が250MPaの鋼材(以下、「BH」という)であり、硬質材とは引張試験から求まる0.2%耐力が600MPaのハイテン材(以下、「100K」という)材である。いずれの材料も板厚1mmで素材表面粗度が0.8μmRaでワークロール径500mmのダルロール(ロール表面粗度3.2μmRa)で湿式調質圧延した際の結果である。
図1より、明らかなように軟質材の転写効率は硬質材の転写効率に比べて著しく劣ることが分かる。例えば伸び率0.5%において、硬質材の転写率は12%であるのに対し、軟質材の転写率は2%である。軟質材で転写率を10%以上確保するためには伸び率を1.1%以上取る必要がある。一般に伸び率を大きくすると製品の機械的材質を満足しなくなったり、目標板厚から外れるので調質圧延で採用可能な伸び率には限界がある。調質圧延の目的は上記粗度調整の他に、形状矯正とストレッチャーストレインの発生する材料ではその除去があり、伸び率の下限を伸び率0.2%としたのは、これ以下であると形状矯正が不十分になるためであり、伸び率の上限を3%としたのはストレッチャーストレインを完全に防止するために必要な軟質材の上限値である。なお、上記トレッチャーストレインを完全に防止するために必要な軟質材の上限値は鋼種毎に違いがあることは自明であり、ここでは軟質材の鋼種の中の最大値を示している。
図2より、より明らかなように軟質材の圧延荷重は硬質材の圧延荷重に比べて著しく低いことが分かる。伸び率0.5%において、硬質材の圧延荷重は7.2MN/mであるのに対し、軟質材の圧延荷重0.2MN/mである。
発明者らは、軟質材と硬質材の転写効率について圧延荷重に着目し、圧延機を用いて実験を行い、圧延後の金属ストリップの表面粗度に及ぼす圧延因子としてワークロール径の影響を調査した。なお、圧延荷重に及ぼすその他の圧延因子として、張力、潤滑などが考えられるが、これらを変更しても圧延荷重は数倍が限界なので除外した。
以下、実験結果について説明する。図4にこの実験で使用した圧延機または実機として用いた圧延機を示す。この実験で使用した圧延機は、ワークロール胴長が300mmであり、実機として用いた圧延機の胴長よりも短い構造となっているが、側面図であり、また、ハウジングを省略していることにより、後述の実機として用いた2段圧延機と図面での表現上同じである。この実験で使用した圧延機は実験用なので、ワークロール径は400mmから1600mmまで組み替えることにより、段階的に変更可能である。なお、通常の実機のワークロール径は6段圧延機で400〜500mmくらいであり、4段圧延機で600〜700mmくらいである。
ワークロールは、通常の鍛鋼ロール(ヤング率:206GPa)、および超硬スリーブ(ヤング率:560GPa)をロール本体に冷やし嵌めした複合ロールである。表層のヤング率は、WC成分によって調整可能である。表層の厚さは、100mmである。図3に軟質材および硬質材の伸び率0.5%の調質圧延荷重に及ぼすワークロール径、ヤング率の影響を示す。但し、ワークロール表面粗度は3.5μmRaとし、圧延機入側にて潤滑油をかけながら圧延をした。使用したコイルはBH(軟質材)と100K(硬質材)であり、板厚1mm、板幅100mmの焼鈍未調質コイルである。圧延は伸び率0.5%での同一圧延条件で行い、コイル1本毎に圧延機を停止し、ワークロールの表面粗度と圧延後の金属ストリップの表面粗度を測定した。
図3より、単位幅当たりの圧延荷重(線荷重)はワークロール径が増大するにつれて大きくなることがわかる。これはロール径が大きくなることによる幾何学的な接触長の増大効果とロール扁平の変化(剛体域の発生)による効果による。伸び率0.5%の硬質材と同じレベルの線荷重を軟質材で確保するためには、ワークロール径を1200mm程度にする必要があることが明らかになった。
実操業では100K級ハイテン材の調質圧延は、主に6段圧延機で伸び率0.5%±0.2%の範囲で行われているので、この試験でも伸び率を0.5%±0.2%の範囲とした。 一方、図示してはいないが、表面粗度の転写効率も線荷重を同じレベルにするとほぼ同等な転写効率になることが確認されている。
図3中にある通り、操業の線荷重範囲を設定すると、軟質材であるBH材を鍛鋼ロールで圧延すると、ワークロール径800mmの場合は線荷重が操業条件より低い方に外れ、1600mmの場合は高い方に外れた。このことから、操業の線荷重範囲をカバーできるワークロール径は1000mm以上、1400mm以下であることがわかる。また、このように調質圧延で大径のロールを用いて線荷重を高めることにより軟質材での表面粗度を確保できるので、ロール粗度を得るためのタンデム圧延でのロール交換は回避することができ、コストアップが回避できる。
なお、上述の大径ワークロールで100K級ハイテンを圧延すると圧延荷重が増大し過ぎてしまう。実験用の圧延機では400〜1600mmのロール径の変更も可能であるが、実機ではこのようなロール径を大きく変更する場合、圧延機の構造を変更する必要がある。具体的にはハウジングポストの高剛性化(断面積の増大)や油圧圧下装置の大型化やベアリングの大型化(チョックも含む)など設備コストが増大する。これらを防止するために硬質材を調質圧延する際にはワークロールの表層を超硬とする。超硬にすることによって100K級ハイテンの線荷重は現状レベルを維持できるので、上記問題は解決できる。ロール内の剛体域も考慮した弾塑性FEM計算によりヒッチコックの式を用いてロール扁平量を予測し、これに基づいた実験により超硬のヤング率は450GPa以上が好ましいことが明らかとなった。なお、超硬のヤング率の上限は特に規定はしていないがWC成分の弾性率より640GPa程度を想定している。このようにヤング率を変えることによって硬質材を圧延する際のロール交換をする際にロール径の変更を回避でき、ロール交換が容易にでき、圧延機の構造の変更も回避できる。
上記ワークロール径とロール材質の組み合わせで転写効率は確保できる(調質圧延での表面粗度の造りこみができる)ものの、形状制御が課題として残る。通常の圧延機ではワークロールの曲げ変形を制御するワークロールベンダーが用いられるけれども、本発明のような2段圧延機では荷重支点とベンダー作用支点との位置がほぼ同じになるためインクリースベンダーはほとんど効かない。ディクリースベンダーは効くもののこれだけでは形状制御能力に欠ける。したがって、基本的には鋼種や板厚や板幅毎に適正なロールクラウンを有するワークロールを多数保有し、調質圧延条件に応じて組み替える必要があるが、生産性が低下すると共に製造コストが増大する原因となる。
そこで本発明では、形状制御手段として上下のロールクロス機構またはロールシフト機構を設けることとする。これらの技術は公知(例えば交差に関しては特開平10−99903、シフトに関しては特開平8−117809)ではあるが、本発明のような大径ワークロールの2段圧延機では格別の効果を発揮する。
図4は、この発明を実施する圧延機の一例を示す構成図である。図示していないが、この調質圧延機9の上流には連続焼鈍設備が配置されており、熱処理された金属ストリップSが連続して供給されている。また、図示してはいないが、この調質圧延機9の下流には、調質圧延された金属ストリップSを切断する切断機および調質圧延された金属ストリップをコイル状に巻き取る巻き取りリールが配置されている。
調質圧延機9は、1基の圧延スタンドから構成されており、2段圧延機であり、大径ワークロール1、2から構成されている。ワークロール1,2にはスピンドル(図示しない)が連結されており、電動機(図示しない)によって駆動される。ワークロール1、2は、圧延材が軟質材または硬質材であるかに応じて組替え可能である。軟質材の場合のワークロールは、ヤング率206GPa前後の鍛鋼製である。硬質材の場合のワークロールは、表層がヤング率450GPa以上のWCからなっている。また、図示してはいないが電動機にはPLGが取り付けられてあり、回転速度を検出し、ギア比とワークロール径を考慮してワークロールの周速度が検出されている。調質圧延機9に隣接して公知のロール組替装置(図示しない)が配置されている。圧延材が軟質材または硬質材であるかに応じて、ロール組替装置によりダルワークロールを組み替える。
形状制御手段としてロールクロス機構またはロールシフト機構6,7が配置されており、所望とするロール交差角またはロールシフト量になるよう上下ワークロールを制御する。上ワークロールチョック(図示しない)の上部には、圧延荷重検出装置3が配置され、ワークサイドおよびドライブサイドの荷重が検出される。また、圧延荷重検出装置3の上部には電動圧下装置4が配置されており、金属ストリップSを圧延する際のパスライン調整が行われる。さらに、下ワークロールチョック(図示しない)の下部には、圧延力を付与するための油圧圧下装置5が配置されている。
調質圧延機9の入側にタッチロール10が、調質圧延機9の出側にタッチロール11が配備されている。図示はしていないが、これらの入・出側タッチロールにはPLGが取り付けられており、調質圧延機前後の金属ストリップSの板速度を検出して、伸び率が測定されている。また、これらのタッチロールにはロードセルが取り付けられており、調質圧延機前後の金属ストリップSの張力が検出される。張力は圧延機9の前後に設置されたブライドルロール12,13によって所望の張力になるように制御されている。また、ブライドルロールの上流および下流にデフレクターロール14,15が設置されている。さらに、圧延機入側で調質圧延時の潤滑剤が潤滑油供給ノズル8より供給されている。
(実施例1)
本発明の実施例として図4に示した調質圧延機を用いて、目的とする表面粗度を1.0〜1.2μmRaとし、伸び率0.5%における調質圧延後の粗度を調査し、本発明の効果を確認した。この表面粗度1.0〜1.2μmRaは、例えば自動車用構造部品の、良好な塗装性もしくは塗装後の良好な光沢、またはプレス成型性を得るために適当とされる粗度範囲の一つである。
圧延機のワークロール径1200mm、胴長が1800mm、材質は鍛鋼、ロール粗度は3.2μmRa(放電ダル加工)の2段圧延機であり、圧延機入側にて潤滑油をかけながら圧延をした。使用したコイルは軟質材のBHであり、これの0.2%耐力は250MPaである。板厚は1mm、板幅は1020mm、表面粗さ0.8μmRaの焼鈍未調質コイルSである。この金属ストリップSは、連続焼鈍炉で熱処理されており、連続焼鈍炉の入り側に設置された溶接機によってコイルが接合され、連続して金属ストリップが供給されている。なお、板形状はフラットになるよう上下ワークロールの交差角が調整された。
また、従来技術として通常の6段圧延機(ワークロール径480mm、胴長が1800mm、材質は鍛鋼、ロール粗度3.2μmRa(放電ダル加工)で、板形状はフラットになるように中間ロールシフトとワークロールベンダーを調整し、同じ圧延条件で圧延した。図3は、図4に示す調質圧延機に100K鍛鋼ロール用いた場合の実験結果を示しており、図3に示されているように、ワークロール直径が例えば600mmの場合、線荷重は本発明の範囲を超えている。したがって、従来技術の6段圧延機で、例えば600mm径のワークロールを備えた、従来の6段圧延機を用いた場合、線荷重は本発明の範囲を超えることは明らかである。なお、ワークロール径が1200mmを超える場合は、このような大型の6段圧延機は実在していないので、実験することはできなかった。
本発明の実施例の場合、圧延後の板の表面粗度は1.09μmRaとなり、表面粗度1.0〜1.2μmRaの製品を作ることができた。しかし、従来技術の場合、圧延後の板の表面粗度は0.85μmRaであり、目的とする表面粗度1.0〜1.2μmRaの製品をこの素材から作ることはできなかった。また、従来技術で目的とする表面粗度1.0〜1.2μmRaの製品を作るためには同じロール粗度では伸び率が2.4%、同じ伸び率ではロール粗度を12μmRaとする必要があり、前者の場合は圧延後の機械的性質と板厚精度が外れ、後者の場合は放電ダルの外径が大きくなり過ぎ製品の意匠性を損なうことになった。したがって、従来技術の場合には冷間タンデム圧延工程で粗度の造りこみが必要(ワークロールの粗度を変えて実施)で調質圧延工程での粗度の造りこみができなかったのに対し本発明で調質圧延工程での粗度の造りこみが可能になったことが確認された。
また、100Kハイテン材料(板厚1mm、板幅1020mm、引張試験から求まる0.2%耐力が400MPa、素材表面粗度0.9μmRa)を圧延した場合、大径(ロール径1200mm)の鍛鋼ロールでは荷重限界で圧延できなかったが、大径超硬ロール(ロール径1200mm、ロール表層スリーブのヤング率が560GPa、表面粗度が3.1μmRaのダルロールである。スリーブ厚さが100mm、長さが1800mmのWC(粘結材:Co)のスリーブリングを鋼製ロール構造体に冷やし嵌めして、ダルロールを作製)を使用した結果、従来と同様な圧延ができ、この場合の圧延後の表面粗度は約1.18μmRaだった。さらに、材料を変えて溶融亜鉛めっき鋼板(板厚1mm、板幅980mm、0.2%耐力260MPa)を鍛鋼ロールで圧延したところ従来技術ではエッジ部に耳皺が発生したものがあったのに対し本発明では耳皺も全く発生しなかった。
(実施例2)本発明の他の実施例(実施例2)を挙げて本発明の効果を確認した。実施例2では、調質圧延機、ワークロールの直径、胴長、材質、粗度、および使用したコイルも実施例1のものと同じである。伸び率0.5%における調質圧延後のコイルの表面粗度を調査した。なお、板形状はフラットになるよう板幅方向に非対称のクラウンを付けたワークロールを上下点対称に配置して上下ワークロールのロールシフト量が調整された。また、従来技術として通常の6段圧延機(ワークロール径480mm、胴長が1800mm、材質は鍛鋼、ロール粗度3.2μmRa(放電ダル加工)で、板形状はフラットになるように中間ロールシフトとワークロールベンダーを調整し、同じ圧延条件で圧延した。
本発明の実施例の場合、圧延後の板の表面粗度は1.09μmRaとなり、表面粗度1.0〜1.2μmRaの製品を作ることができた。しかし、従来技術の場合、圧延後の板の表面粗度は0.85μmRaであり、目的とする表面粗度1.0〜1.2μmRaの製品をこの素材から作ることはできなかった。また、従来技術で目的とする表面粗度1.0〜1.2μmRaの製品を作るためには同じロール粗度では伸び率が2.4%、同じ伸び率ではロール粗度を12μmRaとする必要があり、前者の場合は圧延後の機械的性質と板厚精度が外れ、後者の場合は放電ダルの外径が大きくなり過ぎ製品の意匠性を損なうことになった。したがって、従来技術の場合には冷間タンデム圧延工程で粗度の造りこみが必要(ワークロールの粗度を変えて実施)で調質圧延工程での粗度の造りこみができなかったのに対し本発明で調質圧延工程での粗度の造りこみが可能になったことが確認された。
また、100Kハイテン材料(板厚1mm、板幅1020mm、引張試験から求まる0.2%耐力が400MPa、素材表面粗度0.9μmRa)を圧延した場合大径の鍛鋼ロールでは荷重限界で圧延できなかったが大径超硬ロール(ロール表層スリーブのヤング率が560GPa、表面粗度が3.1μmRaのダルロールである。スリーブ厚さが100mm、長さが1800mmのWC(粘結材:Co)のスリーブリングを鋼製ロール構造体に冷やし嵌めして、ダルロールを作製)を使用した結果、圧延後の表面粗度で約1.19μmRaが得られ、従来のワークロール径とワークロール材質とワークロール粗度と同じ粗度が得られる圧延ができた。さらに、材料を変えて溶融亜鉛めっき鋼板を鍛鋼ロールで圧延したところ従来技術ではエッジ部に耳皺が発生したものがあったのに対し本発明では耳皺も全く発生しなかった。
以上、2段圧延機で、ロールクロス方式およびロールシフト方式により板形状を制御する方法について説明したが、他の形状制御方法として4段圧延機にワークロールベンダーを用いる方法でもよい。ただし、荷重支点位置とベンダー支点位置とをずらす必要やワークロールチョックの分割の必要、ネック部の長大化の必要などから設備がロールクロス方式およびロールシフト方式の設備より大型となる上に形状制御能力も劣るが、ある程度の板の形状制御は可能となる。
1、2 ワークロール
3 圧延荷重検出装置
4 電動圧下装置
5 油圧圧下装置
6、7 ロールクロス機構またはロールシフト機構
8 潤滑供給ノズル
9 調質圧延機
10、11 タッチロール
12、13 ブライドルロール
14、15 デフレクターロール
S 金属ストリップ

Claims (6)

  1. 調質圧延機において、算術平均粗さで表される表面粗度が1μmRa以上、10μmRa以下、ロール径が1000mm以上、1400mm以下の鍛鋼ダルワークロールを備え、引張試験から求まる0.2%耐力が350MPa以下の金属ストリップを圧延する際に、伸び率0.2%以上、3.0%以下で圧延する機能を有することを特徴とする調質圧延機。
  2. 調質圧延機において、算術平均粗さで表される表面粗度が1μmRa以上、10μmRa以下、ロール径が1000mm以上、1400mm以下の、鍛鋼ダルワークロールおよびロール表層ヤング率が450GPa以上のダルワークロールを備え、
    引張試験から求まる0.2%耐力が350MPa以下の金属ストリップを圧延する際は鍛鋼ダルワークロールに、引張試験から求まる0.2%耐力が350MPaを超える金属ストリップを圧延する際はロール表層ヤング率が450GPa以上のダルワークロールに交換可能であり、
    伸び率0.2%以上、3.0%以下で圧延する機能を有することを特徴とする調質圧延機。
  3. 請求項1又は請求項2記載の調質圧延機が2段圧延機であって、上下のワークロールを交差する機構を設けたことを特徴とする調質圧延機。
  4. 請求項1又は請求項2記載の調質圧延機が2段圧延機であって、板幅方向に非対称のクラウンを付けたワークロールを上下点対称に配置し、該上下ワークロールを板幅方向に移動する機構を設けたことを特徴とする調質圧延機。
  5. 調質圧延方法において、算術平均粗さで表される表面粗度が1μmRa以上、10μmRa以下、ロール径が1000mm以上、1400mm以下の鍛鋼ダルワークロールを用い、引張試験から求まる0.2%耐力が350MPa以下の金属ストリップを、伸び率0.2%以上、3.0%以下で圧延することを特徴とする調質圧延方法。
  6. 調質圧延方法において、算術平均粗さで表される表面粗度が1μmRa以上10μmRa以下、ロール径が1000mm以上、1400mm以下の、鍛鋼ダルワークロールおよびロール表層ヤング率が450GPa以上のダルワークロール用意し
    引張試験から求まる0.2%耐力が350MPa以下の金属ストリップを圧延する際は鍛鋼ダルワークロールを用い、
    引張試験から求まる0.2%耐力が350MPaを超える金属ストリップを圧延する際はロール表層ヤング率が450GPa以上のダルワークロールを用いて、
    伸び率0.2%以上、3.0%以下で圧延することを特徴とする調質圧延方法。
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