JP4902969B2 - クロロフルオロカーボンの分解処理方法およびそのための分解処理剤 - Google Patents

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Description

本発明は、クロロフルオロカーボンを分解処理するための方法および処理剤に関する。
クロロフルオロカーボンは、不燃性・無毒性であることから理想的なガスとして、冷媒、噴霧剤、消化剤、発泡剤等に非常に幅広く用いられている。しかし、使用済みのクロロフルオロカーボンは、その化学的安定性ゆえに大気中で分解されにくいため、オゾン層を破壊し、また温室効果ガスとして地球温暖化を招く等、地球環境に対する深刻な影響が懸念されている。このため、クロロフルオロカーボンの代替品の開発と並行して、使用済みのクロロフルオロカーボンを有効に分解処理する技術の開発が急務とされている。
現在実用化されているクロロフルオロカーボン分解プロセスは、クロロフルオロカーボンを水蒸気存在下で高温処理する加水分解反応が主流である。クロロフルオロカーボンを加水分解すると、例えば、
CCl+2HO−−−>2HF+2HCl+CO
のようにHF、HClのような酸性ガスが生成する。生成した酸性ガスは、NaOHで中和処理されることによりNaCl、NaFに転化される。NaClはそのまま排水として処理される。NaFは、排水に流すことができないため、Ca(OH)で処理されて固体CaFに転化される。このように、現行のクロロフルオロカーボン分解プロセスでは、分解反応後の中和処理に追加の工程が必要となる上、分解時にHF、HClが生成するため、処理装置に高価な耐腐食性材料を採用しなければならず、処理コストの増大を招く。さらにHF、HClの生成は、安全面、環境面でも問題がある。
加水分解によらないクロロフルオロカーボン分解法として、極少量のフッ酸を加えて加熱し、粒子表面の一部をMgFに変化させたMgOをクロロフルオロカーボンと反応させることにより、
CCl+MgO−−−>1/2CO+1/2CCl+MgF
のようにフッ素をアルカリ土類金属塩として固定化する方法も報告されている(玉井他、Bull. Chem. Soc. Jpn.、77、1239、2004)。アルカリ土類金属ハロゲン化物は比較的高温でも安定で無害であることから、ハロゲンをアルカリ土類金属塩として固定化する方法は望ましい方法である。玉井他の方法は、塩基性物質であるMgOの表面をフッ酸と反応させて表面の一部をMgFに変化させることでMgOに酸点を付与することにより、MgOのクロロフルオロカーボンに対する反応性を高めることに成功したものである。しかし、玉井他の方法では、フッ素はMgFとして固定化することができるが、塩素が有害な四塩化炭素として残存する。塩素を固定化するためには、例えば、生成したCClにCaOを反応させることにより、
CCl+2CaO−−−>CaCl+CO
のように塩素を塩化カルシウムとして固定化する追加の処理工程が必要となる(B.M. Weckhuysen他、J. Phys. Chem. B、102、3773、1998)。
クロロフルオロカーボンのフッ素と塩素を単一反応系で一度に固定化する方法として、酸化バナジウムのような遷移金属酸化物を担持させたMgOをクロロフルオロカーボンと反応させることにより、
CCl+2MgO−−−>CO+MgCl+MgF
のようにフッ素と塩素を効率的に固定化する方法が報告されている(玉井他、Chem. Lett.、32、436、2003)。しかし、この方法では、CClが過剰になる(MgOの転化率が一定値を超える)と、
CCl+MgCl−−−>CCl+MgF
のように、一度固定化された塩素が四塩化炭素に転化してしまう。また、クロロフルオロカーボンの分解反応中に酸化バナジウムが揮発するという実用上好ましくない問題もある。
玉井他、Bull. Chem. Soc. Jpn.、77、1239、2004 B.M. Weckhuysen他、J. Phys. Chem. B、102、3773、1998 玉井他、Chem. Lett.、32、436、2003
本発明の目的は、クロロフルオロカーボンの分解処理法として、上述した酸性ガスや四塩化炭素等の有害物質を一切生成することなく、フッ素と塩素を単一反応系において安定で無害なアルカリ土類金属塩として固定化することができる方法およびそのための分解処理剤を提供することにある。
本発明によると、クロロフルオロカーボンを、硫酸またはリン酸で酸処理された酸化マグネシウムと酸化カルシウムとの混合物で処理することを特徴とする、クロロフルオロカーボンの分解処理方法が提供される。
さらに本発明によると、硫酸またはリン酸で酸処理された酸化マグネシウムと酸化カルシウムとの混合物を含んでなる、クロロフルオロカーボンの分解処理剤が提供される。
本発明によると、HF、HCl等の酸性ガスや四塩化炭素等の有害物質を一切生成することなく、クロロフルオロカーボン中のフッ素と塩素を単一反応系において安定で無害なアルカリ土類金属塩として固定化することができる。本発明の方法は、耐腐食性を要しない簡便な装置で実施することができ、分解処理剤も安価に調製することができ、しかも遷移金属を含まないので環境負荷も小さい。
本発明によるクロロフルオロカーボンの分解処理方法は、クロロフルオロカーボンを、硫酸またはリン酸で酸処理された酸化マグネシウムと酸化カルシウムとの混合物で処理することを特徴とする。クロロフルオロカーボンは、塩素化およびフッ素化されたメタンやエタンの総称であって一般に式CCl4−nまたはCCl6−nで表わされるが、なかには水素や臭素が含まれるものもあり、そのようなクロロフルオロカーボンも本発明による分解処理対象となる。クロロフルオロカーボンの具体例として、CClF、CCl、CClF、CClF−CF、CClF−CClF、CClF−CClF等が挙げられる。クロロフルオロカーボンは、単独で処理しても、2種以上の混合物として処理してもよい。クロロフルオロカーボンは、分解処理に際し、キャリアガスとの混合ガスとして処理することが好ましい。キャリアガスとしては、乾燥空気、ヘリウム、窒素、アルゴン等を用いることができる。キャリアガスとの混合ガス中、クロロフルオロカーボンの濃度は0.1体積%以上であることが好ましく、0.5体積%以上であることがさらに好ましい。クロロフルオロカーボンは、キャリアガスで希釈することなく100%クロロフルオロカーボンとして処理することもできる。
本発明によると、このようなクロロフルオロカーボンを、硫酸またはリン酸で酸処理された酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)との混合物で処理する。MgOを硫酸(HSO)またはリン酸(HPO)で酸処理することにより、塩基性物質であるMgOの表面に酸点が付与され、よって酸処理されたMgOのクロロフルオロカーボンに対する触媒活性が向上する。酸点の量または酸強度は、昇温脱理法(TPD)においてアンモニア(NH)を吸着させる方法(以下「NH−TPD法」という。)により測定することができる。本願明細書においては、便宜上、硫酸またはリン酸で酸処理されたMgOを、それぞれMgSO-MgOおよびMg(PO-MgOのように表示する。MgOの酸処理量としては、NH−TPD法で測定されるNH吸着量が、単位BET表面積当たり好適には0.1マイクロモル/m以上、より好適には0.3マイクロモル/m以上、さらに好適には0.5マイクロモル/m以上となるような処理量とする。NH吸着量が、単位BET表面積当たり0.1マイクロモル/mより少ないと、所期のクロロフルオロカーボン分解反応が進行しない。なお、NH吸着量の上限に特に制限はない。
酸処理は、粒状のMgOを水に懸濁させ、これに硫酸またはリン酸を所定量添加して撹拌混合した後、水分を蒸発させることで実施することができる。その際、硫酸またはリン酸の添加量を変えることによりMgOの酸処理量を調節することができる。撹拌混合は、室温で、1〜24時間、好ましくは3〜18時間程度行えばよい。水分蒸発は、70〜90℃程度に加熱して行うことができる。水分蒸発後の酸処理されたMgOには、水酸化マグネシウムMg(OH)が含まれるため、その脱水処理のため、水分蒸発後に乾燥、焼成処理を施すことが好ましい。乾燥は、大気雰囲気中、100〜120℃程度に加熱して行うことができる。また焼成は、大気雰囲気中、500〜700℃で2〜5時間処理することにより行うことができる。
酸処理されたMgOの形状は、クロロフルオロカーボンの分解処理工程の通気性および接触効率の点から粒状であることが好ましい。その場合の粒径としては、当業者であれば通気性および接触効率のバランスを考慮して適当な範囲を決定することができるが、一般に粒径が0.01mm未満では圧力損失の不利益が大きくなり好ましくなく、反対に10mmを超えると接触効率が低下するため分解処理能力が損なわれるので好ましくない。酸処理MgOの粒径は、好ましくは0.01〜10mm、より好ましくは0.1〜6mmの範囲である。
このように硫酸またはリン酸で酸処理されたMgOに酸化カルシウム(CaO)を混合することにより、クロロフルオロカーボンの分解処理剤を得る。混合するCaOに特に制限はないが、クロロフルオロカーボンの分解処理工程の通気性および接触効率の点から、酸処理MgOと同様に、形状が粒状であること、そしてその粒径は、好ましくは0.01〜10mm、より好ましくは0.1〜6mmの範囲であることが好ましい。また、酸処理MgOとの混合を容易にするために、両者の粒径の差を小さくすることが好ましく、さらに両者の粒径をほぼ同一とすることがより好ましい。
酸処理MgOとCaOとの混合割合は、モル比として一般に1:20〜5:1、好ましくは1:5〜2:1の範囲内にすればよい。酸処理MgOに付与された酸点の量が多い場合には、酸処理MgOの混合モル比を小さく、したがってCaOの混合モル比を大きくすることができる。酸処理MgOの混合モル比が上記範囲の下限を外れると、クロロフルオロカーボンに対する分解反応性が低下する。反対に、酸処理MgOの混合モル比が上記範囲の上限を外れると、CaOが不十分となり、ハロゲンの吸収固定効率が低下する。酸処理MgOとCaOとの混合方法については、両者の物理混合物が均質に形成される方法であれば特に制限はない。
本発明による分解処理法では、クロロフルオロカーボンに含まれるハロゲン(フッ素および塩素)がすべて酸化カルシウムに吸収される形で固定化される。これは、Mgのハロゲン化物(MgF、MgClF等)よりもCaのハロゲン化物(CaF、CaClF等)の方が熱力学的に安定であることによる。実質的に、酸処理MgOはクロロフルオロカーボンの分解反応の触媒としてのみ関与する。また本発明による分解処理法の生成物は、クロロフルオロカーボンに含まれるフッ素と塩素の比率によって異なる。したがって、例えばクロロフルオロカーボンがCClである場合、分解反応式は主として
CCl+2CaO−−−>2CaClF+CO(但し、CaClFの一部がCaFとCaClに分かれる場合はある。)
となり、例えばクロロフルオロカーボンがCClFである場合、分解反応式は主として
CClF+2CaO−−−>CaClF+CaCl+CO(但し、CaClFの一部がCaFとCaClに分かれる場合はある。)
となり、例えばクロロフルオロカーボンがCClFである場合、分解反応式は主として
CClF+2CaO−−−>CaClF+CaF+CO(但し、CaClFの一部がCaFとCaClに分かれる場合はある。)
となる。このように、本発明の方法によると、遷移金属酸化物を用いることなく、またHClやHFといった酸性ガスや四塩化炭素等の有害物質を一切生成することなく、フッ素と塩素を単一反応系において安定で無害なアルカリ土類金属(Ca)塩として固定化することができる。
本発明による分解処理法では、酸点を付与させた酸処理MgOのクロロフルオロカーボンに対する触媒活性が高いため、クロロフルオロカーボンを分解処理する際の雰囲気温度を比較的低く抑えることができ、処理コスト面でも有利である。具体的には、本発明によると、クロロフルオロカーボンを、好ましくは400〜700℃、より好ましくは450〜600℃の範囲内の雰囲気温度で分解処理することができる。
本発明による分解処理法は、例えば、図1に示したような流通系装置を用いて実施することができる。所望の雰囲気温度を提供する加熱器(例、電気炉)を具備する反応管に、本発明による分解処理剤(酸処理MgO+CaO)を充填し、これに必要に応じてキャリアガス(例、ヘリウム)で希釈したクロロフルオロカーボンを所定流量で流通させればよい。流量は、分解処理剤の充填量、処理対象のクロロフルオロカーボンの種類、そのキャリアガス中濃度その他の反応変数によって、当業者であれば、装置出口においてクロロフルオロカーボンが100%分解処理されるように適宜決定することができる。また、本発明による分解処理剤は反応体であり消費されるので、分解処理剤を適宜供給することによりクロロフルオロカーボンを連続的に分解処理することができる。例えば、図1に示したような流通系装置において流路切換可能な複数の反応管を設けること、流動床式処理装置を応用すること等が考えられる。
実施例で用いたMgOを以下のように調製した。MgO(宇部マテリアルズ株式会社製「100A」)10gを蒸留水150mLに懸濁させ、室温にて一晩撹拌後、80℃に加熱してペースト状になるまで水分を蒸発させた。得られたペーストを室温にて数日乾燥させMg(OH)を得た。得られたMg(OH)を、He気流下で600℃まで2時間で昇温し、その温度で3時間保持する焼成処理により脱水し、MgOを得た。
参考例
MgOの各種酸処理による酸点発現について調べた。酸処理の酸として、HF、HCl、HSO及びHPOを使用した。上記方法で得られたMgO2gを蒸留水50mLに懸濁させ、その懸濁液に各酸水溶液を滴下した。滴下量は、MgF、MgCl、MgSO及びMg(POが、それぞれMgF-MgO全体、MgCl-MgO全体、MgSO-MgO全体及びMg(PO-MgO全体の10モル%となるように調製した。各酸水溶液を滴下した後、室温で8時間撹拌し、その後80℃に加熱して水を蒸発除去した。酸処理後の各MgOを乾燥機内で温度110℃でさらに乾燥した。乾燥後、各MgOを焼成炉内で、ヘリウム気流中、600℃で3時間焼成した。調製された試料を、それぞれMgF-MgO、MgCl-MgO、MgSO-MgO及びMg(PO-MgOと表記する。調製した各酸処理試料について、BET比表面積及びNH−TPDを測定した。その結果を、未処理MgOのデータと共に、下記表1に示す。
Figure 0004902969
NH−TPDの測定結果から、HF、HSO及びHPOで処理されたMgOは、処理前MgOに比べ、酸点が有意に増加したことがわかる。図2に、各酸処理MgOのXRDパターンを示す。図2から、HSO処理したMgO(d)については、表面の一部がMgSOに転化したことがわかる。表1から酸点が増加したことがわかるHF処理およびHPO処理したMgOについては、おそらく酸とMgOとの反応による塩の結晶性が低いため、XRD図には表れていない。
実施例1
MgSO-MgOにCaOを物理混合して、クロロフルオロカーボンの分解処理反応について調べた。CaO(Aldrich社製、純度99.9%)10gを蒸留水150mLに懸濁させ、10時間撹拌した。その後80℃に加熱して水分を蒸発させた。次いで乾燥機で110℃にて乾燥し、得られたCa(OH)を5K/分で昇温し450℃で2時間、その後600℃で4時間焼成してCaOを得た。図1に示したようなクロロフルオロカーボン分解装置を使用し、石英製の反応管の中央部に、MgSO-MgO(0.20g)とCaO(0.28g)を一緒にメノウ乳鉢に入れ、十分に混ざり合うようにメノウ乳棒ですり潰した粒径約0.2mmの混合粉体(混合モル比1:1)を充填した。次いで、充填したMgSO-MgO+CaOを電気炉により600℃で3時間加熱処理した。その後所定の反応温度(450℃)に降温し、反応を行った。クロロフルオロカーボンにはCClを用い、これをヘリウム(He)で1体積%に希釈して30mL/分の流量で反応管に流通させた。反応出口ガスを、熱伝導度検出器を具備したガスクロマトグラフ(GC−TCD)で分析したところ、反応により生成したガスはCOのみで、CCl、CClF等の有害ガスは検出されなかった。MgSO-MgO+CaOによるクロロフルオロカーボン分解反応の結果を図3に示す。図中、縦軸のCCl転化率は、式:{1−(反応管を通過した未反応CClの濃度/反応管に導入したCClの濃度)}×100(%)から算出したものである。図3からわかるように、初期には導入したCClの70%程度が反応して無害なCOに転化した。その後次第に活性が低下したが、5時間経過後でも約30%の転化率を維持した。また、反応5時間後のXRDパターンを図4に示す。図4は、MgSO-MgOにCaOを物理混合した系ではクロロフルオロカーボンのハロゲンがCaClFおよび少量のCaFとして固定化されたことを示している。なお、XRDパターンにCaFに相当するCaClは認められない。これは、CaClは結晶性が悪く、XRDでは検出できないためである。また、クロロフルオロカーボンのカーボンの一部がCaCOとして固定されたこともわかる。
実施例2
Mg(PO-MgOにCaOを物理混合して、クロロフルオロカーボンの分解処理反応について調べた。CaOは、実施例1と同様にして調製した。図1に示したようなクロロフルオロカーボン分解装置を使用し、石英製の反応管の中央部に、Mg(PO-MgO(0.20g)とCaO(0.28g)を一緒にメノウ乳鉢に入れ、十分に混ざり合うようにメノウ乳棒ですり潰した粒径約0.2mmの混合粉体(混合モル比1:1)を充填した。次いで、充填したMg(PO-MgO+CaOを電気炉により600℃で3時間加熱処理した。その後所定の反応温度(450℃)に降温し、反応を行った。クロロフルオロカーボンにはCClを用い、これをヘリウム(He)で1体積%に希釈して30mL/分の流量で反応管に流通させた。反応出口ガスを、熱伝導度検出器を具備したガスクロマトグラフ(GC−TCD)で分析したところ、反応により生成したガスはCOのみで、CCl、CClF等の有害ガスは検出されなかった。Mg(PO-MgO+CaOによるクロロフルオロカーボン分解反応の結果を図3に示す。図中、縦軸のCCl転化率は実施例1で定義したとおりである。図3からわかるように、初期には導入したCClの60%程度が反応して無害なCOに転化した。その後次第に活性が低下したが、5時間経過後でも約20%の転化率を維持した。また、反応5時間後のXRDパターンを図4に示す。図4は、Mg(PO-MgOにCaOを物理混合した系ではクロロフルオロカーボンのハロゲンがCaClFおよび少量のCaFとして固定化されたことを示している。なお、XRDパターンにCaFに相当するCaClは認められない。これは、CaClは結晶性が悪く、XRDでは検出できないためである。また、クロロフルオロカーボンのカーボンの一部がCaCOとして固定されたこともわかる。
比較例1
MgF-MgOにCaOを物理混合して、クロロフルオロカーボンの分解処理反応について調べた。CaOは、実施例1と同様にして調製した。図1に示したようなクロロフルオロカーボン分解装置を使用し、石英製の反応管の中央部に、MgF-MgO(0.20g)とCaO(0.28g)を一緒にメノウ乳鉢に入れ、十分に混ざり合うようにメノウ乳棒ですり潰した粒径約0.2mmの混合粉体(混合モル比1:1)を充填した。次いで、充填したMgF-MgO+CaOを電気炉により600℃で3時間加熱処理した。その後所定の反応温度(450℃)に降温し、反応を行った。クロロフルオロカーボンにはCClを用い、これをヘリウム(He)で1体積%に希釈して30mL/分の流量で反応管に流通させた。反応出口ガスを、熱伝導度検出器を具備したガスクロマトグラフ(GC−TCD)で分析したところ、未反応のCClガス以外は、いかなる生成物も検出されなかった。実施例1、2と同様にCCl転化率(%)の経時変化を図3に示す。MgF-MgOにCaOを物理混合した系は、クロロフルオロカーボンに対する反応性が無いことがわかる。この系では、
MgF+CaO−−−>MgO+CaF(ΔH=−63kJ/モル)
のようなハロゲン交換反応が起こり、酸点が消失したためである。このことは、図4に示した5時間後のXRDパターンに、CaFは認められるものの、実施例1と実施例2で見られたCaClFおよびCaCOが存在しないことからもわかる。
本発明による方法を実施することができる流通系装置の一例を示す概略図である。 各酸処理MgOのXRDパターン図である。 各酸処理MgO+CaOによるクロロフルオロカーボン分解反応の結果を示すグラフである。 反応5時間後のXRDパターン図である。

Claims (2)

  1. クロロフルオロカーボンを、400〜700℃の範囲内の雰囲気温度において、硫酸またはリン酸で酸処理された酸化マグネシウムと酸化カルシウムとの混合物で処理することを特徴とする、クロロフルオロカーボンの分解処理方法。
  2. 硫酸またはリン酸で酸処理された酸化マグネシウムと酸化カルシウムとの混合物を含んでなる、クロロフルオロカーボンの分解処理剤。
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