JP4911264B2 - 核酸抽出用キット、核酸抽出方法及び核酸抽出装置 - Google Patents

Description

本発明は、遺伝子解析方法における生体試料から抽出された核酸を濃縮、精製し遺伝子解析処理を行なう方法および装置に関する前処理の技術に関する。また、前処理工程において試薬供給源および試料処理によって発生する廃棄消耗品類を汚染することなく廃棄することを可能にする核酸抽出用キット及びこれを用いた核酸抽出方法に関するものである。

近年、遺伝子解析を医療現場などに導入する試みが行われている。これらは、生体試料から採取などした核酸について行う検査・解析のことである。生体試料とは対象の生物（生物の死体も含む）の血液、血漿、血清、精液、リンパ液等の各種体液、皮膚、毛髪、筋肉組織等の各種組織、糞便、尿等の各種排泄物又はこれらに由来する試料の事を示す。これらの検査により、疾患及びその発症リスク、感染症、悪性腫瘍などを早期に検出できる可能性がある。

核酸を生体試料から抽出することは遺伝子工学や臨床検査の分野で重要なプロセスである。例えば、人体などから血液や組織を採取し、同検査を行う場合、血液などの生物試料から、核酸のみを抽出・精製する必要がある。タンパク質や核酸を他の成分から分離するためには、物理的および化学的に生体試料を溶解処理後、抽出操作によりタンパク質や脂質を分解し核酸を遊離させる。その際、タンパク質や核酸を分離精製する過程は、試料のコンタミネーションを起こしやすい。抽出の標準的な方法としては、有機溶媒がよく用いられているが、この毒性、廃棄物処理の手間、また遠心分離作業の手間、試料への汚染や試料からの感染が問題となる。

核酸の抽出・回収方法として、ＢＯＯＭ法が知られている。ＢＯＯＭ法は、カオトロピック試薬と固相シリカなどとを組み合わせた核酸抽出技術であり、カオトロピックイオンの存在下で、核酸がシリカ表面に吸着することを利用したものである。

従来の方法は、破壊・遊離の工程と抽出分離の工程がそれぞれ別々に行われており、前処理として核酸の分離、抽出を一貫して行うことができないため、両工程間で試料からの感染、試料への汚染の可能性が常に存在する。さらに、これらの操作に人手を要するため、不効率で、煩雑であり、従事者への病原体の感染の可能性も考えられる。

例えば固相抽出フィルターを用いる装置としては、特許文献１に示される核酸抽出装置が挙げられる。特許文献１では複数の試料を同時に処理するため、多数のカラムを２次元に配列した一体化カラムを用いる。この一体化カラム（抽出フィルターカートリッジ）を真空チャンバーの上部開口部に気密に設置することにより真空チャンバーを形成し、いわゆる吸引法による固相抽出を行う。核酸を抽出する場合は、核酸の担体への吸着、担体の洗浄、核酸の担体からの脱着・回収という一連の工程を行わねばならない。

また、核酸を抽出するための試薬類が入った容器（ウェル）や回収液容器、廃液容器を別個に装置へ取り付ける手法も提案されている（特許文献２）。特許文献２で開示されている核酸抽出装置およびカートリッジは、煩雑な試薬分注作業を行うことなく、機械に試料を添加するだけで処理できるため、複数の試料を、大量に処理するには適している。

しかしながら、上記特許文献に開示されている技術では、これら抽出フィルターカートリッジや回収チューブ類、廃液チューブ類などを準備する手間が掛かり、機械に設置する
だけでも十分な時間が必要とされている。さらに、それらの装置では、装置の運転前後に周囲への汚染の影響も考えられる。つまり、上記核酸抽出の工程において、一体化カラムあるいは容器などを装置内に多数設置及び使用後に除去する必要があることから、振動などにより廃液が飛散する可能性も高く、また溶液によっては発泡し、抽出した試料を汚染してしまうおそれがある。また廃棄する際にも、装置にセットされた廃液チューブの転倒や逸脱により汚染してしまうおそれがある。

特表２００２−５０６３８４号公報 特許第３６３５６４５号公報

本発明の課題は、試料から核酸を抽出する核酸抽出装置において、試料汚染を防ぎ、核酸抽出作業前後の煩雑な試薬類の準備と廃棄処理を、迅速かつ簡便に、そして自動的に抽出することのできる核酸抽出用カートリッジ及び核酸抽出装置並びに核酸抽出方法を提供することを課題とする。

上記課題を鑑み、本発明においては、試薬類や廃液、試料を格納するウェルと、核酸分離フィルターを同一上のカートリッジにまとめた。そしてこのカートリッジを用いて、事前準備が不必要で、迅速で簡便な核酸抽出方法、そして簡便かつ安全な廃棄処理を可能にした。具体的には、次段に示す発明である。

第１の発明は、少なくとも試薬を貯留する試薬ウェルと、生体試料を導入するサンプルウェルと、廃液ウェルと、抽出した核酸を回収する回収ウェルと、各前記ウェル形成面における前記試薬ウェルが形成された部分を覆う保護フィルムと、各前記ウェル形成面および前記保護フィルムを覆う第二の保護フィルムと、を備え、外周に、各前記ウェルの底部への突出よりも高い壁面を設けた容器と、生体試料から核酸を分離抽出するための抽出フィルター、および前記抽出フィルターの少なくとも一方の面に積層されたサポートフィルター部材を備えた抽出フィルターカートリッジと、を有し、前記抽出フィルターカートリッジが前記廃液ウェル及び前記回収ウェル上に担持可能に形成されていることを特徴とする核酸抽出用キットである。
第２の発明は、第１の発明において、前記容器に、前記抽出フィルターカートリッジを収納するためのホルダー部を備え、前記第二の保護フィルムは、前記ホルダー部に前記抽出フィルターカートリッジが収納された状態で前記ホルダー部を覆うことを特徴とする核酸抽出用キットである。
第３の発明は、第２の発明において、前記ホルダー部に、液体を吸収する部材を設置したことを特徴とする核酸抽出用キットである。
第４の発明は、第１〜３のいずれかの発明において、前記廃液ウェルは、液体吸収性素材を備えることを特徴とする核酸抽出用キットである。
第５の発明は、第１〜４の発明において、前記壁面に別装置への固定機構を備えることとしたものである。

第６の発明は、少なくとも試薬を貯留する試薬ウェルと、廃液ウェルと、抽出した核酸を回収する回収ウェルと、各前記ウェル形成面における前記試薬ウェルが形成された部分を覆う保護フィルムと、各前記ウェル形成面および前記保護フィルムを覆う第二の保護フィルムと、を備え、外周に、各前記ウェルの底部への突出よりも高い壁面を設けた容器、及び生体試料から核酸を分離抽出するための抽出フィルター、および前記抽出フィルターの少なくとも一方の面に積層されたサポートフィルター部材を備えた抽出フィルターカートリッジを用いた核酸抽出方法であって、生体試料と試薬を混合して核酸を溶出させる工程と、前記第二の保護フィルムを剥離し、前記核酸を溶出させた溶液を、前記廃液ウェル上に担持させた前記抽出フィルターカートリッジに加える工程と、前記抽出フィルターカートリッジ上の前記溶液から核酸を残して不純物を含む溶液を前記廃液ウェルに廃棄する工程と、前記抽出フィルターカートリッジを前記回収ウェル上に担持させて抽出した前記核酸を回収する工程と、を有し、核酸抽出の際に前記保護フィルムを貫通させて用いることを特徴とする核酸抽出方法である。
第７の発明は、第６の発明において、抽出フィルターカートリッジの外表面に付着した溶液を除去する工程を有することを特徴とする核酸抽出方法である。
第８の発明は、第７の発明において、前記容器に、前記抽出フィルターカートリッジを設置可能なホルダー部と、前記ホルダー部に設置された液体を吸収する部材とが設けられており、前記抽出フィルターカートリッジの外表面に付着した溶液を除去する工程は、前記ホルダー部に前記抽出フィルターカートリッジを設置して前記液体を吸収する部材により前記溶液を拭き取ることを特徴とする核酸抽出方法である。
第９の発明は、第６〜８の発明において、不純物を前記廃液ウェルに廃棄する工程において加圧エアにより圧力を印加して不純物を含む溶液の一部を廃棄し、一部を残留させることを特徴とする核酸抽出方法である。

第１０の発明は、少なくとも試薬を貯留する試薬ウェルと、生体試料を導入するサンプルウェルと、廃液ウェルと、抽出した核酸を回収する回収ウェルと、各前記ウェル形成面における前記試薬ウェルが形成された部分を覆う保護フィルムと、各前記ウェル形成面および前記保護フィルムを覆う第二の保護フィルムと、を備え、外周に、各前記ウェルの底部への突出よりも高い壁面を設けた容器と、前記廃液ウェル及び前記回収ウェル上に担持可能であって生体試料から核酸を分離抽出するための抽出フィルター、および前記抽出フィルターの少なくとも一方の面に積層されたサポートフィルター部材を備えた抽出フィルターカートリッジとを備え、前記抽出フィルターに液体を通過させるための抽出フィルター加圧手段と、前記抽出フィルターカートリッジの移動手段と、試薬類や試料の液体を移動させるための分注手段とを有する核酸抽出装置である。
第１１の発明は、第１０の発明において、前記容器は、固定台に着脱可能に設置されることを特徴とする核酸抽出装置である。
第１２の発明は、第１０又は１１の発明において、前記抽出フィルター加圧手段には、前記抽出フィルターカートリッジ上から加圧エアを供給して前記抽出フィルターに液体を通過させる加圧エア供給機構を用いることを特徴とする核酸抽出装置である。
第１３の発明は、第１２の発明において、前記加圧エア供給機構は、前記加圧エア印加圧力を任意に設定可能な電子制御レギュレータを備えたことを特徴とする核酸抽出装置である。
第１４の発明は、第１０〜１３のいずれかの発明において、前記抽出フィルターカートリッジを収納するためのホルダー部を備え、前記第二の保護フィルムは、前記ホルダー部に前記抽出フィルターカートリッジが収納された状態で前記ホルダー部を覆うことを特徴とする核酸抽出装置である。
第１５の発明は、第１０〜１４のいずれかの発明において、前記分注手段には、吸引及び吐出機構を備えた分注ノズル及び前記分注ノズルの先端に着脱可能な分注ピペットチップからなる分注ピペットを用いることを特徴とする核酸抽出装置である。

第１６の発明は、第１０〜１５のいずれかの発明の核酸抽出装置を用いた核酸抽出方法であって、前記サンプルウェルに導入された生体試料を、核酸を溶出させる試薬を含む前記ウェルに前記分注手段により加えて核酸を溶出させる工程と、前記第二の保護フィルムを剥離し、前記核酸を溶出させた溶液を、前記抽出フィルターカートリッジの移動手段により前記廃液ウェル上に担持させた前記抽出フィルターカートリッジに前記分注手段により加える工程と、前記抽出フィルター加圧手段により前記溶液から核酸を残して不純物を含む溶液を前記廃液ウェルに廃棄する工程と、前記抽出フィルターカートリッジの移動手段により前記回収ウェル上に担持させた前記抽出フィルターカートリッジから抽出した核酸を回収する工程と、を有し、核酸抽出の際に前記保護フィルムを貫通させて用いることを特徴とする核酸抽出方法である。
第１７の発明は、第１６の発明において、不純物を前記廃液ウェルに廃棄する工程において加圧エアにより圧力を印加して不純物を含む溶液の一部を廃棄し、一部を残留させることを特徴とする核酸抽出方法である。
第１８の発明は、第１６〜１７の発明において、前記核酸抽出装置に前記抽出フィルターカートリッジを設置可能なホルダー部と、前記ホルダー部に設置された液体を吸収する部材とが設けられており、前記抽出フィルターカートリッジの外表面に付着した溶液を除去する工程は、前記ホルダー部に前記抽出フィルターカートリッジを設置して前記液体を吸収する部材により前記溶液を拭き取ることを特徴とする核酸抽出方法である。
第１９の発明は、第１６〜１８の発明において、核酸を回収する工程の後、前記サンプルウェルに残存した生体試料液を吸引し廃液溜へ移すことを特徴とする核酸抽出方法である。

本発明によれば、核酸を抽出するための抽出フィルターを試薬容器上に直接担持して抽出を行なえるようにして、さらにはこれらを一体化したことにより、１回の核酸抽出作業に用いる器具を簡素化し、人の手に掛かる作業がより容易となった。さらに容器に試薬を廃棄するために廃液ウェルを設けていることにより、自動核酸抽出機を使う際の試薬類の準備および核酸回収後の廃液処理の簡略化し、迅速簡便で汚染の無い核酸抽出が可能となった。

さらに本発明の核酸抽出装置によれば、自動核酸抽出機を使う際の試薬類の準備、および核酸回収後の廃液処理の簡略化し、迅速簡便で汚染の無い核酸抽出が可能となった。より具体的には、抽出フィルターを備えたカートリッジが廃液ウェル及び回収ウェル上に直接配置し、上記各構成要素により分離抽出作業を行なえるようにしたことにより、抽出フィルター加圧の溶液の飛散や抽出フィルター部材の転倒等による汚染をなくし、抽出作業の簡易化が実現できた。

本発明を適用した試薬カートリッジ本体の廃液側を示す斜視図である。 図１の試薬カートリッジ本体の概略図である。 抽出フィルターカートリッジの概略図である。 本発明に係る核酸抽出装置の斜視図である。 本発明の核酸抽出方法を用いてサンプルから核酸を抽出するフロー図である。 本発明に係る核酸抽出方法を説明するための装置作動時の斜視図である。 本発明に係る核酸抽出方法を説明するための装置作動時の斜視図である。 本発明に係る核酸抽出方法を説明するための装置作動時の斜視図である。

１．核酸抽出装置
以下、図面に基づいて本発明を説明する。図１は本発明の試薬カートリッジの一様態の斜視図である。図２は試薬カートリッジの容器の各ウェル形成面を表す平面図である。試薬カートリッジ１００は、後述のように、生体試料をサンプルウェルに投入し、核酸抽出装置にセットして用いることで、自動的に核酸抽出作業を行なうことを可能とするものである。本発明の試薬カートリッジを構成する試薬容器１は、容器を構成する基材に試薬ウェル２〜８、抽出時に分離された不要な溶液を廃棄する廃液ウェル１０、抽出した核酸を回収する回収ウェル１１、生体試料を導入するサンプルウェル１３を有している。試薬ウェルには、例えば細胞膜等の生体物質を溶解する溶解液、溶液を希釈する希釈液、担体から核酸を溶出させる溶出液、不要な溶液を洗い流すための洗浄液等がそれぞれ各試薬ウェルに収容されている。なおウェルに収納される溶液は、これらに限られるわけではない。さらに、本発明の核酸抽出用キットは、図３に示すような試薬カートリッジ本体（試薬容
器）から独立した抽出フィルターカートリッジ１２を備えている。本発明の試薬カートリッジは、図４に図示するような核酸抽出装置２００に固定し、分注ピペットを用いた抽出作業を機械的に行なわせることができる。
以下、各構成要素について説明する。なお、本発明の装置及び各構成要素は、図面で示す配置及び構成に限らず、また本発明の作用効果を妨げない範囲で他の構成要素と組み合わせることが可能である。

＜試薬カートリッジ本体＞
試薬容器１の形状は、核酸抽出装置に固定して用いることが可能であればよい。固定の方法としては、例えば試薬カートリッジにツメ２０を設け、装置側に引っ掛けて固定することが可能だが、これに限るものではない。図２のように試薬ウェルを配列した領域、廃液ウェルを形成した領域、回収ウェルを形成した領域、サンプルウェルを形成した領域をそれぞれ配置した直方体形状とすることができる。また、図１に示すように試薬容器の外周を各ウェルの底部への突出よりも高い壁面あるいは脚部を設け、これにより自立する構造とすることが望ましい。このような構造とすることにより、ユーザーが操作中に一時的に置く際などに安定性が増し、転倒などによる血液の汚染等を防ぐことができる。さらに、当該壁面には前述のツメ２０等の装置への固定機構を設けることもできる。

廃液ウェル１０及び回収ウェル１１は抽出フィルターカートリッジ１２を担持可能な形状となっており、両ウェル上に着脱可能に固定することができる。本発明における担持可能な形状とは、配置時に試薬容器が抽出フィルターカートリッジを固定して転倒などがない状態にできることを意味する。例えば抽出フィルターカートリッジの外径形状と、前記両ウェルの開口部形状（あるいはその一部）を一致させることで、担持可能な形状とすることができる。

後述するように、抽出工程においては廃液ウェル１０から回収ウェル１１へと抽出フィルターカートリッジ１２を移動させることから、廃液ウェル及び回収ウェルは隣接していることが好ましい。移動の距離を最小限に抑えることによりカートリッジ上の汚染を防ぐことができる。また試薬ウェルは主に廃液ウェル上の抽出フィルターカートリッジとの間で分注作業を行なうことから、廃液ウェルと試薬ウェルが形成されている領域についても隣接していることが好ましい。汚染防止や作業時間の短縮ができる。

また試薬容器１に抽出フィルターカートリッジ１２を格納するための抽出フィルターカートリッジホルダー部１８を設けることが好ましい。予め当該ホルダー部１８に抽出フィルターカートリッジを担持させた様態で、試薬カートリッジとして装置にセットすることができるため、扱いが容易である。また後述のように、試薬容器１と一体化することで、抽出フィルターカートリッジ１２を含めて保護部材で覆うことが可能であり、異物の混入や汚染を防ぐことができる。

抽出フィルターカートリッジホルダー部１８には、抽出フィルターカートリッジホルダー部１８の底部に液体を吸収する部材を設けることができる。当該部材は、抽出フィルターカートリッジ１２を配置した際に、抽出フィルターカートリッジ本体１２ａの外表面の一部、少なくとも先端に接触するように設置する。抽出フィルターカートリッジの外表面に溶液が付着する可能性がある工程の直後に、抽出フィルターカートリッジを廃液ウェルから一旦抽出フィルターカートリッジホルダー部に戻すことにより、抽出フィルターカートリッジの先端が吸水部材と接触し、付着した溶液を吸収し除去することが可能であるから、付着した廃液による汚染を防ぐことができる。上記液体を吸収する部材としては、例えばろ紙やスポンジ等の吸水可能な材料を用いることができる。

試薬容器１を形成する材料としては試料や試薬等に影響を与えないものであれば特に制
限はないが、特にポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリルのいずれかを含む樹脂材料を用いれば、良好な可視光透過性を確保することができ、溶液の状態を確認することができる。ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレンやポリプロピレンとポリエチレンとのランダム共重合体を使用することができる。また、アクリルとしては、ポリメタクリル酸メチル、または、メタクリル酸メチルとその他のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレンなどのモノマーとの共重合体を使用することができる。また、これらの樹脂材料を使用する場合、チップの耐熱性や強度を確保することもできる。

容器１の形成方法としては、樹脂材料の場合には、射出成形、真空成形等の各種樹脂成形法や、機械切削などを用いることができる。

また廃液ウェル１０には、廃液を吸水する部材を設置することが好ましい。吸水性部材により廃液ウェル内部に存在する水分を吸水されることにより、廃液ウェル１０が転倒しても汚染がおこらないので、人体に悪影響を及ぼすことを防ぐことができる。また、吸水する部材は、吸水することで体積が膨張する素材を使用し、廃液吸収することによって廃液ウェル１０内で膨張し留まり、汚染を防ぐことが出来る。吸水性の部材としては、例えばスポンジ等に代表されるような多孔質体や、ポリアクリル酸ナトリウムに代表される吸水性高分子が好ましい。中でもスポンジ等は廃液ウェル内径に対して設置前の自然状態でのスポンジの外径を同一もしくはスポンジ側を若干大きくすることにより、廃液ウェル内部の所定の位置に固定することが出来る。

＜抽出フィルターカートリッジ＞
さらに、本発明の試薬カートリッジ１００は、生体試料から核酸を分離抽出するための抽出フィルターを備えた抽出フィルターカートリッジ１２を備えている。抽出フィルターカートリッジ１２は、少なくとも抽出フィルターカートリッジ本体１２ａに、抽出フィルター１２ｂが固定されている。

図３に抽出フィルターカートリッジの一例を示した。図３の抽出フィルターカートリッジでは、上端が開口した筒状の本体１２ａの中央部に、核酸を吸着させるためのフィルター部材１２ｂが保持され、フィルター部材１２ｂの変形防止を目的として直下にサポートフィルター部材１２ｃが配置されている。筒状本体１２ａのフィルター部材より下方部は漏斗状に形成され、下端中心部にノズル状の排出部１２ｄが所定の長さに突出形成されている。上部開口より、後述のサンプル溶液、洗浄溶液、回収液が分注され、上部開口より加圧エアが導入され、各液がフィルター部材１２ｂ及びサポートフィルター部材１２ｃを通して排出部１２ｄより後述の廃液ウェル１０または、回収ウェル１１に流れ落ち排出もしくは回収される。

前記抽出フィルターカートリッジ１２のフィルター部材１２ｂは核酸が吸着する多孔性材料を膜状に形成したものであり、洗浄液による洗浄時には核酸を吸着保持し、回収液による回収時に核酸の吸着力を弱めて離すように構成されている。本発明における多孔性材料は、ガラスウール等の繊維状の材料を重ねあわされたものを含む。なお、フィルターの材料は有機物質の存在下で生体物質を吸着することができるものであれば特に限定されないが、親水基として水酸基を導入した多孔性材料を用いることが好ましい。特にシリカ、又は他の物質上にシリカを結合させたものを好ましく挙げることができる。抽出フィルターカートリッジ本体１２ａには、試薬容器１と同様の材料、形成方法を用いることができる。

さらに、サポートフィルター部材１２ｃをフィルター部材１２ｂの下部及び／または上部に積層しても良い。加圧機構による加圧などによりフィルター部材１２ｂが撓んでしまい、望まない部分からの溶液の漏れが起こるおそれがあるが、比較的剛性の高いサポート
フィルター部材１２ｃを積層しておくことにより、これを防ぐことができる。作成方法としては、樹脂の粒を焼き固めて作成したフィルターを用いることが好ましいがこれに限定されるものではなく、反応に影響のある物質が溶出されず溶液が通過できることができる孔を有していれば良い。素材としては、溶液がフィルターを介して通過できるように、多孔質に形成できるものであれば特に限定されるものではない。

＜保護部材＞
異物の混入や汚染を防ぐために、試薬容器１上に保護部材を設けることが好ましい。図１に示した本発明の例では、試薬ウェル２乃至９の開口端面に対して、保護フィルム１４ａによってシールされている。保護フィルム１４ａは、少なくとも各試薬ウェル開口端面を覆い、試薬ウェルごとに設けられていても良く、複数の試薬ウェルを一枚のシールで覆うようにしても良く、あるいは試薬ウェルが形成された領域全面を一枚のシールで覆うようにしても良い。

さらに、保護フィルム１４ａを分注の際に用いる分注ピペットの先端（分注ピペットチップ）で貫通可能な強度のものを用いることによって、保護フィルム１４ａ上から分注ピペットを貫通させてウェルから試薬類を採取し、核酸抽出作業を行なえることから、保護フィルム１４ａを剥離する必要がなく、試薬等の汚染の心配がない。

保護フィルム１４ａの上には、さらに抽出フィルターカートリッジ１２を格納できるように第二の保護部材が設けられていることが好ましい。図１に示した本発明の例では、もう一枚の保護フィルム１４ｂによって、サンプルウェル１３、廃液ウェル１０、抽出フィルターカートリッジホルダー部１８を含む試薬容器１のウェル形成面の全面を覆うようにシールされている。したがって、これらのウェルへの異物の混入や汚染を防ぐことができる。第二の保護部材は、核酸抽出装置に設置する段階で剥離することで、例えばサンプルウェル１３に血液等の生体試料を充填しておくことができる。

上記のような２段階の保護部材を設けた構成としておくことにより、装置に設置する直前に開封する領域と、使用の直前まで密閉した試薬ウェル等の領域とを分離して保護することができる。したがって、保護フィルム１４ｂを剥離し開封した後でも、試薬ウェルには使用の直前まで保護フィルム１４ａが存在することから、汚染されずに、安全に保存することが出来る。

保護フィルム１４ａ及び１４ｂには、試料や試薬等に影響を与えないフィルム形状のものを任意に用いることができ、例えばプラスチックフィルムとして、各種ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート、ポリナフタレート等のポリエステル、又はアルミニウム等の金属箔膜を用いることができる。保護フィルム１４ａは各試薬ウェルを封止するために試薬ウェルの口部分で密閉状態となるように接着する。プラスチックフィルムであれば、熱、レーザーなど融着などでシールすることができる。また、保護フィルムに透明性を有するものを用いれば、熱融着後において、融着面を目で見ることによりそのシール性を識別できるという利点がある。当該フィルムにおける「透明性を有する」とは、融着性を視認可能なように、少なくとも可視光領域の一部が透過すれば充分である。なお保護フィルムの構成は、積層構造としてもよい。例えば、フィルムの片側は融着面としてプラスチックフィルムを露出させ、他方の側にＳｉＯ２等の無機材料を積層し、密閉性を向上させてもよい。

また保護部材の別の形態として、保護フィルムと別に、例えば試薬カートリッジ本体のサンプルウェル１３を含む試薬容器１のウェル形成面の一部をスナップフィット等の形態で、ワンタッチで開閉できる構造にしてもよい。使用後の廃棄処理する際には廃液ウェル１０についても同様にスナップフィットで閉じることで、サンプルの飛散を防ぎ、安全に
試薬カートリッジ本体１を廃棄することが出来る。

＜分注ピペット＞
試薬類の分注に用いる分注ピペットについても、汚染を防ぐために、試薬カートリッジ１と同様に一回の核酸抽出ごとに廃棄することが望ましい。そこで、図４に示す本願発明の核酸抽出装置では、液体の吸引・吐出機構を備えた分注ノズル１６と、分注ノズルに着脱可能な分注ピペットチップ１７を分離して備えることにより、分注ピペットチップ１７を廃棄すればよい構成となっている。

分注ピペットチップは、一回の核酸抽出作業で用いる分注ピペットチップ１７ａ〜ｄを一つに収納することができる分注ピペットチップラック２１に格納した様態で、装置に設置することが好ましい。このような構成とすることで、作業終了後に分注ピペットチップラックごと分注ピペットチップを廃棄することができるため、廃棄作業が容易である。

分注ピペットチップラック２１は、外周を分注ピペットチップ収納部分の底部の突出よりも高い壁面あるいは脚部を設け、これにより自立する構造とすることが望ましい。このような構造とすることにより、ユーザーが操作中に一時的に置く際などに安定性が増し、転倒などによる血液の汚染等を防ぐことができる。さらに、当該自立構造の壁面には前述のツメ等の装置への固定機構を設けてもよい。さらに、分注ピペットチップラックには、分注ピペットチップ収納部分に蓋を備えるようにすることで、使用前の異物の混入や汚染を防ぎ、また抽出後には分注ピペットチップに付着した溶液の飛散による汚染を防ぐことができる。

＜核酸抽出装置＞
図４は上述の試薬カートリッジ１００を設置した本発明の核酸抽出装置２００の構成要素を示した斜視図である。本発明の核酸抽出装置は、少なくとも試料溶液を抽出フィルターに試料液体を通過させるための抽出フィルター加圧手段と、抽出フィルターカートリッジ移動手段と、試薬類や試料の液体を移動させるための分注手段とを備えている。試薬カートリッジは、着脱可能な固定台に設置して用いることができる。本発明の核酸抽出装置は、各ウェルをまとめた試薬容器１及び抽出フィルターカートリッジ１２を一つのカートリッジとして設置することで、カートリッジ挿入以降の作業を自動化することができ、抽出工程を簡易化することができる。

しかし上述のような試薬カートリッジの形態に限られるものではなく、本発明の核酸抽出装置は、抽出フィルターカートリッジ１２が廃液ウェル１０及び回収ウェル１１上に直接配置し、上記各構成要素により分離抽出作業を行なえるようにしたことにより、抽出フィルター加圧の溶液の飛散や抽出フィルター部材の転倒等による汚染をなくし、抽出作業の簡易化を実現するものである。以下、各構成要素について詳細に説明する。

抽出フィルター加圧手段は、エアポンプの下流側に電子レギュレータを接続した加圧エア供給機構１５により、空気や窒素等の不活性気体を抽出フィルターカートリッジ１２上から加圧して送ることで、抽出フィルターカートリッジに導入した溶液の一部を抽出フィルターに通過させ、分離を行なうための構成要素である。電子制御レギュレータを備えていることで、加圧エア印加圧力を任意に設定することが可能である。

抽出フィルターカートリッジ移動手段は、抽出フィルターカートリッジ１２をホルダー部１８から廃液ウェル１０又は回収ウェル１１上に移動させて設置するものである。図４の核酸抽出装置では、抽出フィルターカートリッジ１２に形成された鍔部で支持する抽出フィルターカートリッジ担持機構１９が加圧エア供給機構１５の下部に設けられており、移動機構とともに設けられた昇降機構により、移動後に加圧エア供給機構を下降させるだ
けで加圧工程を行なえるようになっている。

ウェルに格納された試薬類や試料の液体を分注するための分注手段としては、分注ピペットを用いることができる。図４の核酸抽出装置では、分注手段は液体の吸引・吐出機構を備えた分注ノズル１６と、着脱可能な分注ピペット先端部分である分注ピペットチップ１７からなる。複数の分注ピペットチップ１７ａ〜ｄを備えることから、溶液特性毎に分注ピペットチップを差し替えて、一つの分注ノズルで核酸抽出作業を行なうことが可能である。この場合も分注ノズルを分注ピペットチップ上まで移動させて、機械的に脱着可能とすることが好ましい。分注ピペットチップは専用のカートリッジに収納し、試薬カートリッジと同時又は別個に装置に設置することができる。

加圧エア供給機構１５、抽出フィルターカートリッジ担持機構１９、分注ノズル１６はそれぞれ移動手段を備えることで、試薬カートリッジを設置した後の抽出工程を自動化することができる。移動手段は、共通する移動機構を用いても良いし、それぞれ別個の移動機構を備えていても良い。

また試薬カートリッジ１００を核酸抽出装置に設置する台座（図示せず）にはヒートブロックを備えていてもよい。ヒートブロックにより、試薬容器１の一部のウェルを熱することで、一連の抽出工程を促進することも可能である。

２．核酸抽出方法
以下、図５の本発明の核酸抽出方法を示すフローＳ１〜Ｓ１４及び図６〜８の抽出工程における本発明核酸抽出装置作動時の斜視図を参照して、本発明の核酸抽出方法の例として、血液からの核酸抽出について説明する。なお血液以外の生体試料として、対象の生物（生物の死体も含む）の血漿、血清、精液、リンパ液等の各種体液、皮膚、毛髪、筋肉組織等の各種組織、糞便、尿等の各種排泄物又はこれらに由来する試料等も同様の工程で核酸抽出を行うことができる。核酸抽出方法の基本的な構成は一般的に使用されているＢＯＯＭ法と同様である。ＢＯＯＭ法は、カオトロピック試薬とシリカなどとを組み合わせた核酸抽出技術であり、カオトロピックイオンの存在下で、核酸がシリカ表面に吸着することを利用したものである。

まず採取した血液を第二の保護部材（保護フィルム１４ｂ）を剥離した試薬カートリッジ１００のサンプルウェル１３に注入する。この試薬カートリッジを核酸抽出装置にセットすれば、以下の作業は電子的に駆動制御し、自動で行うことが可能である。この様に構成すると、試薬カートリッジ本体１は分注操作により、生体物質の抽出が自動的に行われる。なお分注ピペットチップのカートリッジを用いる場合にはこれについてもセットする。

＜核酸抽出プロセス＞
抽出フィルターカートリッジ１２は、抽出フィルターカートリッジ移動手段によって廃液ウェル１０の上部へ移送される（Ｓ１）。一方、サンプルウェル１３に添加された血液は分注ピペットによって吸引される（Ｓ２）。そして、血液は試薬ウェル中の溶解液に移送され、溶解液と混合することにより、核酸（ＤＮＡ）が血球より溶出される（Ｓ３）。この際に試薬ウェル上の保護フィルム１４ａを、分注ピペット先端で破って分注する様態とすることにより、作業時まで試薬の密閉性が保たれることから、汚染や劣化をさせることなく抽出作業が実現できる。血液は、分注ピペットによって生体物質を溶解するカオトロピック試薬（溶解液）が充填された試薬ウェル５へ添加される（図６）。溶解液と血液は、試薬ウェル内でピペットを用いて混合液の吐出及び吸引を繰り返すことにより、完全に混合させ、生体物質を溶解させることができる。

次に溶解された溶液は、分注ノズル１６および分注ピペットチップ１７によって廃液ウェル１０上の抽出フィルターカートリッジ１２へと移送され、フィルター部材１２ｂに添加される（Ｓ４）。血液中の白血球から溶出された核酸は、フィルター部材１２ｂに吸着する（図７）。

次に、加圧ノズル１５が、抽出フィルター上に移動し、次に下降し、加圧エアによりフィルターに吸着されなかった不純物質の入った溶液が廃液ウェルに廃液として押し出される（Ｓ５、図８）。その際、加圧ノズルは、フィルター部材１２ｂから溶液をすべて除去するために、フィルターを通過させる圧力よりもより大きな圧力をかける必要がある。しかし、この大きな圧力により、溶液の飛散や泡が発生し、装置内や作業環境を汚染してしまう可能性が非常に高い。その為、フィルターに溶液が完全に通過しない程度の圧力を印加することが好ましい。すなわち、上記エア加圧の工程では、不純物質を含む溶液の一部が抽出フィルターカートリッジの排出部１２ｃ付近に残留していることになるが、後述の核酸洗浄工程を繰り返すことにより、不純物質を取り除くことが出来る。さらに、溶出工程を複数回設けても良い。すなわち、別途カオトロピック試薬（溶解液）が充填された試薬ウェル４からピペットで溶解液を注入し、抽出フィルター上に吐出する（Ｓ６）。そして加圧エアにより不純物質の入ったフィルターに吸着されなかった不純物質の入った溶液を廃液ウェルに廃棄する（Ｓ７）。このように、複数回の溶出工程を含むことにより、装置を汚染しない程度の圧力でも核酸を溶出することができる。

＜核酸洗浄プロセス＞
核酸が吸着したフィルターの洗浄プロセスは、洗浄液が入った試薬ウェル３から分注手段によって分注され、前記抽出フィルターカートリッジ１２に添加される（Ｓ８）。次に加圧エアを用いた抽出フィルター加圧手段によりフィルターに吸着および結合されなかった不純物質が廃液ウェル１０に押し出される（Ｓ９）。吸着された核酸は、試薬ウェル７の洗浄液を用いて、この洗浄プロセスを複数回繰り返すことにより洗浄される（Ｓ１０，Ｓ１１）。なお複数の分注ピペット（分注ピペットチップ１７）を備えている場合には、上記洗浄プロセス又は下記回収プロセスにおいて、異なる試薬を用いる際に交換しても良い。

＜回収プロセス＞
核酸の回収には、回収ウェル１１が用いられる。まず抽出フィルターカートリッジ１２が、清浄なウェルである回収ウェル１１に回収できるように抽出フィルターカートリッジ移動手段により回収ウェル１１の上部へ移送される（Ｓ１２）。溶出試薬ウェル９の溶出液は、分注機によって分注ピペットチップ１７によって抽出フィルターカートリッジ１２に添加される（Ｓ１３）。また同様に加圧ノズル１５により加圧エアにより、抽出フィルターカートリッジ１２から溶出した核酸が溶出液とともに回収ウェル１１に回収される（Ｓ１４）。さらに、試薬ウェル８の希釈液で回収された溶液の濃度を調整することができる。

なお、核酸抽出プロセスから回収プロセスの間で、抽出フィルターカートリッジを回収ウェル又は廃棄ウェルから移動させる際に、抽出フィルターカートリッジ１２の外表面に付着した溶液を除去する工程を設けても良い。液体を吸収する部材に抽出フィルターカートリッジ１２の外表面の少なくとも一部、特に漏斗形状の場合には先端に溶液が付着するため先端に、接触させることによって付着した溶液を拭き取ることができる。これにより付着した廃液による汚染を防ぐことができる。前述したように、この工程は、液体を吸収する部材を設けた抽出フィルターカートリッジのホルダー部１８に抽出フィルターカートリッジを移動させて液体を吸収する部材に接触させることで、付着した溶液を吸収し除去することが可能である。このような構成とすることで、別途付着した溶液を除去する機構を設けることなく抽出フィルターカートリッジの移動による汚染を防ぐことができる。

また、サンプルウェルに余剰な血液が存在している場合には、ピペットによりこれを吸引し、廃液ウェル１０へ廃棄する工程を設けても良い。廃液ウェルに吸収体を設けておけば、液体が飛散しないから、余った血液により装置が汚染されることなく、試薬容器１を廃棄することができる。

一連の工程の自動的な核酸抽出動作が終了した後は、回収ウェル１１から核酸をピペットチップにて回収しても良いし、自動核酸配列読取装置などに組込んで、連続的かつ自動的に検出系へ運んでも良い。抽出フィルターカートリッジ１２は試薬容器１上の所定の位置（ホルダー部１８あるいは担持可能な廃液ウェル１０上）に格納することで、安全に簡便に医療廃棄物として廃棄することができる。

以上のように、本発明では、試薬容器１及び抽出フィルターカートリッジを含む核酸抽出用キットとして一体化された核酸抽出用カートリッジとなっていることから、生体試料をサンプルウェルに添加し、装置にセットした後は核酸抽出作業を完全に自動化することが可能である。また、廃液ウェルがカートリッジ内に形成されていることから、核酸抽出後には装置内に廃液が残らず、廃液処理を簡略化することができる。したがって、廃液で汚染されるおそれもない。また、試薬カートリッジ本体の内部に形成したウェルの少なくとも一部分をプラスチックフィルムによって形成してあり、試薬類が一体となっているため扱いやすい。さらに廃棄の際も、このカートリッジを一体となった物の為、安全に廃棄する事ができる。

１： 試薬カートリッジ本体（試薬容器）
３： 試薬ウェル（洗浄液）
４： 試薬ウェル（溶解液）
５： 試薬ウェル（溶解液）
７： 試薬ウェル（洗浄液）
８： 試薬ウェル（希釈液）
９： 試薬ウェル（溶出液）
１０： 廃液ウェル
１１： 回収ウェル
１２： 抽出フィルターカートリッジ
１２ａ：抽出フィルターカートリッジ基材
１２ｂ：フィルター部材
１２ｃ：サポートフィルター部材
１２ｄ：排出部
１３： サンプルウェル
１４： 保護部材
１４ａ：第一の保護部材（保護フィルム）
１４ｂ：第二の保護部材（保護フィルム）
１５： 加圧エアノズル
１６： 分注ノズル
１７： 分注ピペットチップ
１８： ホルダー部
１９： 抽出フィルターカートリッジ担持機構
２０： ツメ
２１： 分注ピペットチップラック
１００： 試薬カートリッジ
２００： 核酸抽出装置

Claims (19)

1. 少なくとも試薬を貯留する試薬ウェルと、生体試料を導入するサンプルウェルと、廃液ウェルと、抽出した核酸を回収する回収ウェルと、各前記ウェル形成面における前記試薬ウェルが形成された部分を覆う保護フィルムと、各前記ウェル形成面および前記保護フィルムを覆う第二の保護フィルムと、を備え、外周に、各前記ウェルの底部への突出よりも高い壁面を設けた容器と、
   生体試料から核酸を分離抽出するための抽出フィルター、および前記抽出フィルターの少なくとも一方の面に積層されたサポートフィルター部材を備えた抽出フィルターカートリッジと、
   を有し、
   前記抽出フィルターカートリッジが前記廃液ウェル及び前記回収ウェル上に担持可能に形成されていることを特徴とする核酸抽出用キット。
2. 前記容器に、前記抽出フィルターカートリッジを収納するためのホルダー部を備え、
   前記第二の保護フィルムは、前記ホルダー部に前記抽出フィルターカートリッジが収納された状態で前記ホルダー部を覆うことを特徴とする請求項１記載の核酸抽出用キット。
3. 前記ホルダー部に、液体を吸収する部材を設置したことを特徴とする請求項２に記載の核酸抽出用キット。
4. 前記廃液ウェルは、液体吸収性素材を備えることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか記載の核酸抽出用キット。
5. 前記壁面に別装置への固定機構を備えることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか記載の核酸抽出用キット。
6. 少なくとも試薬を貯留する試薬ウェルと、廃液ウェルと、抽出した核酸を回収する回収ウェルと、各前記ウェル形成面における前記試薬ウェルが形成された部分を覆う保護フィルムと、各前記ウェル形成面および前記保護フィルムを覆う第二の保護フィルムと、を備え、外周に、各前記ウェルの底部への突出よりも高い壁面を設けた容器、及び生体試料から核酸を分離抽出するための抽出フィルター、および前記抽出フィルターの少なくとも一方の面に積層されたサポートフィルター部材を備えた抽出フィルターカートリッジを用いた核酸抽出方法であって、
   生体試料と試薬を混合して核酸を溶出させる工程と、
   前記第二の保護フィルムを剥離し、前記核酸を溶出させた溶液を、前記廃液ウェル上に担持させた前記抽出フィルターカートリッジに加える工程と、
   前記抽出フィルターカートリッジ上の前記溶液から核酸を残して不純物を含む溶液を前記廃液ウェルに廃棄する工程と、
   前記抽出フィルターカートリッジを前記回収ウェル上に担持させて抽出した前記核酸を回収する工程と、
   を有し、
   核酸抽出の際に前記保護フィルムを貫通させて用いることを特徴とする核酸抽出方法。
7. 前記抽出フィルターカートリッジの外表面に付着した溶液を除去する工程を有することを特徴とする請求項６記載の核酸抽出方法。
8. 前記容器に、前記抽出フィルターカートリッジを設置可能なホルダー部と、前記ホルダー部に設置された液体を吸収する部材とが設けられており、
   前記抽出フィルターカートリッジの外表面に付着した溶液を除去する工程は、前記ホルダー部に前記抽出フィルターカートリッジを設置して前記液体を吸収する部材により前記溶液を拭き取ることを特徴とする請求項７記載の核酸抽出方法。
9. 不純物を前記廃液ウェルに廃棄する工程において加圧エアにより圧力を印加して不純物を含む溶液の一部を廃棄し、一部を残留させることを特徴とする請求項６乃至８のいずれか記載の核酸抽出方法。
10. 少なくとも試薬を貯留する試薬ウェルと、生体試料を導入するサンプルウェルと、廃液ウェルと、抽出した核酸を回収する回収ウェルと、各前記ウェル形成面における前記試薬ウェルが形成された部分を覆う保護フィルムと、各前記ウェル形成面および前記保護フィルムを覆う第二の保護フィルムと、を備え、外周に、各前記ウェルの底部への突出よりも高い壁面を設けた容器と、
    前記廃液ウェル及び前記回収ウェル上に担持可能であって生体試料から核酸を分離抽出するための抽出フィルター、および前記抽出フィルターの少なくとも一方の面に積層されたサポートフィルター部材を備えた抽出フィルターカートリッジとを備え、
    前記抽出フィルターに液体を通過させるための抽出フィルター加圧手段と、
    前記抽出フィルターカートリッジの移動手段と、
    試薬類や試料の液体を移動させるための分注手段とを有する核酸抽出装置。
11. 前記容器は、固定台に着脱可能に設置されることを特徴とする請求項１０記載の核酸抽出装置。
12. 前記抽出フィルター加圧手段には、前記抽出フィルターカートリッジ上から加圧エアを供給して前記抽出フィルターに液体を通過させる加圧エア供給機構を用いることを特徴とする請求項１０又は１１記載の核酸抽出装置。
13. 前記加圧エア供給機構は、前記加圧エア印加圧力を任意に設定可能な電子制御レギュレータを備えたことを特徴とする請求項１２記載の核酸抽出装置。
14. 前記抽出フィルターカートリッジを収納するためのホルダー部を備え、
    前記第二の保護フィルムは、前記ホルダー部に前記抽出フィルターカートリッジが収納された状態で前記ホルダー部を覆うことを特徴とする請求項１０乃至１３のいずれか記載の核酸抽出装置。
15. 前記分注手段には、吸引及び吐出機構を備えた分注ノズル及び前記分注ノズルの先端に着脱可能な分注ピペットチップからなる分注ピペットを用いることを特徴とする請求項１０乃至１４のいずれか記載の核酸抽出装置。
16. 請求項１０乃至１５のいずれか記載の核酸抽出装置を用いた核酸抽出方法であって、
    前記サンプルウェルに導入された生体試料を、核酸を溶出させる試薬を含む前記ウェルに前記分注手段により加えて核酸を溶出させる工程と、
    前記第二の保護フィルムを剥離し、前記核酸を溶出させた溶液を、前記抽出フィルターカートリッジの移動手段により前記廃液ウェル上に担持させた前記抽出フィルターカートリッジに前記分注手段により加える工程と、
    前記抽出フィルター加圧手段により前記溶液から核酸を残して不純物を含む溶液を前記廃液ウェルに廃棄する工程と、
    前記抽出フィルターカートリッジの移動手段により前記回収ウェル上に担持させた前記抽出フィルターカートリッジから抽出した核酸を回収する工程と、
    を有し、
    核酸抽出の際に前記保護フィルムを貫通させて用いることを特徴とする核酸抽出方法。
17. 不純物を前記廃液ウェルに廃棄する工程において加圧エアにより圧力を印加して不純物を含む溶液の一部を廃棄し、一部を残留させることを特徴とする請求項１６記載の核酸抽出方法。
18. 前記核酸抽出装置に前記抽出フィルターカートリッジを設置可能なホルダー部と、前記ホルダー部に設置された液体を吸収する部材とが設けられており、
    前記抽出フィルターカートリッジの外表面に付着した溶液を除去する工程は、前記ホルダー部に前記抽出フィルターカートリッジを設置して前記液体を吸収する部材により前記溶液を拭き取ることを特徴とする請求項１６又は１７記載の核酸抽出方法。
19. 核酸を回収する工程の後、前記サンプルウェルに残存した生体試料液を吸引し廃液溜へ移すことを特徴とする請求項１６乃至１８のいずれか記載の核酸抽出方法。

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