JP6592934B2 - ラミネート用印刷インキ組成物 - Google Patents
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塩素化ポリオレフィン(A)と、エチレン酢酸ビニル共重合体(B1)および/または塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B2)と、ロジン(C1)および/またはロジン誘導体(C2)と、有機溶剤とを含有することを特徴とするラミネート用印刷インキ組成物であって、
全樹脂固形分中のロジン(C1)および/またはロジン誘導体(C2)は、4〜40質量%であることを特徴とするラミネート用印刷インキ組成物(ただし、塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B2)はエチレン酢酸ビニル共重合体(B1)に塩素原子が導入された樹脂である)に関する。
また、本発明は、塩素化ポリオレフィン(A)の重量平均分子量は5000〜30000であることを特徴とする上記ラミネート用印刷インキ組成物に関する。また、本発明は、エチレン酢酸ビニル共重合体(B1)における酢酸ビニルから誘導される構成単位の含有量は、(B1)総質量中、28〜50重量%であることを特徴とするラミネート用印刷インキ組成物に関する。
ロジン(C1)およびロジン誘導体(C2)の酸価が100〜200mgKOH/gであることを特徴とする上記ラミネート用印刷インキ組成物に関する。
プラスチックフィルムに、上記ラミネート用印刷インキ組成物を、グラビア印刷機を用いて印刷してなる印刷物に関する。
本発明のラミネート用印刷インキ組成物に使用される有機溶剤は、酢酸エチル(EA)、酢酸n−プロピル(NPAC)、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール(IPA)、n−ブタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトンといったケトン系溶剤、メチルシクロヘキサン(MCH)、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤など公知の溶剤を使用できる。
さらに、海外の特定の国においては、臭気の観点からメチルシクロヘキサン(MCH)、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤の使用が敬遠されている。後述するが、この際にはエチレン酢酸ビニル共重合体系の樹脂としては、塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B2)を用いることが好ましい。
塩素化ポリオレフィン樹脂(A)の製造方法は特に限定されないが、四塩化炭素などの有機溶剤にポリオレフィンを溶解して塩素化する溶液塩素化法、ポリオレフィンを塊状状態で塩素化する方法、ポリオレフィンを水性懸濁状態で塩素化する方法などが知られている。
本発明において、エチレン酢酸ビニル共重合体(B1)は、エチレンから誘導される構成単位と、酢酸ビニルから誘導される構成単位とを特定の量で含有する樹脂であり、塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B2)はさらにエチレン酢酸ビニル共重合体(B1)に塩素原子が導入された樹脂である。エチレン酢酸ビニル共重合体の製造方法は特に限定されないが、例えば、高温、高圧下で、エチレンと酢酸ビニルをラジカル共重合する高圧ラジカル重合法によって、得ることができる。具体的には、エチレンと酢酸ビニルを高圧ポンプによって、管型反応器または槽型反応器に圧送し、この反応器内で高温、高圧の条件下で、有機過酸化物系化合物などをラジカル反応開始剤として用い、また必要に応じて連鎖移動剤を用いて、共重合させる。その後、高圧分離器内で、共重合体と未反応モノマーを分離する。
本発明のラミネート用印刷インキ組成物には、ロジン(C1)および/またはロジン誘導体(C2)を含有することが、版づまり性の観点から必要である。さらに、ノンMCH系溶剤においては、ロジン(C1)および/またはロジン誘導体(C2)を含有することでインキ安定性も良化する。
(1)水素化ロジン:共役二重結合に水素を付加(水素添加)させて、耐候性を向上させたロジンである。
(2)不均化ロジン: 不均化とは、二分子のロジンが反応し、共役二重結合を持った二分子のアビエチン酸が、一方は芳香族へ、もう一方は単独二重結合の分子となる変性である。一般に水添ロジンよりは耐候性が劣るが、未処理よりは向上する。
(3)ロジン変性フェノール樹脂:オフセット印刷のインキには、メインバインダーとしてロジン変性フェノール樹脂が使われることが多い。ロジン変性フェノール樹脂は公知の製造法で得ることができる。
(4)ロジンエステル:ロジンから誘導されるエステル樹脂であり、古くから粘着・接着剤の粘着付与剤(タッキファイヤー)として用いられる。
(5)ロジン変性マレイン酸樹脂:ロジンに無水マレイン酸を付加反応させたもので、必要に応じてグリセリンなどの水酸基含有化合物を、無水酸基とエステル化させグラフトさせたものも含まれる。
(6)重合ロジン:天然樹脂のロジンから誘導される二量化された樹脂酸を含む誘導体である。
その他、公知のロジン、ロジン誘導体も用いることが可能であり、これらは単独だけでなく併用するこができる。
また、ロジン(C1)および/またはロジン誘導体(C2)は、塩素化ポリプロピレン(A)と、エチレン酢酸ビニル共重合体(B1)および/または塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B2)と、ロジン(C1)および/またはロジン誘導体(C2)の合計に対し、固形分重量として5〜30%であると、版づまり性および耐ブロッキング性の観点からさらに良好となる。
ラミネート用印刷インキ組成物を製造する方法として、まず、着色剤、バインダー樹脂、溶剤、および必要に応じて顔料分散剤などを攪拌混合した後、各種練肉機、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、パールミル等を利用して練肉し、さらに、残りの材料を添加混合する方法がある。顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。
本発明における印刷物は、ラミネート用印刷インキ組成物を上記の印刷方式を用いて塗布し、オーブンによる乾燥によって乾燥させて定着することで得られる。乾燥温度は通常40〜60℃程度である。
本発明における印刷インキ組成物は、グラビア印刷、フレキソ印刷などの既知の印刷方式で用いることができる。好ましくは、グラビア印刷である。グラビア印刷では、印刷に適した粘度および濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独でまたは混合されて各印刷ユニットに供給される。
その他、(1)エクストルージョンラミネート法、(2)ドライラミネート法、(3)ノンソルラミネート法等も使用することができる。
藍顔料(トーヨーカラー社製LIONOL BLUE FG−7330(C.Iピグメントブルー15:3))10.0部、エチレン酢酸ビニル共重合体(B1)溶液(三井・デュポン ポリケミカル社製エバフレックスEV40W;VA含有量41%、NPAC/MCH=50/50で固形分20%に溶解したもの)15.0部、ロジン(C1)溶液(荒川化学工業社製パインクリスタルKR−612;酸価165〜175、EAで固形分20%に溶解させたもの)12.5部、混合溶剤(MCH/MEK/NPAC=25/50/25)15.0部を撹拌混合しサンドミルで練肉した後、塩素化ポリプロピレン(A)溶液(日本製紙株式会社製 スーパークロン360T;塩素化度31、固形分60%(溶剤EA))7.0部、エチレン酢酸ビニル共重合体(B1)溶液(三井・デュポン ポリケミカル社製エバフレックスEV40W;VA含有量41%、NPAC/MCH=50/50で固形分20%に溶解したもの)15.0部、混合溶剤(MCH/MEK/NPAC=25/50/25)25.5部を攪拌混合し、ラミネート用印刷インキ組成物(C01)を得た。
EA:酢酸エチル
NPAC:酢酸n−プロピル
MCH:メチルシクロヘキサン
MEK:メチルエチルケトン
藍顔料(トーヨーカラー社製LIONOL BLUE FG−7330(C.Iピグメントブルー15:3))10.0部、エチレン酢酸ビニル共重合体(B1)溶液(三井・デュポン ポリケミカル社製エバフレックスEV40W;VA含有量41%、NPAC/MCH=50/50で固形分20%に溶解したもの)7.5部、塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B2)溶液(▼沾▲州北方塑料化工社製CEVA B−3;塩素化度30〜40、MEK/NPAC=50/50で固形分20%に溶解したもの)7.5部、ロジン(C1)溶液(荒川化学工業社製パインクリスタルKR−612;酸価165〜175、EAで固形分20%に溶解させたもの)12.5部、混合溶剤(MCH/MEK/NPAC=25/50/25)15.0部を撹拌混合しサンドミルで練肉した後、塩素化ポリプロピレン(A)溶液(日本製紙株式会社製 スーパークロン360T;塩素化度31、固形分60%(溶剤EA))7.0部、エチレン酢酸ビニル共重合体(B1)溶液(三井・デュポン ポリケミカル社製エバフレックスEV40W;VA含有量41%、NPAC/MCH=50/50で固形分20%に溶解したもの)7.5部、塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B2)溶液(▼沾▲州北方塑料化工社製CEVA B−3;塩素化度30〜40、MEK/NPAC=50/50で固形分20%に溶解したもの)7.5部、混合溶剤(MCH/MEK/NPAC=25/50/25)25.5部を攪拌混合し、ラミネート用印刷インキ組成物(C02)を得た。
表1に示した樹脂種類、配合比に変更する以外は実施例2と同様の操作にてラミネート用印刷インキ組成物(C03〜C10、C17〜C25)を得た。ただし、比較例1〜3ではロジンおよびロジン誘導体は使用しない。
パインクリスタルKR−612:
(荒川化学工業社製・ロジン)酸価165〜175mgKOH/g
パインクリスタルKE−359:
(荒川化学工業社製・ロジン誘導体)酸価10〜20mgKOH/g
ハリエスターMSR−4:
(ハリマ化成社製・ロジン誘導体)酸価120〜150mgKOH/g
ハリマックT−80:
(ハリマ化成社製・ロジン誘導体)酸価170〜200mgKOH/g
ハリマックAS−5:
(ハリマ化成社製・ロジン誘導体)酸価185〜210mgKOH/g
パインクリスタルKE−604:
(荒川化学工業社製・ロジン誘導体)酸価230〜245mgKOH/g
藍顔料(トーヨーカラー社製LIONOL BLUE FG−7330(C.Iピグメントブルー15:3))10.0部、塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B2)溶液(▼沾▲州北方塑料化工社製CEVA B−3;塩素化度30〜40、MEK/NPAC=50/50で固形分20%に溶解したもの)15.0部、ロジン(C1)溶液(荒川化学工業社製パインクリスタルKR−612;酸価165〜175、EAで固形分20%に溶解させたもの)12.5部、混合溶剤(MEK/NPAC=50/50)15.0部を撹拌混合しサンドミルで練肉した後、塩素化ポリプロピレン(A)溶液(日本製紙株式会社製 スーパークロン360T;塩素化度31、固形分60%(溶剤EA))7.0部、塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B2)溶液(▼沾▲州北方塑料化工社製CEVA B−3;塩素化度30〜40、MEK/NPAC=50/50で固形分20%に溶解したもの)15.0部、混合溶剤(MEK/NPAC=50/50)25.5部を攪拌混合し、ラミネート用印刷インキ組成物(C11)を得た。
表1に示した樹脂種類、配合比に変更する以外は実施例11と同様の操作にてラミネート用印刷インキ組成物(C12〜C16、C26)を得た。ただし、比較例4ではロジンおよびロジン誘導体は使用しない。
ラミネート用印刷インキ組成物をガラス瓶にサンプリングし密閉後40℃で7日間保存し、沈殿物の生成の有無の確認と、仕込み前後での粘度の差を評価した。なお、粘度は離合社製ザーンカップ#4を用いて測定した。△以上が実用範囲内である。
○ : 増粘、沈殿、分離が見られない。
△ : 僅かな増粘または僅かな沈殿または僅かな分離が見られるが、攪拌すれば元に戻る。
× : 増粘または硬い沈殿または分離が見られ、攪拌しても元に戻らない。
ラミネート用印刷インキ組成物を希釈溶剤(MCH/MEK/NPAC=25/50/25)にて、ザーンカップ#3において15秒に希釈した希釈インキを用意する。NBR(ニトリルブタジエンゴム)製のゴム硬度80Hsの圧胴、刃先の厚みが60μm(母材の厚み40μm、片側セラミック層の厚み10μm)のセラミックメッキドクターブレード、東洋FPP社製のクロム硬度1050Hvの電子彫刻版(スタイラス角度120度、250線/inch)、および各希釈インキを富士機械工業株式会社製グラビア印刷機にセットしドクター圧2kg/cm2、100m/分の回転速度で版を60分間空転した後に、コロナ処理ポリプロピレンフィルム(太閤FOR フタムラ#20)のコロナ処理面に、印刷速度100m/分で印圧2kg/cm2で印刷、60℃の熱風で乾燥し、印刷物を得た。印刷中は粘度コントローラーを用いて、希釈溶剤を適宜補充して一定の粘度を保っている。印刷後、印刷物を白色の紙の上に貼り、ハイライト部(1%網点〜10%網点)の着肉から目視判定した。判定基準は以下の通りとする。△以上が実用範囲内である。
○:印刷開始時より濃度があり、かつ印刷終了時に濃度の低下がほとんど認められない。
○△:印刷開始時および印刷終了時ともに同等の濃度を確保している。
△:印刷開始時には濃度があるが、印刷終了時に濃度の低下がやや認められる。
×: 印刷開始時には濃度があるが、印刷終了時に濃度の低下が大きい。
版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機によるコロナ処理ポリプロピレンフィルム(太閤FOR フタムラ#20)に印刷して40〜50℃で乾燥し、印刷物を得た。その後、ポリプロピレン「ノバテックFL02A」(日本ポリプロ株式会社製)にてアンカーコート剤なしでエクストルージョンラミネート加工を行い、得られたラミネート物を15mm幅に切断し、インテスコ株式会社製剥離試験機を用いて、T型剥離強度を測定した。△以上が実用範囲内である。
○:1.0 N/15mm以上
○△:0.8 N/15mm以上1.0N/15mm未満
△:0.5 N/15mm以上0.8N/15mm未満
×:0.5 N/15mm未満
ダイレクトPPラミネート強度試験にて用いた印刷物を用い、印刷物にセロハンテープ(ニチバン製 幅12mm)を貼り付け親指で5回強く擦った後、セロハンテープを引き離してインキ皮膜の剥離の程度を調べた。なお、△以上が実用範囲内である。
○:印刷物から全くインキの剥離が認められなかった
○△:印刷物から10%未満の面積でインキの剥離が認められた
△:印刷物から10%〜20%の面積でインキの剥離が認められた
×:20%以上の面積でインキの剥離が認められた
ダイレクトPPラミネート強度試験にて用いた印刷物を用い、印刷物を4cm×4cmにサンプリングし、このサンプルの印刷面と同じ大きさの未印刷フィルムの非処理面とを合わせて、40℃24時間、10kgfの加圧を行い、サンプルを剥離した時の、インキ取られ及び抵抗感を観察した。なお、△以上が実用範囲内である。
○:印刷物からインキの転移が全く認められず、剥離時の抵抗感もなかった
○△:印刷物からインキの転移が全く認められなかったが、剥離時の抵抗感があった
△:印刷物からインキの転移が、50%未満の面積で認められた
×:印刷物からインキの転移が、50%以上の面積で認められた
Claims (6)
- 塩素化ポリオレフィン(A)と、エチレン酢酸ビニル共重合体(B1)および/または塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B2)と、ロジン(C1)および/またはロジン誘導体(C2)と、有機溶剤とを含有するラミネート用印刷インキ組成物であって、
全樹脂固形分中のロジン(C1)および/またはロジン誘導体(C2)は、4〜40質量%であることを特徴とするラミネート用印刷インキ組成物。
(ただし、塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体(B2)はエチレン酢酸ビニル共重合体(B1)に塩素原子が導入された樹脂である) - 塩素化ポリオレフィン(A)の重量平均分子量は5000〜30000であることを特徴とする請求項1に記載のラミネート用印刷インキ組成物。
- エチレン酢酸ビニル共重合体(B1)における酢酸ビニルから誘導される構成単位の含有量は、(B1)総質量中、28〜50重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のラミネート用印刷インキ組成物。
- ロジン(C1)およびロジン誘導体(C2)の酸価が、100〜200mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のラミネート用印刷インキ組成物。
- 有機溶剤が、非芳香族であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のラミネート用印刷インキ組成物。
- プラスチックフィルムに、請求項1〜5いずれかに記載のラミネート用印刷インキ組成物を、グラビア印刷機を用いて印刷してなる印刷物。
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