JPH09137006A - ゴム用プライマー組成物およびプライマー層を有する成形体 - Google Patents

ゴム用プライマー組成物およびプライマー層を有する成形体

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JPH09137006A
JPH09137006A JP7322319A JP32231995A JPH09137006A JP H09137006 A JPH09137006 A JP H09137006A JP 7322319 A JP7322319 A JP 7322319A JP 32231995 A JP32231995 A JP 32231995A JP H09137006 A JPH09137006 A JP H09137006A
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JP
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rubber
acid
primer composition
polyester
base material
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Application number
JP7322319A
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English (en)
Inventor
Shizuo Kitahara
静夫 北原
Shinya Ikeda
新也 池田
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴム基材との密着性に優れ、且つ、塗装によ
って形成される塗膜との密着性に優れたプライマー層を
形成することができるプライマー組成物を提供する。 【解決手段】 水素原子とヘテロ原子とを含む極性基を
分子中に少なくとも3個有する重量平均分子量が1,0
00〜1,000,000の油溶性ポリエステルおよび
有機溶剤を含んでなるゴム用プライマー組成物。ゴム基
材表面に該プライマー組成物からなるプライマー層が形
成された成形体、およびその塗装品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム用プライマー
組成物に関し、さらに詳しくはα−オレフィン共重合ゴ
ムなどのゴム基材に対し良好な密着性を発現する油溶性
ポリエステルを含んでなるプライマー組成物に関する。
さらに、本発明は、ゴム基材表面上に上記ゴム用プライ
マー組成物の層が形成されてなる成形体、および、その
ような成形体のプライマー層表面上に塗膜が形成された
塗装成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のとおり、エチレン−プロピレン系
ゴムは優れた諸物性を有し、比較的安価なことから広く
用いられているが、分子内に極性基がないために、塗膜
の付着性が低く、実用的な接着強度が得られないという
問題を有している。さらに、加硫物との相互、もしくは
金属、プラスチックなどの他の物質との接着に際しても
同様な理由から接着が難しいことが知られている。
【0003】従来、このような欠点に対し、(1)サン
ドペーパーなどで表面を研磨する、(2)紫外線照射を
行う、(3)リン酸やアルデヒド類で薬品処理する、
(4)塩素化ポリプロピレンとエチレンジアミンとの混
合物などのプライマーで処理するなどの方法が知られて
いるが、作業環境上の問題および作業工程が煩雑なわり
には塗料の密着性または接着性が必ずしも充分とは言え
なかった。また、特公昭60−23779号公報には、
水添ポリヒドロキシポリブタジエンとエチレン−プロピ
レン系共重合体とからなるプライマー組成物に関する技
術が開示されているが、ゴムマトリックスとのアンカー
効果の点で充分でなく、特に剥離強度が必ずしも充分と
は言えなかった。
【0004】従来、かかるプライマーとしては、例え
ば、スチレン・ブタジエンブロック共重合体に水酸基を
有するα,β−不飽和ビニル単量体をグラフト共重合し
たものを主成分とするプライマー組成物(特開平2−1
10168号公報)、およびスチレン・イソプレンブロ
ック共重合体にモノオレフィンジカルボン酸などをグラ
フト共重合したものを主成分とするプライマー組成物
(特開平4−264174号公報)などが知られてい
る。しかしながら、これらの変性ブロック共重合体を主
成分とするプライマー組成物では、基材上に適用するに
先立って、トリクロロエタンなどの塩素系溶剤を用いて
蒸気洗浄するなどの前処理を基材に施す必要があり、近
年の地球環境保護の立場から改善が求められている。
【0005】塩素系溶剤による前処理を必要としないプ
ライマー組成物としては、例えば、スチレン・イソプレ
ン・スチレンのブロック共重合体に水酸基を有するエチ
レン性不飽和単量体をグラフト共重合させたものを主成
分とするプライマー組成物が知られている(特開平6−
329977号公報)。しかしながら、この組成物で
は、基材に対するアンカー効果が十分でなく、基材との
付着性が十分でないなどの問題点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ゴム
基材、特にα−オレフィン共重合ゴムなどの極性が小さ
いゴム材料からなる基材であっても、その表面に特殊な
前処理を施すことなく、ゴム基材との密着性に優れたプ
ライマー層を形成することができ、しかも、塗装によっ
て、その表面上に密着性に優れた塗膜を形成することが
できるゴム用プライマー組成物を提供することにある。
さらに、他の目的は、塗装によって、その表面上に密着
性に優れた塗膜を形成することができる、ゴムを基材と
する成形体、ならびにそのような成形体の塗装品を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、水素原
子とヘテロ原子とを含む極性基を分子内に少なくとも3
個有する重量平均分子量が1,000〜1,000,0
00の油溶性ポリエステルおよび有機溶剤を含んでなる
ゴム用プライマー組成物が提供される。本発明に従え
ば、さらに、ゴム基材と該基材の表面上に形成された上
記ゴム用プライマー組成物からなるプライマー層とから
構成されてなる成形体が提供される。本発明に従えば、
さらに、ゴム基材と該基材表面上に形成された上記ゴム
用プライマー組成物からなるプライマー層、および該プ
ライマー層表面上に形成された塗膜とからなる塗装成形
体が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。ポリエステル 本発明で使用するポリエステルは、水素原子とヘテロ原
子とを含む極性基を分子内に少なくとも3個有すること
を特徴とする。極性基としては、少なくとも一つの水素
原子と少なくとも一つのヘテロ原子とを有するものであ
れば、特に限定されない。ヘテロ原子としては、周期律
表の第2周期ないし第4周期で且つ第5B族または第6
B族に属する原子が挙げられ、具体的には、例えば、酸
素原子、窒素原子、硫黄原子などが挙げられ、好ましく
は酸素原子である。かかる水素原子とヘテロ原子とを有
する極性基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボ
キシル基、アミノ基、チオール基などが挙げられる。こ
れらの中でもヒドロキシル基およびカルボキシル基が好
ましく、ヒドロキシル基が特に好ましい。
【0009】かかる水素原子とヘテロ原子とを含む極性
基は、ポリエステル分子内に少なくとも3個存在するこ
とが必要で、3個未満では塗料などとの接着性が低下し
好ましくない。極性基含有量の最大値は、ポリエステル
が油溶性でなくならない範囲で適宜選択されればよく、
特に限定はされない。油溶性とは、水に溶けない性質で
ある。使用するポリエステルが油溶性でなくなると、基
材とのアンカー効果に劣り、付着性が充分でなくなり好
ましくない。
【0010】水素原子とヘテロ原子とを含む極性基がヒ
ドロキシル基またはカルボキシル基の場合は、ポリエス
テル中のその含有量を水酸基価または酸価で表示でき、
その値は、ポリエステルの分子量によって適宜選択でき
るが、水酸基価と酸価との和が、通常10〜200mg
KOH/g、好ましくは20〜150mgKOH/g、
より好ましくは40〜120mgKOH/gの範囲であ
る。
【0011】ポリエステルの分子量は、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリ
スチレン換算重量平均分子量(Mw)で、1,000〜
1,000,000、好ましくは2,000〜500,
000、より好ましくは3,000〜100,000の
範囲である。ポリエステルの分子量が過度に小さくて
も、過度に大きくとも基材へのアンカー効果が充分でな
く、付着性および剥離強度に劣り好ましくない。
【0012】本発明で使用するポリエステルの製造法
は、特に制限されないが、例えば、(A)二価の高級カ
ルボン酸成分、(B)二価のアルコール成分ならびに
(C)三価以上のカルボン酸、三価以上のアルコールお
よびエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物から選
ばれる少なくとも一種の三価以上の多価成分を、
(A)、(B)両成分の合計量に対して(C)成分を1
〜80モル%の割合で縮重合して得ることができる。
【0013】二価の高級カルボン酸(A)としては、炭
素数が通常8個以上、好ましくは10〜200個、より
好ましくは20〜80個のものが用いられる。カルボン
酸中の炭素数がこの範囲にある時に、基材とのアンカー
効果、付着強度などが充分高くなり好適である。
【0014】かかる2価の高級カルボン酸は、例えば、
直鎖状、分岐状、環状および芳香族などのいずれであっ
てもよく、その具体例としては、スベリン酸、アゼライ
ン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、メチルイソフタル
酸、セバシン酸、ブラシル酸、ポリアルキレン琥珀酸、
重合脂肪酸のダイマー酸などが挙げられ、これらの中で
も、ポリアルキレン琥珀酸および重合脂肪酸のダイマー
酸から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、
特に重合脂肪酸のダイマー酸が好ましい。
【0015】重合脂肪酸は、高級脂肪酸を重合したもの
であって、通常炭素数が8〜24、好ましくは16〜2
0の飽和または少なくとも一つの不飽和結合を有する脂
肪族またはそれらの脂肪族エステル誘導体を重合して得
られる重合酸の総称である。市販されている重合脂肪酸
は、オレイン酸、リノール酸、リシノレイン酸、エレオ
ステアリン酸などを重合したものであり、ダイマー酸を
主成分とし、トリマー酸以上のポリマー酸とモノマー酸
を副成分として含有しているものである。重合脂肪酸の
構造解析は、D.H.Mcmahonらにより報告され
ている(J.Am.Oil.Chem.Soc.,
,522(1974))。重合生成物は蒸留法または
溶媒抽出法により各成分の含有量が異なる重合脂肪酸に
分別することができる。また、これらの重合脂肪酸中に
残存する不飽和炭素−炭素結合に水素添加することによ
り、熱酸化安定性の良い水素化重合脂肪酸を得ることも
できる。本発明においては、未精製重合脂肪酸、精製重
合脂肪酸または水素化重合脂肪酸も使用することがで
き、好ましくは、60重量%以上のダイマー酸成分を含
む精製重合脂肪酸もしくはその水素化物が使用される。
【0016】またポリアルキレン琥珀酸は、一般式
(1) (式中のR1は、低級アルキレンの重合体鎖である。)
で表される。R1は、低級アルキレンの重合体鎖であっ
て、好ましくは低級アルキレンがエチレン、プロピレン
およびブチレンから選ばれた少なくとも1種である。ポ
リアルキレン琥珀酸の重合度は好ましくは10〜300
の範囲である。
【0017】二価のアルコール(B)としては、ポリエ
ステルの合成反応に一般に使用されるものであれば特に
制限されないが、例えば、アルカンジオール類、シクロ
アルカンジオール類、ポリオキシアルキレングリコール
類、エステルジオール類、ヒンダードグリコール類など
が挙げられる。これらの中では、アルカンジオール類、
ポリオキシアルキレングリコール類およびヒンダードグ
リコール類が好ましく、特にアルカンジオール類および
ヒンダードグリコール類が好ましい。これらはそれぞれ
単独で、または2種以上を併用して使用することができ
る。
【0018】アルカンジオール類としては、例えば、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブ
タンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオー
ルなどが挙げられる。これらの中でも、1,6−ヘキサ
ンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、
1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールな
どの炭素数6〜9のアルカンジオールが好ましい。
【0019】シクロアルカンジオール類としては、シク
ロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,
2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シ
クロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−
1,4−ジメタノール、シクロオクタン−1,4−ジオ
ールなどが挙げられる。
【0020】ポリオキシアルキレングリコール類として
は、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレンなど
の酸化アルキレンの単独または混合物を公知の方法で重
合することにより得られるジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ
エチレンプロピレングリコール、ポリブチレングリコー
ルなどが挙げられ、例えば、一般式(2) HO−((CH2m−CHR2O)n−H (2) で表さわれる。ここで、R2は、水素原子またはメチル
基、エチル基などの低級アルキル基を示し、好ましくは
水素原子である。mは1〜6の整数を示し、好ましくは
1〜4の整数である。nは2〜1,000の整数を示
し、好ましくは5〜500、より好ましくは10〜10
0の整数である。
【0021】エステルジオール類としては、例えば、特
開平6−116372号公報に開示されるβープロピオ
ラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、
δ−バレロラクトンなどのラクトンとエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
テトラエチレングリコールなどの(ポリ)アルキレング
リコールの開環生成物が挙げられ、例えば、一般式
(3) HO−(R3−COO−G)p−H (3) で表される。ここで、R3は、アルキレン基を示し、そ
の炭素数は2〜6である。pは、2〜1,000の整数
を示し、好ましくは5〜500、より好ましくは10〜
100の整数である。Gは、−(CH2CHR4O)q
基を示し、式中のqは1〜4の整数で、R4は水素原子
またはメチル基、エチル基などの低級アルキル基を示
す。
【0022】ヒンダードグリコール類としては、例え
ば、一般式(4) HOCH2−C(R56)−CH2OH (4) で表されるものが挙げられる。ここで、R5およびR6
アルキル基を示す。アルキル基の炭素数は、特に制限は
ないが、通常1〜50個、好ましくは1〜20個、より
好ましくは2〜10個である。かかるヒンダードグリコ
ールの具体例としては、例えば、2,2−ジメチル−
1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3
−プロパンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プ
ロパンジオール、2,2−ジイソプロピル−1,3−プ
ロパンジオール、2,2−ジイソブチル−1,3−プロ
パンジオール、2−メチル−2−ドデシル−1,3−プ
ロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プ
ロパンジオール、2−プロピル−2−ペンチル−1,3
−プロパンジオールなどが挙げられる。
【0023】本発明においては、上記二価高級カルボン
酸成分(A)および上記二価アルコール成分(B)に加
えて、三価以上のカルボン酸、三価以上のアルコールお
よびエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物から選
ばれる少なくとも一種(C)を使用する。
【0024】三価以上のカルボン酸としては、三個以上
のカルボキシル基を有するものであれば格別限定されな
いが、通常は三価のカルボン酸が用いられる。三価以上
のカルボン酸の具体例としては、例えば、トリメリット
酸、トリカルバリル酸、カンホロン酸、トリメシン酸、
重合脂肪酸のトリマー酸などが挙げられる。これらの中
で、トリメシン酸、重合脂肪酸のトリマー酸などが好ま
しく、重合脂肪酸のトリマー酸が特に好ましい。
【0025】三価以上のアルコールとしては、三個以上
のヒドロキシル基を有するものであれば格別限定されな
い。三価以上のアルコールの具体例としては、例えば、
グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、ソ
ルビトール、グルコース、マンニトール、ショ糖、ブド
ウ糖などが挙げられる。
【0026】また、三価以上のアルコールとして、一般
式(5) HOCH2−C(R78)−CH2OH (5) で表される三価以上のヒンダードアルコールを用いるこ
とができる。式中のR7、R8はそれぞれ独立してアルキ
ル基またはヒドロキシル基を有するアルキル基を示し、
7、R8の少なくとも一つはヒドロキシル基を有するア
ルキル基である。ここで、アルキル基の炭素数は、特に
制限はないが、通常1〜50個、好ましくは1〜20
個、より好ましくは2〜10個である。かかる三価以上
のヒンダードアルコールの具体例としては、例えば、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメ
チロールブタン、ペンタエリスリトールなどが挙げられ
る。
【0027】これらの三価以上のアルコールは、それぞ
れ単独で、または二種以上を混合して用いることができ
るが、三価以上のアルコール成分中に三価以上のヒンダ
ードアルコールを少なくとも10モル%、好ましくは2
0〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%
含有するものが好適である。
【0028】エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合
物としては、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有
する化合物であれば格別限定されないが、例えば、重合
脂肪酸のダイマー酸グリシジルエステル、ビスフェノー
ルAのグリシジルエーテル、ビスフェノールFのグリシ
ジルエーテル、脂肪族二塩基酸のグリシジルエーテルな
どが挙げられる。
【0029】かかる(C)成分は、それぞれ単独で、ま
たは2種以上を混合して使用することができ、その使用
量は、二価のカルボン酸成分(A)と二価のアルコール
成分(B)の合計量に対して1〜80モル%、好ましく
は5〜60モル%、より好ましくは10〜40モル%で
ある。(C)成分の使用量が過度に少ないと水酸基価あ
るいは酸価が十分でなく、逆に、過度に多いと縮重合反
応の制御が困難となり、いずれも好ましくない。
【0030】また、本発明の目的を損なわない範囲であ
れば、カルボン酸成分中に二価の高級カルボン酸(A)
と三価以上のカルボン酸成分(C)の他にその他のカル
ボン酸、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
マレイン酸、イタコン酸、ピメリン酸、メチルマロン
酸、ジメチルマロン酸などの二価低級カルボン酸;蟻
酸、酢酸、酪酸、2−メチルプロパン酸、吉草酸、イソ
オクチル酸、イソノナン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、
アラキン酸、リノール酸、オレイン酸、エライジン酸な
どの一価カルボン酸など、また、アルコール成分中に二
価のアルコール成分(B)と三価以上のアルコール成分
(C)の他にその他のアルコール、例えば、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ネオ
ペンチルアルコール、3−メチル−3−ペンタノール、
3−エチル−3−ペンタノール、2,3,3−トリメチ
ル−2−ブタノール、1−デカノール、ノニルアルコー
ルなどの一価アルコールなどを併用してもよい。一般に
その許容量は、それぞれ、全カルボン酸成分または全ア
ルコール成分中の30モル%以下である。
【0031】カルボン酸成分とアルコール成分の割合
は、所望するポリエステルの分子量または水酸基価(ま
たは酸価)に合わせて適宜選択すればよいが、例えば、
OH/COOH(当量)比で、通常1.1〜3.0、好
ましくは1.15〜2.5、より好ましくは1.2〜
2.0の範囲で、またはCOOH/OH(当量)比で
1.1〜3.0、好ましくは1.15〜2.5、より好
ましくは1.2〜2.0の範囲である。
【0032】本発明で使用するポリエステルは、上記
(A)成分、(B)成分、(C)成分、およびその他の
任意成分であるカルボン酸およびアルコール成分を縮重
合反応して得ることができる。縮重合反応は、常法に従
えばよく、例えば反応温度が100〜300℃、好まし
くは150〜280℃で行われ、特に不活性ガスの存在
下で行うのが好ましい。必要に応じて、トルエン、キシ
レンなどの水と共沸する非水溶性の有機溶媒を使用して
もよく、また反応を減圧下で行ってもよい。また、エス
テル化縮重合反応時には、通常、エステル化触媒とし
て、パラトルエンスルホン酸、硫酸、三フッ化ホウ素錯
体、リン酸、塩酸、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、
亜鉛、チタン、スズおよびアルキルチンオキサイド、酸
化チタンなどの種々の金属酸化物などが用いられるが、
得られたポリエステルの耐酸化安定性の点で金属酸化物
を使用するのが好ましい。
【0033】プライマー組成物 本発明のポリエステルを有効成分とするプライマー組成
物は、上記油溶性ポリエステルとともに有機溶剤を含
む。有機溶剤は、通常のプライマー組成物に使用される
ものであれば特に限定はされず、使用するポリエステル
およびバインダーゴムの種類に応じて適宜選定される。
その具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンな
どの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロ
ヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロ
ペンタン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素類;エ
タノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール
類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど
のケトン類などが挙げられる。これらの中でも芳香族炭
化水素類、脂環式炭化水素類、エステル類、ケトン類な
どが好ましく、芳香族炭化水素類が特に好ましい。
【0034】これらの有機溶剤は、それぞれ単独で、ま
たは二種以上を併用して使用され、その使用量は、ポリ
エステル100重量部に対して、通常10〜10,00
0重量部、好ましくは50〜5,000重量部、より好
ましくは100〜1,000重量部の割合である。有機
溶剤の使用量が上記範囲にある場合に、作業性および塗
膜安定性に優れ好適である。
【0035】本発明のゴム用プライマー組成物には、基
材への密着性および塗料やインキの付着性を改善するた
めにバインダーゴムを添加することができる。バインダ
ーゴムは、特に限定されることはなく、基材ゴムの種類
に応じて適宜選べばよい。一般には、バインダーゴムと
しては、α−オレフィン系共重合ゴムが好ましく用いら
れる。
【0036】α−オレフィン共重合ゴムの製造に用いら
れるα−オレフィンは、末端に炭素−炭素二重結合を有
するオレフィン類で、その具体例としては、エチレン、
プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−
1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−
1−ペンテンなどが挙げられるが、これらに限定されな
い。
【0037】α−オレフィン系共重合ゴムとしては、上
記α−オレフィンを含有するゴム状重合体であれば特に
制限はされないが、例えば、2種以上のα−オレフィン
の共重合体ゴム、α−オレフィンと他の重合性単量体と
の共重合ゴムなどがあげられる。共重合ゴム中のα−オ
レフィン量は、特に制限されないが、通常50〜100
重量%、好ましくは60〜100重量%、より好ましく
は80〜100重量%の範囲である。他の重合性単量体
としては、特に限定はされないが、例えば共役ジエンや
非共役ジエンなどが挙げられる。共役ジエンとしては、
例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペン
タジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、
1,3−ヘキサジエンなどが挙げられ、これらの中で
も、1,3−ブタジエンおよびイソプレンなどが好まし
い。非共役ジエンとしては、例えば、エチリデンノルボ
ルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン
などが挙げられ、これらの中でもエチリデンノルボルネ
ン、ジシクロペンタジエンなどが好ましい。これら重合
性単量体の共重合体中での含有量は、通常50〜0重量
%、好ましくは40〜0重量%、より好ましくは20〜
0重量%である。
【0038】α−オレフィン系共重合ゴムの具体例とし
ては、例えば、エチレン−炭素数3以上のα−オレフィ
ン共重合ゴムなどの2種以上のα−オレフィン共重合ゴ
ム;エチレン−炭素数3以上のα−オレフィン−非共役
ジエン共重合ゴムなどの2種以上のαオレフィンと非共
役ジエンの共重合ゴム;α−オレフィン−共役ジエン共
重合ゴム;およびそれらの塩素化物、クロロスルフォン
化物、無水マレイン酸付加物などの変性ゴムなどが挙げ
られる。エチレン−炭素数3以上のα−オレフィン−非
共役ジエン共重合ゴムの非共役ジエンとしては、前記α
−オレフィン系共重合ゴムについて例示したものが用い
られる。α−オレフィン−共役ジエン共重合ゴムとして
は、例えば、イソブテンが90〜99.5重量%、イソ
プレンが0.5〜10重量%を共重合体したブチルゴム
などが挙げられる。
【0039】好ましいα−オレフィン系共重合ゴムとし
ては、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−ブ
テン−1共重合ゴム、エチレン−プロピレン−エチリデ
ンノルボルネン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジ
シクロペンタジエン共重合ゴムなどが挙げられる。エチ
レンとプロピレンとの重量比が90:10〜20:80
の範囲にあるエチレン−プロピレン共重合ゴムおよび非
共役ジエン含有量3〜15重量%のエチレン−プロピレ
ン−非共役ジエン共重合ゴムが特に好ましい。
【0040】上記のバインダーゴムは、それぞれ単独
で、または2種以上を併用して使用することができ、そ
の使用量は、本発明のポリエステル100重量部に対し
て、通常10〜150重量部、好ましくは20〜100
重量部、より好ましくは30〜70重量部の範囲であ
る。
【0041】さらに本発明のゴム用プライマー組成物に
は、必要に応じて、その他の添加剤を添加することがで
きる。その他の添加剤としては、特に制限はなく、例え
ば、酸化防止剤、耐候安定剤、耐熱防止剤、紫外線安定
剤、紫外線防止剤などの各種安定剤;酸化チタン、亜鉛
華、鉛白、鉛丹、亜酸化銅、鉄黒、カドミウムイエロ
ー、モリブデンレッド、銀朱、黄鉛、酸化クロム、紺
青、カーボンブラック、硫酸バリウム、アルミナホワイ
ト、ホワイトカーボンなどの無機顔料、有機顔料などの
着色剤;フェライトなどの導電性付与剤;炭酸カルシウ
ム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシ
ウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸
マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウ
ム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウ
ム、マイカ、ドロマイト、シリカ、クレー、タルク、カ
ーボンブラック、酸化亜鉛、ガラス繊維などの無機充填
剤;ハロゲン化スクシンイミド、ハロゲン化イソシアヌ
ル酸、ハロゲン化ヒダントインなどの有機活性ハロゲン
化合物;補強剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、
オイルなどの各種添加剤が挙げられ、これらは単独また
は併用して添加することができる。これらの添加量は、
本発明の効果を損なわない範囲で適宜決められる。
【0042】基材 本発明のプライマー組成物は、各種のゴム基材表面への
塗料の付着性を改善するために用いられる。ゴム基材と
しては、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、回
転成形などの公知の成形法によって成形された任意の成
形体が用いられる。また、合成樹脂などの有機材料また
は金属その他無機材料の成形体表面にゴム被覆層が形成
されてなる基材であってもよい。
【0043】基材自体または表面被覆層を構成するゴム
は、格別限定されるものではなく、通常ゴム工業で一般
に使用されるものを用いることができる。具体的には、
例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエ
ンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−
イソプレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジ
エン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、
スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−
イソプレンブロック共重合ゴム、アクリロニトリル−ブ
タジエン共重合ゴム、クロロプレンゴムなどの共役ジエ
ン系重合ゴム;塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホ
ン化ポリエチレンゴムなどの変性ポリエチレンゴム;α
−オレフィン系共重合ゴム;シリコーンゴムなどが挙げ
られる。これらの中でも、主鎖の炭素−炭素二重結合量
が少ない、例えばヨウ素価が100以下、好ましくは1
〜50、より好ましくは5〜35のゴム成分が好適であ
る。これらの中でも変性ポリエチレンゴム、α−オレフ
ィン系共重合ゴム、シリコーンゴムなど、特にα−オレ
フィン系共重合ゴムは、本発明の改質効果が顕著に発現
するので好ましい。α−オレフィン系共重合ゴムとして
は、プライマー組成物中に配合されるバインダーゴムに
ついて説明したものと同様なα−オレフィン系ゴムを用
いることができる。これらの基材としてのゴムは単独
で、または2種以上を組合わせて用いることができる。
【0044】本発明のプライマー組成物を適用するゴム
基材成形品の具体例としては、ウエザーストリップやガ
ラスランなどの自動車用外装材、防水マット、止水グロ
メット、ゴルフボール、産業用ロール、導電ロール、各
種塗装パッキン、建築用ウエザーストリップなどが挙げ
られる。
【0045】本発明のプライマー組成物を適用するゴム
基材には、タルク、亜鉛華、ガラス繊維、チタン白、炭
酸カルシウムなどの無機充填剤;酸化防止剤、紫外線吸
収剤、塩酸吸収剤などの各種安定化剤;顔料などを含有
せしめてもよい。
【0046】成形体 本発明のプライマー層を含む成形体は、ゴム基材表面上
にプライマー組成物を塗布し、乾燥させて基材表面にプ
ライマー層を形成した後、その表面上に塗料を塗布する
ことにより製造される。
【0047】ゴム基材表面へのプライマー組成物の塗布
は、常法に従って行えばよく、例えば、プライマー組成
物を刷毛塗り、ディッピング、吹き付け、スピンコー
ト、ロールコーターなどの方法で塗布し、溶媒を揮発さ
せて行うことができる。塗布は、常温で行えばよく、塗
布した後、自然乾燥や加熱強制乾燥など適宜の方法によ
って乾燥され、塗膜を形成することができる。
【0048】塗布量は、溶剤を除去したプライマー層の
厚さが0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μ
m、より好ましくは1〜30μmになるようにすると、
ゴム基材と塗料との密着性が十分に高くなり好適であ
る。
【0049】プライマー層表面上に適用する塗料は、特
に制限はないが、例えば、溶剤型熱硬化性アクリル樹脂
塗料、ポリウレタン樹脂塗料(二液タイプ、一液タイ
プ、エマルジョンタイプ)、メラミン樹脂塗料、エポキ
シ樹脂塗料、アルキッドメラミン樹脂塗料、アクリル変
性アルキッド樹脂塗料などが好適である。
【0050】塗料のプライマー層表面への塗布は、常法
に従って行えるが、例えば、静電塗装、吹き付け塗装、
刷毛塗り塗装などの方法が挙げられる。また、塗料の塗
布は、下塗りした後、上塗りする方法によって行っても
よい。塗料を塗布した後、ニクロム線、赤外線、高周波
(UHF)などによって塗膜を加熱硬化させる方法が採
られるが、その方法は、基材表面の材質、形状、使用す
る塗料の性状などによって適宜選択される。
【0051】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。これらの例中の部および%は、特に断わりがない限
り重量基準である。実施例において用いた加硫ゴム基材
は次のように調製した。エチレン−プロピレン−エチリ
デンノルボルネン共重合ポリマー(エチリデンノルボル
ネン含有量7%、ヨウ素価15、日本合成ゴム社製;E
P−103A)100部、カーボンブラック70部、鉱
油35部、亜鉛華5部、ステアリン酸1部、加硫促進剤
2部、イオウ1.5部からなるゴム配合物を160℃で
30分間加硫を行い、加硫ゴム基材を得た。
【0052】なお、物性の測定は、下記の方法に準拠し
た。 (1)重量平均分子量 ポリエステルの重量平均分子量は、GPC法に従って、
標準ポリスチレン換算量として測定した。 (2)水酸基価および酸価 ポリエステルの水酸基価および酸価は、“基準油脂分析
試験法”(日本油化学協会)に記載される下記に準じて
測定した。 水酸基価 2,4,9,2−83 酸価 2,4,1−83 (3)180°剥離強度試験 剥離強度試験はJIS DO202に準じて測定した。
すなわち、ゴム基材表面上に形成した塗膜を、カッター
刃にて基材に刃が届くまで、1cm幅に切れ目を入れ、
端部を剥離させた後、その剥離した塗膜の端部を50c
m/分の速度で180゜方向に引っ張って、剥離強度
(kg/cm2)を求めた。
【0053】製造例1(プライマー組成物の調製) 撹拌機、温度計、還流冷却管、分水管および窒素ガス導
入管を備えた1000cc容四つ口フラスコに、重合脂
肪酸(酸価193mgKOH/g、モノマー酸8.0
%、ダイマー酸75.0%、トリマー酸17.0%;ハ
リダイマー200、ハリマ化成社製)420.0g、2
−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール11
5.0g、トリメチロールプロパン94.6gおよび触
媒としてモノブチルチンオキサイド0.26gを仕込ん
だ。(COOH/OH=1.60(当量比))
【0054】窒素ガスを導入しながら撹拌を行い、10
0℃まで昇温した。続いて、反応中に生成する水および
未反応のジオールを除去しながら、100℃から260
℃まで6時間を要して昇温した。その後260℃で脱水
を行いながら、10時間反応を続けた。得られたポリエ
ステルAは重量平均分子量11,700、酸価0.2m
gKOH/g、水酸基価82mgKOH/gであった。
【0055】製造例2(プライマー組成物の調製) 撹拌機、温度計、還流冷却管、分水管および窒素ガス導
入管を備えた1000cc容四つ口フラスコに、重合脂
肪酸(酸価195mgKOH/g、モノマー酸5.0
%、ダイマー酸75.0%、トリマー酸20.0%;ハ
リダイマー250、ハリマ化成社製)440.0g、3
−メチル−1,5−ペンタンジオール28.1g、トリ
メチロールプロパン85.0gおよび触媒としてモノブ
チルチンオキサイド0.26gを仕込んだ。(OH/C
OOH=1.56(当量比))
【0056】窒素ガスを導入しながら撹拌を行い、10
0℃まで昇温した。続いて、反応中に生成する水および
未反応のジオールを除去しながら、100℃から260
℃まで6時間を要して昇温した。その後260℃で脱水
を行いながら、10時間反応を続けた。得られたポリエ
ステルBは重量平均分子量6,800、酸価0.2mg
KOH/g、水酸基価78mgKOH/gであった。
【0057】製造例3(プライマー組成物の調製) 撹拌機、温度計、還流冷却管、分水管および窒素ガス導
入管を備えた1000cc容四つ口フラスコに、重合脂
肪酸(酸価195mgKOH/g、モノマー酸5.0
%、ダイマー酸75.0%、トリマー酸20.0%;ハ
リダイマー250、ハリマ化成社製)460.0g、ペ
ンタエリスリトール33.5g、2−エチル2−ブチル
−1,3−プロパンジオール105.0gおよび触媒と
してモノブチルチンオキサイド0.26gを仕込んだ。
(OH/COOH=1.40(当量比))
【0058】窒素ガスを導入しながら撹拌を行い、10
0℃まで昇温した。続いて、反応中に生成する水および
未反応のジオールを除去しながら、100℃から260
℃まで6時間を要して昇温した。その後260℃で脱水
を行いながら、10時間反応を続けた。得られたポリエ
ステルCは重量平均分子量7,300、酸価0.1mg
KOH/g、水酸基価46mgKOH/gであった。
【0059】実施例1(塗膜成形体) エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合
ポリマー(EP−103A)100部と製造例1で調製
したポリエステルA 100部とをキシレン300部に
溶解してプライマー組成物を調製した。このプライマー
組成物に加硫ゴム基材をディッピングし、常温で上記溶
剤を蒸発させた後、その加硫ゴム基材表面に末端NCO
基を有するウレタンプレポリマー(オーフレックスN
o.500、大橋化学工業製)を塗布し、100℃で1
0分間硬化させた。180°剥離試験を行った結果、剥
離強度は2.8kg/cm2であった。
【0060】実施例2(塗膜成形体) エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合
ポリマー(EP−103A)100部と製造例2で調製
したポリエステルB 80部とをキシレン300部に溶
解してプライマー組成物を調製した。このプライマー組
成物に加硫ゴム基材をディッピングし、180℃で10
分間プライマー組成物を硬化させた後、その加硫ゴム基
材表面に実施例1で使用したものと同じ末端NCO基を
有するウレタンプレポリマーを塗布し、100℃で10
分間硬化させた。180°剥離試験を行った結果、剥離
強度は2.4kg/cm2であった。
【0061】実施例3(塗膜成形体) エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合ポ
リマー(ジシクロペンタジエン含有量6%、ヨウ素価1
2、三井石油化学社製EPT−1035)100部と製
造例3で調製したポリエステルC 100部とをキシレ
ン200部に溶解してプライマー組成物を調製した。こ
のプライマー組成物に加硫ゴム基材をディピングし、常
温で上記溶剤を蒸発させた後、その加硫ゴム基材表面に
実施例1で用いたものと同じ末端NCO基を有するウレ
タンプレポリマーを塗布し、100℃で10分間硬化さ
せた。180°剥離試験を行った結果、剥離強度は3.
1kg/cm2であった。
【0062】比較例1(塗膜成形体) 実施例1で使用したポリエステルAの代わりにエステル
レジン20(東洋紡績(株)製、飽和ポリエステル)を
用い、有機溶剤としてキシレンの代わりにキシレン/メ
チルエチルケトン(=9/1)混合溶剤を用い、その他
の操作は実施例1と同じにしてプライマー組成物を調製
し、さらにゴム基材の塗装を行い、180°剥離試験を
行った。その剥離強度は0.6kg/cm2であった。
【0063】比較例2(塗膜成形体) 実施例2で使用したポリエステルBの代わりにポリテー
ル(三菱化学(株)製、水酸基含有ポリオレフィン樹
脂)を用い、その他の操作は実施例1と同じにしてプラ
イマー組成物を調製し、さらにゴム基材の塗装を行い、
180°剥離試験を行った。その剥離強度は1.3kg
/cm2であった。
【0064】実施例および比較例に示されるように、ゴ
ム基材の表面に、本発明のプライマー組成物からなるプ
ライマー層を形成し、その上に塗膜を形成した塗装品
は、従来のプライマー組成物を用いた場合(比較例1、
2)と比較して、剥離強度において優れている。このよ
うに、ゴム基材の表面に特殊な前処理を施さなくとも、
本発明のプライマー組成物はゴム基材との密着性に優
れ、しかも、その上に形成される塗膜との密着性にも優
れている。
【0065】発明の好ましい実施態様 本発明のゴム用プライマー組成物(請求項1、2)、該
プライマー組成物からなるプライマー層を有する成形体
(請求項3)および成形体の塗装体(請求項4)の好ま
しい実施態様をまとめると以下のとおりである。 (1)水素原子を含む極性基がヒドロキシル基、カルボ
キシル基、アミノ基およびチオール基の中、より好まし
くはヒドロキシル基およびカルボキシル基の中から選ば
れ、さらに好ましくはヒドロキシル基である。
【0066】(2)ポリエステルの酸価と水酸価との和
が10〜200mgKOH/g、より好ましくは20〜
150mgKOH/g、最も好ましくは40〜120m
gKOH/gの範囲である。 (3)ポリエステルの分子量が、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレ
ン換算重量平均分子量(Mw)で、好ましくは2,00
0〜500,000、より好ましくは3,000〜10
0,000の範囲である。
【0067】(4)ポリエステルが(A)二価の高級カ
ルボン酸成分および(B)二価のアルコール成分、なら
びに(C)三価以上のカルボン酸、三価以上のアルコー
ルおよびエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物か
ら選ばれる少なくとも一種の化合物を(A)、(B)両
成分の合計量に対して1〜80モル%の割合で、
(A)、(B)、(C)三成分を縮重合して得られるも
のである。
【0068】(5)前項(4)のポリエステルの製造に
用いる二価の高級カルボン酸(A)が8個以上、より好
ましくは10〜200個、最も好ましくは20〜80個
の炭素を有する。 (6)前項(5)の二価の高級カルボン酸(A)がポリ
アルキレン琥珀酸および重合脂肪酸のダイマー酸の中か
ら選ばれ、より好ましくは重合脂肪酸のダイマー酸であ
る。
【0069】(7)前項(4)のポリエステルの製造に
用いる二価のアルコール(B)がアルカンジオール、シ
クロアルカンジオール、ポリオキシアルキレングリコー
ル、エステルジオールおよびヒンダードグリコールの中
から選ばれ、より好ましくはアルカンジオール、ポリオ
キシアルキレングリコールまたはヒンダードグリコール
から選ばれ、さらに好ましくはアルカンジオールまたは
ヒンダードグリコールである。
【0070】(8)前項(4)のポリエステルの製造に
用いる三価以上のカルボン酸(C)がトリメリット酸、
トリカルバリル酸、カンホロン酸、トリメシン酸および
重合脂肪酸のトリマー酸の中から選ばれ、より好ましく
はトリメシン酸および重合脂肪酸のトリマー酸の中から
選ばれ、最も好ましくは重合脂肪酸のトリマー酸であ
る。
【0071】(9)前項(4)のポリエステルの製造に
用いる三価以上のアルコール(C)が下記一般式(5)
で表されるヒンダードアルコールを少なくとも10モル
%、より好ましくは20〜100モル%、最も好ましく
は30〜100モル%含む。 HOCH2−C(CR78)−CH2OH (5) 式中、R7、R8はアルキル基またはヒドロキシル基を有
するアルキル基であり、両者のうち少なくとも一方はヒ
ドロキシル基を有するアルキル基である。
【0072】(10)前項(4)のポリエステルの製造
に用いるエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物
(C)が重合脂肪酸のダイマー酸グリシジルエステル、
ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ビスフェノー
ルFのグリシジルエーテルおよび脂肪族二塩基酸のグリ
シジルエーテルの中から選ばれる。 (11)前項(4)のポリエステルの製造に用いる
(C)成分の量が二価のカルボン酸成分(A)と二価の
アルコール成分(B)の合計量に対して1〜80モル
%、より好ましくは5〜60モル%、さらに好ましくは
10〜40モル%である。
【0073】(12)有機溶剤が芳香族炭化水素、脂肪
族炭化水素、脂環式炭化水素、アルコールおよびケトン
の中から選ばれた少なくとも一種である。 (13)有機溶剤の量がポリエステル100重量部に対
して、通常10〜10,000重量部、好ましくは50
〜5,000重量部、より好ましくは100〜1,00
0重量部である。 (14)ゴム用プライマー組成物が、さらにバインダー
ゴムを含んでなる。 (15)バインダーゴムがα−オレフィン共重合ゴムで
ある。
【0074】(16)前項(15)のα−オレフィン共
重合ゴムが50〜100重量%、より好ましくは60〜
100重量%のα−オレフィンと50〜0重量%、より
好ましくは40〜0重量%の共役ジエンおよび/または
非共役ジエンとからなる。 (17)前項(15)および(16)のα−オレフィン
共重合ゴムがエチレン−炭素数3以上のα−オレフィン
共重合ゴム、エチレン−炭素数3以上のα−オレフィン
−非共役ジエン共重合ゴム、α−オレフィン−共役ジエ
ン共重合ゴム、およびこれらの塩素化物およびクロロス
ルホン化物の中から選ばれる。
【0075】(18)バインダーゴムの量が、ポリエス
テル100重量部に対して、10〜150重量部、より
好ましくは20〜100重量部、さらに好ましくは30
〜1,000重量部である。 (19)ゴム基材がヨウ素価100以下、より好ましく
は1〜50、さらに好ましくは5〜35を有するゴム材
料からなるか、または該ゴム材料からなる表面層を有す
る。
【0076】(20)ゴム基材が変性ポリエチレンゴ
ム、α−オレフィン系共重合ゴムおよびシリコーンゴム
から選ばれ、さらに好ましくはα−オレフィン系共重合
ゴムである。 (21)プライマー層の厚さが0.1〜100μm、よ
り好ましくは0.5〜50μm、さらに好ましくは1〜
30μmである。 (22)プライマー層表面上に形成される塗膜が熱硬化
性アクリル樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、メラミン
樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、アルキッドメラミン樹脂
塗料およびアクリル変性アルキッド樹脂塗料の中から選
ばれた塗料からなる。
【0077】
【発明の効果】本発明のプライマー組成物は、種々のゴ
ム基材と種々の塗料との接着性を大幅に改善できる。特
に、ポリオレフィンなどの極性が小さい重合体ゴムから
なる基材であっても、特別な前処理せずに、塗料との接
着性を高めることができる。また、本発明のプライマー
組成物は、上記塗装プライマーとしての用途以外にも、
接着性や印刷性などの改良効果もあり、広くゴム基材の
表面特性を改良することができる。
【0078】従って、本発明のプライマー組成物は、こ
れらの特性を活かして、ウエザーストリップやガラスラ
ンなどの自動車用外装材、防水マット、止水グロメッ
ト、ゴルフボール、産業用ロール、導電ロール、各種塗
装パッキン、建築用ウエザーストリップなどの表面改質
用途に適している。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素原子とヘテロ原子とを含む極性基を
    分子内に少なくとも3個有する重量平均分子量が1,0
    00〜1,000,000の油溶性ポリエステルおよび
    有機溶剤を含んでなるゴム用プライマー組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエステルの酸価と水酸基価との和が
    10〜200mgKOH/gである請求項1記載のゴム
    用プライマー組成物。
  3. 【請求項3】 ゴム基材と該基材表面上に形成された請
    求項1または2記載のゴム用プライマー組成物からなる
    プライマー層とから構成されてなる成形体。
  4. 【請求項4】 ゴム基材、該基材表面上に形成された請
    求項1または2記載のゴム用プライマー組成物からなる
    プライマー層、および該プライマー層表面上に形成され
    た塗膜からなる、塗装された成形体。
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