JP2005319822A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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勝典 景井
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Abstract

【課題】装置内の各部品の温度を高い精度で推定し、過熱による部品の破損を確実に防止することのできる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】温度傾向判断部1820は、モータ電流値Isを所定の周期で取得し、そのモータ電流値Isの変化に基づいて温度変化の状態を判断する。その結果、温度が上昇中であると判断された場合には温度上昇時演算部1826によって温度が推定され、温度が下降中であると判断された場合には温度下降時演算部1828によって温度が推定される。温度変化の状態が変わったときには、温度上昇時演算部1826から温度下降時演算部1828に、もしくは、その逆に、推定温度算出のための最新の計算結果が受け渡される。このようにして算出された推定温度に基づいて、電流上限値出力部186はモータに供給する電流値の上限値ILimitを決定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に関し、特に、電動パワーステアリング装置内の過熱防止、および過熱防止のための温度推定に関する。
従来より、運転者がハンドル(ステアリングホイール)に加える操舵トルクに応じて電動モータを駆動することによりステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が用いられている。この電動パワーステアリング装置では、操舵のための操作手段であるハンドルに加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサが設けられており、そのトルクセンサで検出される操舵トルクに基づき電動モータに流すべき電流の目標値が設定される。そして、その目標値に基づいて電動モータの駆動手段に与えるべき指令値が生成され、その指令値に応じた電圧が電動モータに印加される。この電圧印加によって電動モータに電流が供給される。
上述の動作においては、電動モータに電流が流れるだけではなく、ECU(電子制御ユニット)内部でも電流が流れる。このように電流が流れることにより装置内では発熱が生じる。その発熱の結果、装置を構成する各部品の温度は次第に上昇し、所定の温度以上になると部品が破損するおそれが生じてくる。このような過熱に起因する部品の破損を防止するため、従来より、モータに供給される電流値に上限が定められている。例えば、モータの過熱を防止するため、モータ内のマス部、コイルおよびブラシの上昇温度を推定し、それらの部位の推定上昇温度に基づいて各部位の推定温度を算出している。また、各部位の推定温度とモータに供給可能な最大電流値とが対応づけられている。そして、その対応づけを参照することで、部位毎に算出された推定温度よりモータに供給可能な最大電流値が求められる。これにより、モータに供給する電流値を制限し、モータの過熱を抑制している。
また、特開2003−284375号公報には、電動モータが回転状態であるか停止状態であるかを判定し、その判定結果に応じてそれぞれ異なる演算態様で電動モータの温度を推定するモータ温度推定装置が開示されている。この公報には以下の旨、記載されている。電動モータの回転時にコイルを流れる電流と電動モータの停止時にコイルを流れる電流とによる温度上昇の違いを考慮することにより、電動モータの温度推定の精度を高め、的確な電流制御を図ることができる。
特開2003−284375号公報
ところが、従来の電動パワーステアリング装置の温度推定処理では、モータなど特に熱抵抗や熱容量の大きなものについて、その推定温度と実際の温度(実温度)との間に誤差が生じている。これについて、図9および図10を参照しつつ説明する。図9および図10は、モータのブラシの温度変化の特性を示す図である。図9には、符号t1で示す時点以前には入力電流をオン(一定電流を流した状態)にし、符号t1で示す時点以降には入力電流をオフ(入力電流を遮断した状態)にした場合のブラシの温度変化が示されている。図10には、符号t1で示す時点以前および符号t2で示す時点以降には入力電流をオンにし、符号t1で示す時点から符号t2で示す時点までの間には入力電流をオフにした場合のブラシの温度変化が示されている。ここで、入力電流をオフにした後、ブラシの温度(実温度)が図9に示すように雰囲気温度付近まで下降している場合には、再度ブラシの温度が上昇しても推定温度と実温度との間にほとんど誤差は生じていない。一方、入力電流をオフにした後再度入力電流がオンにされるまでに、図10に示すようにブラシの温度が雰囲気温度付近まで下降していない場合には、以下の理由により推定温度と実温度との間に誤差が生じている。従来の温度推定処理においては、温度が上昇しているか下降しているかに拘わらず、温度上昇時の実測データ等に基づいて決定された計算式に基づいて推定温度が算出されている。ところが、モータ内の各部位の温度変化の特性は温度上昇時と温度下降時とでは異なっている。このため、従来の温度推定処理では温度が下降しているときの推定温度が精度良く求められておらず、上述した誤差が生じている。その結果、電流制御において実温度とは異なる温度に基づいて電流値が制限されることがあり、電流が過剰に供給されて過熱により部品が破損するおそれが生じる。
そこで本発明では、電動モータの動作状態に応じて装置内の部品の温度が上昇したり下降したりしても、当該部品の温度を精度良く推定し、的確に電流を制御することにより過熱による部品の破損を防止できる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、車両操舵のための操作に応じて電動モータを駆動することにより、当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
前記電動モータに電流が流れることにより発熱する特定部位の温度が上昇中であるか下降中であるかを判断する温度傾向判断手段と、
所定の係数を有する計算式による計算処理を実行することによって得られる計算結果に基づき、前記特定部位の推定温度を時系列に得られるように当該推定温度を繰り返し算出する推定温度演算手段とを備え、
前記推定温度演算手段は、
前記時系列を構成すべき各推定温度を、前記時系列を構成している既に算出された推定温度を含む前記計算式による計算処理によって得られる計算結果に基づいて算出し、
前記特定部位の温度が前記温度傾向判断手段によって上昇中であると判断された場合と下降中であると判断された場合とで前記係数の値が異なるように、前記温度傾向判断手段の判断結果に応じて前記係数の値を切り換えることを特徴とする。
第2の発明は、車両操舵のための操作に応じて電動モータを駆動することにより、当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
前記電動モータに電流が流れることにより発熱する特定部位の温度が上昇中であるか下降中であるかを判断する温度傾向判断手段と、
前記温度傾向判断手段による判断結果に基づいて、前記特定部位の温度が上昇中の状態から下降中の状態にもしくは下降中の状態から上昇中の状態に変わったか否かを判断する状態変化判断手段と、
前記温度傾向判断手段によって前記特定部位の温度が上昇中であると判断された場合に、第1の計算式による計算処理を実行することによって得られる第1の計算結果に基づき、前記特定部位の推定温度を時系列的に算出する温度上昇時演算手段と、
前記温度傾向判断手段によって前記特定部位の温度が下降中であると判断された場合に、第2の計算式による計算処理を実行することによって得られる第2の計算結果に基づき、前記特定部位の推定温度を時系列的に算出する温度下降時演算手段と、
前記温度上昇時演算手段と前記温度下降時演算手段との間で前記第1の計算結果と前記第2の計算結果の授受を行う演算結果授受手段とを備え、
前記第1または第2の計算結果に基づいて繰り返し算出されるべき推定温度からなる時系列を構成すべき各推定温度を算出するときに、前記特定部位の温度が下降中の状態から上昇中の状態に変わったと前記状態変化判断手段によって判断された場合には、前記時系列を構成している直前に算出された推定温度を算出したときに得られた計算結果であって前記演算結果授受手段によって前記温度下降時演算手段から前記温度上昇時演算手段に与えられる前記第2の計算結果を含む前記第1の計算式による計算処理によって得られる計算結果に基づいて前記温度上昇時演算手段が各推定温度を算出し、
前記時系列を構成すべき各推定温度を算出するときに、前記特定部位の温度が上昇中の状態から下降中の状態に変わったと前記状態変化判断手段によって判断された場合には、前記時系列を構成している直前に算出された推定温度を算出したときに得られた計算結果であって前記演算結果授受手段によって前記温度上昇時演算手段から前記温度下降時演算手段に与えられる前記第1の計算結果を含む前記第2の計算式による計算処理によって得られる計算結果に基づいて前記温度下降時演算手段が各推定温度を算出することを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明または第2の発明において、
前記特定部位の推定温度は、前記電動モータに流れる電流値に基づいて算出されることを特徴とする。
第4の発明は、第1乃至第3の発明において、
前記温度傾向判断手段は、前記電動モータに流れる電流値に基づいて前記特定部位の温度が上昇中であるか下降中であるかを判断することを特徴とする。
第5の発明は、第1乃至第3の発明において、
前記特定部位の近傍に温度を検出するための温度センサを更に備え、
前記温度傾向判断手段は、前記温度センサによって検出される温度に基づいて前記特定部位の温度が上昇中であるか下降中であるかを判断することを特徴とする。
上記第1の発明によれば、温度傾向判断手段によって装置内の特定部位の温度が上昇中であるか下降中であるかが判断される。そして、上昇中であると判断された場合と下降中であると判断された場合とでは、それぞれ異なる値の係数を有する計算式によってその特定部位の温度が推定される。また、その係数の値は、温度傾向判断手段の判断結果に応じて切り換えられる。このため、温度推定の対象となっている部位の温度上昇時における温度変化の特性に適合した係数と当該部位の温度下降時における温度変化の特性に適合した係数とを用意すれば、温度が上昇中であるか下降中であるかに拘わらず、当該部位の温度変化の特性に適合した温度推定を行うことができる。また、推定温度を算出するときには、既に算出された推定温度からなる時系列を含む計算式による計算処理によって得られる計算結果が用いられる。このため、上記係数の切り替えの有無に拘わらず、既に算出されている推定温度からなる時系列が最新の計算処理に反映される。これにより、温度が下降中の状態から上昇中の状態に変わったり、上昇中の状態から下降中の状態に変わったりしても、推定温度と実温度との間に誤差が生じることなく、温度推定の対象となっている部位の温度を正確に推定することができる。このため、電流制御に際して、精度良く推定された温度に基づいてモータに供給される電流値の上限が求められる。その結果、過熱が生じることのないよう適切な値に電流値が制限され、装置内の各部品の過熱による破損が確実に防止される。
上記第2の発明によれば、温度傾向判断手段によって装置内の特定部位の温度が上昇中であるか下降中であるかが判断される。そして、上昇中であると判断された場合には第1の計算式による計算処理の結果に基づき温度上昇時演算手段によってその特定部位の温度が推定され、下降中であると判断された場合には第2の計算式による計算処理の結果に基づき温度下降時演算手段によってその特定部位の温度が推定される。このため、温度推定の対象となっている部位の温度上昇時における温度変化の特性に適合した計算式を第1の計算式とし、当該部位の温度下降時における温度変化の特性に適合した計算式を第2の計算式とすることで、温度が上昇中であるか下降中であるかに拘わらず、当該部位の温度変化の特性に適合した計算式による計算処理の結果に基づいて温度を推定することができる。また、温度が下降中の状態から上昇中の状態にもしくは温度が上昇中の状態から下降中の状態に変わったときには、その状態が変わる直前に算出された推定温度を算出したときに得られた計算結果を用いて最新の推定温度が算出される。これにより、温度変化の状態が変わったときに推定温度と実温度との間に誤差が生じることがなくなり、温度上昇と温度下降とが繰り返されても、温度推定の対象となっている部位の温度を正確に推定することができる。このため、電流制御に際して、精度良く推定された温度に基づいてモータに供給される電流値の上限が求められる。その結果、過熱が生じることのないよう適切な値に電流値が制限され、装置内の各部品の過熱による破損が確実に防止される。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
<1.全体構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を、それに関連する車両構成と共に示す概略図である。この電動パワーステアリング装置は、操舵のための操作手段としてのハンドル(ステアリングホイール)100に一端が固着されるステアリングシャフト102と、そのステアリングシャフト102の他端に連結されたラックピニオン機構104と、ハンドル100の操作によってステアリングシャフト102に加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサ3と、当該車両の走行速度を検出する車速センサ4と、ハンドル操作による運転者の負荷を軽減するための操舵補助力を発生させる電動モータ6と、そのモータ6の発生する操舵補助力をステアリングシャフト102に伝達する減速ギヤ7と、車載バッテリ8から電源の供給を受けて、トルクセンサ3や車速センサ4からのセンサ信号に基づきモータ6の駆動を制御する電子制御ユニット(ECU)5とを備えている。
このような電動パワーステアリング装置を搭載した車両において運転者がハンドル100を操作すると、その操作による操舵トルクがトルクセンサ3によって検出され、その操舵トルクの検出値Tsと車速センサ4によって検出された車速Sとに基づいてECU5によりモータ6が駆動される。これによりモータ6は操舵補助力を発生し、この操舵補助力が減速ギヤ7を介してステアリングシャフト102に加えられることにより、操舵操作による運転者の負荷が軽減される。すなわち、ハンドル操作によって加えられる操舵トルクTsとモータ6の発生する操舵補助力によるトルクTaとの和が、出力トルクTbとして、ステアリングシャフト102を介してラックピニオン機構104に与えられる。これによりピニオン軸が回転すると、その回転がラックピニオン機構104によってラック軸の往復運動に変換される。ラック軸の両端はタイロッドおよびナックルアームからなる連結部材106を介して車輪108に連結されており、ラック軸の往復運動に応じて車輪108の向きが変わる。
<2.制御装置の構成>
図2は、上記電動パワーステアリング装置を制御的観点から見た構成を示すブロック図である。上記電動パワーステアリング装置の制御装置であるECU5は、目標電流演算部12と、目標電流修正部13と、減算器14と、PI制御部15と、モータ駆動部20と、電流検出器19と、モータ過熱防止部18とを備えている。トルクセンサ3は、ハンドル100の操作によって加えられる操舵トルクを検出し、その検出値を示す信号を操舵トルク信号Tsとして出力する。車速センサ4は、この電動パワーステアリング装置が搭載される車両の走行速度を検出し、その検出値を示す信号を車速信号Sとして出力する。
目標電流演算部12は、操舵トルク信号Tsと車速信号Sとに基づき、モータ6に供給すべき目標電流の値を算出し、その算出された値を目標電流値Itとして出力する。目標電流修正部13は、目標電流演算部12から出力される目標電流値Itを後述するモータ過熱防止部18から出力される電流上限値ILimitに基づいて修正し、修正後目標電流値Itrとして出力する。
電流検出器19は、モータ6に実際に供給される電流を検出し、その電流を示す検出電流値(モータ電流値)Isを出力する。減算器14は、目標電流修正部13から出力される修正後目標電流値Itrと電流検出器19から出力される検出電流値Isとの偏差Itr−Isを算出する。PI制御部15は、この偏差Itr−Isに基づき比例積分制御演算によって電圧指令値Vを生成する。モータ駆動部20は、この電圧指令値Vに基づいて、モータ6に電圧を印加する。
モータ過熱防止部18は、電流検出器19から出力される検出電流値Isを受け取り、過熱防止の対象となっている部位の推定温度を検出電流値Isに基づいて算出する。さらにモータ過熱防止部18は、当該部位の推定温度に基づいて、モータ6に供給可能な最大の電流値(電流制限値)を部位毎に算出する。そして、部位毎に算出された電流制限値のうち最小の値が電流上限値ILimitとしてモータ過熱防止部18から出力される。本実施形態においては、モータ6内のマス部、コイルおよびブラシが過熱防止対象の部位となっている。それら各部位の推定温度に基づいて電流上限値ILimitが決定される。
なお、上記ECU5の構成要素のうち目標電流演算部12、目標電流修正部13、減算器14、PI制御部15、およびモータ過熱防止部18は、マイクロコンピュータが所定のプログラムを実行することによりソフトウェア的に実現される。
<3.モータ過熱防止処理>
<3.1 モータ過熱防止部の構成>
次に、本実施形態におけるモータ6内の各部位の過熱を防止するための処理(モータ過熱防止処理)について説明する。図3は、この電動パワーステアリング装置のモータ過熱防止部18の詳細を示す機能ブロック図である。モータ過熱防止部18は、モータ電流値取得部180と、温度推定部182と、部位別電流制限値算出部184と、電流上限値出力部186とを備えている。温度推定部182には、温度傾向判断部1820と、状態変化判断部1822と、演算結果授受部1824と、温度上昇時演算部1826と、温度下降時演算部1828とが含まれている。モータ電流値取得部180は、電流検出器19から出力されるモータ電流値Isを所定の周期で受け取り、そのモータ電流値Isを2乗することによりモータ電流2乗値Issを算出し、モータ電流値Isとモータ電流2乗値Issとを出力する。温度傾向判断部1820は、モータ電流値Isに基づいて、温度が上昇中であるか下降中であるかを判断する。温度上昇時演算部1826は、温度上昇時の実測データに基づいて部位毎にあらかじめ決定された計算式により各部位の推定温度Tpを算出する。温度下降時演算部1828は、温度下降時の実測データに基づいて部位毎にあらかじめ決定された計算式により各部位の推定温度Tpを算出する。ここで、各部位の推定温度Tpは、温度傾向判断部1820によって温度が上昇中であると判断された場合には温度上昇時演算部1826により算出され、温度傾向判断部1820によって温度が下降中であると判断された場合には温度下降時演算部1828により算出される。
状態変化判断部1822は、温度が「上昇中の状態から下降中の状態に変わった」もしくは「下降中の状態から上昇中の状態に変わった」(以下、「上昇中の状態」や「下降中の状態」というような温度の変わり方の状態のことを「温度変化の状態」という。)のいずれかに該当するか否かを、温度傾向判断部1820の判断結果に基づいて判断する。状態変化判断部1822によって温度変化の状態が変わった(温度が上昇中の状態から下降中の状態に変わった、もしくは、温度が下降中の状態から上昇中の状態に変わった)と判断されると、演算結果授受部1824は、温度上昇時演算部1826と温度下降時演算部1828のうち温度変化の状態の変化前に温度推定処理を行なっていた演算部により算出されている計算結果を他方に与える。部位別電流制限値算出部184は、各部位の推定温度Tpに基づいて、各部位の電流制限値BLimitを算出する。電流上限値出力部186は、部位毎に算出された電流制限値BLimitに基づいて、目標電流値Itの上限値を示す電流上限値ILimitを出力する。
<3.2 モータ過熱防止部の動作>
上述した図3に示す機能的構成は、前述のマイクロコンピュータが所定のプログラムを実行することにより実現される。以下、図4を参照しつつ、図3に示す各機能ブロックを実現するためのマイクロコンピュータの動作について説明する。
イグニションスイッチ9がオンになると、本フローチャートに示すモータ過熱防止処理における各パラメータの初期値が設定される(ステップS10)。このモータ過熱防止処理では、パラメータとしてカウンタn、今回モータ電流値Is、前回モータ電流値Ispre、モータ電流2乗値Iss、温度上昇時マス部電流2乗積算値Imass1、温度上昇時コイル電流2乗積算値Icoil1、温度上昇時ブラシ電流2乗積算値Ibrsh1、温度上昇時マス部フィルタ定数Fmass1、温度上昇時コイルフィルタ定数Fcoil1、温度上昇時ブラシフィルタ定数Fbrsh1、温度下降時マス部電流2乗積算値Imass2、温度下降時コイル電流2乗積算値Icoil2、温度下降時ブラシ電流2乗積算値Ibrsh2、温度下降時マス部フィルタ定数Fmass2、温度下降時コイルフィルタ定数Fcoil2、温度下降時ブラシフィルタ定数Fbrsh2、マス部用ゲインGmass、コイル用ゲインGcoil、ブラシ用ゲインGbrsh、マス部推定上昇温度Tmass、コイル推定上昇温度Tcoilおよびブラシ推定上昇温度Tbrshが用いられる。ステップS10では、例えば、カウンタnには「0」が設定される。
ステップS10の終了後、ステップS20に進み、カウンタnに「1」が加算される。なお、イグニションスイッチ9がオンの間は本フローチャートに示すステップS20からステップS54の処理が繰り返されるが、その繰り返しの都度、カウンタnに「1」が加算される。ステップS20の終了後、ステップS22に進み、電流検出器19から出力された検出電流値が今回モータ電流値Isとして取得される。さらに、今回モータ電流値Isを2乗することによりモータ電流2乗値Issが求められる(ステップS24)。ステップS24の終了後、ステップS26に進む。なお、ステップS22およびステップS24によって図3に示すモータ電流値取得部180が実現される。
図9、図10に示したとおり、温度が上限値(図9、図10で符号t1で示す時点における温度)と下限値(雰囲気温度)との間にあるときには、入力電流がオン(入力電流が0より大きい)のときには温度は上昇しており、入力電流がオフ(入力電流が0である)のときには温度は下降している。したがって、本実施形態におけるモータ過熱防止処理においては、今回モータ電流値Isが「0」より大きければ温度は上昇中であるとみなし、今回モータ電流値Isが「0」であれば温度は下降中であるとみなして、各部位の温度を推定するための処理(温度推定処理)を行うものとする(本実施形態においてはモータ電流値が0未満となることはないものとする。)。このために、ステップS26では、今回モータ電流値Isが「0」であるか否かが判定され、その判定結果に応じて処理の場合分けが行われる。なお、入力電流がオフであるか否かを判断するために実際には十分に小さい正の値(「0」に近い正の値)が閾値として採用される場合があるが、本説明では便宜上モータ電流値が「0」のときだけ入力電流がオフであるものとする。
ステップS26での判定の結果、今回モータ電流値Isが「0」であればステップS40に進み、今回モータ電流値Isが「0」でなければステップS30に進む。そして、ステップS30(温度上昇時処理)およびステップS40(温度下降時処理)では、それぞれ後述するようにして、モータ6内のマス部、コイルおよびブラシの推定温度が算出される。なお、このステップS26によって図3に示す温度傾向判断部(温度傾向判断手段)1820が実現される。
ステップS30またはステップS40の終了後、ステップS50に進む。ステップS50では、過熱防止対象の部位毎に、温度推定処理によって算出された推定温度Tpに基づいて電流制限値BLimitが算出される。これについて、図5を参照しつつ説明する。図5は、モータ6の或る部位についての推定温度と電流制限値との関係を示す図(以下、「推定温度−電流制限値対応マップ」という。)である。図5において、推定温度とは部位そのものの温度の推定値を意味し、電流制限値とはその電流値をモータ6に供給しても部位が破損することのない最大の電流値を意味している。図5に示すように、推定温度Tpが所定の温度以上になると、過熱の危険性が高まるのでモータに供給可能な電流値(電流制限値)BLimitは低減する。このような推定温度Tpと電流制限値BLimitとの関係は部位により異なるので、推定温度−電流制限値対応マップは部位毎に用意される。本実施形態では、マス部、コイルおよびブラシが過熱防止対象の部位となっているので、マス部用の電流制限値、コイル用の電流制限値およびブラシ用の電流制限値を求めるための3つの推定温度−電流制限値対応マップが用意されている。そして、各部位に対応する推定温度−電流制限値対応マップを参照することにより、ステップS30またはステップS40で求められた推定温度Tpに基づいて、部位毎に電流制限値BLimitが求められる。なお、このステップS50によって図3に示す部位別電流制限値算出部184が実現される。ステップS50の終了後、ステップS52に進む。
ステップS52では、ステップS50で算出された部位毎の電流制限値BLimitのうち最小の値が選択され、その値が電流上限値ILimitとして出力される。例えば、ステップS50において、マス部用の電流制限値、コイル用の電流制限値およびブラシ用の電流制限値がそれぞれ50A、30Aおよび60Aと算出された場合、それら電流制限値のうちの最小の値である30Aが電流上限値ILimitとして出力される。なお、このステップS52によって図3に示す電流上限値出力部186が実現される。ステップS52の終了後、ステップS54に進み、前回モータ電流値Ispreとして今回モータ電流値Isが設定される。
ステップS54の終了後、ステップS20に戻り、イグニションスイッチ9がオンにされている間、上述したステップS20からステップS54までの処理が繰り返される。なお、本実施形態においては、ステップS20からステップS54までの処理は、80ミリ秒の周期で繰り返される。
次に、図6および図7を参照しつつ、温度上昇時処理(ステップS30)と温度下降時処理(ステップS40)の詳細な動作について説明する。なお、図6に示すステップS300と図7に示すステップS400とによって図3に示す状態変化判断部(状態変化判断手段)1822が実現される。また、図6に示すステップS310からステップS314までのステップと図7に示すステップS410からステップS414までのステップとによって図3に示す演算結果授受部(演算結果授受手段)1824が実現される。さらに、図6に示すステップS320からステップS340までのステップによって図3に示す温度上昇時演算部(温度上昇時演算手段)1826が実現され、図7に示すステップS420からステップS440までのステップによって図3に示す温度下降時演算部(温度下降時演算手段)1828が実現される。
まず、温度上昇時処理(ステップS30)の動作について、図6を参照しつつ説明する。前述のとおり、本実施形態では、モータ電流値が「0」のときには温度は下降中であり、モータ電流値が「0」より大きいときには温度は上昇中であるとみなしている。また、図4に示すステップS26では、今回モータ電流値Isは「0」ではない(「0」より大きい)と判定されている。したがって、前回モータ電流値Ispreが「0」であれば、前回温度推定処理が行われてから今回温度推定処理が行われるまでの温度変化の状態は「温度が下降中の状態から温度が上昇中の状態に変わった」とみなすことができる。一方、前回モータ電流値Ispreが「0」より大きければ、前回温度推定処理が行われてから今回温度推定処理が行われるまでの温度変化の状態は「温度が上昇中の状態が継続している」とみなすことができる。このため、ステップS300では、前回モータ電流値Ispreが「0」であるか否かが判定され、その判定結果に応じて処理の場合分けが行われる。
ステップS300での判定の結果、前回モータ電流値Ispreが「0」であればステップS310に進み、前回モータ電流値Ispreが「0」でなければステップS320に進む。
ステップS310では、温度上昇時マス部電流2乗積算値(前回値)Imass1(n−1)として温度下降時マス部電流2乗積算値の前回値Imass2(n−1)が設定される。次いで、ステップS312では、温度上昇時コイル電流2乗積算値の前回値Icoil1(n−1)として温度下降時コイル電流2乗積算値(前回値)Icoil2(n−1)が設定される。さらに、ステップS314では、温度上昇時ブラシ電流2乗積算値(前回値)Ibrsh1(n−1)として温度下降時ブラシ電流2乗積算値(前回値)Ibrsh2(n−1)が設定される。ステップS310からステップS314までの処理は、温度下降時処理で算出された各部位の電流2乗積算値の最新の計算結果を温度上昇時処理における温度推定のための計算処理に反映させるためのものである。ステップS314の終了後、ステップS320に進む。
ステップS320では、マス部電流2乗積算値が所定の計算式に基づいて算出され、その算出された値が温度上昇時マス部電流2乗積算値(今回値)Imass1(n)として設定される。具体的には、「Imass1(n−1)+(Iss−Imass1(n−1))/Fmass1」で算出される値が、温度上昇時マス部電流2乗積算値(今回値)Imass1(n)として設定される。ここで、「Fmass1」、後述の「Fcoil1」、「Fbrsh1」は、温度上昇時における各部位の温度を算出するために温度上昇時の実測データや熱抵抗、熱容量などに基づいて決定される推定フィルタを特徴づける定数であり、それぞれマス部用の定数、コイル用の定数、およびブラシ用の定数である。次に、コイル電流2乗積算値が所定の計算式に基づいて算出され、その算出された値が温度上昇時コイル電流2乗積算値(今回値)Icoil1(n)として設定される(ステップS322)。具体的には、「Icoil1(n−1)+(Iss−Icoil1(n−1))/Fcoil1」で算出される値が、温度上昇時コイル電流2乗積算値(今回値)Icoil1(n)として設定される。さらに、ブラシ電流2乗積算値が所定の計算式に基づいて算出され、その算出された値が温度上昇時ブラシ電流2乗積算値(今回値)Ibrsh1(n)として設定される(ステップS324)。具体的には、「Ibrsh1(n−1)+(Iss−Ibrsh1(n−1))/Fbrsh1」で算出される値が、温度上昇時ブラシ電流2乗積算値(今回値)Ibrsh1(n)として設定される。ステップS324の終了後、ステップS330に進む。
ステップS330では、モータ6のマス部の推定上昇温度が所定の計算式に基づいて算出され、その算出された値がマス部推定上昇温度Tmassとして設定される。具体的には、「Imass1(n)×Gmass」で算出される値がマス部推定上昇温度Tmassとして設定される。ここで、「Gmass」、後述の「Gcoil」、「Gbrsh」は、各部位の推定上昇温度を算出するためのゲインであり、それぞれマス部用のゲイン、コイル用のゲイン、ブラシ用のゲインである。次いで、モータ6のコイルの推定上昇温度が所定の計算式に基づいて算出され、その算出された値がコイル推定上昇温度Tcoilとして設定される(ステップS332)。具体的には、「Icoil1(n)×Gcoil」で算出される値がコイル推定上昇温度Tcoilとして設定される。さらに、モータ6のブラシの推定上昇温度が所定の計算式に基づいて算出され、その算出された値がブラシ推定上昇温度Tbrshとして設定される(ステップS334)。具体的には、「Imass1(n)×Gmass+Icoil1(n)×Gcoil+Ibrsh1(n)×Gbrsh」で算出される値がブラシ推定上昇温度Tbrshとして設定される。ステップS334の終了後、ステップS340に進む。
ステップS340では、ステップS330からステップS334で算出された各部位の推定上昇温度に基づいて、部位毎に推定温度Tpが算出される。例えば、雰囲気温度に推定上昇温度を加算することにより推定温度Tpが算出される。また、上述のように、各電流2乗積算値の今回値には、それぞれ対応する電流2乗積算値の前回値が反映されている。このため、各部位の推定温度Tpは、時系列的に算出されることになる。ステップS340が終了すると、温度上昇時処理は終了し、図4に示すステップS50に進む。
次に、温度下降時処理(ステップS40)の動作について、図7を参照しつつ説明する。前述のとおり、本実施形態では、モータ電流値が「0」のときには温度は下降中であり、モータ電流値が「0」より大きいときには温度は上昇中であるとみなしている。また、図4に示すステップS26では、今回モータ電流値Isは「0」であると判定されている。したがって、前回モータ電流値Ispreが「0」であれば、前回温度推定処理が行われてから今回温度推定処理が行われるまでの温度変化の状態は「温度下降中の状態が継続している」とみなすことができる。一方、前回モータ電流値Ispreが「0」より大きければ、前回温度推定処理が行われてから今回温度推定処理が行われるまでの温度変化の状態は「温度が上昇中の状態から温度が下降中の状態に変わった」とみなすことができる。このため、ステップS400では、前回モータ電流値Ispreが「0」であるか否かが判定され、その判定結果に応じて処理の場合分けが行われる。
ステップS400での判定の結果、前回モータ電流値Ispreが「0」であればステップS420に進み、前回モータ電流値Ispreが「0」でなければステップS410に進む。
ステップS410では、温度下降時マス部電流2乗積算値(前回値)Imass2(n−1)として温度上昇時マス部電流2乗積算値の前回値Imass1(n−1)が設定される。次いで、ステップS412では、温度下降時コイル電流2乗積算値の前回値Icoil2(n−1)として温度上昇時コイル電流2乗積算値(前回値)Icoil1(n−1)が設定される。さらに、ステップS414では、温度下降時ブラシ電流2乗積算値(前回値)Ibrsh2(n−1)として温度上昇時ブラシ電流2乗積算値(前回値)Ibrsh1(n−1)が設定される。ステップS410からステップS414までの処理は、温度上昇時処理で算出された各部位の電流2乗積算値の最新の計算結果を温度下降時処理における温度推定のための計算処理に反映させるためのものである。ステップS414の終了後、ステップS420に進む。
ステップS420では、マス部電流2乗積算値が所定の計算式に基づいて算出され、その算出された値が温度下降時マス部電流2乗積算値(今回値)Imass2(n)として設定される。具体的には、「Imass2(n−1)+(Iss−Imass2(n−1))/Fmass2」で算出される値が、温度下降時マス部電流2乗積算値(今回値)Imass2(n)として設定される。ここで、「Fmass2」、後述の「Fcoil2」、「Fbrsh2」は、温度下降時における各部位の温度を算出するために温度下降時の実測データや熱抵抗、熱容量などに基づいて決定される推定フィルタを特徴づける定数であり、それぞれマス部用の定数、コイル用の定数、およびブラシ用の定数である。次に、コイル電流2乗積算値が所定の計算式に基づいて算出され、その算出された値が温度下降時コイル電流2乗積算値(今回値)Icoil2(n)として設定される(ステップS422)。具体的には、「Icoil2(n−1)+(Iss−Icoil2(n−1))/Fcoil2」で算出される値が、温度下降時コイル電流2乗積算値(今回値)Icoil2(n)として設定される。さらに、ブラシ電流2乗積算値が所定の計算式に基づいて算出され、その算出された値が温度下降時ブラシ電流2乗積算値(今回値)Ibrsh2(n)として設定される(ステップS424)。具体的には、「Ibrsh2(n−1)+(Iss−Ibrsh2(n−1))/Fbrsh2」で算出される値が、温度下降時ブラシ電流2乗積算値(今回値)Ibrsh2(n)として設定される。ステップS424の終了後、ステップS430に進む。
ステップS430では、モータ6のマス部の推定上昇温度が所定の計算式に基づいて算出され、その算出された値がマス部推定上昇温度Tmassとして設定される。具体的には、「Imass2(n)×Gmass」で算出される値がマス部推定上昇温度Tmassとして設定される。次いで、モータ6のコイルの推定上昇温度が所定の計算式に基づいて算出され、その算出された値がコイル推定上昇温度Tcoilとして設定される(ステップS432)。具体的には、「Icoil2(n)×Gcoil」で算出される値がコイル推定上昇温度Tcoilとして設定される。さらに、モータ6のブラシの推定上昇温度が所定の計算式に基づいて算出され、その算出された値がブラシ推定上昇温度Tbrshとして設定される(ステップS434)。具体的には、「Imass2(n)×Gmass+Icoil2(n)×Gcoil+Ibrsh2(n)×Gbrsh」で算出される値がブラシ推定上昇温度Tbrshとして設定される。ステップS434の終了後、ステップS440に進む。
ステップS440では、ステップS430からステップS434で算出された各部位の推定上昇温度に基づいて、部位毎に推定温度Tpが算出される。例えば、雰囲気温度に推定上昇温度を加算することにより推定温度Tpが算出される。また、上述のように、各電流2乗積算値の今回値には、それぞれ対応する電流2乗積算値の前回値が反映されている。このため、各部位の推定温度Tpは、時系列的に算出されることになる。ステップS440が終了すると、温度下降時処理は終了し、図4に示すステップS50に進む。
以上、図3から図7を参照しつつ本実施形態におけるモータ過熱防止処理について説明したが、前述のとおり図4、図6および図7に示す各ステップをマイクロコンピュータが実行することにより図3に示す機能的構成が実現される。
<4.効果>
以上のように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置では、モータに流れる電流値が所定の周期で取得され、その電流値に基づき温度傾向判断部によって過熱防止対象の部位の温度変化の状態が判断される。過熱防止対象の部位の温度が上昇しているときには、温度上昇時の実測データに基づいて決定された計算式によって温度が推定され、温度が下降しているときには、温度下降時の実測データに基づいて決定された計算式によって温度が推定される。また、温度が上昇中の状態から下降中の状態に変わったときには、温度上昇中に算出された(雰囲気温度からの)温度上昇分に相当する電流2乗積算値が温度下降時の計算処理に反映され、温度が下降中の状態から上昇中の状態に変わったときには、温度下降中に算出された(雰囲気温度からの)温度上昇分に相当する電流2乗積算値が温度上昇時の計算処理に反映される。従来は、温度上昇時の実測データに基づいて決定された計算式のみによって温度推定が行われていたため、温度が下降したときに推定温度と実温度との間に誤差が生じていた。本実施形態では、上記構成により、温度上昇時においても温度下降時においても、それぞれの実測データに基づいて決定された計算式によって温度が推定される。このため、温度推定処理中に図10に示したように入力電流がオフにされた後再度入力電流がオンにされるまでに温度推定の対象部位の温度が雰囲気温度まで下降していない場合にも、実温度と推定温度との間に誤差が生じることがなくなる。これにより、温度推定の精度が向上し、過熱防止対象の部位の温度を高い精度で推定することが可能となる。そして、その高い精度で推定された各部位の温度に基づいて、モータに流れる電流値を制限することができる。その結果、モータに電流が過剰に供給されることがなくなり、過熱による部品の破損が確実に防止される。
<5.変形例など>
上記実施形態では、温度変化の状態をモータに流れる電流値に基づいて判断しているが、本発明はこれに限定されるものではない。図8は、変形例に係る電動パワーステアリング装置を制御的観点から見た構成を示すブロック図である。図8に示すように、過熱防止対象の部位付近に温度センサ2を備え、温度センサ2によって検出される温度Teに基づいて温度変化の状態を判断する構成としてもよい。
また、上記実施形態で説明した温度推定のための各計算式は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。温度上昇時に温度を推定するための計算式と温度下降時に温度を推定するための計算式とが用意され、温度変化の状態が変わるときに、変化前の計算式によって求められた計算結果が変化後の計算処理に反映される構成であればよい。さらに、温度上昇時と温度下降時において同一の計算式に基づいて推定温度を算出するがその計算式に含まれる係数を温度上昇時と温度下降時とで切り換える構成としてもよい。
さらにまた、上記実施形態では過熱防止対象の部位としてモータ内の部品等を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ECU5内の部品の過熱を抑制し、それら各部品の破損を防止するためにも本発明を適用することができる。
本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成をそれに関連する車両構成と共に示す概略図である。 上記実施形態に係る電動パワーステアリング装置を制御的観点から見た構成を示すブロック図である。 上記実施形態におけるモータ過熱防止部の詳細を示す機能ブロック図である。 上記実施形態におけるモータ過熱防止処理の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態における推定温度−電流制限値対応マップを示す図である。 上記実施形態における温度上昇時処理の詳細な手順を示すフローチャートである。 上記実施形態における温度下降時処理の詳細な手順を示すフローチャートである。 変形例に係る電動パワーステアリング装置を制御的観点から見た構成を示すブロック図である。 モータのブラシの温度変化の特性を示す図である。 モータのブラシの温度変化の特性の別の例を示す図である。
符号の説明
5 …ECU(電子制御ユニット)
6 …電動モータ
18 …モータ過熱防止部
182 …温度推定部
184 …部位別電流制限値算出部
186 …電流上限値出力部
1820 …温度傾向判断部
1822 …状態変化判断部
1824 …演算結果授受部
1826 …温度上昇時演算部
1828 …温度下降時演算部

Claims (5)

  1. 車両操舵のための操作に応じて電動モータを駆動することにより、当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
    前記電動モータに電流が流れることにより発熱する特定部位の温度が上昇中であるか下降中であるかを判断する温度傾向判断手段と、
    所定の係数を有する計算式による計算処理を実行することによって得られる計算結果に基づき、前記特定部位の推定温度を時系列に得られるように当該推定温度を繰り返し算出する推定温度演算手段とを備え、
    前記推定温度演算手段は、
    前記時系列を構成すべき各推定温度を、前記時系列を構成している既に算出された推定温度を含む前記計算式による計算処理によって得られる計算結果に基づいて算出し、
    前記特定部位の温度が前記温度傾向判断手段によって上昇中であると判断された場合と下降中であると判断された場合とで前記係数の値が異なるように、前記温度傾向判断手段の判断結果に応じて前記係数の値を切り換えることを特徴とする、電動パワーステアリング装置。
  2. 車両操舵のための操作に応じて電動モータを駆動することにより、当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
    前記電動モータに電流が流れることにより発熱する特定部位の温度が上昇中であるか下降中であるかを判断する温度傾向判断手段と、
    前記温度傾向判断手段による判断結果に基づいて、前記特定部位の温度が上昇中の状態から下降中の状態にもしくは下降中の状態から上昇中の状態に変わったか否かを判断する状態変化判断手段と、
    前記温度傾向判断手段によって前記特定部位の温度が上昇中であると判断された場合に、第1の計算式による計算処理を実行することによって得られる第1の計算結果に基づき、前記特定部位の推定温度を時系列的に算出する温度上昇時演算手段と、
    前記温度傾向判断手段によって前記特定部位の温度が下降中であると判断された場合に、第2の計算式による計算処理を実行することによって得られる第2の計算結果に基づき、前記特定部位の推定温度を時系列的に算出する温度下降時演算手段と、
    前記温度上昇時演算手段と前記温度下降時演算手段との間で前記第1の計算結果と前記第2の計算結果の授受を行う演算結果授受手段とを備え、
    前記第1または第2の計算結果に基づいて繰り返し算出されるべき推定温度からなる時系列を構成すべき各推定温度を算出するときに、前記特定部位の温度が下降中の状態から上昇中の状態に変わったと前記状態変化判断手段によって判断された場合には、前記時系列を構成している直前に算出された推定温度を算出したときに得られた計算結果であって前記演算結果授受手段によって前記温度下降時演算手段から前記温度上昇時演算手段に与えられる前記第2の計算結果を含む前記第1の計算式による計算処理によって得られる計算結果に基づいて前記温度上昇時演算手段が各推定温度を算出し、
    前記時系列を構成すべき各推定温度を算出するときに、前記特定部位の温度が上昇中の状態から下降中の状態に変わったと前記状態変化判断手段によって判断された場合には、前記時系列を構成している直前に算出された推定温度を算出したときに得られた計算結果であって前記演算結果授受手段によって前記温度上昇時演算手段から前記温度下降時演算手段に与えられる前記第1の計算結果を含む前記第2の計算式による計算処理によって得られる計算結果に基づいて前記温度下降時演算手段が各推定温度を算出することを特徴とする、電動パワーステアリング装置。
  3. 前記特定部位の推定温度は、前記電動モータに流れる電流値に基づいて算出されることを特徴とする、請求項1または2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記温度傾向判断手段は、前記電動モータに流れる電流値に基づいて前記特定部位の温度が上昇中であるか下降中であるかを判断することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記特定部位の近傍に温度を検出するための温度センサを更に備え、
    前記温度傾向判断手段は、前記温度センサによって検出される温度に基づいて前記特定部位の温度が上昇中であるか下降中であるかを判断することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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