JP5708639B2 - 多孔質フィルターカラム及びそれを用いた試薬カートリッジ並びに核酸精製キット - Google Patents

多孔質フィルターカラム及びそれを用いた試薬カートリッジ並びに核酸精製キット Download PDF

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Description

本発明は、液体のろ過や、液体内の特定物質の抽出などに使用する多孔質フィルターカラムに関し、特に多孔質フィルターの保持方法に関する。
多孔質フィルターは、液体のろ過や液体内に含まれる特定物質の抽出のためのツールとして、研究・工業用途で幅広く利用されている。このような場合、液体を通過させるカラム内で多孔質フィルターを保持しなければならない。通常、カラム内で二つの部材により多孔質フィルターを挟んで固定する方法等が用いられている。近年では、遺伝子工学や遺伝子診療の分野で生体試料の核酸抽出に用いられることもある。
核酸の抽出・回収方法として、BOOM法が知られている。BOOM法は、カオトロピックイオンの存在下で核酸がシリカ表面に吸着することを利用し、カオトロピック試薬と固相シリカなどとを組み合わせた核酸の分離精製法であり、生体試料から溶解された核酸を多孔質のシリカに吸着させ、洗浄液で不純物を洗い流した後、溶出液によりシリカに吸着されている核酸を溶出して回収することで核酸の分離・精製を行なう手法である。この手法を実施するために、多孔質フィルターが底部に保持された有底筒状カラムが利用されており、これらはその底部に廃液用の排出口を有し、ポンプや遠心などの加圧手段により複数の試薬を多孔質フィルターに通過させて最終的に精製された核酸を回収するものである。
核酸抽出用のカラムは、円筒状の外容器および多孔質フィルターを保持するための部材共にそのほとんどが樹脂製であり、精密な実験や測定に用いられることから、試料のコンタミネーションを防ぐために一度使用されたものは再度使用せずに捨てることが多い。そのため、円筒状の外容器と多孔質フィルターは一体となって取り扱われ、多孔質フィルターを保持するための部材が用いられる。
多孔質フィルターを保持するための部材としてはOリングが一般的に用いられており、多孔質フィルターが支持された有底筒状のカラムにおいて、Oリングが多孔質フィルターの外周縁部分に設置されているものがある。
しかし、Oリングと接触するフィルター部分は、フィルター面積が狭くなるためろ過効率が悪く、加圧しても流体の移動量が少ない。また、Oリングとカラムとで挟まれる角や隙間に溶液が不純物として残りやすいため、核酸抽出用途においては多孔質フィルターへの吸着効率・洗浄効率が共に悪く、試料の純度や収量が低下することが問題となっていた。
多孔質フィルターを保持するための他の方法としては、特許文献1のように円筒状のカラムの内部に多孔質フィルターを保持するために、接着剤、超音波やレーザーによる溶着や、2つの成形品をインサート成形によって一体化し、多孔質フィルターを固定する方法がある。
特許文献2には、接着もなく、Oリング等によるフィルター押さえのないカラムが記載されている。この方法は、カラム内側に突出して多孔質フィルターを屈曲させる凸状のリブを設け、多孔質フィルターの端が凸状のリブに対応する部分で屈曲し、その屈曲による反力で多孔質フィルターが押し付けられて固定される。これらのカラムではOリングのような多孔質フィルターを保持するための部材がないためろ過効率が高く、吸着効率・洗浄効率を向上することができる。
特許第4406344号公報 特開2008−86893号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、カラムの製造のための専用設備を必要とするため、多孔質フィルターカラム製造のためのコストが高くなっていた。また、特許文献2に記載の方法では、多孔質フィルターが強固であればその反力が得られるが、多孔質フィルターに十分な強度の材料を用いることができない場合にはこの方法を用いることはできず、多孔質フィルターの選択の幅が狭いため、多孔質フィルターに吸着させたい試料とフィルター材料との組合せにおいて適切な多孔質フィルターを選択することができなかった。
そのため、フィルターがカラム内へ固定され、なおかつろ過効率を高くすることで試料の純度や収量が高められ、さらに低コストであるようなフィルターカラムが求められていた。
本発明は、上記の課題を解決するもので、フィルターをカラム内へ固定する手段と、溶液の浸透性および流体の移動量が高く、かつ低コストであるフィルターカラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、Oリングに替わる中空部材で多孔質フィルターを保持し、フィルター性能を維持する技術を見出した。具体的には、次に示す発明である。
即ち、請求項1に記載の発明は、底部に排出口を有する有底筒状カラムであって、前記底部上に多孔質フィルターが保持され、前記多孔質フィルター上に中空部材が載置された多孔質フィルターカラムにおいて、前記中空部材は前記カラムの内壁面および多孔質フィルターに接触しない中空部と、前記カラムの内壁面および多孔質フィルターと接触する脚部とからなることを特徴とする多孔質フィルターカラムである。
請求項2に記載の発明は、前記脚部が、二本以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質フィルターカラムである。
請求項3に記載の発明は、前記脚部と前記カラムの内壁面との接触面が、円弧形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質フィルターカラムである。
請求項4に記載の発明は、前記円弧形状の曲率が、前記カラムの内壁面の曲率と同一であることを特徴とする請求項3に記載の多孔質フィルターカラムである。
請求項5に記載の発明は、前記円弧形状の中心角が10°〜30°であることを特徴とする請求項4に記載の多孔質フィルターカラムである。
請求項6に記載の発明は、前記中空部材の中空部が、円形であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の多孔質フィルターカラムである。
請求項7に記載の発明は、前記多孔質フィルターが、核酸吸着能を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の多孔質フィルターカラムである。
請求項8に記載の発明は、被検体から核酸を分離精製するための液体が収容され、分注チップを用いて前記液体が分注される試薬カートリッジであって、前記試薬カートリッジは、前記被検体を収容する被検体収容部と、前記液体を収容する液体収容部と、前記分離精製において発生する廃液を収容する廃液収容部と、前記被検体の前記核酸を精製する多孔質フィルターカラムと、を有し、前記多孔質フィルターカラムが請求項1乃至7の何れか1項に記載の多孔質フィルターカラムであることを特徴とする試薬カートリッジである。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の試薬カートリッジと、前記分注チップを複数収容するための分注チップ収容体と、を備えることを特徴とする核酸精製キットである。
中空部と多孔質フィルターおよびカラムの内壁面を非接触にすることで、一般的なOリングに比べて溶液の浸透性および流体の移動量を極力損なわずに多孔質フィルターを保持することが可能となる。また、脚部により多孔質フィルターが固定され、フィルターの浮き上がり等による位置ずれを防止することができる。さらに、脚部におけるカラム内壁面との接触面を円弧形状にすることで、より密着し、中空部材自体のカラムへの固定力を強固にすることができる。
本発明の一実施形態の試薬カートリッジを示す斜視図である。 本発明の一実施形態の試薬カートリッジと分注チップラックとの構成を示す斜視図である。 本発明に係る多孔質フィルターカラムの上面図(a)及び断面図(b)である。 本発明に係る多孔質フィルターカラムの外容器の断面図である。 本発明に係る多孔質フィルターカラムの外容器の底面部とその周囲の担持部の構造を示すための一部を切り欠いた断面の俯瞰図である。 中空部材の下面図(a)、横面図(b)、上面図(c)である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細を説明する。まず、本発明に係る多孔質フィルターカラム1が収納され、核酸の分離精製に用いられる試薬カートリッジ100及び分注チップラック200からなる核酸精製キットについて説明する。
図1及び図2に示すように、核酸精製キットは、被検体から核酸を抽出するための試薬などが収容された試薬カートリッジ100と、液体を分注するための分注チップ201が複数収容された分注チップラック(分注チップ収容体)200とを備えている。本実施形態では、分注チップラック200は同形同大の分注チップ201を複数備えており、試薬カートリッジ100に収容された液体は複数の分注チップ201のいずれかによって分注操作あるいは攪拌操作され、分注チップ201によって液体の間で交差汚染が生じないようになっている。また、分注チップラック200は、使用後の分注チップ201を回収するための容器でもあり、核酸分析装置1における分注チップ201の使用終了後には感染性廃棄物として分注チップ201を分注チップラック200ごと廃棄することができる。
図1は、試薬カートリッジ100を示す斜視図である。試薬カートリッジ100は、略箱状に形成された本体101と、本体101の外面から突出して形成された爪部102とを有している。爪部102は、例えば試薬カートリッジ100が核酸分析装置などにセットされたときに、試薬カートリッジ100が転倒しないように核酸分析装置の一部と係合できるようになっている。
本体101の外面の一部には、使用時には取り外される薄膜状の封止フィルム103が貼り付けられている。封止フィルム103によって本体101の開口は封止されており、本体101の内部に配置された後述する多孔質フィルターカラム1などが本体101から落下しないように、また本体101内部に埃などの異物が混入することが防止できるようになっている。
図2は、封止フィルム103を除いた状態の試薬カートリッジ100と分注チップラック200を示す斜視図である。本体101の内部には、生体試料などの被検体が投入されるサンプルウェル(被検体収容部)110と、被検体から核酸を抽出するための試薬などが収容されている試薬ウェル部120と、被検体から核酸を抽出する工程で分離された不要な溶液を廃棄する廃液ウェル(廃液収容部)130と、被検体から抽出された核酸を回収する回収ウェル140と、が一体に形成されている。また、試薬カートリッジ100には、本発明の多孔質フィルターカラム1が収容される保持部160が一体に形成されている。
保持部160は、試薬カートリッジ100において本発明の多孔質フィルターカラム1が収容される初期位置になっている。また、保持部160の底部には、液体を吸収する図示していない吸収体を設けることができる。この吸収体は、多孔質フィルターカラム1を保持部160に収容したときに多孔質フィルターカラム1の排出口17側の外面に接触するようになっている。このため、例えば多孔質フィルターカラム1内に洗浄液を供給したときに排出口17の外面に洗浄液が付着した場合に、吸収体に洗浄液を吸収させて洗浄液を除去することができる。
試薬ウェル部120は、複数の試薬ウェル(試薬収容部)121、122、123、124、125、126と、オイルウェル(オイル収容部)127と、オイル除去部(液体除去部)128とを有している。また、試薬ウェル部120において、複数の試薬ウェル121、122、123、124、125、126、及びオイルウェル127の開口は、封止フィルム104によって封止されている。封止フィルム104は、気体の透過が抑制されていると共に、分注チップ201を突き刺すことによりフィルムを破ることができる構成とすることが好ましく、例えば金属製の薄膜や、プラスチックフィルム等を用いることができる。
試薬ウェル121〜126には、細胞膜などの生体物質を溶解する溶解液121Aと、前記溶解液121Aで溶解しきれず担体へ目詰まりを起こしている細胞質などの生体物質を溶解する溶解液122A、担体に吸着された核酸以外の不要物を洗い流すための洗浄液123A、124Aと、担体から核酸を溶出させる溶出液125Aと、溶出液中の核酸濃度を調整するための希釈液126Aがそれぞれの試薬ウェルに個別に収容されている。
オイルウェル127には、例えばPCR反応において反応溶液に重層して用いられる周知のオイル127Aが収容されている。オイル127Aとしては、例えばミネラルオイルやシリコンオイルなどを好適に採用することができる。
図2に示すように、廃液ウェル130は、多孔質フィルターカラム1の外径形状に沿って形成された凹部になっている。この凹部の内径は、側面部12の外径より大きいため、多孔質フィルターカラム1の排出口17から突起15まではウェル内に挿入されるが、多孔質フィルターカラム1の側面部12に形成された後述する突起15の外径よりも小さいため、この突起15と廃液ウェル及び回収ウェルの開口部とが噛み合い、多孔質フィルターカラム1を排出口17が廃液ウェル内の廃液に接しない高さに支持することができる。また、この凹部は多孔質フィルターカラム1の外径形状と一致した内径形状を持つため、多孔質フィルターカラム1を支持可能な形状になっており、廃液ウェル130に多孔質フィルターカラム1が取り付けられた状態では多孔質フィルターカラム1は試薬カートリッジ100内で転倒しないようになっている。
回収ウェル140は、廃棄ウェル130と同様に多孔質フィルターカラム1を支持できるようになっている。回収ウェル140の底部は、多孔質フィルターカラム1の担体から溶出液125Aによって溶出された核酸溶液を貯留できる容器形状を有している。
廃液ウェル130と回収ウェル140とは、試薬カートリッジ100内で隣り合う位置関係に設けられている。これは、多孔質フィルターカラム1の洗浄を廃液ウェル130において行った後に多孔質フィルターカラム1を回収ウェル140に移動させるときの多孔質フィルターカラム1の動線を短くするためである。これにより、試薬カートリッジ100上を通過する多孔質フィルターカラム1が試薬カートリッジ100などを汚染する可能性を軽減することができる。
次に、本発明に係る多孔質フィルターカラム1について説明する。
図3(a)は本発明に係る多孔質フィルターカラム1を上部から見た図であり、図3(b)は本発明に係る多孔質フィルターカラム1の図3(a)のX―Y間での断面図である。多孔質フィルターカラム1は、円形の多孔質フィルター18と、円形の支持部材19と、円形の多孔質フィルター18及び支持部材19を収納する円筒形の外容器10と、円形の多孔質フィルター18上に載置される中空部材20とからなる。
多孔質フィルターカラム1は、外容器10と多孔質フィルター18と中空部材20を図3のように組み合わせて構成されており、外容器10上部の開口部11より後述の試料溶液や洗浄溶液などの試液類が分注され、次いで加圧エア導入により試液類は多孔質フィルター18に吸着又は通過、ろ過されて排出口17より排出もしくは別容器へ回収される。
次に、外容器10、多孔質フィルター18及び支持部材19、中空部材20の詳細について説明する。
<外容器10>
図4は外容器10の断面図であり、外容器10は少なくとも上端の開口部11と、円筒状の側面部12と、漏斗状の底面部13と、底面部13の中央に突出したノズル状の排出口17からなり、これらが一体となって成型されて外容器10が構成されている。さらに、開口部11周辺に鍔部16と、側面部12周辺に突起15を形成してもよい。外容器10の形状は上端の開口部11と下端の排出口17とがいずれも開口して貫通した筒状になっており、上端の開口部11から被検体が溶解された状態の溶解液や洗浄液、溶出液などが供給されるようになっている。これらの液体は、多孔質フィルター18及び支持部材19を通過して排出口17から排出されるようになっている。
外容器10の底面部13は、多孔質フィルター18側から排出口17側に向かって内径が小さくなる漏斗状に形成されている。底面部13上には支持部材19が水平になるよう載置されるため、底面部13の上端は水平に形成されている。また、多孔質フィルター18側から排出口17側に向かうほど低くなるように傾斜しており、開口部11から注入された試料液体が傾斜した底面部13を流れて排出口17から排出され易くなっている。さらに、底面部13の中心にはノズル状の排出口17が下方向に突出して形成されている。
外容器10の底面部13と支持部材19との間には、支持部材19及び多孔質フィルター18の担持及び変形防止を目的として、外容器10と一体となる担持部14を形成してもよい。担持部14は支持部材19と当接するため、支持部材19上の多孔質フィルター18と底面部13の間に隙間が生じるのを防ぎ、かつ多孔質フィルター18のろ過面が均一になるよう水平に保つために、担持部14の支持部材19と接する面は水平に形成されている。
図5は底面部13とその周囲の担持部14の構造を示すための外容器10の一部を切り欠いた断面の俯瞰図である。担持部14の形状としては、例えば図5(a)のような、底面部13に排出口17を中心として放射状に配置され、傾斜した底面部13から突出した4枚の板状形状が挙げられ、この場合には多孔質フィルター18の中心部まで担持できるため、加圧時に多孔質フィルター18の変形が起こりにくく強度の低い多孔質フィルター18を用いることができる。また、図5(a)のような形状の担持部14を設けた場合には、担持部14が多孔質フィルター18のろ過面を塞いでろ過面が狭くなるためろ過効率が下がるが、試料液体の粘度や濃度が高い場合などの高いろ過効率が必要な場合には、多孔質フィルター18のろ過面を広くするために、図5(b)のように、底面部13よりも一段高い環状の担持部14を形成してもよい。
外容器10の内側には多孔質フィルター18及び支持部材19が担持部14に載置された状態で保持される。円筒形の側面部12の内径は、多孔質フィルター18の外径と同じであることが好ましい。これにより、側面部12と多孔質フィルター18との間に隙間が生じるのを防ぐことができる。また、側面部12の内径は上端の開口部11から底面部13に向かって徐々に縮径するテーパー面で形成され、このテーパー面が最小径となる底面部13の上端で側面部12の内径と多孔質フィルター18の外径とが一致するようになっていてもよい。
外容器10の上端開口部11の周囲には多孔質フィルターカラム1の移動のための鍔部16を形成しても良い。核酸試料の洗浄工程と回収工程を行なう際に、多孔質フィルターカラム1を試薬カートリッジに収納された初期状態から廃液ウェルや回収ウェルへと移動させてから各工程が行なわれるため、多孔質フィルターカラム1上端の開口部11周囲に移動のための鍔部16を形成することで多孔質フィルターカラム移動手段による移動が可能となる。
さらに、外容器10の周囲に、試薬カートリッジの廃液ウェルに排出口17が触れないように側面部12の外部に突起15を形成しても良い。この突起15は、廃液ウェル及び回収ウェルの内径よりも大きいため、この突起15と廃液ウェル及び回収ウェルの開口部とが噛み合い、多孔質フィルターカラム1が転倒せずに支持される。また、この突起15が形成される側面部12の位置を、突起15と廃液ウェル及び回収ウェルの開口部とが噛み合ったときに排出口17が廃液ウェル内の廃液に接しない高さに設定することで、廃液ウェルでの洗浄工程において排出口17の先端や周辺が廃液により汚染されることがなく、その後の回収工程において溶出した試料に廃液が混入する可能性を抑えることができる。
この突起15は外容器10と一体となって成型されることが好ましい。また、この突起15の形状としては廃液ウェル及び回収ウェルの開口部と噛み合い、多孔質フィルターカラム1が転倒せずに支持されれば良く、複数の板状又は棒状の突起15や外容器10の周囲を覆うリング状の突起15であっても良い。また、突起15と廃液ウェル及び回収ウェルの開口部とが噛み合うために、この複数の突起15の先端で作られる円の外周又はリング状突起15の外径は廃液ウェル及び回収ウェルの内径よりも大きいことが望ましい。
外容器10を形成する材料としては、試料溶液に用いる溶媒に溶解せず、溶液中の試料や試薬等に影響を与えないものであれば制限はないが、特にポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリルのいずれかを含む樹脂材料を用いれば、良好な可視光透過性を確保することができ、溶液の状態を確認することができる。ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレンやポリプロピレンとポリエチレンとのランダム共重合体を使用することができる。また、アクリルとしては、ポリメタクリル酸メチル、または、メタクリル酸メチルとその他のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレンなどのモノマーとの共重合体を使用することができる。また、これらの樹脂材料を使用する場合、チップの耐熱性や強度を確保することもできる。外容器10の作製方法としては、射出成形、真空成形等の各種樹脂成形法や、機械切削などを用いることができる。
<多孔質フィルター18>
多孔質フィルター18は、生体試料が化学的に吸着するような親水性基を表面に有する材料を用い、試料溶液が内部を通過して試料が効率よく吸着する為に表面積の大きい多孔質の膜状に形成したものが好ましい。また、洗浄液による洗浄時には核酸を吸着保持し、回収液による回収時には核酸の吸着力を弱めて離すように構成されている。本発明における多孔質材料は、ガラスウール等の繊維状の材料を重ね合わされたものを含む。
多孔質フィルター18の形状としては、外容器10内に水平に設置した際に外容器10との間に隙間が生じないような外径形状であれば良く、円筒形の外容器10の場合には、外容器10の内径と等しい外径をもつ円形であることが望ましい。また、フィルター膜厚は、親水基の種類や多孔質材料の表面積、吸着させたい試料の種類などにより試料の吸着性が変化するため用いるフィルター材料によって異なり、分析等に必要なだけの試料が吸着できる膜厚に設定することが望ましい。
また、外容器10内に設置される多孔質フィルター18は、1枚であってもよいが、複数枚を使用することもでき、複数枚の多孔質フィルター18の材料は、同一のものであっても、異なるものであって良い。
フィルターの材料としては有機物質の存在下で核酸などの生体物質を吸着することができるものであれば特に限定されないが、親水基を有する材料を多孔質にしたものや、多孔質材料に親水基を導入したものを用いることが好ましい。親水基を有する無機材料としては、シリカ、シリカに親水基を導入したシリカ誘導体、珪藻土、アルミナなどが挙げられる。また、親水基を有する有機材料としては、ポリヒドロキシエチルアクリル酸、ポリヒドロキシエチルメタアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリオキシエチレン、アセチルセルロース、アセチル価の異なるアセチルセルロースの混合物、多糖構造を有する有機材料などを用いることができる。
さらに、ガラスやセラミックスなどの親水基を持たない材料の表面に親水基を有する材料をコーティングさせたものであっても良く、コーティングに用いる材料としては、ポリヒドロキシエチルアクリル酸、ポリヒドロキシエチルメタアクリル酸及びそれらの塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びそれらの塩、ポリオキシエチレン、アセチルセルロース、アセチル価の異なるアセチルセルロースの混合物等の有機材料のポリマーが好ましい。
ここで親水基とは、水との相互作用を持つことができる有極性の基を指し、核酸等の生体物質の吸着に関与する全ての基が当てはまる。このような親水基としては、水との相互作用を持つ極性基で核酸を吸着することができるものであれば良く、例えば水酸基、カルボキシル基、シアノ基、オキシエチレン基、アミノ基や、親水性をコントロールする目的でこれらの親水基を修飾した基などを挙げることができる。
<支持部材19>
多孔質フィルター18は洗浄・ろ過等の際に加圧手段により加圧されるため、強度の低い多孔質フィルター18を用いる場合、多孔質フィルター18が撓んでしまい、外容器10と多孔質フィルター18との間に溶液が通過する隙間が生じ、この部分からの溶液漏れが起こるおそれがあるが、剛性の高い支持部材19を配置しておくことにより、多孔質フィルター18が撓むことを防ぎ、強度の低い多孔質フィルター18を用いた場合でも加圧することができる。そのため、支持部材19の剛性は多孔質フィルター18よりも高くなっており、多孔質フィルター18が外容器10で変形することが支持部材19によって抑制されている。
また、支持部材19は、少なくとも核酸に対する吸着性が低く、かつ被検体から核酸を抽出する反応を阻害しない材料によって形成されていることが好ましい。
支持部材19としては、樹脂の粒を焼結させて作製した液体が通過できるフィルター状のものを用いることが好ましいが、これに限定されるものではなく、洗浄等に用いる溶媒に溶解せず、溶媒によって剛性が低下せず、試料や試薬等に影響を与える物質が溶出せず、対象とする溶液や不純物等が通過できる孔を有していればよい。支持部材19の作製には外容器10と同様の樹脂材料を用いることができるが、溶液がフィルターを介して滞りなく通過できるよう、多孔質に形成されるものであれば特に限定されるものではない。
<中空部材20>
中空部材20は、図6に示すように、中空部21と脚部22から構成される。図6は中空部材20の一例として、中空部21が円状で、脚部22を3本有するものを示した。図6(a)は中空部材の真下方向から見た図であり、図6(b)は中空部材を真横方向から見た図であり、図6(c)は中空部材を真上方向から見た図である。
中空部21は外容器10の内壁面および多孔質フィルター18と非接触になるよう設計されており、従来の全面接触式の支持部材であるOリング30に比べ、多孔質フィルター18及び外容器10の内壁面との接触面が少ないため溶液がろ過されやすく、溶液の液残りが生じにくい。また、中空部材20自体の浮き上がり等を防止して外容器10への固定化を担う脚部22が中空部21から延設されている。
脚部22と外容器10および多孔質フィルター18とが接触し、外容器10の内壁面と脚部22の側面との接触による摩擦で中空部材20自体の浮き上がりを防止することにより、脚部22の底面で押さえられた多孔質フィルター18の浮き上がりが防止される。そのため、脚部22は外容器10の内壁面と接触するために、中空部材20の脚部側面を含む外径と外容器10の内径が等しいことが望ましい。
また、脚部22により中空部21と多孔質フィルター18とが接しないように中空部21が担持され、中空部21と多孔質フィルター18との間に溶液が通過できる空間があるため、従来のOリングを用いた場合よりも溶液のろ過効率を高くすることができる。さらに、強度が低い多孔質フィルター18を用いた場合でも洗浄や抽出の際の加圧によって多孔質フィルター18が変形するのを抑えることができる。
中空部21の形状としては、全ての多角形形状あるいは円形状をとることができるが、延設される脚部の設計がしやすく、溶液の液残りを極力抑えるために円形であることが好ましい。また、中空部材20と外容器10の内壁面との接触を減らす為に、中空部21の外径は外容器10の内壁面の内径よりも小さいことが好ましい。これにより、中空部21と外容器10の内壁面との間に溶液が通過可能な隙間ができ、溶液の液残りが生じにくい。多角形形状の場合には、その頂点のいくつかを脚部22として、頂点である脚部22のみが外容器10の内壁面と接していることが好ましい。なお、中空部21が多角形形状で、多角形形状の頂点のみで外容器10の内壁面と接する場合には、接触面積が小さいため溶液の液残りが生じにくく、中空部21と外容器10の内壁面とが接触していないとみなすことができる。
脚部22としては、少なくとも2本以上の脚部22が中空部21に形成されていれば多孔質フィルター18および中空部材20自体の外容器10への保持が可能となるが、ろ過効率を高くするために多孔質フィルター18との接触を最低限に抑えつつ、安定して自立するためには脚部は3本であることが好ましい。脚部22の高さとしては、中空部21の厚さよりも高く、中空部21と多孔質フィルター18とが接しないように中空部21を担持できる高さであれば良い。
脚部22の形状としては、脚部22が載置される水平面と同じ水平方向の断面形状が円形、半円形、台形、正方形、長方形など、どのような形状でも良い。また、外容器10の内壁面と脚部22の側面とが接する面積を大きくすることで脚部22の側面と外容器10の内壁面との接触による摩擦が大きくなり、浮き上がり防止効果が高くなるため、脚部22の側面の形状は外容器10の内壁面との接触面積が大きい円弧状であるのが好ましく、図6のように少なくとも側面が円弧状の断面形状であることが好ましい。特に、脚部22の側面と外容器10の内壁面との接触面積が最も大きくするために、外容器10の内壁面の曲率と脚部22の側面の曲率とを等しくすることが最も好ましい。
また、脚部22は多孔質フィルター18側に向かって徐々に縮径するようなテーパー形状でもよい。この場合には脚部の底面積が小さくなるためろ過効率を向上させることができる。そのため、脚部22が載置される水平面と直交する面での脚部22の断面形状を、半円径、円形、半円形、台形などの形状とし、これらの形状のうち多孔質フィルター18と接する面積が最小になるような面を脚部22の底部とすることができる。
さらに、脚部22の側面形状の円弧は、中心角が10°〜30°であるような円弧であることが好ましい。10°未満であると外容器10の内壁面と脚部22の側面とが接する面積が少なく多孔質フィルター18の浮き上がり防止効果が低くなる。また、30°より大きいと脚部22の底面と多孔質フィルター18とが接する面積が大きくなり多孔質フィルター18のろ過効率が低下する。さらに、外容器10の内壁面と脚部22の側面とが接する面積も大きくなり、溶液の液残りが生じやすくなる。
中空部材20を形成する材料としては、洗浄等に用いる溶媒に溶解せず、試料や試薬等に影響を与えないものであれば制限はないが、外容器10と同様に、特にポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリルのいずれかを含む樹脂材料、成型方法を用いることが望ましい。
外容器10への支持部材19、多孔質フィルター18、中空部材20の挿入方法としては、公知の組み立てロボットや製造方法を用いることができ、外容器10に支持部材19、多孔質フィルター18、中空部材20の順にそれぞれが水平になるよう積層できる方法であれば特に好適に用いることができる。そのため、本発明の多孔質フィルターカラム1は低コストに製造することができる。
以上に説明した構成の本発明に係る多孔質フィルターカラム1を備えた試薬カートリッジ100及び分注チップラック200からなる核酸精製キットによる核酸の分離精製を例に、本発明に係る多孔質フィルターカラム1の作用を中心に説明する。
まず、ユーザの手作業によって図1に示す試薬カートリッジ100の封止フィルム103が取り外される。続いて、試薬カートリッジ100のサンプルウェル110に例えば全血試料をユーザの手作業によって注入する。
続いて、試薬ウェル121〜126に貯留された各種の試薬を所定の手順に従って自動分析装置の分注搬送機構によって分注、混合する。これにより、サンプルウェル110に供給された全血試料中の細胞は溶解され細胞溶解液が得られる。試薬ウェル121〜126から液体を分注チップ201内に吸引するときには、試薬ウェル121〜126を封止している封止フィルム104には分注チップ201の先端が差し込まれる。すると、封止フィルム104には貫通孔が形成され、分注チップ201によって試薬ウェル121〜126の内部の各種試薬類を吸引できるようになる。
まず、廃液を集める必要がある為、多孔質フィルターカラム1を廃液ウェル130へ搬送する。細胞が溶解された溶液を多孔質フィルターカラム1に供給する。多孔質フィルターカラム1は開口部11から気体を送り込んで多孔質フィルターカラム内を加圧することで、多孔質フィルター18を液体が通過する速度を高めることができる。すると、細胞が溶解された溶液は多孔質フィルター18を通過して、核酸は多孔質フィルター18に吸着される。その後、前記溶解液121Aで溶解しきれず担体へ目詰まりを起こしている細胞質などの生体物質を溶解する溶解液122Aで多孔質フィルター18を洗浄する。
さらに、洗浄液123A、124Aを多孔質フィルター18に供給して多孔質フィルター18を洗浄液123A、124Aによって洗浄する。その後、多孔質フィルターカラム1を回収ウェル140へ搬送し、溶出液125Aを多孔質フィルター18に供給する。これにより、多孔質フィルター18に吸着されていた核酸を溶出液125A中に溶出させて、核酸を含有する核酸溶液を回収ウェル140に回収する。
さらに、希釈液126Aと回収された核酸が回収された溶出液125Aとを混ぜ合わせ、サンプルの準備が完了となる。以上で本発明の多孔質フィルターカラム1を備える核酸精製キットによる核酸の分離精製は終了する。
上記の多孔質フィルターカラム1に気体を送り込んで加圧する際に、多孔質フィルター18の端部が浮き上がる等の不具合が生じ、浮き上がりを抑える従来のOリングを用いた場合ではOリングとカラム外容器との間に液溜まりが生じ、洗浄工程での試料のロスや、不純物の混入により試料純度が低下するという問題があったが、本発明では中空部材20が多孔質フィルター18の浮き上がりを抑えつつ、中空部材20と外容器10との間に溶液の液溜まりが生じないため、洗浄工程での試料のロスや、液溜まりによる不純物の混入が少なく、試料の収量や純度を向上することができる。
次に、本発明の実施形態の一例について実施例を参考に説明するが、これに限るものではない。
<全血からの核酸抽出>
上述した多孔質フィルターカラム1を用い、全血からの核酸抽出を行った結果を以下に示す。
[実施例1]
<1>多孔質フィルターカラム1の作製
外容器10に、支持部材19、多孔質フィルター18、中空部材20の順で底面部13へ装填して図3に示したものと同じ構成のカラムを作製した。外容器10は内径13mmのポリプロピレン成形品とした。中空部材20には図6に示した形状と同一のものをポリプロピレンで成形した。中空部21は外径11.9mm、内径10.7mm、厚み1mmの円状、脚部は3本あり、外形、13.1mm、内径10.9mm、厚み2mmの円弧形状で、中心角は10°とした。支持部材19にはポリプロピレンの粒を焼結させて作製した直径13mm、厚み1mmのフィルターを使用した。多孔質フィルター18には直径13mm、平均孔径1μm、厚み700μmのグラスファイバーフィルターを用いた。
<2>溶解液および洗浄液の調製
溶解液(4Mのグアニジン塩酸塩、10v/v%のTritonX−100、50mMのTris−HCl、10mMのEDTAを含む)および洗浄液(3mMのTris−HCl、0.3mMのEDTA、30mMのNaCl、70v/v%のエタノールを含む)を調製した。
<3>核酸抽出操作
全血100μLと<2>で調製した溶解液500μLを55℃で2分間混合・攪拌し、<1>で作製した多孔質フィルターカラム1の上端開口部11より分注して多孔質フィルター18に接触させ、1分間インキュベートした。次に、ポンプによる加圧エアを導入し、全血溶解液を排出した。
以下、溶解液600μL、<2>で調製した洗浄液650μL、純水300μLに関しても同様に分注と排出操作を行った(洗浄液は2回繰り返し)。最後に55℃に加温した回収液(純水)350μLを分注して核酸を溶出した。上記の操作を3種類のカラムサンプルにつき2回ずつ繰り返した。
<4>核酸収量・純度の測定
<3>で取得した各核酸溶液について、収量をPicoGreen定量法により、純度を吸光度法(A280/A260およびA230/A260)によりそれぞれ測定した。
[比較例1]
上記中空部材20の替わりに、ポリプロピレンで成形した外径13.2mm、内径10mm、厚み1.5mmのOリングを搭載したこと以外は実施例1と同様にして、多孔質フィルターカラムを作製し、上記<2>溶解液および洗浄液の調製、<3>核酸抽出操作、<4>核酸収量・純度の測定を実施例1と同様に行なった。
[参考例]
上記中空部材20を搭載せず、支持部材19と多孔質フィルター18のみを装填したカラムを作製したこと以外は実施例1と同様にして、多孔質フィルターカラムを作製し、上記<2>溶解液および洗浄液の調製、<3>核酸抽出操作、<4>核酸収量・純度の測定を実施例1と同様に行なった。
次に、実施例1と比較例1及び参考例の測定結果を表1に示す。各測定値は、2回の試行の平均値である。なお、核酸純度1(A260/A280)は核酸に対するタンパク質混入の指標、核酸純度2(A260/A230)は核酸に対する溶解液成分混入の指標とされている。
Figure 0005708639
表1より、参考例(多孔質フィルター18および支持部材19のみ)に比べ、比較例1(一般的なOリング)では収量および純度が著しく低下しているのに対し、実施例1では若干の低下が見られるものの、ほぼ同等の値を維持した。実施例1は参考例と同等の核酸吸着効率・洗浄効率が維持されていると考えられる。これから、本実施形態の多孔質フィルターカラムでは、カラム内に多孔質フィルター18を保持しつつ、溶液の浸透性および流体の移動量に関してもフィルター本来の性能を極力損なわないことが示された。
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各実施形態に種々の変更を加えたものを含む。つまり、各実施形態で挙げた具体的な材料や構成などは一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
1 多孔質フィルターカラム
10 外容器
11 開口部
12 側面部
13 底面部
14 担持部
15 突起
16 鍔部
17 排出口
18 多孔質フィルター
19 支持部材
20 中空部材
21 中空部
22 脚部
100 試薬カートリッジ
200 分注チップラック
201 分注チップ

Claims (9)

  1. 底部に排出口を有する有底筒状カラムであって、前記底部上に多孔質フィルターが保持され、前記多孔質フィルター上に中空部材が載置された多孔質フィルターカラムにおいて、
    前記中空部材は前記カラムの内壁面および多孔質フィルターに接触しない中空部と、前記カラムの内壁面および多孔質フィルターと接触する脚部とからなることを特徴とする多孔質フィルターカラム。
  2. 前記脚部が、二本以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質フィルターカラム。
  3. 前記脚部と前記カラムの内壁面との接触面が、円弧形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質フィルターカラム。
  4. 前記円弧形状の曲率が、前記カラムの内壁面の曲率と同一であることを特徴とする請求項3に記載の多孔質フィルターカラム。
  5. 前記円弧形状の中心角が10°〜30°であることを特徴とする請求項4に記載の多孔質フィルターカラム。
  6. 前記中空部材の中空部が、円形であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の多孔質フィルターカラム。
  7. 前記多孔質フィルターが、核酸吸着能を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の多孔質フィルターカラム。
  8. 被検体から核酸を分離精製するための液体が収容され、分注チップを用いて前記液体が分注される試薬カートリッジであって、
    前記試薬カートリッジは、前記被検体を収容する被検体収容部と、前記液体を収容する液体収容部と、前記分離精製において発生する廃液を収容する廃液収容部と、前記被検体の前記核酸を精製する多孔質フィルターカラムと、を有し、
    前記多孔質フィルターカラムが請求項1乃至7の何れか1項に記載の多孔質フィルターカラムであることを特徴とする試薬カートリッジ。
  9. 請求項8に記載の試薬カートリッジと、前記分注チップを複数収容するための分注チップ収容体と、を備えることを特徴とする核酸精製キット。
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