JP3570136B2 - 有機ハロゲン化合物含有ガスの処理方法及び有機ハロゲン化合物分解触媒 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、クロロフルオロカーボン類(CFC類、例えばフロン),ハイドロフルオロカーボン類(HCFC類、例えば代替フロン)トリクロロエチレン,臭化メチル,ハロン等フッ素,塩素,臭素のハロゲンを含有する有機化合物の分解に対して高活性を示し、かつ長時間活性を維持する触媒及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
クロロフルオロカーボン,ハイドロフルオロカーボン,トリクロロエチレン,臭化メチル,ハロン等、有機化合物中にフッ素,塩素,臭素を含有する有機ハロゲン化合物は、発泡剤,冷媒,消火剤等に幅広く利用されてきた。これらの化合物はオゾン層の破壊,温暖化を引き起こし、発癌性物質の生成等、環境に対し深刻な影響を与えることが指摘され、これまでに使用された有機ハロゲン化合物の回収・分解処理方法が検討されている。
【0003】
ところで、回収した有機ハロゲン化合物は、反応性が低い比較的安定な化合物であるため、適切な分解処理技術がないのが現状である。また、分解生成物中には腐食性のハロゲンガスが含まれるため、分解処理技術を一層困難にしている。分解処理法は、主に高温での燃焼技術,プラズマ技術がある。しかしながら、この方法は、大量の燃料,電力を使用するためエネルギ効率が低く、また、生成するハロゲンによる炉壁の損傷の問題もある。特にプラズマ法では、処理ガス中の有機ハロゲン化合物の含有量が低い場合にはエネルギのロスが大きい。これらに対し、触媒を用いた分解法は触媒の性能が充分に高ければ、低エネルギで処理できる効率的な優れた方法である。
【0004】
従来、TiO2−WO3触媒は有機ハロゲン化合物の分解用触媒として、特公平6−59388号に報告されている。この触媒はTiO2の0.1〜20wt%のWを含む触媒(原子比にすると、Tiが92%以上99.96%以下,Wが8%以下 0.04%以上)であり、ppm オーダのCCl4 を処理するのに375℃で分解率99%を1500時間保持していた。しかし、有機ハロゲン化合物中で触媒毒としての影響はClだけでなく、むしろFの方が大きい。従って、Cl,Fの両方のハロゲン元素と反応しにくい耐ハロゲン性触媒が必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は有機ハロゲン化合物中のF及びClとの反応を抑制し、長時間の間、性能を維持することのできる有機ハロゲン化合物を分解する高性能な触媒及び製法,装置,処理方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は有機ハロゲン化合物を高効率で分解が可能で、しかも反応物及び分解生成物中に含まれるハロゲン、特にFによる劣化を受けにくい高性能触媒の探索を詳細に進めた結果、本発明に至った。即ち、チタニアとシリカと酸化タングステンを含み、シリカをチタニアに対して0.5重量% 以上2重量%未満で含有し、かつチタニア,酸化タングステンをTiとWの原子比が、Tiが20mol%以上95mol%以下 ,Wが80mol%以下5mol%以上であり、チタニアの少なくとも表面がシリカ,酸化タングステンのうち少なくとも1種の多孔質層で覆われている触媒と、10vol% を超えない有機ハロゲン化合物を含むガス流を触媒と接触させて有機ハロゲン化合物を処理する方法であって、ガス流を500℃を超えない温度で、全ガス流量の30vol% を超えない水蒸気の存在下で接触させて有機ハロゲン化合物を一酸化炭素,二酸化炭素とハロゲン化水素に分解する。触媒は、チタニア粒子表面にシリカの多孔質層を有し、シリカの多孔質層の表面に更に酸化タングステンよりなる多孔質層を有する場合に、優れた分解活性、特に高い耐久性を示すことを見出した。また、チタニア粒子表面に酸化タングステンの多孔質層を有し、酸化タングステンの多孔質層の表面に更にシリカよりなる多孔質層を有する場合にも同様の優れた分解活性を示すことを見出した。この触媒はシリカとチタンとタングステンを酸化物の混合物あるいは複合酸化物の形態で含有している。
【0007】
チタニアは、有機ハロゲン化合物の分解に対して高い活性を示すが、反応ガス中にFが存在すると、TiOF2 という化合物を形成して触媒から脱離しやすく、そのため活性点が減少するため、活性が徐々に低下することが判明した。
【0008】
従って、チタニアの持つ高い活性を損なうことなく、高寿命を持たせることが必要であった。Fとの反応性が小さい、すなわち、F化しにくい金属酸化物を探索した結果、酸化タングステンがFとほとんど反応しないことを見出した。従って、酸化タングステンのみで高活性を示すことが望ましいが、酸化タングステンのみでは比表面積が小さく、活性は低い。酸化タングステンの比表面積を増大させる方法として、チタニア,酸化タングステン,ゼオライト等の上に分散させる方法があるが、特に、チタニアにシリカあるいは酸化タングステンを混合した場合に活性点(特に強酸点)の量が増加した。シリカは、単体では有機ハロゲン化合物の分解の際にFと反応することが知られている。しかし、チタニアと組み合わせると、触媒中の強酸点が増加し、チタニア単体の活性を上回ることが判った。これらの酸点は、分解生成物であるHF,HClに対し劣化しにくく、高活性を維持する。そこで、チタニアとシリカが混合あるいは複合酸化物化した粒子の表面に酸化タングステンの多孔質層を形成すればチタニアの活性を損なうことなく、触媒寿命を延ばすことができると考えた。
【0009】
チタニア粒子表面にシリカあるいは酸化タングステン多孔質層を形成する方法は、シリカを含む溶液あるいはWを含む溶液をチタニア粒にしみこませ、焼成する含浸法を用いることができる。シリカあるいは酸化タングステンが余剰にある場合、一個一個の細かなチタニア粒子を集合させてできたチタニア造粒粒子の表面も、余剰のシリカあるいはWイオンが被覆できる。
【0010】
また、チタニア粒にシリカあるいはWを含む溶液を塗布したり、蒸着法等により調製することができる。これらの方法ではWが少なくてもチタニア粒子表面を被覆することができる。
【0011】
チタニア粒子表面を覆う、シリカ,酸化タングステンの多孔質層の厚さは、1μm以上1mm以下であることが望ましい。
【0012】
チタニア粒子の表面をシリカあるいは酸化タングステンで覆うには、適切な量のシリカあるいは酸化タングステンが必要であり、特に粒径2〜4mmのチタニア粒子に含浸法により酸化タングステンの多孔質層を形成する場合は、触媒中のチタニア,酸化タングステンをTiに対するWの原子百分率が10%以上でないと、チタニア粒子表面を完全に覆えないことが判明した。一方、粒径2〜4mmのチタニア粒子に含浸法でシリカの多孔質層を形成するには、チタニアに対してシリカは0.5 重量%以上2重量%未満で含有していれば、チタニア単体の活性を向上することが分かった。含浸処理する場合、チタニア粒内部にも酸化タングステンを分散させることができるため、TiとWの原子比は、Tiが20mol% 以上90mol%以下,Wが80mol%以下10mol% 以上が望ましい。特に有機ハロゲン化合物が炭素数1の分子である場合、TiとWの原子比は、Tiが40mol% 以上90mol%以下,Wが60mol%以下10mol% 以上であることが好ましい。炭素数2の分子である場合、分子中に含まれるハロゲン元素の数が多くなるので、TiとWの原子比を、Tiが20mol%以上85mol%以下,Wが80mol% 以下15mol% 以上とし、チタニア粒子の表面の多孔質が厚く積層されていることが好ましい。シリカはいずれの場合にもチタニアに対して約0.5 重量%以上2重量%未満の範囲であることが望ましい。なお、含浸処理時に用いるWを含む溶液は、Wのアンモニウム塩を過酸化水素水に溶かした水溶液を用いることができる。
【0013】
本発明における粒状のチタニアは、転動造粒法により成型されるのが最も効果的である。この場合、触媒内部の空孔量を容易に調節できる。
【0014】
また、第四成分として、硫黄,燐,モリブデン,バナジウムのうち一種以上の成分を添加した触媒は触媒の耐久性が向上することが分かった。即ち、このチタニアとシリカと酸化タングステンよりなる触媒に、さらに第四成分として、S,Mo,Vをチタン原子に対して、0.001〜10mol%で存在すると効果が大きいことが判明した。
【0015】
本発明における触媒は、そのまま粒状、あるいはペレット状,ハニカム状等に成形して使用することができる。成形法は、押出し成形法,打錠成形法,転動造粒法など目的に応じ任意の方法を採用できる。この場合、強度向上や比表面積増加などの目的で、アルミナセメント,カルシウム−ナトリウムセメント、他のセラミックスや有機物成分を混合することもできる。もちろん、アルミナやシリカ等の粒状担体に触媒成分を含浸等の方法で担持して使用することもできる。また、セラミックスや金属製のハニカムや板にコーティングして使用することもできる。
【0016】
本発明の触媒を調製するためのチタン原料は、酸化チタン,加熱により酸化チタンを生成する各種のチタン酸,硫酸チタン,塩化チタン,有機チタン化合物などを使用しうる。
【0017】
これらのチタン原料を水やアンモニア水,アルカリ溶液等で水酸化物の沈殿を生成し、最終的な焼成により酸化物を形成するのも好ましい方法である。
【0018】
シリカ原料はシリカゾル等を用いることができる。
【0019】
さらに、タングステン原料は、酸化タングステン,タングステン酸,パラタングステン酸アンモニウム等が好ましい。リンタングステン酸アンモニウムのように、リンとタングステンの両者を含有する原料を用いることもできる。
【0020】
また、本発明の触媒は触媒中の活性点が酸性であるほど劣化しにくく、触媒中にSやP等の触媒酸性を強める成分が含まれているのも効果的である。Sは硫酸イオン等の酸化物イオンの形で存在している。
【0021】
本発明の対象とする有機ハロゲン化合物は各種のクロロフルオロカーボン(フロン),ハイドロフルオロカーボン(代替フロン),トリクロロエチレン,臭化メチル等、有機化合物中にフッ素,塩素,臭素を含有する化合物である。
【0022】
フロン113,フロン12と臭化メチルを例に取るとそれぞれ次のような反応が代表的なものである。
【0023】
【化1】
CCl2F−CClF2+3H2O → CO+CO2+3HCl+3HF…(化1)
【0024】
【化2】
CCl2F2+2H2O → CO2+2HCl+2HF …(化2)
【0025】
【化3】
CH3Br+3/2O2 → CO+HBr+H2O …(化3)炭素数が2の有機ハロゲン化合物の分解反応を実施するには、処理するガス中に水蒸気を有機ハロゲン化合物に対し、モル数で3倍以上存在するように調整しておく。この様な雰囲気で反応を実施することにより、分解効率の向上が期待できる。また分解生成物が後処理の楽な形態のハロゲン化水素で得られるという長所もある。3倍未満ではこれらの効果が充分でない。
【0026】
反応ガス中の有機ハロゲン化合物の濃度は10vol% を超えないことが好ましい。10vol% を超える高濃度であると、酸化タングステンの多孔質層を有する触媒でも、活性が低下しやすい。また、処理濃度が大きくなると、生成するHF,HClが多くなるので、装置材質の腐食等の問題も生じる。逆に処理濃度が 1000ppm 以下の低濃度であると、他の処理方法に比べ分解に必要なエネルギは小さいものの、エネルギロスが生じる。分子中に含まれるハロゲン元素の量に影響されるが、炭素数1の有機ハロゲン化合物を処理する場合は、0.1〜10 vol% の有機ハロゲン化合物濃度が好ましく、炭素数が2の場合は0.1〜6 vol% が好ましい。
【0027】
また、触媒と接触させる温度は500℃を超えないことが好ましい。触媒温度が500℃以上になると、触媒とFとの反応が進行しやすくなり、触媒の性能が低下しやすい。特に炭素数が1の有機ハロゲン化合物を処理する場合、250〜450℃が好ましい。炭素数が2の有機ハロゲン化合物の場合は、分子中のハロゲン元素が多くなる場合があり、300〜500℃が好ましい。なお、500℃を超える温度で有機ハロゲン化合物を処理すると、分解生成物であるHF,HClの高温ガスが装置内を流れることになり、有機ハロゲン化合物処理装置の反応管,配管等の腐食が早く進行してしまい、メンテナンス等のコストがかかる。
【0028】
また、処理ガスは触媒上を空間速度で500〜100,000 /時で使用することが好ましい。炭素数が1の有機ハロゲン化合物を処理する場合、空間速度は1,000〜50,000 /時が好ましく、炭素数2の有機ハロゲン化合物を処理する場合は、500〜10,000 /時の空間速度が好ましい。
【0029】
本発明を実施する反応器の形状は基本的には、通常の固定床,移動床,流動床型の反応器が使用しうるが、分解生成ガスとしてフッ化水素,塩化水素等の腐食ガスが発生するため、分解生成ガスを触媒層通過後ただちにアルカリ溶液と接触させ、酸成分を除去する反応器が好ましい。
【0030】
処理装置は、有機ハロゲン化合物ガス供給装置,水蒸気供給装置,空気供給装置,触媒を充填する反応器,触媒を加熱する加熱源,触媒,分解生成ガス洗浄槽を含み、処理する有機ハロゲン化合物濃度に応じて、装置サイズ,触媒使用量を調節できる。処理する有機ハロゲン化合物が室温で液状である場合、予めガス化して触媒層へ導入する。触媒を加熱する方法は、電気炉等により加熱しても良く、また、プロパン,灯油,都市ガス等の燃焼ガスに有機ハロゲン化合物ガス,水蒸気を混合して触媒層へ導入しても良い。触媒を充填する反応器の材質は、インコネル,ハステロイ等の耐食性材料が好ましい。分解ガス洗浄槽の構造は、スプレ塔が洗浄する効率が高く、また結晶析出等による配管閉塞等が起こりにくい。アルカリ溶液中に分解生成ガスをバブリングする方法,充填塔による洗浄法も好ましい方法である。さらに、これら装置の全体を2tトラック等に積載し、廃棄された冷蔵庫,自動車等の回収場、もしくは有機ハロゲン化合物詰めボンベを貯蔵している場所へ移動して、含有されている有機ハロゲン化合物を抜き出し、直接処理することもできる。また、分解生成ガス洗浄槽内の洗浄液を循環する循環ポンプや、排ガス中の一酸化炭素等を吸着する排ガス吸着槽を同時に搭載しても良い。また、発電機,加熱源となるプロパン,灯油,都市ガス等の燃料を充填したボンベ等も同時に搭載しても良い。
【0031】
本発明の触媒は、チタニア表面に、強酸点を保持するシリカの多孔質層及びフッ化物を生成しにくい酸化タングステン多孔質層を有するため、有機ハロゲン化合物に対して高い活性を示すとともにチタニアのフッ素化(TiOF2化)を抑制でき、高耐久性を示す。酸化タングステンはフッ化物を生成しにくいことから耐久性向上に働き、チタニアとシリカは分解率向上に働く。この触媒は、従来触媒のようにただちに触媒性能が劣化しないため、触媒交換等の操作が不要となり、フロン分解プロセスを低コスト化できる。
【0032】
この触媒の調製法は、含浸法が好ましく、含浸法を用いると、多孔質のチタニア粒あるいは造粒してなるチタニア粒の表面にシリカ,酸化タングステンのうち1種の多孔質層を形成するとともに、チタニア粒内部にも均一にシリカ,酸化タングステンのうち1種以上を分散させることができ、チタニア粒表面のシリカあるいは酸化タングステンが剥離した場合でも、チタニア粒子はFとの反応性が低く,高活性,高耐久性を示す。本発明の触媒を用いることで、10vol% を超えない高濃度の有機ハロゲン化合物ガスを効率良く処理することができる。
【0033】
また、チタニアとシリカと酸化タングステンを含む触媒に、第三成分として Mo,Vを添加しても、酸化モリブデン,酸化バナジウムが、酸化タングステンが剥離して露出した酸化チタン表面を覆うため、耐久性が向上する。
【0034】
また、Sが存在すると触媒中の反応点の酸性が増大する。強酸点は分解生成物中の強酸であるHF,HClにより劣化しにくく、これは分解活性向上,耐久性向上に効果的である。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、実施例で本発明を更に詳細に説明する。
【0036】
(実施例1)
本実施例は、チタニアの表面をシリカ及び酸化タングステンの多孔質層で覆った触媒の活性を調べた結果である。
【0037】
直径2〜4mmの粒状酸化チタン(堺化学製,CS−224S)を120℃で2時間乾燥し、触媒Aを作製した。触媒A100gに、20重量%の含有率を有するシリカゾル15gに蒸留水22.5g を添加したゾル水溶液Bを含浸、全体を120℃で2時間大気中で乾燥後、500℃に2時間保持して焼成し、触媒Cを作製した。触媒C中のシリカの量をフッ酸重量分析法で、チタニアの量をICP発光分光分析法で分析すると、チタニアに対して、1.5wt% であった。次に、パラタングステン酸アンモニウム41.25gを過酸化水素水溶液37.5gに溶かした溶液Dを触媒Cに含浸した。含浸後、再び120℃で2時間乾燥して触媒Eを得た。この触媒Eに、再び溶液Dを含浸した。含浸後、120℃で2時間乾燥し、500℃で2時間焼成し、触媒Fを作製した。触媒F中の酸化タングステンの量をICP発光分光分析法で分析すると、Ti:Wの原子比は80:20mol% であった。
【0038】
実験に用いた装置の構成は以下のようである。反応管は内径31mmのインコネル製の反応管で、触媒層を反応管中央に有している。内部に外径3mmのインコネル製の熱電対保護管を有している。この反応管を電気炉で加熱し、熱電対で触媒温度を測定する。水蒸気量の調整は、所定量の純水をポンプで反応管上部に供給し、蒸発させることで行った。有機ハロゲン化合物はCFC12を用いた。供給した処理ガスは下記の組成を有する。
【0039】
CFC12 3%
水蒸気 15%
酸素 10〜20%
窒素 残部
この組成のガスを空間速度2,300 毎時で触媒温度約460℃の触媒層へ通じた。触媒層を通過した分解生成ガスは、アルカリ水溶液中にバブリングさせ、アルカリ水溶液を通過したガス中のCFC12濃度をFIDガスクロマトグラフで分析した。なお、有機ハロゲン化合物の分解率は次式で求めた。
【0040】
【数1】
【0041】
図1に各反応温度におけるCFC12の分解率を示す。比較例として、シリカを添加しなかった触媒G、触媒A100gに、20重量%の含有率を有するシリカゾル5gに蒸留水32.5g を添加したゾル水溶液Bを含浸した以外は、触媒Fと同じ方法で調製した触媒H、触媒A100gに、20重量%の含有率を有するシリカゾル25gに蒸留水12.5g を添加したゾル水溶液Bを含浸した以外は、触媒Fと同じ方法で調製した触媒Iを示す。触媒Iは本発明のシリカ含有量を外れる例である。
【0042】
なお、国連環境計画(UNEP)では、CFC処理方法として認定されるCFC分解率は99%と言われている。
【0043】
(実施例2)
図2は本発明の触媒F及び触媒Gについての触媒温度460℃で100hの連続分解試験を行った結果である。試験条件は実施例1と同様である。
【0044】
(実施例3)
図3は本発明の触媒Fを用いて、各触媒温度でのHCFC22の分解活性を調べた結果である。試験条件は実施例1と同様である。
【0045】
(実施例4)
本実施例は、処理する有機ハロゲン化合物が室温で液体の場合の有機ハロゲン化合物分解装置の例である。分解装置を図4に示す。
【0046】
処理するCFC12ガス1は、FIDガスクロマトグラフ等の分析計3により、濃度を測定し、空気2でフロン濃度3%程度に希釈する。希釈されたフロンガスに、フロンモル数の5倍量の水蒸気4を添加した後、実施例1触媒を充填した触媒層5へ導入する。このときの空間速度は2,300 毎時である(空間速度=ガス流量(ml/h)/触媒量(ml))。触媒層は外側から電気炉6で加熱し、触媒温度を460℃とした。なお、触媒の温度を上げる方法は、プロパンガス等を燃焼させた高温のガスを流す方法も使用できる。分解生成ガスは、スプレノズル7から噴霧される水酸化ナトリウム水溶液と接触しながらアルカリ吸収槽8へバブリングされる。アルカリ吸収槽8を通過したガスは活性炭等を充填した吸着槽9を通過した後、大気に放出させる。なお、スプレノズル7から噴霧する液は、単なる水でも良く、炭酸カルシウム等のスラリ液でも良い。アルカリ吸収槽8中の廃液となったアルカリ水溶液10は定期的に取り出し、新しいアルカリ水溶液11を入れ替えることができる。スプレノズルから噴霧されるアルカリ液はアルカリ吸収槽8内の溶液をポンプ12により循環させる。
【0047】
(実施例5)
本実施例は、処理する有機ハロゲン化合物が室温で液体の場合の有機ハロゲン化合物分解装置の例である。装置を図5に示す。
【0048】
実施例4の有機ハロゲン化合物分解装置に、予熱器14を設けた例である。ここでは実施例3との違いのみを説明する。CFC113液13のように、処理する有機ハロゲン化合物が室温で液体の場合、予熱器14で気化させ、FIDガスクロマトグラフ等の分析計3により、濃度を測定し、空気2でフロン濃度3%程度に希釈する。希釈されたフロンガスは、以下実施例4と同様に処理する。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、クロロフルオロカーボン類(CFC類),ハイドロフルオロカーボン類(代替フロン類),トリクロロエチレン,臭化メチル,ハロン等のフッ素,塩素,臭素のハロゲンを含有する有機化合物を高効率で分解し、かつ長時間活性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の触媒のCFC12の分解活性の関係を示す結果の説明図。
【図2】本発明の触媒についての触媒温度460℃で100hの連続分解試験を行った結果の説明図。
【図3】本発明の触媒のHCFC22の分解活性の関係を示す結果の説明図。
【図4】本発明の実施例4の有機ハロゲン化合物分解装置の系統図。
【図5】本発明の実施例5の有機ハロゲン化合物分解装置の系統図。
【符号の説明】
1…CFC12ガス、2…空気、3…FIDガスクロマトグラフ、4…水蒸気、5…触媒層、6…電気炉、7…スプレノズル、8…アルカリ吸収槽、9…吸着槽、10…廃液、11…新アルカリ水溶液、12…ポンプ、13…CFC113液、14…余熱器。
Claims (5)
- チタニアとシリカと酸化タングステンとを含み、前記シリカをチタニアの0.5 重量%以上2重量%未満の濃度で含有し、前記チタニア,前記酸化タングステンをTiとWの原子比がTiが20 mol %以上90 mol %以下、Wが80 mol %以下10 mol %以上であり、前記チタニアの少なくとも表面が前記シリカと前記酸化タングステンの少なくとも1種類の多孔質層で実質的に覆われている触媒と、10vol% を超えない有機ハロゲン化合物を含むガス流を接触させて有機ハロゲン化合物を処理する方法であって、前記ガス流を500℃を超えない温度で、全ガス流量の30vol% を超えない水蒸気を添加し、前記水蒸気の存在下で前記触媒と接触させて、前記有機ハロゲン化合物を一酸化炭素,二酸化炭素とハロゲン化水素に分解する工程を含んでなることを特徴とする有機ハロゲン化合物含有ガスの処理方法。
- チタニアとシリカと酸化タングステンを含み、シリカをチタニアの0.5 重量%以上2重量%未満の濃度で含有し、かつチタニア,酸化タングステンをTiとWの原子比が20 mol %以上90 mol %以下、Wが80 mol %以下10 mol % 以上であり、チタニアの少なくとも表面に、シリカと酸化タングステンの少なくとも1種類の多孔質層を持つことを特徴とする有機ハロゲン化合物分解触媒。
- 請求項2において、第四成分としてS,Mo,Vの一種以上の元素を含有し、各金属元素の割合がTi原子に対して、0.001〜10mol%で存在する有機ハロゲン化合物分解用触媒。
- 有機ハロゲン化合物ガス供給装置,水蒸気供給装置,空気供給装置,触媒を充填する反応器,触媒を加熱する加熱源,触媒,分解生成ガス洗浄槽を備えた有機ハロゲン化合物処理装置であって、上記触媒はチタニアとシリカと酸化タングステンを含み、シリカをチタニアの0 . 5 重量%以上2重量%未満の濃度で含有し、かつチタニア,酸化タングステンをTiとWの原子比が20 mol %以上90 mol %以下、Wが80 mol %以下10 mol %以上であり、チタニアの少なくとも表面に、シリカと酸化タングステンの少なくとも1種類の多孔質層を持つことを特徴とする、有機ハロゲン化合物処理装置。
- 請求項1において、前記水蒸気を、前記有機ハロゲン化合物に対し、モル数で3倍以上存在するように調整することを特徴とする有機ハロゲン化合物含有ガスの処理方法。
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