JP4904356B2

JP4904356B2 - 制限された軸方向移動を有するカウンタトラックジョイント

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Publication number: JP4904356B2
Application number: JP2008529482A
Authority: JP
Inventors: ヴェッカーリングトーマス; エリルマツオルカン
Original assignee: GKN Driveline International GmbH
Current assignee: GKN Driveline International GmbH
Priority date: 2005-09-08
Filing date: 2006-06-22
Publication date: 2012-03-28
Anticipated expiration: 2026-06-22
Also published as: JP2009507195A; CN101326380B; DE102005042909B4; WO2007028435A1; CN101326380A; DE102005042909A1

Description

本発明は、カウンタトラックジョイント（Gegenbahngelenk）の形のボール等速回転ジョイントであって、第１の外側のボールトラックと第２の外側のボールトラックとを備えたジョイント外側部分と、第１の内側のボールトラックと第２の内側のボールトラックとを備えたジョイント内側部分とが設けられており、第１の外側のボールトラックが、第１の内側のボールトラックと共に第１のトラックペアを形成しており、該第１のトラックペアが、第１の軸方向Ｒｉ１に拡張しており、第２の外側のボールトラックが、第２の内側のボールトラックと共に第２のトラックペアを形成しており、該第２のトラックペアが、第２の軸方向Ｒｉ２に拡張しており、両トラックペア内にボールが案内されており、該ボールのボール中心点Ｚが、ジョイント中心点Ｍを中心として転がり円半径ＰＣＲに沿って位置しており、さらに、周方向に分配された複数のケージ窓を備えたボールケージが設けられており、該ボールケージ内に前記ボールが、１つの共通の平面Ｅに保持されていて、ジョイント屈曲時に、角度を二等分する平面へ案内されるようになっており、ジョイント外側部分とボールケージとの間およびボールケージとジョイント内側部分との間に、それぞれジョイント外側部分とジョイント内側部分との間の相対的な軸方向移動Ｓを可能にする軸方向遊びが設けられている形式のものに関する。

このような形式のジョイントは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第１００６０１２０号明細書に記載されている。この場合、軸方向の移動距離は、生ぜしめられる制御角度に関連して制限され得ることが前提とされている。このような形式のジョイントは軸方向の中間位置において軸方向力を伝達しなくなり、これによってパワートレーンにおける小さな振動を遮断するために適している。しかし、トルク負荷を受けての軸方向移動時では、軸方向力が形成されるので、再び軸方向振動の伝達が生じ得る。軸方向移動距離が過度に大きいと、軸方向力を有しない効果もしくは軸方向力が少ないことの効果は失われてしまう。

したがって、本発明の根底を成す課題は、冒頭で述べた形式のボール等速回転ジョイントを改良して、許容された移動範囲内に小さな軸方向力しか形成されなくなり、これにより当該ジョイントが、パワートレーンにおける振動遮断のために有効になり得るようなボール等速回転ジョイントを提供することである。

上記課題の解決手段は、冒頭で述べた形式のジョイントにおいて、軸方向遊びＳとボール（２０）の転がり円半径ＰＣＲとの間の比が、それぞれ当該ジョイントの伸長された状態で０．０１〜０．０９である（０．０１＜Ｓ／ＰＣＲ＜０．０９）ことを特徴とする、ボール等速回転ジョイントにある。ジョイントサイズに関連したこの軸方向移動距離が維持されると、ジョイントの作業範囲において軸方向合成力が過度に大きくなることが回避される。

本発明の有利な構成では、軸方向遊びＳとボールの転がり円半径ＰＣＲとの間の比が、それぞれ当該ジョイントの伸長された状態で０．０５よりも下である（Ｓ／ＰＣＲ＜０．０５）。トラックペアの開き角度の間の差が比較的小さくなると、軸方向力は特に低くなる。したがって、当該ジョイントの伸長された状態でジョイント外側部分とジョイント内側部分との間の相対的な軸方向移動の終端位置において、第１のトラックペアまたは第２のトラックペアの開き角度のうちのそれぞれ小さい方の開き角度αまたはβが、８゜よりも小さい（α＜８゜∨β＜８゜）ことが提案される。当該ジョイントの伸長された状態で、第１のトラックペアおよび第２のトラックペアの開き角度αおよびβの大きさが互いに等しくなる、ジョイント外側部分とジョイント内側部分との間の相対的な軸方向移動の中間位置、つまりセンタ位置において、前記両開き角度αおよびβが、８゜よりも小さい（α＜８゜∧β＜８゜）場合には、トラックペアの開き角度の一層の低減を達成することができる。

この場合、本発明の特に有利な構成では、ジョイント外側部分の内面、ジョイント内側部分の外面ならびにボールケージの外面および内面が、それぞれ球区分面であり、ジョイント外側部分とボールケージとの間の半径方向遊びＣＯＲおよびボールケージとジョイント内側部分との間の半径方向遊びＣＩＲが、それぞれ０．０１５〜０．２０ｍｍである。これによって、ジョイントの精密な製作を回避することができる。なぜならば、このような形式のジョイントにおいて案内機能を有するのではなく、軸方向ストッパとしてしか働かない相応する面を、変形加工または単純な旋削作業によって簡単に製作することができるからである。

特に、ジョイント外側部分において、機械的な加工のための所要の増分を有する変形加工の後にボールケージのための内側の球面状の案内面は専らソフトターニング加工され（weichgedreht）、かつ最終的に硬化（焼入れ）され、それに対してボールトラックは変形加工後に硬化されかつ研削加工されるだけである。案内面およびボールトラックの硬化もしくは焼入れは、唯１回の過程で誘導式に行われ得る。

別の有利な寸法設定によれば、トラックペア内でのボールの半径方向遊びＢＯが、−０．０３ｍｍ（プレス嵌め）〜０．０８ｍｍ（遊び嵌め）である。この値領域ならびに前で挙げた値範囲は、自動車分野のための、全てのジョイントに関して汎用的なサイズに適用される。

このように特徴付けられたカウンタトラックジョイントの有利なトラックデザインは、請求項８〜請求項１３に記載されている。

すなわち、トラックデザインの有利な実施態様では、第１の外側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１６が、中央部に半径Ｒ２を有する円弧を有しており、該円弧の中心点Ｏ２が、第１の方向で当該ジョイントの中心平面Ｅから所定の軸方向オフセット分だけずらされて位置しており、該円弧に続いて第１の外側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１６が、第１の方向で前記半径Ｒ２から徐々に半径方向内側へ向かって偏倚しており、第１の内側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１７が、中央部に半径Ｒ２´を有する円弧を有しており、該円弧の中心点Ｏ２´が、第２の方向で当該ジョイントの中心平面Ｅから所定の軸方向オフセット分だけずらされて位置しており、該円弧に続いて第１の内側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１７が、第２の方向で前記半径Ｒ２´から徐々に半径方向内側へ向かって偏倚している。

この場合、有利には、第１の外側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１６が、半径Ｒ２を有する円弧に第１の方向で続いて、同じ湾曲方向を有する、より小さな半径Ｒ３を有する円弧を有しており、該円弧が、半径Ｒ２を有する円弧に滑らかに続いており、第１の内側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１７が、半径Ｒ２´を有する円弧に第２の方向で続いて、同じ湾曲方向を有する、より小さな半径Ｒ３´を有する円弧を有しており、該円弧が、半径Ｒ２´を有する円弧に滑らかに続いている。

さらに有利な実施態様では、第１の外側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１６が、半径Ｒ２を有する円弧に第２の方向で続いて、該半径Ｒ２から徐々に半径方向外側へ向かって偏倚しており、第１の内側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１７が、半径Ｒ２´を有する円弧に第１の方向で続いて、該半径Ｒ２´から徐々に半径方向外側へ向かって偏倚している。

特に有利な実施態様では、第１の外側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１６が、半径Ｒ２を有する円弧に第２の方向で続いて、逆向きの湾曲方向を有する半径Ｒ１を有する円弧を有しており、該円弧が、半径Ｒ２を有する円弧に滑らかに続いていて、その中心点Ｏ１が、中心点Ｏ２を中心とした前記半径Ｒ２によって描かれる円の外側に位置しており、第１の内側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１７が、半径Ｒ２´を有する円弧に第１の方向で続いて、逆向きの湾曲方向を有する半径Ｒ１´を有する円弧を有しており、該円弧が、半径Ｒ２´を有する円弧に滑らかに続いていて、その中心点Ｏ１´が、中心点Ｏ２´を中心とした前記半径Ｒ２´によって描かれる円の外側に位置している。

トラックデザインの別の有利な実施態様では、第２の外側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１８が、中央部に半径Ｒ５を有する円弧を有しており、該円弧の中心点Ｏ５が、第２の方向で当該ジョイントの中心平面Ｅから所定の軸方向オフセット分だけずらされて位置しており、さらに該円弧に続いて第２の外側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１８が、第２の方向で前記半径Ｒ５から徐々に半径方向外側へ向かって偏倚しており、第２の内側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１９が、中央部に半径Ｒ５´を有する円弧を有しており、該円弧の中心点Ｏ５´が、第１の方向で当該ジョイントの中心平面Ｅから所定の軸方向オフセット分だけずらされて位置しており、さらに該円弧に続いて第２の内側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１９が、第１の方向で前記半径Ｒ５´から徐々に半径方向外側へ向かって偏倚している。

この場合、有利には、第２の外側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１８が、半径Ｒ５を有する円弧に第２の方向で続いて、逆向きの湾曲方向を有する半径Ｒ４を有する円弧を有しており、該円弧が、半径Ｒ５を有する円弧に滑らかに続いていて、その中心点Ｏ４が、中心点Ｏ５を中心とした前記半径Ｒ５によって描かれる円の外側に位置しており、第２の内側のボールトラックのトラック中心線Ｍ１９が、半径Ｒ５´を有する円弧に第１の方向で続いて、逆向きの湾曲方向を有する半径Ｒ４´を有する円弧を有しており、該円弧が、半径Ｒ５´を有する円弧に滑らかに続いていて、その中心点Ｏ４´が、中心点Ｏ５´を中心とした前記半径Ｒ５´によって描かれる円の外側に位置している。

これによって、大きな屈曲角度が可能となり、そしてこのような大きな屈曲角度においても軸方向移動位置に配慮することなく、トラック力によるボールの良好な制御、ひいてはジョイントの信頼性の良い制御が維持されることが確保される。前記トラックデザインはこれまで、軸方向移動可能性なしの固定式ボール等速回転ジョイントのためにしか提案されていなかった（ドイツ連邦共和国特許出願公開第１０３３７６１２号明細書）。

当該ジョイントは有利には６つのボールまたは８つのボールを用いて形成され得る。この場合、有利には、３つの第１のトラックペアと、３つの第２のトラックペアとが設けられており、これらの第１のトラックペアと第２のトラックペアとが、全周にわたって交互に配置されているか、または４つの第１のトラックペアと、４つの第２のトラックペアとが設けられており、これらの第１のトラックペアと第２のトラックペアとが、全周にわたって交互に配置されている。

以下に、本発明の有利な実施例を図面につき詳しく説明する。

図１は、本発明によるカウンタトラックジョイントの、６つのボールを有する第１実施例を、
ａ）向かい合って位置するボールトラックの、平らな断面線に沿って断面した縦断面図、
ｂ）ボールケージの展開図、
ｃ）１つのケージ窓と１つのケージウェブとを通る屈曲された断面線に沿って断面した縦断面図、
ｄ）上記ｃ）の一部の拡大詳細図
の形で示す図であり；
図２は、図１に示した第１実施例によるカウンタトラックジョイントを、軸方向移動された位置において、
ａ）向かい合って位置するボールトラックの、平らな断面線に沿って断面した縦断面図、
ｂ）ボールケージの展開図、
ｃ）１つのケージ窓と１つのケージウェブとを通る屈曲された断面線に沿って断面した縦断面図
の形で示す図であり；
図３は、図１および図２に示した第１実施例によるカウンタトラックジョイントを、１つのケージ窓と１つのケージウェブとを通る屈曲された断面線に沿って断面した縦断面図において、
ａ）軸方向に最大に移動させられた第１の位置、
ｂ）軸方向の中間位置もしくはセンタ位置、
ｃ）軸方向に最大に移動させられた第２の位置、
ｄ）上記ｂ）の一部の拡大詳細図
で示す図であり；
図４は、図１〜図３に示した第１実施例によるカウンタトラックジョイントを、１つのケージ窓と１つのケージウェブとを通る屈曲された断面線に沿って断面した縦断面図において、補足的な寸法データの書込みと共に
ａ）軸方向に最大に移動させられた第１の位置、
ｂ）軸方向の中間位置もしくはセンタ位置、
ｃ）軸方向に最大に移動させられた第２の位置
で示す図であり；
図５は、図１〜図４に示した第１実施例によるカウンタトラックジョイントを
ａ）図３のｂ）および図４のｂ）に相当する図、
ｂ）上記ａ）の一部の拡大詳細図
で示す図であり；
図６は、図１〜図５に示した第１実施例によるカウンタトラックジョイントを
ａ）図５のａ）に相当する図、
ｂ）上記ａ）の一部の拡大詳細図
で示す図であり；
図７は、本発明によるカウンタトラックジョイントの、６つのボールと、特殊なトラック形状とを有する第２実施例を
ａ）縦断面図、
ｂ）横断面図
で示す図であり；
図８は、本発明によるカウンタトラックジョイントの、特殊なトラック形状と８つのボールとを有する第３実施例を
ａ）Ａ−Ａ線に沿った縦断面図、
ｂ）Ｂ−Ｂ線に沿った第２のトラックペアの縦断面図、
ｃ）軸方向図
で示す図であり；
図９は、図７に示したカウンタトラックジョイントを、ボール中心線の書込みと共に、
ａ）縦断面図、
ｂ）ジョイント外側部分の詳細な縦断面図、
ｃ）ジョイント内側部分の詳細な縦断面図
で示す図である。

以下に、図１のａ）、ｂ）、ｃ）を一緒に説明する。本発明によるカウンタトラックジョイント（対向軌道型ジョイント）１１は、一体成形された底部１３を備えたジョイント外側部分１２と、差し込まれたシャフト１５を備えたジョイント内側部分１４と、第１のトラックペア（軌道対）と、第２のトラックペアとを有している。第１のトラックペアは第１の外側のボールトラック１６と第１の内側のボールトラック１７とから成っており、これらのボールトラック１６，１７はジョイント中心平面Ｅにおいて第１の軸方向Ｒｉ１で底部１３に向かって開いている。第２のトラックペアは第２の外側のボールトラック１８と第２の内側のボールトラック１９とから成っており、これらのボールトラック１８，１９はジョイント中心平面Ｅにおいて第２の軸方向Ｒｉ２でシャフト１５に向かって開いている。複数の第１のトラックペアおよび第２のトラックペアがジョイント全周にわたって分配されている。ジョイント中心平面Ｅにおける第１のトラックペア１６，１７の開き角度は「α」で示されており、ジョイント中心平面Ｅにおける第２のトラックペア１８，１９の開き角度は「β」で示されている。これらのトラックペア内には、第１のボール２０_１および第２のボール２０_２が嵌め込まれており、これらのボール２０は、周方向分配された複数のケージ窓２２を備えたボールケージ２１により共通のジョイント中心平面Ｅに保持される。さらに、伸長されたジョイントの中心軸線Ａが示されており、この中心軸線Ａはジョイント中心点Ｍにおいてジョイント中心平面Ｅに交差する。トルク伝達時に、第１のボール２０_１には、底部１３に向かう方向で力Ｆ１が加えられ、第２のボール２０_２には、シャフト１５に向かう方向で力Ｆ２が加えられる。ジョイントの図示のセンタ位置では、両角度α，βの大きさが等しいことに基づき、両力Ｆ１，Ｆ２の大きさは互いに等しくなるので、ボールケージ２１に加えられる全ての軸方向力ＦＣの総和はゼロに等しくなる。図１のｃ）およびｄ）から判るように、ボールケージ２１はジョイント外側部分１２に対しても、ジョイント内側部分１４に対しても、半径方向遊びを有しており、これにより軸方向遊びをも有している。この場合、ジョイント外側部分１２とジョイント内側部分１４との間の全軸方向遊びは「Ｓ」で示される。図示の実施例では、ジョイント外側部分１２が球面状の内面２３を有しており、ジョイント内側部分１４が球面状の外面２４を有している。さらに、ボールケージ２１は球面状の外面２５と球面状の内面２６とを有している。

図２において、図１における構成要素と同一の構成要素は図１の場合と同じ符号で示されおり、これらの構成要素については図１につき説明した通りである。以下に、図２のａ）、ｂ）、ｃ）を一緒に説明する。この場合、ジョイントは、ジョイント内側部分１４が、ジョイント外側部分１２に関連したジョイント中心平面Ｅに対して軸方向の移動距離Ｓ２分だけ第１の方向に移動させられている位置で図示されている。このような移動に基づき、第１のトラックペア１６，１７の開き角度αは小さくなり、第２のトラックペア１８，１９の開き角度βは大きくなる。このことから、トルク伝達時には、第１のボール２０_１に作用する軸方向力Ｆ１はそれぞれ減少し、第２のボール２０_２に作用する軸方向力Ｆ２はそれぞれ増大する。これによって、軸方向力ＦＣの総和はゼロに等しくなくなって、シャフト１５の方向に向けられている。この位置においてはケージを、ひいてはジョイントを全体的にもはや軸方向力なしに移動させることができなくなる。

図３において、図１および図２における構成要素と同一の構成要素は図１および図２の場合と同じ符号で示されており、これらの構成要素については前で説明した通りであるので詳しい説明を省略する。図３のｂ）には、図１ｃ）に示した軸方向のセンタ位置におけるジョイントの軸方向断面図が示されている。この拡大詳細図から判るように、ジョイント内側部分１４はボールケージ２１に対して軸方向遊びＳ１ｉ，Ｓ２ｉを有している。さらに、この拡大詳細図から判るように、ボールケージ２１はジョイント外側部分１２に対して軸方向遊びＳ１ｏ，Ｓ２ｏを有している。このことから判るように、図３のａ）に示した、一方の方向への最大移動距離Ｓ１は軸方向遊びＳ１ｉ，Ｓ１ｏからの総和に相当しており、図３のｃ）に示した逆方向への最大移動距離Ｓ２はＳ２ｉ，Ｓ２ｏからの総和として生ぜしめられる。終端位置においては、それぞれボールケージ２１がジョイント内側部分１４および／またはジョイント外側部分１２に当接する。全移動距離ＳはＳ１とＳ２とからの総和として得られる。この場合、Ｓは一方のストッパから他方のストッパへの、ジョイント外側部分１２に対するジョイント内側部分１４の移動量を意味する。

図４において、図１〜図３における構成要素と同一の構成要素は図１〜図３の場合と同じ符号で示されており、これらの構成要素については前で説明した通りであるので詳しい説明を省略する。図４のａ）、ｂ）およびｃ）は図３のａ）、ｂ）およびｃ）にほぼ相当している。図４のｂ）には、ジョイントの伸長された状態における中心軸線Ａからボール中心点Ｚまでのボールの転がり円半径ＰＣＲが付加的に書き込まれている。最大移動距離Ｓ＝Ｓ１＋Ｓ２と転がり円半径ＰＣＲとの間の構造的な比に関する本発明による範囲が、０．０１＜Ｓ／ＰＣＲ＜０．０９であることが記載されている。

図５において、図１〜図４における構成要素と同一の構成要素は図１〜図４の場合と同じ符号で示されており、これらの構成要素については前で説明した通りであるので詳しい説明を省略する。図５のａ）は図４のｂ）に相当している。図５のｂ）に示した拡大詳細図には、ジョイント内側部分１４の外側の球面２４と、ボールケージ２１の内側の球面２６との間の半径方向遊びＣＩＲならびにボールケージ２１の外側の球面２５とジョイント外側部分１２の内側の球面２３との間の半径方向遊びＣＯＲが示されている。この場合、前記遊びに関する大きさ範囲は、０．０１５＜ＣＩＲ＜０．２０および０．０１５＜ＣＯＲ＜０．２０であることが記載されており、ただしこれらのデータ値はそれぞれミリメートルに関する。

図６において、図１〜図５における構成要素と同一の構成要素は図１〜図５の場合と同じ符号で示されており、これらの構成要素については前で説明した通りであるので詳しい説明を省略する。図６のａ）は図４のｂ）に相当しており、この場合、図６のｂ）には拡大詳細図が示されている。図６のｂ）には、トラックペア１６，１８内でのボールの半径方向遊びＢＯならびにケージ窓２２内でのボール２０_１の軸方向遊びＢＣが記載されており、この場合、ＢＣの値は−０．０３＜ＢＣ＜０．１であることが記載されており、ＢＯの値は−０．０３＜ＢＯ＜０．０８であることが記載されており、ただしこれらのデータ値はそれぞれミリメートルに関する。

図７には、６つのトラックペア１６，１７；１８，１９を備えた、つまり６つのボール２０を備えた本発明によるカウンタトラックジョイントが縦断面図ならびに平面図で図示されている。第１のトラックペアおよび第２のトラックペアは全周にわたって交互に設けられている。図１〜図６における構成要素と同一の構成要素は図１〜図６の場合と同じ符号で示されており、これらの構成要素については前で説明した通りであるので詳しい説明を省略する。

図８には、８つのボール２０を備えた本発明によるカウンタトラックジョイントが図示されており、この場合、図８のａ）は図８のｃ）のＡ−Ａ線に沿って断面した第１のトラックペア１６，１７の縦断面図であり、図８のｂ）は図８のｃ）のＢ−Ｂ線に沿って断面した第２のトラックペア１８，１９の縦断面図である。第１のトラックペアと第２のトラックペアとが全周にわたって交互に設けられている。図１〜図６における構成要素と同一の構成要素は図１〜図６の場合と同じ符号で示されており、これらの構成要素については前で説明した通りであるので詳しい説明を省略する。

図９には、図７に示したジョイントが示されている。この場合、以下に述べるボールトラックのトラック中心線に関する詳細は、図８に示したジョイントにも云える。ジョイント外側部分１２に設けられた、図示の第１の外側のボールトラック１６の中心線Ｍ１６は、長手方向軸線Ａに沿ってジョイント中心平面Ｅに対して底部へ向かって軸方向にオフセットされて配置された中心点Ｏ２を有する第１の半径Ｒ２を有する円弧と、この円弧に連続的に、つまり滑らかに続いている、底部に向かって第１の半径Ｒ２の中心点Ｏ２と同じ軸方向オフセットを有する中心点Ｏ３を有する、第１の半径Ｒ２よりも小さな半径Ｒ３を有する円弧と、対向半径Ｒ１を有する円弧とから成っており、この対向半径Ｒ１の中心点Ｏ１はジョイント中心平面Ｅに対して、半径Ｒ２，Ｒ３を有する円弧の中心点Ｏ２，Ｏ３とは反対方向に向かって、つまり開口側に向かって、軸方向のオフセットを有しており、そして前記対向半径Ｒ１の中心点Ｏ１は中心点Ｏ２を中心として半径Ｒ２を持って描かれる円の外側に位置している。ジョイント内側部分１４から判るように、図示の第１の内側のボールトラック１７の中心線Ｍ１７は外側のボールトラック１６の中心線に対してジョイント中心平面Ｅを挟んで鏡像対称的に、つまり中心点Ｏ２´，Ｏ３´，Ｏ１´を中心とした半径Ｒ２´，Ｒ３´，Ｒ１´を有する円弧から同一に、ただし対称的に構成されている。第２の外側のボールトラック１８の中心線Ｍ１８は、長手方向軸線Ａに中心点Ｏ５を有する第１の半径Ｒ５を有する円弧を有しており、この中心点Ｏ５は半径Ｒ２を有する円弧の中心点Ｏ２のオフセットとは逆向きに、つまり開口側へ向かって位置する軸方向オフセットを有している。

半径Ｒ５を有する円弧には、開口側へ向かって、対向半径Ｒ４を有する円弧が続いている。この円弧の中心点Ｏ４は中心点Ｏ５を有する半径Ｒ５によって描かれる円の外側に位置していて、同じ方向に位置する、ジョイント中心平面Ｅに対する軸方向オフセットを有している。図面から判るように、ジョイント内側部分１４に設けられた第２の内側のボールトラック１９の中心線Ｍ１９は第２の外側のボールトラック１８の中心線Ｍ１８に対して鏡像対称的な特性を有しており、すなわち中心点Ｏ５´，Ｏ４´を中心とした半径Ｒ５´，Ｒ４´を有する円弧から、ただしジョイント中心平面Ｅを挟んで鏡像対称的に構成されている。第１の外側のボールトラック１６と第１の内側のボールトラック１７とはジョイント中心平面Ｅにおいて、第１の方向Ｒｉ１に開いている図示の開き角度αを形成しており、それに対して、第２の外側のボールトラック１８と第２の内側のボールトラック１９とはジョイント中心平面Ｅにおいて、逆向きにＲｉ２の方向に開いた開き角度βを形成している。本発明によるケージ遊びにより可能となる、このような本発明によるボール等速回転ジョイントの軸方向移動時には、両開き角度が互いに逆方向に変化し、この場合、このジョイントは、軸方向力なしの位置から、戻し力が生じる位置へ移行する。

上で使用した表現「軸方向オフセット」とは、「軸方向間隔」もしくは「軸方向ずれ」と同意義である。

本発明によるカウンタトラックジョイントの、６つのボールを有する第１実施例を、ａ）向かい合って位置するボールトラックの、平らな断面線に沿って断面した縦断面図、ｂ）ボールケージの展開図、ｃ）１つのケージ窓と１つのケージウェブとを通る屈曲された断面線に沿って断面した縦断面図、ｄ）上記ｃ）の一部の拡大詳細図の形で示す図である。図１に示した第１実施例によるカウンタトラックジョイントを、軸方向移動された位置において、ａ）向かい合って位置するボールトラックの、平らな断面線に沿って断面した縦断面図、ｂ）ボールケージの展開図、ｃ）１つのケージ窓と１つのケージウェブとを通る屈曲された断面線に沿って断面した縦断面図の形で示す図である。図１および図２に示した第１実施例によるカウンタトラックジョイントを、１つのケージ窓と１つのケージウェブとを通る屈曲された断面線に沿って断面した縦断面図において、ａ）軸方向に最大に移動させられた第１の位置、ｂ）軸方向の中間位置もしくはセンタ位置、ｃ）軸方向に最大に移動させられた第２の位置、ｄ）上記ｂ）の一部の拡大詳細図で示す図である。図１〜図３に示した第１実施例によるカウンタトラックジョイントを、１つのケージ窓と１つのケージウェブとを通る屈曲された断面線に沿って断面した縦断面図において、補足的な寸法データの書込みと共にａ）軸方向に最大に移動させられた第１の位置、ｂ）軸方向の中間位置もしくはセンタ位置、ｃ）軸方向に最大に移動させられた第２の位置で示す図である。図１〜図４に示した第１実施例によるカウンタトラックジョイントをａ）図３のｂ）および図４のｂ）に相当する図、ｂ）上記ａ）の一部の拡大詳細図で示す図である。図１〜図５に示した第１実施例によるカウンタトラックジョイントをａ）図５のａ）に相当する図、ｂ）上記ａ）の一部の拡大詳細図で示す図である。本発明によるカウンタトラックジョイントの、６つのボールと、特殊なトラック形状とを有する第２実施例をａ）縦断面図、ｂ）横断面図で示す図である。本発明によるカウンタトラックジョイントの、特殊なトラック形状と８つのボールとを有する第３実施例をａ）Ａ−Ａ線に沿った縦断面図、ｂ）Ｂ−Ｂ線に沿った第２のトラックペアの縦断面図、ｃ）軸方向図で示す図である。図７に示したカウンタトラックジョイントを、ボール中心線の書込みと共に、ａ）縦断面図、ｂ）ジョイント外側部分の詳細な縦断面図、ｃ）ジョイント内側部分の詳細な縦断面図で示す図である。

符号の説明

１１カウンタトラックジョイント
１２ジョイント外側部分
１３底部
１４ジョイント内側部分
１５シャフト
１６第１の外側のボールトラック
１７第１の内側のボールトラック
１８第２の外側のボールトラック
１９第２の内側のボールトラック
２０ボール
２１ボールケージ
２２ケージ窓
２３内側の球面（１２）
２４外側の球面（１４）
２５外側の球面（２１）
２６内側の球面（２１）

Claims

カウンタトラックジョイントの形のボール等速回転ジョイント（１１）であって、第１の外側のボールトラック（１６）と第２の外側のボールトラック（１８）とを備えたジョイント外側部分（１２）と、第１の内側のボールトラック（１７）と第２の内側のボールトラック（１９）とを備えたジョイント内側部分（１４）とが設けられており、第１の外側のボールトラック（１６）が、第１の内側のボールトラック（１７）と共に第１のトラックペア（１６，１７）を形成しており、該第１のトラックペア（１６，１７）が、第１の軸方向Ｒｉ１に拡張しており（α）、第２の外側のボールトラック（１８）が、第２の内側のボールトラック（１９）と共に第２のトラックペア（１８，１９）を形成しており、該第２のトラックペア（１８，１９）が、第２の軸方向Ｒｉ２に拡張しており（β）、両トラックペア内に複数のボール（２０）が案内されており、該ボール（２０）のボール中心点Ｚが、ジョイント中心点Ｍを中心とした転がり円半径ＰＣＲに位置しており、さらに、周方向に分配された複数のケージ窓（２２）を備えたボールケージ（２１）が設けられており、該ボールケージ（２１）内に前記ボール（２０）が、１つの共通の平面Ｅに保持されていて、ジョイント屈曲時に、角度を二等分する平面へ案内されるようになっており、ジョイント外側部分（１２）とボールケージ（２１）との間およびボールケージ（２１）とジョイント内側部分（１４）との間に、それぞれジョイント外側部分（１２）とジョイント内側部分（１４）との間の相対的な軸方向移動Ｓを可能にする軸方向遊びが設けられている形式のものにおいて、
軸方向遊びＳとボール（２０）の転がり円半径ＰＣＲとの間の比が、それぞれ当該ジョイントの伸長された状態で０．０１〜０．０９であり（０．０１＜Ｓ／ＰＣＲ＜０．０９）、当該ジョイントの伸長された状態で、第１のトラックペア（１６，１７）および第２のトラックペア（１８，１９）の開き角度αおよびβの大きさが互いに等しくなる、ジョイント外側部分（１２）とジョイント内側部分（１４）との間の相対的な軸方向移動の中間位置もしくはセンタ位置において、前記両開き角度αおよびβが、８゜よりも小さい（α＜８゜∧β＜８゜）ことを特徴とするボール等速回転ジョイント。