JP4951714B1 - アンカーコーティング剤および該アンカーコーティング剤を用いた積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】α、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性された酸価0.1〜50mgKOH/gであるスチレン系ブロック共重合体(A)、および酸価50〜300mgKOH/gである粘着付与樹脂(B)が溶剤に溶解もしくは分散されてなるアンカーコーティング剤であって、(A)と(B)との重量比が(A)/(B)=90/10〜60/40であり、かつ、固形分濃度が1〜20重量%であることを特徴とするアンカーコーティング剤。
【選択図】なし
Description
上記構成例の蓋材においては、その接着性樹脂が、ヒートシールによって容器本体と接着される。
従来からある2液硬化型AC剤を使用する場合は樹脂温度を300℃以上の高温にする必要があり、使用可能な樹脂はポリエチレンなどのように300℃以上でも分解や劣化が起こりにくい一部の樹脂に限られる。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体のように240℃以上にすると脱酢酸が起こるような樹脂には使用できない。また、紙ポリエチレン製容器の蓋材用の接着性樹脂にはポリエチレンを主原料として使用することが多い。しかし、ポリエチレンだけでは強接着となり、開封し難く蓋材や容器が破断してしまうなどの不具合がある。よって易剥離性などを持たせるためにポリエチレンへの接着性が低い樹脂をブレンドして作られていることが多い(例えば、特開2009−46545号公報など)。しかし、このようなブレンド樹脂は樹脂温度を300℃以上にしてもポリエチレンへの接着性が低い樹脂が阻害要因となり2液硬化型AC剤を使用してもアルミニウムフィルムやポリエステルフィルムへの実用上十分なラミネート強度を得ることができない。
紙ポリエチレン製容器以外にもプラスチック容器としてポリプロピレン製容器やポリスチレン製容器、ポリエステル製容器などがあるが、これらの蓋材に積層される接着性樹脂はエチレン系共重合体に粘着付与樹脂等を添加したものが使用されることが多い(例えば、特開2008−94869号公報など)。エチレン系共重合体としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた場合、押出しラミネート時の樹脂温度は240℃以下であり、従来の2液硬化型AC剤を使用してもラミネート強度は弱く、またこの場合の接着性樹脂自身のアルミニウムフィルムやポリエステルフィルムへの接着性は非常に低い。このような理由で接着性樹脂を押出しラミネーターで押出しラミネートしても強固なラミネート強度を得ることができないという問題があった。
(A)と(B)との重量比が(A)/(B)=90/10〜60/40であり、かつ、
固形分濃度が1〜20重量%であることを特徴とするアンカーコーティング剤に関する。
さらに、従来の2液硬化型AC剤に必要なエージング(例えば、40℃−24時間など)が本発明のAC剤には必要ない。エージングとは2液が硬化するのに必要な熱処理であるが、本発明におけるAC剤はラミネート直後から十分なラミネート強度を有している。
ハードセグメントのポリスチレン(S)との配列の様式によって、直鎖状(リニアタイプ)及び放射状(ラジカルタイプ)とに分かれる。本発明では、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBBS)等が好ましく、より好ましくはスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)である。また、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)とスチレン−エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEB)との混合物(SEBS/SEB)も好ましく用いることができる。
α、β−不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、酸エステル、酸アミド、酸ハロゲン化物などが挙げられる。この中では、酸無水物が好ましい。
メルトフローレイト(以下MFRと略記する場合がある)は1〜100g/10分である。好ましくは10〜30g/10分、より好ましくは10〜20g/10分である。メルトフローレイトはJIS K 7210に準拠して測定される、200℃、5kg荷重での10分間の流出量(g/10分)である。
1g/10分未満では溶剤への溶解が困難もしくは長時間かかり、100g/10分より大きいと押出しラミネートにおける接着性樹脂との十分なラミネート強度および活性エネルギー線硬化型インクジェットインキとの密着強度が得にくい。
例えば、水素添加された脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油系樹脂やテルペン系樹脂、ロジン系樹脂が挙げられる。中でも、接着性(密着性)を考慮するとロジン系が好ましい。
ロジンは松から得られる琥珀色、無定形の天然樹脂で、製造の違いでガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンに分けられる。その主成分は、3つの環構造、共役2重結合、カルボキシル基を有するアビエチン酸とその異性体の混合物であり、反応性に富んだバルキーな構造を有している。反応性が高いために熱安定性が悪く、一般的にロジンに水素を添加し、安定性を良好にしている(水添ロジン)。酸価が50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であるロジン系粘着付与剤としては、例えば酸価を有する生ロジン(変性処理されていないロジン)、水添ロジン、(メタ)アクリル酸変性ロジン、水添(メタ)アクリル酸変性ロジン、マレイン酸変性ロジン、水添マレイン酸変性ロジン、フマール酸変性ロジン、水添フマール酸変性ロジン等が挙げられる。中でも、好ましくは水添ロジンまたは(水添)アクリル酸変性ロジン等であり、より好ましくは酸変性および/または水素添加を行なったロジンであり、更に好ましくは水素添加したロジンである。
粘着付与樹脂(B)の酸価が50mgKOH/g未満であるとフィルムとAC剤との接着力が弱くなってしまうという問題が生じ、一方、300mgKOH/gよりも高いと、軟化点が高くなり、接着性樹脂が押出しラミネートされた際に粘着付与樹脂が溶融せずに濡れ性が低下するという問題や、フィルムに塗布・乾燥した後のべたつきなどの問題が生じる。酸価が150mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であると、フィルムとの接着性、接着性樹脂への濡れ性、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキとの密着性などが特に良い。
酸価=〔0.1N水酸化カリウム液の消費量(mL)×5.611〕/〔試料量(g)〕
成分(A)が90重量%よりも多く、成分(B)が10重量%よりも少ないと接着強度が低下する。一方、成分(A)が60重量%よりも少なく、成分(B)が40重量%よりも多いとAC剤の凝集力が低下し、接着性樹脂のラミネート強度が低下する。
また、芳香族系溶剤としては、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン等が挙げられる。また、エステル系溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸(イソ)アミル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、酢酸3-メトキシブチル、γ−ブチルラクトン等が挙げられ、脂肪族系溶剤としては、n-ヘプタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンが挙げられ、アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、シクロヘキサノール、3-メトキシブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。また、石油系溶剤としては、ナフタレン系炭化水素溶剤、パラフィン系炭化水素溶剤等が挙げられる。また、その他の液状媒体として、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジ-n-ブチルカーボネートが挙げられる。上記溶剤は例示であり、これらに限定されるものではない。
スチレン系ブロック共重合体(商品名「クレイトンG1726」クレイトンポリマー社製、SEBS/SEB、MFR65g/10分(200℃−5kg荷重))100部に対し、無水マレイン酸10部、ラジカル開始剤として、ビス(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(商品名「パーブチルP」日油社製)0.3部を加えヘンシェルミキサーにて5分間プリブレンドした。
ホッパーにプリブレンド物を投入し、スクリューフィーダを用いて押出機に供給した。ベント口から、真空ポンプにより減圧度760mmHgとして未反応モノマーを除去した。
得られた押出物を精製し、未反応モノマーを除去し評価したところMFR14g/10分、酸価12mgKOH/gであった。
押出機:アイ・ケー・ジー社製同方向回転二軸押出機PMT32−40.5
バレル温度:200℃(供給口160℃)
スクリュー回転速度:100rpm
供給速度:5kg/hr
P−1:前記クレイトンG1726のグラフト変性物(MFR14g/10分、酸価12mgKOH/g)
P−2:クレイトンFG1901GT(クレイトンポリマー社製、無水マレイン酸変性SEBS、MFR5g/10分、酸価10mgKOH/g)
P−3:クレイトンFG1924(クレイトンポリマー社製、無水マレイン酸変性SEBS/SEB、MFR11g/10分、酸価5mgKOH/g)
P−4:タフテックM1913(旭化成ケミカルズ社製、無水マレイン酸変性SEBS、MFR4.0g/10分、酸価11mgKOH/g)
P−5:タフテックM1943(旭化成ケミカルズ社製、無水マレイン酸変性SEBS、MFR6.0g/10分、酸価11mgKOH/g)
P−6:HPR VR105−1(三井・デュポンポリケミカル社製、無水マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、MFR15g/10分(190℃−2.16kg荷重)、酸価10mgKOH/g)
P−7:クレイトンG1652(クレイトンポリマー社製、SEBS、MFR10g/10分)
P−8:ニュクレルN1525(三井・デュポンポリケミカル社製、エチレン−メタクリル酸共重合体、メタクリル酸含量15wt%、MFR25g/10分(190℃−2.16kg荷重)、酸価100mgKOH/g)
TF−1:KE−604(荒川化学工業社製、ロジン系粘着付与樹脂、酸価240mgKOH/g、軟化点125℃)
TF−2:フォーラルAXE(イーストマンケミカル社製、完全水添ロジン系粘着付与樹脂、酸価168mgKOH/g、軟化点82℃)
TF−3:Sylvaros PRRX(アリゾナケミカル社製、ロジン系粘着付与樹脂、酸価146mgKOH/g、軟化点74℃)
TF−4:ネオトール125PK(ハリマ化成社製、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、酸価105mgKOH/g、軟化点130℃)
TF−5:タマノル901(荒川化学工業社製、テルペンフェノール系粘着付与樹脂、酸価75mgKOH/g、軟化点127℃)
TF−6:ネオトールG2K(ハリマ化成社製、ロジンエステル系粘着付与樹脂、酸価41mg/KOH、軟化点100℃)
TF−7:スーパーエステルA−125(荒川化学工業社製、ロジンエステル系粘着付与樹脂、酸価20mgKOH/g以下、軟化点125℃)
TF−8:アルコンP−90(荒川化学工業社製、脂環族飽和炭化水素系粘着付与樹脂、酸価0mgKOH/g、軟化点90℃)
TF−9:クリアロンP−125(ヤスハラケミカル社製、テルペン系粘着付与樹脂、酸価1mgKOH/g以下、軟化点125℃)
オリバインEL−530A(東洋モートン社製、組成:ポリイソシアネート系、不揮発分:50±2%)/オリバインEL−530B(東洋モートン社製、組成:ポリエステル系、不揮発分50±2%)/酢酸エチルを1/1/8の重量比で混合した(固形分濃度10%)。
<押出ラミネート用樹脂>
EXT−1:ペトロセン204(東ソー社製、低密度ポリエチレン)
EXT−2:ペトロセン204(東ソー社製、低密度ポリエチレン)/タフマーBL3110(三井化学社製、ブテン−エチレン共重合体)=80重量%/20重量%の割合で二軸押出機で混合した。
EXT−3:ペトロセン204(東ソー社製、低密度ポリエチレン)/タフマーBL3110(三井化学社製、ブテン−エチレン共重合体)=60重量%/40重量%の割合で二軸押出機で混合した。
EXT−4:ウルトラセン625(東ソー社製、エチレン−酢酸ビニル共重合体)/アルコンP−125(荒川化学工業社製、脂環族飽和炭化水素系粘着付与樹脂)=90重量%/10重量%の割合で二軸押出機で混合した。
S−1:トルエン/酢酸エチル=1/1の混合溶剤
S−2:シクロヘキサン/酢酸エチル=1/1の混合溶剤
攪拌機を備えたステンレスビーカーにトルエン(もしくはシクロヘキサン)を加え、これに酸変性されたスチレン系ブロック共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)をそれぞれ表1に示す重量比になるように秤り取り室温で溶解(もしくは分散)した。これにトルエン(もしくはシクロヘキサン)と同量の酢酸エチルを加えアンカーコーティング剤を調製した。
同様にして、表3の配合にて、比較例用のアンカーコーティング剤を調製した。
なお、比較例12〜15は、2液硬化型のAC剤を使用した例である。
アルミニウム箔(35μm)あるいはPETフィルム(25μm)にアンカーコーティング剤をメイヤーバーコーター#10を使って塗布し、60℃オーブン中で乾燥し溶剤を除去した。押出しラミネーターを用いて、厚さ30μmで接着性樹脂を積層し積層フィルムを作成した。以下に加工条件を示した。
押出しラミネーター:ムサシノキカイ製400M/MテストEXTラミネーター
アンカーコーティング剤塗布量(乾燥後):0.1〜1.0g/m2
ダイ直下樹脂温度:230〜310℃(接着性樹脂のMFR等により適宜調整した)
加工速度:15m/分
Tダイ幅:400mm
冷却ロール表面温度:20℃
積層フィルムを15mm幅に断裁したもののラミネート強度(接着性樹脂層と、アルミニウム箔もしくはPETフィルムとの剥離強度)を引張強度試験機で180度角剥離、引張速度200mm/分、23℃−65%RH雰囲気下で測定した。
2N/15mm以上:○、1N/15mm〜2N/15mm未満:△、1N/15mm未満:×とした。
引張強度試験機:オリエンテック社製テンシロンRTA−100型
積層フィルムを蓋材として、カップシーラーで紙ポリエチレン製容器もしくはポリプロピレン(PP)製容器にヒートシールした。引張強度試験機で蓋材を開封したときの(1)開封強度(○:10〜20N、×:10N未満、もしくは20Nを超える)、(2)接着性樹脂のデラミネーション(○:デラミネーションなし、×:デラミネーション発生)、(3)蓋材の破断(○:蓋材の破断なし、×:蓋材破断)、(4)糸曳き(○:糸曳きなし、×:糸曳き発生)、(5)紙ポリエチレン製容器の場合の容器フランジ部の紙剥け(○:容器フランジ部の20%以下、△:容器フランジ部の20%を超え、50%未満、×:容器フランジ部の50%以上)を評価した。
カップシーラー:トーワテクノ社製MODEL2005
容器外径:71mmφ
シール温度:160℃
シール圧力:100kgf/カップ
シール時間:1秒
引張強度試験機:オリエンテック社製テンシロンRTA−100型
開封条件:開封角度45度、開封速度300mm/分
測定雰囲気:23℃−65%RH
PETフィルム(25μm)あるいはポリエチレンフィルム(20μm)にアンカーコーティング剤をメイヤーバーコーター#10を使って塗布し、60℃オーブン中で乾燥し溶剤を除去した。UVランプを積んだ市販のインクジェットプリンターを用いて、印字した。以下に加工条件を示した。
UVランプ:ノードソン製メタルハライドランプ(140W/cm)
印刷速度:50m/分
ヘッド:
ヘッド温度:40℃
アンカーコーティング剤塗布量(乾燥後):0.1〜1.0g/m2
硬化後の塗膜を1mm間隔で100マスにクロスカットした部分にセロハンテープを貼り付け、上面から消しゴムでこすり、セロハンテープの塗工面への密着を十分に行った後、セロハンテープを90°で剥離させたときの塗膜の基材への密着の程度から判断した。
硬化膜が全く剥がれない:◎、硬化膜が75%以上100%未満残る:○、硬化膜が75%未満残る:△、硬化膜が100%剥がれる:×とした。
印刷フィルムのインキの滲みを目視で評価した。
印刷が鮮明で滲みなし:○、印刷が不鮮明で滲みあり:×
Claims (5)
- α、β−不飽和カルボン酸、またはその酸無水物、酸エステル、酸アミドおよび酸ハロゲン化物のいずれかでグラフト変性された酸価0.1〜50mgKOH/gであるスチレン系ブロック共重合体(A)、および酸価50〜300mgKOH/gである、ロジン系樹脂またはテルペンフェノール系樹脂の少なくともいずれかの(B)が溶剤に溶解もしくは分散されてなるアンカーコーティング剤であって、
(A)と(B)との重量比が(A)/(B)=90/10〜60/40であり、かつ、固形分濃度が1〜20重量%であることを特徴とするアンカーコーティング剤。 - フィルム状基材の表面に設けられた、請求項1記載のアンカーコーティング剤から形成されるアンカー層の上に、押出しラミネートにより接着性樹脂層が形成されてなる積層フィルム。
- 接着性樹脂層を形成する樹脂が、エチレン−不飽和エステル共重合体、エチレン−不飽和エステル共重合体と粘着付与樹脂とを含んでなる樹脂組成物、またはポリエチレンとブテン−エチレン共重合体とを含んでなる樹脂組成物のいずれかであることを特徴とする請求項2記載の積層フィルム。
- エチレン−不飽和エステル共重合体がエチレン−酢酸ビニル共重合体である請求項3記載の積層フィルム。
- フィルム状基材の表面に設けられた、請求項1記載のアンカーコーティング剤から形成されるアンカー層の上に、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ層が形成されてなる印刷フィルム。
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