JP4910634B2 - モータの温度保護装置、およびモータ温度保護方法 - Google Patents

モータの温度保護装置、およびモータ温度保護方法 Download PDF

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Description

本発明は、モータの温度保護装置およびモータ温度保護方法に関する。
従来、インバータでモータを駆動する際に、低速な運転状態が継続されたり、ステータコイル近傍の温度が所定温度を上回るときに、モータへの通電を停止してコイル焼損等の不都合が生じるのを防止する保護装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−174276号公報
しかしながら、上述したように検出温度が所定温度を越えると同時に通電を停止するのは、一般的に不都合であり、特に、電気自動車等の走行用モータに適用するには問題がある。
請求項1の発明に係る温度保護装置は、ロータに磁石を備えたモータの運転状態に関する履歴情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された履歴情報に基づいて、モータ回転運転領域において、モータのステータコイルの温度上昇を推定し、モータ回転運転領域において、前記磁石の温度上昇を推定する温度推定手段と、温度推定手段により推定された温度上昇に基づく所定時間経過後の予測温度が、予め設定された保護温度に達しているか否かを判定する判定手段と、判定手段により保護温度に達していると判定されると、モータのトルクを制限する制限手段とを備えたことを特徴とする。
請求項4の発明に係る温度保護装置は、モータの運転状態に関する履歴情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された履歴情報に基づいて、モータ回転運転領域において、モータのステータコイルの寿命を推定する寿命推定手段と、寿命推定手段により推定された寿命が所定時間以下のときにモータのトルクを制限する制限手段とを備えたことを特徴とする。
請求項5の発明に係るモータ温度保護方法は、ロータに磁石を備えたモータの運転状態に関する履歴情報をに基づいて、モータ回転運転領域において、モータのステータコイルの温度上昇を推定し、モータ回転運転領域において、磁石の温度上昇を推定し、推定された温度上昇に基づく所定時間経過後の予測温度が、予め設定された保護温度に達しているか否かを判定し、保護温度に達していると判定されたならばモータのトルクを制限することを特徴とする。
本発明によれば、予測温度と保護温度とに基づいてモータのトルクを制限するようにしているので、従来のような通電停止による不都合が発生せず、温度上昇を防止しつつ運転領域の拡大が図れる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は、本発明による温度保護装置の一実施の形態を示す図であり、温度保護装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示すブロック図は、モータ駆動で走行を行う電気車の温度保護装置を示したものであり、モータ2の制御を行う車両コントローラ1に温度保護制御部11が設けられている。もちろん、温度保護制御部11を、車両コントローラ1とは別個に設けるようにしても良い。
温度保護制御部11には、運転領域監視部111、運転履歴記録部112、コイル温度保護部113および磁石温度保護部114を備えている。なお、温度保護制御部11に設けられた各要素の機能については、後述する動作説明において行う。車両走行時には、アクセルの踏み込み量に応じたアクセル信号等に基づいて、トルク指令部12から電流指令部13にトルク値が出力される。電流指令部13は、入力されたトルク値に基づいてモータ駆動電流の指令をインバータ3に入力する。インバータ3は、電流指令部13の指令に基づいてモータ2を駆動する。
モータ駆動電流は電流センサ4により検出され、その検出値は電流指令部13にフィードバックされる。モータ2の回転数は回転センサ5により検出され、検出された回転数は電流指令部13および温度保護制御部11の運転領域監視部111に入力される。モータ2にはコイル温度を検出するためのコイル温度センサ6と、モータ冷却用冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ7とが設けられている。温度センサ6,7で検出されたコイル温度および冷媒温度は運転履歴記録部112に入力され、記録される。なお、破線で示すようにコイル温度をトルク指令部12に入力し、通常時におけるトルク値算出に反映させるようにしても良い。
図2はモータ2の構造を示す断面図(半断面)である。モータ2はIPM(InteriorPermanent Magnet)モータであって、ロータコア26の内部に磁石(永久磁石)25が埋め込まれている。ロータコア26はシャフト27に取り付けられており、そのシャフト27は、カバー29に設けられた軸受28によって支持されている。モータ筐体は前後のカバー29と、カバー29の外周に設けられたケース23とから成る。コイル21が設けられたステータコア22はケース23の内周面に固定されている。
ケース23には冷媒流路24が形成されており、ロータ部およびステータ部で発生した熱を、冷媒流路24を流れる冷媒へと逃がすようにしている。図1のコイル温度センサ6は符号21aで示す部分に設けられている。冷媒への熱伝達経路上において、ロータ側では磁石25が冷媒から最も離れた部位となり、ステータ側ではコイル21が最も冷媒から離れた部位になる。そのため、いずれも温度上昇が大きく、それらの温度が運転に制約を与える要因となる。
図3はモータ2の運転領域を説明する図であり、モータ2の回転数・トルク特性を示す曲線に運転領域を重ねて示したものである。図3において、縦軸はトルク、横軸はモータ回転数を表しており、太線で示すラインはモータ2の最大トルク特性を表すラインである。モータ2は、このラインより下の領域で用いられる。図3から分かるように、最大トルクは所定の回転数までは一定であるが、所定回転数を越えると回転数に反比例して小さくなる。
最大トルク特性ラインよりも下側の運転領域は、図3に示すように3つの領域に分けられる。領域Cは、モータ2を連続的に運転することが可能な領域である。この領域Cで運転が行われている限りは、コイル21も磁石25も各々の上限温度を越えることがなく、温度保護制御部11による保護動作は行われない。
一方、トルクや回転数が大きくなると、連続的に運転可能な領域Cから外れて制約を受ける領域に入ってしまうことになる。比較的回転数の小さい領域Aでは、コイル温度により運転が制約される。すなわち、トルクが比較的大きい領域Aで運転を行うと、コイル温度の上昇が著しくなり、連続運転可能な時間はより短くなる。逆に、回転数の大きな領域Bでは、磁石温度の上昇により運転が制約される。
そのため、制約を受ける領域A,Bにおいて一定時間以上の運転が継続したならば、トルクを連続的な運転が可能な領域Cまで低下させることで、モータの損傷を防止するようにしている。本実施の形態では、領域A,Bにおいて一定時間以上の運転が継続したならば、図1の温度保護制御部11において磁石温度およびコイル温度の時間的変化を予測し、その予測温度に基づいてトルクを制限することで、モータ温度保護制御を行うようにしている。
次いで、温度保護制御部11で行われる、保護動作について図4〜6のフローチャートを参照して説明する。図4は、運転領域監視部111で行われる処理を示すフローチャートである。また、図5はコイル温度保護部113で行われる処理を、図6は磁石温度保護部114で行われる処理をそれぞれ示し、いずれも、運転領域監視部111からの指示信号を受信することで処理を開始する。
《温度保護動作の説明》
まず、図4のフローチャートについて説明する。ステップS10では、モータ2の回転数を回転数センサの検出値を読み込むとともに、トルク指令部12からトルク値を取得する。なお、取得した回転数およびトルク値は、運転履歴として運転履歴記録部112に記録される。ステップS11では、コイル温度が制約となる領域Aにおいて、モータ運転が予め設定された一定時間継続したか否かを判定する。ステップS11において一定時間継続したと判定されるとステップS13へ進み、一定時間継続していないと判定されるとステップS12へ進む。
ステップS11からステップS13へ進んだ場合には、ステップS13においてコイル温度保護部113に対する保護指示信号を出力し、ステップS10へ戻る。一方、領域Aにおける運転が一定時間継続していないと判定されてステップ11からステップS12に進んだ場合には、ステップS12において、領域Bにおける運転時間が一定時間継続したか否かを判定する。なお、ここでは、ステップS11およびS12における継続判定時間を同じ一定時間に設定しているが、コイル温度および磁石温度の制約の程度に応じて、それぞれ個別に設定するようにしても良い。
ステップS12において一定時間継続したと判定されるとステップS14へ進み、一定時間継続していないと判定されるとステップS10へ戻る。一定時間継続したと判定されてステップS14に進んだ場合には、ステップS14において磁石温度保護部114に対する保護指示信号を出力した後に、ステップS10へ戻る。図4に示した一連の処理は、繰り返し実行される。
《コイル温度保護処理の説明》
次いで、コイル温度保護部113で行われるコイル温度保護処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。このコイル温度保護処理は、運転領域監視部111からの保護指示信号が受信されるとスタートする。ステップS21では、運転履歴記録部111に記録されている回転数およびトルクの履歴データを参照し、モータ2の損失を推定する。
図7は運転履歴データの一例を示したものであり、回転数、トルク、冷媒(冷却水)温度を示した。例であり、0.1秒間隔でデータが取得されている。なお、図7には示さなかったが、コイル温度センサ6で検出されるコイル温度も、同様に記録されている。図8はモータ2の損失マップの一例を示したものであり、図3に示した回転数・トルク特性と同様に横軸は回転数、縦軸はトルクを表している。
図7の運転履歴データの回転数およびトルクを、図8の損失マップに当てはめることにより、その運転状態における損失を求めることができる。損失マップから得られる損失はモータとしての損失なので、その損失に基づいてステータ側損失およびロータ側損失を求めれば良い。または、図8に示すようなマップを、ステータ側損失およびロータ側損失の各々について予め用意しておいても良い。ステップS21において損失を推定する場合、その時点から所定時間前までの履歴データを用いることで、瞬間的な損失ではなく平均的な損失を求めることができる。
ステップS22では、ステップS21で推定した損失に基づいてコイル温度上昇を推定する。図9は、ステップS22の推定を行う際の、モータ2の熱モデルの一例を示す図である。この場合、9つの部位要素(コイル21,ステータコア22,ケース23,冷媒,磁石25,ロータコア26、シャフト27,軸受28,カバー29)について考える。上述した損失分が発熱量となるが、ここでは、コイル21,ステータコア22,磁石25およびロータコア26を発熱部位として考える。
各部位要素はそれぞれ温度T、発熱量Q、熱容量Cというパラメータを持っており、発熱部位であるコイル21,ステータコア22,磁石25、ロータコア26の順に(Tc,Qc,Cc),(Tsc,Qsc,Csc),(Tm,Qm,Cm),(Trc,Qrc,Crc)であるとする。なお、発熱量Qc,Qsc,Qm,Qrcは推定された損失に基づいて決定する。また、その他の部位要素についてはQ=0として考え、ケース23,冷媒,シャフト27,軸受28,カバー29のパラメータは、順に(Tca,0,Cca),(Tw,0,Cw),(Tsf,0,Csf),(Tbr,0,Cbr),(Tcv,0,Ccv)であるとする。さらに、各部位要素間には、熱抵抗Rm-rc,Rrc-sf,Rsf-br,Rbr-cv,Rcv-ca,Rc-sc,Rsc-ca,Rca-wが配置されているとする。このようなモデル化を行うことにより、温度上昇の予測を簡単に行うことができる。
一般的に、図10に示すような状態にある部位要素の温度が、時間Δtの間にTnからTn+1へと上昇した場合、その温度上昇は以下のように考えることができる。すなわち、温度上昇に伴う熱量の増加は(Tn+1−Tn)Cであって、「(熱量増加)=(自己発熱量)+(熱流入量)−(熱流出量)」で表される。この関係を図10の記号を用いて表すと式(1)のようになる。
(Tn+1−Tn)C=QΔt+(Tin−Tn)Δt/Rin
−(Tn−Tout)Δt/Rout …(1)
そして、時間Δt経過後の温度Tn+1は、式(2)のように表される。一般的には、関数fを用いて式(3)のように表すことができる。
Tn+1=Tn+{Q/C+(Tin−Tn)/CRin
−(Tn−Tout)/CRout)Δt …(2)
Tn+1=f(Tn,Q,C,(Tin,Rin),(Tout,Rout)) …(3)
上述した式(3)を図9に示すモデルに適用すると、Δt後の各部位要素の温度Tm’、Trc’、Tsf’、Tbr’、Tcv’、Tca’、Tc’、Tsc’はそれぞれ次式のように表される。なお、冷媒温度Twに関しては温度センサ7によって検出されるので、推定式を示していない。また、コイル温度Tcに関しては、温度センサ6の検出値を初期値に用いて推定式により求めるようにしているが、温度センサ6の検出値をそのままコイル温度として使用しても良い。
Tm’=f(Tm,Qm,Cm,(N/A,N/A),(Trc,Rm-rc))
Trc’=f(Trc,Qrc,Crc,(Tm,Rm-rc),(Tsf,RRrc-sf))
Tsf’=f(Tsf,0,Csf,(Trc,Rrc-sf),(Tbr,Rsf-br))
Tbr’=f(Tbr,0,Cbr,(Tsf,Rsf-br),(Tcv,Rbr-cv))
Tcv’=f(Tcv,0,Ccv,(Tbr,Rbr-cv),(Tca,Rcv-ca))
Tca’=f(Tca,0,Cca,(Tcv,Rcv-ca),(Tsc,Rsc-ca),(Tw,Rca-w))
Tc’=f(Tc,Qc,Cc,(N/A,N/A),(Tsc,Rc-sc))
Tsc’=f(Tsc,Qsc,Csc,(Tsc,Rc-sc),(Tca,Rsc-ca))
ステップS22において上述したような推定式を用いて各温度を逐次演算することにより、ステータ側損失に基づくコイル温度上昇を推定することができる。発熱量Qm,Qrc,Qc,Qscについては、演算開始時の運転状態がそのまま継続されるものと仮定し、演算開始時の値が保たれるとして推定演算を行う。
ステップS23では、ステップS22で推定されるコイル温度が限界温度に達するまでの残時間を求める。ステップS2では、ステップS23で得られた残時間が所定時間より短いか否かを判定する。この所定時間はモータトルクを制限するためのトルク上限値を出力するか否かを決定するパラメータであり、所定時間が短いとコイル温度が限界温度に近くなるまでトルク上限値が出力されず、逆に所定時間が長いと限界温度に対して余裕を持たせた状態でトルク上限値が出力される。
ステップS24で残時間が所定時間より短いと判定されると、ステップS25へ進んでモータ2のトルクを下げるためのトルク上限値をトルク指令部12へ出力し、一連の保護処理を終了する。なお、このときのトルク上限値は固定値でも良いし、残時間の長さに応じて変えるようにしても良い。一方、ステップS24で残時間が所定時間以上であると判定されると、そのまま図5の保護処理を終了する。図5に示す保護処理は、コイル温度保護部113に保護指示信号が入力される度に実行される。
図11は、走行を開始後のコイル温度とコイル発熱量の変化を示したものであり、コイル限界温度は14℃に設定されている。コイル発熱量(すなわち損失量)は前述したようにモータの回転数とトルクとに依存しており、例えば、符号G1,G2で示すようにコイル発熱量が大きいときには、図8の損失マップから分かるように図3の領域Aの状態となる場合が多い。そのような場合には、運転領域監視部111からコイル温度保護部113に保護指示信号が入力され、図5の保護処理が実行される。
図11の符号G1で示す時点におけるコイル温度は限界温度(140℃)に比べて充分に低いので、保護処理が実行されても「残時間>所定時間」と判断され、コイル温度保護部113からトルク上限値は出力されない。一方、符号G2で示す時点におけるコイル温度は限界温度に近いので、「残時間<所定時間」と判断されてトルク上限値が出力される。トルク上限値がトルク指令部12に出力されてもコイル温度は直ちに下がるわけでなく、トルク制限がかかってから徐々に下がり始める。そのため、図11に示す例ではコイル温度が上限温度を越える領域があるが、所定時間を長くして早めにトルク上限値が出力されるように設定することで、常に限界温度(保護温度)より低い温度に制御することもできる。
なお、上述した実施の形態では、コイル21の予測温度が限界温度に達した場合にトルク上限値を出力してトルク制限を行ったが、予測温度から推定されるコイル寿命を延ばすようにトルク制限をしても良い。図12は、運転時間とコイル21の絶縁性能との関係を示す図である。直線L20はコイル温度が150℃に維持された場合の寿命曲線であり、直線L21はコイル温度が180℃に維持された場合の寿命曲線である。
実際の寿命曲線L22は、運転履歴記録部112に記録されたコイル温度の履歴に基づいて算出される。すなわち、履歴として記録されている温度は一定の温度ではなく、広い範囲に分布しているので、その温度履歴から寿命曲線を想定した場合の等価温度を算出する。例えば、平均温度を等価温度とする。その等価温度における寿命曲線が現時点での寿命曲線L22となり、絶縁性能の許容値までの運転時間が予測寿命となる。この等価温度はその後の運転状況により変化する。
本実施の形態では、図12の運転時間t1がモータの耐用年数であったとした場合、等価温度に関する寿命曲線L22から得られる寿命t2が時間t1を下回らないようにモータのトルクを制限する。一例としては、寿命t2が「t2≦t1+Δt」となったならば、トルク制限を行って算出される等価温度がより低くなるようにする。その結果、寿命t2の延長を図ることができる。
《磁石温度保護処理》
次に、磁石温度保護部114で行われる磁石温度保護処理について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。この磁石温度保護処理は、運転領域監視部111からの保護指示信号が受信されるとスタートする。ステップS31では、運転履歴記録部111に記録されている回転数およびトルクの履歴データを参照し、モータ2の損失を推定する。この推定作業は、図5に示したコイル温度保護処理のステップS21の処理と同様なので説明を省略する。
ステップS32では、ステップS31で推定した損失に基づいて磁石温度上昇を推定し、所定時間後の磁石温度を予測する。所定時間の長さは保護動作(トルク上限値の出力)の動作タイミングに関係しており、所定時間を長くしてより先の磁石温度を予測することで、より早めに保護動作が作動することになる。ここでの温度推定演算は、上述したステップS22の処理と同様に、図9の熱モデルに基づいて各部位要素の温度を推定することで磁石温度の上昇を推定するので、ステップS22と全く同様の演算処理を行うことになる。ステップS33では、ステップS32で推定される磁石温度が、減磁曲線において磁石の減磁が発生しうる温度を越えているか否かを判定する。
図13は、磁石減磁曲線の一例を示す図である。L1、L2,L3,L4,L5は、順に温度が20℃,60℃,100℃,140℃,180℃のときのB−H曲線を示している。L10は無負荷時のパーミアンス直線であり、曲線L1との交点P1は20℃無負荷時の動作点を、曲線L5との交点P2は80℃無負荷時の時の動作点を表している。運転に伴う負荷による逆磁界H1,H2が発生すると、パーミアンス直線L10をその逆磁界分だけ平行移動した直線L11,L12とB−H曲線との交点が、その場合の動作点になる。逆磁界H1はモータ2の最大トルクを示す。
B−H曲線L5上において、動作点P3の位置は曲線L5の屈折部(knee)が始まる位置であり、動作点P3は180℃クニック点(減磁開始点)になっている。すなわち、180℃においては、逆磁界がH2となる負荷(トルク)まで使用しても、すなわち動作点P3より上側の動作点で使用すれば減磁が発生しない。一方、動作点P4は20℃クニック点(図2に示す第2象限にはない)よりも上側にあるので、20℃においては最大トルク(逆磁界H1に相当)で使用しても減磁が発生しない。
このように、高温(180℃)状態で使用した場合には、常温(20℃)で使用した場合に比べて、減磁なく運転できる範囲が狭くなることが分かる。すなわち、ステップS32で予測された磁石温度が180℃であった場合には、予測温度はステップS33において減磁が発生する温度を越えていると判断され、ステップS34に進む。ステップS34では、予測温度おいて許容される逆磁界からトルク上限値を算出し、そのトルク上限値をトルク指令部12へ出力する。例えば、予測温度が180℃であった場合には、逆磁界H2に相当するトルクをトルク上限値として出力する。ステップS34の処理が終了したならば、図6に示す一連の磁石保護処理を終了する。
一方、予測温度が60℃であった場合には、図13から分かるように、直線L11と曲線L2との交点P3はクニック点となっていない。よって、ステップS33では、磁石予測温度は減磁発生温度を越えていないと判断され、一連の磁石保護処理を終了する。図6に示す磁石保護処理は、運転領域監視部111からの保護指示信号が入力される度に実行される。
以上説明した実施の形態においては、以下のような作用効果を奏する。
(1)運転履歴記録部112に記憶されたトルク値や回転数等の運転状態に関する情報をに基づいて、ステータコイル21の温度上昇をコイル温度保護部113で推定し、さらに、コイル温度が限界温度に達するまでの残時間を求めるようにしている。そして、残時間が所定時間より短い場合には、モータのトルクを制限するようにしたので、コイル焼損等の機能低下を防止しつつ、回転数・トルク特性における運転可能範囲を可能な限り拡大できる。また、温度上昇の予測値により制御しているので、温度上昇が著しい場合であっても事前に察知して保護動作を確実に行うことができる。なお、上述した実施形態では残時間と所定時間とを比較して判定を行っているが、所定時間経過後の温度と限界温度とを比較して判定を行っても良い。
(2)さらに、コイル21だけでなくロータ26に設けられた永久磁石25の温度上昇も推定して、上記保護動作を行うことで、温度上昇によるコイル21および磁石25に不都合を生じさせることなく運転可能範囲を拡大することができる。例えば、磁石25の予測温度が減磁が発生可能な温度に達しているか否かを判定し、発生可能な温度に達していると判定されたならば、モータ2のトルクを減磁が発生しない動作範囲に制限することで、磁石25の減磁を防止しつつ運転可能範囲を拡大することができる。
(3)また、図2に示すように、温度センサを符号21aで示すコイル表面だけでなく、ステータコア部22a、カバー29の内周部29aや外周部29bなどの複数の部位に設けることで、Δt後の各部位要素の温度Tm’〜Tsc’をより精度良く算出することができる。
(4)さらにまた、運転履歴記録部112に記憶された履歴情報に基づいて、ステータコイル21の寿命t2を推定し、その寿命t2が所定時間t1+Δt以下のときにモータ2のトルクを制限することで、所定の寿命t1(モータ耐用年数)を確保しつつ、コイル寿命を延ばすことができる。
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、運転履歴記録部112は記憶部を、コイル温度保護部113および磁石温度保護部114は温度推定手段,判定手段および制限手段を、コイル温度保護部113は寿命推定手段をそれぞれ構成する。以上の説明はあくまでも一例であり、発明を解釈する際、上記実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係に何ら限定も拘束もされない。なお、上述した実施の形態では、電気車に搭載された走行用モータの温度保護装置を例に説明したが、これに限定されず、種々のモータの温度保護装置に適用することができる。
本発明による温度保護装置の一実施の形態を示すブロック図である。 モータ2の構造を示す断面図である。 モータ2の運転領域を説明する図である。 温度保護制御部11で行われる処理を示すフローチャートである。 運転領域監視部111で行われる処理を示すフローチャートである。 コイル温度保護部113で行われる処理を示すフローチャートである。 運転履歴データの一例を示す図である。 損失マップの一例を示す図である。 モータ2の熱モデルの一例を示す図である。 部位要素の温度上昇を説明する図である。 コイル温度とコイル発熱量の経時変化を示す図である。 寿命曲線を示す図である。 減磁曲線の一例を示す図である。
符号の説明
1:車両コントローラ、2:モータ、3:インバータ、5:回転センサ、6:コイル温度センサ、7:冷媒温度センサ、11:温度保護制御部、12:トルク指令部、13:電流指令部、21:コイル、22:ステータコア、24:冷媒流路、52:磁石、26:ロータコア、111:運転領域監視部、112:運転履歴記録部、113:コイル温度保護部、114:磁石温度保護部

Claims (5)

  1. ロータに磁石を備えたモータの運転状態に関する履歴情報を記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された履歴情報に基づいて、モータ回転運転領域において、前記モータのステータコイルの温度上昇を推定し、モータ回転運転領域において、前記磁石の温度上昇を推定する温度推定手段と、
    前記温度推定手段により推定された温度上昇に基づく所定時間経過後の予測温度が、予め設定された保護温度に達しているか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記保護温度に達していると判定されると、前記モータのトルクを制限する制限手段とを備えたことを特徴とする温度保護装置。
  2. 請求項1に記載の温度保護装置において、
    前記判定手段は、前記磁石に関する前記予測温度が減磁が発生可能な温度に達しているか否かを判定し、
    前記制限手段は、前記判定手段により前記発生可能な温度に達していると判定されると、前記モータの動作が減磁が発生しない動作範囲に制限されるように前記トルクを制限することを特徴とする温度保護装置。
  3. 請求項1〜2のいずれか一項に記載の温度保護装置において、
    前記モータを構成する複数の構成部材の温度を温度センサで各々検出し、
    前記温度推定手段は、前記記憶部に記憶された履歴情報とともに前記温度センサで検出された温度に基づいて、前記温度上昇を推定することを特徴とする温度保護装置。
  4. モータの運転状態に関する情報を記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された履歴情報に基づいて、モータ回転運転領域において、前記モータのステータコイルの寿命を推定する寿命推定手段と、
    前記寿命推定手段により推定された寿命が所定時間以下のときに前記モータのトルクを制限する制限手段とを備えたことを特徴とする温度保護装置。
  5. ロータに磁石を備えたモータの運転状態に関する履歴情報に基づいて、モータ回転運転領域において、モータのステータコイルの温度上昇を推定し、モータ回転運転領域において、前記磁石の温度上昇を推定し、
    推定された前記温度上昇に基づく所定時間経過後の予測温度が、予め設定された保護温度に達しているか否かを判定し、
    前記保護温度に達していると判定されたならば前記モータのトルクを制限することを特徴とするモータ温度保護方法。
JP2006292120A 2006-10-27 2006-10-27 モータの温度保護装置、およびモータ温度保護方法 Active JP4910634B2 (ja)

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