JP6697794B1 - 制御装置 - Google Patents

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Abstract

制御装置は制御部6を備え、制御部6は、モータ・ジェネレータ4の動作を継続し続けた場合におけるモータ・ジェネレータ4の内部の各部位の飽和温度T1を、モータ・ジェネレータ4の動作開始時の各部位の初期温度とモータ・ジェネレータ4の熱回路網モデルとに基づいて算出するとともに、モータ・ジェネレータ4の動作を継続し続けた場合における各部位のうち、飽和温度T1に基づいて特定された部位の温度が温度上限閾値Tlim1に到達するまでの所要時間t1を、熱回路網モデルに基づいて算出する。

Description

この発明は、ステータとロータとからなるモータを制御する制御装置に関するものである。
モータは、既存の自動車においてはオルタネータ・ジェネレータとして用いられ、電気自動車、ハイブリッド自動車などの電動車両においては、駆動モータとして用いられている。これらのモータは、高トルク化、高出力化などの目的で、駆動可能範囲を拡張するために、モータ温度に基づいて制御されている。
例えば特許文献1に示す従来の電動車両は、モータと、インバータと、電動車両を制御する制御装置とを備えている。特許文献1の制御装置は、インバータおよびモータの温度変化を推定し、モータの駆動可能時間およびインバータの駆動可能時間のいずれか一方の小さい方の値が、予め設定された時間以下になったときに、モータ走行モードを切り替えている。
また、別の従来の電動車両は、例えば特許文献2に示すように、モータの温度を検出する温度検出手段と、車両の運転者からの指示とモータの検出温度とに基づいてモータを制御する制御手段とが設けられている。また、特許文献2に記載の電動車両は、モータの駆動状態を検出する状態検出手段と、モータの検出温度が予め設定された保護温度に達した場合に、モータの駆動状態を予め設定された範囲内に抑止する電動機制御手段を備えている。特許文献2の制御手段は、モータの温度が保護温度に到達するまでの時間を、モータの検出温度に基づいて予測する時間予測手段を備え、予測した時間を運転者に通知する。
特開2017−63575号公報 特開2003−134609号公報
特許文献1および特許文献2に記載の従来のモータ制御技術においては、モータまたはインバータの検出温度に基づいて、モータの温度変化を予測している。そのため、インバータ素子に過電流が流れることを防止する効果は得られる。しかしながら、モータから出力されるトルクは、或る制限値以下に留まり、高トルク化および高出力化させる手法までには至っていないという問題点があった。
さらに、従来のモータ制御技術は、モータの温度が保護温度に到達するか否かを判定する際に、モータの内部温度のうち、最も温度変化を考慮すべき部位を特定して当該部位の温度に基づいて判定することまでは行っていない。従って、従来のモータ制御技術は、モータが本来有する温度限界付近までの動作を実現できていないという問題点があった。
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、モータを限界動作させ、出力を向上することが可能な、制御装置を得ることを目的としている。
この発明に係る制御装置は、ステータとロータとからなるモータを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記モータの動作を継続し続けた場合における前記モータの内部に設けられた各部位の飽和温度を、前記モータの動作開始時の前記各部位の初期温度と前記モータの温度モデルとに基づいて算出し、前記各部位の飽和温度と前記各部位毎に異なる予め設定された温度上限閾値とをそれぞれ比較し、前記各部位のうち前記飽和温度が前記温度上限閾値以上の部位の中から、前記飽和温度と前記温度上限閾値との差異が最大となる部位を特定し、前記モータの動作を継続し続けた場合に、前記モータの動作開始時から、前記特定された部位の温度が前記温度上限閾値に到達するまでの所要時間を、前記温度モデルに基づいて算出し、前記所要時間の間、前記モータに電流を通電させ
この発明に係る制御装置によれば、モータを限界動作させ、出力を向上させることができる。
この発明の実施の形態1に係る制御装置の構成を示す構成図である。 この発明の実施の形態1に係る制御装置におけるモータ内部モデルに対応する熱回路網モデルを示す図である。 この発明の実施の形態1に係る制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1に係る制御装置におけるモータを制御する際のモータ内部温度の推移をグラフで示した図である。 この発明の実施の形態2に係る制御装置におけるモータを制御する際のモータ内部温度の推移をグラフで示した図である。 この発明の実施の形態2に係る制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。 この発明の実施の形態3に係る制御装置におけるモータを制御する際のモータ内部温度の推移をグラフで示した図である。
以下、この発明に係る制御装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、各図面において、同一または相当する構成については、同一符号を付して示し、重複する説明は省略する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る制御装置の構成を示す図である。ここでは、制御装置として、電動機駆動制御装置を例に挙げて説明するが、この発明は、これに限定されるものではない。本実施の形態1においては、図1に示すように、制御装置は、モータ・ジェネレータ4を制御対象としているが、これに限定されるものではなく、この発明に係る制御装置は、各種モータの動作の制御に適用可能である。図1に示すように、本実施の形態1に係る制御装置は、直流電源1と、インバータ2と、センサ5と、制御部6とを備えている。以下、これらについて説明する。
モータ・ジェネレータ4は、図2の右図のモータ内部モデルに示されるように、ステータ41とロータ42とから構成されている。ステータ41は、例えばステータコア43とステータコイル44とから構成されている。ステータコイル44は、U相、V相およびW相の3相のコイルから構成されている。ステータコイル44の各相のコイルは、ステータコア43に設けられた複数のティースに巻き回されている。ステータ41は、さらに、ステータフレームとベアリングとを有していてもよい。ロータ42は、図示しないベアリングを介して、ステータ41に対し、回転可能に設けられている。ロータ42は、シャフト45を回転軸として回転する。また、ロータ42は、例えばロータコア46と複数の永久磁石47とから構成されている。永久磁石47は、ロータコア46の外周に沿って配置されている。ステータコア43とロータコア46との間にはギャップと呼ばれる空隙が存在する。ステータコア43とロータコア46とは、それぞれ、積層された複数の電磁鋼板から構成されている。モータ・ジェネレータ4は、ロータ42にて磁束を発生させた状態で、ステータコイル44に電流を通電させることで、トルクを出力する。
図1の説明に戻る。直流電源1は、インバータ2に接続されている。直流電源1は、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオンバッテリなどの蓄電装置によって構成されている。直流電源1は、インバータ2へ電力を供給する。
インバータ2は、直流電源1からの直流電力を交流電力へ変換する。インバータ2は、内部に1以上のスイッチング素子3を有している。インバータ2は、スイッチング素子3を導通させることにより、モータ・ジェネレータ4のステータ41のステータコイル44に電流を通電させる。インバータ2は、スイッチング素子3のスイッチング動作を制御することにより、ステータ41のステータコイル44に通電する電流の振幅および位相を制御する。
センサ5は、モータ・ジェネレータ4の内部に取付けられている。センサ5は、モータ・ジェネレータ4の状態を検出する。ここでは、センサ5は、例えば温度センサ、熱流束センサなど、モータ・ジェネレータ4の熱に関する情報を検出する。また、センサ5に用いられる温度センサの例としては、熱電対、サーミスタなどが挙げられる。
制御部6はインバータ2を制御する。制御部6は、インバータ2に対して、スイッチング素子3のスイッチングタイミングを指令して、ステータ41の各相のステータコイル44に通電する電流の電流値を制御する。制御部6は、センサ5によって検出された情報を取込み、当該情報を電流値の制御に用いる。制御部6は、インバータ2への電流指令値を作成する制御ロジックと、熱回路網モデルを用いてモータ内部温度分布を算出する制御ロジックとを有している。
熱回路網モデルは、以下の要素から構成される。
(i)モータ・ジェネレータ4の内部に発生する発熱。当該内部に発生する発熱は、ステータコイル44へ通電する電流の値、および、モータ・ジェネレータ4の回転数などを用いて演算される。
(ii)モータ・ジェネレータ4の内部から外部へ、および、外部から内部へ伝達される熱流束。
(iii)モータ・ジェネレータ4の複数の熱抵抗。これらの熱抵抗は、モータ・ジェネレータ4の内部の材質または形状を元に構成される。
(iv)モータ・ジェネレータ4の複数の熱容量。これらの熱容量は、モータ・ジェネレータ4の内部の材質または形状を元に構成される。
熱回路網モデルは、各発熱、各熱流束、各熱抵抗、および、各熱容量が、ノード間で互いに接続されるような構成となっている。
熱回路網モデルは、図2に示されるように、モータ・ジェネレータ4の内部に対応付けられる。
図2について簡単に説明する。図2において、左図が熱回路網モデルを示し、右図がモータ・ジェネレータ4の内部モデルを示す。図2の右図において、符号40は、モータ・ジェネレータ4のモータ表面を示す。図2の左図の熱回路網モデルにおいて、符号400はモータ表面40の温度を示し、符号440はステータコイル44の発熱を示し、符号470は永久磁石47の発熱を示し、符号460はロータコア46の発熱を示し、符号480はシャフト45を介してモータの内部から外部へ、および、モータの外部から内部に伝達される熱流束を示す。また、図2の右図において、符号<1>はステータコア43部分の部位を示し、符号<2>はステータコイル44部分の部位を示す。ここで、符号<2>で示すステータコイル44部分の部位が、モータ・ジェネレータ4の発熱部を構成している。また、符号<3>は永久磁石47部分の部位を示し、符号<4>はロータコア46部分の部位を示し、符号<5>はシャフト45部分の部位を示す。このとき、図2の右図のモータ内部モデルにおける各部位<1>,<2>,<3>,<4>および<5>は、図2の左図の熱回路網モデルの<1>,<2>,<3>,<4>および<5>の各要素にそれぞれ対応している。
以下の説明においては、モータ・ジェネレータ4の各部位として、図2の右図のモータ内部モデルにおける各部位<1>,<2>,<3>,<4>および<5>を例に挙げて説明するが、これ以外の部位に対応する要素を熱回路網モデルが含んでいてもよい。また、各部位<1>,<2>,<3>,<4>および<5>を、以下では、単に、「各部位」あるいは「モータ・ジェネレータ4の内部の各部位」と呼ぶこととする。
上記(iii)で示した、モータ・ジェネレータ4の内部の各部位の熱抵抗Rは、当該部位の熱伝導率k、断面積A、および、長さlを用いて、式(1)のように、それぞれ、表される。
Figure 0006697794
また、上記(iv)で示した、モータ・ジェネレータ4の内部の各部位の熱容量Cは、当該部位の比熱cおよび密度ρを用いて、式(2)のように、それぞれ、表される。
Figure 0006697794
なお、ここで、上記(i)で示した、モータ・ジェネレータ4の内部に発生する発熱には、以下の(a)〜(d)の各要素が含まれる。
(a)ステータコイル44において発生するステータ銅損。
(b)ステータコア43およびロータコア46の積層された電磁鋼板にて発生する鉄損。
(c)ロータ42が回転することでベアリング部に発生する機械損。
(d)ロータ42の回転時にギャップ中の空気の摩擦で発生する風損。
なお、上記(b)の鉄損には、鋼板のヒステリシス特性によって発生するヒステリシス損と、電磁鋼板内の磁束密度の時間変動によって生じる渦電流損とが存在する。
このように、熱回路網モデルは、モータ・ジェネレータ4の内部に対応している。熱回路網モデルは、温度モデルとして、モータ・ジェネレータ4の内部温度分布の算出に用いられる。そのため、熱回路網モデルにおいては、モータ・ジェネレータ4の外界に関する境界条件を設定する必要がある。本実施の形態1における熱回路網モデルは、図2に示すように、モータ表面温度400と熱流束480とを境界条件として、モータ・ジェネレータ4の内部温度分布の算出に用いられる。なお、図2において、モータ表面温度400は、ステータコア43の外周表面の温度を指しているが、これに限るものではない。例えば、モータ・ジェネレータ4がモータフレームを有している場合には、モータ表面温度400を、モータフレームの表面温度、または、モータフレームの内部の冷却水温度にしても良い。
制御部6は、さらに、車両制御に用いられる図示しない車載ECU(Electronic Control Unit)から、モータ・ジェネレータ4へのトルク要求値を取得することが可能な構成となっている。
次に、図3および図4を用いて、本実施の形態1に係る制御装置の動作について説明する。
図3は、本実施の形態1に係る制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。また、図4は、本実施の形態1に係る制御装置がモータ・ジェネレータ4を制御する際のモータ・ジェネレータ4の内部温度の推移を示したグラフである。
図4において、横軸は時間を示し、縦軸は温度を示す。また、符号t1は、モータ・ジェネレータ4の或る部位の温度が初期温度T0の状態で通電を開始して、モータ・ジェネレータ4の動作を継続し続けた場合において、当該或る部位の温度が、動作開始時の初期温度T0から温度上限閾値Tlim1に到達するまでの所要時間を示す。また、符号T1は、ステータコイル44に通電し続けた場合における、当該或る部位の最終時刻における温度を示す。当該温度を、以下では、飽和温度T1と呼ぶ。なお、モータ・ジェネレータ4の内部の部位ごとに、初期温度T0、所要時間t1、温度上限閾値Tlim1、および、飽和温度T1は、それぞれ、異なる。
本実施の形態1に係る制御装置においては、図3に示すように、まず、ステップS1において、制御部6が、車載ECUから、トルク要求値を受け取る。トルク要求値は、例えば、車両の運転者のアクセルペダルの踏込量または踏込量の時間変化、モータの回転速度に基づいて、車載ECUにより算出される。車載ECUは、制御部6の外部に設けられている。従って、トルク要求値は、制御部6に対して、外部から入力される。
ステップS2では、制御部6は、モータ・ジェネレータ4がトルク要求値に従うトルクが出力可能か否かを、現時点のモータ・ジェネレータ4の回転数および内部温度などを基に判定する。モータ・ジェネレータ4がトルク要求値に従うトルクを出力出来ないと判定した場合、制御部6は、車載ECUにトルク出力不可の信号を出力する。一方、モータ・ジェネレータ4がトルク要求値に従うトルクを出力出来ると判断した場合、制御部6は、トルク要求値に基づいて、インバータ2に対する電流指令値を算出する。これにより、インバータ2は、電流指令値に基づいて、モータ・ジェネレータ4のステータコイル44の各相のコイルに電流I1を通電する。
ステップS3では、制御部6は、熱回路網モデルを用いて、モータ・ジェネレータ4の内部の各部位の飽和温度T1をそれぞれ算出する。算出方法については、後述する。なお、各部位の飽和温度T1が、モータ・ジェネレータ4の内部温度分布となる。
ステップS4では、各部位の飽和温度T1と、予め設定された温度上限閾値Tlim1とを比較し、飽和温度T1が温度上限閾値Tlim1以上の部位があるか否かを判定する。ここで、いずれの部位においても、飽和温度T1が温度上限閾値Tlim1未満の場合、現在のトルク要求値に従うトルクを出力し続けることが可能であると判定し、ステップS5に進む。一方、飽和温度T1が温度上限閾値Tlim1以上の部位が存在する場合、ステップS6に進む。
ステップS5では、制御部6は、インバータ2に対して、ステップS2で算出した電流指令値を出力して、ステータコイル44に電流I1を通電するよう指示する。
ステップS6では、各部位について飽和温度T1と温度上限閾値Tlimとの差異を求め、当該差異が最大となる部位を特定する。
なお、上記の特許文献2においては、モータの温度を例えばコイルエンドなどのある代表部位における温度とし、この代表部位における予測温度変化をもとにモータの制御を変化させている。これに対して、本実施の形態1においては、制御部6は、モータ・ジェネレータ4の内部温度分布を算出し、温度上限閾値Tlim1に最も近い部位を特定する。
なお、ステップS4の判定で、飽和温度T1が温度上限閾値Tlim1以上の部位が存在する場合、モータ・ジェネレータ4は、トルク要求値を出力し続けることは出来ない。その理由としては、ステップS6で特定した部位の温度が温度上限閾値Tlim1に到達すると、モータ・ジェネレータ4の動作を停止する必要があるためである。
そこで、ステップS7において、制御部6は、トルク要求値を出力し続ける場合を想定し、その場合に、ステップS6で特定した部位の温度が温度Tlim1に到達するまでの所要時間t1を、温度モデルとしての熱回路網モデルに基づいて算出する。
ステップS8では、所要時間t1の間、制御部6は、モータ・ジェネレータ4のステータコイル44に電流I1を通電するよう、インバータ2に対して電流指令値を出す。所要時間t1が経過したら、その時点で、制御部6は、インバータ2への電流指令値の出力を停止する、または、現在の電流指令値よりも低い値の電流指令値に切り替える。
以下、ステップS3における各部位の飽和温度T1の算出方法について説明する。
まず、モータ・ジェネレータ4の内部温度分布を算出するに当たり、制御部6は、図2に示した熱回路網モデルを使用する。熱回路網モデルを用いて、飽和温度T1を算出する際には、基準となる温度と、モータ・ジェネレータ4の各部位における発熱量とを、把握する必要がある。基準となる温度については、モータ・ジェネレータ4に取付けられたセンサ5による検出温度を用いて算出するか、あるいは、その他のセンサからのセンサ情報を用いて算出する。各部位における発熱量は、上記に示すように、ステータ銅損、鉄損、機械損、風損などが挙げられる。
さらに、制御部6は、モータ・ジェネレータ4の内外へ流れる熱流束についても算出するか、あるいは、計測する。熱流束の計測については、熱流束センサを用いる方法と、2つの温度センサを用いる方法がある。後者については、非常に狭く熱容量を無視できるような部位において2点の温度T1およびT2を2つの温度センサによってそれぞれ計測し、当該部位の熱抵抗Rを算出し、下式(3)から、熱流束Wを導出することが出来る。
Figure 0006697794
制御部6は、このようにして取得した基準となる温度、発熱量、および、熱流束と、熱回路網モデルとを組合せて、モータ・ジェネレータ4の内部温度を算出する。また、ここで、モータ・ジェネレータ4の内部温度として、現時刻の内部温度だけでなく、通電し続けた未来の温度分布も算出される。さらに、制御部6は、最終時刻における各部位の飽和温度T1の算出も可能である。なお、最終時刻の温度分布については、熱回路網モデルのうち、熱容量を無視した熱回路網モデルを用いて計算することで、計算負荷を低減することが出来る。また、熱回路網モデル内の熱抵抗および熱容量など、モータ・ジェネレータ4の仕様によって決定されているパラメータについては、モータ・ジェネレータ4を動作させる前に既に決定されているものとし、当該決定された値を用いることで、計算負荷を低減することができる。
さらに、飽和温度T1の算出においては、発熱量の情報を必要としており、発熱量のうち、モータ・ジェネレータ4のロータ42の回転数に依存するものも存在する。ロータ42の回転数に依存するものとしては、例えば鉄損などが挙げられる。鉄損には、上記の通り、ヒステリシス損と渦電流損とが存在する。モデル式によって多少の違いはあるが、ヒステリシス損は回転数に比例する式が一般的であり、渦電流損は回転数の2乗に比例する式が一般的である。従って、飽和温度T1は、モータ・ジェネレータ4のロータ42の回転数に依存するということが言える。従って、飽和温度T1は、モータ・ジェネレータ4のロータ42の回転数に基づいて、算出される。
ここで、モータ・ジェネレータ4の内部の各部位の飽和温度をT1とする。また、飽和温度T1とは別に、各部位の材質から決定される温度上限閾値Tlim1が予め設定される。温度上限閾値Tlim1は、例えばステータコイル44に関しては、被膜の融点などに設定され、それ以上の温度となると絶縁を保証出来なくなるような温度に設定される。また、永久磁石47に関しては、例えば熱減磁が発生する温度に設定される。
モータ・ジェネレータ4の内部の各部位における飽和温度T1を算出するには、図2に示すような熱回路網モデルにおいて熱容量の要素を全て無視すれば良い。これは、熱容量は温度変化の過渡応答に対してのみ影響する要素であるためである。このことは熱回路方程式上で熱容量に関する項が温度の時間微分に比例することから明らかである。従って、熱抵抗、発熱量、および、モータ表面温度400の情報から各部位の飽和温度T1を算出する。
上記のステップS6では、ステップS3で算出された飽和温度T1を用いて、制御部6は、温度上限閾値Tlim1と飽和温度T1との差異が最大となる部位を特定する。さらに、制御部6は、特定した部位の温度が、現在の温度から温度上限閾値Tlim1になるまでの所要時間t1を算出する。所要時間t1は、熱回路網モデルに基づいて算出される。このとき、モデル構成によっては、熱回路網モデルの一部のみから、所要時間t1を算出できる可能性がある。従って、その場合には、熱回路網モデルの一部から所要時間t1を算出しても良い。以上の方法により、所要時間t1を算出した後、制御部6は、車載ECUに対して、算出した所要時間t1の情報を出力する。
さらに、制御部6は、インバータ2に対し、トルク要求値に従うトルクを出力するための電流指令値を送信する。インバータ2は、電流指令値に基づいて、スイッチング素子3をスイッチングさせ、モータ・ジェネレータ4のステータコイル44に電流を通電する。
次に、本実施の形態1に係る制御装置の効果について説明する。上述したように、本実施の形態1に係る制御装置は、電流指令値に基づく電流を、モータ・ジェネレータ4に通電することができる所要時間t1を演算する。このようにして、通電可能な所要時間t1を予め把握する事が出来ると、上位の車載ECUにおいても、モータ・ジェネレータ4を動作させたい所望の時間の間の通電が可能か否かを判定する事が出来る。また、通電することが可能と判定された場合は、制御部6は、そのまま、通電すれば良い。一方、通電不可と判定された場合は、制御部6は、温度が最も厳しくなる特定の部位において、温度上限閾値Tlim1に至るまでの所要時間t1の間だけ通電し、その後、通電を停止するなどといった制御を行うことができる。
一方、従来手法は、温度センサにてモータの代表部位をモニタし、予め設定された温度に至るまでの時間を算出するものであった。この場合、モータの温度限界動作を実現することができるのは、モータの代表部位がモータ内部にて最も温度の厳しくなる部位である場合に限られる。さらに、次のような問題も発生する。例えばモータの代表部位をステータコイルとした場合を考える。このとき、モータ動作中において最も温度の厳しくなる部位が、ロータ内の永久磁石であるとする。この場合に、ステータコイルのみの温度をモニタしていると、永久磁石の温度が限界を超えてしまい、モータが高温となることにより、特性低下を招いてしまう可能性がある。
一方、本実施の形態1では、モータ・ジェネレータ4の内部温度分布を予測し、予測した内部温度分布に基づいて、最も温度の厳しくなる部位を特定することが可能となっている。また、制御部6は、特定した部位が、温度上限閾値Tlim1が示す温度限界に達するまでの所要時間t1を算出する。このように、通電可能な時間として、所要時間t1を算出することで、モータ・ジェネレータ4が本来可能とする温度限界に達するまでの時間の間、モータ・ジェネレータ4を動作させることができる。これにより、従来よりもトルクの出力の拡大を図ることが出来る。さらに、当該動作を実現し、所望のトルクを出力することができる時間を、随時、上位の車載ECUに伝達することにより、上位の車載ECUにおいても、モータ・ジェネレータ4に求める動作の実現が未来において可能か否かを判定する事が可能となる。
また、本実施の形態1では、制御部6は、飽和温度T1を、モータ・ジェネレータ4のロータ42の回転数に基づいて算出する。このように、モータ・ジェネレータ4の内部温度モデル内の発熱量として、回転数を用いる事で、回転数あるいはその2乗に比例する鉄損などを考慮することが出来る。また、回転数の変化に対応したモータ・ジェネレータ4の内部温度分布の計算が可能となり、その結果、回転数に応じてトルクの出力の拡大を実現することが出来る。
また、本実施の形態1においては、制御部6が、トルク要求値に基づいて電流指令値を算出し、所要時間t1の間、ステータコイル44に対して、電流指令値に基づく電流I1を通電させる。このように、モータ・ジェネレータ4の動作に際し、実際にモータ・ジェネレータ4へ電流を通電することにより、従来に対して、トルクの出力の拡大を実現することができる。
また、本実施の形態1においては、所要時間t1が算出される特定された部位として、モータ・ジェネレータ4の内部の各部位に対して算出された飽和温度T1のうち、飽和温度T1と温度上限閾値Tlim1との差異が最大となる部位を選択して特定する。これにより、モータ・ジェネレータ4の内部温度分布のうち、最も温度が厳しくなる部位の情報を用いて、モータ・ジェネレータ4を制御することができ、モータ・ジェネレータ4の温度限界動作を実現することができる。
実施の形態2.
図5および図6を用いて、この発明の実施の形態2に係る制御装置について説明する。なお、本実施の形態2に係る制御装置およびモータ・ジェネレータ4の構成については、先に述べた実施の形態1と同様であるため、ここでは、その説明を省略する。
はじめに、本実施の形態2に係る制御装置の動作の概略について、図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態2に係る制御装置がモータ・ジェネレータ4を制御する際のモータ・ジェネレータ4の内部温度の推移を示したグラフである。図5において、横軸は時間を示し、縦軸は温度を示す。また、所要時間t1は、モータ・ジェネレータ4の或る部位の温度が初期温度T0の状態で電流I1の通電を開始した場合に、当該或る部位の温度が初期温度T0から温度上限閾値Tlim1に到達するまでの所要時間を示す。また、飽和温度T1は、電流I1を通電し続けた場合における、当該或る部位の最終時刻における温度を示す。また、所要時間t1jは、モータ・ジェネレータ4の或る部位の温度が温度T0jの状態で電流I1jの通電を開始した場合に、当該或る部位の温度が温度T0jから温度上限閾値Tlim1に到達するまでの所要時間を示す。
本実施の形態2において、温度Tlim1に至るまでの所要時間t1を算出し、所要時間t1の間だけ、電流I1を通電するまでの処理については、実施の形態1と同様である。本実施の形態2においては、所要時間t1が経過する前の時刻において、車載ECUからの指示により、モータ・ジェネレータ4の動作が変更された場合の処理が追加されている点が、実施の形態1と異なる。以下、例を挙げて説明する。例えば、所要時間t1が経過する前の時刻において、車載ECUから受渡されたトルク要求値が増加したとする。当該時刻におけるモータ・ジェネレータ4の内部の部位の温度をT0jとする。なお、ここで、jは自然数とし、トルク要求値が変更された回数を示す。従って、モータ・ジェネレータ4の通電を開始してから、はじめて、トルク要求値が変更された温度は、温度T01と定義される。また、モータ・ジェネレータ4の通電を開始してからトルク要求値の変更が2回目の時点の温度は、温度T02と定義される。
トルク要求値が増加した時点で、制御部6は、当該トルク要求値に従うトルクが出力可能か否かを再度判定する。出力不可と判定した場合は、制御部6は、車載ECUに、トルク出力不可の信号を送信する。一方、出力可と判定した場合、上記実施の形態1と同様に、制御部6は、モータ・ジェネレータ4の内部温度分布の算出を開始する。なお、トルク要求値の変更に伴って電流値が変わるため、制御部6は、発熱量も再度計算し直す。この時のモータ・ジェネレータ4に通電する電流を、電流I1jとする。発熱量の計算方法については実施の形態1と同様とし、制御部6は、銅損、鉄損などを算出する。
制御部6は、当該発熱量を用いて、実施の形態1と同様の手順で、モータ・ジェネレータ4の内部温度分布を計算し、飽和温度T1を求める。また、制御部6は、飽和温度T1と、予め設定されている温度上限閾値Tlim1とを比較し、飽和温度T1が温度上限閾値Tlim1以上の部位を特定する。その後、トルク要求値が変わった時刻を基準とし、制御部6は、当該部位において、温度上限閾値Tlim1に至るまでの所要時間t1jを算出する。以上の動作をフローチャートとして図6に示す。
図6において、ステップS1からステップS7までの処理は、図3に示すステップS1からステップS7の処理と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
ステップS18では、図3のステップS2と同様に、制御部6は、インバータ2に対して、モータ・ジェネレータ4のステータコイル44に電流を通電するよう電流指令値を出力する。
ステップS19では、制御部6が、通電開始から所要時間t1が経過したか否かを判定する。所要時間t1が経過していた場合は、図6の処理を終了する。一方、所要時間t1が経過していない場合は、ステップS20に進む。
ステップS20では、制御部6が、車載ECUから新たに受け取ったトルク要求値が、ステップS1で受け取ったトルク要求値よりも増加したか否かを判定する。判定の結果、トルク要求値が増加していなかった場合は、ステップS18の処理に戻る。一方、トルク要求値が増加していた場合は、ステップS21に進む。
ステップS21では、車載ECUから新たに受け取ったトルク要求値に従うトルクの出力が可能かを判定する。出力不可と判定した場合は、ステップS22に進む。一方、出力可と判定した場合は、ステップS23に進む。
ステップS22では、制御部6は、車載ECUに、トルク出力不可の信号を出力する。その後、図6の処理を終了する。
ステップS23では、ステップS2と同様の手順で、制御部6は、トルク要求値に基づいて、インバータ2に対する電流指令値を算出して更新する。
次に、ステップS24では、ステップS3と同様の手順で、制御部6は、熱回路網モデルを用いて、モータ・ジェネレータ4の各部位の飽和温度T1を算出する。
ステップS25では、ステップS6と同様の手順で、制御部6は、飽和温度T1と温度上限閾値Tlimとの差異が最大となる部位を特定する。
ステップS26では、ステップS7と同様の手順で、制御部6は、トルク要求値に従うトルクを出力し続ける場合を想定し、その場合に、ステップS25で特定された当該部位が、温度Tlim1に到達するまでの所要時間t1jを算出する。算出後、ステップS18の処理に戻る。
なお、図6のステップS18からステップS26までの工程は、上記のように、上位の車載ECUからの指令に基づき、トルク要求値が変化する際に、その都度、実施されるものである。従って、上記の説明では、トルク要求値が変化する回数を1回として説明したが、更にトルク指令値が変化する度に、制御部6は、それに従い、繰り返し、発熱量を算出し、各部位の飽和温度T1を算出する。また、この工程は、インバータ2が電流を通電しているかに関わらず実施される。従って、トルク発生中に上位の車載ECUからのトルク要求値が変化し、通電電流を変更する際にも実施される。
なお、本実施の形態2では、トルク要求値が増加した場合について説明したが、これに限るものではなく、トルク要求値が低下した際にも、制御部6は、随時、所要時間t1jを算出し、上位の車載ECUに対し、その情報を伝達する。
本実施の形態2の効果について記す。実施の形態1では上位の車載ECUからの指令を一度受けた際のモータ限界動作実現方法としては適しているものの、動作途中に状態が変化した際の対応については不十分である。本実施の形態2では、モータ・ジェネレータ4の動作状態が変わっても、制御部6が、モータ・ジェネレータ4の温度分布を随時計算することで、常にモータの限界動作を実現することが出来る。
以上のように、本実施の形態2においては、図6のフローチャートに示されるように、実施の形態1と同様に、ステップS1〜S7の処理を行うので、上記の実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態2においては、所要時間t1が経過するまでのいずれかの時刻において、モータ・ジェネレータ4に対するトルク要求値が変更された場合にも対応可能である。すなわち、そのような場合に、制御部6は、変更されたトルク要求値に基づいて電流指令値を更新する。さらに、制御部6は、更新した電流指令値に基づく電流I1jをステータコイル44の各相のコイルに通電させた場合におけるモータ・ジェネレータ4の各部位のうちの少なくとも特定された部位の温度が、温度上限閾値Tlim1に到達するまでの所要時間t1jを内部温度分布に基づいて算出する。これにより、モータ・ジェネレータ4の内部温度分布をいったん予測した後に、モータ・ジェネレータ4の運転状態が変わった際にも、適宜、温度分布予測を更新することで対応を可能とする。
実施の形態3.
図7を用いて、この発明の実施の形態3に係る制御装置について述べる。なお、本実施の形態3に係る制御装置およびモータ・ジェネレータ4の構成については、先に述べた実施の形態1と同様であるため、ここでは、その説明を省略する。
上述した実施の形態1および実施の形態2では、温度上限閾値Tlimを、各部位ごとに、1つ設定するようにしていたが、本実施の形態3では、各部位ごとに、それぞれ、複数個設定することとする。すなわち、温度上限閾値Tlimを、例えばステータコイル44に適用する場合を考える。ステータコイル44の温度上限閾値Tlimを、コイル被膜の融点付近と設定すると、温度上限閾値Tlim1は、温度上限値Tlimの90%に設定するなどが挙げられる。このようにして、Kを2以上の自然数とし、各部位ごとに、K個の温度上限閾値Tlim1、Tlim2,・・・,Tlimk,Tlimk+1,・・・,TlimKを設定する。なお、ここで、Kおよびkは、自然数である。
本実施の形態3に係る制御装置の動作について、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態3に係る制御装置がモータ・ジェネレータ4を制御する際のモータ・ジェネレータ4の内部温度の推移を示したグラフである。図7において、横軸は時間を示し、縦軸は温度を示す。
図7では、K=2とした場合を例に挙げて説明している。第1の温度上限閾値をTlim1とし、第2の温度上限閾値をTlim2とする。第2の温度上限閾値Tlim2の値は、第1の温度上限閾値Tlim1よりも大きい。
本実施の形態3においては、まず、実施の形態1と同様の動作にて、制御部6は、モータ・ジェネレータ4の各部位の温度が、第1の温度上限閾値Tlim1に至るまでの所要時間t1を算出し、ステータコイル44に電流I1を通電する。その後、ステータコイル44の温度がTlim1に至った時に、制御部6は、温度上限閾値Tlimkに到達した旨の信号を、上位の車載ECUに送信する。
次に、制御部6は、新たな温度上限閾値Tlim2を設定し、モータ・ジェネレータ4の各部位の温度が、新たな温度上限閾値Tlim2に至るまで電流を通電する際の所要時間t2を算出する。このとき、所要時間t2を算出する際に通電する電流値を第2の電流I2とする。第2の電流I2は、上位の車載ECUより指令されるトルク要求値に基づき、実施の形態1の動作と同様に設定される。但し、第2の電流I2は、それまでに通電していた電流I1よりも小さい値に設定される。制御部6は、算出した第2の所要時間t2を、上位の車載ECUに情報として伝達する。
このように、本実施の形態3によれば、温度上限閾値Tlimkを飽和温度T1よりも小さい値に設定しておき、ステータコイル44に電流Ikを通電させて、モータ・ジェネレータ4の内部の部位の温度が温度Tlimkに到達した後に、制御部6は、改めて設定された第2の温度上限閾値Tlim(k+1)に到達するまでの第2の所要時間t(k+1)を算出することとなる。ここで、第2の温度上限閾値Tlim(k+1)を飽和温度T1として設定すれば、飽和温度T1に至るまでの温度上昇の度合いを制御部6にて制御することが可能となる。例えば上位の車載ECUから、トルク要求値が伝達された際に、長時間、モータ・ジェネレータ4の出力状態を持続させることが出来、更に、その所要時間の間、高出力を維持し続けることが可能となる。
なお、温度上限閾値Tlimkに対する第2の温度上限閾値Tlim(k+1)の上げ幅は、モータ・ジェネレータ4の特性または用途に合わせて適宜設定すればよい。また、隣接する温度上限閾値の上げ幅は、すべて同じでもよく、異なっていてもよい。すなわち、温度上限閾値Tlim1に対する温度上限閾値Tlim2の上げ幅と、任意のkにおける温度上限閾値Tlimkに対する第2の温度上限閾値Tlim(k+1)の上げ幅とは、同じであっても、異なっていてもよい。
また、電流Ikに対する電流(k+1)の下げ幅は、モータ・ジェネレータ4の特性または用途に合わせて適宜設定すればよい。また、隣接する電流の下げ幅は、すべて同じでもよく、異なっていてもよい。すなわち、電流I1に対する電流I2の下げ幅と、任意のkにおける電流Ikに対する電流I(k+1)の下げ幅とは、同じであっても、異なっていてもよい。
他の動作については、実施の形態1と同様である。
以上のように、本実施の形態3においては、実施の形態1と同様に、図3のステップS1〜S8の処理を行うので、上記の実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態3においては、所要時間tkの間、ステータコイル44に電流Ikを通電させて、特定された部位の温度が温度上限閾値Tlimkに到達したときに、制御部6が、特定された部位に対して、温度上限閾値Tlimkよりも大きい温度上限閾値Tlim(k+1)を新たに設定する。そして、制御部6は、電流Ikより小さい値の電流I(k+1)をステータコイル44に通電させた場合における特定された部位の温度が、温度上限閾値Tlimkから温度上限閾値Tlim(k+1)に達するまでの所要時間t(k+1)を、内部温度分布に基づいて算出する。このように、制御部6は、設定した温度上限閾値にモータ・ジェネレータ4の内部温度が到達した後に、新たに設定した別の温度上限閾値に対して、モータ・ジェネレータ4の制御を行う。これにより、徐々に、モータ・ジェネレータ4の動作を限界温度に近づける事が可能となる。或いは、モータ・ジェネレータ4の内部温度が限界温度に至った際に、モータ・ジェネレータ4の動作を停止し、温度保護を行うことが可能となる。
なお、上記の実施の形態1〜3において、モータ・ジェネレータ4の構成は、永久磁石47を含むロータ42に限るわけではない。すなわち、界磁巻線を含むロータであってもよい。その場合には、制御部6が、熱回路網モデルの要素の1つとして、界磁巻線の温度を算出する。
また、上記の実施の形態1〜3において、制御部6に情報を送信する温度センサまたは熱流束センサの数は1個に限らず、複数個ずつ配置しても良い。さらには、複数個ずつ配置された温度センサまたは熱流束センサのうちの少なくともいずれか1つによる検出温度を、制御部6に送信して、モータ・ジェネレータ4の内部の温度分布の算出に活用しても良い。
また、上記の実施の形態1〜3では、モータ・ジェネレータ4の内部の温度分布のみを用いた制御方法について述べたが、これに限るわけではなく、インバータ2または図示しないコンバータと組み合わせた方法であっても良い。例えば、インバータ2内のスイッチング素子3の情報を制御部6へ引き渡した制御でも良い。
また、上記の実施の形態1〜3では、モータ・ジェネレータ4は、駆動状態を想定した記載となっているが、これに限る訳ではなく、モータ・ジェネレータ4が回生状態の場合にも同様の事が言える。
ここで、上記の実施の形態1〜3における制御部6のハードウェア構成について簡単に説明する。上述した実施の形態1〜3に係る制御装置における制御部6の各機能は、処理回路によって実現される。各機能を実現する処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。制御部6の各機能それぞれを個別の処理回路で実現してもよいし、各機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
一方、処理回路がプロセッサの場合、制御部6の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリに格納される。プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、制御部6は、処理回路により実行されるときに、制御部6が実行する各ステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリを備える。
これらのプログラムは、上述した各部の手順あるいは方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリとは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリが該当する。また、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等も、メモリに該当する。
なお、上述した各部の機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述した各部の機能を実現することができる。
1 直流電源、2 インバータ、3 スイッチング素子、4 モータ・ジェネレータ、5 センサ、6 制御部、41 ステータ、42 ロータ、43 ステータコア、44 ステータコイル、45 シャフト、46 ロータコア、47 永久磁石。

Claims (7)

  1. ステータとロータとからなるモータを制御する制御部を備え、
    前記制御部は、
    前記モータの動作を継続し続けた場合における前記モータの内部に設けられた各部位の飽和温度を、前記モータの動作開始時の前記各部位の初期温度と前記モータの温度モデルとに基づいて算出し、
    前記各部位の飽和温度と前記各部位毎に異なる予め設定された温度上限閾値とをそれぞれ比較し、前記各部位のうち前記飽和温度が前記温度上限閾値以上の部位の中から、前記飽和温度と前記温度上限閾値との差異が最大となる部位を特定し、
    前記モータの動作を継続し続けた場合に、前記モータの動作開始時から、前記特定された部位の温度が前記温度上限閾値に到達するまでの所要時間を、前記温度モデルに基づいて算出し、
    前記所要時間の間、前記モータに電流を通電させ
    制御装置。
  2. 前記飽和温度は、前記初期温度と、前記温度モデルと、前記ロータの回転数とに基づいて算出される、
    請求項に記載の制御装置。
  3. 前記ステータは、ステータコイルを有し、
    前記制御部は、
    外部から入力される前記モータに対するトルク要求値に基づいて電流指令値を算出し、前記所要時間の間、前記ステータコイルに対して、前記電流指令値に基づく前記電流を通電させる、
    請求項1または請求項2に記載の制御装置。
  4. 前記所要時間が経過する前の時刻において、前記モータに対するトルク要求値が変更された場合に、
    前記制御部は、
    前記時刻において、前記変更されたトルク要求値に基づいて前記電流指令値を更新し、
    前記ステータコイルに対して、更新した前記電流指令値に基づく電流を通電させた場合における前記特定された部位の温度が前記温度上限閾値に到達するまでの所要時間を前記温度モデルに基づいて算出する、
    請求項に記載の制御装置。
  5. kを自然数とし、
    前記所要時間の間、前記ステータコイルに対して通電させる電流値を電流Ikとしたとき、
    前記ステータコイルに前記電流Ikを通電させて、前記特定された部位の前記温度が前記温度上限閾値Tlimkに到達したときに、
    前記制御部は、
    前記特定された部位に対して、前記温度上限閾値Tlimkよりも大きい第2の温度上限閾値Tlim(k+1)を設定し、
    前記電流Ikより小さい第2の電流I(k+1)を前記ステータコイルに通電させた場合における前記特定された部位の温度が、前記温度上限閾値Tlimkから前記第2の温度上限閾値Tlim(k+1)に達するまでの第2の所要時間t(k+1)を、前記温度モデルに基づいて算出する、
    請求項に記載の制御装置。
  6. 前記ロータは磁石を有し、
    前記モータの内部に設けられた各部位は、前記ステータコイルおよび前記磁石を含む、
    請求項に記載の制御装置。
  7. 前記ロータは界磁巻線を有し、
    前記モータの内部に設けられた各部位は、前記ステータコイルおよび前記界磁巻線を含む、請求項に記載の制御装置。
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