JP4904627B2 - 溶液性状が良好な樹脂溶液組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリオレフィン系樹脂、例えばポリプロピレン,ポリエチレン,エチレンプロピレン共重合物,エチレンプロピレンジエン共重合物などの保護又は美粧を目的として用いられる塩素化ポリオレフィンの樹脂溶液組成物に関し、更にこれらのシートやフィルム及び成型物に対し優れた付着性や耐溶剤性等を示し且つ溶液性状が良好な、印刷インキ用のバインダー樹脂溶液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、被包装物の多様化、包装技術の高度化に伴い、各種プラスチックフィルムを包装材料に使用するにあたっては、プラスチックフィルムの装飾または表面保護のため印刷が施される。ここで使用されるインキにはこれら種々のプラスチックフィルムに対する高度な性能、品質が要求される。
【0003】
とりわけ、印刷インキに関しては包装容器の美粧化、高級化のために各種の複合フィルムに対する幅広い接着性、さらには各種の後加工適性、たとえばラミネート加工適性、ボイル適性、レトルト適性、等への対応も必要になってきている。
【0004】
近年、包装材料の高性能化のため、印刷後のドライラミネート加工、エクストリュージョンラミネート加工を施すことがある。強度や気密性に優れていることを利用し、特にポリエステルやナイロン等のフィルムはポリエチレンフィルムやポリプロピレン等でラミネート加工を施して積層化する。ラミネート加工方法として、ウレタン系等の接着剤を用いたドライラミネート加工、アンカーコート剤を用いたエクストリュージョンラミネート加工等がある。積層化においては、さらに中間にアルミニウム箔を介在させることもあり、ボイルレトルト加工が可能な包装材料とすることもある。また、レトルト加工までの強度は要求されないが、透明基材をベースとした包装材料分野においては延伸ポリプロピレンを基材とし、アンカーコート剤は使わずに直接溶融ポリプロピレンで被覆するラミネート加工方法(PPダイレクトラミネート)も行われている。
【0005】
かかる後加工を行うためには、その前段階で用いられる印刷インキに対し、種々の基材フィルムに対する接着性、印刷適性はもとより、それぞれの後加工に対する適性を具備していることが要求され、このような各種適性は印刷インキに使用されるバインダー樹脂によって主に決定される。特にポリオレフィンフイルムに対する優れた付着性及びPPダイレクトラミネート強度を有するため、塩素化ポリオレフィン及び塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体をそれぞれ単独又は併用しバインダーとした印刷インキが用いれる。しかし、一般にこれら塩素化ポリオレフィンは、溶媒としてトルエン等の芳香族溶剤が用いられている。
【0006】
ただし、重量平均分子量が30000未満の塩素化ポリオレフィンは、溶剤溶解性が良好で、極性溶媒にも単独で溶解し溶液性状も良好である。ただし、凝集力が低すぎるため、インキ粘度調整用の添加剤用途のみの使用に限られる。一方、重量平均分子量が30000以上の塩素化ポリオレフィンでは、エステル、ケトン等の極性溶媒等の溶媒に溶解しずらく、結果として溶剤はトルエン等の芳香族溶剤が用いられている。
【0007】
塩素化ポリオレフィンはトルエン等の芳香族溶剤以外には溶解しづらいことから、塩素化ポリオレフィンを主体とする印刷インキ用バインダー樹脂又は塗料用樹脂は、トルエン等の芳香族系溶剤を含有している。近年、作業環境問題が大きく取り上げられるようになり、印刷インキ又は塗料用樹脂に多く使用されている芳香族溶剤の削減が叫ばれている。特に、食品包装用フィルムの印刷物に関しては、印刷インキに残留する溶剤にも注目され、トルエン等の芳香族溶剤量低減が強く望まれている。上記記載の重量平均分子量が30000以上の塩素化ポリオレフィンでは、インキ用樹脂はすべて溶剤にトルエンを使用したものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、トルエン等の芳香族系溶剤を全く使用しなくても溶液性状が良好で、かつ保存安定性の優れた塩素化ポリオレフィンの樹脂溶液組成物及びそれを用いたインキ用樹脂溶液組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、(a)塩素含有率が5〜50重量%、重量平均分子量が30,000〜400,000である塩素化ポリオレフィンと、(b)炭素数が5〜9個の脂環式炭化水素からなり、且つ樹脂溶液組成物の固形分濃度が5〜40重量%であることを特徴とする溶液性状が良好な樹脂溶液組成物により上記問題点を解決するに至った。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における塩素化ポリオレフィンは、ポリオレフィン系基材フィルムに対し付着性を付与するための成分であり、塩素化アイソタクチックポリプロピレン、及び塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いることができる。さらに、塩素化ポリオレフィンを酸化変性、その他の成分でグラフト変性したものも用いることができる。
【0011】
本発明の塩素化アイソタクチックポリプロピレンの原料は、アイソタクチックポリプロピレン(結晶性ポリプロピレン)であり、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体の原料は、酢ビ含有量が5〜45モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、酢ビ含有量が5モル%未満では、本発明における溶剤に対する溶解性が低下し、かつ接着性も悪くなる。45モル%を越えると耐ブロッキング性が低下する。
【0012】
本発明に用いる塩素化ポリオレフィンの塩素含有率は塩素化前の原料ポリオレフィンの種類によって異なるが、5〜50重量%が最適である。塩素含有率が5重量%未満だと、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式溶剤などの本願発明における芳香族系溶剤以外の溶剤に対する溶解性が悪くなり、良好な低温流動性や溶液性状は得られない。又、塩素含有率が50重量%より高くなるとポリオレフィン系基材に対する付着性や耐溶剤性が悪くなるため好ましくない。
【0013】
本発明の塩素化ポリオレフィンの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されたポリスチレン樹脂を標準とした重量平均分子量30000〜400000のものが好ましい。30000未満であると、凝集力が低すぎ、添加剤用途のみの使用に限定され、400000を越えると本願発明における非芳香族系溶剤にも、芳香族系溶剤にも溶けづらく固形分が低くなり、実用上好ましくない。
【0014】
上記ポリオレフィンの塩素化は通常の反応方法で容易に実施できる。例えば原料ポリオレフィンを水又は四塩化炭素,クロロホルム等の媒体に分散又は溶解し、触媒の存在下あるいは紫外線の照射下において加圧又は常圧下に50〜120℃の温度範囲で塩素ガスを吹き込むことにより行われる。
【0015】
塩素化ポリオレフィンは通常トルエン溶液で扱われるが、本発明ではトルエンは一切使用しない。したがって、クロロホルム等溶媒中で塩素化して得た、塩素化ポリオレフィンのクロロホルム溶液は、エポキシ化合物等を添加した後スクリューシャフト部に脱溶剤用吸引部を備えたベント付き押出機に供給して固形化する。固形化の方法はすでに知られている公知の方法、例えば押出機の吹出口部分に水中カットペレタイザーを備えたベント付押出機、ベント付き押出機及びストランド状の樹脂をカットするペレタイザー等を使用して実施できる。
【0016】
本発明のバインダー樹脂溶液の溶剤は、炭素数が5〜9個の脂環式炭化水素、又は該脂環式炭化水素と炭素数4以上の極性溶媒の混合溶剤を用いる。
【0017】
本発明に用いられる炭素数が5〜9個の脂環式炭化水素とは、例えばシクロペンタン,メチルシクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサン,エチルシクロペンタン,ジメチルシクロペンタン,シクロヘプタン,エチルシクロヘキサン,ジメチルシクロヘキサン,メチルエチルシクロペンタン,トリメチルシクロペンタン,シクロオクタン,シクロノナン等で、分子中に1個の脂環式構造を有する炭化水素系溶剤のことを言う。又、これらの溶剤は単独もしくは2種以上混合して使用できる。脂環式炭化水素の炭素数は5〜9個が好ましい。炭素数が4以下だと沸点が低すぎるため、また炭素数が10以上だとカルボキシル基含有塩素化ポリオレフィンに対する溶解性が低下するため溶剤として適さない。
【0018】
本発明に用いられる極性溶剤とは、エステル系溶剤,ケトン系溶剤を言い、極性溶剤の炭素数は4以上が好ましい。炭素数4未満の極性溶媒は塩素化ポリオレフィンの溶解性が悪いため好ましくない。
【0019】
エステル系溶剤としては例えば、ギ酸プロピル,ギ酸ブチル,ギ酸ペンチル,酢酸エチル、酢酸プロピル,酢酸イソプロピル,酢酸ブチル,酢酸イソブチル,酢酸sec-ブチル,酢酸ペンチル,酢酸イソペンチル,3-メトキシブチルアセテート,酢酸sec-ヘキシル,2-エチルブチルアセテート,2-エチルヘキシルアセテート,酢酸シクロヘキシル,酢酸ベンジル,プロピオン酸エチル,プロピオン酸ブチル,プロピオン酸イソペンチル,2-メトキシエチルアセテート,2-エトキシエチルアセテート,2-ブトキシエチルアセテート,2-フェノキシエチルアセテート,ジエチレングリコールモノブチルアセテート,プロピレングリコールメチルエーテルアセテート,3-メチル-3-メトキシブチルアセテート,プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等が挙げられ、これらの溶剤は単独もしくは2種以上混合して使用しても差し支えない。
【0020】
ケトン系溶剤としては例えば、メチルエチルケトン,2-ペンタノン,3-ペンタノン,2-ヘキサノン,メチルイソブチルケトン,2-ヘプタノン,4-ヘプタノン,ジイソブチルケトン,アセトニルアセトン,イソホロン,シクロヘキサノン,メチルシクロヘキサノン等が挙げられ、これらの溶剤は単独もしくは2種以上混合して使用しても差し支えない。
【0021】
脂環式炭化水素と極性溶剤の混合溶剤を用いる場合、最適な重量混合比率は90/10〜10/90であり、この範囲で使用することにより、溶液性状が良好で、かつ低温流動性や経時的に粘度安定した良好なバインダー樹脂溶液が得られる。特に、脂環式炭化水素が10重量%未満では、溶液性状の外観が白濁又は場合により2相分離が発生し、芳香族溶媒に溶解した樹脂溶液組成物に比べ、インキ又は塗料物性が不十分となる。
【0022】
又、本発明における溶剤に対して該溶剤以外の溶剤(例えばエーテル系溶剤等)が混入した場合、少量であれば本発明の効果を減少させることはないが、大量に混入した場合は効果を減少させることがある。効果を減少させる混入量は混入溶剤の性質により異なるが、本発明を実施する上では本発明溶剤系が90重量%以上含有する必要がある。
【0023】
本発明のバインダー樹脂溶液を製造する場合、上記した塩素化ポリオレフィン類を乾固した後、上記溶剤に溶解しても良いが、塩素化反応が終了した後、クロロホルム等の塩素化反応溶媒を留去し、該溶剤と置換しても良い。又は、塩素化反応が終了した時点で、スクリューシャフト部に脱溶剤用吸引部を備えたベント付き押出機に供給して固形化した後、該溶媒に溶解しても良い。固形化の方法は既に知られている公知の方法、例えば押出機の吹出口部分に水中カットペレタイザーを備えたベント付押出機、及びストランド状の樹脂をカットするペレタイザー等を使用できる。
【0024】
又、本発明におけるバインダー樹脂溶液の固形分濃度は5〜40重量%が好ましい。5重量%未満だとインキや塗料に加工するさい顔料分散が困難になったり、輸送コストが高くなる等の問題が生ずる。40重量%を越えると溶液性状、特に低温流動性が悪くなり、冬期の低温時における取扱い作業に大きな制限が加わるため好ましくない。
【0025】
本発明の樹脂溶液組成物は、そのままコーティングして用いても、塗料、インキ用バインダー樹脂として用いても良いが、顔料,溶剤,その他の添加剤を加え混練,分散し塗料やインキとして用いることが出来る。又、該バインダー樹脂はそれだけでバランスの取れた塗膜物性を示すが、必要であれば、本発明の効果を阻害しない範囲で、アルキッド樹脂,アクリル樹脂,ポリアクリルポリオール,ポリエステル樹脂,ポリエステルポリオール,ポリエーテル樹脂,ポリエーテルポリオール,ポリウレタン樹脂,塩素化ポリオレフィン等を更に添加して用いても差し支えない。
【0026】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
(試作例−1)
エチレン-酢酸ビニル共重合体(以下EVAと略す。酢酸ビニル含量14モル%,塩素含有率30%,数平均分子量5万)300gをグラスライニングされた反応釜に投入し、5Lのクロロホルムを加え、2kg/cm2の圧力下、紫外線を照射しながら塩素ガス及び酸素ガスを吹き込み塩素含有率が28wt%まで塩素化した。反応終了後、安定剤としてエピコート828(油化シェルエポキシ(株)製)を15g添加し、スクリューシャフト部に脱溶剤用吸引部を備えたベント付き押出機に供給して、脱溶剤し固形化した。その際、ブロッキング防止剤としてステアリン酸(日本油脂(株)製)を対樹脂0.5%添加した。得られた塩素化EVAの重量平均分子量は280,000であった。
【0028】
(試作例-2)
数平均分子量が30000であるアイソタクチックポリプロピレン300gをグラスライニングされた反応釜に投入し、5Lのクロロフォルムを加え、2kg/cm2の圧力下、紫外線を照射しながら塩素ガス及び酸素ガスを吹き込み塩素含有率が30wt%まで塩素化した。反応終了後、安定剤としてエピコート828(油化シェルエポキシ(株)製)を18g添加し、スクリューシャフト部に脱溶剤用吸引部を備えたベント付き押出機に供給して、脱溶剤し固形化した。その際、ブロッキング防止剤としてハイドロタルサイト類化合物(商品名 DHT-4A、協和化学(株)製)を対樹脂0.5%添加した。得られた塩素化ポリプロピレンの重量平均分子量は200,000であった。
【0029】
(試作例−3)
160℃における溶融粘度が約200mPa・sであるアイソタクチックポリプロピレン(数平均分子量4000)300gをグラスライニングされた反応釜に投入し、5Lのクロロフォルムを加え、2kg/cm2の圧力下、紫外線を照射しながら塩素ガス及び酸素ガスを吹き込み塩素含有率が42wt%まで塩素化した。反応終了後、安定剤としてエピオールSB(日本油脂(株)製)を18g添加し、スクリューシャフト部に脱溶剤用吸引部を備えたベント付き押出機に供給して、脱溶剤し固形化した。得られた塩素化ポリプロピレンの重量平均分子量は20000であった。
【0030】
上記試作例1〜3の使用原料及び塩素化後の一般分析値を表1に示す。
【0031】
【表1】
表1 試作例使用原料及び塩素化ポリオレフィンの物性
Figure 0004904627
【0032】
[実施例1〜8及び比較例1〜3]
試作例1で得た塩素化EVAを脂環式炭化水素と極性溶剤の混合溶剤、又は芳香族炭化水素に溶解した。表2に一般物性を示した。表2の結果から、極性溶剤単独では溶解性は良くないが、脂環式炭化水素と極性溶剤の混合溶剤を使用する事により、トルエン溶液と同様に、低温安定性も含め溶液性状が良好になることが分かる。
【0033】
【表2】
表2 試作例1の溶剤溶解性結果
Figure 0004904627
1)MCH:メチルシクロヘキサン、ECH:メチルシクロヘキサン、MIBK:メチルイソブチルケトン
2)極性溶媒/脂環式炭化水素
3)目視により判定。
判定基準 ◎:クリア、○:僅かに白濁、×:白濁又は2相分離
4)B型粘度計で測定
5)判定基準 ○:流動性に変化なし。
【0034】
[実施例9〜15及び比較例4〜7]
試作例2で得た塩素化ポリプロピレンを脂環式炭化水素、脂環式炭化水素と極性溶剤の混合溶媒、又は芳香族炭化水素に溶解した。表3に一般物性を示した。下表結果から、極性溶媒単独では溶解性は良くないが、脂環式炭化水素を添加する事により、低温安定性も含め溶液性状が良好になることが分かる。
【0035】
【表3】
表3 試作例2の溶剤溶解性結果
Figure 0004904627
1)MCH:メチルシクロヘキサン、ECH:メチルシクロヘキサン、MIBK:メチルイソブチルケトン
2)極性溶媒/脂環式炭化水素
3)目視により判定。
判定基準 ◎:クリア、○:僅かに白濁、×:白濁又は2相分離
4)B型粘度計で測定
5)判定基準 ○:流動性に変化なし。
【0036】
[実施例16〜17、比較例8〜9]
・セロテープ剥離試験
表4に示す配合割合で、塩素化EVA溶液と塩素化ポリプロピレン溶液を混合した。
次に、上記3種類の混合液及び試作例3で得られた塩素化ポリプロピレンのトルエン溶液を、コーティングロッド#10で、未処理ポリプロピレンフイルム(以下未処理PPフイルム)、コロナ放電処理ポリプロピレンフイルム(以下処理PPフイルム)、ポリエチレンテレフタレートフイルム(以下、PETフイルム、東洋紡(株)製)に各々塗工して、24時間室温で乾燥後セロファンテープ(ニチバン(株)製)をコーティング面に貼り付け、一気に剥がした時のコーティング面の接着性の良否を確認した。
結果を表4に示すように、重量平均分子量が30000以上の塩素化ポリオレフィンを使用した樹脂は、いずれの溶媒組成においても評価は良好である。
【0037】
【表4】
表4 セロテープ剥離試験結果
Figure 0004904627
【0038】
[実施例18〜19、比較例10]
・インキ試験
表6に示すように、実施例16、17、比較例8で使用した塩素化EVA溶液、塩素化PP溶液をバインダーとしたインキを調製した。表5にインキの配合表、表6にインキ物性結果を示す。
【0039】
【表5】
表5 配合表
Figure 0004904627
1)石原産業(株)製
2)東洋インキ製造(株)製
【0040】
上記配合にて、サンドミルを用いて2時間混練した後、未処理PP、処理PP、及びPETフイルムに#10のコーティングロッドで塗工した。その後、24時間室温乾燥後セロテープ剥離、ヒートシール強度、光沢度を測定した。結果を表6に示す。
【0041】
【表6】
表6 インキ物性試験結果
Figure 0004904627
【0042】
・セロテープ剥離:塗工して、24時間室温で乾燥後セロファンテープ(ニチバン(株)製)をコーティング面に貼り付け、一気に剥がした時のコーティング面の接着性の良否を確認した。
・ヒートシール強度:塗工面を重ね合わせて、110℃,2kg/cmで10秒の圧着条件でヒートシールを行い、24時間後にテンシロンにて180°剥離試験を行った(引張速度 100mm/min)。
・光沢 :60°鏡面反射
【0043】
表6から明らかなように、極性溶剤と脂環式炭化水素を混合した塩素化ポリオレフィン樹脂溶液は、トルエンに溶解したものと同様の良好なインキ物性を示すことがわかる。
【0044】
【発明の効果】
本発明により、使用溶媒に脂環式炭化水素、又は該脂環式炭化水素とエステル・ケトン系の極性溶媒の混合溶剤を用いることにより、外観、溶液性状及び付着性、保存安定性、低温流動性、インキ用バインダー樹脂適性の優れた塩素化ポリオレフィンの樹脂溶液組成物を得ることができる。本発明の塩素化ポリオレフィン樹脂溶液組成物は、芳香族溶剤を使用しないので、環境的にも優れている。

Claims (4)

  1. (a)塩素含有率が5〜50重量%、重量平均分子量が30,000〜400,000である塩素化ポリオレフィンと、(b)炭素数が5〜9個の脂環式炭化水素と炭素数4以上である極性溶剤を1種又は2種以上混合した溶剤からなり、且つ樹脂溶液組成物の固形分濃度が5〜40重量%であることを特徴とする溶液性状が良好な樹脂溶液組成物。
  2. (b)成分において、脂環式炭化水素と極性溶剤の混合割合が、90/10〜10/90(重量比)である請求項記載の溶液性状が良好な樹脂溶液組成物。
  3. (a)成分の原料が、アイソタクチックポリプロピレン又はエチレン−酢酸ビニル共重合体である請求項1〜いずれか1項記載の溶液性状が良好な樹脂溶液組成物。
  4. 請求項1〜いずれか1項記載の樹脂溶液組成物を用いた印刷インキ用バインダー樹脂。
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