JP4909835B2 - プレス機械の金型クランプ機構 - Google Patents

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Description

本発明は、プレス機械の金型クランプ機構に係り、特に、ムービングボルスタのクランプ機構に関するものである。
従来、金型を固定する際は、プレス機械本体に設置されたボルスタ上に金型を位置決めし、ボルスタに設けられたT溝を利用することで、油圧クランプ機構やクランプ部材等により、固定することが知られている(特許文献1〜3)。
特開2002−331323号公報 特開2004−268186号公報 特開2004−136293号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載されているように、金型を油圧クランプ機構により位置決めして、固定することは、作動油等の動力源を必要とするため、製作コストの高騰化を招く。また、特許文献3に記載されているように、金型をクランプ部材等で固定すると、クランプ、アンクランプといった一連の作業を必要とし、段取りに多くの時間を費やすことになる。さらに、特許文献1〜3に記載のクランプ作業は有人でなければならず、人為的コストがかかるという問題がある。
本発明の目的は、金型のクランプに動力源等を必要とせず、かつクランプ・アンクランプ作業を無人化してトータルコストを大幅に削減できるプレス機械の金型クランプ機構を提供することにある。
本発明の請求項1に係るプレス機械の金型クランプ機構は、プレス機械の金型クランプ機構であって、前記プレス機械のベッド上からムービングボルスタが離床するときキャリアの下面から突出し、または前記ベッド上に前記ムービングボルスタが着床するとき前記キャリアの下面に没入するプランジャと、前記プランジャを下方へ付勢する付勢部材と、前記金型の下面に設けられた凹部と、前記ボルスタの上面から上方に突出して設けられ、前記金型を前記ボルスタの上面に載置したとき、前記凹部に下方から挿通される挿入部材と、前記プランジャが前記キャリア下面に没入するときの、前記プランジャの軸方向の動きによって、前記金型を前記挿入部材に対して係止させる係止部材とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2に係るプレス機械の金型クランプ機構は、請求項1に記載のプレス機械の金型クランプ機構において、前記凹部の下部には、前記係止部材により係止される係止部を有し、前記挿入部材には、前記プランジャが挿入可能な軸方向の貫通孔と、上端側に内周面から外周面へ連通する水平な複数のボール格納部とを有し、前記係止部材は前記各ボール格納部に格納されるボールであり、前記プランジャの上端部には小径部を有し、前記プランジャが前記キャリア下面から突出するとき、前記ボールは前記小径部に接触し、前記プランジャの外周面から没入可能であり、または前記プランジャが前記キャリア下面に没入するとき、前記ボールは前記小径部より大きい前記挿入部材の外周面に接触し、前記プランジャの外周面から突出し、前記係止部に係止することを特徴とする。
本発明の請求項3に係るプレス機械の金型クランプ機構は、プレス機械の金型クランプ機構であって、前記プレス機械のベッド上からムービングボルスタが離床するときキャリアの下面から突出し、または前記ベッド上に前記ムービングボルスタが着床するとき前記キャリアの下面に没入するプランジャと、前記プランジャを下方へ付勢する付勢部材と、前記プランジャが前記キャリア下面に没入するときの、前記プランジャの軸方向の動きによって、前記金型を前記ボルスタに対して係止させるとともに、前記プランジャの先端部に当接するレバーと、前記プランジャの上端部に前記レバーを介して螺合された結合部材と、前記結合部材に取付けられたピンとを備え、前記プランジャが前記キャリア下面から突出するとき、前記ピンが前記レバーを付勢することで前記レバーは前記金型の係止を解除し、または前記プランジャが前記キャリア下面に没入するとき、前記プランジャが前記レバーを付勢することで前記レバーは前記金型を係止することを特徴とする。
本発明の請求項4に係るプレス機械の金型クランプ機構は、プレス機械の金型クランプ機構であって、前記プレス機械のベッド上からムービングボルスタが離床するときキャリアの下面から突出し、または前記ベッド上に前記ムービングボルスタが着床するとき前記キャリアの下面に没入するプランジャと、前記プランジャを下方へ付勢する付勢部材と、前記プランジャが前記キャリア下面に没入するときの、前記プランジャの軸方向の動きによって、前記金型を前記ボルスタに対して係止させる係止部材と、前記キャリアの下面から下方に向けて突没自在に設けられた第1ナット部材と、前記第1ナット部材に下部側が螺合したネジ部材と、前記ネジ部材の上部側に螺合された第2ナット部材とを備え、前記第2ナット部材が前記プランジャに取り付けられ、前記第2ナット部材のリードは、前記第1ナット部材のリードよりも大きいことを特徴とする。
本発明の請求項5に係るプレス機械の金型クランプ機構は、プレス機械の金型クランプ機構であって、前記プレス機械のベッド上からムービングボルスタが離床するときキャリアの下面から突出し、または前記ベッド上に前記ムービングボルスタが着床するとき前記キャリアの下面に没入するプランジャと、前記プランジャを下方へ付勢する付勢部材と、前記プランジャが前記キャリア下面に没入するときの、前記プランジャの軸方向の動きによって、前記金型を前記ボルスタに対して係止させる係止部材と、前記キャリアの下面から下方に向けて突没自在に設けられたロケートピンと、前記ロケートピンの上下動を前記プランジャに伝達するリンク機構とを備え、前記リンク機構は、上部が前記プランジャに取り付けられる第1リンク部材と、一端側に前記第1リンク部材の下部が軸着され、かつ他端側を中心に揺動する揺動リンク部材と、上部が前記揺動リンク部材の長手方向の途中位置に結合され、かつ下部が前記ロケートピンに取り付けられる第2リンク部材とを含んで構成されていることを特徴とする。
以上において、請求項1の発明によれば、ムービングボルスタをプレス機械のベッド上に着床させることで、プランジャが上方へ移動し、これに伴って係止部材は金型を係止することができる。また、アンクランプする場合には、ムービングボルスタをベッド上から離床させればよく、これにより付勢部材がプランジャを下方へ付勢する力によって、プランジャが下がり、金型との係止状態が解除される。これによって、金型は、プランジャの上方、または下方への移動により自動的にクランプ・アンクランプされることとなる。したがって、金型をクランプ・アンクランプするためには、油圧クランプ機構等の装置を不要とし、それに伴って動力源等も不要となる。つまり、製作コストを安価に抑えることができる。しかも、クランプ・アンクランプ作業においては、作業を無人で実現できるから、トータルコストを大幅に削減できる。よって、本発明の目的を達成できる。
また、請求項1の発明によれば、プランジャは挿入部材に挿通されているため、上下に摺動可能な状態となっている。プランジャが上方へ移動すると、プランジャは、金型の下面に設けられた凹部に挿通され、係止部材は金型を係止できる。
請求項2の発明によれば、プランジャは挿入部材の貫通孔に挿入され、上下に摺動可能な状態となっている。ムービングボルスタがベッドへ着床、または離床することで、係止部材であるボールがプランジャの上端部の外周面から外部へ突出したり、またはボール格納部へ収容されることで、ボールが係止部に係止したり、または係止を解除することで、金型は自動的にクランプ・アンクランプできる。
請求項3の発明によれば、プランジャの上端部に螺合された結合部材に取付けられた押圧部材は、プランジャが上方または下方へ移動するに伴って上下移動する。したがって、ムービングボルスタがベッドを離床すると、プランジャは下方へ移動し、押圧部材はレバーを押圧することができる。よって、レバーが金型の係止を解除でき、または請求項4の発明と同様にレバーは金型を係止できるため、金型は自動的にクランプ・アンクランプできる。
請求項4の発明によれば、第2ナット部材のリードが第1ナット部材のリードよりも大きいため、第1ナット部材の移動に伴って第2ナット部材が移動する際には、その移動量を増幅させることができる。したがって、第1ナット部材の移動距離である着床ストロークが短い場合においても、第2ナット部材ひいてはプランジャの上方への移動量を確実に確保できる。
請求項5の発明によれば、プランジャとロケートピン間のリンク機構において、揺動リンクの各結合部分で設定されるレバー比により、ロケートピンの移動を増幅させてプランジャに伝達できるため、請求項4と同様にやはり着床ストロークが短い場合においても、プランジャの上方への移動量を確実に確保できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、後述する第2実施形態以降で、以下に説明する第1実施形態での構成と同じか、または、同様な機能を有する構成には同一符号を付し、その説明を簡単にあるいは省略する。
〔第1実施形態〕
図1、図2は、ムービングボルスタ2がプレス機械1に向かって走行し、着床する様子を示した概略図である。図3は、図1のIII−III線断面図であり、本発明に係る金型クランプ機構20の第1実施形態を示す断面図である。
図1では、ムービングボルスタ2が、プレス機械1のベッド14上に向かって走行している様子が示されている。ムービングボルスタ2は、ボルスタ24、キャリア25から構成されている。ムービングボルスタ2の上部には、上型21、下型22が載置されている。また、プレス機械1は、ベッド14上に立設された4本(図1では2本のみを図示)のアプライト11、および図示しないクラウン、スライド等を備えている。ベッド14には、ムービングボルスタ2のストッパとしてのムービングボルスタストッパ12(以下、MBストッパ12)と、ムービングボルスタ2の着床場所であるムービングボルスタリフタ13(以下、MBリフタ13)とが設けられている。
図2では、ムービングボルスタ2が、ベッド14に設けられたMBリフタ13に着床した様子が示されている。この状態では、油圧式のMBリフタ13が降下することで、車輪27がMBリフタ13に収納されるとともに、キャリア25の下端から突出したシャフト206(図3参照)がベッド14に当接し、キャリア25内に入り込む。なお、シャフト206は、金型クランプ機構20の一部を構成する部材である。
次に、図3を参照し、金型クランプ機構20について説明する。
図3において、金型クランプ機構20は、スリーブ201、挿入部材203、プランジャとしてのシャフト206、シャフト206に装着されたばね205、収容部材208を含んで構成されている。
金型クランプ機構20のスリーブ201は、円筒状に形成され、下型22の凹部に下方から嵌合されている。また、スリーブ201の下部には、内方に突出した係止部221が設けられ、スリーブ201の底面に形成された孔には、挿入部材203およびシャフト206の各上端部分が挿通されている。
挿入部材203は、上端が截頭錐体とされた筒状に形成され、ボルスタ24の貫通孔内に収容された状態で上方からのボルト204によってボルスタ24に固定されている。また、挿入部材203の上端部近くには、内外を水平方向に貫通した複数の格納部211が設けられ、これらの格納部211には、ボール202が格納されている。
シャフト206は、キャリア25、およびボルスタ24の各貫通孔にわたって収納されているとともに、その上端側が挿入部材203内に挿通され、上下に摺動自在に設けられている。シャフト206の上端部には、ボール202と接触するテーパ部および小径部からなるクランク部242が設けられており、シャフト206の上下動に伴って、ボール202が格納部211に対して出入りするようになっている。つまり、シャフト206が押し下げられている状態では、ボール202は格納部211に収納されており、シャフト206が押し上げられる状態では、ボール202は格納部211の外側に押し出され、スリーブ201の下部に位置する係止部221に係止する。また、シャフト206の下端部は、キャリア25から突出するロケート部26となっている。
ばね205は、挿入部材203の下面とシャフト206の中程に設けられたばね止め部207との間に配置され、シャフト206を下方側に向けて付勢している。
収容部材208は、円筒状に形成され、挿入部材203の下側に取付けられた状態でボルスタ24の貫通孔内に収容されている。収容部材208の底面には、貫挿されたシャフト206のばね止め部207が当接するようになっており、この当接によってシャフト206のキャリア25下面からの突出量が規定されている。
次に、図2、図3を参照し、金型クランプ機構20の作用について説明する。
まず、図2において、ムービングボルスタ2がプレス機械1内に移動し、MBリフタ13に着床することで、シャフト206のロケート部26はベッド14に当接して上方に押圧される。
ロケート部26がベッド14に押圧されると、シャフト206は、ロケート部26の突出部分の長さである着床ストローク分だけ、ばね205のばね力に抗して上方に押し上がる。そうすると、ボール202は、シャフト206の上方への移動により、クランク部242と接触して格納部211から押し出され、ボルスタ24に内蔵された係止部221に係止する。したがって、下型22は、スリーブ201を介して金型クランプ機構20、ひいてはムービングボルスタ2に自動的にクランプされることになる。
反対に、MBリフタ13を上昇させ、キャリア25の下面をベッド14から浮かすことにより、ばね205はシャフト206を押し下げる。これにより、ムービングボルスタ2は、ベッド14への着床が解除されるとともに、係止部221に係止していたボール202が格納部211に収納されることにより、下型22とのクランプ状態が自動的に解除されることになる。
以上により、金型である下型22をクランプするためには、油圧源などのクランプ機構を必要としないうえ、ムービングボルスタ2に対してのクランプ、アンクランプ作業を無人で行える。さらに外段取り作業においては、上型21と下型22とを互いに連結しておけば、上型21または下型22を吊り上げるのみの作業で、上型21と下型22とを同時に吊り上げることができ、容易に金型を交換できる。したがって、金型クランプ機構を安価にできるうえ、段取り時間を短縮できる。
〔第2実施形態〕
図4は、本発明には含まれないが、本発明を理解するうえで参考となる第2実施形態のムービングボルスタ2を示した図であり、図5は、図4の要部を拡大して示した図である。本実施形態では、金型クランプ機構20の構造、およびムービングボルスタ2内での金型クランプ機構20の設けられている位置が第1実施形態と異なっている。すなわち、第1実施形態では、金型クランプ機構20は、ムービングボルスタ2内に完全に埋設されていたが、本実施形態ではボルスタ24上面の四隅付近にレバー29が設置され、金型クランプ機構20の一部であるシャフト206の両端部が突出するように設けられている。
第1実施形態のムービングボルスタ2と異なる構成について、図5を参照して説明する。本実施形態において、金型クランプ機構20は、ボルスタ24の上面から上方へ向けて突出した支持部材28と、当該支持部材28にピン30によってピン結合されたレバー29と、レバー29の下面およびボルスタ24の上面間に配置されたばね281とを備えている。
レバー29は、支持部材28にピン結合されていることで、ピン30を中心として回動可能となっている。また、ばね281は、レバー29における下型22側の端部をはね上げ方向(図5中で反時計方向)へ付勢している。
この構成において、第1実施形態と同様に、図2に示すように、ムービングボルスタ2がベッド14に設けられたMBリフタ13の下降により着床した場合、ロケート部26がベッド14に押圧され、ボルスタ24の貫通孔に挿通されたシャフト206がボルスタ24の上面から突出することとなる。そうすると、シャフト206がレバー29の一端側の下面を突き上げるように当接し、レバー29を下型22側に傾倒させる。この結果、レバー29の他端側は下型22に係止し、下型22はクランプされた状態となる。
反対に、MBリフタ13を上昇させ、キャリア25の下面をベッド14から浮かすことにより、シャフト206は自重およびばね205のばね力により下降し、ばね281はレバー29を上方へはね上げる。よって、レバー29の他端部と下型22との係止が解除され、下型22はアンクランプされた状態となる。この際、レバー29は、下型22の上方へ向けて図示した一点鎖線のレバー29側に位置することによって、下型22は、レバー29と衝突することなく吊り上げられることができる。なお、シャフト206には、第1実施形態でのばね止め部207に相当する部分を有し(図示略)、キャリア25下面からの突出量が規定されるようになっている。
以上において、本実施形態でも、ムービングボルスタ2の動きに応じてシャフト206が上下に摺動することで、ムービングボルスタ2に対して下型22のクランプ・アンクランプ作業を無人で行うことができる。したがって、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
〔第3実施形態〕
図6は、本発明に係る第3実施形態のムービングボルスタ2の要部を拡大して示した図であり、図7は、図6でのVII−VII線断面図である。
本実施形態の金型クランプ機構20は、第2実施形態の変形例である。つまり、本実施形態では、第2実施形態においてレバー29の下面に配置されたばね281を用いることなく、シャフト206の上端部に上方から螺合されている軸状の結合部材31によって、レバー29の係止解除側への回動を行うものである。そこで、第2実施形態と異なる構成について図6および図7を参照して説明する。
結合部材31の上端には、押圧ピン311が水平方向の両側に向けて突設されている。結合部材31のシャフト206に螺合されていない部分については、レバー29の切欠部分に挿通されている。
この構成において、図2に示すように、ベッド14に設けられたMBリフタ13を上昇させ、キャリア25の下面をベッド14から浮かすことで離床したとき、シャフト206は自重およびばね205のばね力により下降し、それに伴いシャフト206の上端部に螺合された結合部材31も下降する。そして、レバー29の切欠部分に結合部材31の上端部が収容されると同時に、押圧ピン311はレバー29を下方へ押圧する。したがって、レバー29はピン30を中心として反時計回りに回動し、レバー29を上方へはね上げる。これによって、レバー29と下型22との係止が解除され、下型22はアンクランプされた状態となる。
なお、レバー29が下型22をクランプする際の作用については、第2実施形態と同様であるため省略する。
以上において、本実施形態でも、第1,第2実施形態と同様に、ムービングボルスタ2に対して下型22のクランプ・アンクランプ作業を無人で行うことができる。したがって、第1,第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
〔第4実施形態〕
図8は、本発明に係る金型クランプ機構20の第4実施形態が示されている。本実施形態は、第1実施形態よりも着床ストロークが短い場合においての実施形態である。
第1実施形態の金型クランプ機構20と異なる構成について、図8を参照して説明する。本実施形態での金型クランプ機構20に使用されるシャフト206は、ロケートピンとして機能する第1ナット部材252aと、ネジ部材256と、第2ナット部材252bと、プランジャ206Aとで構成されている。
第1ナット部材252aは、キャリア25の下面から突出するように位置し、ネジ部材256の下部側に設けられた第1台形ネジ253aに螺合している。また、第1ナット部材252aの外周には、ブッシュ209が挿通されている。このブッシュ209は、第1ナット部材252aの回り止めとしても機能し、これによって、第1ナット部材252aの上下方向への移動のみが許容され、回転しないようになっている。
ネジ部材256は、下部側の小径の第1台形ネジ253aと上部側の大径の第2台形ネジ253bとを有しており、各リードは異なるものである。本実施形態では、第2台形ネジ253bのリードは、第1台形ネジ253aのリードの約3倍である。ただし、このようなリードの比率は、着床ストロークの大きさによって任意に設定されるのであり、3倍に限定されない。また、ネジ部材256は、ベアリング254によって回転可能に支持されている。
第2ナット部材252bは、ネジ部材251に設けられた第2台形ネジ253bに螺合するとともに、ボルト251によってプランジャ206Aの下面に締結されている。
プランジャ206Aは、前述した第1実施形態でのシャフト206の上側部と同形状であり、プランジャ206Aの下端には、ばね止め部206Bが設けられている。このばね止め部206Bと挿入部材203との間には、ばね205が配置され、プランジャ206A、第2ナット部材252b、およびネジ部材256をベアリング254側へ付勢している。
第1実施形態と同様に、ムービングボルスタ2がプレス機械1内に走行し、着床すると、第1ナット部材252aがベッド14に押圧される。そうすると、第1ナット部材252aは、ばね205のばね力に抗して上方に押し上がるとともに、第1台形ネジ253a、すなわちネジ部材256が回転する。これにより、ネジ部材256の一部である第2台形ネジ253bも回転し、螺合された第2ナット部材252bが上方へ移動する。そして、第2ナット部材252bが移動した分、プランジャ206Aが押し上がり、第1実施形態と同様に、ボール211が外側に移動して係止部221と係止し、下型22がムービングボルスタ2に対して自動的にクランプする。
反対に、MBリフタ13を上昇させ、キャリア25の下面をベッド14から浮かすことにより、ばね205はプランジャ206Aを押し下げる。そうすると、第2台形ネジ253b、すなわちネジ部材256が回転し、第1ナット部材252aが下方へ移動する。これにより、ムービングボルスタ2は、ベッド14への着床が解除されるとともに、係止部221と係止していたボール202が格納部211に収納されることにより、下型22とのクランプ状態が自動的に解除されることになる。
以上のように、リードの異なる2種の第1台形ネジ253a、第2台形ネジ253bを使用しているため、リードの小さい第1台形ネジ253aの回転が、リードの大きい第2台形ネジ253bへ伝達されると、これに螺合された第2ナット部材252bの移動距離は長くなる。したがって、着床ストロークの短い場合においても、本実施形態によれば、シャフト206が押し上げる距離を十分に確保できる。これによって、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
〔第5実施形態〕
図9は、本発明に係る第5実施形態が示されている。本実施形態は、第4実施形態と同様に着床ストロークの短い場合においての実施形態である。
第1,第4実施形態の金型クランプ機構20と異なる構成について、図9を参照して説明する。本実施形態での金型クランプ機構20に使用されるプランジャ206Aの下部には、第1リンク部材301a、第2リンク部材301b、リンク支持部材302、揺動リンク部材303から構成されるリンク機構が設けられている。
具体的には、プランジャ206Aの下部と、第1リンク部材301aの上部とがピン結合されている。第1リンク部材301aの下部は、揺動リンク部材303の一端側とピン結合されている。第2リンク部材301bの上部は、揺動リンク部材303の長手方向の中間位置に対してピン結合され、第2リンク部材301bの下部は、ロケートピン26とピン結合されている。リンク支持部材302は、キャリア25の内壁に装着され、リンク部材303の他端部と連結されている。
以上のリンク機構によれば、揺動リンク部材303は、第2リンクジョイント部材301bの上昇によりリンク支持部材302を中心として揺動し、これに伴って、第1リンクジョイント部材301aが上方へ移動する。
本実施形態では、ロケートピン26がベッド14に押圧されると、第2リンク部材301bが押し上げられ、第2リンク部材301bとピン結合された揺動リンク部材303が押し上げられる。そうすると、揺動リンク部材303は、リンク支持部材302を中心として反時計回りに回動する。これにより、揺動リンク部材303の一端に連結された第1リンク部材301aが上方へ移動する。その後のプランジャ206Aの動作は、第2実施形態と同様であり、下型22がムービングボルスタ2に対して自動的にクランプされる。
反対に、MBリフタ13を上昇させ、キャリア25の下面をベッド14から浮かすことにより、ばね205は、プランジャ206Aを介して第1リンク部材301aを押し下げる。そうすると、揺動リンク部材303は、リンク支持部材302を中心として時計回りに回動し、第2リンク部材301bが押し下がる。よって、ムービングボルスタ2は、ベッド14への着床が解除されるとともに、係止部221と係止していたボール202が格納部211に収納されることにより、下型22とのクランプ状態が自動的に解除されることになる。
以上のリンク機構によれば、揺動リンク部材303において、リンク支持部材302との結合位置である回動中心から第1リンク部材301aとの結合位置までの距離、および第2リンク部材301bとの結合位置までの距離の比(レバー比)によって、第2リンク部材302bの移動距離に対して第1リンク部材301aの移動距離を増幅させることができる。したがって、着床ストロークの短い場合においても、プランジャ206aが押し上がる距離を伸ばすことができる。よって、第1実施形態と同様の効果を奏する。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成などを含み、以下に示すような変形なども本発明に含まれるものである。
例えば、本発明に係る第2実施形態において、台形ネジの代わりにボールネジを用いても良い。
また、前記各実施形態では、1つの金型クランプ機構20について説明したが、このような金型クランプ機構20を複数設けてもよい。
さらに、本発明の金型クランプ機構20は、ムービングボルスタ2内部に組み込まれるタイプの他、その一部または全部がムービングボルスタ2の外部に露出して設けられてもよい。
また、前記各実施形態では、プランジャ206Aを下方へ付勢する付勢部材として、ばね205としてコイルスプリングを用いているが、これには限らず、皿ばね、あるいはゴム、ウレタン樹脂のような弾性体であってもよい。プランジャ206Aのストローク量に対応でき、プランジャ206Aを下方へ付勢する機能があればよい。
また、前記各実施形態では、ボルスタ24上面に下型22を直接載置し、本発明の金型クランプ機構20で下型22をクランプしていたが、コモンプレートの上面に下型22を固定し、さらにボルスタ24の上面にコモンプレートを載置し、金型クランプ機構20でコモンプレートをクランプしてもよい。この際、外段取り作業において、コモンプレートを金型の一部として吊り上げて金型を交換してもよい。
本発明は、各種プレス機械においての金型のクランプ作業に好適に利用できる。
本発明の第1実施形態に係る金型クランプ機構が適用されたムービングボルスタがプレス機械に向かって走行する様子を示す概略図。 ムービングボルスタがプレス機械内に着床した様子を示した概略図。 第1実施形態を示す断面図。 第2実施形態に係るムービングボルスタを示した図。 図4に示す要部を拡大して示した図。 第3実施形態の要部を拡大して示した図。 図6に示すVII−VII線での断面を示した図。 第4実施形態を示す断面図。 第5実施形態を示す断面図。
符号の説明
1…プレス機械、2…ムービングボルスタ、22…下型、24…ボルスタ、25…キャリア、26…接触部材であるロケートピン、28…支持部材、29…係止部材であるレバー、31…結合部材、201…スリーブ、202…係止部材であるボール、206…プランジャであるシャフト、206A…プランジャ、208…収容部材、211…格納部、221…係止部、252a…第1ナット部材、252b…第2ナット部材、253a…第1台形ネジ、253b…第2台形ネジ、301a…第1リンク部材、301b…第2リンク部材、302…リンク支持部材、303…揺動リンク部材、311…押圧部材である押圧ピン。

Claims (5)

  1. プレス機械の金型クランプ機構であって、
    前記プレス機械のベッド上からムービングボルスタが離床するときキャリアの下面から突出し、または前記ベッド上に前記ムービングボルスタが着床するとき前記キャリアの下面に没入するプランジャと、
    前記プランジャを下方へ付勢する付勢部材と、
    前記金型の下面に設けられた凹部と、
    前記ボルスタの上面から上方に突出して設けられ、前記金型を前記ボルスタの上面に載置したとき、前記凹部に下方から挿通される挿入部材と、
    前記プランジャが前記キャリア下面に没入するときの、前記プランジャの軸方向の動きによって、前記金型を前記挿入部材に対して係止させる係止部材とを備えた
    ことを特徴とするプレス機械の金型クランプ機構。
  2. 請求項1に記載のプレス機械の金型クランプ機構において、
    前記凹部の下部には、前記係止部材により係止される係止部を有し、
    前記挿入部材には、前記プランジャが挿入可能な軸方向の貫通孔と、上端側に内周面から外周面へ連通する水平な複数のボール格納部とを有し、
    前記係止部材は前記各ボール格納部に格納されるボールであり、
    前記プランジャの上端部には小径部を有し、
    前記プランジャが前記キャリア下面から突出するとき、前記ボールは前記小径部に接触し、前記プランジャの外周面から没入可能であり、または前記プランジャが前記キャリア下面に没入するとき、前記ボールは前記小径部より大きい前記挿入部材の外周面に接触し、前記プランジャの外周面から突出し、前記係止部に係止する
    ことを特徴とするプレス機械の金型クランプ機構。
  3. プレス機械の金型クランプ機構であって、
    前記プレス機械のベッド上からムービングボルスタが離床するときキャリアの下面から突出し、または前記ベッド上に前記ムービングボルスタが着床するとき前記キャリアの下面に没入するプランジャと、
    前記プランジャを下方へ付勢する付勢部材と、
    前記プランジャが前記キャリア下面に没入するときの、前記プランジャの軸方向の動きによって、前記金型を前記ボルスタに対して係止させるとともに、前記プランジャの上端部に当接するレバー
    前記プランジャの先端部に前記レバーを介して螺合された結合部材と、
    前記結合部材の上端に突設する押圧部材とを備え、
    前記プランジャが前記キャリア下面から突出するとき、前記押圧部材が前記レバーを押圧することで前記レバーは前記金型の係止を解除し、または前記プランジャが前記キャリア下面に没入するとき、前記プランジャが前記レバーを突き上げることで前記レバーは前記金型を係止する
    ことを特徴とするプレス機械の金型クランプ機構。
  4. プレス機械の金型クランプ機構であって、
    前記プレス機械のベッド上からムービングボルスタが離床するときキャリアの下面から突出し、または前記ベッド上に前記ムービングボルスタが着床するとき前記キャリアの下面に没入するプランジャと、
    前記プランジャを下方へ付勢する付勢部材と、
    前記プランジャが前記キャリア下面に没入するときの、前記プランジャの軸方向の動きによって、前記金型を前記ボルスタに対して係止させる係止部材と
    前記キャリアの下面から下方に向けて突没自在に設けられた第1ナット部材と、
    前記第1ナット部材に下部側が螺合したネジ部材と、
    前記ネジ部材の上部側に螺合された第2ナット部材とを備え、
    前記第2ナット部材が前記プランジャに取り付けられ、
    前記第2ナット部材のリードは、前記第1ナット部材のリードよりも大きい
    ことを特徴とするプレス機械の金型クランプ機構。
  5. プレス機械の金型クランプ機構であって、
    前記プレス機械のベッド上からムービングボルスタが離床するときキャリアの下面から突出し、または前記ベッド上に前記ムービングボルスタが着床するとき前記キャリアの下面に没入するプランジャと、
    前記プランジャを下方へ付勢する付勢部材と、
    前記プランジャが前記キャリア下面に没入するときの、前記プランジャの軸方向の動きによって、前記金型を前記ボルスタに対して係止させる係止部材と
    前記キャリアの下面から下方に向けて突没自在に設けられたロケートピンと、
    前記ロケートピンの上下動を前記プランジャに伝達するリンク機構とを備え、
    前記リンク機構は、上部が前記プランジャに取り付けられる第1リンク部材と、
    一端側に前記第1リンク部材の下部が軸着され、かつ他端側を中心に揺動する揺動リンク部材と、
    上部が前記揺動リンク部材の長手方向の途中位置に結合され、かつ下部が前記ロケートピンに取り付けられる第2リンク部材とを含んで構成されている
    ことを特徴とするプレス機械の金型クランプ機構。
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